沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第68回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。

 
 今回の報告は、「山城博治さん5カ月ぶりに保釈」について。
まずは、山城博治さん逮捕とこの5ヶ月間について。


(1)高江の山の中で連日抗議行動が続いていた去年10月17日、突如リーダーの山城博治さんが逮捕された。
(2)一本2000円もしない鉄条網を切った器物損壊での逮捕。いつものように3日で出てくるのかと思ったが今回は全く違っていた。そのあと、10カ月も前に小さなブロックを積み上げて抵抗した件など、微罪をいくつか重ねて取り調べが続き、留置場から出られなくなった。そして、なんと5カ月間も、家族の接見すら許さないという非人道的な長期勾留が始まった。「反対運動をやればこうなるぞ」というみせしめと、精神的に窮地に追い込むあからさまな手法。裁判を受けないままに5カ月も自由を奪われるのだから、代用監獄制度と言われても仕方がない。国内だけでなく海外からも日本の後進的なシステムに抗議の声が上がった。
(3)遅すぎた裁判。ヒロジさんの一回目の公判は3月頃に開かれると聞いた去年、まさかそれまでずっと勾留してるつもりなのか? と耳を疑ったが、果たしてその通りになった。この間に高江のヘリパッドは完成し、オスプレイは落ち、辺野古の工事は再開した。抗議行動の主要メンバーを幽閉し、その間になりふりかまわず、できるだけ工事を進めてしまおうという政府の魂胆が見え見えである。
(4)自分が命懸けで体を張って守って来た事柄が、どんどん悪い方に進んでいくのを塀の中で知る日々は、きっともがき苦しむようなつらさだっただろう。我々外の世界にいる者も、まったく会えないどころか、手紙さえ届けてもらえなかった。会えないので、留置場や拘置所の建物の下でほぼ毎日のように仲間が歌を歌い、励ましつつ過ごすしかなかった。おととし、悪性リンパ腫で5カ月間入院していた時よりひどい。ヒロジさんはもっと遠くの、誰の手も届かない世界に置かれてしまった。そんなことがまかり通る世の中でいいのか? 黙秘を貫いたら出られなくなる、と脅かされていたようだが、黙秘する権利は堂々と主張するべきであり、それで不利益をこうむることがあってはならない。


 次に、裁判と保釈について。


(1)裁判の傍聴券は限られているが、一目ヒロジさんに会いたいと、朝から大勢の県民が列を作った。そして裁判が始まると、いつもヒロジさんと現場で歌っていた歌を、法廷まで届けと言わんばかりに裁判所の周りで大声で歌い、応援しながら待った。傍聴した法廷の様子を語る北上田さんは、いつも冷静で、ヒロジさんのブレーン的な役割を担ってきた頭脳派の人物。でも、5カ月ぶりに再会したヒロジさんの様子を語るときだけは、珍しく涙ぐんでいた。確かにそうだろう。この弾圧は基地にあらがう沖縄県民、みんなの頭上に下された鉄槌なのだ。それを体一つで受け止めて沖縄県民を代表して闘っている姿に落涙せず、何に涙を流すのか。
(2)ところがこの裁判の翌日、突如接見禁止が解かれて、ヒロジさんは400通余りの手紙を受け取ったという。感激にむせび泣いていると、夕方になってから保釈があるかもしれないと聞き、あわてて逮捕された時の山を歩く長靴をはいた。土のついた長靴とジャージといういでたちで、ついにヒロジさんは待ちわびていた県民の前に現われた。送られてきた本や手紙がぎっしり詰まった段ボールを抱えて、痩せて一回り小さくなったようなヒロジさんが満面の笑みを浮かべて拘置所の出口から歩いてきた。そして真っ先に、妻の多喜子さんを抱きしめた。この瞬間をみんながどれだけ待っていたことか。


