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高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の地層処分は可能なのか。

 本当に、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の地層処分は可能なのか。

 このことに関して、東京新聞は2024年2月15日、「核のごみ最終処分は『国の責任』っていうけど…大丈夫? 文献調査が進む北海道の町村で起きていること」(宮畑譲、西田直晃)、と次のように報じた。
1.原発活用に前のめりになる岸田文雄政権。今度は使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分に向け、国の責任で取り組む方針をまとめた。語感の頼もしさと裏腹に不信が募る。東京電力福島第一原発事故の対応でも政府は「国の責任」を強調してきたが、独断専行に傾く局面が目に付いたからだ。最終処分を巡って今後、どんな展開が待ち受けるのか。文献調査が進む北海道寿都町すっつちょうや神恵内村かもえないむらにどう影響するのか。(宮畑譲、西田直晃)
(たまり続ける使用済み核燃料)
1. 「政府一丸となって、かつ、政府の責任で、最終処分に向けて取り組んでいく」。
2.高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定を巡り、10日にあった閣僚会議。ここで示された基本方針の改定案に冒頭の一節が明記された。現在は意見公募(パブリックコメント)の最中で、改定されれば2015年以来、8年ぶりとなる。
3. 使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物は「核のごみ」とも呼ばれる。現状では各原発の貯蔵プールで使用済み核燃料がたまり続け、廃液をガラスと固めた「ガラス固化体」が加工されている。
4.「核のごみ」はやっかいだ。放射能が極めて強く、寿命も長い。00年制定の最終処分によれば、地下深くで地層処分する計画だが、安全面の問題などから具体的な道筋を描くに至っていない。
5.国が責任を強調するのはこの状況の裏返しでもある。最終処分法の制定以降、「手挙げ方式」と呼ばれる全国公募が始まった。07年に高知県東洋町が応募したものの、町民の激しい反対で取り下げに。現在、選定プロセスの第1段階に当たる「文献調査」を受け入れているのは、北海道の寿都町と神恵内村だけだ。
6.経済産業省資源エネルギー庁によると、過去5年に約160回の説明会を全国で開いたが、関心を持つ地域は限定的だった。かたや最終処分場が決まった国外の例では10件程度の候補地から1件に絞った経緯がある。担当者は「調査の結果、処分地になりえないことや民意の反対もある。候補地はもっと必要」と話す。
(政府方針に不信「本当にできるのか」)
1.現行の仕組みでいえば、処分地選定と処分自体を担うのは、電力会社が事業費を拠出する原子力発電環境整備機構(NUMO、ニューモ)だ。ただ処分地選定が難航するため、国は15年に基本方針が改定された時も、適性の高いと考えられる地域を提示するなど、前面に出た。今回は「さらに一段ギアを上げようということ」(前出の担当者)になる。
2.神奈川工科大の藤村陽教授(物理化学)は「原発政策は国策なのだから国に責任はある」と理解を示す一方、懸念も浮かぶ。「国が地方に力ずくでやるということになってはいけない」
3.根底には国への不信がある。「福島第一原発事故後の対応で、国や電力会社は信頼されることをやってきたのか」。例えば第一原発で生じる汚染水の後始末。首相時代の菅義偉氏は「政府の責任で対応する」と述べたが、海洋放出に反対する声に耳を貸さず、処理後に放出する方針を決めた。
4.国が最終処分に前のめりになっても「本当にできるのか」と疑う向きもある。
5.高レベル放射性廃棄物は安全になるまで10万年を要するとされる。大阪大の平川秀幸教授(科学技術社会論)は「日本は地震国。そこら中に活断層がある。地中深くに移した後に問題が見つかった場合、放射性廃棄物を取り出せるのか。原発関連の技術への不信はぬぐえていない。まして10万年先の安全を確保できるのか」と語る。
(調査進まないのは「選挙が控えているから」)
1.岸田政権が「最終処分に向けて国の責任で取り組む」と宣言した今、文献調査が進む寿都町と神恵内村の人びとは何を思うのか。
2.2020年11月から始まった両町村の文献調査は現在も続いている。当初は約2年の予定とされたが、NUMOの広報担当者は「想定より時間が掛かっている。調査結果を評価するための考え方を経産省のワーキンググループに尋ねているところ。いつまで、と決まっていない」と話す。
3.地質図や学術論文などを用いた文献調査が終われば、地元の意向を踏まえ、地質や地盤を調べる概要調査への移行を図るという。第2段階に当たる調査だ。
4.3年前に文献調査への反対を表明した神恵内村議の土門昌幸さん(69)は「2年を過ぎても調査が終わらないのは、選挙が控えているからでは」といぶかる。ここで言う「選挙」とは4月に予定される村議選のこと。賛成派の村議が多い現状を踏まえ、波風を立てたくないのでは、とみる。
5.土門さんは「村民への説明が不十分なまま時間がたってしまった。概要調査は知事が『受け入れない』と明確に表明しているので、村長に歩調を合わせるように働きかけるしかない」と自らに言い聞かせる。
(賛否分かれて人間関係も壊れた)
1.一方、寿都町の反対派住民グループの槌谷和幸さん(74)は岸田政権に対して「端的に言うと、腹立たしいのひと言」と語気を強める。「『最終処分は国の責任で』と強調されると『調査が進む町村で国が処分地選定を強力に推し進める』に聞こえてしまう。国の言うことは全く信用できない」
2.同町では、文献調査から概要調査に移る際、住民投票を実施すると条例で定めているが、町長の決定への拘束力はない。
3.重みを持つのが町議会の意向で、現在は賛否が拮抗きっこうする。10月には町議選が予定され、槌谷さんは反対派候補の擁立を模索中だ。しかし「見つけるのに苦労している。この小さな町は町民のつながりが濃密で、賛否が分かれたことで人間関係が壊れた人もいる」。
4.推進勢力の出方も警戒する。NUMOの担当者らによる説明会について「『対話の場』と言っても実情は違う。一方の見解を言い含める場になっている」。推進派への取り込み、反対派の切り崩しが今以上に進むことを危惧する。
5.岸田政権は今月10日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定し、原発の積極活用を盛り込んだ。異論が噴出するタイミングで最終処分の基本方針案を示し、「国の責任」を強調した。
(「地方を悩ませ、苦しませているだけ」)
1.長崎大の鈴木達治郎教授(原子力政策)は「最終処分場がないと一層、責められる。そうした声を意識しただけ。アピールの意味合いが強い」と述べ、批判そらしの意図を疑う。その上で「処分地選定に力を入れると言っても、実質的には電気事業連合会(電事連)任せになる。特段の変化はないだろう」とみる。
2.最終処分場の議論は避けては通れない一方、寿都町、神恵内村の例に漏れず、住民の納得を得ずに議論を進めるのは問題がある。
3.信州大の茅野恒秀准教授(環境社会学)は「最終処分場についてはこれまでも、国主導での理解促進という言葉を多用してきたが、今の北海道の2町村を見ても見解の一致を見ておらず、むしろ分断を招いている。地方を悩ませ、苦しませているだけ」と断じ、こう続ける。「受け入れに対する厳しい現実を政権が直視せず、国民的理解を丁寧に得ようとしない安易な姿勢が問題。原発は安全で、電気代も下がるという技術的、経済的楽観論を捨て去るべきだ」
(デスクメモ)
1.原発を動かせばごみが出る。しかし処分先が決まらず、たまる一方。管理に困る。置き場にも。なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増を防ぎ、その間に処分先を話し合う。しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに。不合理な思考に独断専行。始末が悪すぎる。(榊)
(https://www.tokyo-np.co.jp/article/231170 参照)

 何とまあ。
 「本当に、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の地層処分は可能なのか。」との問いに対する答えが、「政府一丸となって、かつ、政府の責任で、最終処分に向けて取り組んでいく」というのだ。
 コロナ禍は、エビデンスという言葉の大切さを示した。
しかし、岸田政権のこの答えには、エビデンスとして示される根拠が極めて薄弱。

 この問題に関して、東京新聞は2024年2月22日、「核のごみ 地層処分は安全なのか」、と社説で論評した。
 この社説で、この問題を押さえる。

 東京新聞の把握から。
1.原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場用地選定に向けた初めての「文献調査」の報告書案がまとまった。
2.北海道の寿都(すっつ)町の全域と神恵内(かもえない)村の一部で、候補地として次段階の調査を進めることが可能だとしているが、海底活断層のリスクなど能登半島地震の知見は反映されておらず、不安が募る。
3.使用済み核燃料からリサイクル可能なプルトニウムなどを抽出した後の廃液が「核のごみ」。ガラス状に固めてステンレス製の容器に収め、地下300メートルより深い岩盤層に閉じ込める「地層処分」が法律で定められている。放射能が衰えるまでには、数万年単位の厳重な管理が必要とされる。
4.候補地選定に向けた調査は、論文やデータに基づく文献調査▽地面を掘って地層を調べる「概要調査」▽地下に施設を造って行う「精密調査」-の3段階。
5.事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は2002年から巨額の交付金と引き換えに調査を受け入れる自治体の公募を続けるが、20年になって初めて寿都町と神恵内村が名乗りを上げた。
6.NUMOは地震や噴火、隆起、浸食などの評価項目に基づいて約1500点の論文などを分析し、概要調査が可能との結論に至ったとする。しかし、両自治体が同意するかどうかは未知数だ。
7.例えば神恵内沖には、南北約70キロの海底活断層が存在するとの指摘がある。しかし、NUMOは「候補地からの除外基準に当たるかどうかは、文献からは判断できない」と調査の進行を急ぐ。活断層は複雑に連動して動く。能登半島地震の教訓だ。日本活断層学会の鈴木康弘会長は地震災害全般に関して「活断層リスクの考え方を見直した方がいい」と警鐘を鳴らす。
 最後に、東京新聞は、「昨年10月、地球科学の専門家有志約300人が処分地の選定を巡り「(国内で)地震の影響を受けない安定した場所を選ぶのは不可能」との声明を出した。」、との地平にたち、「調査を次に進めることに固執せず、地中深くに埋める最終処分の在り方自体を根本的に見直すことも考えるべきではないか。」、と提起する。
(https://www.tokyo-np.co.jp/article/310760?rct=editorial 参照)

