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原発問題-避難計画(交通手段等)に不安

 川内原発の再稼働が、安部晋三政権にとって最優先課題の一つになっている。
 しかし、過酷な原発事故に対する「適正」な避難計画は、一向に作成される様子はない。
 もちろん、原発の存在そのものが問題である以上、このことの解決策は示しようもない。
 とすると、安部晋三政権は、再稼働に踏み切る前に、この朝日新聞の記事が指摘する問題に、まずは明確な回答を持つ必要がある。
避難のための交通手段について、問題になるのは、次のような疑問である。

「原発で重大事故が起きた際、住民の避難に使われる民間のバスが大幅に足りない恐れがある。再稼働に向けた手続きが進む九州電力川内原発(鹿児島県)の10キロ圏内ですぐに用意できるのは必要数の約4分の1。県とバス協会との協定締結も具体化していない。」

「運転手が被曝(ひばく)する可能性も懸念されている。」

 以下、朝日新聞の引用。






朝日新聞-原発事故で避難、バスがない? 川内は必要数の4分の1-2014年8月31日


避難に必要なバス、確保できる?
 原発で重大事故が起きた際、住民の避難に使われる民間のバスが大幅に足りない恐れがある。再稼働に向けた手続きが進む九州電力川内原発(鹿児島県)の10キロ圏内ですぐに用意できるのは必要数の約4分の1。県とバス協会との協定締結も具体化していない。運転手が被曝(ひばく)する可能性も懸念されている。
■運転手の被曝も懸念
 川内原発の30キロ圏内の自治体の避難計画では、自家用車がない住民や要援護者は、主にバスで避難する。重大事故が起これば県が県バス協会と結んだ協定に基づいて、派遣を要請する。

 県が原発が立地する薩摩川内市と隣のいちき串木野市に、10キロ圏内の住民の避難に必要なバスの台数を尋ねたところ、30~50人乗りで計415台程度だった。両市とも市所有のバスは数台しかない。

 県バス協会加盟の約80社のバスは計約2200台(昨年末時点)だが、多くは日常的に運行する路線バスで避難に使いにくい。貸し切りバスは約800台あるが、原発周辺で用意できるのは約100台という。10~30キロ圏内のほかの7市町で調べれば、必要台数はさらに増える。だが、県はその予定はないという。担当者は「5~30キロ圏の住民はまず屋内退避するため、全住民が一斉に避難する事態は考えづらい」と理由を説明する。

 県は県議会で「県が今後県バス協会と協定を結ぶ」と答弁、薩摩川内市での住民への避難計画説明会でも市が同様の説明をした。だが、締結に向けた具体的な調整は進んでいない。

 バス不足と並ぶ懸案が運転手の被曝リスクだ。国はICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に基づき、運転手ら一般人の被曝限度を平常時は年1ミリシーベルトとしているが、限度超過時の対策は示されていない。甲状腺被曝を防ぐ安定ヨウ素剤を服用する際のルールも決まっていない。私鉄鹿児島交通労働組合の森田周一委員長は「安全性を保証できなければ運転手を出すわけにはいかない。協定を結んでも最終的に判断するのはバス会社だ」。

 県バス協会の川原徹郎専務理事は「協定を結ぶには加盟各社の了解が重要」と語る。県の担当者は「必要台数などの把握を進めているところで、今のところ締結時期は未定」と話す。
■立地自治体、悩みは共通
 ほかの原発を抱える自治体も悩みは同じだ。

 「避難にバスが1千台以上必要だが、鳥取県内では500台しか用意できない」。7月に佐賀県であった全国知事会議で鳥取県の平井伸治知事は訴えた。

 島根原発から30キロ圏内の島根、鳥取両県の住民は約47万人。島根県でも避難に必要なバスは県内だけで5千台を超えるとの試算もあるが、同県内で使えるバスは500台ほどで、両県とも圧倒的に不足している。島根県の担当者は「広域的な応援が必要で、県内だけではどうしようもない。国にバスの業界団体などに働きかけてくれるよう求めている」。

 運転手の被曝リスクを巡っても、新潟県の泉田裕彦知事が29日の会見で、「放射線量が高い地域に民間の運転手を入れられるのか」と疑問を呈した。

 東京電力福島第一原発事故で、バス会社が救助要請を受けなかった例は「承知していない」(福島県原子力安全対策課)というが、物資を運ぶ大型車の運転手が放射線量の高い地域に入るのを拒んだケースはあったという。

 新潟県原子力安全対策課の担当者は「避難指示が出た地域で民間人が被曝したら会社が法律違反に問われかねない。バス協会と協定を結んでも、避難計画の実効性を確保するうえで意味はない」と話す。(東山正宜、小池寛木)


by asyagi-df-2014 | 2014-09-01 12:33 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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