菊池事件の再審拒否に対して、元患者が熊本地裁に国賠提訴を起こす。(4)

 毎日新聞は2017年8月30日、「ハンセン病患者とされた熊本県の男性が殺人罪などに問われ、無実を訴えながら裁判所外の隔離された特別法廷で死刑判決を受けて執行された『菊池事件』で、元ハンセン病患者6人が29日、無罪となるべき男性について検察が再審請求しないため精神的苦痛を受けたとして、国を相手取って1人当たり10万円の慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を熊本地裁に起こした。」、と報じた。
このことについて、熊本日日新聞は2017年8月30日、「ハンセン病患者とされた男性が1952年に殺人事件を起こしたとして、事実上非公開の特別法廷で死刑判決を受けた『菊池事件』は、62年の死刑執行から間もなく55年となる。男性が無実を訴えた事件の本質を問い続け、再審を目指して熊本地裁へ提訴した意義を、弁護団代表と学識者に聞いた。」、と「菊池事件・国家賠償が問うもの」(下)-【菊池事件・国賠訴訟が問うもの】(下)誤判の是正、検察の責務-を掲載した。
この国家賠償請求訴訟償の「男性が無実を訴えた事件の本質を問い続け、再審を目指して熊本地裁へ提訴した意義」を熊本日日新聞で考える。
 熊本日日新聞は、内田博文・九州大名誉教授(刑事法学)への質問とその回答を次のように載せる。


(1)-提訴理由の一つに、男性が死刑判決を受けた「特別法廷」の違憲性を挙げています。:
 「ハンセン病を理由に隔離施設内に設けられた事実上非公開の特別法廷で裁かれた患者らは当時、公開の場で裁判を受ける権利を保障した憲法の外側に置かれていた。特別法廷は日本国憲法下で最大の人権侵害の一つといえる」
 「最高裁は特別法廷の違法性を認めて謝罪したが、手続きが違法なら、判決にも影響を与えるというのが国際的な考え方だ。ハンセン病問題基本法は被害救済や再発防止を公務員や国に義務付けており、刑事訴訟法も検察官に対し、誤った判決を正すために再審請求する権限を与えている。検察はその職務を果たす責務がある」
(2)-最高検察庁は3月、特別法廷に関与した責任を認めて謝罪しましたが、菊池事件の再審請求はしないと回答しました。:
 「再審請求しない理由について、検察側はほとんど説明していない。菊池事件など個別の裁判について、被告らの名誉回復を図ったわけでもない。今回の国賠訴訟で、検察官に証人尋問に出てもらい、判断の理由を聞くことも考えられる」
(3)-今回の裁判では、元患者らが原告になりました。:
 「元患者らは、ハンセン病というだけで差別的な特別法廷の被告席に座る可能性があった。男性と同様に人権が侵害される不安定な立場に置かれ、共通の精神的な損害を受けたという考え方だ」
(4)-弁護団は今回の裁判を通して、国民に問題提起したいとも語っています。:
「司法判断の誤りを是正する国の義務が現行法の下で認められないということであれば、法律に問題があるということ。是正する義務は国会や国民にもある。裁判と並行して国会議員へ立法措置などを働き掛け、国民に問い掛けたい」
(5)-日本の再審制度にも問題があると指摘しています。:
 「裁判の誤りは国家として最大の誤りで、是正に終わりはないはずだ。それなのに有罪判決を受けた当事者や一部親族などに請求する権利を限定しているのは問題。彼らがいなくなれば、裁判の誤りを正すことが困難になるからだ。憲法違反でさえ請求の事由になっていない。各都道府県の弁護士会長が再審請求できるようにする制度作りも考えられる」


