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「辺野古が唯一の解決策」を考える。(6)-沖縄タイムス「日米関係、再考の契機 同盟「不変」ではない」より-

 新外交イニシアティブ(以下、NDとする)は、2017年2月、「今こそ辺野古に変わる選択を-新外交イニシアティブ(ND)からの提言」を発表した。
 沖縄タイムスは2017年3月11日、猿田佐世新外交イニシアティブ事務局長(以下、猿田とする)の「日米関係、再考の契機 同盟「不変」ではない」との記事を掲載した。
 この記事から標題を考える。
猿田の主張は次のものである。


(1)日米同盟はアジア太平洋地域における平和の礎、米軍の受け入れに感謝、辺野古基地建設は普天間閉鎖の唯一の解決策-。安倍晋三首相は日米首脳会談で、これまでのトランプ大統領のさまざまな主張を封印した。会談は従来の日米関係の継続を確認する場となった。
(2)トランプ氏の大統領当選から3カ月、日本政府は同氏を既存の日米関係へと引き戻すべく必死に働き掛けを続けてきた。当選直後のトランプタワーでの会談しかり、日米同盟は「不変の原則」とうたった首相の国会での施政方針演説しかりだ。日本政府にしてみれば、全ての政策の中心に米国を据えてきたため、既存の日米関係が変わってしまっては困るのだ。会談後の会見でも、世界が非難するイスラム圏7カ国からの入国禁止令についてすら、首相は内政問題として論評を控え、トランプ氏に配慮した。
(3)日本側の必死の働き掛けが成功し、会談はトランプ政権が基本的に既定路線を取ることを明らかにする機会となった。しかし改めてここで考えてみたい。今までの日米外交はそれほどまでに良いものであったのか。
(4)私はトランプ氏によるこれまでの発言の多くには賛成しないが、そのことと今までの日米外交がベストの状態にあったかどうかは別問題だ。
 基地に苦しむ沖縄の問題や、日本と中韓との関係が不安定な状況にあることを例に挙げるだけでも、これまでの「米国一辺倒」の日本の外交政策が多くの問題を抱えていることは明白だ。日本政府はトランプ氏を振り向かせようと懸命なだけで、こうした問題をこの機に解決しようとする姿勢が全く見られない。
(3)この3カ月で、日本が将来向かう方向がより明らかになってきた。トランプ政権は今後、日本に軍事的貢献の拡大を求めてくるだろう。その米国からの追い風を受けて、日本政府がさらなる防衛力強化にかじを切ることが強く予想される。日本の保守派の間には、米国との同盟を「深化」させながら、オーストラリア、インド、東南アジア諸国との関係を軍事的にも強化すべきだとする議論もある。だが、他国と共に軍事力による中国包囲網を形成し、さらなる対立構造をつくり出すことがアジア太平洋地域の平和と安定につながるだろうか。米国との関係を深化させるというが、今なおトランプ大統領には予測不可能性がつきまとう。
(4)トランプ政権の登場は、日本が「対米従属」だけを判断指針にすることができなくなり、自ら外交安保について考えなければならなくなった戦後初めての機会でもある。
 外交は国際情勢を踏まえて変化するものだ。「不変の原則」などと言って、現在の日米関係が永続的なものであるかのような思考停止状態に陥るべきではない。トランプ政権誕生という「激震」を、米国との関係を客観的に振り返り、絶対視してきた関係を相対化する機会とすべきである。
(5)これまで日米関係に懸念を示してきたリベラル派からも、今後の日米外交と安全保障のあるべき姿を巡り提案がもっとなされるべきだ。真に日本のためになる政策とはどのようなものか、国を挙げて議論を行うきっかけにしなければならない。


 確かに、猿田の「トランプ政権の登場は、日本が「対米従属」だけを判断指針にすることができなくなり、自ら外交安保について考えなければならなくなった戦後初めての機会でもある。外交は国際情勢を踏まえて変化するものだ。『不変の原則』などと言って、現在の日米関係が永続的なものであるかのような思考停止状態に陥るべきではない。トランプ政権誕生という『激震』を、米国との関係を客観的に振り返り、絶対視してきた関係を相対化する機会とすべきである。」、との認識は、鋭く現状を言い当てている。
 「辺野古が唯一の解決策」を克服するために、猿田の遅疑の2点の投げかけは重要である。