三上さんは、こんな風に今回の報告を結びます。


(1)今回の私のコラムだが、とにかく本当にヒロジさん帰ってきたんだね、と実感してもらいたいので、文章よりも映像を見てほしい。ヒロジさん不在の間に、あらゆるヘイトスピーチがさらに横行して、山城博治は、過激派でプロ市民で沖縄県民が迷惑しているという真逆の記事がバンバン出ていた。嘘も1000回言えば本当になるという恐ろしい時代を私たちは生きている。しかし、事実はちゃんとその目で見てほしい。この会見の様子、裁判中の外の様子を見てほしい。これだけ大衆に慕われるヒロジさんの人間像を見てほしいのだ。ネット上でちまちまと凶悪な「山城博治」像をねつ造している人間も、反対運動を憎み、これでもかと権力を振るってくる政府側の組織の人も、あなたたちが逮捕されたらこれだけの人が声を上げてくれますか? ヒロジさんを揶揄してきたような人間の誰一人として、仮に被告席に立たされる日が来ても、これほどの人々が応援に殺到することなどない。
(2)権力者が持っていない財産を、沖縄の人々はまだまだ持っている。どんなに過激な沖縄ヘイト集団であっても屈服させることができない尊厳が、こちら側にあるのだ。私はそれを伝える側でよかった。悪口やデマでアクセス数を稼いだり、視聴率を稼いだりする仕事でなくてよかった。正々堂々と沖縄県民が抵抗する姿、自由と平和を求めて立ち上がっていく姿にカメラを回しているだけで、日本中、いえ海外からもその映像を見せてほしいと言ってもらえる。沖縄県民はこうして歴史に残る弾圧に耐え抜いたリーダーの保釈の瞬間を迎えた。是非動画をみてほしい。





# by asyagi-df-2014 | 2017-03-24 06:10 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年3月23日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 沖縄の声。
 「仲宗根氏は『防衛局が米軍に対し、本当に実のある要請をしているのか疑問だ。金武町と宜野座村がファルコン(ヘリコプター着陸帯)の撤去を求めるのは異例で、我慢の限界だ』と強調した。」(琉球新報)
 さて、我慢の限界を強いる政治とは何なのか。


 2017年3月23日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-嘉手納基地からの大気汚染、粒子と臭気が大幅減 駐機場移転で改善-2017年3月23日 05:00


 沖縄タイムスは、「米軍嘉手納基地に由来する大気汚染について、基地に隣接するニライ消防本部屋上での測定値が、海軍駐機場移転が移転した1月中旬前後、黒色粒子と臭気レベル高濃度の頻度が大幅に減少していることが分かった。嘉手納町から委託を受けて調査を進める北海道大学工学研究院調査グループの松井利仁教授が21日夜、町役場で報告した。]、と報じた。
 また、「報告によると、黒色粒子個数と臭気レベル高濃度頻度は移転前後で、いずれも10分の1程度に減少した。一方、発生源については『海軍駐機場と滑走路南側の駐機場と推定された』としており、消防本部だけでなく、さらに広域に調べて基地内の発生源を特定する必要性を指摘した。」、と報じた。
 さらに、「町は新年度に消防本部を含め調査地点を3カ所に増やす方向で、関連予算案を3月議会に提案している。」、と伝えた。


(2)琉球新報-「人権が侵害されている」 辺野古新基地建設で神奈川の学生-2017年3月23日 10:57


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、米軍キャンプ・シュワブゲート前には約80人が座り込み、時折雨が降る中、抗議行動を続けている。参加者がマイクを握り、21日に閣議決定された「共謀罪」法案が抗議活動に影響するのではないかとの懸念の声が上がった。沖縄と同じく米軍基地を抱える神奈川県から8人の若者たちが駆け付けた。若者の1人は、辺野古で起きていることについて「人権が侵害されていると痛感した。共に頑張りましょう」と呼び掛けた。」、と報じた。
 また、「午前9時半ごろには、機動隊が確認できるだけで4台のビデオカメラを回しながら市民を強制排除した。『沖縄を返せ』などの歌声と『「市民を守れ』の怒声が飛び交う中、32台の工事関係車両が基地内に次々と入った。一方、大浦湾では午前9時20分時点まで工事作業の様子は確認されていない。悪天不良のため、抗議市民の抗議船やカヌーは出ていない。]、と報じた。