 前回、徳田弁護士の指摘から、この国家賠償請求訴訟の目的をまとめた。
 今回の内田教授の指摘を、これに加えると次のようになる。


Ⅰ.特別法廷がいかにひどいものだったか、違憲だったかを明らかにすること。それは、、「ハンセン病を理由に隔離施設内に設けられた事実上非公開の特別法廷で裁かれた患者らは当時、公開の場で裁判を受ける権利を保障した憲法の外側に置かれていた。特別法廷は日本国憲法下で最大の人権侵害の一つ」であることを明確にすること。
Ⅱ.特に、ハンセン病への差別偏見が社会に根付いてしまった原因の一つは、憲法の守り手である最高裁がハンセン病隔離政策の一環として特別法廷を許し続けたことにあることを明らかにすること。
Ⅲ.たとえ判決で再審請求が認められなくても、男性の無実と、ずさんな事実認定で死刑判決が出されたことを示すこと。このことは、元患者らが原告になった意味を明らかにすることでもある。それは、「元患者らは、ハンセン病というだけで差別的な特別法廷の被告席に座る可能性があった。男性と同様に人権が侵害される不安定な立場に置かれ、共通の精神的な損害を受けたと」ということ。
Ⅳ.いずれ遺族が再審請求したいと思った時に、可能になる道筋もつけておくこと。つまり、「裁判の誤りは国家として最大の誤りで、是正に終わりはないはずだ。それなのに有罪判決を受けた当事者や一部親族などに請求する権利を限定しているのは問題。彼らがいなくなれば、裁判の誤りを正すことが困難になるからだ。憲法違反でさえ請求の事由になっていない。各都道府県の弁護士会長が再審請求できるようにする制度」作りが必要であることを示すこと。
Ⅴ.菊池事件は、冤罪が生まれる恐ろしい構造も示していることから、菊池事件を放置しておくことは、日本の裁判所、法律家にとって汚点であることを認識する必要させる必要があること。特に、検察は、「最高裁は特別法廷の違法性を認めて謝罪したが、手続きが違法なら、判決にも影響を与えるというのが国際的な考え方だ。ハンセン病問題基本法は被害救済や再発防止を公務員や国に義務付けており、刑事訴訟法も検察官に対し、誤った判決を正すために再審請求する権限を与えている。検察はその職務を果たす責務がある」こと。さらに、「再審請求しない理由について、検察側はほとんど説明していない。菊池事件など個別の裁判について、被告らの名誉回復を図ったわけでもない。今回の国賠訴訟で、検察官に証人尋問に出てもらい、判断の理由」を明確にする必要があること。
Ⅵ.再審無罪をやり遂げない限り、日本の司法は本当の意味で信頼されるものにならないこと。だとするならば、やはり、「司法判断の誤りを是正する国の義務が現行法の下で認められないということであれば、法律に問題があるということ。是正する義務は国会や国民にもある。裁判と並行して国会議員へ立法措置などを働き掛け、国民に問い掛け」が必要であること。




# by asyagi-df-2014 | 2017-09-09 06:05 | ハンセン病 | Comments(0)

大分空港に緊急着陸のオスプレイ、11日目の離陸。

 朝日新聞は2017日9月8日、標題について、「大分空港(大分県国東市)に緊急着陸していた米軍輸送機オスプレイが8日、離陸した。防衛省から大分県に入った連絡によると、機体は米軍岩国基地(山口県岩国市)に着陸した。オスプレイは7日、左右のエンジンを交換した後、初めてプロペラを回したところ、左エンジン付近から発煙。8日午前に改めて整備し、同日午前1ログイン前の続き0時半すぎに大分空港を離陸した。緊急着陸後、エンジン交換や整備などを経て、11日目の離陸となった。」、と報じた。



# by asyagi-df-2014 | 2017-09-08 21:14 | 米軍再編 | Comments(0)

沖縄-辺野 高江-から-2017年9月8日

「県が17年ぶりに刷新した日米地位協定の改定要請書を日米両政府へ提出することが分かった。」、と沖縄タイムス。 
このことについては、「元米海兵隊員で軍属の男による女性暴行殺害事件やオスプレイ墜落など米軍基地に起因する事件・事故が相次ぐ中、改めて協定の問題点と本格的な改定の必要性を訴える狙いがある。」、と。
 地方の本旨の実行である。



 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年9月8日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-大分のオスプレイまた白煙 プロペラ回転中、米軍は8日離陸と通知-2017年9月8日 06:00


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「大分空港にエンジンの不具合で緊急着陸した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の輸送機MV22オスプレイについて、在日米軍が岩国基地(山口県岩国市)に向けて8日午前に離陸すると日本側に伝えていたことが分かった。政府関係者が明らかにした。」
②「普天間飛行場にはその後戻る見通しだが、詳細は固まっていない。7日は駐機中の機体でプロペラを回転させると2回、大量の煙が上がったのが確認されており、8日の離陸自体も不確定要素が残っている。」
③「オスプレイが緊急着陸したのは8月29日。在日米軍は7日、試験飛行を兼ねて岩国基地への離陸を予定していたが、整備作業が終わらなかったため8日に延期した。8日は昼前に離陸する見通しだが、機体の整備が長引いていてさらに延期される可能性もある。今回の緊急着陸では両翼エンジンの全部または一部を交換しており、深刻なトラブルの可能性もある。」
④「7日は午後2時すぎ、駐機中にヘリコプターモードで上にしたプロペラを回転させると、機体から2回、大量の煙が上がった。米海兵隊は『エンジンをかけた時には珍しいことではない』としている。」