 確かに、今必要なことは、「地中深くに埋める最終処分の在り方自体を根本的に見直すこと」(東京新聞)、ということになる。


# by asyagi-df-2014 | 2024-03-16 19:49 | 書くことから-原発 | Comments(0)

 沖縄-辺野古-高江から-2024年3月16日

 不条理に抗うには。
 「米軍は14日、県内でオスプレイの飛行を再開した。昨年11月29日に乗員8人が死亡した鹿児島県屋久島沖での墜落事故を受け、飛行を停止した同12月7日以来の運用。米軍普天間飛行場で午前8時50分に1機目が離陸。午後6時15分過ぎまでに、延べ13機が離着陸した。玉城デニー知事や宜野湾市の松川正則市長ら各地の首長が事故原因の説明が不十分だとして反対する中での強行に、県内では強い反発が広がった。玉城知事は『許し難い』と述べ、同機の県内配備撤回を強く求めていく考えを示した。米海兵隊第1海兵航空団司令官のエリック・オースティン少将はコメントを発表。『安全に留意しながら任務を達成する努力を続ける』と主張し、オスプレイについて『この優秀な機体を信用している』とした。」、と沖縄タイムスはこの国姿を映し出す。
 また、「普天間飛行場に配備されているオスプレイが14日、飛行を再開した。地元の強い反発の中での強行に、玉城デニー知事や自治体首長は批判を強めた。不信が拡大する中、批判の声を『一部の自治体から』とする林芳正官房長官に、県幹部は『認識不足も甚だしい』とあきれる。米軍を止められない現状に、今回ばかりは政府内部にも不満が渦巻いている。」(沖縄タイムス)、とも。
 さらに、「『好き放題やられて面白い者は誰一人いない。これが今の日米関係だ』。ある政府関係者はいら立ちを見せる。日本政府は飛行再開を『南西地域などわが国の防衛のため』(林官房長官)と取り繕うが、防衛省関係者の一人は、『今後の地元との関係に響いてしまう』と吐露した。」(沖縄タイムス)、と。

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。それは、捉え直しとして。
 2024年度も、改めて琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

(1)沖縄タイムス-オスプレイ飛行再開 普天間飛行場から延べ13機が離着陸 宜野湾市長ら反発続々 墜落後停止から3カ月-2024年3月15日 5:05

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.米軍は14日、県内でオスプレイの飛行を再開した。昨年11月29日に乗員8人が死亡した鹿児島県屋久島沖での墜落事故を受け、飛行を停止した同12月7日以来の運用。米軍普天間飛行場で午前8時50分に1機目が離陸。午後6時15分過ぎまでに、延べ13機が離着陸した。玉城デニー知事や宜野湾市の松川正則市長ら各地の首長が事故原因の説明が不十分だとして反対する中での強行に、県内では強い反発が広がった。玉城知事は「許し難い」と述べ、同機の県内配備撤回を強く求めていく考えを示した。
2.米海兵隊第1海兵航空団司令官のエリック・オースティン少将はコメントを発表。「安全に留意しながら任務を達成する努力を続ける」と主張し、オスプレイについて「この優秀な機体を信用している」とした。
3.普天間飛行場では早朝から米軍関係者がMV22オスプレイの整備点検を開始。午前8時35分ごろから1機目のプロペラが回転し、その後、離陸した。宜野湾市上空から沖縄本島西海岸に出て、海沿いを北上した。那覇の市街地上空や伊江島でも飛行が確認された。本島中部の自治体では住民から苦情が相次いだ。
4.宜野湾市の松川市長は、事故原因が究明されながら、詳細が地元に示されないまま運用が再開されたことを改めて問題視。本紙の取材に「納得できない」と述べた。
5.空軍や海軍のオスプレイも飛来する嘉手納基地の周辺自治体で構成する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」会長の桑江朝千夫沖縄市長も飛行再開に反発した。民間地の上を飛ぶのかなど、飛行ルートも示されないままだと訴え、「懸念が払拭されておらず、今も不安でいっぱいだ」と憤った。三連協は意見をまとめて、早急に抗議する準備を進めている。
6.名護市の渡具知武豊市長は「市民の不安が払拭されるものではなく、飛行再開は理解しかねる」と指摘。「今後とも事故の詳細な原因や安全性などに関する情報、安全対策の徹底を求めていく」と話した。
7.一方、林芳正官房長官は記者会見で「一部の自治体から厳しい声をいただいている。地元の不安や懸念払拭のため、関係自治体への丁寧な説明に努めたい」と述べた。
8.米軍は今月8日にオスプレイの飛行停止措置を解除した。防衛省は13日、再開準備が整った機体が14日以降、順次、飛行すると発表していた。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1325255 参照 2024年3月15日)

(2)沖縄タイムス-段階踏まず即再開 オスプレイ通常飛行 「米追従」 政府内部も不満(政経部・山城響、中部報道部・平島夏実、東京報道部・新垣卓也)-2024年3月15日 5:00-[ニュース断面]

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.普天間飛行場に配備されているオスプレイが14日、飛行を再開した。地元の強い反発の中での強行に、玉城デニー知事や自治体首長は批判を強めた。不信が拡大する中、批判の声を「一部の自治体から」とする林芳正官房長官に、県幹部は「認識不足も甚だしい」とあきれる。米軍を止められない現状に、今回ばかりは政府内部にも不満が渦巻いている。(政経部・山城響、中部報道部・平島夏実、東京報道部・新垣卓也)
2.飛行再開について、県は疑問点に対する回答を沖縄防衛局に求めていた。持ち帰って再度、対応するはずだった防衛局からは、結局なしのつぶて。ふたを開ければ延べ13機が飛行した。試運転どころか伊江島まで飛来するなど初日から「通常飛行」の様相を呈した。
3.玉城知事はいつになく怒りをあらわにした。会見では「沖縄ではそれが許されると思うのなら大間違いだ」と忠告。怒りのトーンに県幹部も驚いた。
4.「機体を地上で操作し、ホバリングし、その後に飛行ではないか。しっかり安全対策をしたか、米軍に確認してもらわないと困る」
5.宜野湾市の松川正則市長は午後3時過ぎ、市議会の合間をぬって沖縄防衛局の伊藤晋哉局長の携帯電話を鳴らした。前日に防衛局幹部から、飛行再開は段階を踏むとの見通しを伝えられていた。「市長の顔に泥を塗られた」。ある市幹部は疲れた表情を見せた。
6.「好き放題やられて面白い者は誰一人いない。これが今の日米関係だ」。ある政府関係者はいら立ちを見せる。日本政府は飛行再開を「南西地域などわが国の防衛のため」(林官房長官)と取り繕うが、防衛省関係者の一人は、「今後の地元との関係に響いてしまう」と吐露した。
7.この日、陸上自衛隊は昨年4月に宮古島沖で起きたヘリ墜落事故の報告書を公表した。「雲泥の差だ」。県幹部は、陸自の報告の詳細さに驚き「対米追従。ここまで落ちたか」と嘆く。
8.自衛隊からも恨み節が漏れる。ある関係者は「われわれは住民に説明を尽くす大切さを理解している」と強調し、こう吐き捨てた。「それでも地元の米側への不満は結局、こっちの首を絞めることにもなる」
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1325298 参照 2024年3月15日)

(3)沖縄タイムス」-米軍がパラシュート降下訓練を強行 嘉手納基地で4カ月連続 沖縄県や周辺自治体が中止求める中(中部報道部・砂川孫優)-2024年3月15日 5:17

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.【嘉手納】米軍は14日午後、県や周辺自治体が中止を求める中、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を実施した。4回に分けて、計24人の米兵が同基地滑走路に降下した。昨年12月から4カ月連続での「強行」になる。外務省沖縄事務所などは、伊江島補助飛行場の滑走路が使用できないことから訓練は「例外的」との認識を示している。
2.沖縄市と嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」会長の桑江朝千夫沖縄市長は「伊江島滑走路の補修計画が定まっていない状況は嘉手納における訓練の常態化につながり、基地負担軽減に逆行する」と文書でコメントした。
3.玉城デニー知事は「県民の抗議もないかのように訓練が繰り返し実施されることは、県民の思いを一切考慮しない態度と言わざるを得ず、よき隣人には程遠く非常に遺憾だ」とコメントを発表した。
4.同基地所属のMC130特殊作戦機1機が14日午後3時15分ごろ離陸。同35分ごろから約40分間、過去4カ月で最多の米兵24人が降下した。うち4人が目標地点から南側に約1キロ離れた基地内に降下した。物の投下などはなかった。
5.1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場への訓練移転合意後、嘉手納で4カ月連続の降下訓練が実施されるのは初めて。訓練回数は計18回になった。(中部報道部・砂川孫優)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1325257 参照 2024年3月15日)

(4)沖縄タイムス-上空の恐怖再び 「安全の根拠どこに」屋久島、不安広がる オスプレイが飛行再開(南日本新聞提供)-2024年3月15日 6:32

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.【南日本新聞提供】在日米軍の輸送機オスプレイが飛行を再開した14日、同機の緊急着陸が相次ぐ鹿児島県内の離島では、屋久島沖での墜落事故の原因が明らかにされないままの再開に「怖い」「納得できない」と不安が広がった。実態の見えにくい本土では困惑の声が漏れた。
2.昨年11月の墜落を海岸で目撃した農業平田耕作さん(68)=屋久島町船行=は「エンジンが火を噴き、近づくように落ちてきた衝撃は一生忘れない。安全とする根拠はどこにあるのか」と疑問視。「また落ちるのではないかと気掛かりだ」と心配する。
3.機体残骸の回収を手伝った屋久島漁協の羽生隆行組合長(73)は「国防の観点から仕方ないが、安全対策はしっかりしてもらいたい」と注文。一方で「島上空は飛んでほしくない」との思いも吐露した。
4.徳之島町手々の農業嶺田剛さん(70)の自宅前にあるキャンプ場には昨年11月、訓練でオスプレイが着陸した。「沖合を飛ぶのをよく見た。住民を守るためと思っていたが、今のまま飛ばれると怖い。納得いく説明を」と求めた。
5.「機体の欠陥は明らか。国民を命の危険にさらしてしまう」と憤るのは奄美ブロック護憲平和フォーラムの城村典文事務局長(71)=奄美市名瀬。「米国の言いなりにならず、もっと抗議すべきだ。また犠牲者を出してはならない」と力を込めた。
6.鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地はオスプレイ地上給油の訓練地だが、この3年は確認されていない。市商店街連合会の前田数郎会長(65)は「いつ来るのか、来れば自衛隊機が連日飛び交う鹿屋の風景が変わるのか。情報が少なく、実感が湧かない」。
7.市民団体の松下徳二さん(86)=同市旭原町=は、昨年8月に鹿屋基地で起きた米無人偵察機のオーバーラン事故に触れ、「情報を明かさず、強引に再開するのは相変わらずだ。住民の思いを無視した秘密主義がどうにも変わらず、歯がゆい」と嘆いた。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1325246 参照 2024年3月15日)