Ⅰ.これまで日米関係に懸念を示してきたリベラル派からも、今後の日米外交と安全保障のあるべき姿を巡り提案がもっとなされるべきだ。
Ⅱ.真に日本のためになる政策とはどのようなものか、国を挙げて議論を行うきっかけにしなければならない。





by asyagi-df-2014 | 2017-03-14 08:01 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年3月12・13日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 3月11日は土曜日、「大規模行動日」に当たり、大雨の中、懸命な抗議活動が続けられている。沖縄タイムスは、「建設反対の立場をとる県選出国会議員や県議、那覇市や名護市、金武町などの市町村議員らも参加。政治の場でも、基地建設阻止に向けた働きかけをいっそう強める決意を示した。」、と伝える。


 2017年3月12・13日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-タクシー乗務員殴り1170円乗り逃げ 米軍基地に住む男逮捕 「殴ってない」と否認-2017年3月12日 10:38


 沖縄タイムスは、「沖縄署は11日、タクシー乗務員に暴行を加え、料金1170円を支払わずに逃げたとして、海兵隊員の夫でキャンプ瑞慶覧に住む米国籍の自称整備工の男(25)を強盗致傷の疑いで現行犯逮捕した。「殴っていない。強盗もしていない』と容疑を否認している。乗務員の男性(39)=金武町=は頭部打撲の軽傷。」、と報じた。
 また、「同署によると同日午前1時10分ごろ、容疑者は北谷町砂辺でタクシーに乗り、北谷1丁目の県道130号で降りる時に後部座席から乗務員の頭を1回殴り、逃げたという。目撃者から『タクシー運転手が殴られたようだ』との110番通報を受け、現場に駆け付けた警察官が車両から約300メートル離れた歩道をふらついて歩く同容疑者を職務質問し、現行犯逮捕した。呼気からは基準値の約3倍のアルコールが検知された。」、と報じた。


(2)沖縄タイムス-「建白書」の保存期間を再延長へ 稲田防衛相「重要な参照資料」-2017年3月12日 05:00


 沖縄タイムスは、「稲田朋美防衛相は10日、衆院安全保障委員会で、今月末に期限を迎えるオスプレイの配備撤回などを求めて県内41市町村の代表らが政府へ提出した『建白書』の保存期間の再延長を検討していることを明らかにした。正式に決まれば3度目の延長になる。稲田防衛相は『建白書は、翁長県政の政策立案や実施について理解していく上で重要な参照資料の一つ』との認識を示し、『建白書を活用していくため、防衛省で保存期間の延長を検討している』と答えた。」、と報じた。

 質問した照屋寛徳議員(社民)は「翁長県政だけでなく全市町村の総意だ。沖縄への優しさや思いやり、理解が足りない。国立公文書館への移管を求める」と指摘した。

 建白書は普天間飛行場の撤去や県内移設断念を求め、2013年1月に安倍晋三首相宛てに提出。その後、防衛省が保管しているが、永久保存が義務付けられる「歴史公文書」ではなく行政文書の扱いとなっている。


(3)琉球新報-「民泊で戦争伝えて」 東村で元農林学徒・瀬名波さん 「最期の碑」を案内-2017年3月12日 05:00


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「東村で修学旅行生らの民泊を受け入れる人々を対象に2月21日、案内の際に役立ててもらおうと、同村宮城の「県立農林学校隊最期の碑」を瀬名波榮喜さん(88)が案内した。瀬名波さんは鉄血勤皇隊農林隊として戦争の前線に立たされ、多くの友人を亡くした。当時の様子や碑に込められた思いなどを説明した。」
②「碑は2014年6月23日に建立された。碑の対岸にある内福地地域で1945年4月28日に学徒らは米軍と交戦し、隊長1人を含む11人が命を落とした。瀬名波さんは無念さから一昨年、亡くなった学友10人の名前を調べ上げ、碑に刻銘した。土地は同村の又吉佳子さんが提供した。」
③「嘉手納町にある県立農林学校の跡地には別に『農林健児之塔』がある。しかし、若い学生が戦争に巻き込まれ犠牲になったことをより伝えるため、東村のこの地にある碑にはあえて『県立農林学校隊最期の碑』と『学校』の2文字を意識して入れた。瀬名波さんは約35人の参加者に『悲劇が繰り返されないように、若い人に伝えてもらっている』と話した。」
④「同じく隊員で2011年に他界した大城仁光さんの孫である東江あやかさん(23)=那覇市=が中学生の時、大城さんの話を基に書いた詩が碑に刻まれている。東江さんは『友の死を忘れない』と朗読した。」


