原発問題-九州電力は、川内原発の免震重要棟の新設計画を撤回。
2016年 01月 07日
九州電力が川内原発で免震重要棟の新設計画を撤回した問題について、東京新聞は2015年12月26日、「九州電力は八月に再稼働した川内(せんだい)原発(鹿児島県)をめぐり、事故が起きた際に対策所を置くとしていた免震重要棟の新設計画を撤回した。川内原発の免震棟は原子力規制委員会の審査でも設置が前提とされていたが、対策所の広さが三分の一以下の暫定施設を使い続けるとしている。」、と報じた。
また、詳細について、「九電が当初示していた計画では、川内原発の免震棟は地上三階建てで、延べ床面積約六千六百平方メートル、二階部分に広さ約六百二十平方メートルの対策所を置くことになっていた。しかし建設に時間がかかるため、再稼働を急ぐ九電は免震棟ができるまでの措置として平屋建ての暫定施設を新設。施設内の対策所は約百七十平方メートルしかない。九電は免震棟の新設を撤回する代わりに、暫定施設の近くに地上二階地下二階建ての「耐震支援棟」を設置し、医務室や宿泊室などを置くとしている。ただ広さや収容人数などが未定な上、事故時に建物間を移動することになり作業員が無用な被ばくをする恐れも生じる。規制委幹部は『免震棟と比べて安全性が落ちるのであれば認められない』との姿勢を示している。」、と伝えた。
あわせて、原子力規制委員会の新規制基準作成に携わった勝田忠広明治大准教授(原子力政策)の「安全対策の内容を再稼働後に変更するのは重大で、このタイミングの方針転換は『再稼働してしまえばどうにでもなる』という姿勢の表れではないかとの疑念が浮かぶ。九州電力は規制委の審査会合のような透明性がある場で説明する必要がある。最近、テロ対策施設の設置期限を緩和するなど、規制委の電力側への配慮も目立つ。ここで規制委が厳しくチェックしなければ、福島第一原発事故以前のように、なし崩し的に規制が機能しなくなるかもしれない。」、との話を掲載した。
このことに関連した原子力規制委員会の動きについて、西日本新聞は2016年1月6日、「原子力規制委員会の田中俊一委員長は6日の記者会見で『設置を前提に再稼働の許可を得ている』と述べ、九電に経緯の説明を求める考えを示した。」、と伝えた。
原子力姿勢委員会は、「設置を前提に再稼働の許可を得ている」以上、「再稼働してしまえばどうにでもなる」という指摘(事実)を真摯に受けとめなければならない。
私たちは、「福島第一原発事故以前のように、なし崩し的に規制が機能しなくなるかもしれない」という状況を作らせてはいけない。
以下、東京新聞及び西日本新聞の引用。
東京新聞-九電、免震棟新設を撤回 川内原発 再稼働の前提ほご-2015年12月26日
九州電力は八月に再稼働した川内(せんだい)原発(鹿児島県)をめぐり、事故が起きた際に対策所を置くとしていた免震重要棟の新設計画を撤回した。川内原発の免震棟は原子力規制委員会の審査でも設置が前提とされていたが、対策所の広さが三分の一以下の暫定施設を使い続けるとしている。
九電は「方針変更は総合的に判断した。費用面も全く無関係ではない」としている。規制委幹部は「一度設置すると約束したものをやめるのならば説明が必要だ」として、九電に経緯や機能の説明を求める方針だ。
九電が当初示していた計画では、川内原発の免震棟は地上三階建てで、延べ床面積約六千六百平方メートル、二階部分に広さ約六百二十平方メートルの対策所を置くことになっていた。
しかし建設に時間がかかるため、再稼働を急ぐ九電は免震棟ができるまでの措置として平屋建ての暫定施設を新設。施設内の対策所は約百七十平方メートルしかない。
九電は免震棟の新設を撤回する代わりに、暫定施設の近くに地上二階地下二階建ての「耐震支援棟」を設置し、医務室や宿泊室などを置くとしている。
ただ広さや収容人数などが未定な上、事故時に建物間を移動することになり作業員が無用な被ばくをする恐れも生じる。規制委幹部は「免震棟と比べて安全性が落ちるのであれば認められない」との姿勢を示している。
◆「再稼働すればどうにでも」疑念浮かぶ
原子力規制委員会の新規制基準作成に携わった勝田忠広明治大准教授(原子力政策)の話 安全対策の内容を再稼働後に変更するのは重大で、このタイミングの方針転換は「再稼働してしまえばどうにでもなる」という姿勢の表れではないかとの疑念が浮かぶ。九州電力は規制委の審査会合のような透明性がある場で説明する必要がある。最近、テロ対策施設の設置期限を緩和するなど、規制委の電力側への配慮も目立つ。ここで規制委が厳しくチェックしなければ、福島第一原発事故以前のように、なし崩し的に規制が機能しなくなるかもしれない。
<免震重要棟> 2007年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発の事務棟が使えなくなった教訓から東京電力が所有する原発に設置し、福島第一原発事故では対応拠点として極めて重要な役割を果たした。免震装置で地震の揺れを大幅に低減する構造で、自家発電機や通信設備、被ばく対策設備のほか、休憩施設や物資置き場も備える。原発の新規制基準では義務付けられていないが、ほとんどの原発で設置が進んでいる。
西日本新聞- 川内原発の免震棟撤回で説明要請へ-2016年01月06日 18時43分
九州電力が川内原発で免震重要棟の新設計画を撤回した問題で、原子力規制委員会の田中俊一委員長は6日の記者会見で「設置を前提に再稼働の許可を得ている」と述べ、九電に経緯の説明を求める考えを示した。