本からのもの-「立憲主義の破壊」に抗う

著書名;「立憲主義の破壊」に抗う
著作者;川口創
出版社;新日本出版社


 川口は、集団的自衛権の意味について、「『集団的自衛権』は、『自衛権』と『名前』がついているので騙されてしまうのですが、そもそも自国を守るための『自衛権』ではなく、他国同士の戦争の当事国の一方の側に立って、戦争に参戦していくということなのです。ですから、他国から見たら、単なる先制攻撃に他なりません。」と、明確にする。
 しかし、ことさら、集団的自衛権の実像は曖昧にされてきた。
 川口は、その集団的自衛権行使の実像を、「集団的自衛権行使を可能にするということは現実に起こりうる『非対称の戦争』、つまり『テロとの戦い』に日本の自衛隊が深く関与して、直接武力行使という形で参戦していくこと」と、きっちりと描いて見せる。
 この上で、この実像を捉えるためには、「アフガニスタン戦争やイラク戦争がどのような戦争だったのかをしっかり検証する」ことの必要があるとする。

 次に、集団的自衛家行使の事例について、特に、「米国が武力攻撃を受けた場合の対米支援」について、「アメリカの『抑止力』が機能しないことを想定して、『日本も集団的自衛権行使を可能にして抑止力を高める』議論をしていること自体、明らかな矛盾ではないでしょうか。」と、そのおかしさを指摘する。
 だから、このことの真実は、「実際には、米国本土への攻撃に限らず、アメリカが海外で戦争をしかけ、反撃を受けた時に『攻撃を受けた』として、『集団的自衛権』が行使できるようにする、ということが狙いです。」と。
 もちろんこの場合、日本の集団的自衛権の行使は、「アメリカのしかける戦争に組み込まれる」ということでしかないと。
 また、事例として煽られてきた尖閣諸島の問題については、「集団的自衛権の問題ではなく、わが国の領土上の問題であり、個別的自衛権の問題ですので、集団的自衛権の問題として議論すべきものではありません。」と、断定する。

 結局、集団的自衛権を考えるということは、これの実現によって、どのような社会が作られるのかということを考えることである。
 川口創は、このことを、「憲法破壊の先にある日本の姿」として次のように描く。

(1)自衛隊がアメリカの戦争の最前線に立たされ、殺し殺される。日本の若者が血を流す、命を落とす。あるいは、他国の国民の命を奪う。
(2)軍事一体化の結果、沖縄などの基地の固定化。
(3)自衛隊は海外に部隊を送る「軍隊」へと組織、編成、装備が代わり、空母も長距離弾道ミサイルを持つこともあり得る。兵器もアメリカより多く購入することになり、軍事予算が増大する。その裏返しとして福祉予算は切りすてられる。
(4)地方自治体も「国防」に組み込まれ、結果として「地方分権」は「安全保障」の下で大きく後退せざるを得なくなる。
(5)秘密保護法により取材活動が制限され、政府が何としようとしているのか、知らされなくなる。
(6)教育への介入が行われる。また、大学に対する軍事訓練への強要も強まり、学問の自由が奪われる。

 川口は、こうしたことの積み上げの結果、このままでは「憲法破壊の先にある日本の姿」がもたらされると深刻に指摘する。
 川口が憂慮する「憲法破壊の先にある日本の姿」は、(1)安全保障、国防の前に、国民の人権は無視される社会、(2)徴兵制も検討される社会、であると。

 だからこそ、川口は、今必要なことを書き込む。

 「私たちは、自分の子どもたちを、戦地に送りこむために必死に育てているのではありません。わが子に人を殺させたくない。わが子を殺されたくない。そんな当たり前の思いも『日本の若者だけ血を流さなくてよいのか』という理屈の下で押し殺されていく。日本今、そのような社会に向けて猛烈なスピードですすんでいます。止めるのは、いましかありません。」

