沖縄の新聞社の使命。
沖縄にとって、日本復帰50年は、沖縄戦を通して把握されるもの。
「沖縄にとって、日本復帰50年は、沖縄戦を通して把握されるものとの強い意志がある。沖縄戦を指揮した旧日本軍第32軍司令部に所属する人を記載した『留守名簿』を巡り、県出身者だけをまとめた『留守名簿(沖縄)』が29日までに見つかった。398人の名前があり、10代と20代の若者が6割を占める。最年少は14歳がおり、女性とみられる人も70人程度いた。10代半ばの住民や女性まで戦場に駆り出された実態を裏付けている。既に明らかになっている『留守名簿(南方)』と合わせた記載は約1400人。このうち県出身者が少なくとも671人を占め、戦死率は7割を超えた。10代の戦死率は9割近くに達し、多くの若者が犠牲になった沖縄戦の苛烈さを示している。」、と沖縄タイムス。
沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。
2022年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
(1)沖縄タイムス-県人限定の留守名簿発見 32軍398人分 10代戦死率9割(社会部・大城志織)-2022年1月30日 05:00
沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。
1.沖縄戦を指揮した旧日本軍第32軍司令部に所属する人を記載した「留守名簿」を巡り、県出身者だけをまとめた「留守名簿(沖縄)」が29日までに見つかった。398人の名前があり、10代と20代の若者が6割を占める。最年少は14歳がおり、女性とみられる人も70人程度いた。10代半ばの住民や女性まで戦場に駆り出された実態を裏付けている。既に明らかになっている「留守名簿(南方)」と合わせた記載は約1400人。このうち県出身者が少なくとも671人を占め、戦死率は7割を超えた。(社会部・大城志織)
2.10代の戦死率は9割近くに達し、多くの若者が犠牲になった沖縄戦の苛烈さを示している。
3.「沖縄」は1971年、旧厚生省援護局調査課が遺族年金支給などのために作成した。沖縄戦を研究する大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター(CAPP)の佐治暁人客員研究員が2017年、国立公文書館に請求し、公開された。
4.既に見つかっていた「南方」の記載は正規に徴兵された軍人・軍属が中心で、徴兵検査を受けず動員された多くの県民が欠けていた。佐治氏は「若年層の動員が多い沖縄戦の特異性が分かる貴重な史料だ」と話した。
5.二つの留守名簿で県出身者を分析すると、約千人が記載されている「南方」には273人おり、不明を除く残り約700人は、他県から集められた兵士や軍属とみられる。
6.県出身者398人が載る「沖縄」は、年代別では10代と20代が中心で全体の6割を占めた。最年少の14歳は学徒3人を含む計4人で、全員戦死していた。
7.二つの留守名簿を合わせると、年代別では10代が205人。20代201人、30代99人、40代85人、50代12人、不明69人と続いた。
8.佐治氏によると「沖縄」に記載されている軍属は141人。兵器修理所や被服修理班に従事した「有技能者」のほか、看護や炊事などに従事した「地域住民」などがおり、明確な法的根拠がないまま動員された人が大半とみられる。学徒は沖縄師範学校の62人や一高女18人など、少なくとも113人が確認された。
9.32軍司令部には、沖縄師範学校などから鉄血勤皇隊が多数、配属された。「南方」には牛島満司令官ら幹部の氏名がある一方、学徒は2等兵として動員された故大田昌秀元知事など数人しか確認できなかった。
10.県は首里城公園の地下にある32軍司令部壕の保存・公開に向けて、検討を進めている。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902731 参照 2022年1月30日)
(2)琉球新報-沖縄署騒ぎ、ネットに沖縄蔑視やデマ 「県民性?」「中国人しかやらない」…(仲村良太)-2022年1月30日 07:00
琉球新報は、表題について次のように報じた。
1.沖縄署に数百人の若者が集まった騒動を巡り、ネット上の言説を見ると、事実関係を問うたり、深夜に集まった若者を誹謗(ひぼう)中傷したりする内容が並んだ。「日本人のフリしたゴミクズ共め」。同時に多くのコメントには沖縄に対するヘイトスピーチも含まれていた。