(2)琉球新報-家に突然ヤンバルクイナが… 大宜味、テレビ横切る、幼鳥か-2017年9月8日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「沖縄県大宜味村田嘉里の宮城光明さん(68)宅に、絶滅危惧種で国の天然記念物に指定されているヤンバルクイナがこのほど突然現れた。ヤンバルクイナは国頭村安田などの民家の庭先で見かけることはたまにあるが、家の中にまで入ってくるのは珍しい。宮城さんは『68年間同じ家に住んでいて初めての出来事だった。ものすごい興奮した』と驚いた様子で話している。」
②「ヤンバルクイナが家の中に入ってきたのは7月18日午後2時半ごろ。宮城さんが家の中でソファに座ってテレビを見ていたら、1羽のヤンバルクイナがテレビの前を横切った。そのまま網戸にぶつかり、宮城さんがソファから立ち上がるとヤンバルクイナはテレビの後ろの隙間に隠れた。くちばしの色具合から、ことし生まれた幼鳥とみられる。」
③「初めての出来事に宮城さんは『こっちもびっくりした』と語る。家の裏が森になっており、外に放すと速足で逃げていったという。ヤンバルクイナが家の中に入ってきたとき、裏口は開けっ放しだった。」


(3)沖縄タイムス-辺野古新基地:1週間ぶり資材搬入 車両130台がシュワブに-2017年9月8日 13:55


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は8日午後1時までに、砕石を積んだダンプなど工事車両130台を米軍キャンプ・シュワブに入れた。資材搬入は旧盆休みを挟んで1週間ぶり。工事用ゲート前に座り込んだ抗議の市民が2度にわたって排除された。」、と報じた。
 また、「海上からは、シュワブ内の辺野古崎西側にある『N5』護岸建設予定地周辺などで仮設道路の工事をしているのが確認された。」、と報じた。


(4)沖縄タイムス-辺野古新基地:防衛局、ジュゴン調査申請 名護市は不同意 県、調査方法審査へ-2017年9月8日 12:15


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設工事を巡り、ジュゴンの生息調査へ向け沖縄防衛局が海底に録音装置を設置するため、国有財産法に基づく公共用財産使用協議を県に申請したことが、7日分かった。名護市は防衛局の意見照会に、基地建設へつながることなどを理由に計画には不同意と回答。県は、名護市など関係自治体の意向も参考に、国有財産法に基づき調査方法に問題がないかなどを審査する。」
②「調査は防衛局が2月6日から始めたジュゴン警戒・監視システムの一環。期間は県の同意を得た日から2020年10月31日までを予定している。これまでジュゴンの生息や移動が確認された今帰仁村古宇利、国頭村辺戸、名護市安部、嘉陽の4地域、18地点の海底に長さ約1メートルの筒状の録音装置などを設置。鳴き声を拾い、ジュゴンがどこに生息しているか調べる。一方、県は、鳴き声による調査の実効性を疑問視している。」
③「防衛局はことし7月、調査対象となる名護市と国頭、今帰仁、大宜味の3村に計画への意見を求めていた。名護市を除く3村は計画に同意。8月17日に防衛局は3村の回答をもって、県に協議を申請していた。公共用財産使用協議を巡っては、防衛局が幼サンゴの着床状況調査を目的に、6月21日付で県に協議を申請しているが、県はまだ同意するかどうか判断していない。県はサンゴ調査について近く、防衛局に再質問する。」