(4)琉球新報-「陸自来たら婦女暴行起こる」 石嶺宮古島市議がFBに投稿 批判受け、その後削除-2017年3月12日 17:58


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「宮古島市への陸上自衛隊配備計画を巡り、石嶺香織宮古島市議が9日、自身のフェイスブック上で、米海兵隊の訓練を受けた陸自部隊が宮古島に配備されたら『絶対に婦女暴行事件が起こる』などと投稿した。その後、批判する書き込みが相次いだ。これを受け、石嶺市議は12日までに、フェイスブック上で釈明をした上で投稿を削除した。」
②「石嶺市議は12日、琉球新報などの取材に『あらためて会見などで見解を述べたい』と話した。同日までにフェイスブック上では『言葉足らずな表現から、意図するところとは違う誤解を生んでしまいました。私が批判しているのは、自衛隊員個々の人格に対してではなく、戦争のための軍隊という仕組みに対してです』などと釈明した。」
③「石嶺市議は9日、陸自が米国で海兵隊と共に実働訓練をしているとのニュースを引き合いに出し『海兵隊からこのような訓練を受けた陸自が宮古島に来たら、米軍が来なくても絶対に婦女暴行事件が起こる』と投稿した。その上で『沖縄本島で起こった数々の事件がそれを証明している。宮古島に来る自衛隊は今までの自衛隊ではない』と記した。」
④「石嶺市議は宮古島市への陸自配備の反対を公約に掲げ、今年1月の市議会補欠選挙で初当選した。」
⑤「防衛省は宮古島市に700~800人規模の警備部隊とミサイル部隊の配備を計画している。」


(5)沖縄タイムス-拘束が4カ月以上続く基地反対リーダー、那覇地裁が妻との接見認める-2017年3月12日 18:32


 沖縄タイムスは、「米軍基地の建設反対運動中に公務執行妨害や威力業務妨害などで逮捕・起訴され、約4カ月半の身柄拘束が続く沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)について、那覇地裁は10日付で妻との接見を認める決定を出した。弁護側が同日、接見禁止の解除を求める申立書を地裁に提出していた。弁護側によると、検察側が決定を不服として準抗告する可能性があり、決定が確定するかは不透明だという。」、と報じた。


(6)沖縄タイムス-「山城議長の保釈を」 大阪でミキサー車など250台パレード-2017年3月12日 21:44


 沖縄タイムスは、「『辺野古新基地NO』を掲げるミキサー車など250台のパレードが12日、大阪市内の繁華街であった。4労組でつくる関西生コン産業政策協議会が春闘に合わせて実施。毎年辺野古を主要スローガンの一つに掲げており、ことしは勾留が続く沖縄平和運動センターの山城博治議長の保釈も求めた。賃上げ要求に交じって、山城議長の顔写真と『不当な長期勾留許さない』の文字が入った横幕を掲げたミキサー車もあった。」、と報じた。
 また、「出発前の集会には約700人が参加。構成団体の全日建連帯労組関西地区生コン支部の武建一委員長は昨年の集会に山城議長を招いたことを振り返り、『逮捕、拘束は闘争を押しつぶすための攻撃だ。新基地建設は絶対に認められない』と強調した。パレードは辺野古沖のボーリング調査を請け負う深田サルベージ建設の本社前も通り、抗議の声を上げた。」、と報じた。