2.事案を受け、沖縄市山里の沖縄署に数百人の若者が詰め掛けて物を投げ入れ、庁舎のガラスなどを壊したのは27日午後11時ごろから翌28日午前4時ごろ。本紙は28日午前8時55分前後にウエブの琉球新報デジタルで沖縄署周辺で若者が多く集まっていた記事を掲載し、本紙のツイッターアカウントでもその記事を紹介した。
3.このツイートは拡散され、29日午後6時現在、リツイートやいいねの合計は5400件を超え、リプライ(返信)は400件に達する。
4.リプライには、沖縄市の路上をバイクで走行中の男子高校生が警官と接触した後に右眼球破裂の重傷を負ったという事実関係を問うコメントがある一方、集まった若者への誹謗中傷や皮肉の言葉が並んだ。
5.本紙は騒動後に報道したものの「暴動のきっかけを作ったのは琉球新報社だ」「琉球新報社こそが襲撃されるべきなのだ」と主張するなど、本紙の報道がきっかけなどとする誤った認識も多かった。
6.これら以上に差別的なコメントは多かった。「県民性?」「バカが200人も居るのか。。。浄化するのが大変そうだ」「沖縄は猿の巣窟」「沖縄ってやっぱりやべーとこなんだなぁ」(以上、原文ママ)などと「沖縄」をひとくくりにして蔑視する発言が並んだ。
7.さらには「沖縄の所得と教養レベルが低くて民度の問題ですよ。日本はそう悪くないです」「投石って間違いなく中国人しかやらない」「え、国内の画像?」「日本人のフリしたゴミクズ共め」などと日本と切り離し、見下すような言説も多かった。
7.リプライには「これは無抵抗の高校生を失明させた」「形はどうあれ若者がこうやって主張をするのは良い事だ」などとするコメントも一部にあった。 (仲村良太)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462493.html 参照 2022年1月30日)
(3)琉球新報-福祉施設「介護が崩壊」 職員感染で約40人中18人欠勤 医療支援も追い付かず(知念征尚)-2022年1月30日 07:40
琉球新報は、表題について次のように報じた。
1.県内で福祉施設のコロナ感染拡大が続いている。県によると施設内療養者数は高齢者、障がい者施設を合わせて29日時点で93施設278人。高齢者施設では21人が酸素投与を受ける「中等症」の患者だ。看護師の平安諒也さんら外部から支援に入る介護・医療従事者の役割が重要性を増すが、専門家は「医療サポートが追い付かない早さで入院待機事案が増加している」と危機感を募らせる。
2.南部の高齢者施設では平安さんら外部の医療従事者の介入で、施設内を感染可能性がある場所とない場所を分けるゾーニングや防護服、手袋の着脱方法を徹底した。感染者がいる部屋は誰が見ても分かるように、ドアの前に赤いテープを張り注意を促している。食事も食堂ではなく各部屋で取ることになる。食事介助のスタッフが居室を行き来する必要が生じ、食事時間は約3時間と通常時の倍に伸びた。看護師や介護士らが感染者の部屋から未感染者の部屋へ移動する際は、防護服や手袋を変えるなど、手間が掛かる。
3.感染防止対策が増える一方、職員の感染も相次ぎ、人手不足は深刻だ。同施設では職員約40人中、27日時点で18人が欠勤した。医療面でのサポートは受けるが、介護士の応援は来ておらず、施設の担当者は「介護職員の負担が重くなっている」と話した。
4.高齢者施設は職員と入所者が接触する場面が多く、感染拡大のリスクがつきまとう。入所者と介護士、医療従事者の接触を減らし、2日に1回行っていた入浴を取りやめ1週間に1度体を拭くことに変えた。おむつも長時間使用タイプに変え、交換回数を1日8回から4回に減らした。平安さんは「クラスターがひとたび起きれば、感染収束が第1の目的になる。本当はいろいろなことをやってあげたいのだが」とため息をついた。
5.県の対策本部でクラスター施設の支援に当たる仲村尚司医師は、介護が必要な高齢者はホテル療養などが使えず「施設内療養か入院の2択しかない」とし、重症化のリスクもあるため支援を厚くする必要性を訴えた。
6.現場では、平常時から不足していた介護士がコロナの影響で「欠乏状態で、介護崩壊が起きている」と警鐘を鳴らした。看護師、医師も不足していると指摘。自宅など医療機関外で療養する人が急増する中「施設と医療機関の双方のリソースを守るためにも、より多くの医者がコロナ診療に関わっていくことが必要だ」と強調した。(知念征尚)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462457.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=top_kennai 参照 2022年1月30日)
