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「学術会議任命拒否 違法状態は続いている」、と琉球新報。

 刻み込む営みを継続していく重要性を、琉球新報から改めて感じている。

 琉球新報(以下、「新法」)は2022年1月25日、「学術会議任命拒否 違法状態は続いている」、と社説で論評した。
 「新法」の指摘は、「日本学術会議の会員候補任命拒否問題について岸田文雄首相は、梶田隆章会長と初会談し『一連の手続きは終了したものと承知している。もう結論は出ている』と語った。何を根拠に『終了』したと言うのか。菅義偉前首相が任命を拒否したため、学術会議法に定められた定員を満たさず現在も違法状態にある。一刻も早く違法状態を解消しなければならない。」、との投げかけから始められる。
 次に、「岸田首相に問いたい。」、と次のことを突き詰める。
 「なぜ人事に介入して任命拒否したのか。」
 「なぜ国民が納得できるように説明しないのか。」
 「学問の自由を侵害した責任は誰が取るのか。」
 この上で、「こうした疑問に向き合わず、なぜ組織問題にすり替えるのか。政府の姿勢は、立憲主義と法治主義の原則を逸脱している。」、と断じる。
 「新報」は、学術会議会員の任命拒否の問題点を改めて整理する。
1.学術会議会員の任命拒否は、菅政権時代に発覚した。菅氏は「総合的、俯瞰(ふかん)的」観点から判断したと繰り返し、「人事に関わる」と説明を避け続けた。
2.戦前、日本の学問が政治に従属し戦争遂行に利用された教訓から、学問の自由を支え政府から独立した国家機関として学術会議が設置された。
3.会員の任命について学術会議法は、学術会議が候補者を「選考」「推薦」し「内閣総理大臣が任命する」と規定し、学術会議側の選考権を認めている。1983年に中曽根康弘首相(当時)は「政府が行うのは形式的任命にすぎない。学問の自由独立はあくまで保障される」と国会答弁した。内閣法制局も同様の答弁をしている。
4.会員の選考に政治が介入することは、選考権の否定であり法律違反だ。その結果、学術会議の独立性を揺るがし、憲法23条が保障する学問の自由を侵害したことになる。
5.学術会議法は、会員の定員を210人と規定している。6人の任命を拒否することは、任命する義務を果たさないことになり違法である。内閣の違法な行為は、憲法73条に抵触する。岸田政権になっても定員は補充されず、違法状態が続いている。
 この上で、「新報」は、「岸田首相が語る『一連の手続きは終了した』わけではないのだ。」、と主張するのである。
1.菅政権はこれらの本質的な問題を学術会議の組織見直しにすり替えた。岸田政権もすり替え路線を踏襲している。
2.政府の総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員は21日、学術会議の見直しに関する報告書をまとめた。組織形態について「緊急的課題などへの対応という観点からは、現在の形態が最適という確証は得られていない」と指摘した。小林鷹之科学技術担当相は、今夏までに組織形態を示す考えを明らかにした。
3.前述のように「結論は出ている」と岸田首相が語ったのは、あくまで組織見直しによって幕引きする方針の表れなのだろう。
4.菅政権が引き起こしたとしても、岸田首相には政府として学術会議側と国民に対する説明責任がある。違法状態を放置することは許されない。
(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1459715.html 参照 2022年1月25日)

 確かに、今押さえることは、「違法状態を放置することは許されない。」(「新法」)、ということだ。


# by asyagi-df-2014 | 2022-02-02 09:31 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江から-2022年1月31日

 沖縄におけるコロナ禍が炙り出すもの。
 「在日米軍が新型コロナウイルス感染拡大を受けて実施していた軍関係者の外出制限を31日で解除する方針を示したことを受け、沖縄県の玉城デニー知事は30日、『まだ解除できる状態にあるとは言えない』とする声明を発表した。」、と琉球新報。

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。
 2022年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

(1)琉球新報-玉城デニー知事 米軍外出制限に「解除できる状態にない」(明真南斗)-2022年1月31日 07:00

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.在日米軍が新型コロナウイルス感染拡大を受けて実施していた軍関係者の外出制限を31日で解除する方針を示したことを受け、沖縄県の玉城デニー知事は30日、「まだ解除できる状態にあるとは言えない」とする声明を発表した。
2.ただ、県として外出制限期間の再延長を申し入れるかどうかは30日時点で定まっておらず、声明では米軍に対して「県民の健康と安全を守るため引き続き対策に万全を期し、一刻も早い感染症の収束に油断せず取り組んでもらいたい」と求めた。
3.また、日米合同委員会の下に新たに設置された「検疫・保健分科委員会」について「この枠組みが生かされるためには、米軍基地が過度に集中する沖縄県当局との連携も重要だ」として、県への情報提供を求めていく考えを示した。
4.玉城知事はコメントで県内の感染状況について、米軍の感染対策強化などにより「一定の効果が生じている」と評価しつつ、「まん延防止等重点措置期間中であり、米軍基地でもまだまだ外出制限措置が解除できる状態にあるとは言えない」と指摘した。 (明真南斗)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462811.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=top_kennai 参照 2022年1月31日)