(5)沖縄タイムス-違憲性に最も踏み込む 同性婚訴訟、札幌高裁判決 国会の法整備は進まず-2024年3月15日 6:51

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.同性婚を巡る訴訟で14日、初めての高裁判断となった札幌高裁判決が、ほぼ全面的な違憲判断を示し、2019年から各地で6件起こされた地裁判決より一層踏み込んだ。近年は、性的少数者らの権利保護を重視する司法判断が目立つ一方、国会による法整備は一向に進んでいない。同性婚を望む当事者の希望が実現するかどうかは今後の判断の推移が鍵を握る。
(著しい不利益)
1.「私は私のまま、この国で胸を張って生きていいんだ」。涙を浮かべながら高裁判決を聴いた原告の中谷衣里さん(32)は、判決後の記者会見で喜びをかみしめた。
2.高裁判決は、同性愛者が受ける社会生活上の不利益の程度は著しいと認定。現行の婚姻制度を利用できずに多くの苦難に直面する同性カップルらに、徹底的に寄り添う姿勢を鮮明にした。
3.「両性」や「夫婦」という文言から、国側があくまで男女間の規定と主張した憲法24条1項についても、合憲としてきた地裁段階から踏み込み「同性婚をも保障する」と明言した。
(最高裁の判断)
1.地裁段階の判決も札幌、福岡など4地裁の5件が「選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない」などと規定の違憲性に言及した。背景にあるのは多様な家族観を認める意識や、性的少数者らへの権利制約は許されないという認識の広まりだ。昨年5月の共同通信社の世論調査では、同性婚を「認める方がよい」との回答が71%で、「認めない方がよい」の26%を大きく上回る。
2.行政レベルでも既に国内の400近い自治体で、同性カップルを公的に認定するパートナーシップ制度の導入が進む。
3.性的少数者を巡って注目を集めたのは、最近相次いだ最高裁の判断だ。女性として暮らす性同一性障害の経済産業省職員が省内で女性用トイレの使用を不当に制限されたとして、国に処遇改善を求めた訴訟の昨年7月の判決は、使用制限を認めないと判断。職員の日常的な不利益を指摘した。
4.昨年10月には最高裁大法廷が、性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、生殖能力をなくす手術を事実上求める性同一性障害特例法の規定に関し「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」への制約は重大だとして、規定を違憲、無効とする決定を出した。
5.同性婚訴訟で違憲との判断を唯一示さなかった大阪地裁判決も、同性間の婚姻などの制度導入に関する立法の不作為を「将来的に違憲となる可能性がある」と指摘して国会にくぎを刺しており、原告側弁護団の三浦徹也弁護士は「早急な対応を求めるメッセージなのは明らかだ」と語る。
(前向き議論を)
1.だが国会での法整備の動きは、なお鈍い。「全国で多くの同性カップルが日常生活を送っている。制度を改正しないと社会の変化に対応できない」。今年1月の衆院本会議の代表質問で訴えた立憲民主党の泉健太代表に対し、岸田文雄首相は「国民各層の意見、国会の議論の状況、訴訟の状況なども注視していく」と述べるにとどまった。
2.国は憲法が同性婚を想定していないとの立場で、現時点では具体的な方向性を検討しておらず「全く無色透明の状態」(法務省幹部)という。
3.早稲田大の棚村政行教授(家族法)は札幌高裁判決を「全面的な違憲判断で画期的。社会的意義は極めて大きい」と評価。「国会と政府が重く受け止め、早急に同性婚や性的少数者の法的地位を巡る法制化に向け、前向きな議論を進めなければならない」と強調した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1325280 参照 2024年3月15日)

(6)沖縄タイムス-米兵8人が麻薬密輸疑い 「非公用軍事郵便物」を利用 嘉手納基地所属の20代男女を書類送検-2024年3月15日 7:09

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.合成麻薬を自ら使用する目的で米国から密輸したなどとして、九州厚生局沖縄麻薬取締支所が米軍嘉手納基地所属の空軍兵で20代の男女8人を麻薬取締法違反(輸入)などの疑いで書類送検していたことが14日、同支所への取材で分かった。米軍基地宛ての「非公用軍事郵便物」を利用していたという。同支所は8人の処分や認否を明らかにしていない。
2.8人はそれぞれ2023年3~9月の間、米国の違法薬物サイトで電子たばこに装着する小型の入れ物に入った合成麻薬の液体10~30グラムを発注し、国内に密輸したり所持したりした疑いがある。米ネバダ州、テキサス州などから発送され、沖縄地区税関が嘉手納基地内で検査して発覚した。
3.通報を受けた同支所が米空軍特別捜査局と合同で、容疑者らの基地内外の自宅を家宅捜索。複数の合成麻薬を押収した。23年7月~今月13日に8人を書類送検し、米麻薬取締局には利用された販売サイトなどについて情報提供した。
4.密輸された合成麻薬は「MDMB-4en-PINACA」と呼ばれ、大麻成分に似た合成化合物を含む。幻覚作用があり、日本では21年10月に麻薬に指定された。米国では昨年5月、ヘロインと同様に最も危険と分類されたという。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1325235 参照 2024年3月15日)

(7)琉球新報-オスプレイ飛行再開 米軍、県の反対無視 墜落3カ月、原因示さず 知事批判「強い憤り」(梅田正覚まとめ)-2024年03月15日 05:00

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.米海兵隊は14日、昨年11月に起きた鹿児島県・屋久島沖での墜落事故を受けて飛行を停止していた米軍普天間飛行場所属のMV22オスプレイの飛行を再開した。普天間飛行場全24機中、琉球新報記者の調べでは延べ13機のオスプレイが本島中南部の住宅地上空や洋上で飛行した。事故原因の詳細などが説明されていないとして県や名護市、宜野湾市が反発する中、地元の声を顧みず運用停止から約3カ月を経て飛行を再開した。
2.国内でオスプレイの飛行が確認されたのは普天間飛行場のみ。県議会では与党が抗議決議や意見書の提案に向けて動き出している。
3.本紙記者の目視確認によると、1機目が同午前8時51分に離陸し、午後6時19分まで断続的に飛行した。宜野湾市や那覇市、浦添市上空で飛行が確認された。
4.玉城デニー知事は「事故の原因や対策が明らかになるまで飛行を再開することがないよう、再三求めてきたのにもかかわらず、飛行が再開されたことに強い憤りを禁じ得ない」と批判し、配備撤回を求めた。
5.在沖米海兵隊第1海兵航空団は14日、「計画的かつ慎重な飛行復帰作戦を実施し、全任務の練度を慎重に取り戻す」などと声明を発表した。米軍嘉手納基地に駐機する海軍仕様のCMV22オスプレイ3機は飛行しなかった。
6.市民団体「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」はオスプレイの飛行再開を受け、15日午後0時15分から那覇市の県民広場で抗議集会を開催する。(梅田正覚まとめ)
(https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-2899743.html 参照 2024年3月15日)

(8)琉球新報-オスプレイ飛行再開 「わが国防衛のため」と容認 林官房長官(安里洋輔)-2024年03月14日 11:49

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.【東京】林芳正官房長官は14日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備中の輸送機オスプレイが飛行再開したことについて問われ「南西地域をはじめとするわが国の防衛のため」との認識を示し、在日米軍の判断を容認する考えを示した。
2.地元自治体からの反発があることには「地元の方々の不安や懸念の払拭のため、引き続き、関係自治体の皆さまへの丁寧な説明に努めていきたい」と述べるにとどめた。
3.記者団から、在日米軍が8日に運用停止措置の解除を発表してから、わずか6日での飛行再開になったことへの見解も問われた。林氏は「運用停止措置の解除以前も日米間の確認作業で前例のないレベルで技術情報に関するやり取りがなされ、事故原因や各種の安全対策などについて、極めて詳細な情報提供を受けていた」と説明。「飛行の安全確保が最優先であることを日米間で確認している」と述べた。
(https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-2898165.html 参照 2024年3月15日)

(9)琉球新報-三連協が抗議検討 首長ら「認められない」(石井恵理菜、福田修平)-2024年03月15日 05:00

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.【中部】オスプレイの飛行再開について、米空軍のCV22オスプレイがたびたび飛来する嘉手納基地周辺の首長は14日、「認められない」と反対姿勢を示した。沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)会長の桑江朝千夫沖縄市長は「私自身も不安でいっぱいだ」とした上で「説明不足の中で飛行再開に踏み切ったことに対し、三連協として意見をまとめて抗議を検討している」と述べた。
2.當山宏嘉手納町長は「安全性の懸念が払拭できていない中での飛行再開は、地域住民や県民に不安を与える。認めることはできない」と強調した。
3.渡久地政志北谷町長は地元への情報の少なさを指摘し「地元の声が届いているのか不信感がある。事故が多い機種なので、配備をいま一度検討するべきだ」と話した。(石井恵理菜、福田修平)
(https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-2899771.html 参照 2024年3月15日)

