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原発問題-伊方原発避難訓練、「限られた人と決められた流れに沿った訓練にどこまで実効性があるのだろうか」。

 四国電力伊方原発の過酷事故を想定した国の原子力総合防災訓練について、朝日新聞は2015年11月9日、「四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の過酷事故を想定した国の原子力総合防災訓練が8、9日にあった。政府がお墨付きを与えた避難計画が初めて検証されたが、自然災害が複数同時に起きるような場合は想定せず、悪天候でヘリコプターが使えない場面もあった。課題を残したまま、年明け以降に再稼働が迫る。地震で原子炉を冷やす手段が失われ、約1万人が即時避難の対象になったとの想定で、約1万5千人が参加した。ただ大半は自宅や学校、職場にとどまり、実際に避難したのは約300人。原発は佐田岬半島の付け根にあり、先端部の最大5千人が大分県などに船で避難するが、全国初の県外への海路避難訓練の参加者も約70人にとどまった。」、と報じた。
 朝日新聞は、この防災訓練での「大分市に向かう民間フェリーに乗った農業平尾長一さん(73)は『今日は船が来てくれたが、万が一の事故の時には津波などで港が壊れるかもしれない』と不安がる。今回の訓練では、津波や台風などとの複合災害や避難路の渋滞は想定していない。地元の消防団員、浜西貴陽さん(35)は『限られた人と決められた流れに沿った訓練にどこまで実効性があるのだろうか』と話した。」、との住民の声を伝えた。
 また、「今回の訓練は、国が関与して作った避難計画に基づいて初めて実施された。ただ、住民避難の責任を最終的にだれが負うのかは、あいまいなままだ。」「安倍晋三首相は先月、伊方の避難計画を『了承』したが、法に基づく手続きではなく、国の役割はあくまで『支援』にとどまる。原子力規制委員会が計画の実効性を審査する仕組みもない。」、と朝日新聞は、指摘している。


 朝日新聞は、2015年10月27日に、「伊方原発、事故起きれば孤立の恐れ 不安募らせる住民」との記事で、住民の不安の声を次のように伝えていた。

(愛媛県側から)
①「原発事故を考えると、あきらめというか、自分たちではどうすることもできないのが現実だと思っている」。佐田岬半島を貫く国道197号。「横風注意」の標識を見ながら車で走ると原発の西側にある海沿いの集落に着く。そこに住む40代の女性はそう嘆く。
②避難の課題が残る中での再稼働同意に「町や県、国が、私たちの置かれた状況を理解しているとは思えない」
③ただ、八島は高齢化と過疎化が進み、高齢化率は96・42%に上る。亀田さんは「自分たちも年をとっており、(港のある)浜まで行くのも楽ではない。避難に不安はある」とも話す。
(大分県側から)
④伊方町と大分市佐賀関を運航する「国道九四フェリー」(大分市)は、避難者の輸送を愛媛・大分両県から求められている。芦田幸人総務部長は「津波で船や港が被災し、船が使えない場合もあるのでは」と心配する。両県とは協力内容の詳細を協議中で、まだ協定を結んでいないという。「公共交通機関の使命は果たしたいが、具体的には何も決まっていない」
⑤佐賀関に上陸した避難者を、大分県は民間バスで内陸の避難所に運ぶことを想定している。だが、県バス協会も両県と協定を結んでいない。担当者は「ルールがなければ運転手も不安だ。協力を得られないこともある。責任の所在もあいまい」と不安を隠さない。
⑥大分県の受け入れ姿勢に対し、佐賀関半島の住民も疑問を抱く。幼い子どもを2人抱える主婦(28)は「被害があれば自分や家族のことを考えるのが優先。助けようとは思うけど、人のことを考える余裕はありません」と話す。漁師の紀野太亮さん(61)は、佐田岬と佐賀関の間の豊予海峡について「荒天の日は漁船では渡れない。原発事故と台風や津波が重なれば、フェリーで渡るのも難しいのでは。どうやって人を運ぶのか」と首をかしげる。そのうえで、「事故のときだけ避難者を受け入れて、と言われても困る。再稼働は愛媛県だけの話ではない。大分県には反対してもらいたい」と話す
⑦半島近くの海域は国内有数の漁場だ。一本釣りのマアジとマサバはブランド魚「関あじ・関さば」として知られる。その海で30年以上、アジやサバ、ブリを釣ってきた。「何かあれば風評被害で買ってもらえず、生活が成り立たなくなる」

以下、朝日新聞の引用。







朝日新聞-伊方原発避難訓練、ヘリ使えぬ場面も 課題残し再稼働へ-2015年11月9日23時02分


 四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の過酷事故を想定した国の原子力総合防災訓練が8、9日にあった。政府がお墨付きを与えた避難計画が初めて検証されたが、自然災害が複数同時に起きるような場合は想定せず、悪天候でヘリコプターが使えない場面もあった。課題を残したまま、年明け以降に再稼働が迫る。

 地震で原子炉を冷やす手段が失われ、約1万人が即時避難の対象になったとの想定で、約1万5千人が参加した。ただ大半は自宅や学校、職場にとどまり、実際に避難したのは約300人。原発は佐田岬半島の付け根にあり、先端部の最大5千人が大分県などに船で避難するが、全国初の県外への海路避難訓練の参加者も約70人にとどまった。