(2)琉球新報-劣化、開発…消えゆく地下壕 那覇13カ所で埋め戻し、専門家は調査と管理訴え(中村万里子)-2022年1月31日 05:40

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.沖縄戦で使われたガマや壕の劣化が進み、平和学習で利用してきた場所が使えなくなる状況が起きている。平和学習では中に入って沖縄戦を追体験する方法もとられてきたが、事故防止の観点から自治体が立ち入りを禁止する場所も相次ぐ。国は陥没や防災対策として埋め戻しなどの費用を補助しており、那覇市でも国の一括交付金を使い、13の地下壕の埋め戻しなどを進めていることが分かった。
2.沖縄戦研究者で沖縄国際大元教授の吉浜忍氏は「かつて県は慰霊塔や慰霊碑について管理を含めて調査したが、壕やガマも全体的な調査が必要な時期に来ている。第32軍司令部壕の保存公開にもつながる話で、県内で裾野(すその)を広げていく取り組みが重要だ」と指摘する。
3.那覇市内の地下壕は市街化開発や防災対策で姿を消しつつある。那覇市まちなみ整備課によると、2017年度時点で市内には92カ所の地下壕が残っていた。市は同年の実態調査で壕内部の状況を調べ、16カ所を「危険」と判断。このうち13カ所を埋め戻し、3カ所の入り口にフェンスを設置した。子どもが入り込むことや、けがをする危険性などから判断した。これらの工事は、事業費が200万円以上など国土交通省の適用条件に当てはまらないため、国の一括交付金を活用した。
4.このうち那覇市識名の識名壕は、安全対策の一環で市が21年2月にフェンスを設置した。今後の利活用については不透明な状況で、同壕で平和学習を行ってきた団体から活用の継続を求める声が上がっている。
5.戦争遺跡を所管する市の文化財課は、地下壕の工事の際には、歴史地図や戦争遺跡の分布調査報告書で歴史的な位置づけを確認している。ただ、壕は戦争遺跡であっても、危険度に応じた対策や開発を優先せざるを得ないという。
6.沖縄考古学会顧問で戦跡考古学が専門の當眞嗣一氏は「埋め戻す場合はそれがどのような壕で、なぜ残せないのか理由を説明するべきで、広く知らせずに埋めるのは問題がある。壕の多さは、沖縄戦がいかに過酷な状況だったかを表している。戦争遺跡として行政が管理し、戦争の教訓とする姿勢も重要だ」と強調した。(中村万里子)
7.<用語> 特殊地下壕:国土交通省は1974年に「国土交通省所管特殊地下壕等対策事業実施要領」を定め、この実施要領に基づき、自治体が埋め戻しなどの事業を実施する際に補助を出している。同要領では「日本軍、地方公共団体、その他これに準ずるものが築造した防空壕など」と定義し、個人の築造はこれに含めない。市街地に現存し、陥没などが顕著で危険度が増し、事業費が200万円以上のものに限り2分の1以内を補助する。2005年、鹿児島市内の洞窟内のたき火で中学生が死亡した事故を受け、国は積極的に対策を進めている。
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462800.html 参照 2022年1月31日)

(3)沖縄タイムス-米軍があす外出解禁 「まだ解除できる状態じゃない」と玉城知事 沖縄は「まん延防止」のさなか-2022年1月31日 05:06

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.在日米軍が新型コロナウイルス対策で実施していた米軍関係者の外出制限措置を31日で解除するとしていることに、沖縄県の玉城デニー知事は30日、時期尚早とするコメントを発表した。「(県内は)まん延防止等重点措置期間中で、米軍基地も、まだまだ外出制限措置が解除できる状態にあるとは言えない」と指摘した。
2.知事は「米軍による感染対策の強化で、一定の効果が生じている」とした上で「引き続き対策に万全を期し、一刻も早い感染症の収束に、油断することなく取り組むよう求める」と、米軍側の感染対策の徹底を改めて要望した。
3.日米両政府は、在日米軍関係者の施設・区域外での行動を、今月10日から24日まで必要不可欠なものに制限する措置を開始。感染状況なども踏まえ、同措置を31日まで延長していた。午後10時~翌午前6時の夜間外出禁止措置も同じ期間実施されている。
4.県は外出制限に関し、米軍関係者の感染が収束するまで期間を延長するよう求めていた。また日米合同委員会の下に「検疫・保健分科委員会」が新たに設置されたことについて、玉城知事は「米軍基地が過度に集中する、県当局との連携も重要」とし、県との情報共有を求めた。
5.同委員会は外務省や在日米軍の政策部局のほか、日米双方の保健当局が参加し、新型コロナなど保健・衛生上の課題について議論するとしている。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902982 参照 2022年1月31日)

(4)沖縄タイムス-[継ぐ 32軍壕](1)唯一残る第5坑口の謎 周辺は住宅地 開発進む 第1部 壕が語る沖縄戦(社会部・山中由睦)-2022年1月31日 05:00