(5)沖縄タイムス-日本側に捜査権を 翁長知事、日米地位協定改定求め上京へ-2017年9月8日 09:58


 沖縄タイムスは、「沖縄県の翁長雄志知事が11日に上京し、県が17年ぶりに刷新した日米地位協定の改定要請書を日米両政府へ提出することが分かった。外務、防衛両省のほか在日米国大使館を訪れ、基地外で事件・事故が発生した際の日本側捜査権など新たな要求項目を提示する。」
②「県はこれまで日米両政府に対し、協定の抜本改正を繰り返し求めてきたが一度も実現していない。元米海兵隊員で軍属の男による女性暴行殺害事件やオスプレイ墜落など米軍基地に起因する事件・事故が相次ぐ中、改めて協定の問題点と本格的な改定の必要性を訴える狙いがある。」
③「新たな改定項目では、昨年12月に名護市安部の海岸へオスプレイが墜落した際に日本側が事実上調査できなかった経緯を踏まえ、米軍施設外の事件・事故での日本側による捜査や差し押さえの権利を求める。第1条関係では米軍構成員と軍属、家族の総数などの提供を要求。密室性の高い日米合同委員会では第25条関係で、周辺住民に影響を及ぼす事項を協議する場合は関係自治体の意見を聞き、意向を尊重するよう明記することも求めている。」
④「また、県は7日、県と基地を抱える市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)の幹事会に新改定書を提示した。10月にも開く総会を経て、軍転協の新たな改定項目になる見通しだ。」
⑤「県は今年4月に新たな改定案をまとめ、県内市町村から上がった意見を踏まえ新たな改定項目を策定した。」


(6)沖縄タイムス-オスプレイ「このまま沖縄に戻ってくるのか…」 県、説明ない米軍に不信感-2017年9月8日 10:48


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「大分空港に駐機する米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のオスプレイが、試験飛行を予定していた7日も離陸を延期したことに、沖縄県幹部は『まともな整備すらできていない』と米軍へ強い不信感を示した。」
②「緊急着陸から9日を経過しても試験飛行すらできない現状に、幹部の一人は『構造的な問題があると言わざるを得ない』と指摘。試験飛行前に再び機体から白煙が上がったことに『正常でないのは明らかで、欠陥機は飛ぶべきではない』と批判した。」
③「県は緊急着陸を受け、米側へ原因究明までの飛行停止を要請しているが、これまでに原因の説明はない。別の幹部は『説明もなく沖縄へ戻ってくることは許されない。県も宜野湾市も黙っていないだろう』と述べ、引き続き飛行停止などを求める考えを示した。」


(7)琉球新報-岩国で再点検か、防衛相が指摘 緊急着陸オスプレイが離陸-2017年9月8日 12:30


 琉球新報は、「【東京】小野寺五典防衛相は8日の閣議後会見で、大分空港に緊急着陸していた米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが米軍岩国基地に飛行したことについて、岩国基地で再点検する可能性を指摘した。普天間飛行場に戻る時期の連絡は受けていないという。小野寺氏は『今回の整備は心配される方も多い。飛行は安全に万全を期すようこれからも米側に申し入れていきたい」と指摘した。普天間飛行場に戻る時期について『岩国でもう一度しっかり点検して安全を確保した上で普天間の方に行くのではないかと推察するが、まだ米側からそこまでの詳しい説明は受けていない』と述べ、岩国で再点検した上で普天間飛行場に戻ると推測した。このオスプレイは8月29日に大分空港に緊急着陸した。米軍は7日までエンジンを交換するなど整備を続けていた。日本側に8日午前に飛行すると伝えていた。」、と報じた。




# by asyagi-df-2014 | 2017-09-08 20:01 | 沖縄から | Comments(0)

金平茂紀の新・ワジワジー通信(28)「沖縄めぐる多事争論を 混迷の今だからこそ必要」を読む。

 沖縄タイムスは、金平茂紀の新・ワジワジー通信(28)を2017年8月30日 に掲載した。
 金平は、「沖縄めぐる多事争論を 混迷の今だからこそ必要」とする。
 辺野古の新基地建設を阻止するために、じっくり読み込むこむ必要がある。
「ウチナンチューでもない僕がこんな文章を『ワジワジー通信』に書いている。正直、複雑な気持ちが消えない。」という金平は、「何でも隠したがる、なかったことにする。とかく隠蔽(いんぺい)体質が強い日本社会において、論争が活発になること自体は喜ばしいことだ。9年前に他界した筑紫哲也キャスターのモットーは『多事争論』だった。福沢諭吉の【文明論之概略】からとられた言葉だ。ワジワジーすることが多い今だからこそ、大いに口角泡を飛ばして論じ合うことには価値がある。」、と話を次のように展開する。