(10)琉球新報-「不安解消せず」 金武町長・宜野座村長(増田健太)-2024年03月15日 05:00

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.【北部】14日の米軍オスプレイの飛行再開を受け、金武町の仲間一町長は「部品を交換し、安全確認をして飛行再開したとのことだが、地域の方々の不安は消えない。住宅地上空の飛行をしないように要請していきたい」と述べ、安全性に懸念を示した。
2.宜野座村の當眞淳村長は「もう少し事故の詳細を説明してもらわないと村民も不安解消には至らず、納得できる状況ではない」として、同日、沖縄防衛局に詳細な原因究明と情報提供を要請したことを明らかにした。
3.両町村にまたがる米軍中部訓練場には、オスプレイが訓練に使うヘリパッドが点在している。(増田健太)
(https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-2899770.html 参照 2024年3月15日)

(11)琉球新報-「国防衛のため」 米軍判断を容認 官房長官(安里洋輔)-2024年03月15日 05:00

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.【東京】林芳正官房長官は14日、米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが飛行再開したことについて「南西地域をはじめとするわが国の防衛のため」とし、米軍の判断を容認する考えを示した。
2.玉城デニー知事が「強い憤りを禁じ得ない」と抗議した点には「沖縄県をはじめ一部の自治体から厳しい声をいただいているということも承知している」とした一方で、「丁寧な説明を行っていくということに尽きる」と述べるにとどめた。
3.陸自オスプレイの飛行再開についても「必要な安全対策を講じた上で、準備が整ったものから段階的に運用再開のプロセスを進めていく」との方針を示した一方で、具体的な時期は明らかにしなかった。(安里洋輔)
(https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-2899768.html 参照 2024年3月15日)

(12)沖縄タイムス-町議全議員が沖縄防衛局へ要請 米軍パラシュート降下訓練で 嘉手納基地での常態化に抗議する意見書-2024年3月15日 13:35

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.沖縄県の嘉手納町議会議員15人は15日、沖縄防衛局に伊藤晋哉局長を訪ね、同基地で常態化している米軍によるパラシュート降下訓練に抗議する意見書を手渡した。前日の14日には昨年12月から4カ月連続となる降下訓練が実施された。同局長は「訓練は定期的ではなく小規模で、『例外的』に該当する」と従来通りの説明を繰り返した。
2.同町議会は開会中の3月定例会で、相次ぐ降下訓練と米軍機の騒音激化に抗議する意見書を全議員の発議で可決した。
3.米軍の降下訓練は原則として伊江島補助飛行場で実施することになっているが、米軍は同飛行場の滑走路の状態が悪いとして、嘉手納で訓練している。
4.米軍主導による滑走路の改修工事の進捗(しんちょく)が見えない状況に、當山均基地対策特別委員長は「日本政府が工事するか、嘉手納基地以外での訓練を早急に調整するしかないのではないか」と訴え、一刻も早い同基地以外での訓練を求めた。
5.同局長は「近いうちに米側から改修工事の説明が可能となる見込み。滑走路の改善を米側へ早期に求める」と述べた。
6.仲村渠兼栄議長は、降下訓練には基地周辺の住民や自治体が強く反対し、意見書も全議員発議によるもので「重みがある意見書だ」と強調した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1325557 参照 2024年3月15日)

(13)沖縄タイムス-琉球国王の肖像画「御後絵」、沖縄に戻る 流出文化財22点を米国が返還 戦後の混乱で持ち出される-2024年3月15日 13:06

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.沖縄県の玉城デニー知事は15日の定例記者会見で、沖縄戦の混乱で米国に持ち出されたとみられる「第十三代尚敬王御後絵(おごえ)」「第十八代尚育王御後絵」の2点を含む沖縄由来の流出文化財が返還されたと発表した。
2.沖縄県教育委員会は2001年に在沖米国総領事館を通じて、米国に流出したとみられる琉球王国の御後絵など13件を米連邦捜査局(FBI)の盗難美術品ファイルに登録申請していた。
3.23年3月に米国内で御後絵2点を含む22点の流出文化財が見つかり、県教育委員会が照会していた。翌24年3月14日に県に引き渡された。
4.玉城知事は、琉球・沖縄の歴史を検証する上で非常に貴重な文化財だとし、「今後も流出文化財の返還に向けて取り組みたい」と話した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1325540 参照 2024年3月15日)

(14)沖縄タイムス-「戦利品」返還進まず 沖縄戦で美術品や寺の鐘など持ち去り 米兵の子孫がネット出品も(中部報道部・平島夏実)-2022年11月13日 11:57

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.沖縄戦で焼失せず、米兵に持ち去られた可能性が出てきた那覇市首里真和志町の獅子頭。当時、多くの米兵が品々を戦利品として沖縄から本国に持ち帰った。美術品、寺の鐘、トートーメー、家族アルバム、日本刀、日の丸の旗など、あらゆる品が米国に流出した。食糧輸送などの後方支援を担当した米兵は戦利品を直接手に入れる機会が少ないため、陣地に戻った戦闘員にたばこやビールを渡して譲ってもらったという。(中部報道部・平島夏実)
2.帰国後、幹部級の退役軍人の多くは自分の母校である兵学校に戦利品を寄贈したが、下級の元兵士は自宅で保管を続けたという。
3.1980年代に入ると、年齢を重ねる中で「持ち主に返そう」と考える元米兵が増えてきた。一方、返還しないまま死去し、子や孫がネットオークションに出品するケースも。在米日本国総領事館は「売買は本来の持ち主の家族を深く傷つける」とホームページで呼びかけ、返還の申し出を受け付けている。
4.だが解決の鍵を握るのは、現地との信頼できるネットワークや粘り強い働きかけだ。県は返還交渉に乗り出しているわけではない。90年代の調査で、沖縄関連の文化財が米国の博物館などに1041点あることを確認したが、そのまま足踏みを続けている。
5.2020年度に始めた「在外琉球王国文化財里帰り事業」の名称は翌年度「調査研究事業」に変わり、「里帰り」の言葉が消えた。1990年代の記録を基に県立博物館・美術館や在沖米国総領事館、米国務省、米国の博物館協会などが再調査する方針を打ち出しているが、それもコロナ禍で休止している。
6.NPO法人琉米歴史研究会の喜舎場静夫理事長(71)は「特に個人所有の場合、転売されてから探し出すのはなかなか難しい。海外の県系ネットワークを生かし、県は一刻も早く本腰を入れるべきだ」と話している。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1056687 参照 2024年3月15日)

(15)琉球新報-オスプレイ2日連続、基地の外を飛行 米軍普天間飛行場 住宅地の上空など通過 沖縄(名嘉一心)-2024年03月15日 10:21

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.【宜野湾】昨年11月の鹿児島県・屋久島沖での墜落事故を受け約3カ月にわたる運用停止後、14日に飛行を再開した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のMV22オスプレイは15日も朝から基地の外へ飛行し、住宅地の上空などを通過した。14日の飛行再開を受け、十分な事故原因の説明がないままの強行や市街地上空の通過に沖縄県内では反発が広がっている。
2.15日午前8時40分頃、普天間飛行場から2機のオスプレイが相次いで市普天間向けに離陸した。両機とも沖縄国際大学などがある市宜野湾の上空を通過した後、上大謝名方面から着陸した。飛行時間は約10分間だった。3機目は9時47分頃に普天間向けに飛び立ち、10分ほどで基地内に着陸。その後、4機目も読谷村向けに飛び立った。
3.飛行再開にあたり、沖縄防衛局は11日、米海兵隊と米空軍は3段階に分けて練度を回復していく方向性を沖縄県や宜野湾市に説明していた。14日は普天間飛行場所属の全24機中、延べ13機のオスプレイが沖縄本島中南部の住宅地上空や洋上で飛行した。
4.松川正則宜野湾市長は14日の飛行再開に「正直なところ早いと感じる。基地内でホバリングをするなど、準備をしてからと思っていた」と述べていた。(名嘉一心)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-2900638.html 参照 2024年3月15日)

(16)琉球新報-「遠くの出来事ではない」重なる沖国大事故 墜落の恐怖抱えたまま <危険な空再び オスプレイ飛行再開>上(名嘉一心)-2024年03月14日 05:00

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.2004年8月13日午後2時すぎ、宜野湾市内で自営業を営む宮里秀雄さん(60)は息子を塾に送り届けた後、米軍普天間飛行場を囲むフェンス沿いにバイクを走らせていた。沖縄国際大学の辺りで、フェンスをよじ登る米兵を目にした。兵士らはぞろぞろと同大学に向かって足早に進んでいったため、「何かが起きている」と感じ、米兵の背中を追った。
2.校内に入ると、衝撃的な光景が広がっていた。墜落したヘリコプターが黒煙を上げていた。しばらくすると米兵に外に出るよう促されたが、同様に日本の消防士や警察官も現場から追い出されていた。
3.事故から19年後の昨年12月、鹿児島県屋久島沖で米空軍のCV22オスプレイが墜落した。「やっぱりか」。沖国大での事故が宮里さんの脳裏をよぎった。米軍普天間飛行場には24機のMV22オスプレイが配備されている。普天間のMV22は屋久島で墜落したCV22と基本構造が同一とされており、宮里さんにとって「遠くの出来事」ではなかった。
4.屋久島での墜落は、国内で運用されているオスプレイとして初の死亡事故だった。事故後、約3カ月の飛行停止措置を実施した日米両政府は事故原因を特定し、安全対策を施したとして14日以降の飛行再開を決めた。
5.飛行再開にも米側は肝心の「事故原因」を公表せず、日本政府も追従する。宮里さんは「この国が自立しているとは思えない」と話し、沖国大での事故と重なると嘆く。「安全が保障できないのであれば日本政府は飛行を認めないでほしい」
6.普天間飛行場は世界一危険な基地と言いながら、移設先は辺野古が唯一無二として、新基地完成まで普天間を放置する政府の姿勢にも疑問を抱く。「オスプレイははっきり言って賛成できない。生活にかなり支障を来している。騒音も、常に落ちてくるのではないかという不安も」。あの時沖国大で目の当たりにしたヘリ墜落事故が繰り返されないことを祈り、市民の安全を守る政府の対応を願っている。 (名嘉一心)
7.全世界で運用を停止していた垂直離着陸輸送機V22オスプレイが14日にも飛行を再開する。宜野湾市民の思いや、欠陥機と言われる背景、オスプレイの位置付けを専門家に聞く。
(https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2896831.html 参照 2024年3月15日)