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.復元に向けて工事が進む首里城。そこから徒歩で南側に下って約10分。所狭しと住宅が立ち並ぶ斜面の一角に、うっそうとした雑木林がある。草をかき分けて中に入ると、小さな扉が姿を現した。周囲は薄暗く、ひんやりとした空気が流れる。ここが、沖縄戦を指揮した旧日本軍「第32軍司令部壕」の出入り口。第5坑口だ。
2.戦後77年。五つあった出入り口のうち四つは既に埋まり、現在確認できるのは第5坑口のみ。壕内は状態が分からない所も多いが、第5坑口やそこから内部に続く第5坑道は調査済みで、他の場所に比べ、保存公開の可能性は高い。
3.ここで一つの疑問が浮かんだ。雑木林の周りは住宅などが密集する。なぜ、ここだけ残ったのか。あえて残したのだろうか。 西側では大規模なマンションの建設が進む。北側も別の不動産業者が土地を取得し、開発地に挟まれている状況だ。雑木林は民有地。売却されてしまわないか。地権者に聞いてみた。
4.雑木林を所有するのは、幼い頃から近くに住む長嶺将永さん(84)だ。この土地を代々祖先から受け継いでおり、戦前から今まで一貫して所有している。
5.旧日本軍は長嶺さんの私有地を、どうして使うことになったのか気になった。戦時のどさくさに紛れ、地主の同意が曖昧なまま占有した可能性もある。(社会部・山中由睦)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902984 参照 2022年1月31日)

(5)沖縄タイムス-沖縄のコロナ480人感染 米軍は98人【1月31日昼】-2022年1月31日 15:47

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄県は31日、新たに480人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。県内の累計感染者数は8万2828人となった。1日当たりの新規感染者数は先週の月曜日(611人)に比べ131人減少した。米軍関係は98人の報告があった。
2.県内の直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は464.68人。病床使用率は68.8%(入院者数440/病床数640)で、重症者用は32.1%(入院36/病床数112)となっている。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/903256 参照 2022年1月31日)

(6)沖縄タイムス-コロナ禍で250キロの不発弾処理 密を避け車や友人宅で待機する人も 沖縄で2千人が避難-2022年1月31日 05:18

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄県西原町我謝の工事現場で見つかった米国製250キロ爆弾の不発弾処理が30日午前、同現場で行われ、半径283メートル以内の736世帯、約2千人が避難した。新型コロナ禍のさなかで感染対策を徹底するため、町は避難所以外に車内や親族宅などでの待機も求め、同午前10時過ぎに終了した。
2.町は職員の半数近くの108人を動員。午前8時過ぎから住民の避難誘導などに当たった。3カ所に設置した避難所で人が密集することを避けるため、区域外の親族・友人宅や車内での待機を求めた。
3.避難所を訪れた人は町社会福祉協議会5人、西原小2人、西原南小はゼロで呼び掛けが奏功。役場内にも新型コロナ陽性者や濃厚接触者の待機場所を用意したが、利用者はいなかった。
4.我謝区では2001年にも250キロ爆弾が見つかり約5千人が避難した。同自治会の大見恵子会長は作業終了に「無事に終わってほっとしたが(不発弾は)まだまだあるのかと油断できない。戦後70年、いつまで戦争が続くのか、とお年寄りも心配していた」と話した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902970 参照 2022年1月31日)

(7)沖縄タイムス-普天間で米軍機の離着陸 21年は過去最多の1万8017回 国は外来機の飛来禁止を求めず(中部報道部・平島夏実)-2022年1月31日 08:14

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場で2021年の1年間に米軍機が離着陸した回数(タッチ・アンド・ゴーや通過、旋回含む)は1万8017回で、前年比3・0%、暦年ベースで最少だった18年と比べると18・0%それぞれ増え、過去最多を更新したことが分かった。そのうち、普天間飛行場に所属していない外来機の離着陸も3194回で過去最多。18年比では約2・7倍に達した。宜野湾市は「外来機の飛来禁止」を繰り返し訴えているが、沖縄防衛局から米側への申し入れは「住民に与える影響を最小限にするように」との表現にとどまっている。(中部報道部・平島夏実)
2.防衛局が17年度から実施している目視調査の月別まとめを集計した。
3.21年の普天間飛行場での外来機の離着陸回数は前年比20・5%増で、全機種に占める外来機の割合も17・8%と最多だった。
4.外来機の内訳を見ると、米軍の最新鋭ステルス戦闘機F35やFA18戦闘攻撃機など騒音の激しい戦闘機が21年は147回離着陸。18年124回、19年192回、20年159回と飛来が恒常化している。市街地上空を旋回しタッチ・アンド・ゴーを繰り返すP8対潜哨戒機は、21年は過去最多の738回離着陸した。
5.防衛局は、米側に外来機の飛来禁止を求めない理由について「米軍は従来より、その任務遂行能力を維持し日米安全保障条約の目的を達成するために、外来機を飛来させて訓練などを行うことがあるものと認識している」と本紙に回答している。
6.日米の騒音防止協定で飛行が制限されている深夜早朝(午後10時~翌午前6時)の離着陸は464回あった。同協定は「夜間訓練飛行は必要な最小限に制限される」と定めるが、18年705回、19年340回、20年も334回あり形骸化している。
7.調査開始以降、深夜早朝の離着陸が月別でゼロだったのは19年11月と20年12月のみだった。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/903018 参照 2022年1月31日)