(1)辺野古の新基地建設工事を具体的にどう止めるか。沖縄には独立という選択肢が本当はどれくらいあるのか。ウチナーグチを語り継ぐにはどうしたらいいか。子どもの貧困は数字的には沖縄が一番ひどいが実情はどうなのか。果てはキジムナーは実在するのかどうか…。もともと沖縄にはユンタクの伝統があったはずだ。何でもわいわい話すことで答、出口をみつける。
(2)そこで沖縄を舞台に交わされた最近の論争で、関心を引かれたことを書きとめておきたい。黙っているのが一番よくないのだから。
(3)ひとつは、「オール沖縄」の今後の行方をめぐる本質的な論争の一つだと思うが、カナダ在住の編集者で幅広い社会運動のアクティビストでもある乗松聡子氏と、沖縄法曹界の重鎮・新垣勉弁護士との間で、本紙においてこの春交わされた論争だ。辺野古新基地建設をめぐって、翁長雄志知事の埋め立て承認「撤回」という切り札がなぜ使われないのか、その戦術的評価をめぐって両者の姿勢の違いが鮮明になった。さらに、辺野古新基地建設反対をあらためて表明するべく「県民投票」を実施しようというプランの評価をめぐっても両者の姿勢は大きく食い違った。
(4)こんなふうに書いてもなかなか伝わらない読者のために、あえて乱暴に言い分を整理すると、乗松さんは、日々埋め立て工事が進み大浦湾の海底が破壊され続けている事態下では、「撤回」を翁長知事が即刻行うことが何より大事だと主張していた。「民意」はもうイヤと言うほど示されてきたではないか。いまさら県民投票をやっても政府がまた無視するのは火を見るより明らかではないか。大体、県民投票の実施に何カ月もかけていたら、その間に国は「既成事実」をどんどん積み上げていくだけだ。翁長知事の「撤回」回避は、政治力学に翻弄(ほんろう)された結果で、基地阻止とは逆方向を向いているのではないかと主張した。
(5)これに対して、新垣氏は、乗松氏の主張の根っこにあるのは「いら立ちと焦り」と指摘した上で、乗松氏には、知事がすぐに「撤回」に踏み切れない「県の苦悩を洞察しようとする視点がない」ときびしく批判する。新垣氏によれば、県は現状では『撤回』を行うための理由は弱いと考えており、撤回理由となり得るのは、工事の諸行政手続き「違反」と「民意」の2点なのだから、ここは「粘り強く辛抱を重ね、裁判で勝ち抜くだけの法的理由を固めた上で『撤回』を行うべきである」と説く。県民投票については、「知事が『撤回』を決断しやすい政治的環境を準備することになる」とポジティブに位置づけている。
(6)この論争は沖縄タイムス文化面の担当者の判断で一時中断になったようだが、双方の主張には非常に重要な論点が含まれているように思う。
(7)論点を拾い出そう。ひとつは司法=裁判にどこまで望みを託せるかをめぐる認識の違いだ。弁護士である新垣氏はあくまでも裁判での勝利にこだわる。「裁判至上主義ではないか」との声が聞かれるほどだ。新垣氏は、福岡高裁那覇支部の違法確認訴訟の判決を例示しながら記す。「『撤回』をめぐる訴訟も今後同一の裁判所に継続する(中略)同判決は県民の民意につき、『民意は新基地建設に反対である』との認識に立たなかった。(中略)この状況を踏まえると、裁判官を説得するための新たな方策が必要となる。その最も効果的な方法が『新基地建設の是非』を問う県民投票である。乗松意見には一貫してこの視点がない」。僕は実はこの部分を読んであっと驚いた。あのような判決を下した福岡高裁那覇支部=司法にまだ期待をつないだ上に、裁判官を説得するため民意による外からの後押し=県民投票を考えるという思考経路に対してである。今、司法がどのような惨状をきたしているかについての両者間のすさまじいギャップ。冷徹な認識に立つならば、現在の司法が米軍基地建設にノーの判断を下す可能性は皆無に近いのではないのか。これをどう考えるか。率直に論じられた方がよくないか?
(8)もうひとつは古くて新しい論点。政治と社会運動・表現のあいだの従属関係、指導する側・される側の関係、組織分裂を極端に恐れるが故の「統制」をめぐる諸問題だ。いつのまにか政治が一段高い位置から民衆を導いていくという図式に陥っていないか。乗松氏の主張の根底には、新基地建設を止めなければそもそも何のための政治組織か、何のための「オール沖縄」か、という非常にせっぱ詰まった認識がある。言うまでもないが、県民大会の主人公は県民であって、県知事や組織ではない。同じように県民投票の主人公も県民であって、知事の「撤回」決断をしやすくするための環境作りという発想は、政治優位の思考に陥っていないか。日本全体のさまざまな社会運動にも共通する。
(9)そして最後の論点は多様性の確保。これがとても大事な論点なのだが、世代や階層、性別、意見の違いを超えてなお、それらを〈包摂〉する多様な運動のありようをどうつくっていくか。言うは易し、だが最も困難な課題だ。僕は率直に思う。沖縄の基地建設反対運動は今、深刻な閉塞(へいそく)状況に陥っているのではないか。運動のありようも単色化していないか。つまり魅力を欠いていないか。若者たちが近づきにくくなっていないか。沖縄の「民意」も徐々に液状化してきている。NHKが今年4月に行った世論調査では、沖縄に米軍基地があることについて、本土復帰前に生まれた世代は「否定」が53%だったが、復帰後に生まれた世代では「容認」が何と65%、「否定」は30%にとどまった。
(10)「多様性」は沖縄にとっても大切な価値観だ。チャンプルーという発想は沖縄の柔軟な可能性を表している。でも何だか今、沖縄で自由に声をあげる空気がこわばってきていないか。「沖縄の言論の場は足の引っ張り合いに終始し、建設的に本音を語る土俵そのものが空洞化してしまっている」(那覇在住の作家・仲村清司氏)。乗松氏も新垣弁護士も、辺野古に新基地をつくらせてはならないという点では一致していたはずである。その間で論争が起きる。そこから真の問題点をつかみ取って次につないでいく。そのことこそが大事だと思うからこそ、ウチナンチューでもない僕がこんな文章を「ワジワジー通信」に書いている。正直、複雑な気持ちが消えない。