(3)琉球新報-ヘリ着陸帯の即時撤去要求 宜野座村議会が防衛局に抗議-2017年3月23日 14:58


 琉球新報は、「米軍ヘリによるタイヤ落下事故で、宜野座村議会(小渡久和議長)の全議員は23日午後、嘉手納町の沖縄防衛局に中嶋浩一郎局長を訪ね、ヘリコプター着陸帯『ファルコン』の即時撤去などを求める意見書を手渡した。中嶋局長は『提供施設区域の運用については、住民の生活への配慮はいうまでもないことは認識している』と述べ、安全面の配慮を米側に求めることを強調した。」、と報じた。
 また、「小渡議長は2016年12月上旬に米軍につり下げ訓練に抗議した際、米軍から『ファルコン』でつり下げ訓練はしないとの回答があったにも関わらず、同ヘリパッド周辺でつり下げ訓練が行われたことを批判した。伊藤晋哉企画部長は米軍から『つり下げ訓練をする地域が限られているので、ファルコンでつり下げをしないといけない』との説明があったことを報告した。」、と報じた。


(4)琉球新報-落下事故は「タイヤ分離」と米軍回答 防衛局が県議会に説明-2017年3月23日 14:39


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「県議会の米軍基地関係特別委員会(軍特委)の仲宗根悟委員長らが23日午前、沖縄防衛局を訪ねて、金武町と宜野座村の境界線付近で米軍ヘリがタイヤを落下させた事故に対する意見書を高木健司次長に手渡した。高木次長は米軍から『タイヤが分離した』との回答を受けたと明らかにし『なぜ起こったのか問い合わせを継続している』と答えた。」
②「仲宗根氏は『防衛局が米軍に対し、本当に実のある要請をしているのか疑問だ。金武町と宜野座村がファルコン(ヘリコプター着陸帯)の撤去を求めるのは異例で、我慢の限界だ』と強調した。」
③「意見書では①民間地上空でのつり下げ飛行訓練を行わない②早朝、夜間、民間地上空での飛行訓練を行わない③兵員に対する教育、訓練の管理を徹底する―ことを求めた。」


(5)沖縄タイムス-共謀罪「市民運動は対象外」 法相、言論封じを否定-2017年3月23日 17:00


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「金田勝年法相は22日の参院法務委員会で、「市民運動を行う一般市民」は犯罪を計画段階で処罰する『共謀罪』を新設する組織犯罪処罰法改正案で規定する処罰対象にはならないと述べた。『政府に対する言論が封じられるとの懸念は当たらない』とも答えた。」
②「金田法相は、処罰対象が組織的犯罪集団に限定され『一般の市民団体や労働団体など正当な活動を行っている団体が適用対象にならないことを明確にした。不安や懸念を払拭(ふっしょく)する内容になっている』と強調した。」
③「対象団体は、国内外の犯罪情勢などを考慮するとテロリズム集団や暴力団、薬物密売組織などに限られるという。」
④「質問した糸数慶子議員(沖縄の風)は、警察の捜査権が拡大し市民生活が監視されることや、市民の異議申し立てを力によって封じ込める意図があるのではないかと指摘した。金田法相は『捜査機関が常時、国民の動静を監視するというような監視社会にはなりようがない』と強調した。」




# by asyagi-df-2014 | 2017-03-23 18:38 | 沖縄から | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(5)-東京新聞20170131より-

 東京新聞は2017年1月6日、「安倍晋三首相は五日、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を二十日召集の通常国会に提出する方針を固めた。」、と報じた。
また、この背景を、「菅義偉(すがよしひで)官房長官は五日の記者会見で、『共謀罪』法案の通常国会への提出に関して、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向けテロ対策の強化が必要だと主張し『テロを含む組織犯罪を防ぐことは、国民も望んでいる。これまでの国会審議の意見を踏まえ、最終検討している』と述べた。」、とも伝えた。
 政府は2017年3月21日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。