(8)琉球新報-米軍の外出制限再延長を 沖縄県が在日米軍へ申し入れへ 基地内感染「収まっていない」-2022年1月31日 09:30

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在日米軍の外出制限が31日で解除されることを受け、沖縄県は在日米軍に対して外出制限の再延長を求める方針を固めた。玉城デニー知事が31日朝、記者団に明らかにし、同日中に在日米軍に申し入れる方向だ。
2.沖縄県内の米軍関係者の感染者数は、30日は89人だったものの、28、29日の両日は100~200人で推移。県は、在沖米軍基地内で感染はまだ収まっていないと判断し、外出制限を継続するよう求める。再延長を求める期間については、検討を進めている。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462902.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=carousel 参照 2022年1月31日)


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-31 17:58 | 沖縄から | Comments(0)

国土交通省の「建設工事受注動態統計調査」の書き換え問題。(3)

 「建設工事受注動態統計の調査」書き換え問題について、朝日新聞は2022年1月25日、「統計不正、4兆円過大計上か 20年度の全体5%相当 朝日新聞試算」(伊藤嘉孝、柴田秀並、岡戸佑樹)」、と独自取材記事を掲載した。この記事では、「国土交通省の本省職員が受注実績を無断で書き換えて二重計上していたことで、2020年度の統計が約4兆円過大になっていた疑いがあることがわかった。」と報じ、その不正行為の問題の大きさを伝えた。
 朝日新聞(以下、「朝日」)の記事は次のもの。
1.国の基幹統計「建設工事受注動態統計」の不正をめぐり、国土交通省の本省職員が受注実績を無断で書き換えて二重計上していたことで、2020年度の統計が約4兆円過大になっていた疑いがあることがわかった。実績全体の5%に相当し、巨額の訂正が必要になる。13~19年度は二重計上したデータの量がより多く、さらに大幅に過大だったことになる。
2.公表データを基に、朝日新聞が複数の専門家の助言を受けて試算した。この統計の開始当時に標本の抽出方法の設計に携わった横浜市立大の土屋隆裕教授(統計調査)は、この試算について「誤差は生じるだろうが、考え方は妥当」と評価。総務省統計委員会委員長で統計数理研究所長の椿広計氏は「試算の仮定は合理的で、概数は把握できよう。統計委としても国交省に対し数値の是正を要請している」とした。
3.政策立案の前提であり、国内総生産(GDP)計算の材料でもある基幹統計が、データ改ざんによって兆単位で過大になっていた疑いが出てきたことは、開会中の通常国会で議論になるのは必至だ。統計法は、真実に反する基幹統計を故意に作成することを禁じており、罰則もある。すでに事務次官ら10人が処分されているが、国交省による検証が進めば、処分が重くなったり対象が拡大したりする可能性がある。
4.同省は20年度の統計を二つ公表しており、朝日新聞はこれらを用いて試算した。二つの統計は、データ書き換えで二重計上が生じた「書き換え後統計」(①)、書き換え前のデータで集計した「書き換え前統計」(②)。②には21年度から新たに導入された集計手法(新集計)がさかのぼって使われている。新集計では、旧集計に新たに、未回答の部分を埋めて補正するための係数をかけるが、この係数は公表されておらず、①と②は単純には比較できない。そこで、この係数を公表データを用いて大まかに割り出し、それを使って①と②を同じ条件にして比較したところ、1年間で約4兆円過大になっていた。検証委員会による14日公表の報告書に記載された、国交省が過去に行った検証の内容も参考にした。
(影響、さらに波及の恐れ)
1.今回の問題では、遅くとも00年4月から都道府県に指示して書き換えを開始。業者が受注実績の提出期限に間に合わず、数カ月分をまとめて提出した場合、この数カ月分全てを最新1カ月の受注実績のように合算していた。13年4月からは、未提出月には提出した業者の平均を推計値として計上するルールを導入したため、二重計上が生じ統計が過大になっていた。
2.会計検査院が19年11月に問題を指摘し、国交省は20年1月、都道府県に書き換えをやめさせる一方、本省は書き換えて合算する量を「全月分」から「2カ月分」に減らしながら不正を続けていた。今回試算できたのは、本省での書き換えによる過大分のみで、20年度はそれだけで総額79兆5988億円のうち4兆円に上ることになる。
3.24日の衆院予算委員会では山際大志郎経済再生相が「GDPにおける影響は軽微と判断している」と答弁したが、統計がどれだけ過大だったか、その影響自体は国交省が検証中で結果はまだ出ていない。過大額が巨額に上っていた場合、この統計を基礎資料に使う中小企業支援策への影響なども判明する恐れがある。(伊藤嘉孝、柴田秀並、岡戸佑樹)
(https://digital.asahi.com/articles/ASQ1S6K4LQ1SUTIL01C.html?pn=6&unlock=1#continuehere 参照 2022年1月25日)