 「撤回」について、新垣弁護士の論理は明快であった。相手の論理の矮小さを気にしないでいることができればということではあったが。
 また、別の時、乗松聡子さんの沖縄タイムスでの主張は、すぐれて切実で具体的なものに写った。
だから、確かに、博くいろんなことを考える時期なのかもしれない。




# by asyagi-df-2014 | 2017-09-08 05:52 | 沖縄から | Comments(0)

大分空港に緊急着陸し、駐機中の米軍輸送機オスプレイはエンジンを動かしたところ、左エンジン付近から白煙。離陸はできないまま。

 朝日新聞は2017年9月7日、標題について次のように報じた。


(1)大分空港(大分県国東市)に緊急着陸し、駐機中の米軍輸送機オスプレイは7日も整備を続けた。同日午後2時すぎ、エンジンを動かしたところ、左エンジン付近から白煙が出ているのが確認された。その後、煙はおさまった。発煙の理由は分かっていない。
(2)同日午前、同空港で米軍と面会した共産党の大分県議によると、機体は同日午後3時ごろ、米軍岩国基地(山口県岩国市)に向けて離陸すると説明していたという。だが、大分県はその後、「米軍は本日の作業を終え、明日も整備作業をする予定」と発表し、機体は離陸しなかった。発煙と離陸していないことの関連は分かっていない。




# by asyagi-df-2014 | 2017-09-07 21:30 | 米軍再編 | Comments(0)

沖縄-辺野 高江-から-2017年9月7日

 嘉手納町議会は、「米軍普天間飛行場所属のオスプレイがオーストラリア沖で墜落した事故への抗議決議案と意見書案を全会一致で可決した。」、と沖縄タイムス。 
その理由は、「普天間飛行場所属のオスプレイが、たびたび嘉手納基地に飛来し、町域上空を飛行していると指摘。町内に陸軍貯油施設と弾薬庫地区を抱えていることを挙げ『常時危険と隣り合わせにあることから今回の墜落事故は町民の恐怖心をかき立てている』とした。」、と。
 この事実を、「県民の声を無視する県民軽視の米軍の姿勢に対して憤りを禁じ得ない」との叫びを、日本中が認識しなければならない。



 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年9月7日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-オスプレイ最終検査を開始 米軍、7日以降に試験飛行-2017年9月7日 01:19