 緊急かつ重大な課題である『共謀罪』について考える。


 東京新聞は2017年1月31日、「『共謀罪』めぐり野党反論 ハイジャック目的の航空券予約『現行法で摘発可能』」と、次のように報じた。


(1)政府が「共謀罪」と同じ趣旨で創設を目指す「テロ等準備罪」を巡り、三十日の参院予算委員会では、政府が現行法では対応できない事例として挙げているハイジャック目的の航空券予約について、野党側が「現行法の予備罪を適用できる」と追及した。「予備罪に当たらない可能性もある。テロの発生が防げない可能性があるなら、法整備が必要だ」と訴える安倍晋三首相の考えと真っ向から対立した。 (山田祐一郎)
(2)議論になったのは、テロ組織が複数の飛行機を乗っ取って高層ビルに突撃させるテロを計画し、搭乗予定の飛行機の航空券を予約した場合に、現行のハイジャック防止法の航空機強取等予備の対象となるか。民進党の福山哲郎氏が、「ミスター検察」と呼ばれた元検事総長の故伊藤栄樹氏や元東大学長の故平野龍一氏、元福岡高裁長官の故佐々木史朗氏らの三冊の著書で、ハイジャック防止法の予備に当たる行為として「航空券をハイジャックなどの目的で購入すること」が挙げられていると指摘、現行法で摘発可能だと主張した。
(3)政府は、過去の破壊活動防止法の判例から、現行法の予備罪での処罰には「犯罪の実現のために重要な、危険性がある段階まで準備が整えられたことが必要」と説明している。安倍首相は「(航空券の予約・購入が)危険性がある準備なのかどうか証明されなければいけない。当たらない場合がある以上、ただちに検挙できない」と指摘。一方で「この場合、間違いなく『テロ等準備罪』に当たる。その段階で躊躇(ちゅうちょ)することなく警察は検挙できる」と必要性を強調した。
(4)福山氏は、ハイジャック防止法の予備罪の成立が認められた裁判例を紹介し、「(テロ行為の)合意があって、計画があって、航空券を買った時に、わが国で検挙できない状況ではない」と批判した。


 「共謀罪」法案の問題点の一つに、国内法で本来対応(摘発)できるものなのに、「テロ等準備罪」として「意図的」に創設させようとしているということがある。
 政府が現行法では対応できない事例として挙げている「ハイジャック目的の航空券予約」について、国会で野党がその矛盾を指摘した。
 今回の指摘は、安倍晋三政権の「予備罪に当たらない可能性もある。テロの発生が防げない可能性があるなら、法整備が必要だ」、という欺瞞を突くものである。





# by asyagi-df-2014 | 2017-03-23 11:48 | 共謀罪 | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第67回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。

 
 今回の報告は、「バトンを受け取って走るのは、ただ走っているより数倍つらい。たとえ軽い紙の筒であってもズシリと重い。責任を持たされ、期待をもたれ、注目されるというのはそれほどにしんどいものだ。」、で始まる。
 つまり、三上さんの「『引き受ける』ということ Tシャツに込めた想い」について。
三上さんは、こんな風に始めます。


(1)1997年に辺野古で結成された「命を守る会」を率いた金城裕治さん(故人)はよく言っていた。
 「戦火の中で苦しんだ先祖がいるでしょう? そのみなさんの思いを引き受けて、いま、我々の世代が頑張らなければどうするの?」
(2)引き受けるという言葉は、勇気も覚悟もないと口にできない重い言葉だ。でも裕治さんは、辺野古の海を埋めるなら、その前に私たちが人柱になる、と宣言しているもっと上の辺野古集落のおばあたちの気持ちを引き受けて、さらに現場で起きる摩擦や矛盾も引き受けて、本当に度量の深いリーダーとして座り込みの現場をまとめていた大人物だった。その影響もあって、支援に来ている若者たちも、僕たちがみなさんの思いを引き受けて頑張ります、とよく発言していた。私は、みんなが責任を取りたくないこの世知辛い時代に、辺野古では優しさや勇気の連鎖が起きているんだなど感動したものだ。
(3)そしていつしか、私も報道活動を通じてかかわった方々の思いをちゃんと引き受けて頑張る人間になりたいと理想を持つようになった。沖縄戦の苦しみや、占領下で米軍に踏みにじられた屈辱や、今なお被害を受け続ける理不尽さ、その嘆きも、問題を解決に向けて進めることも含めて、引き受けて生きて行こうと思うようになった。もちろん、結果的には何もできやしないのかも知れないが、知ってしまった以上、逃げ回れるはずもない。沖縄の尊敬する先輩方から学んだ姿勢で、私なりに引き受けていくつもりで、今も右往左往しながら一つひとつの出来事に向き合っている。


