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国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は7日、日本政府に対する勧告を含む「最終見解」を公表。

 この最終報告について、朝日新聞は2016年3月8日、「女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は7日、日本政府に対する勧告を含む『最終見解』を公表した。昨年成立した『女性活躍推進法』など、前回2009年の勧告以降の取り組みを評価する一方、夫婦同姓や再婚禁止期間など民法の規定について改正を求め、『過去の勧告が十分に実行されていない』と厳しく指摘した。」、「一方『「女性活躍推進法』のほか、待遇改善に向けた14年の『パートタイム労働法』の改正など、前回勧告以降の法的な枠組みの整備は、肯定的な評価を受けた。慰安婦問題には約1ページが割かれ、前回の勧告より詳細な記述になった。被害者への補償や加害者の訴追など、前回の勧告を繰り返した上で、日本政府が『被害者の権利を認識し、完全で効果的な癒やしと償いを適切な形で提供する』ことなどを求めた。慰安婦問題の責任をめぐる最近の指導者、当局者の発言や、日韓両政府が昨年12月末に結んだ合意について『被害者中心のアプローチが十分にとられていない』ことなどに遺憾を表明。日韓合意の履行にあたって被害者の意向を十分に考慮するよう求めるなど、日本政府の姿勢に注文をつけた。」、と報じた。
 この勧告の骨子については、①女性だけの再婚禁止期間の廃止、選択的夫婦別姓の採用など、民法の改正、②妊娠・出産に関わるハラスメントを含む雇用差別、職場でのセクハラを禁止し、防ぐための法整備をする、③2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にするための効果的な手段を確保する、④慰安婦問題では、被害者の権利を認識し、補償や公的な謝罪、尊厳の回復を含む、完全で効果的な癒やしと償いを提供する。日韓合意の履行にあたり、被害者の意向を十分に考慮する、⑤女性差別的なポルノやゲーム、アニメなどの規制、と伝えた。
 特に、慰安婦問題については、次のように指摘した。


「国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が7日公表した日本への勧告は、今回も厳しい内容だった。慰安婦問題では、昨年末の日韓合意について、問題解決のあり方を問われる形になった。
 7日、委員会を代表して記者会見したジャハン委員(バングラデシュ)は慰安婦問題の日韓合意に言及し、「我々の最終見解は(慰安婦問題を)まだ解決されていない問題だと見なしている」と発言。日韓合意に元慰安婦たちが関与し、その意向が反映されるべきだとの考えを示した。
 今回の最終見解は、日本政府が慰安婦問題を解決する努力や日韓合意について『留意する』とする一方、『指導者や当局者が責任を軽くみる発言をし、被害者に再び心的な傷を負わせるような行為を控える』といった新たな勧告も盛り込んだ。委員会は『意図したわけではない』とするが、最近の動きを踏まえて慰安婦問題の記述は分量が増え、より具体的になった形だ。
 また、日本が、慰安婦問題は女性差別撤廃条約を締結した以前に起きたために委員会が取り上げるべきではないと主張していることについても、『遺憾に思う』とした。2月にあった委員会の対日審査では、オーストリアの委員が『何が被害者中心のアプローチになり得るのか』『加害者の訴追や、歴史教科書掲載の必要性といった過去の国連機関の勧告をどう実行に移すのか』と質問した。これに対し、日本政府代表の杉山晋輔・外務審議官は、日韓合意の内容や、『日本政府が発見した資料の中では、いわゆる【強制連行】を確認できるものはなかった】といった立場を強調して説明した。
 元軍縮大使で、かつて国連委員会で慰安婦問題に関わった美根慶樹・平和外交研究所代表は『国連委員会が慰安婦問題について質問したのは、日本政府と強制連行の有無を論争したかったからではなく、問題解決に対する姿勢を知りたかったからだ。ことさら強制性の有無に焦点を当て、否定する杉山氏の説明は【日本は責任逃れをする意図があるのでは】という疑念を生じさせかねない危ういものだ】と話す。」


 国連の女性差別撤廃委員会の慰安婦問題への勧告-被害者の権利を認識し、補償や公的な謝罪、尊厳の回復を含む、完全で効果的な癒やしと償いを提供する。日韓合意の履行にあたり、被害者の意向を十分に考慮する-は、基本的な考えとなるものである。
 それは、「何が被害者中心のアプローチになり得るのか」「加害者の訴追や、歴史教科書掲載の必要性といった過去の国連機関の勧告をどう実行に移すのか」といった問いかけを日本側が常に行うということでもある。


 以下、朝日新聞の引用。







朝日新聞-日本の夫婦同姓・マタハラ…女性差別撤廃、国連委が勧告-2016年3月8日03時03分

 女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は7日、日本政府に対する勧告を含む「最終見解」を公表した。昨年成立した「女性活躍推進法」など、前回2009年の勧告以降の取り組みを評価する一方、夫婦同姓や再婚禁止期間など民法の規定について改正を求め、「過去の勧告が十分に実行されていない」と厳しく指摘した。

 昨年12月に最高裁が「合憲」とした「夫婦同姓」については、「実際には女性に夫の姓を強制している」と指摘し、改正を求めた。

 6カ月の「再婚禁止期間」について、最高裁が「100日を超える部分」を違憲とした判断についても、「女性に対してだけ、特定の期間の再婚を禁じている」として、なお改善を求めた。

 また妊娠・出産に関わるハラスメント(マタハラ)を含む雇用差別や職場でのセクハラを禁じ、防止する法的措置を整えるよう求めた。国会議員や企業の管理職など、指導的な地位を占める女性を20年までに30%以上にすることも求めた。

