原発問題から日本の姿を-安全管理への考え方が非常にずさん。作業員や住民の安全を第一に作業をするべきだ
2014年 12月 31日
「福島第一原発のがれき撤去作業中に、放射性物質を含んだ粉じんが飛ばないようにする飛散防止剤をメーカーの推奨する濃度より10倍以上に薄め、散布回数も大幅に減らすよう東京電力が指示していたことが分かった。」
朝日新聞は、2014年12月31日、東電の許されない判断について、報じた。
「8月12日と19日の作業中には放射性物質が飛散して放射能濃度が高くなって構内の警報がなり、作業員計12人に汚染が確認された。19日の放射性物質の放出量は規制庁試算でふだんの6700倍だった。東電は「飛散防止剤の散布不足のために起きた」としている。うち1度は3キロ先で空間線量が上昇しており、東電は「飛散の影響である可能性がある」としている。」という東電の実態。
このことについての、「メーカーの担当者は『100倍希釈では水と同程度の効果しかない。粉じんを防止剤で湿らせている間に作業するのが原則なのに数日以上も放置すれば飛散するのは当然だ』としている。」との事実。
そして、「立命館大学の森裕之教授(公共政策)は『安全管理への考え方が非常にずさん。作業員や住民の安全を第一に作業をするべきだ』としている。」というあたりまえの批判。
この記事の事実を、2014年の総括にしなければならないことが、まさしく今の日本の姿なのである。
変えなければならない。
以下、朝日新聞の引用。
朝日新聞-2014年12月31日
福島第一原発のがれき撤去作業中に、放射性物質を含んだ粉じんが飛ばないようにする飛散防止剤をメーカーの推奨する濃度より10倍以上に薄め、散布回数も大幅に減らすよう東京電力が指示していたことが分かった。指示は2013年夏まで約1年間続いた。原子力規制庁は「この結果、飛散防止効果が落ち、昨夏に放射性物質の飛散が起きたとみられる。安全な使い方をしなければならない」などとして東電に行政指導した。
問題となっているのは2013年夏のがれき撤去作業。飛散防止剤のメーカーによると、防止剤は数時間が経過すると固化するアルカリ性の液体で、主にアスベスト飛散防止に用いられている。除去作業中は原液か、水で10倍まで希釈したものを毎日散布し続けることを推奨している。だが、東電によると、当初は防止剤を4号機の作業で原液や10倍希釈で作業前日と直前に使っていたが、12年8月からの3号機の作業では100倍に希釈し、回数を数日から数週間ごとに減らすよう指示した。飛散問題が起きた13年夏当時は3号機には6月中旬と8月13日の計2回、散布しただけだった。
メーカーの担当者は「100倍希釈では水と同程度の効果しかない。粉じんを防止剤で湿らせている間に作業するのが原則なのに数日以上も放置すれば飛散するのは当然だ」としている。
実際、8月12日と19日の作業中には放射性物質が飛散して放射能濃度が高くなって構内の警報がなり、作業員計12人に汚染が確認された。19日の放射性物質の放出量は規制庁試算でふだんの6700倍だった。東電は「飛散防止剤の散布不足のために起きた」としている。うち1度は3キロ先で空間線量が上昇しており、東電は「飛散の影響である可能性がある」としている。
東電は「防止剤が燃料プールに混入した際にアルカリ度が上がり、機器への影響を懸念した。効果に問題ないと認識していたが、結果的に不十分だった」とし、13年10月から10倍希釈に修正し、毎日作業の前後に散布するよう改めた。100倍希釈にする際、粉じんが固まるかどうかの実験は行ったが、効果が何時間持続するかの実験はしていなかったという。
被災地でアスベストの飛散問題を調査していた立命館大学の森裕之教授(公共政策)は「安全管理への考え方が非常にずさん。作業員や住民の安全を第一に作業をするべきだ」としている。
原子力規制庁東京電力福島第一原子力発電所事故対策室は「当時は飛散防止剤の濃度や頻度までチェックするようになっていなかった。以降は監視を強めている」としている。
(青木美希)