 三上さんは、『標的の島 風かたか』とTシャツについて、語りかけます。


(1)間も無く全国公開になる映画『標的の島 風かたか』も、そんな覚悟が私に作らせている作品である。実は、今回はその私の密かな思いを込めたTシャツを製作した。自己満足の世界の話であって大変恐縮だが、このページを読んで下さっている方だけにはそっと伝えたい。
(2)まず、左の背中に背負っている図柄は、月桃の花と蝶。沖縄戦の頃にぷっくりとした優しい花をつける月桃は、沖縄戦と平和の象徴。月桃の香りは、みんなが子どもの頃に食べた「ムーチー」の甘さを思わせ、それを作ってくれた母や祖母の記憶と繋がると話してくれた人もいる。そして、その香りに誘われて来た黒い蝶。黒い蝶は、沖縄では亡くなった方の魂の化身であると言われている。去年、20歳で元米兵の狂気の犠牲になった女性の追悼集会で、彼女は黒い蝶に例えられた。彼女が命に代えて私たちに残したメッセージを背負って生きていきますからね、という気持ちで蝶をデザインした。
(3)さらに、下に流れる清流に散りばめられてある白い花、イジュの花にも意味がある。去年、石垣島で戦争マラリアのシーンを取材していたのはちょうど5月。山では真っ白いイジュの花がたくさん落ちて、山道は花で埋め尽くされて白くなっていた。1945年の5月に、石垣島の一部の集落の6千人は、この白い山道をたどって、日本軍の命令でマラリアが蔓延する山奥の小屋に移住させられた。そして次々にマラリアにかかって死者が続出した。
(4)映画には、孫なのであろう、小さな遺体を背負って運び出そうとする老人の絵が紹介されるが、敵に見つからないよう、日が落ちてからこの白く浮き上がった道を辿って埋葬の地まで運ばれたという。わたしは、強制移住地・白水への道を埋めたイジュの花を踏みしめながら、これは死ぬ必要のなかった何千という島民を弔う花の道であったのだと思った。住民が捕虜になれば作戦が筒抜けになってしまうとして、住民を死の地へ追い込んだ日本軍。軍の作戦によって命まで奪われた人々の存在を忘れない、二度と軍事優先の島にしてはならないという教訓を忘れない、という決意をイジュの花に託した。
(5)これらのデザインを担当して下さったのは、紅型作家の亀谷明日香さんだ。彼女のデザインはあの有名な高江Tシャツ、昼の森と夜の森の2バージョンがある作品でよく知られている。私はこの作品が大好きで、いつか亀谷さんに頼めたらと思っていた。今回時間のない中でダメ元で相談すると、私の最初の映画から見て下さっている亀谷さん、これは是非、と快くひきうけてくださった。すごく嬉しかった。
(6)新作映画を早速見ていただいた亀谷さんと「風かたか」を図案にするとどんな風になるのか、いろいろ話し合った。そしてできあがったのが、テーブルサンゴが横一列に並んだデザインだ。
(7)風かたかとは、風除けのことで、防波堤のような役割を果たすものを指す。それと同時に、風を避けた結果、一角に生まれる穏やかな空間、安心できる場所のことも指すという。亜熱帯の海の中では、テーブルサンゴは小さな魚たちやイカの卵やカニ、ホヤなどあらゆる小さな命をかくまう役割を果たしている。
 サンゴは、命のゆりかごとよく言われる。枝状のサンゴが作り出す空間は、まさに外敵が入れない場所・安心できる風かたかになっていることに気付き、Tシャツの表は海の中の風かたかを横一列に配した。このTシャツを着てみんなで座り込んだら、テーブルサンゴのラインが隣の人とも繋がっていく。つまり、次の世代まで基地の苦しみを引き継がせまいと頑張る、風かたかになろうとしている覚悟のある人たちに着てもらい、彼らが座り込めばサンゴの防波堤はいくらでも繋がっていくという意味を込めた。