 最後に、川口は、自らの闘いの中での真実を、今後の闘いの方向性を、「平和的生存権っを手に立ち上がろう」と、まとめる。


# by asyagi-df-2014 | 2015-05-23 06:20 | 本等からのもの | Comments(0)

原発問題-伊方原発3号機の「審査書」案了承を考える。

 原子力規制委員会の伊方原発3号機「審査書」案の了承について、考える。
 東京新聞は、その社説で、今回の了承について、「最大の疑問は今回も、有事の際の避難経路と手段である。」と、指摘する。
 このことについて、「伊方原発は半島の付け根にあり、そこから先には約五千人が住んでいる。その人たちに、事故を起こした原発に向かって、どう逃げろというのだろうか。大分側へ船で逃れるという案がある。混乱の中の海上避難は恐らく容易ではないだろう。避難計画が審査の対象になっていないのが、そもそもの間違いなのではないか。」とし、「思い出してもらいたい。なぜ新たな規制基準が必要になったのか。住民の命と暮らしを守るためである。それには、より広範な住民対話も欠かせない。」と、結論づけた。
 高知新聞は、「原発を推進する安倍政権は、新規制基準を『世界で最も厳しい』と安全性を強調する。しかし、福島の惨事を経験した国民には、『脱原発依存』を求める声が根強いままだ。この乖離(かいり)は政府や規制委と、国民の間にある安全性の捉え方の違いに起因していよう。」と、分析する。そして、政府と規制委員会の立場を、「『万が一にも』過酷事故を起こさない厳格さを求め、新規制基準を『合理性がない』と断じている。」とした福井地裁判決に置くべきだをする。そして、「そもそも、30キロ圏内に避難計画を義務付けなければならない施設が本当に必要なのか。再稼働以前に、国や規制委、四電が答えるべき疑問は多い。」と、まとめる。
 地元である愛媛新聞は、「事故への真摯(しんし)な反省がないままに規制委や電力会社が言『「安全』は、県民の『安心』にはつながっていない。県伊方原発環境安全管理委員会などでの議論を通じて、さらなる安全を追求するべきだ。拙速な判断は将来に禍根を残す。取り返しのつかない、あの悲劇を忘れてはならない。」と、説く。

 あらためて、愛媛新聞の指摘する「規制委の田中俊一委員長が『リスクはゼロではない』と繰り返し強調している通り、安全性の担保でも、再稼働の『お墨付き』でもないとくぎを刺しておきたい。」ということを確認する。

 以下、高知新聞・東京新聞、愛媛新聞の引用。





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# by asyagi-df-2014 | 2015-05-22 11:55 | 書くことから-原発 | Comments(0)

沖縄の今を感じる。(2)

 2015年5月17日に開かれた「戦後70年止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」で、大会決議が採択された。
 この格調高い決議を通して日本の今を感じる。

 まずは、「国際法に違反しつくられた米軍普天間基地は閉鎖・撤去こそが『唯一の解決策』である。」ことの確認。それは、「もはや『辺野古』は沖縄だけの問題ではない。わたしたちは今、この国の民主主義の在り方を問うている。」ということであることの確認。 
 さらに、「辺野古新基地建設を巡るこの19年間において、今まさに正念場である。今新基地建設を止めなければいつ止めるのか。」ということは、日本全体にとっても「今まさに正念場」であることの確認。

 この大会決議は、沖縄の今を次のように語りかけている。

(1)沖縄の現実
①私たち沖縄県民は悲惨な地上戦により住民の4人に1人が犠牲となった。
②戦後27年間は米軍占領統治下におかれ、日本国憲法は適用されなかった。
③本土復帰から43年目を迎える今も、米軍基地あるがゆえの事件や事故に苦しみ続けている
④沖縄県民は長年に渡り、自ら望んで持ってきたわけではない米軍基地を挟み、「容認派・反対派」と県民同士が対立し、分断され続けてきた。
⑤昨年の名護市長選挙、名護市議選挙、沖縄県知事選挙、衆議院選挙の沖縄4選挙区のすべてで、米軍普天間基地移設に伴う名護市辺野古への新基地建設反対の圧倒的民意が示された。
⑥私たち沖縄県民は自ら基地を提供したことは一度もない。
(2)安倍晋三政権の行動
①安倍政権は、前知事が公約をひるがえし行った公有水面埋め立て承認を盾に、民意を無視して辺野古新基地建設を「粛々と」強行している。
②4月28日沖縄県民にとっての屈辱の日には、日米首脳会談において辺野古新基地建設推進を再確認している。
(3)結論
①日米両政府の姿勢は、「自治は神話だ」と言い放った米軍占領統治下の圧政と何も変わらない、沖縄県民の意思を侮辱し、日本の民主主義と地方自治の根幹を破壊する暴挙である。もはや「辺野古」は沖縄だけの問題ではない。わたしたちは今、この国の民主主義の在り方を問うている。
②国際法に違反しつくられた米軍普天間基地は閉鎖・撤去こそが「唯一の解決策」である。
③辺野古新基地建設を巡るこの19年間において、今まさに正念場である。今新基地建設を止めなければいつ止めるのか。
④保革を超えて私たち県民がつくりあげた、この沖縄の新たな海鳴りは、沖縄と日本の未来を拓(ひら)く大きな潮流へと発展しつつある。道理と正義はわたしたちにあり、辺野古に基地をつくることは不可能である。子どもたちや孫たち、これから生まれてくる次の世代のためにも、私たち沖縄県民は決して屈せず、新基地建設を断念させるまでたたかうことをここに宣言する。
(4)主張
①日米両政府は県民の民意に従い、米軍普天間基地の閉鎖・撤去、辺野古新基地建設・県内移設を断念するよう強く要求する。