 大分市に向かう民間フェリーに乗った農業平尾長一さん(73)は「今日は船が来てくれたが、万が一の事故の時には津波などで港が壊れるかもしれない」と不安がる。今回の訓練では、津波や台風などとの複合災害や避難路の渋滞は想定していない。地元の消防団員、浜西貴陽さん(35)は「限られた人と決められた流れに沿った訓練にどこまで実効性があるのだろうか」と話した。

 ログイン前の続き訓練では、視界不良でヘリコプターが使えなくなる事態も起きた。現地対策本部(愛媛県西予市)のトップである井上信治・内閣府副大臣は8日昼、予定を変え松山空港(松山市)からバスで現地に向かい、到着が1時間遅れた。9日は、原発内のけが人を陸上自衛隊ヘリで搬送する訓練が一部中止となった。

 船舶やヘリでの避難は、泊(北海道)や女川(宮城県)、玄海(佐賀県)などの原発でも想定されている。複合災害や悪天候の際に計画通り住民を避難させることができるかは共通の課題だ。昨年の志賀原発(石川県)での国の総合防災訓練でも、悪天候で船舶避難が中止となっている。

 今回の訓練は、国が関与して作った避難計画に基づいて初めて実施された。ただ、住民避難の責任を最終的にだれが負うのかは、あいまいなままだ。

 「自治体任せ」との批判を受け、政府は昨年、内閣府に原子力防災の部署を新設。全国13の原発立地地域すべてで避難計画作りの支援を始めた。愛媛県にも6月から職員5人を派遣し、自治体間やバス業界などとの調整役を担った。安倍晋三首相は先月、伊方の避難計画を「了承」したが、法に基づく手続きではなく、国の役割はあくまで「支援」にとどまる。原子力規制委員会が計画の実効性を審査する仕組みもない。


日新聞-伊方原発、事故起きれば孤立の恐れ 不安募らせる住民-2015年10月27日

 地元同意の手続きが終わった四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は、東西約50キロの佐田岬半島の付け根近くにある。再稼働が近づくなか、重大事故が起きれば陸路の避難が難しくなる半島の住民は不安を募らせる。海路で避難する大分県では、受け入れの不備を指摘する声が上がる。

 「原発事故を考えると、あきらめというか、自分たちではどうすることもできないのが現実だと思っている」。佐田岬半島を貫く国道197号。「横風注意」の標識を見ながら車で走ると原発の西側にある海沿いの集落に着く。そこに住む40代の女性はそう嘆く。

 港に通じる道路は急な山の斜面に沿う県道のみ。避難が必要となる過酷事故が原発で発生し、地震や津波があれば、道路が寸断されるかも知れない。国道が使えない場合、海路で避難することになる。避難の課題が残る中での再稼働同意に「町や県、国が、私たちの置かれた状況を理解しているとは思えない」

 伊方町から海路で最大5千人の避難者を受け入れることで愛媛県と合意している大分県では、困惑の声も上がる。
■整わぬ受け入れ態勢
 伊方町と大分市佐賀関を運航する「国道九四フェリー」(大分市)は、避難者の輸送を愛媛・大分両県から求められている。芦田幸人総務部長は「津波で船や港が被災し、船が使えない場合もあるのでは」と心配する。両県とは協力内容の詳細を協議中で、まだ協定を結んでいないという。「公共交通機関の使命は果たしたいが、具体的には何も決まっていない」

 佐賀関に上陸した避難者を、大分県は民間バスで内陸の避難所に運ぶことを想定している。だが、県バス協会も両県と協定を結んでいない。担当者は「ルールがなければ運転手も不安だ。協力を得られないこともある。責任の所在もあいまい」と不安を隠さない。

 大分県の受け入れ姿勢に対し、佐賀関半島の住民も疑問を抱く。幼い子どもを2人抱える主婦(28)は「被害があれば自分や家族のことを考えるのが優先。助けようとは思うけど、人のことを考える余裕はありません」と話す。

 漁師の紀野太亮さん(61)は、佐田岬と佐賀関の間の豊予海峡について「荒天の日は漁船では渡れない。原発事故と台風や津波が重なれば、フェリーで渡るのも難しいのでは。どうやって人を運ぶのか」と首をかしげる。

 そのうえで、「事故のときだけ避難者を受け入れて、と言われても困る。再稼働は愛媛県だけの話ではない。大分県には反対してもらいたい」と話す。

 半島近くの海域は国内有数の漁場だ。一本釣りのマアジとマサバはブランド魚「関あじ・関さば」として知られる。その海で30年以上、アジやサバ、ブリを釣ってきた。「何かあれば風評被害で買ってもらえず、生活が成り立たなくなる」(枝松佑樹、稲垣千駿、飯島健太)
■30キロ圏内の島、進む高齢化
 島の一部が九州・山口で唯一、伊方原発から30キロ圏に入る山口県上関町の八島。ここでは21世帯28人が暮らす。夫と2人で島に暮らす亀田スミ子さん(85)は「エネルギーがなければ人間は生きていけないので、再稼働が望ましい」と理解を示す。

 ただ、八島は高齢化と過疎化が進み、高齢化率は96・42%に上る。亀田さんは「自分たちも年をとっており、(港のある)浜まで行くのも楽ではない。避難に不安はある」とも話す。

 同県の村岡嗣政知事は26日、「避難計画作りや訓練をしっかりやって万全を期したい」と記者団に語った。(徳山徹)


by asyagi-df-2014 | 2015-11-10 13:12 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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