 最後に、三上さんは、ともに引き受けることの意味を、同氏の印として、と次のように訴えています。



 今回は、デザインも色も贅沢に作ってしまった。原価も高くなり、諸事情あって100枚の限定生産にする事になった。場所も、東京はポレポレ東中野と那覇は桜坂劇場でのみ販売予定。
 私とともに、沖縄戦も、マラリア地獄も、蝶になった女性のことも引き受けて、肩に背負って生きていかんとする方々は、ぜひ同志の印としてこのTシャツを着てほしい。特に今回は女性のイメージが強い映画なので、一見とてもかわいらしい紅型のデザインでありながら実は強い意志を秘めている女性たちにこそ、このTシャツを着ていただいて、さらに困難な今の状況に、ともにしなやかに立ち向かっていって欲しい。





# by asyagi-df-2014 | 2017-03-23 07:47 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年3月22日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 「共謀罪」法案が2017年3月21日、閣議決定され、国会に提出された。
 深刻な疑問に対して有効な説明が出されることなく、「テロ対策」という言葉が宙を泳ぐ。沖縄側からは、「沖縄県内では米軍普天間飛行場の移設計画に伴う名護市辺野古の新基地建設反対運動に適用されるといった懸念」(琉球新報)が出されてきたものでもある。
 


 2017年3月22日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-沖縄、「共謀罪」適用に懸念 基地反対運動など標的も、専門家指摘-2017年3月22日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「『共謀罪』法案が21日、閣議決定され、国会に提出された。犯罪成立の“線引き”のあいまいさが残り、捜査機関の恣意(しい)的運用への疑念が払拭(ふっしょく)されないままだ。一般市民を抑圧した戦前の『治安維持法』と重なるとの指摘もあるほか、沖縄県内では米軍普天間飛行場の移設計画に伴う名護市辺野古の新基地建設反対運動に適用されるといった懸念も根強く、法案へ批判の声が上がっている。」
②「『共謀罪』が成立した場合、県内では名護市辺野古の新基地建設に対する抗議活動への影響が指摘される。抗議活動での逮捕者の弁護人も務める小口幸人弁護士は『(成立した場合は)警戒のしようがない』と法案成立を強く懸念する。『共謀罪』は犯行の計画でも処罰の対象となるので、“疑惑”があれば捜査の対象となる。小口弁護士は『標的を絞り、犯行計画の【絵】を描く。その上で日常生活を監視し【ピース】を組み合わせてその絵の根拠となる証拠が集まれば捜索もできる』として、捜査機関が“疑惑”を作り出すことも可能だと指摘する。」
③「例として基地建設現場前でのコンクリートブロックの積み上げ行為を挙げる。『抗議資金のため募金活動をしている人がホームセンターに入店することを示す写真などを示して、【抗議活動でブロックを積む計画をしている】と威力業務妨害を認定して、捜査する可能性もある』と説明する。」
④「捜査によりスマートフォンなどが押収され、会員制交流サイト(SNS)の履歴などで『犯行の共謀者』にされる危険性も指摘する。『抗議行動する人たちには、SNSで頻繁に情報発信する人も多い。捜査された人と抗議活動に関するSNSでのやり取りや閲覧などがあれば、【計画に協力した】として捜索される危険性はある』との懸念を示す。」
⑤「『捜査の結果として起訴はされなくても、捜索や逮捕・勾留するだけで市民への影響は大きい。捜査機関が恣意的に使えるので、警戒のしようもない』と話す。『テロの未然防止に役立つとは思えないが、逮捕するだけなら便利な道具だ』と語り、抗議活動を抑圧するための法案だとの認識を示した。」


(2)琉球新報-翁長知事、辺野古集会へ 就任初、移設阻止に決意-2017年3月22日 02:00


 琉球新報は、「沖縄県の翁長雄志知事は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議するため25日に現地で開かれる反対派の集会に参加する意向を固めた。2014年の知事就任以来、辺野古での集会に出席するのは初めて。移設阻止への決意を行動で示し、工事を着々と進める政府に対し劣勢との評価を打ち消す狙いがある。県関係者が21日、明らかにした。集会は、移設に反対する政党や市民団体でつくる『オール沖縄会議』が、移設先に隣接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前で開く。『違法な埋め立て工事の即時中止を求める県民集会』と銘打ち、3千人規模を目指すとしている。」、と報じた。