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-31 07:26 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江から-2022年1月30日

 沖縄の新聞社の使命。
沖縄にとって、日本復帰50年は、沖縄戦を通して把握されるもの。
「沖縄にとって、日本復帰50年は、沖縄戦を通して把握されるものとの強い意志がある。沖縄戦を指揮した旧日本軍第32軍司令部に所属する人を記載した『留守名簿』を巡り、県出身者だけをまとめた『留守名簿(沖縄)』が29日までに見つかった。398人の名前があり、10代と20代の若者が6割を占める。最年少は14歳がおり、女性とみられる人も70人程度いた。10代半ばの住民や女性まで戦場に駆り出された実態を裏付けている。既に明らかになっている『留守名簿(南方)』と合わせた記載は約1400人。このうち県出身者が少なくとも671人を占め、戦死率は7割を超えた。10代の戦死率は9割近くに達し、多くの若者が犠牲になった沖縄戦の苛烈さを示している。」、と沖縄タイムス。

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。
 2022年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

(1)沖縄タイムス-県人限定の留守名簿発見 32軍398人分 10代戦死率9割(社会部・大城志織)-2022年1月30日 05:00

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄戦を指揮した旧日本軍第32軍司令部に所属する人を記載した「留守名簿」を巡り、県出身者だけをまとめた「留守名簿(沖縄)」が29日までに見つかった。398人の名前があり、10代と20代の若者が6割を占める。最年少は14歳がおり、女性とみられる人も70人程度いた。10代半ばの住民や女性まで戦場に駆り出された実態を裏付けている。既に明らかになっている「留守名簿(南方)」と合わせた記載は約1400人。このうち県出身者が少なくとも671人を占め、戦死率は7割を超えた。(社会部・大城志織)
2.10代の戦死率は9割近くに達し、多くの若者が犠牲になった沖縄戦の苛烈さを示している。
3.「沖縄」は1971年、旧厚生省援護局調査課が遺族年金支給などのために作成した。沖縄戦を研究する大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター(CAPP)の佐治暁人客員研究員が2017年、国立公文書館に請求し、公開された。
4.既に見つかっていた「南方」の記載は正規に徴兵された軍人・軍属が中心で、徴兵検査を受けず動員された多くの県民が欠けていた。佐治氏は「若年層の動員が多い沖縄戦の特異性が分かる貴重な史料だ」と話した。
5.二つの留守名簿で県出身者を分析すると、約千人が記載されている「南方」には273人おり、不明を除く残り約700人は、他県から集められた兵士や軍属とみられる。
6.県出身者398人が載る「沖縄」は、年代別では10代と20代が中心で全体の6割を占めた。最年少の14歳は学徒3人を含む計4人で、全員戦死していた。
7.二つの留守名簿を合わせると、年代別では10代が205人。20代201人、30代99人、40代85人、50代12人、不明69人と続いた。
8.佐治氏によると「沖縄」に記載されている軍属は141人。兵器修理所や被服修理班に従事した「有技能者」のほか、看護や炊事などに従事した「地域住民」などがおり、明確な法的根拠がないまま動員された人が大半とみられる。学徒は沖縄師範学校の62人や一高女18人など、少なくとも113人が確認された。
9.32軍司令部には、沖縄師範学校などから鉄血勤皇隊が多数、配属された。「南方」には牛島満司令官ら幹部の氏名がある一方、学徒は2等兵として動員された故大田昌秀元知事など数人しか確認できなかった。
10.県は首里城公園の地下にある32軍司令部壕の保存・公開に向けて、検討を進めている。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902731 参照 2022年1月30日)

(2)琉球新報-沖縄署騒ぎ、ネットに沖縄蔑視やデマ 「県民性?」「中国人しかやらない」…(仲村良太)-2022年1月30日 07:00

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.沖縄署に数百人の若者が集まった騒動を巡り、ネット上の言説を見ると、事実関係を問うたり、深夜に集まった若者を誹謗(ひぼう)中傷したりする内容が並んだ。「日本人のフリしたゴミクズ共め」。同時に多くのコメントには沖縄に対するヘイトスピーチも含まれていた。
2.事案を受け、沖縄市山里の沖縄署に数百人の若者が詰め掛けて物を投げ入れ、庁舎のガラスなどを壊したのは27日午後11時ごろから翌28日午前4時ごろ。本紙は28日午前8時55分前後にウエブの琉球新報デジタルで沖縄署周辺で若者が多く集まっていた記事を掲載し、本紙のツイッターアカウントでもその記事を紹介した。
3.このツイートは拡散され、29日午後6時現在、リツイートやいいねの合計は5400件を超え、リプライ(返信)は400件に達する。
4.リプライには、沖縄市の路上をバイクで走行中の男子高校生が警官と接触した後に右眼球破裂の重傷を負ったという事実関係を問うコメントがある一方、集まった若者への誹謗中傷や皮肉の言葉が並んだ。
5.本紙は騒動後に報道したものの「暴動のきっかけを作ったのは琉球新報社だ」「琉球新報社こそが襲撃されるべきなのだ」と主張するなど、本紙の報道がきっかけなどとする誤った認識も多かった。
6.これら以上に差別的なコメントは多かった。「県民性?」「バカが200人も居るのか。。。浄化するのが大変そうだ」「沖縄は猿の巣窟」「沖縄ってやっぱりやべーとこなんだなぁ」(以上、原文ママ)などと「沖縄」をひとくくりにして蔑視する発言が並んだ。
7.さらには「沖縄の所得と教養レベルが低くて民度の問題ですよ。日本はそう悪くないです」「投石って間違いなく中国人しかやらない」「え、国内の画像?」「日本人のフリしたゴミクズ共め」などと日本と切り離し、見下すような言説も多かった。
7.リプライには「これは無抵抗の高校生を失明させた」「形はどうあれ若者がこうやって主張をするのは良い事だ」などとするコメントも一部にあった。 (仲村良太)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462493.html 参照 2022年1月30日)