 以下、「戦後70年止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」の大会決議の引用。




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# by asyagi-df-2014 | 2015-05-22 06:09 | 沖縄から | Comments(0)

原発問題-伊方原発を大分の地から

 四国電力伊方原発第3号機の事実上の審査合格を受けて、伊方原発から50Km圏内にある地域を抱える大分県の大分合同新聞は、2015年5月21日、「四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)3号機が20日、国の審査に事実上、合格した。東日本大震災後の2012年1月以降、全基停止していた伊方原発の再稼働が現実味を帯びてきた。大分県内で最も近い大分市佐賀関。住民からは一定の理解を示す声が聞かれる一方、安全性や事故時の影響を不安視する意見が相次いだ。」と、報じた。
 具体的に、「50年以上も一本釣り漁師を続けている男性(73)は『事故が起きたら漁業への影響は計り知れない。絶対的な安全はあり得ず、想定外では済まされな』」ときっぱり。自営業久保ミヨコさん(80)も『被害を考えると恐ろしい。今からこの地域で育つ子どもたちのことを考えると、絶対に反対だ』。伊方原発から約45キロにある津久見市無垢(むく)島の橋本正八区長(67)は『再稼働には賛成とも反対とも言えない。ただ、安全性の確保だけは最優先で考えてほしい』と話した。」との声を伝えている。

 以下、大分合同新聞の引用。






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# by asyagi-df-2014 | 2015-05-21 19:45 | 書くことから-原発 | Comments(0)

沖縄の今を感じる。(1)

 沖縄タイムスに、「大弦・小弦」という掲載があります。
 2015年5月18日付の「大弦・小弦」を是非感じて欲しい。


17日の県民大会は、琉球古謡「おもろ」で始まった。開会前のアトラクションで最初の演目。五穀豊穣(ほうじょう)と平和を願う男性10人の荘重な歌声が、場の基調をつくった

▼作家の佐藤優さんは「何人集まったかは気にならない。無限のウチナーンチュのマブイ(魂)が集まっている」と言った。翁長雄志知事はあいさつを「ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー(ないがしろにしてはいけない)」と締めた

▼球場の外では民族派団体の街宣車が回り、「売国奴」などと怒鳴っていた。そうした罵声を寄せ付けない気高い文化が、名護市辺野古の新基地建設に反対する3万5千人を包んだ

▼前日の辺野古でも、似た光景があった。日の丸と星条旗の一団が、抗議行動の現場までデモ行進し、挑発を試みた。ところが、抗議の市民は笑顔でカチャーシーを踊っていたのだった。行進団は振り上げた拳の下ろしどころがなく、なぜか「まじめにやれ」と怒った

▼沖縄の声はこれまでも、苦難と闘った歴史を背負うことで、深く響いた。さらに文化の誇りをまとうことで、ぶれない芯が通るようだ

▼2013年、「建白書」を引っさげて東京・銀座でパレードした首長たちは、想像もしなかった罵声を浴び、怒りに震えるばかりだった。あれから2年。沖縄はさらにしなやかに、強くなっている。(阿部岳)


1996年当時、本土の人間は沖縄から「異論」を突きつけられた。
 しかし、「辺野古新基地建設」の強行を許してしまった「結果」しか答えることができなかった。
 沖縄は今、自らの力で、文化の誇りをまとうなかで、「沖縄はさらにしなやかに、強くなっている」。
このことをまずは、しなやかに感じること。 


# by asyagi-df-2014 | 2015-05-21 06:04 | 沖縄から

米軍再編-オスプレイはすでに飛んでいた。

 米軍は、ハワイ事故の翌日の2015年5月19日、オスプレイで通常訓練行った。
 このことについて、沖縄タイムスは2015年5月19日、「米軍普天間飛行場の新型輸送機MV22オスプレイ1機が19日昼すぎ、同飛行場を離陸した。午後には金武町のブルービーチ演習場上空で同機とみられるオスプレイ1機が旋回しているのが確認されており、通常の訓練が行われているものとみられる。普天間飛行場のオスプレイは米ハワイ州オアフ島で同型機の事故があった18日は飛行しなかった。」と、報じた。

 以下、沖縄タイムスの引用。






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# by asyagi-df-2014 | 2015-05-20 12:02 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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