(17)琉球新報-米国でも批判、訴訟の動きも 墜落事故の遺族「米軍の説明は根拠不明」 識者がみる軍の特殊性とは <危険な空再び オスプレイ飛行強行>中(島袋良太、名嘉一心)-2024年03月15日 13:10

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.米軍のオスプレイの運用停止措置解除について、木原稔防衛相は9日、「大きな事故なので米国内での訴訟の可能性もあり、つまびらかにできない部分もある」と米側の意向を色濃く反映した言葉を並べた。
2.約3カ月の異例の長期停止の背景には米本国でもオスプレイの「欠陥機」批判が盛んになり、訴訟リスクを抱えている事情がある。昨年11月に起きた鹿児島県・屋久島沖での墜落事故を巡り、米メディアはこれまで起きた重大事故も併せて詳細に伝えている。
3.2022年6月に起きた米カリフォルニア州での墜落事故では5人が命を落とし、米国内で大きく報じられた。事故原因を巡り、米海兵隊大尉の夫を亡くした女性は米メディアの取材に「(軍の説明は)具体的な根拠が不明」と厳しく批判。女性は航空機事故に関する訴訟を主に取り扱ってきた米法律事務所の弁護士を起用し、製造元のベル・ボーイング社に対し訴訟を起こすことも検討していると、同事務所は声明文を発表している。
4.航空評論家の青木謙知氏は「(軍の)内部で合意が得られれば、飛行を再開するのは当然の判断だ」と、民間機と違った軍用機運用の特殊性を指摘する。長期の運用停止は軍による徹底調査の表れともみており、「再開に至るということは隊員を説得できるだけの説明があったのではないか」と推測する。
5.一方、事故原因を公にしないまま飛行を再開させた日米両政府の対応に、玉城デニー知事や松川正則宜野湾市長は14日、強い懸念を表明した。安全性に関する説明が不十分なまま飛行を認めた政府に対し、地元住民の不信感は高まり続けている。(島袋良太、名嘉一心)
(https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2899713.html 参照 2024年3月15日)

(18)琉球新報-オスプレイ飛行再開 「日米の基地いらない」 辺野古、平和団体ら政府批判(増田健太、小波津智也)-2024年03月15日 13:57

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.米海兵隊のMV22オスプレイが飛行再開した14日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前では、普天間飛行場移設に伴う新基地建設に反対する市民ら約40人が座り込みを行った。事故原因が明らかにされない中での飛行再開に、参加者からは抗議の声が相次いだ。平和団体からも日米政府を批判する意見があった。
2.沖縄市から訪れた仲宗根寛勇さん(82)は「危険なオスプレイの飛行再開は、思想信条関係なくウチナーンチュ皆反対だ」と強く訴えた。赤嶺智江さん(71)=うるま市=は取材する記者に「犠牲になるのは私かもしれないしあなたかもしれない」と述べ危機感をあらわにした。兼城賢雄さん(78)=沖縄市=は「死傷者を出しておいて、なんら具体的な説明がない」と憤った。
3.14日に県庁で台湾有事や基地問題について県をただしていた「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の具志堅隆松共同代表は、政府による再開方針が示された翌日の飛行に「われわれがそこまでなめられているのかというのが実感だ」と悔しさを隠さない。南西諸島で進む軍備増強を念頭に「自衛隊もオスプレイを飛ばす。もう日米共に基地はいらない」と語気を強めた。(増田健太、小波津智也)
(https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2901554.html 参照 2024年3月15日)


# by asyagi-df-2014 | 2024-03-16 06:04 | 沖縄から | Comments(0)

「有事」に向けた住民避難の問題を、沖縄から考える。(2)

 確かに、「有事」への対応という政府からの圧力の中で、地方自治体の判断は、より一層難しくなっている。
 ただ、一地方自治体が負うことができる責任の領域を超えているのではないかとも思えてくる。

 どのようなことが進められているのか。
 沖縄タイムスは2024年2月20日、「台湾有事に備え 沖縄・多良間村からの避難民を熊本・八代市が受け入れ 政府が両県と3月までに計画を策定へ」、と報じた。
1.政府と沖縄、熊本両県が「台湾有事」に備え、多良間村から避難する住民を熊本県八代市で受け入れる計画の策定に向けて協議を始めたことが19日、関係者への取材で分かった。
2.多良間村の来間玄次総務財政課長らが同日、八代市を訪れ、避難施設として想定される市総合体育館の視察や関係者との打ち合わせなどに臨んだ。計画は1カ月程度の滞在を可能とする内容で、3月中に完成させる方針。2024年度中の策定を目指している宮古、八重山地域の住民の九州・山口8県への避難計画のモデルとする考えだ。
3.同村の住民は約千人で、多良間と水納の2島で構成。先島諸島の5市町村のうち最も人口が少なく、先行した計画策定が可能と判断したとみられる。
4.村は1月30日に県などと合同で図上訓練を実施。その後に避難計画の協議の連絡があったという。伊良皆光夫村長は本紙の取材に「村民の命を守るためにも避難計画を進めなければならない。受け入れ側としっかり話し合い、調整していくことが重要」と話した。
5.これまでに空路で鹿児島空港に移動する方針を確認した。今後は空港から八代市内への移動手段を決定する。食料や水など生活物資の提供方法も検討を重ねる見通し。
6.図上訓練で県は、住民千人を2日で宮古島市へ移動させる案を提示した。50人乗りの琉球エアーコミューター(RAC)機を11便運航することで550人、定期船フェリーたらま3は住民を車両積載スペースに乗船させて定員を通常の倍の300人に増やし、2便で600人を運送可能とした。宮古島市に到着後、九州へ避難する。
7.また多良間島内では約3千頭の牛を飼育しており、餌をやる要員が島内に残る必要があるなど、家畜を巡る課題も上がった。
8.政府は先島諸島の住民や観光客計約12万人の避難を可能とするため、昨年10月から九州・山口8県に順次受け入れを要請した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1311242 参照 )

実は、沖縄県が抱える「有事」時の避難について、沖縄タイムスは2023年11月28日、次のように報じていた。 

(1)沖縄タイムス-台湾有事で沖縄離島から避難 政府、12万人を想定 九州・山口8県に受け入れ要請
1.政府は27日、山口県庁に内閣官房職員を派遣し、台湾有事を念頭に沖縄県の離島からの避難民を九州各県と分担して受け入れ、支援するよう県幹部に求めた。避難対象は住民ら12万人を想定。政府によると、九州各県に同様の要請を完了したとしている。
2.今後は使用可能な宿泊施設や備蓄物資などの情報を集約。情報を基に、政府は来年度中に避難に関する初期計画の策定を目指す。対象とするのは、台湾に近い先島諸島を構成する石垣市など5市町村の住民約11万人と観光客約1万人。
3.政府や沖縄県は他国による武力攻撃の可能性がある「武力攻撃予測事態」を見据えて避難手順の検討を進めており、3月には図上訓練を実施していた。
4.政府は10月から避難先と想定する九州・山口各県に順次受け入れを要請。熊本、鹿児島両県には松野博一官房長官が訪問し、直接協力を求めた。
5.山口県を27日に訪れた仁井谷興史参事官は、松岡正憲総務部長に対し「離島は地理的に本土から遠い。九州と山口で協力してほしい」と理解を求めた。
6.政府と九州・山口の各県は今後、受け入れ候補となる自治体を選出。各自治体は先島諸島5市町村それぞれのパートナーとして、衣食住の確保や医療提供といった課題を協議する方針だ。
7.各県への支援要請を巡っては、福岡県は現時点で「正式な要請はない」としている。仁井谷氏は山口県への説明後、記者団に「今後、詳細に説明して足並みをそろえていきたい」と意思疎通を続ける考えを示した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1263973 参照)

(2)沖縄タイムス-台湾有事の避難計画策定 沖縄から12万人の輸送が課題に 政府、九州・山口各県と連携加速 全国に影響拡大の懸念も
1.台湾有事への懸念が高まる中、政府は九州・山口8県に対する沖縄の避難民受け入れ要請を終えた。今後は各県と連携し、避難計画の策定を加速させる方針だ。ただ避難先への輸送手順の検討は道半ばで、受け入れには8県の協力が欠かせない。事態が深刻になれば日本全国に影響が拡大するとの懸念もある。
(1日に2万人)
2.「昨年度から島外避難の手段は検討を進めてきた。次のステップに進めていきたい」。内閣官房の仁井谷興史参事官は27日午後、山口県庁で県幹部に、避難手続きの進捗(しんちょく)の手応えを示した。
2.沖縄県の試算では、避難対象とする先島諸島の約12万人を航空機や船舶を使って1日当たり約2万人輸送。6日間で避難を完了できるとしている。
3.試算には天候が悪化した場合や、空港や港を米軍や自衛隊が占拠して利用が制限されるケースは考慮されていない。高齢者や乳幼児、重病人の輸送も検討課題だ。
4.沖縄県関係者は「最速を想定したもので、輸送が長期化する可能性はある」と説明。政府や県は、より現実に近い内容で検討を重ねる考えだ。
(認識の不一致)
1.「九州の役割は非常に大きい」。10月17日、熊本県庁で蒲島郁夫知事と面会した松野博一官房長官は、九州各県の避難民支援に強い期待感を表明した。
2.背景には沖縄県と九州・山口各県が2006年に結んだ「武力攻撃災害等時相互応援協定」がある。有事の際には食料や水など生活必需品や住宅の提供、緊急輸送路の確保などを円滑に行うと規定しており、政府関係者は「協定を生かして話し合いを進めてほしい」と語る。
3.とはいえ、自治体間の認識のずれも出ているもようだ。福岡県は「政府から正式要請はない」としている。
4.内閣官房は「意思疎通が進めば前向きに協力してくれるはずだ」と強調。福岡県には改めて政府の要請を説明する方向で調整している。
(想定への疑念)
1.避難対象は沖縄県・先島諸島だけで済むのか-。軍事力を急拡大する中国に間近で接する自治体には、政府の想定への疑念も生じている。
2.「いろいろなバリエーションを再度検討する必要があるのではないか」。松野氏から避難民の受け入れを要請された鹿児島県の塩田康一知事は10月18日、政府の対応に注文を付けた。
3.想定では、沖縄の先島諸島を除く地域や鹿児島の奄美群島は島外避難の対象に含まれていない。避難民が増えれば九州・山口だけでは受け入れ切れない可能性もある。
4.政府の担当者の一人は取材に「事態が大規模になれば、避難対象地域が広がる可能性はある」と説明。「万が一の事態が起きた場合は、規模に応じて日本全国で対応していく」と理解を求めた。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1263974 参照)

