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沖縄からー米軍普天間飛行場の騒音被害の状況は「違法な権利侵害」

 2015年6月11日、米軍機の騒音によって静かな暮らしを妨害され精神的な苦痛を受けたとして周辺住民約2200人が、国に約10億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、那覇地裁沖縄支部であった。
 この判決について、琉球新報は「国に約7億5400万円の支払いを命じた。『騒音被害は深刻かつ広範だ。受忍しなければならない程度とは評価できない』と明言している。」と、報じた。

 沖縄タイムスは、「政府の騒音対策の不十分さや根本的解決に向けた取り組みの弱さが、司法によって厳しく指弾されたのである。」と断じている。
さらに、琉球新報は、「嘉手納基地でも3次にわたり爆音訴訟があり、1次、2次では一審と控訴審でそれぞれ賠償が命じられた。1県だけで爆音をめぐる国への賠償命令が7回も下ったのだ。こんな県がどこにあるか。裁判所が賠償を命じるというのは、沖縄の現状が合法の範囲を逸脱すると認めたに等しい。賠償命令が繰り返され、一向に改善されないのなら、違法は常態化するということになる。では、違法状態の原因者である米軍基地を国が撤去しようとせず、違法な飛行を止めようともしない沖縄は、国が違法状態の永続を住民に強制しているということだ。一地域に永続的違法を強制する国が、法治国家と言えるのか。」と、指弾した。

 「 一地域に永続的違法を強制する国が、法治国家と言えるのか。」。
 問題は、このことに尽きる。

 以下、沖縄タイムス及び琉球新報の引用。






沖縄タイムス社説-[普天間騒音訴訟]違法状態を放置するな-2015年6月12日


 住宅密集地にある米軍普天間飛行場の騒音被害の状況は「違法な権利侵害」だと、那覇地裁沖縄支部が認定した。2010年7月に示された第1次普天間爆音訴訟の控訴審判決に続き、司法が再び、騒音状況の違法性を認めたことになる。

 米軍機の騒音によって静かな暮らしを妨害され精神的な苦痛を受けたとして周辺住民約2200人が、国に約10億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、那覇地裁沖縄支部であった。

 判決は「騒音被害は深刻かつ広範にわたる」「公共性があるからといって被害を受忍すべきだとは言えない」と指摘し、「うるささ指数(W値)」75以上の地域の原告に総額約7億5400万円を支払うよう国に命じた。

 ヘリの低周波音による苦痛は、裏付ける証拠がないとして認めなかったものの、騒音による睡眠・学習・テレビ視聴などの妨害や騒音のイライラ感、不快感、墜落の不安などの精神的苦痛を認めた。

 政府の騒音対策の不十分さや根本的解決に向けた取り組みの弱さが、司法によって厳しく指弾されたのである。

 今回の訴訟が第1次、第2次(係争中)普天間爆音訴訟と異なるのは、夜間・早朝の飛行差し止めを求めず、損害賠償だけにとどめた点だ。原告の中には高齢者も多く、訴訟の早期解決を図るために賠償請求訴訟にしたという。

 訴えの内容は異なっても、両訴訟の原告の思いは一つ。普天間飛行場の一日も早い返還である。政府は本気になって違法性解消に取り組まなければならない。
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 政府の決まり文句は「辺野古移設が唯一の選択肢」だという恫(どう)喝にも似た一方的断言と「辺野古移設が実現しなければ普天間が固定化する」という脅し文句である。だが、その主張はすでに破たんしている。

 普天間が固定化するということは、司法が認定した違法状態を放置するということであり、政府がその言葉を口にすること自体、自覚のなさを白状するようなものだ。

 安倍晋三首相は、仲井真弘多前知事に普天間飛行場の「5年以内の運用停止」に努力することを約束した。だが、米軍は終始、「5年以内の運用停止」を否定し、政府も正式な場での要請を行っていない。

 辺野古に新基地を建設し、普天間の機能を移設したあと、普天間を返還するとすれば、完成までの工期からして、もはや「一日も早い危険性除去」を放棄した、と見なさざるを得ない。
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 この問題のそもそもの原点は「沖縄の負担軽減」であり、「地元の頭越しには進めない」というものだった。それが米軍再編によって大きく変わってしまった。

 今や辺野古移設は、米軍にとって、事故のリスクや訓練の制約を解消し、北部への拠点集約化によって「沖縄における米軍のプレゼンスの長期的な持続可能性を強化する」ための措置になった。

 選挙で「辺野古ノー」の圧倒的な民意が示されたことを受けて、一日も早い普天間返還の方策を探るべきだ。


琉球新報社説-普天間騒音訴訟 法治国家と言えるのか-2015年6月12日


 米軍普天間飛行場騒音訴訟の判決で那覇地裁沖縄支部は国に約7億5400万円の支払いを命じた。「騒音被害は深刻かつ広範だ。受忍しなければならない程度とは評価できない」と明言している。
 国の防音対策も飛行場の違法性軽減に影響しないと一蹴した。違法性は明確だ。法治国家であるなら国は飛行停止を求めるべきだ。
 普天間飛行場をめぐっては2002年に第1次爆音訴訟が始まった。08年には一審で国に賠償を命じ、10年の控訴審で賠償は増額された。賠償を命じるのは今回で3回目となる。
 嘉手納基地でも3次にわたり爆音訴訟があり、1次、2次では一審と控訴審でそれぞれ賠償が命じられた。1県だけで爆音をめぐる国への賠償命令が7回も下ったのだ。こんな県がどこにあるか。
 裁判所が賠償を命じるというのは、沖縄の現状が合法の範囲を逸脱すると認めたに等しい。賠償命令が繰り返され、一向に改善されないのなら、違法は常態化するということになる。
 では、違法状態の原因者である米軍基地を国が撤去しようとせず、違法な飛行を止めようともしない沖縄は、国が違法状態の永続を住民に強制しているということだ。一地域に永続的違法を強制する国が、法治国家と言えるのか。
 安倍晋三首相は4月、米議会で、中国の海洋進出をけん制して「広い海を法の支配が貫徹する海に」と演説した。自国で法治を貫徹せずして、よく演説できたものだ。
 在日米軍基地は日米地位協定で米軍の排他的管理権を定めている。基地の使い方について日本政府は一切口出しできないとする、イタリアやドイツならあり得ない屈辱的規定だ。このため国内法は適用されないから、航空法に反する低空飛行が平然と繰り返される。
 それだけではない。地位協定は賠償金の分担を定めているが、爆音訴訟の賠償は米側が拒否している。特権的で不平等な地位協定すら守らせられずして、「法の支配」もあるまい。
 安倍首相は米国で「自由、民主主義、人権などの基本的価値」も強調した。沖縄の自由も民主主義も人権もないがしろにしておいて、矛盾を感じないのだろうか。
 安倍政権は前知事に対し19年2月までの普天間の運用停止を約束した。だが日米首脳会談では交渉どころか、言及すらしていない。無責任国家ここに極まれりである。


by asyagi-df-2014 | 2015-06-12 18:34 | 沖縄から | Comments(0)

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