 一方、「女性活躍推進法」のほか、待遇改善に向けた14年の「パートタイム労働法」の改正など、前回勧告以降の法的な枠組みの整備は、肯定的な評価を受けた。

 慰安婦問題には約1ページが割かれ、前回の勧告より詳細な記述になった。

 被害者への補償や加害者の訴追など、前回の勧告を繰り返した上で、日本政府が「被害者の権利を認識し、完全で効果的な癒やしと償いを適切な形で提供する」ことなどを求めた。

 慰安婦問題の責任をめぐる最近の指導者、当局者の発言や、日韓両政府が昨年12月末に結んだ合意について「被害者中心のアプローチが十分にとられていない」ことなどに遺憾を表明。日韓合意の履行にあたって被害者の意向を十分に考慮するよう求めるなど、日本政府の姿勢に注文をつけた。

 各国政府は、男女差別の解消と平等の実現を求めた女性差別撤廃条約に基づいて、達成状況を報告する。審査は数年ごとに行われ、日本は09年以来5回目。日本は1985年に条約を批准したが、勧告については、法的拘束力を否定する立場をとっている。(ジュネーブ=松尾一郎、喜田尚)
■今回も厳しい内容
 国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が7日公表した日本への勧告は、今回も厳しい内容だった。慰安婦問題では、昨年末の日韓合意について、問題解決のあり方を問われる形になった。

 7日、委員会を代表して記者会見したジャハン委員(バングラデシュ)は慰安婦問題の日韓合意に言及し、「我々の最終見解は(慰安婦問題を)まだ解決されていない問題だと見なしている」と発言。日韓合意に元慰安婦たちが関与し、その意向が反映されるべきだとの考えを示した。

 今回の最終見解は、日本政府が慰安婦問題を解決する努力や日韓合意について「留意する」とする一方、「指導者や当局者が責任を軽くみる発言をし、被害者に再び心的な傷を負わせるような行為を控える」といった新たな勧告も盛り込んだ。委員会は「意図したわけではない」とするが、最近の動きを踏まえて慰安婦問題の記述は分量が増え、より具体的になった形だ。

 また、日本が、慰安婦問題は女性差別撤廃条約を締結した以前に起きたために委員会が取り上げるべきではないと主張していることについても、「遺憾に思う」とした。

 2月にあった委員会の対日審査では、オーストリアの委員が「何が被害者中心のアプローチになり得るのか」「加害者の訴追や、歴史教科書掲載の必要性といった過去の国連機関の勧告をどう実行に移すのか」と質問した。これに対し、日本政府代表の杉山晋輔・外務審議官は、日韓合意の内容や、「日本政府が発見した資料の中では、いわゆる『強制連行』を確認できるものはなかった」といった立場を強調して説明した。

 元軍縮大使で、かつて国連委員会で慰安婦問題に関わった美根慶樹・平和外交研究所代表は「国連委員会が慰安婦問題について質問したのは、日本政府と強制連行の有無を論争したかったからではなく、問題解決に対する姿勢を知りたかったからだ。ことさら強制性の有無に焦点を当て、否定する杉山氏の説明は『日本は責任逃れをする意図があるのでは』という疑念を生じさせかねない危ういものだ」と話す。
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 女性差別撤廃委員会が扱うテーマは、差別に関する法整備から女性への各種暴力、漫画も含むポルノ規制、人身売買、売春、雇用、アイヌや在日コリアンなどマイノリティーの問題など広範囲に及んでいる。

 7日に公表された日本に対する最終見解には、「以前の勧告」との表現が約10カ所も盛り込まれた。過去の勧告が実行されていないことに対する委員会の懸念が表れた。

 委員会は、世界23カ国の弁護士ら専門家で構成されている。委員長は日本の林陽子弁護士だが、出身国の審査には携わらないことになっている。この日の最終見解は、日本を含む7カ国について触れた。

 審査は、日本が1985年に批准した女性差別撤廃条約に基づくもので、勧告を受けた後の改善状況を調べるため、数年ごとに開かれる。今回は2009年以来5回目となる。

 今回の対日審査では、結婚可能年齢が男性18歳、女性16歳と差があることや、女性のみに課されている再婚禁止期間について、委員から「差別的だとされていないのは驚くことだ」などの批判が出た。また、国会議員など指導的な地位における女性の少なさについても、批判的な意見が多く出た。

 また以前の最終見解では公職者による「性差別発言」など、「言葉の暴力」を禁じるように求めている。今回も改善の取り組みについて質問が出た。

 日本政府は「性差別的な発言であるという批判を浴びるものについて、社会的に容認されないという空気が強くなってきているのは喜ばしいと思う」(内閣府男女共同参画局の武川恵子局長)と答えた。

 一方、日本の人権団体などで作る「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)」の永井よし子共同代表は、対日審査後の記者会見で「我々からみれば、政府の回答は木で鼻をくくったよう」と話した。

 日本は1985年に条約を批准したが、女性差別撤廃委員会などの勧告については、法的拘束力を否定する立場をとっている。(武田肇)
■勧告の骨子
・女性だけの再婚禁止期間の廃止、選択的夫婦別姓の採用など、民法の改正
・妊娠・出産に関わるハラスメントを含む雇用差別、職場でのセクハラを禁止し、防ぐための法整備をする
・2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にするための効果的な手段を確保する
・慰安婦問題では、被害者の権利を認識し、補償や公的な謝罪、尊厳の回復を含む、完全で効果的な癒やしと償いを提供する。日韓合意の履行にあたり、被害者の意向を十分に考慮する
・女性差別的なポルノやゲーム、アニメなどの規制


by asyagi-df-2014 | 2016-03-11 06:06 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

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