 こうした問題について、沖縄タイムスは2024年2月21日、「「有事」住民避難 これで本当に守れるか」、と社説で論評した。
 この社説で、この問題を押さえる。
 沖縄タイムスの両県の協議の把握。
1.政府と沖縄、熊本の両県が「台湾有事」への備えとして、多良間村の住民約千人を熊本県八代市で受け入れる計画の策定に向けて協議に入った。避難先を八代市の総合体育館とし、1カ月程度の滞在を想定している。
2.政府は宮古と八重山の全域で、計12万人に及ぶ住民の避難計画の策定を目指していて、九州と山口の各県に受け入れを要請していた。
3.多良間村の人口は約千人で、先島5市町村では最も少ない。避難計画を先行させ、今後のモデルにしていくとみられる。
 また、政府からの「有事」対応の要請の中で、地方自治体が追い込まれていよう巣を指摘する。
1.多良間村では昨年10月、国の担当者も出席し、住民避難に関する意見交換会が開かれた。参加者からは、「万が一というが、有事はどのぐらいの確率で起こるのか」「避難よりもシェルターを造った方がいい」といった意見が上がった。
2.国民保護法に基づく武力攻撃予測事態を想定した避難計画案で、多良間村の住民はフェリーや航空機を使い、2日がかりで宮古島へ避難。さらに航空機で鹿児島空港に移動する。
3.少なくとも数日かかる避難で住民の命は本当に守れるのか。有事の中で避難はできるのか。そもそも有事とは何なのか。政府は疑問に答える必要がある。
 さらに、こうした状況下における問題点を指摘する。
1.石垣と竹富、与那国の3市町は19日、武力攻撃事態が発生した場合の相互協力に向けて協定を締結した。救援物資や避難手段の確保が難しくなることが予想されるとして、国や県との連携にも取り組むという。
2.特定の国による武力攻撃を想定してはいないとするものの、念頭にあるのは中国による台湾侵攻であろう。政府が「有事」を強調しながら、南西諸島で自衛隊配備を強化したり、住民の避難計画を進めたりしている流れに呼応している。
3.国境に近い島々の不安や懸念は理解できるが、過度な反応は周辺地域の緊張を高めることを忘れてはならない。
 したがって、沖縄タイムスは、有事を利用した日本政府の政策について指摘する。
1.南西諸島で防衛力の強化が進む中、国境に近い宮古や八重山の島々では住民の不安が高まっている。
2.有事の実態が見えないまま、政府は自衛隊の配備を強化し、それと一体に住民の避難計画の策定を急ぐ。
3.基地があるから、軍隊がいるからこそ、攻撃の的になることは歴史が証明している。平和外交と周辺地域との官民の交流が、何よりの抑止力となることをあらためて確認した
 この上で、沖縄タイムスは、最後に、日本政府に改めて次のことを突きつける。
1.政府は2022年12月に決定した「国家安全保障戦略」で、南西諸島の住民の速やかな避難計画の策定を打ち出した。24年度内の策定を目指している。
2.多良間村の避難計画を先行させているのは、受け入れ自治体を具体的に定めて23年度に前倒しすることで、全体の計画策定を加速させる狙いがある。
3.政府は実態の見えない脅威をあおるのではなく、国民に安心と安全を広げることに注力するべきである。有事を起こさせないための平和外交にこそ努めるべきである。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1311729 参照)


 はっきりしていることは、日本政府は、有事の実態は見えないままにも関わらず、住民の不安の高まりを利用して、自衛隊の配備を強化をし、それと一体として住民の避難計画の策定を急ぐ手法を取り入れている、ということ。


# by asyagi-df-2014 | 2024-03-15 19:23 | 安全保障 | Comments(0)

 沖縄-辺野古-高江から-2024年3月15日

 不条理。
 まさにこの言葉が全てを顕す。
 「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されている海兵隊のMV22オスプレイが14日午前、飛行を再開した。オスプレイが県内を飛行するのは昨年12月7日の飛行停止措置以来では初めて。防衛省は13日、再開準備が整った機体が14日から順次、飛行すると発表していた。普天間飛行場所属のオスプレイ1機が14日午前8時50分ごろ、同飛行場を離陸した。オスプレイが宜野湾市上空から沖縄本島西海岸に出て、海岸沿いを北上する様子も確認された。午前9時5分過ぎには別の1機も離陸した。」、と沖縄タイムス。
 沖縄からの当然の反応。
 「普天間飛行場を抱える宜野湾市の松川正則市長も不満を表明。市幹部は『安全対策をどんなに詳しく説明されても、入り口の事故原因を教えてもらえないのでは話にならない』と突き放した。」(沖縄タイムス)。
 「『当然、納得できない』。13日夕、日米の飛行再開の方針を県職員から伝え聞いた玉城デニー知事は記者団にこう述べ、不満をあらわにした。県幹部は『根本的な事故原因がないまま、一方的に再開と言われても受け入れられない』と、説明責任を果たそうとしない日本政府の姿勢に不快感を示す。」(沖縄タイムス)。

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。それは、捉え直しとして。
 2024年度も、改めて琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

(1)沖縄タイムス-【速報】米軍オスプレイが飛行再開 普天間飛行場を離陸 約3カ月ぶり 事故原因の詳細を明かさないまま-2024年3月14日 9:09

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されている海兵隊のMV22オスプレイが14日午前、飛行を再開した。オスプレイが県内を飛行するのは昨年12月7日の飛行停止措置以来では初めて。防衛省は13日、再開準備が整った機体が14日から順次、飛行すると発表していた。
2.普天間飛行場所属のオスプレイ1機が14日午前8時50分ごろ、同飛行場を離陸した。オスプレイが宜野湾市上空から沖縄本島西海岸に出て、海岸沿いを北上する様子も確認された。午前9時5分過ぎには別の1機も離陸した。
3.防衛省は13日、県や県内の基地周辺市町村などに、飛行再開の方針を説明。事故原因に関する詳細が明かされない中での再開は「納得できない」(松川正則宜野湾市長)などと、厳しい声が上がっている。
4.防衛省は「熟練のパイロットから優先的に飛行し、徐々に経験の浅いパイロットが飛行して練度を回復するなど、段階的に再開していく」としている。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1324700 参照 2024年3月14日)

(2)沖縄タイムス-玉城デニー知事「到底納得できない」 米軍オスプレイ、きょう14日にも飛行 事故原因の詳細は明かさず(東京報道部・新垣卓也、政経部・山城響、北部報道部・玉城日向子)-2024年3月14日 5:26

1.防衛省は13日、米軍普天間飛行場を含む在日米軍の輸送機オスプレイが、14日にも飛行を再開すると発表した。準備が整った機体から順次、基地内でのホバリングのほか、基地周辺の民間地上空を飛ぶ見通し。防衛省は13日、県内外の関係自治体に方針を説明した。詳しい事故原因が明かされない中での再開で、県内から「納得できない」と厳しい声が上がった。(東京報道部・新垣卓也、政経部・山城響、北部報道部・玉城日向子)
(宜野湾市長「不安の払拭にはならない」)
1.防衛省は、県や県内の基地周辺市町村を含む全国の自治体などに、直接説明したり、通知したりした。14日以降も続ける。玉城デニー知事は13日、説明が不十分として「到底納得できず、認められない」と県庁で記者団に述べた。
2.海兵隊MV22オスプレイ計24機が配備された米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の松川正則市長は「不安の払拭にはならない」と強調。オスプレイが訓練するキャンプ・シュワブのある名護市の渡具知武豊市長も「詳細な原因に説明がない。不安が払拭されず、再開は理解しかねる」と指摘した。
3.空軍オスプレイが利用する嘉手納基地のある嘉手納町の當山宏町長は「不安が解消されず、再開を認める状況にはない」と飛行再開に反対した。
(熟練のパイロットから飛行)
1.防衛省は「熟練のパイロットから優先的に飛行し、徐々に経験の浅いパイロットが飛行して練度を回復するなど、段階的に再開していく」と説明している。
2.飛行停止措置の解除からわずか6日後の再開となることに「各部局を含め日米双方で緊密に調整した結果であり、米側の要求に従ったからではない」と強調。「自治体からの厳しい声を受け止め、より理解していただける努力をしたい」とコメントした。
3.一方、陸上自衛隊のオスプレイも14日以降、準備が整った機体から飛行を開始する。具体的な再開時期は明示されていない。
4.米軍は鹿児島県・屋久島沖で昨年11月29日に起きた墜落事故を受け、世界中でオスプレイ全機の飛行を停止したが、今月8日に停止措置を解除した。米軍は事故原因となった部品の不具合を特定したと日本側に説明するが、詳細を明かしていない。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1324522 参照 2024年3月14日)

(3)沖縄タイムス」-「話にならない」地元軽視に不満募る オスプレイ、事故の説明なく飛行再開へ 防衛省「米軍から圧力は受けていない」。(東京報道部・新垣卓也、中部報道部・平島夏実、政経部・山城響、又吉俊充)
-2024年3月14日 5:41-[ニュース断面]