(3)琉球新報-FB投稿の市議に卑劣な中傷 家族への暴行示唆メールも-2017年3月22日 06:30


 琉球新報は、「沖縄県宮古島市議会の無所属市議が自身のフェイスブック(FB)に投稿した内容を巡り、本人への誹謗(ひぼう)中傷が相次いでいる。市議は9日、FBに米海兵隊の訓練を受けた陸上自衛隊部隊が宮古島に配備されたら『絶対に婦女暴行事件が起こる』などと投稿。その後批判を受け、謝罪し、撤回した。だがネット上では投稿が拡散され『炎上』が続く。』、と報じた。
 また、「宮古島市議会には市議の家族に対し性的な表現を含んだ嫌がらせのメールも届いており、一部は個人攻撃の様相となっている。市議会事務局によると、市議のFBの投稿に関連して21日午後6時までに計523件のメールや電話などが届いた。そのうち約7割が市議を批判する内容だった。自衛隊員の母親から『息子が侮辱された』などといった切実な訴えの抗議がある一方、市議の家族に対して性的暴行を示唆するようなメールもあった。市議はこれまで直接的な危害は受けていないが、警察に2回相談している。」、と報じた。


(4)沖縄タイムス-米、海兵隊移転計画の遅れ懸念 上院歳出委、普天間継続も提言-017年3月22日 07:47


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「米上院歳出委員会が2016年4月に、在沖米海兵隊のアジア太平洋地域における分散移転計画に関する包括的調査を米政府監査院に命じていたことが分かった。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の遅れが同域内の海兵隊移転計画全体に与える影響を懸念し、米国防総省に普天間の継続使用や空軍嘉手納基地への暫定移転など代案の検討も継続するよう提言している。」
②「同委員会は、16年4月にまとめた17会計年度(16年10月~17年9月)軍事建設等歳出法案の補足文書で、新基地建設を巡る現状について『地元で続く抗議、現在および今後の訴訟、地元自治体の反対、工事の度重なる遅れは、同計画の未来を否定的に映し出している』と指摘。16年2月の上院軍事委員会で、ハリス太平洋軍司令官が『こうした要因が計画の完了を2年遅らせ、少なくとも25年まで完了しないと証言した』とし、普天間と嘉手納を含む県内の既存施設の使用検討を国防総省に提言。新基地建設計画の遅れが海兵隊移転計画全体に与える影響を調査するよう、政府監査院に命じたことを明らかにしている。」
③「同委員会の有力議員は20日、本紙取材に対し、『われわれは普天間代替施設建設計画を支持しており、これに異論を唱えるものではない』と前置きした上で、『南シナ海では中国が軍事力を拡大しており、海兵隊の分散移転計画を着実に履行する必要がある。代替施設建設の遅れが在沖米海兵隊のグアムやハワイ、豪などへの移転に影響しないよう対策を立て、予算も管理する必要がある』と説明した。」


(5)沖縄タイムス-「新基地建設を認めていない」 辺野古ゲート前で抗議-2017年3月22日 14:54


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設に反対する市民らは22日午前、米軍キャンプ・シュワブゲート前で座り込みを続けた。午前中は最大約200人が集まり「私たちは新基地建設を認めていない」と抗議の声を上げた。一方、辺野古沖では、停泊している台船からクレーンで汚濁防止膜を海に下ろす作業が行われた。市民らが船やカヌーを出して抗議した。」、と報じた。


(6)沖縄タイムス-「村民の精神状態も限界に…」 米軍ヘリ物資落下事故に抗議 沖縄・宜野座村議会-2017年3月22日 13:05


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「沖縄県宜野座(ぎのざ)村議会(小渡久和議長)は22日午前の3月定例会最終本会議で、8日に発生した米海兵隊UH1Yヘリのつり下げ物資の落下事故に対する抗議決議と意見書を全会一致で可決した。抗議決議と意見書は、①提供施設外上空での米軍機の飛行訓練の即時中止②着陸帯「ファルコン」の即時撤去③事故原因の徹底究明と結果の速やかな公表―を求めている。」
②「城原集落に近い米軍キャンプ・ハンセン内の着陸帯『ファルコン』周辺でのつり下げ訓練中の事故で、『落下事故が現実となり、村民を恐怖と不安に陥れたことは戦場さながらの状況で断じて許されない』と批判。村民は米軍のオスプレイやヘリから派生する騒音被害や、墜落事故の恐怖と不安に悩まされ、精神状態も限界に達していると言っても過言ではないとし『特に民家上空を低空飛行する機体が見られることは、村民は到底受け入れられず、激しい憤りを感じる』とした。」
③「日米地位協定の見直しに関する意見書も全会一致で可決した。」