(4)琉球新報-【識者談話】第4次嘉手納爆音訴訟「訴え続けることが重要」(我部政明・琉大名誉教授)-2022年1月29日 13:02
琉球新報は、表題について次のように報じた。
1.第4次嘉手納爆音訴訟で3万5千人超の原告数となったのは、これまでの裁判で実績を積み重ねてきた結果だ。爆音で被害を受けている地域住民が、自分たちの被害を少しでも改善してほしいという思いで原告数が増えたと思う。
2.北朝鮮や台湾有事といった東アジアの緊張で沖縄の重要度が高まり、米軍嘉手納基地の使用頻度が増えるのも当然だろう。その分、地域住民に負担がのしかかっている。
3.米軍が騒音をまき散らしていることを裁判所が認定しても米軍は訓練はやっていいと思っているだろう。裁判所は米軍に関しての司法判断を回避し、米軍の騒音による住民環境破壊の防止や抑制につながっていない。米軍の飛行を差し止めない限り、問題はあり続ける。
4.被害を受けている人々が声をあげないと改善の機会がない状態だが、問題を訴えることは日本の民主主義にとっても重要な行為だ。現状を少しでも変えるにはいくつもの形で訴え、政策などにつなげていくことが大事だ。(国際政治学)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1462106.html 参照 2022年1月30日)
(5)沖縄タイムス-警官、接触時に警棒 高校生が眼球破裂で失明 持ち手は調査中-2022年1月30日 08:33
沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。
1.27日未明に沖縄市宮里の路上でバイクに乗っていた男子高校生(17)=同市=が巡回中の男性警察官(29)と接触し、高校生が眼球破裂で右目を失明した事故で、警察官が接触時、手に警棒を持っていたことが県警関係者への取材で分かった。搬送された高校生は救急隊員や母親に「右側から警棒で殴られた」と証言している。沖縄署は今後高校生からも話を聞くなどして状況を詳しく調べる方針。
2.署はこれまで「警察官がバイクを停車させ職務質問しようとして右手が当たった」と説明。通常は腰に提げている警棒を手にしていたかどうかは明らかにしていなかった。左右どの手に警棒を持っていたか、棒が高校生に当たったかなど、詳細は調査中としている。署内では29日も署長らが同事案について会議をした。
3.県警関係者によると、当時男性警察官は市内で発生した暴走行為の警戒でパトカーを降り、徒歩で巡回していた。現在は同僚警察官の目撃の有無、周辺の防犯カメラ映像の分析などを進めているとみられる。
4.同事故では高校生が大けがをした様子がインターネットの動画で拡散。27日深夜から翌28日未明に若者ら300~400人が沖縄署を取り囲んだ。一部が暴徒化し署のガラス窓や警察車両が壊されたため、署は器物損壊容疑でも調べている。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902732 参照 2022年1月30日)
(6)沖縄タイムス-沖縄のコロナ、新たに838人感染 病床使用率69%【1月30日昼】-2022年1月30日 15:49
沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。
1.沖縄県は30日、新たに838人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。県内の累計感染者数は8万2348人となった。1日当たりの新規感染者数は先週の日曜日(956人)に比べ118人減少した。
2.県内の直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は473.50人。病床使用率は69.1%(入院者数442/病床数640)で、重症者用は36.6%(入院41/病床数112)となっている。
3.米軍関係は89人の報告があった。累計は9594人。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902860 参照 2022年1月30日)