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.米軍オスプレイの飛行停止解除から1週間足らず、日米は14日からの飛行再開を決めた。「米軍として早く運用を元に戻したい」(日本政府関係者)との背景もあるが、沖縄県内から異論が噴出。防衛省は説明を続ける構えだが、根本原因は明らかにされないままで、地元にはさらなる不満が鬱積(うっせき)する。(東京報道部・新垣卓也、中部報道部・平島夏実、政経部・山城響、又吉俊充)
2.「圧力を受けた、米軍の要求に従った、ということではない」。13日夜、飛行再開方針について、東京で報道陣に対応した防衛省の担当者はこう話し、「双方の議論の結果だ」と語気を強めた。
3.同日の沖縄防衛局から県内自治体への説明は、これまで伝えられた内容に終始。事故原因など新事実はなく、「基本的な部分の説明が今回も十分ではなかった」(當山宏嘉手納町長)と厳しい指摘が上がった。
(政府「運用再開は待ったなし」)
1.政府関係者の一人は「470機以上のオスプレイを保有する米軍にとって、数カ月にわたる飛行停止の影響は甚大だ」と強調。「東アジアや中東など国際情勢が日々変化する中、完全な運用再開は待ったなしだ」と解説する。
2.普天間飛行場を抱える宜野湾市の松川正則市長も不満を表明。市幹部は「安全対策をどんなに詳しく説明されても、入り口の事故原因を教えてもらえないのでは話にならない」と突き放した。
(宜野湾市長、防衛局を訪問へ)
2.松川市長は3月市議会の会期後、防衛局を直接訪れると決定した。この幹部は「少しでも事故原因に関する情報を得ようとする市長の覚悟の表れだ」と語る。
2.「当然、納得できない」。13日夕、日米の飛行再開の方針を県職員から伝え聞いた玉城デニー知事は記者団にこう述べ、不満をあらわにした。
3.県幹部は「根本的な事故原因がないまま、一方的に再開と言われても受け入れられない」と、説明責任を果たそうとしない日本政府の姿勢に不快感を示す。
(予防措置が新システムなのかは不明)
1.防衛局から直接話を聞いた県基地対策課の担当者も疑念は晴れない。防衛局側は、機体の安全対策を繰り返した。今回の事故原因となった特定の部品で異常が起きても、システムが探知するため「予防措置が可能」と主張したという。
2.ただ、今回の墜落事故を受けて新たに導入されたシステムなのかは説明がないまま。「従来あるシステムであれば、そもそも今回の事故も防げたのでは。肝心な情報がない」と嘆いた。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1324560 参照 2024年3月14日)

(4)沖縄タイムス-陸自オスプレイから部品が落下、公表せず 千葉沖か 佐賀移転に伴う空港工事発表の翌日 本紙の開示請求で判明(社会部・塩入雄一郎)-2024年3月14日 5:08

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.陸上自衛隊のV22オスプレイが昨年7月、訓練飛行中に部品を落下させていたにもかかわらず陸自が公表していないことが、13日までに本紙が防衛省に情報開示請求して開示された文書で分かった。陸自のオスプレイが部品を落下させたのは初めて。航空自衛隊や海上自衛隊は部品落下事案について基本的に全て公表しており、専門家は「公表しないのは隠蔽(いんぺい)に他ならない」と批判している。(社会部・塩入雄一郎)
2.開示された文書は、陸自の航空安全班が昨年7月11日に陸自トップの陸上幕僚長への報告資料として作成したもので、表題は「V-22からの物件落下(疑い)について」。文書によると、同日午前9時53分に千葉県の木更津飛行場を離陸し午後3時20分に着陸したオスプレイから、左エンジンの「クリックスタッド」と呼ばれる留め具とナット、配線の一部が脱落していた。飛行経路は飛行場周辺や房総半島沖という。
3.陸上幕僚監部によると、当該機の飛行停止は行わず、訓練は通常通り実施。脱落の原因は留め具を固定する接着剤が剥がれたことによるもので、再発防止策として接着状態を触手点検で徹底しているという。
4.第1ヘリコプター団長が公表しないことを決めた。落下に伴う注意灯の点灯が洋上だったため、外部に及ぶ影響が少ないと判断したからだという。
5.ただ、部品が落下したのは、九州防衛局がオスプレイ移転先の佐賀空港の夜間工事を発表した翌日。同空港への配備計画に影響を考えて公表しなかったかについては「全くそのような事実はない」としている。
6.陸自は公表基準として「外部に及ぼす影響が大きい場合」としている。今年2月8日には那覇市の陸自第15旅団が、CH47JAヘリから約5グラムのプレートが飛行中に落下した可能性があるとして発表していた。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1324613 参照 2024年3月14日)

(5)琉球新報-【速報】オスプレイが飛行再開 墜落事故で運用停止は約3カ月 宜野湾市普天間-2024年03月14日 10:12

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.昨年11月に鹿児島県・屋久島沖で墜落事故を起こし、全世界で運用を停止していた垂直離着陸輸送機V22オスプレイについて、米軍は14日午前8時51分、宜野湾市の普天間飛行場に駐機していた2機の飛行を再開した。最初の1機が8時51分にホバリングし、53分に基地の外に飛び立った。午前9時ごろ、読谷村沖での飛行が確認された。続いて2機目も9時9分に飛行場を離陸した。普天間飛行場でのオスプレイの飛行は屋久島沖墜落事故以降、98日間停止していた。
2.日米両政府は安全対策を実施し「準備が整ったものから順次飛行を開始する」ことを確認し、沖縄防衛局は13日に飛行再開方針を県と那覇市、宜野湾市、名護市、嘉手納町に伝達していた。
3.那覇市上空でも飛行が確認された。防衛省の説明では、飛行再開の当初はホバリングなど基地周辺での習熟飛行が想定されていた。
4.県内には米軍普天間飛行場に海兵隊仕様のMV22が24機配備されているほか、米軍嘉手納基地にも海軍仕様のCMV22が3機駐機している。
5.玉城デニー知事は「こうした説明をもって飛行が再開することは到底納得することはできない」と反発し、配備撤回を求めていく考えを示していた。
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-2897530.html 参照 2024年3月14日)

(6)琉球新報-【独自】自衛隊、未明にミサイル発射機を運び込み 勝連分屯地へ公道で輸送 沖縄(金盛文香)-2024年03月14日 07:44

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.【うるま】うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地への地対艦誘導弾(ミサイル)部隊配備に向け、防衛省・自衛隊は14日未明、12式地対艦ミサイルの発射機を積んだと見られる車両を同分屯地へ運び入れた。地対艦ミサイル部隊発足は沖縄本島で初めてで、12式地対艦ミサイルを本島に搬入するのも初。
2.午前1時40分から同2時頃にかけて、自衛隊車両12台が静かに勝連分屯地へと入った。うち5台はトレーラーで、4台は荷台の積載物にカバーをかけ、1台はクレーンのようなものを積んでいた。発射機を輸送したと見られる。
3.地対艦誘導弾(ミサイル)部隊配備に向け、防衛省・自衛隊は10日に中城湾港にトラックやトレーラーを陸揚げした。11日には、航空自衛隊のC2輸送機1機が那覇空港に着陸し、発射機を輸送した。(金盛文香)
(https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2897412.html 参照 2024年3月14日)

(7)琉球新報-嘉手納基地でのパラシュート降下訓練、沖縄県が中止求める 国は「例外的」と容認(沖田有吾)-2024年03月14日 05:00

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.米空軍が14日に嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を計画していることについて、県は13日、沖縄防衛局と外務省沖縄事務所、米空軍第18航空団に対して、訓練を実施しないよう求めた。
2.県によると国側は、伊江島補助飛行場の滑走路が整備されておらず使用できないことなどから「例外的」として容認する姿勢を示した。古堅圭一基地対策統括監は、沖縄防衛局に対し「可能ならば日本側の予算で(滑走路の)応急処理の実施を検討できないか」と求め、防衛局担当者は「本省、政府内で共有したい」と回答したという。
3.県側は口頭で「訓練が実施されるたびに日米両政府に厳重に抗議しているにもかかわらず、新たに訓練計画が判明したことは、県民の思いをないがしろにするもので大変遺憾だ」と指摘した。(沖田有吾)
(https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-2896909.html 参照 2024年3月14日)

(8)琉球新報-オスプレイ飛行再開に「許しがたい」 沖縄県の玉城デニー知事-2024年03月14日 15:37

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.沖縄県の玉城デニー知事は14日、那覇市の県庁で会見を開き、米海兵隊が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛行を再開したことに「強い憤りを禁じ得ない」として、抗議するとともに、米軍と日米両政府に対してオスプレイの配備撤回を強く求めていくとした。
2.飛行を再開した初日から、基地の外の市街地上空を通過したことについて「あり得ないと思う。ホバリングやナセルの具合を確かめてみるなど段階的な調整のステップはあるだろう。いきなり普天間近くの住宅地の上空を飛ばし、憤りを禁じ得ないやり方で訓練を再開させた」と批判した。
3.13日の沖縄防衛局から県への説明の際に、県の担当者が「陸上自衛隊のオスプレイは飛行場周辺の飛行から再開するとあるが、米軍はどうなのか」と質問し、防衛局は「後日回答する」と答えたという。
4.玉城知事は「把握していないことに許可を与える防衛省の姿勢に問題があると厳しく問わなくてはいけない」と指摘し、沖縄の声がないがしろにされている状況に「今の防衛省の対応は本当に不条理極まりない」と話した。
(https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-2898637.html 参照 2024年3月14日)

(9)琉球新報-沖縄・嘉手納基地でパラシュート降下訓練 地元反対の中、4カ月連続の強行(石井恵理菜)-2024年03月14日 15:43

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.米軍は14日、嘉手納基地で4カ月連続となるパラシュート降下訓練を実施した。県や地元自治体が嘉手納での訓練に反対する中、強行した。
2.午後3時34分、MC130特殊作戦機から複数の兵員が降下し、基地内に着地した。
3.県は13日に沖縄防衛局と外務省沖縄事務所、米空軍第18航空団に対して、訓練を実施しないよう求めたばかり。
4.地元の嘉手納町議会は、15日に沖縄防衛局を全議員で訪れ、度重なるパラシュート降下訓練などについて抗議する予定だ。
5.パラシュート降下訓練は原則、伊江島補助飛行場で実施することになっているが、伊江島の滑走路の状態悪化を理由に昨年12月から「例外的」に嘉手納で訓練を実施している。補修工事完了の時期は示されておらず、訓練が長期化する可能性もある。
(https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2898500.html 参照 2024年3月14日)