(3)琉球新報-福祉施設「介護が崩壊」 職員感染で約40人中18人欠勤 医療支援も追い付かず(知念征尚)-2022年1月30日 07:40

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.県内で福祉施設のコロナ感染拡大が続いている。県によると施設内療養者数は高齢者、障がい者施設を合わせて29日時点で93施設278人。高齢者施設では21人が酸素投与を受ける「中等症」の患者だ。看護師の平安諒也さんら外部から支援に入る介護・医療従事者の役割が重要性を増すが、専門家は「医療サポートが追い付かない早さで入院待機事案が増加している」と危機感を募らせる。
2.南部の高齢者施設では平安さんら外部の医療従事者の介入で、施設内を感染可能性がある場所とない場所を分けるゾーニングや防護服、手袋の着脱方法を徹底した。感染者がいる部屋は誰が見ても分かるように、ドアの前に赤いテープを張り注意を促している。食事も食堂ではなく各部屋で取ることになる。食事介助のスタッフが居室を行き来する必要が生じ、食事時間は約3時間と通常時の倍に伸びた。看護師や介護士らが感染者の部屋から未感染者の部屋へ移動する際は、防護服や手袋を変えるなど、手間が掛かる。
3.感染防止対策が増える一方、職員の感染も相次ぎ、人手不足は深刻だ。同施設では職員約40人中、27日時点で18人が欠勤した。医療面でのサポートは受けるが、介護士の応援は来ておらず、施設の担当者は「介護職員の負担が重くなっている」と話した。
4.高齢者施設は職員と入所者が接触する場面が多く、感染拡大のリスクがつきまとう。入所者と介護士、医療従事者の接触を減らし、2日に1回行っていた入浴を取りやめ1週間に1度体を拭くことに変えた。おむつも長時間使用タイプに変え、交換回数を1日8回から4回に減らした。平安さんは「クラスターがひとたび起きれば、感染収束が第1の目的になる。本当はいろいろなことをやってあげたいのだが」とため息をついた。
5.県の対策本部でクラスター施設の支援に当たる仲村尚司医師は、介護が必要な高齢者はホテル療養などが使えず「施設内療養か入院の2択しかない」とし、重症化のリスクもあるため支援を厚くする必要性を訴えた。
6.現場では、平常時から不足していた介護士がコロナの影響で「欠乏状態で、介護崩壊が起きている」と警鐘を鳴らした。看護師、医師も不足していると指摘。自宅など医療機関外で療養する人が急増する中「施設と医療機関の双方のリソースを守るためにも、より多くの医者がコロナ診療に関わっていくことが必要だ」と強調した。(知念征尚)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462457.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=top_kennai 参照 2022年1月30日)

(4)琉球新報-【識者談話】第4次嘉手納爆音訴訟「訴え続けることが重要」(我部政明・琉大名誉教授)-2022年1月29日 13:02

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.第4次嘉手納爆音訴訟で3万5千人超の原告数となったのは、これまでの裁判で実績を積み重ねてきた結果だ。爆音で被害を受けている地域住民が、自分たちの被害を少しでも改善してほしいという思いで原告数が増えたと思う。
2.北朝鮮や台湾有事といった東アジアの緊張で沖縄の重要度が高まり、米軍嘉手納基地の使用頻度が増えるのも当然だろう。その分、地域住民に負担がのしかかっている。
3.米軍が騒音をまき散らしていることを裁判所が認定しても米軍は訓練はやっていいと思っているだろう。裁判所は米軍に関しての司法判断を回避し、米軍の騒音による住民環境破壊の防止や抑制につながっていない。米軍の飛行を差し止めない限り、問題はあり続ける。
4.被害を受けている人々が声をあげないと改善の機会がない状態だが、問題を訴えることは日本の民主主義にとっても重要な行為だ。現状を少しでも変えるにはいくつもの形で訴え、政策などにつなげていくことが大事だ。(国際政治学)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462106.html 参照 2022年1月30日)

