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原発問題-原発は廃炉の時代

 朝日新聞は、廃炉の動きが本格化していると、報じている。
 具体的には、「関電が廃炉を検討している美浜原発1号機は運転開始から43年、2号機は42年を超える。九電は玄海1号機(38年)、中国電は島根1号機(40年)、四国電は伊方1号機(36年)の廃炉の是非を検討中だ。」と、名前が挙がってきている状況だ。
 しかし、そのすべてが、電力会社の自己都合による判断に委ねられている。
 また、「廃炉を着実に進めることで比較的新しい原発の再稼働に理解を得るねらいもある。」と、原発再稼働推進のための戦略と位置づけられている。
 原発問題を成長戦略の中に位置づけてる安部晋三政権には、原発問題については根本的な議論を改めて要求していくしかない。

 以下、朝日新聞の引用。






朝日新聞-廃炉時代、動き本格化 運転40年超 関電、美浜の2基検討-2014年9月6日

 古くなった原発を廃炉にする動きが本格化してきた。関西電力は運転を始めてから40年を超える美浜原発1、2号機の廃炉を検討するほか、九州、中国、四国電力も老朽化した原発について、廃炉も含めて検討している。運転を続けるには巨額の投資が必要になるためだ。原発を減らしていくには円滑な廃炉の仕組みを整えられるかが課題だ。

 関電が廃炉を検討している美浜原発1号機は運転開始から43年、2号機は42年を超える。九電は玄海1号機(38年)、中国電は島根1号機(40年)、四国電は伊方1号機(36年)の廃炉の是非を検討中だ。

 電力各社は、原発を60年程度動かすことを想定してきた。だが、政府は東京電力福島第一原発事故を受けて、昨年施行した「改正原子炉等規制法」で、原発の運転期間を「原則40年」と定めた。最長20年間の延長申請はできるが、延長を認めてもらうには、新たな基準に基づく地震や火災などの追加対策で、巨額の設備投資が必要になる。

 2016年7月時点で40年を超える原発は全国で7基。延長の申請期限が来年7月のため、各社は廃炉の検討を急ぐ考えだ。原発1基を廃炉にするには約500億円かかる見込み。経済産業省は廃炉に伴う電力会社の負担を軽くする支援措置のほか、各社に廃炉にするかどうかの計画を年内に提出させることを検討している。ただ、廃炉で出る放射性廃棄物の捨てる場所がないなど課題もある。

 一方で、政府は安全性を確認した原発は再稼働させる方針だ。九電の川内(せんだい)原発は、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査書が来週にも正式決定する。廃炉を着実に進めることで比較的新しい原発の再稼働に理解を得るねらいもある。

 事故を起こした東京電力の福島第一原発は1~6号機すべてを廃炉にすることが決まっている。地元自治体は福島第二原発の廃炉も求めている。



朝日新聞- 老朽原発、投資見合わず 新安全対策に数千億円-2014年9月6日

 関西電力を皮切りに、古い原発を抱える電力各社が本格的に廃炉を検討する時代が始まった。だが、廃炉にも多額のお金がかかるほか、放射性廃棄物をどのような方法でどこに捨てるかも決まっていない。国は支援に乗り出したが、円滑に進めるには課題もある。
 ■関電の業績低迷/美浜は低出力
 「多額の費用をかけて再稼働しても、長く動かせないなら効率は良くない。いずれ廃炉になることは覚悟していた」。5日、美浜原発がある福井県美浜町の山口治太郎町長は、朝日新聞の取材にそう語った。

 関電は2011年の東日本大震災前、美浜1、2号機を40年を超えて使うと町に伝えていた。1号機の建て替えに向け、地盤の調査も始めていた。だが、震災で事情は一変。廃炉も検討せざるを得ない状況に追い込まれている。

 廃炉か、存続か。関電の経営陣が頭を悩ませる理由の一つが、改善のきざしが見えない業績だ。

 昨年4~5月に抜本的な値上げに踏み切ったにもかかわらず、14年3月期決算で3年連続となる974億円の純損失を計上。経営の安定度を示す自己資本比率は3年前の24・8%から15・3%に減った。幹部は「今年度も、かなり厳しい状況が続く」と話す。