 琉球新報は、「米軍は6日、民間専用の大分空港(大分県国東市)に8月29日にエンジントラブルで緊急着陸した普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機オスプレイについて、試験飛行に向けた最終検査を始めた。7日も継続する。大分県関係者が明らかにした。県などによるとオスプレイは、エンジンテストや滑走路走行などの最終検査後、試験飛行が成功すれば速やかに大分空港を離れる見通し。その後、米軍岩国基地(山口県岩国市)に向かうことを検討しているという。6日午後6時すぎ、操縦士が駐機させたままエンジンを始動すると大きな音が響き、機体上部から熱気が吹き出た。」、と報じた。


(2)琉球新報-保良鉱山に弾薬庫 宮古陸自配備 防衛省、最有力候補-2017年9月7日 05:00


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「【宮古島】宮古島市への陸上自衛隊配備計画で、ミサイルを保管する弾薬庫の設置場所に市城辺保良(ほら)の「保良鉱山」が有力候補となっていることが6日までに、複数の政府関係者への取材で分かった。防衛省は同保良にあるゴルフ場も候補地の一つにしていたが、市内の陸自配備賛成派の求めによって保良鉱山を最有力地とした。同省は10月下旬の市議会議員選挙への影響を考慮し、市議選後に公表するとみられる。鉱山の経営者と保良部落会長は賛否を明らかにしておらず、地元の対応によっては計画の進捗に影響が出る可能性がある。」
②「防衛省は当初、市平良の「大福牧場」周辺に弾薬庫を含んだ駐屯地を建設する計画だった。だが周辺は地下水保全区域に当たり、下地敏彦市長が地下水源への影響を懸念して反対したため断念した。」
③「複数の政府関係者によると、鉱山は地下水保全区域外に位置し、面積も6千平方メートル以上あり、地権者は経営者の親族ら比較的少人数のため土地の売買交渉に手間取らないと踏んだ。一方、防衛省は市城辺保良のゴルフ場も候補地の一つとして検討していた。だが市内の配備推進団体が『(千代田も含め)ゴルフ場が二つもなくなってしまうと、冬場の観光需要に影響が出る』と反対する意志を同省へ伝えた。」
④「鉱山を運営する宮古総合開発の砂川武雄社長は『何も聞いておらず驚いている。どう対応するか何も考えていない』と述べた。保良部落会の砂川辰夫会長は『何も打診がない。何とも言えないが、まずは説明会を開催してもらわないといけない』と話した。」


(3)沖縄タイムス-海保、宮古島に射撃訓練場 2018年度着工へ-2017年9月7日 15:15


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「【東京】海上保安庁は宮古島市城辺保良(ぼら)で、離島で初めてとなる射撃訓練場を整備することが6日分かった。早ければ2018年度着工、19年度完成を目指す。18年度予算概算要求で関連予算約2億円を計上している。現在約180人の宮古島海上保安部の職員を、18年度末までに約230人に増員する計画で、尖閣諸島周辺警備のための拠点機能を強化する。」
②「射撃訓練場の建設予定地は東平安名崎近くで、船舶の位置情報を確認する海保施設がある国有地。訓練場の面積は約700平方メートル。直線距離で約1・3キロ西側には採石場があり、防衛省が陸上自衛隊の弾薬庫や射撃場の整備候補地として検討している。現在、第11管区海上保安本部は射撃訓練のため沖縄本島にある県警などの施設を使っている。海保によると、人員増に伴い、効率的に訓練機会を確保するため島内での施設整備が必要という。同庁の射撃訓練場は全国に3カ所しかない。施設では射撃以外にも、領海に侵入した中国漁船の乗組員を想定した制圧訓練なども実施する見通し。」
③「海保によると、尖閣周辺での中国漁船や中国公船による領海侵入は14年208件、15年70件、16年104件で推移している。海保は尖閣諸島の領海警備体制の強化のため、18年度概算要求で、17年度当初予算比約106億円増の229億6千万円を計上している。」


