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大津地裁の高浜原発稼働禁止仮処分決定を考える。(2)

 2016年3月9日の大津地裁の高浜原発稼働禁止仮処分決定について、考える。
 今回は、大津地裁高浜3,4号機運転禁止仮処分申立事件申立人団、弁護団一同の「声明」を基に、この決定を考える。
 「声明」は、次のことを高らかに主張した。


(1)これまでの経過。
①福島第一原発事故は膨大な人々に筆舌に尽く しがたい苦痛を与えたが、 それでも事故の規模は奇跡的に小さくて済んだ。 最悪の事態を辿れば、 日本という国家は崩壊しかねなかったのである。                                     ②大多数の市民が、 電力需要が賄える限り、 可能な限り原発依存をなくしたいと考えたのは当然であった。そして、その後の時間の経過は、原発が1ワットの電気を発電しなくても、 この国の電力供給に何ら支障がないことを明らかにした。 もはや、 速やかに原発ゼロを実現することは市民の大多数の意思である。
③しかるに、政府は、着々と原発復帰路線を進めてきた。まだ、福島第一原発事故の原因すら判っておらず、 1 0万人もの人が避難生活を続けているのにもかかわらずである。
④原発復帰路線の象徴が高浜3、 4号機である。 ここでは、危険なプルサーマル発電が行われている。                                      ⑤もし高浜原発で過酷事故が生じれば、近畿140 0万人の水整である琵琶湖が汚染され、 日本人の誇りである千年の都京都を放棄しなければならない事態すら想定される。 市民がこの政治の暴走を止めるためには、 司法の力に依拠するしかなかった。
(2)大津地裁の決定とそれがもたらしたもの。
①福島原発事故の原因を津波と決めっけ再稼働に邁進しようとする関西電力の姿勢に疑問を示し、 避難計画を審査しない新規制基準の合理性を否定し、避難計画を基準に取り込むことは国家の 「信義則上の義務」 であると明確に述べるなど、公平、冷静に賢明な判断を示した。   ②市民は、今晩から、いっ大地震が高浜原発を襲うか、 いつ高浜原発がテロの対象になるかと脅えなければならない生活から解放される。
③現に運転中の原発に対して運転を禁止する仮処分決定が出されるのは史上初めてである。 そして、 関西電力株式会社は、 この仮処分決定よって、 4号機を起動せることができなくなっただけでなく、 3号機の運転を直ちに停止しなければならなくなった。
(3)申立人団、弁護団一同からの要求。
①関西電力に対しては、 仮処分異議や執行停止の中立てをすることなく、 直ちに高浜3 号機の運転を停止させることを求める。                           ②関西電力をはじめとする原子力事業者に対しては、 目先の利益にとらわれることなく、 この美しい国土をこれ以上汚染することなく将来の世代に残していくために、もう一度、営業政策を見直すことを求める。                                 ③私たちは、既に、 将来の世代に対して、 高レベル放射性廃棄物の10万年もの保管という負担を押し付けている。 これ以上、 負担を增やしてはならない。                ④原子力規制委員会は、今回の決定の趣旨を真摯に受け止め、 新規制基準の見直し作業に着手すべきである。                                 ⑤政府は、 2030年に原発による発電を20~22パーセントとする等という現行のエネルギー政策を根本から見直して、 原発ゼロ政策に舵を切るべきである。


 特に、私たちは、安倍晋三政権に対して、「2030年に原発による発電を20~22パーセントとする等という現行のエネルギー政策を根本から見直して、 原発ゼロ政策に舵を切る」、ことを強く要求するものである。


以下、声明の引用。







             声明
         大津地裁高浜3、 4号機運転禁止仮処分申立事件中立人団、 弁護団一同


 本日、 大津地裁は、 関西電力高浜原発3、 4号機の運転を禁止する画期的な仮処分決定をした。 高浜原発3、 4号機は、既に原子力規制委員会の設置変更許可その他再稼働に必要な手続を済ませ、 4号機はトラブルによって停止中であるが、 3号機は、 現に営業運転中である。 現に運転中の原発に対して運転を禁止する仮処分決定が出されるのは史上初めてである。 そして、 関西電力株式会社は、 この仮処分決定よって、 4号機を起動せることができなくなっただけでなく、 3号機の運転を直ちに停止しなければならなくなった。
 福島第一原発事故は膨大な人々に筆舌に尽く しがたい苦痛を与えたが、 それでも事故の規模は奇跡的に小さくて済んだ。 最悪の事態を辿れば、 日本という国家は崩壊しかねなかったのである。 大多数の市民が、 電力需要が賄える限り、 可能な限り原発依存をなくしたいと考えたのは当然であった。そして、その後の時間の経過は、原発が1ワットの電気を発電しなくても、 この国の電力供給に何ら支障がないことを明らかにした。 もはや、 速やかに原発ゼロを実現することは市民の大多数の意思である。
 しかるに、政府は、着々と原発復帰路線を進めてきた。まだ、福島第一原発事故の原因すら判っておらず、 1 0万人もの人が避難生活を続けているのにもかかわらずである。
 そして、 原発復帰路線の象徴が高浜3、 4号機である。 ここでは、危険なプルサーマル発電が行われている。もし高浜原発で過酷事故が生じれば、近畿140 0万人の水整である琵琶湖が汚染され、 日本人の誇りである千年の都京都を放棄しなければならない事態すら想定される。 市民がこの政治の暴走を止めるためには、 司法の力に依拠するしかなかった。 そして、 本日、 大津地裁は、 福島原発事故の原因を津波と決めっけ再稼働に邁進しようとする関西電力の姿勢に疑問を示し、 避難計画を審査しない新規制基準の合理性を否定し、避難計画を基準に取り込むことは国家の 「信義則上の義務」 であると明確に述べるなど、公平、冷静に賢明な判断を示した。市民は、今晩から、いっ大地震が高浜原発を襲うか、 いつ高浜原発がテロの対象になるかと脅えなければならない生活から解放される。 担当した裁判官3名 (山本善彦裁判長、 小川紀代子裁判官、 平瀬弘子裁判官) に対し、 深い敬意を表する次第である。
 関西電力に対しては、 仮処分異議や執行停止の中立てをすることなく、 直ちに高浜3 号機の運転を停止させることを求める。 関西電力をはじめとする原子力事業者に対しては、 目先の利益にとらわれることなく、 この美しい国土をこれ以上汚染することなく将来の世代に残していくために、もう一度、営業政策を見直すことを求める。私たちは、既に、 将来の世代に対して、 高レベル放射性廃棄物の10万年もの保管という負担を押し付けている。 これ以上、 負担を增やしてはならない。 そして、 原子力規制委員会は、今回の決定の趣旨を真摯に受け止め、 新規制基準の見直し作業に着手すべきである。 また、政府は、 2030年に原発による発電を20~22パーセントとする等という現行のエネルギー政策を根本から見直して、 原発ゼロ政策に舵を切るべきである。
                                      以上


by asyagi-df-2014 | 2016-03-13 06:02 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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