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集団的自衛権を考える-04


集団的自衛権を考える-04

 「安部晋三首相は、15日の会見では、言いたいことを言えなかったかもしれないが、すでに決めていた『いいたいこと』については、強引に推し進めることにしている」と前に書いたが、6月12日の朝日新聞の次の記事は、まさしくこのことを説明するものになっている。
以下、引用。


 安倍晋三首相は11日、今国会初の党首討論で、他国を武力で守る集団的自衛権を使えるようにする憲法解釈の変更について「政府として立場を決定し閣議決定する」と明言した。ただ、なぜ憲法解釈の変更で使えるようにするかには正面から答えなかった。一方、公明党は閣議決定に応じない考えを崩していない。
 民主党の海江田万里代表は、憲法解釈の変更で行使を認めることは「許されない」と批判。憲法改正ではなく解釈変更で認める理由をただした。
 首相は朝鮮半島有事を念頭に日本人を乗せた米艦艇を自衛隊が守る事例を挙げ、「今までの解釈では守れない」と指摘。「憲法の前文、13条に平和生存権があり、国民の幸福追求権がある。いま挙げた事例で、憲法が国民の命を守る責任を果たさなくていいと言っているとは、私にはどうしても思えない」と反論した。しかし、憲法9条には一切触れず、なぜ9条の解釈変更が必要で、どのように変えるのかも説明しなかった。
 海江田氏はまた、中東のペルシャ湾・ホルムズ海峡での機雷除去を挙げ、「戦闘中で、自衛隊員の命が失われる可能性がある。そういう時も首相は命を捨てろというのか」と質問。首相は「確かに機雷の掃海は危険な任務だ」と認めた。一方で「ホルムズ海峡で機雷が敷設され、封鎖された際、経済パニックが起きる。日本は決定的にその被害を受ける」と指摘。日本が責任を果たす必要があるとの考えを示した。
 首相は「みんなの党や(日本)維新の会の諸君は、あえてしっかりと国民の皆様に(行使容認の)立場を表明している」とも述べた。(鶴岡正寛)
 ■公明難色「論点多く残っている」
 安倍首相が改めて閣議決定を明言したが、公明党は「まだ議論すべき点は多く残されている」と難色を示す。「22日の今国会会期末までの閣議決定」に向け、攻防が激しくなっている。
 自民党の高村正彦副総裁と公明党の北側一雄副代表は11日朝、東京都内で秘密裏に会談した。高村氏は閣議決定文案を示しつつ「13日の与党協議でこの原案を配り、検討に入ることを認めてほしい」と求めたが、北側氏は「集団的自衛権は、まだ党内議論にも入っておらず難しい」と拒否した。
 別の場所でも自公両党の幹事長・国会対策委員長が意見交換しており、自民党の石破茂幹事長は記者団に「公明党は(閣議決定について)『難しい』とは言うが『できない』とは言っていない」と合意への期待感を示した。政府関係者は「与党幹部には12日に閣議決定案を説明する。もう妥協の余地はない。あとは公明党が集団的自衛権を認めるか、認めないかだ」と語り、公明に合意へ決断を迫る構えだ。飯島勲内閣官房参与も10日、米国での講演で、公明党と支持母体・創価学会との「政教分離」の関係に触れ、公明党に揺さぶりをかけた。
 両党間で、こうした水面下の動きが先行する一方、最も立場の開きがあるとされる両党首の会談はまだ行われていない。
 党首討論では、公明の山口那津男代表は与党党首のため質問せず、首相の左後方席で議論を見守った。集団的自衛権の行使に極めて慎重な山口氏は硬い表情のまま首相の発言にペンを走らせ、周囲の自民党議員が首相に拍手しても同調しなかった。終了後、記者団に感想を聞かれると、「全体的な印象としてはかみ合っていない」と物足りなさすら口にした。首相も討論では公明との協議に触れず、両党首の溝の深さが際だった。(冨名腰隆、岡村夏樹)


 では、これからどうするか。
 ここでは、2014年6月11日の毎日新聞の社説を-集団的自衛権、理屈通らぬ閣議決定案-を引用する。


 政府・自民党は、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈変更の閣議決定の原案を、今月13日にも与党協議で示し、今国会中の閣議決定を目指す方針を明確にした。
 これまでに明らかになった原案の内容をみると、歴代政権が過去40年以上、積み重ねてきた憲法解釈の一部をつまみ食いして都合良く解釈し直しており、理屈が通っていない。
 原案は、1972年に田中内閣が参院決算委員会に示した政府見解を根拠にしている。
 政府見解は「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置」を認めたうえで、「その措置は必要最小限度の範囲にとどまるべき」だとして、「集団的自衛権の行使は憲法上、許されない」と結論づけた。
 原案は、この見解が認める「自衛のための必要最小限度」の武力行使の範囲に、限定的な集団的自衛権の行使が含まれると憲法解釈を変更するのが柱だ。政府見解を根拠にしながら、結論だけを全く逆のものにひっくり返している。
 これほどの安全保障政策の大転換をするなら、憲法改正を国民に問うしかないと私たちは主張してきた。だが政府・自民党は、憲法の解釈変更で突破する道を選択し、その根拠を探してきた。
 最初は、米軍駐留の合憲性などが争われた59年の砂川事件最高裁判決を根拠に「最高裁は個別的、集団的の区別をせずに必要最小限度の自衛権を認めている」と主張した。だが、公明党などから「判決は個別的自衛権を認めたものだ」と批判を受けて、代わりに持ってきたのが72年の政府見解だ。
 政府高官はこう解説する。
 政府見解が展開した基本論理は正しい。ただ「集団的自衛権の行使は許されない」という結論が間違っていた。だから「行使は許される」という結論を「当てはめる」−−。
 こんな説明に納得できる人が果たしてどれほどいるのだろうか。
 公明党は、閣議決定の原案の協議に入ることに難色を示している。政府・自民党は、公明党の理解を得るため、原案の表現を「集団的自衛権を行使するための法整備について今後検討する」などぼかすことも検討しているようだが、実質的には憲法解釈変更を閣議決定するのと変わらない。
 10日の与党協議では、政府が集団的自衛権の行使容認が必要とする8事例について、初めて本格的議論が行われた。個別的自衛権や警察権で対応できるという公明党と、集団的自衛権でなければ対応できないという自民党の主張は平行線だった。議論は始まったばかりだ。こんな生煮え状態で閣議決定すべきでない。


 どんなに考えても、閣議決定に正当性はない。
 では、どうすれば。


by asyagi-df-2014 | 2014-06-13 18:00 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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