(7)沖縄タイムス-「うるさいなら引っ越せばいいのに」店員の言葉に悔しさ 嘉手納出身、子どもたちの安心を渇望(中部報道部・屋宜菜々子)-2022年1月30日 13:32-[3万5千人の決起 第4次嘉手納爆音訴訟](5)
沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。
1.大きなおなかを抱えて自宅ベランダから見つめる先には、道路1本隔てて米軍嘉手納基地が広がる。嘉手納町出身で、屋良で3歳の娘と夫と暮らす呉屋美香さん(43)は「全国の人に騒音被害を知ってほしい」と第4次嘉手納爆音訴訟の原告として立ち上がった。長女や、来月生まれてくる娘が軍用機におびえずに済む日々を求め、第3次訴訟に続き原告となった。
2.呉屋さんには、忘れられない言葉がある。「基地からお金をもらえるから住んでいるんでしょう。うるさいなら、引っ越せばいいのに」-。10年前、京都旅行中のこと。どこから来たのか訪ねた土産店の男性店員に「嘉手納」と答えると言われた。嘉手納町に住めば基地からお金をもらえるという事実はない。「反論する気にもなれなかった。これだけ被害を受けているのに」。悔しさが込み上げた。
3.結婚後、共働きということもあり、両親の協力を得ながら子育てしたいと望み、実家がある町内に住むことを決めた。町が子育て支援に力を入れていることも理由の一つ。町内で賃貸物件を探しても、町面積の82%を基地が占めるこの町では物件数に限りがある。なかなか見つからず、ちょうど空いていた今の部屋に落ち着いた。
4.祖父は戦前、嘉手納基地内の土地で暮らしていた。「住民が自ら差し出したわけではない。うるさいから、こちらが出て行くのはふに落ちない」。一方で、葛藤もある。部屋で遊んでいる長女が戦闘機の音を聞いて「怖い」と不安そうな顔で自分に駆け寄り、しがみつく姿に「申し訳ない。ここに住んでいるのは親の都合。本当はもっといい環境を与えたい」と悩む。
5.「大きな音が子どもの情緒へ影響しないだろうか」と不安は尽きない。家族が増えるため、もう少し大きい部屋を町内で探しているが、見つかっていない。広い基地を前に「本当なら、もっと有効に使えるのに。いずれは土地を返してほしい」と切実に願う。
6.訴訟を「生活を懸けた国との闘い」だと見据える。第4次訴訟で嘉手納町民は、2人に1人が原告となった。原告の広がりを「心強い」と感じる。「国を動かせたら。そのためにも全国に理解者が増えてほしい」。司法や国、全国に向けて訴えている。(中部報道部・屋宜菜々子)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902722 参照 2022年1月30日)
(8)沖縄タイムス-戦没軍属、高い女子比率 改めて分かる沖縄戦の特異性 識者談話・佐治暁人さん-2022年1月30日 12:30
沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。
1.沖縄戦における軍属の戦没者数を見ると、女子の割合が他県と比較して高く、特異性が改めて分かる。
2.戦没者名簿に性別欄の記載がある玉城村(当時)は軍属159人のうち、女子が82人と過半数(51・6%)を占める。中城村でも軍属93人のうち女子が少なくとも35人おり、37・6%に及ぶ。
3.女子軍属の数が分かる岩手県の戦没者名簿を見ると、軍属の戦没者2354人のうち女子は43人で、1・8%にすぎない。沖縄県の身分別の戦没者数は分析中だが、確認できた戦没者2万3千人余のうち軍属は3367人で、20歳未満は1644人。女性の割合もかなり多いとみている。
4.動員には法的な根拠がなく、年齢的な制約も受けない。軍属には炊事婦やミシン工などの技能者がいたが、戦況が激しくなると食料や弾薬運搬なども担わされ、戦闘に巻き込まれる危険性も高まった。
5.沖縄戦の体験者は、それぞれ軍への協力の度合いが異なり、聞き取りだけでは軍に組み込まれた後の生活環境が見えてこない部分がある。留守名簿はその他の旧軍資料などとも照らし合わせ、沖縄戦の実態解明に近づくきっかけの一つになると考える。
6.第32軍司令部壕の保存公開が議論されているが、仮に公開した場合、壕の安全確保だけでは不十分だ。ここにどのような人たちがいて、戦争にどう関わらざるを得なかったのか。証言や資料を基に、沖縄戦の縮図として後世に伝える視点も必要だろう。
(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/902836 参照 2022年1月30日)