原発問題-原発の近くにある双葉病院(福島県大熊町)の入院患者2人の遺族が起こした損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は東京電力の賠償責任を認定。
2016年 05月 01日
標題について、朝日新聞は2016年4月28日、「福島第一原発の近くにある双葉病院(福島県大熊町)の入院患者2人の遺族が、『原発事故後に長距離、長時間の避難を強いられ、その負担で死亡した』と東京電力に計約6640万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。中吉徹郎裁判長は東電の賠償責任を認定した上で、『事故以外の要因も死亡に影響した』とする東電の主張を一部認め、賠償額を計約3100万円に減額した。」、と報じた。
また、「判決によると、原発から約4・6キロ離れた同病院に入院していた安倍正さん(当時98)は、避難指示が出ていた2011年3月14日、自衛隊に救出されたが、県内の避難所で16日に死亡。辺見芳男さん(同73)も16日に救出され、別の病院に運ばれたがその日に死亡した。判決は、停電で暖房が止まり低体温症を発症したことも死因の一つだったと認定。東電が賠償責任を負う割合を一部少なくした。
同病院と系列の介護施設では、原発事故後の避難が遅れ、同年4月までに約50人が死亡した。東京地裁では今回の2人を含め、死亡したり行方不明になったりした7人の患者の遺族らが提訴したが、判決は初めて。東京電力は『原発事故で避難を余儀なくされた中で亡くなられた方には、心よりご冥福をお祈り申し上げます。判決の内容を確認し、引き続き真摯(しんし)に対応してまいります』との談話を出した。」、と伝えた。
以下、朝日新聞の引用。
朝日新聞-3100万円賠償、東電に命令 入院患者、原発避難で死亡 東京地裁判決-2016年4月28日05時00分
福島第一原発の近くにある双葉病院(福島県大熊町)の入院患者2人の遺族が、「原発事故後に長距離、長時間の避難を強いられ、その負担で死亡した」と東京電力に計約6640万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。中吉徹郎裁判長は東電の賠償責任を認定した上で、「事故以外の要因も死亡に影響した」とする東電の主張を一部認め、賠償額を計約3100万円に減額した。
判決によると、原発から約4・6キロ離れた同病院に入院していた安倍正さん(当時98)は、避難指示が出ていた2011年3月14日、自衛隊に救出されたが、県内の避難所で16日に死亡。辺見芳男さん(同73)も16日に救出され、別の病院に運ばれたがその日に死亡した。判決は、停電で暖房が止まり低体温症を発症したことも死因の一つだったと認定。東電が賠償責任を負う割合を一部少なくした。
同病院と系列の介護施設では、原発事故後の避難が遅れ、同年4月までに約50人が死亡した。東京地裁では今回の2人を含め、死亡したり行方不明になったりした7人の患者の遺族らが提訴したが、判決は初めて。東京電力は「原発事故で避難を余儀なくされた中で亡くなられた方には、心よりご冥福をお祈り申し上げます。判決の内容を確認し、引き続き真摯(しんし)に対応してまいります」との談話を出した。(千葉雄高)
■遺族「寂しい死に方させた」
「やっと心の荷物を下ろせた。誰を恨むという話ではないから。原発事故さえなければ……」。辺見芳男さんの義姉(73)はそう話した。
義姉は以前、福島県浪江町の自宅で辺見さんと同居していた。入院後も10年以上、病院に毎週のように通い、洗濯した衣服などを届けていた。
判決によると、辺見さんは自衛隊のバスで病院に搬送された直後に亡くなった。義姉が辺見さんの死を知ったのは、事故の1カ月後。夫と身を寄せた横浜市の避難先に、病院職員から電話が入った。「一緒にいられなかったのが残念。寂しい死に方をさせてしまった」と悔やむ。
判決は、仙台市にある辺見さんの墓前に報告するつもりだ。「苦しんで死んだだろうから納得できないと思うけど、『終わったよ』と報告したい」
義姉ら原告の代理人を務めた新開文雄弁護士は記者会見で、「原発事故の特殊性が考慮されておらず残念だ」と話した。訴訟では慰謝料について「安全だったはずの原発による被害であることや、避難中に味わった苦しみも考慮するべきだ」と主張してきた。だが判決でこうした点への言及はなく、慰謝料は交通事故で死亡した場合とほぼ同額だった。新開弁護士は「控訴するかは原告の意向を確認して決めたい」と話した。(永野真奈)