(5)沖縄タイムス-警官、接触時に警棒 高校生が眼球破裂で失明 持ち手は調査中-2022年1月30日 08:33

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.27日未明に沖縄市宮里の路上でバイクに乗っていた男子高校生(17)=同市=が巡回中の男性警察官(29)と接触し、高校生が眼球破裂で右目を失明した事故で、警察官が接触時、手に警棒を持っていたことが県警関係者への取材で分かった。搬送された高校生は救急隊員や母親に「右側から警棒で殴られた」と証言している。沖縄署は今後高校生からも話を聞くなどして状況を詳しく調べる方針。
2.署はこれまで「警察官がバイクを停車させ職務質問しようとして右手が当たった」と説明。通常は腰に提げている警棒を手にしていたかどうかは明らかにしていなかった。左右どの手に警棒を持っていたか、棒が高校生に当たったかなど、詳細は調査中としている。署内では29日も署長らが同事案について会議をした。
3.県警関係者によると、当時男性警察官は市内で発生した暴走行為の警戒でパトカーを降り、徒歩で巡回していた。現在は同僚警察官の目撃の有無、周辺の防犯カメラ映像の分析などを進めているとみられる。
4.同事故では高校生が大けがをした様子がインターネットの動画で拡散。27日深夜から翌28日未明に若者ら300~400人が沖縄署を取り囲んだ。一部が暴徒化し署のガラス窓や警察車両が壊されたため、署は器物損壊容疑でも調べている。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902732 参照 2022年1月30日)

(6)沖縄タイムス-沖縄のコロナ、新たに838人感染 病床使用率69%【1月30日昼】-2022年1月30日 15:49

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄県は30日、新たに838人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。県内の累計感染者数は8万2348人となった。1日当たりの新規感染者数は先週の日曜日(956人)に比べ118人減少した。
2.県内の直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は473.50人。病床使用率は69.1%(入院者数442/病床数640)で、重症者用は36.6%(入院41/病床数112)となっている。
3.米軍関係は89人の報告があった。累計は9594人。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902860 参照 2022年1月30日)

(7)沖縄タイムス-「うるさいなら引っ越せばいいのに」店員の言葉に悔しさ 嘉手納出身、子どもたちの安心を渇望(中部報道部・屋宜菜々子)-2022年1月30日 13:32-[3万5千人の決起 第4次嘉手納爆音訴訟](5)

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.大きなおなかを抱えて自宅ベランダから見つめる先には、道路1本隔てて米軍嘉手納基地が広がる。嘉手納町出身で、屋良で3歳の娘と夫と暮らす呉屋美香さん(43)は「全国の人に騒音被害を知ってほしい」と第4次嘉手納爆音訴訟の原告として立ち上がった。長女や、来月生まれてくる娘が軍用機におびえずに済む日々を求め、第3次訴訟に続き原告となった。
2.呉屋さんには、忘れられない言葉がある。「基地からお金をもらえるから住んでいるんでしょう。うるさいなら、引っ越せばいいのに」-。10年前、京都旅行中のこと。どこから来たのか訪ねた土産店の男性店員に「嘉手納」と答えると言われた。嘉手納町に住めば基地からお金をもらえるという事実はない。「反論する気にもなれなかった。これだけ被害を受けているのに」。悔しさが込み上げた。
3.結婚後、共働きということもあり、両親の協力を得ながら子育てしたいと望み、実家がある町内に住むことを決めた。町が子育て支援に力を入れていることも理由の一つ。町内で賃貸物件を探しても、町面積の82%を基地が占めるこの町では物件数に限りがある。なかなか見つからず、ちょうど空いていた今の部屋に落ち着いた。
4.祖父は戦前、嘉手納基地内の土地で暮らしていた。「住民が自ら差し出したわけではない。うるさいから、こちらが出て行くのはふに落ちない」。一方で、葛藤もある。部屋で遊んでいる長女が戦闘機の音を聞いて「怖い」と不安そうな顔で自分に駆け寄り、しがみつく姿に「申し訳ない。ここに住んでいるのは親の都合。本当はもっといい環境を与えたい」と悩む。
5.「大きな音が子どもの情緒へ影響しないだろうか」と不安は尽きない。家族が増えるため、もう少し大きい部屋を町内で探しているが、見つかっていない。広い基地を前に「本当なら、もっと有効に使えるのに。いずれは土地を返してほしい」と切実に願う。
6.訴訟を「生活を懸けた国との闘い」だと見据える。第4次訴訟で嘉手納町民は、2人に1人が原告となった。原告の広がりを「心強い」と感じる。「国を動かせたら。そのためにも全国に理解者が増えてほしい」。司法や国、全国に向けて訴えている。(中部報道部・屋宜菜々子)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902722 参照 2022年1月30日)