 古くても原発は、できる限り使いたい――。それが、本音だ。「安全のために設備を取り換えてきた。それを使わなければ大きな損になる」。関電の関係者は、そう言う。

 だが、国は震災後、原発の運転は「原則40年」と決めた。例外として1回限り最長20年の延長が認められるが、ハードルは高い。

 まず、来年7月までに設備の劣化状況を調べる特別点検を終え、原子力規制委員会に出す必要がある。関電は「数カ月はかかる」とみるが手をつけていない。間に合わなければ廃炉だ。

 特別点検を終えても、新規制基準への適合審査がある。新基準は美浜1、2号にはない、燃えにくい電源ケーブルの採用などを求めており、対応には数千億円かかるとの見方もある。

 一方、美浜1、2号機の出力は計84万キロワットと、この後につくられた原発1基分にも満たず、利益への貢献度は小さい。

 (西村宏治)
 ■廃炉の一方、再稼働推進も
 廃炉の検討をしているのは、関電だけではない。

 来年10月で運転開始から40年を迎える佐賀県の玄海原発1号機について、九州電力の幹部は5日、「現在、社内で検討している。廃炉も検討の対象だ」といい、検討を進めるという。

 今年2月の記者会見で廃炉判断の時期を問われた九電の瓜生道明社長は「今年秋口までにはしっかり詰めていく」と語ったが、6月の会見では一転、その時期を「来年4~6月」に先送りしていた。だが、国が年内にも廃炉についての計画提出を求める可能性が出てきたため、検討を急ぐ必要が出ている。

 すでに、中国電力の苅田知英社長も3月の記者会見で、島根原発1号機について「廃炉にするという選択肢もある」と述べ、廃炉の是非を検討している。四国電力は、伊方原発1号機を延長したい考えだが、古いケーブルを新しくする必要があり、多くの追加投資がかかる。このため、運転を続けるか、廃炉にするかは、費用対効果を「トータルで判断する」(千葉昭社長)としている。

 各社が廃炉の検討を本格化させるなか、政府も、こうした動きの支援に乗り出す考えだ。

 「円滑な廃炉を進めること、安全性が確認された原発の再稼働を進めることをあわせてしっかり推進したい」。就任したばかりの小渕優子経済産業相は5日の記者会見で、そう述べた。

 政府は4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づける一方、原発の比率を「可能な限り低減させる」と決めている。着実に廃炉を進めることで、いまある原発を減らしていく姿勢を示し、原発の再稼働に対する世論の反発を抑えたい、というねらいもある。
 (平林大輔、川田俊男)
 ■巨額の損失/放射性廃棄物/地元調整 廃炉へ課題
 廃炉を進めるにも、課題は山積している。

 経済産業省は昨年、電力会社が廃炉を決めても巨額の損失が出ないように、会計ルールを見直した。

 原子炉格納容器のような廃炉に必要な施設や設備は、資産としての価値が残っているとみなして、その分は一度に損失として計上せず、何年もかけて分割して処理できるようにした。

 それでも、廃炉を決めた年度に1基あたり数百億円の特別損失が出る。核燃料や発電機のタービンなど、発電のみに使う設備は資産価値がゼロになり、特別損失として計上する必要があるからだ。経産省は、これらの設備も分割処理できるよう検討を始めた。

 解体後の施設の放射性廃棄物を、どこに処分するかも決まっていない。なかでも、制御棒や原子炉内の部品など、放射能レベルが高い廃棄物を処分するには、300年ほど長期管理する必要がある。原子力規制委員会による新しい規制基準をつくらなければならず、作業は進んでいない。

 廃炉には地元との調整も必要となり、電力会社の判断だけでは決められないという事情もある。

 原発を抱える自治体の多くは、廃炉の代わりに原発を建て替えて原発産業を守ることで、雇用をつなぎとめたいとの意向が強い。しかし、政府内で、原発比率をどこまで引き下げるのかを具体的に決める議論はこれからで、原発の建て替えや新増設が認められるかの見通しも立っていない。

 経産省は年内にも、老朽化した原発をもつ電力各社に、廃炉計画を提出させることを検討している。ただ、電力業界は再稼働が見通せないなかで廃炉だけが進むことを警戒する。電力関係者は「廃炉は高度な経営判断で、簡単に計画はつくれない」と語った。
 (大津智義)


by asyagi-df-2014 | 2014-09-08 05:36 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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