(10)琉球新報-宮古島沖ヘリ墜落 機器異常か人的ミスか特定できず 陸自が調査結果公表 飛行全面再開へ(明真南斗)-2024年03月14日 16:12

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.【東京】昨年4月に宮古島市沖で発声した陸上自衛隊ヘリコプターUH60JAの墜落事故について、陸自は14日、両方のエンジン出力がそれぞれ別の要因で低下したとする事故調査の結果を公表した。
2.右側のエンジン出力が低下した要因は、エンジン制御系統、または関連する空気圧ラインの一時的な異常(漏れや詰まり)によって徐々に出力が低下していく「ロールバック」と呼ばれる現象が起こったと推定。左側については機体の不具合として二つの可能性に加えて人為的ミスの可能性の計3パターンに絞ったが、特定には至らなかった。同型機の飛行は安全対策を実施した上で全面的に再開する方針を示した。
3.森下泰臣陸上幕僚長が14日の記者会見で概要を明らかにした。高度約330メートルで飛行していた際に、まず右側エンジンの出力が低下した。出力低下が緩やかだったことから「ロールバック」の可能性が高いと推定した。
4.ロールバックという現象は「非常にまれな事象」と位置付けた。事故調査まで陸自もメーカーも把握しておらず、取扱書にも記載がなかった。調査を進める過程で、米国で事例1件を確認したという。ロールバックの可能性を踏まえた緊急操作手順を取扱書に記載することにした。
5.右側のエンジン出力低下が始まってから37秒後、もう片方の左側エンジンの出力が低下し始めた。両方のエンジン出力が低下すると機体の高度も下がり続け、右側のエンジン出力低下が始まってから約90秒後に墜落したとみられる。
6.左側のエンジン出力が低下した要因については①エンジン制御に影響を与える部位の異常②エンジン出力に影響を与える部位の異常③搭乗員による操作の誤り|の三つの可能性に絞った。だが、いずれも証拠がなく、特定できないと結論付けた。
7.陸自は再発防止策として、事故につながった可能性のある部位の点検回数を増やすと説明した。操作に問題があった可能性も踏まえ、両方のエンジン出力が低下した場合の対応を詳しく取扱書に盛り込む。
(https://ryukyushimpo.jp/not-available-incidents-accidents/entry-2898551.html 参照 2024年3月14日)

(11)琉球新報-【独自】自衛隊、未明にミサイル発射機を運び込み 勝連分屯地へ公道で輸送 沖縄(金盛文香)-2024年03月14日 07:44

 琉球新報は、表題を次のように報じた。

1.【うるま】うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地への地対艦誘導弾(ミサイル)部隊配備に向け、防衛省・自衛隊は14日未明、12式地対艦ミサイルの発射機を積んだと見られる車両を同分屯地へ運び入れた。地対艦ミサイル部隊発足は沖縄本島で初めてで、12式地対艦ミサイルを本島に搬入するのも初。
2.午前1時40分から同2時頃にかけて、自衛隊車両12台が静かに勝連分屯地へと入った。うち5台はトレーラーで、4台は荷台の積載物にカバーをかけ、1台はクレーンのようなものを積んでいた。発射機を輸送したと見られる。
3.地対艦誘導弾(ミサイル)部隊配備に向け、防衛省・自衛隊は10日に中城湾港にトラックやトレーラーを陸揚げした。11日には、航空自衛隊のC2輸送機1機が那覇空港に着陸し、発射機を輸送した。(金盛文香)
(https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2897412.html 参照 2024年3月14日)

(12)沖縄タイムス-白紙撤回へ意見書提出 うるま陸自訓練場 県議会、防衛局長に(中部報道部・又吉朝香)-2024年3月14日 4:59

 沖縄タイムスは、表題を次のように報じた。

1.【うるま】うるま市石川のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を新設する計画で、県議会の代表が13日、沖縄防衛局に伊藤晋哉局長を訪ね、計画の白紙撤回を求める意見書を手渡した。伊藤局長は県議会が意見書を全会一致で可決したことを「重く受け止めている」との認識を示した。一方で「白紙撤回はない。土地取得後の利用の在り方を検討する」と従来の見解を繰り返した。
2.うるま市区選出の照屋守之県議は「20年間の県議人生の中で自衛隊施設の新設関連で要請したのは初だ。地元が納得しない中で予算を組むやり方はおかしい」と訴えた。
3.山内末子県議は「うるま市だけでなく、金武町区長会や県議会など反対の輪は広がっている」と説明。当初想定していたヘリの離着陸や空包を用いた訓練を実施しないと方針転換したことに触れ「県民の怒りを沈静させようとする国の魂胆や計画のずさんさが透けて見える」と批判した。
4.意見書では計画地周辺は閑静な住宅地で、県立石川青少年の家にも隣接していると指摘。「地元住民や自治会、うるま市、県にも知らされず発表される計画に動揺は隠せない」と地域の不安を訴えている。
5.2022年12月に政府が安全保障関連3文書で南西地域の防衛力強化を打ち出して以降、自衛隊関係施設整備で与野党が白紙撤回を求めるのは初めて。
6.要請には又吉清義県議、渡久地修県議らも同席した。県議団は今月下旬に木原稔防衛相への要請に向けて調整を進めている。(中部報道部・又吉朝香)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1324561 参照 2024年3月14日)


# by asyagi-df-2014 | 2024-03-15 06:29 | 沖縄から | Comments(0)

米海軍仕様輸送機CMV22オスプレイが「運用に適していない」、との報告書。(3)

 米国防総省の運用試験・評価局がまとめた報告書が明らかになった。
 この報告書では、「米海軍仕様の輸送機CMV22オスプレイについて、機体に氷が付着するのを防ぐ防氷装置など多数の不具合があるとし、『運用に適していない』と海軍に勧告していた」(琉球新報)、というのである。
 この「報告書」の記事を読んだ時、すぐに浮かんできたのは、次のことである。

 「米国からの危険性についての詳細な『連絡』はない、ということが日本政府の対応になるのか。」、ということ。

このことに関して、沖縄タイムスは2024年2月22日、「海軍オスプレイ不適 もはや飛行はあり得ぬ」、と社説で論評した。
 この社説で、このことを捉え直す。
 沖縄タイムスは最初に、「米軍オスプレイの構造的な問題を公式に認めた報告書だ。オスプレイについてはこれまでも欠陥が見つかっており、もはや修繕すればいいというレベルではない。」、と突きつける。
 どういうことが問題なのか。
 沖縄タイムスの指摘。
1.米国防総省の運用試験・評価局が海軍に対し、同軍仕様のCMV22オスプレイの防氷装置などに多数の不具合があるとして「運用に適していない」と繰り返し勧告していたことが明らかになった。
2.任務中止などに至った不具合の44%が防氷装置関連によるものであることや、整備時間が長過ぎることなどを主な理由としている。
3.高度が上がると気温が下がり氷が付着するため航空機には氷を除去したり、防いだりする装置が備えられている。防氷装置が機能しなければ最悪の場合、墜落する危険性があるという。装置の不具合は大きな事故につながりかねない。
4.評価局は2022年、海軍に対し修正を促す報告書を出した。しかし改善が見られなかったため、今年1月に米連邦議会に提出した年次報告書で改めて勧告した。
5.米軍機の評価で「運用に適さない」との判断はまれだ。2度の勧告は問題の大きさを示している。本来なら海軍はすぐに運用を停止すべきだった。
 では、この報告書が、どの様な意味を持つのか、ということへの指摘。
1.CMV22は勧告後も度々県内に飛来し、現在も複数機が嘉手納基地にとどまっている。日本政府は安全性の確認を急ぐべきだ。
2.オスプレイは海兵隊や空軍、陸上自衛隊でも運用しており構造はほぼ同じだ。防氷装置の不具合は全ての機体に共通するとの指摘もあり看過できない。
 ここで、オスプレイの事故状況を確認する。
1.昨年11月に起きた鹿児島県・屋久島沖の米空軍CV22オスプレイ墜落事故については、米軍がギアボックスの不具合の可能性を検証していると米大手メディアが報じた。
空軍は20日、事故の際に発生した機器の故障を特定したと発表したものの詳細は明らかにしていない。
2.オスプレイは左右両側にエンジンとプロペラがあり、ギアボックスが付いている。中から金属片が見つかったケースが22年7月以降で少なくとも7件あったという。
3.昨年6月にはハワイで訓練していた海兵隊のMV22が、ギアボックスの不具合で緊急着陸した。陸自のV22でもギアボックスの警告灯が点灯して航空自衛隊静浜基地(静岡県)に予防着陸する事態が昨年8月に発生している。
4.耐用年数に達していなくても金属片が発生するケースがなぜ出ているのか。原因究明と説明が求められる。
 沖縄タイムスは最後に、オスプレイの日本での運用に関して、次の見解を明確に示す。
1.8人もの犠牲者を出した屋久島での墜落事故を受け米軍は、昨年12月6日から全てのオスプレイの飛行を停止。陸自も飛行を見合わせている。
2.事故調査の結果が出れば数週間以内にも再開の可能性があるとの見方もあるが、機体に構造的な欠陥があることは明らかで一部の修理や機器交換では不十分だ。
3.オスプレイは製造段階から重大な事故による乗務員の死亡が相次いで発生している。
4.日米両政府はオスプレイの運用を停止すべきだ。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1312386 参照)

 改めて、「米国からの危険性についての詳細な『連絡』はない、ということが日本政府の対応」になってはいけない。


# by asyagi-df-2014 | 2024-03-14 19:17 | 安全保障 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人