(4)沖縄タイムス-豪での米軍オスプレイ墜落 嘉手納町議会が抗議決議-2017年9月7日 11:09


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「【嘉手納】嘉手納町議会(徳里直樹議長)は7日の9月定例会で、米軍普天間飛行場所属のオスプレイがオーストラリア沖で墜落した事故への抗議決議案と意見書案を全会一致で可決した。事故原因の徹底究明と速やかな公表、安全性が確保されるまでの一切の飛行中止、嘉手納基地への飛来と町域上空での飛行訓練の中止を求めている。」
②「決議では、普天間飛行場所属のオスプレイが、たびたび嘉手納基地に飛来し、町域上空を飛行していると指摘。町内に陸軍貯油施設と弾薬庫地区を抱えていることを挙げ『常時危険と隣り合わせにあることから今回の墜落事故は町民の恐怖心をかき立てている』した。」
③「日本政府がオスプレイの飛行自粛を求めたが、米軍が要請を拒否する形で2日後に飛行訓練を再開したことには『県民の声を無視する県民軽視の米軍の姿勢に対して憤りを禁じ得ない』と米軍を批判した。」
④「抗議決議は駐日米国大使や在日米軍司令官などに、意見書は内閣総理大臣と外務、防衛大臣などに郵送する。」


(5)沖縄タイムス-「国には岩礁破砕許可得る義務」 辺野古新基地差し止め訴訟、沖縄県が追加請求方針-2017年9月7日 08:07


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、無許可での岩礁破砕は違法として県が国を相手に工事の差し止めを求めている訴訟で、県が、国には許可を得る義務があることの確認を求める請求の追加を那覇地裁へ申し立てることが6日、分かった。」(政経部・大野亨恭)
②「国は訴状に対し、『岩礁破砕の許可を求める知事の履行請求権は実在しない』と反論している。裁判所が国の主張を認め県に履行請求権が存在しないと判断した場合でも、国の義務を認めさせることで漁業権の存否などの実質審理に持ち込みたい考えだ。訴えの『追加的変更』は、地方自治法に基づく訴えの提起に該当することから県議会の議決が必要で、県は20日開会予定の9月定例会へ議案を提出する。可決されれば、10月にも追加請求を申し立てる方針だ。6日までに県議会与党会派へ議案を説明した。」
③「県は現在『漁業権の設定されている漁場内』での岩礁破砕は知事の許可を受けなければならないとし、水産資源を守る観点から国に義務の履行を求めている。県は、義務の履行を求める前提として、国に義務があることを確認できれば、国側が求める『入り口論』での却下を防ぐことができるとみている。県は、国が岩礁破砕許可不要の根拠とし、見解が割れている埋め立て海域の漁業権存否に関する審理入りを目指す。」


(6)琉球新報-旧盆明け辺野古で抗議行動再開 沿岸部では仮設道路工事続く-2017年9月7日 11:39


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前では新基地建設に反対する市民約90人が座り込みやデモ行進で抗議の声を上げた。」
②「午前10時現在、工事車両による資材搬入は確認されていない。一方、辺野古崎西側のシュワブ沿岸部では仮設道路工事が確認されたほか、海上で浮具の点検作業などが確認された。」
③「辺野古崎西側の『K1護岸』建設予定地付近では、砂浜の資材搬入用道路工事で、沖縄防衛局の作業員が測量をしているのが確認された。辺野古崎では複数の重機が動いている様子も見られた。大浦湾北側では潜水調査作業や浮具(フロート)を点検する作業も確認された。『N5護岸』建設予定地付近の仮設道路工事では、大型トラックで砂浜に下ろした土砂を重機でならす作業が行われた。」
④「旧盆明け最初のゲート前抗議行動に参加した仲村勝彦さん(75)=宜野座村=は『一週間分の力をためているので、今日は絶対にごぼう抜きされないという気持ちで頑張ろう』と呼び掛けた。旧盆中も沖縄防衛局が作業を継続していたことに沖縄市から抗議に参加した60代女性は『基地は造ってほしくない。わずかな期間でも、工事を止めてくれないのは悔しい思いだ』と話した。」


(7)琉球新報-米オスプレイ、大分から離陸延期 整備終わらず-2017年9月7日 19:21


 琉球新報は、「在日米軍は7日、大分空港に緊急着陸した新型輸送機オスプレイが同日午後3時ごろに試験飛行を兼ねて米軍岩国基地(山口県岩国市)に向けて離陸する予定だと日本政府側に伝えたが、その後、延期を決めた。必要な整備作業が終わらなかったという。日本政府関係者が明らかにした。」、と報じた。
 また、「オスプレイの緊急着陸から9日。米軍は予定変更を繰り返し、大分県の担当者は対応に追われた。両翼のエンジンの全部または一部を交換しており、深刻なトラブルだった可能性もある。県関係者によると、8日も朝から作業を再開する予定。」、と報じた。



# by asyagi-df-2014 | 2017-09-07 20:50 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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