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沖縄-沖縄タイムス特集【誤解だらけの沖縄基地】を読む(18)。

 沖縄タイムスの特集、「誤解だらけの沖縄基地」(18)を考える。
 第18回目は、「日米地位協定改定、動かぬ日本政府」、ということについて。
 このことについて、沖縄タイムスは2016年2月28日、次のように指摘する。
 まず、「沖縄県はあらゆる機会を通じて、地位協定の抜本的な見直しを求めてきたが、締結から56年間、一度も改定されていない。在日米軍基地を抱える14都道県の知事でつくる渉外知事会、日本労働組合総連合会(連合)、日本弁護士連合会などが独自の改定案を作成するなど機運の醸成を図ったものの、実現には至っていない。」、とする。
 たとえば、それは、2012年10月の仲井真弘多知事の「日米地位協定が諸悪の根源という感じさえする」、という発言にも表れている。
 結局、「沖縄県はあらゆる機会を通じて、地位協定の抜本的な見直しを求めてきたが、締結から56年間、一度も改定されていない。」、と報告するのである。
 この間、外務省の説明は、「他国の地位協定と比べ、不平等とは思えない。見直しすれば他国でも改定要求が出てくる」と説明する。」、であった。
 それは、「多くの国と同様の協定を結ぶ米側の事情にも配慮し、条文を書き換えたり、付け加えたりするのではなく、今のままで運用を改善することが合理的な対応という考えだ。」、という考え方に基づくとされてきた。

 だから、「本当にそうだろうか。」、と沖縄タイムスは問う。その中で、ドイツと韓国の例を次のように紹介する。


「同じ敗戦国のドイツでは3度、北朝鮮と休戦状態の韓国では2度、地位協定改定を重ねている。例えば、ドイツのボン補足協定は1993年の改定で、提供施設や区域の内部でも原則国内法が適用されるようになった。施設や区域外で訓練する場合にはドイツ当局の同意が必要と定めている。」


「韓米地位協定は2001年の改定で、殺人や強姦など12種の犯罪で、米軍容疑者の身柄引き渡し時期を『裁判が終結した時点』から『起訴の時点』に早めた。また、環境条項も新設した。特に00年2月に米兵が首都ソウルで韓国人女性を殺害する事件が発生し、国民の反米感情が噴出したことが改定につながったという見方が広まっている。」


 こうして明らかになったことは、「各国で歴史的な経緯や同盟の目的に違いがあり、日米地位協定の内容と単純に比べることはできないが、いずれにしてもドイツ、韓国の国民、政府が問題意識を持って、主権回復に取り組んだ成果と言える。」、というドイツと韓国の姿だった。


 沖縄タイムスは、こうしたドイツと韓国の姿と比べて、「一方で、日本はどうだろうか。」、と問いかける。
 しかし、「航空機騒音の被害は神奈川や鳥取でも顕著で、大分や北海道でも実弾射撃訓練が実施されるなど、沖縄以外でも米軍の影響を受けているが、全国的な『問題』という認識は低い。」、というのが日本の実態である。
 それは、沖縄国際大学前泊博盛教授の「在日米軍専用施設面積の74%が集中する沖縄だけの問題に矮小(わいしょう)化されている」、という指摘が正しく見抜く。
 さらに、「在日米軍専用施設面積の74%が集中する沖縄だけの問上で国民的な議論に結びつかない現状に歯がゆさを感じている。『国民のバックアップを受けて取り組むべきだが、米軍絡みの事件や事故、騒音被害なども全国紙が大きく報じないと事実上『なかったこと』にされ、永田町や霞ケ関は動かない」、という指摘が、日本という国の有り様だと、沖縄タイムスはまとめる。


 以下、沖縄タイムスの引用。







沖縄タイムス-【誤解だらけの沖縄基地】(18)日米地位協定改定、動かぬ日本政府-2016年2月28日 10:49


 「日米地位協定が諸悪の根源という感じさえする」

 2012年10月、県内で米兵2人が集団強姦(ごうかん)致傷で逮捕された事件を受け、当時の仲井真弘多知事は、米軍関係者に特権を与えている地位協定が、事件・事故を引き起こす要因ではないか、との見解を示した。

 そして「運用改善だけでは無理だ」と、改定に取り組むよう日本政府に注文を付けた。
 沖縄県はあらゆる機会を通じて、地位協定の抜本的な見直しを求めてきたが、締結から56年間、一度も改定されていない。

 在日米軍基地を抱える14都道県の知事でつくる渉外知事会、日本労働組合総連合会(連合)、日本弁護士連合会などが独自の改定案を作成するなど機運の醸成を図ったものの、実現には至っていない。

 外務省は「他国の地位協定と比べ、不平等とは思えない。見直しすれば他国でも改定要求が出てくる」と説明する。多くの国と同様の協定を結ぶ米側の事情にも配慮し、条文を書き換えたり、付け加えたりするのではなく、今のままで運用を改善することが合理的な対応という考えだ。

 しかし、同じ敗戦国のドイツでは3度、北朝鮮と休戦状態の韓国では2度、地位協定改定を重ねている。

 例えば、ドイツのボン補足協定は1993年の改定で、提供施設や区域の内部でも原則国内法が適用されるようになった。施設や区域外で訓練する場合にはドイツ当局の同意が必要と定めている。

 韓米地位協定は2001年の改定で、殺人や強姦など12種の犯罪で、米軍容疑者の身柄引き渡し時期を「裁判が終結した時点」から「起訴の時点」に早めた。また、環境条項も新設した。特に00年2月に米兵が首都ソウルで韓国人女性を殺害する事件が発生し、国民の反米感情が噴出したことが改定につながったという見方が広まっている。

 各国で歴史的な経緯や同盟の目的に違いがあり、日米地位協定の内容と単純に比べることはできないが、いずれにしてもドイツ、韓国の国民、政府が問題意識を持って、主権回復に取り組んだ成果と言える。

 一方で、日本はどうだろうか。

 航空機騒音の被害は神奈川や鳥取でも顕著で、大分や北海道でも実弾射撃訓練が実施されるなど、沖縄以外でも米軍の影響を受けているが、全国的な「問題」という認識は低い。

 地位協定に詳しい沖縄国際大学の前泊博盛教授は「在日米軍専用施設面積の74%が集中する沖縄だけの問題に矮小(わいしょう)化されている」と指摘する。

 その上で国民的な議論に結びつかない現状に歯がゆさを感じている。「国民のバックアップを受けて取り組むべきだが、米軍絡みの事件や事故、騒音被害なども全国紙が大きく報じないと事実上『なかったこと』にされ、永田町や霞ケ関は動かない」(「沖縄基地」取材班)


by asyagi-df-2014 | 2016-03-03 06:12 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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