(7)琉球新報-各地の島ぐるみ会議など100人余座り込み 辺野古新基地建設-2017年3月22日 11:14


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた新基地建設に反対する市民ら100人余が22日午前、米軍キャンプ・シュワブ工事用ゲート前に座り込んだ。座り込み中の集会では、県内各地の島ぐるみ会議から参加者が駆け付け、基地反対への思いを込めたあいさつが続いた。」
②「名護市三原区に住むヘリ基地いらない二見以北十区の会共同代表の浦島悦子さんもマイクを握り『「工事は急ピッチで進められている。時々はめげそうな気持ちにもなるが、世界中から【沖縄の貴重な自然を壊させない、これ以上、悲惨な事故を起こさせない】との気持ちがここに集まっている』と訴えた。」
③「一方、基地建設が予定されるシュワブ沿岸の大浦湾海上では、大型クレーン船が汚濁防止膜を設置するための準備作業をしているとみられる。基地建設に反対する市民らは抗議船やカヌーを出して抗議行動をしている。カヌー延べ約10艇が午前10時半までに海上保安庁に一時的に拘束された。」





# by asyagi-df-2014 | 2017-03-22 17:32 | 沖縄から | Comments(0)

「福島原発事故による避難者の損害賠償請求訴訟前橋地裁判決を受けての会長談話」を読む。

 前橋地裁は、2017年3月17日、東京電力福島第一原発事故で群馬県に避難した人や家族ら137人が国と東電に1人当たり1100万円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決を出した。
 このことについて、日本弁護士連合会は2017年3月17日、「福島原発事故による避難者の損害賠償請求訴訟前橋地裁判決を受けての会長談話」を発表した。
 この会長談話の要約は、次のものである。

Ⅰ.判決の意義


 全国で起こされている東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)事故による被害の賠償を求める集団訴訟の中で、初となる判決となったこと。


Ⅱ.判決の内容


 福島第一原発事故の原因について詳細に判示するとともに、国について、2007年(平成19年)8月頃には規制権限を行使すべきであったとし、同不行使についての違法性を認め、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)については、慰謝料の考慮要素としてではあるが、2002年(平成14年)中には原発の非常用電源設備を浸水させる程度の津波の到来が予見可能であり、現実に2008年(平成20年)5月にはその到来を予見していたと判示し、ともに賠償責任を認めた。


Ⅲ.判決の留意点


 当連合会は、福島第一原発の事故の原因が明らかにされるとともに、この事故によって被害を受けた住民に対して、被害の実情に即して必要かつ十分な賠償がなされるよう求めてきた。本判決がこのような要請に十分応えたものになっているかについてはなお検討を要するものである。


Ⅳ.日弁連としての主張


 日弁連は、次のことを求めることとしている。


(1)めて東京電力と国に対しては速やかに被害を受けた住民に十分な賠償を行うこと。
(2)原子力損害賠償紛争解決センターに対しては、被害者の個別事情に応じた賠償の和解仲介を行う運用に努めることを求めるとともに、国に対して、応急仮設住宅と民間借り上げ住宅の無償提供の本年3月末での打切りを撤回し、適切な措置を講じること。


 この判決内容のポイントについては、「東電は高い津波の到来を遅くとも02年に予見でき、08年には実際に予見していた。」、「東電が津波対策をとっていれば、原発事故は発生しなかった。」、「国も津波到来を予見できる状況だったのに、事故を未然に防ぐための命令を東電に出さなかった。」、と朝日新聞は指摘している。
 つまり、国及び企業のそれぞれの責任のあり方が、これからは問われると言うことである。




# by asyagi-df-2014 | 2017-03-22 12:57 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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