(8)沖縄タイムス-戦没軍属、高い女子比率 改めて分かる沖縄戦の特異性 識者談話・佐治暁人さん-2022年1月30日 12:30

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄戦における軍属の戦没者数を見ると、女子の割合が他県と比較して高く、特異性が改めて分かる。
2.戦没者名簿に性別欄の記載がある玉城村(当時)は軍属159人のうち、女子が82人と過半数(51・6%)を占める。中城村でも軍属93人のうち女子が少なくとも35人おり、37・6%に及ぶ。
3.女子軍属の数が分かる岩手県の戦没者名簿を見ると、軍属の戦没者2354人のうち女子は43人で、1・8%にすぎない。沖縄県の身分別の戦没者数は分析中だが、確認できた戦没者2万3千人余のうち軍属は3367人で、20歳未満は1644人。女性の割合もかなり多いとみている。
4.動員には法的な根拠がなく、年齢的な制約も受けない。軍属には炊事婦やミシン工などの技能者がいたが、戦況が激しくなると食料や弾薬運搬なども担わされ、戦闘に巻き込まれる危険性も高まった。
5.沖縄戦の体験者は、それぞれ軍への協力の度合いが異なり、聞き取りだけでは軍に組み込まれた後の生活環境が見えてこない部分がある。留守名簿はその他の旧軍資料などとも照らし合わせ、沖縄戦の実態解明に近づくきっかけの一つになると考える。
6.第32軍司令部壕の保存公開が議論されているが、仮に公開した場合、壕の安全確保だけでは不十分だ。ここにどのような人たちがいて、戦争にどう関わらざるを得なかったのか。証言や資料を基に、沖縄戦の縮図として後世に伝える視点も必要だろう。
 (大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902836 参照 2022年1月30日)


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-30 17:05 | 沖縄から | Comments(0)

核兵器禁止条約発効から1年を迎えたこと。(2)

 2022年1月22日、「核兵器禁止条約」が発効して1年を迎えた。
では、このことをどのように受けとめるのか。
 琉球新報は2022年1月23日、「核兵器禁止条約1年 参加ためらう理由はない」、と社説で論評した。
 この社説でこの問題を押さえる。
琉球新報(以下、「新法」)は日本の政治状況を次のように把握する。
1.核兵器の開発から使用までを全面禁止する核兵器禁止条約発効から1年を迎えた。日本は条約の署名・批准に否定的で、3月開催予定の締約国会議へのオブザーバー参加にも慎重姿勢を崩していない。
2.岸田文雄首相は核禁止条約の署名・批准に関して「出口として非常に重要だ」と述べていた。それなら、被爆地広島選出の首相として、締約国会議へのオブザーバー参加を決断すべきである。
 また、核兵器禁止条約を巡る世界の情勢について、次のように示す。
1.これまでに核禁止条約に批准したのは59カ国・地域。発効に必要な50カ国・地域に達した後も増え続け、昨年はフィリピンやカンボジアなどが新たに参加した。批准の前段階に当たる署名は86カ国・地域(批准国含む)が終えた。
2.これに対し米国は、安全保障への影響を考慮せず核廃絶を迫る「危険な条約」として、日本や北大西洋条約機構(NATO)同盟国に賛同しないように締め付けてきた。
3.ところが、NATO加盟国のドイツとノルウェーが、その圧力をはねのけて締約国会議へのオブザーバー参加の方針を表明している。
 この上で、「新報」は、「唯一の被爆国の日本が、オブザーバー参加すらためらうのはなぜか。『核の傘』に依存する米国の意向に配慮したのか。それとも核保有国が加わっていないため、参加しても現状は変わらないとみているからか。」、と問いかける。
 結局、「新報」は、「被爆国として、核廃絶に向けあらゆる可能性を追求するのは当然だ。保有国と非保有国の橋渡し役を自認するなら、オブザーバー参加をためらう理由はないはずだ。」、と断じる。
 さらに、「新報」は日本政府のあり方に「異」を唱える。
1.核禁止条約に背を向ける一方、岸田首相は、核禁止条約以外で存在感を示そうとしているようだ。
2.首相はバイデン米大統領とテレビ会談し「核兵器のない世界」へ共に取り組む考えで一致した。会談前に核保有国の核軍縮交渉義務を定めた核拡散防止条約(NPT)の重要性を確認する共同声明も発表した。
3.施政方針演説で核なき世界を目指すための「国際賢人会議」創設も打ち出し、今年中に広島で初会合を開くと表明した。核なき世界へ取り組み始めたことは前進であるが、まだ中身が伴っていない。
 「新報」は最後に、2022年1月22日を、「東アジアの核軍拡に歯止めをかけなければならない。」日であると、次のように提起する。
1.憂慮するのは米中対立に伴う中国の動向だ。中国は台湾有事に備えて核戦力を増強している。例えば、小型核搭載も可能とされる中距離弾道ミサイル「東風26」の配備だ。2.核を敵の核攻撃に対する抑止力としてではなく、戦闘で実際に使用する兵器と位置付けているとすれば、安全保障上の重大な脅威である。
3.これに対し、日米も台湾有事に備え南西諸島を拠点とする共同作戦計画を策定している。県民が戦闘に巻き込まれるリスクが飛躍的に高まる。
4. 東アジアの核軍拡に歯止めをかけなければならない。核禁止条約締約国会議や核兵器の非人道性に関する国際会議に参加し、核なき世界の実現へ一歩でも二歩でも前進するよう力を尽くすべきだ。
(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1458658.html 参照 2022年1月23日)

 確かに、日本国民が見たいのは、「核なき世界の実現へ一歩でも二歩でも前進するよう力を尽くす」日本政府の姿なのだ。


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-30 09:07 | 核廃絶 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人