(7)沖縄タイムス-「ジャングル戦闘の研修をした」 陸自、米軍北部訓練場の使用が増加-2017年3月13日 06:13


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「沖縄県東村高江周辺でヘリパッド建設が進められていた昨年9月から12月にかけ、陸上自衛隊が北部訓練場内で3回、米軍と事実上の共同訓練をしていた。防衛省の担当者が10日、衆院安全保障委員会で赤嶺政賢議員(共産)の質問に答えた。自衛隊が『研修』などとして、北部訓練場を使用する頻度が年々増加していることも明らかにした。鈴木良之人事教育局長は「陸上自衛隊のレンジャー教育のため、海兵隊のジャングル戦闘の研修をした」と説明した。」
②「在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は8日に開いた報道機関との意見交換会で、北部訓練場のジャングル訓練施設で陸自と訓練を始めており、在沖米軍基地の全てで共同使用が可能との認識を示していた。」
③「深山延暁地方協力局長は、自衛隊単独での使用実績はないが、米海兵隊の訓練を『研修』することはあると答えた。陸自の2016年度の使用実績は6件で、過去4年間の合計と同数となり、増加傾向にある。海上自衛隊や航空自衛隊は確認されていないという。
また、米軍再編の一環で陸自がキャンプ・ハンセンでの訓練を始めた08年3月以降、陸自の使用総数は333回に上った。近年では射撃訓練の頻度が増しており、岡真臣防衛政策局次長は、第15旅団が、レンジ1と18で戦闘状況を模した射撃訓練を、レンジ22では25メートル程度と近い射程で射撃訓練をしていると伝えた。」
④「防衛省は、自衛隊組織としての任務遂行を目的としているのは『訓練』、隊員個人の知識や技能の向上を目的としたのは『研修』と呼ぶ。赤嶺議員は『自衛隊が在沖米軍基地で訓練をしている。負担は重くなるだけなのに負担軽減という言葉は使わないでほしい』と苦言を呈した。」


(8)琉球新報-工事車両約20台入る 名護市辺野古の新基地建設 機動隊、市民30人を排除-2017年3月13日 10:20


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に反対する市民らは13日午前、最大約40人が米軍キャンプ・シュワブの工事用ゲート前に座り込んだ。同日午前8時50分ごろから午前9時ごろにかけて、県警の機動隊員らが座り込む市民ら約30人を排除し、工事車両が入る通行路を確保した。コンクリート車やダンプなど約20台がゲートから基地内に入った。午前9時半までにけが人や逮捕者は出ていない。」、と報じた。
 また、「一方、新基地建設が予定されるシュワブ沿岸の大浦湾海上は雨が降り、波が高い天候となっている。同日午前8時すぎ、大型クレーン船が一時的にクレーンを動かしていたが、大型コンクリートブロック投下や汚濁防止膜の設置の作業は確認されていない。荒天のため、基地建設に反対する市民らの抗議船やカヌーは出ていない。」、と報じた。


(9)琉球新報-陸自配備で宮古・石垣住民が要請 防衛局が質問に回答 「ほとんど答えられていない」-2017年3月13日 14:40


 琉球新報は、「自衛隊配備が計画されている石垣島と宮古島の住民有志と県選出国会議員らは13日午前、嘉手納町の沖縄防衛局を訪れ、要請行動をした。住民有志らは沖縄防衛局に自衛隊配備計画に関する質問25項目を事前に提出していた。防衛局は要請の場で回答したが、出席した住民からは『ほとんど答えられていない。今後も反対運動を進める』との声が上がった。」
 また、「沖縄防衛局は中嶋浩一郎局長や伊藤晋哉企画部長らが対応した。中嶋局長は『』南西諸島の防衛体制の充実は極めて重要な課題であると考えているので、この点を理解してほしい』と語った。伊藤部長からはそれぞれの質問に対する回答があった。住民からの『有事の際の抑止力というが、宮古島で想定する有事とはどういう事態か』という問いに『周辺情勢が厳しさを増す中で、陸上自衛隊配備の空白地帯となっている宮古島への配備を進めることで抑止力を強化したい』と回答した。」、と報じた。


(10)沖縄タイムス-辺野古ゲート前:「工事をやめろ」大雨の中、市民60人が抗議-2017年3月13日 12:22


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古のキャンプ・シュワブのゲート前では13日午前、新基地建設に反対する市民約60人が大雨の中、『新基地建設阻止』『工事をやめろ』などと抗議の声を上げた。午前8時50分ごろ、工事用ゲート前に座り込んでいた約30人の市民を機動隊約50人が強制排除し、その間に工事車両19台が基地内に入った。午後0時20分、座り込む市民を再び機動隊が排除し、工事車両5台が基地内に入り、午前中に入っていた19台が出た。集会では、長期勾留されている沖縄平和運動センターの山城博治議長が初めて家族と接見できたとの報告があり、参加者から歓声や拍手が上がった。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-13 17:37 | 沖縄から | Comments(0)

辺野古埋立承認の「撤回」を考える。(1)-沖縄タイムス20170308-

 沖縄タイムスは2017年3月8日、「【辺野古 ただちに埋立承認撤回を】(上)翁長知事訪米の効果見いだせず 米議会報告書は重大な理解不足」、「【辺野古 ただちに埋立承認撤回を】(下)県民投票にメリットなし 新基地阻止は知事権限で」、との乗松聡子さん(以下、兼松とする)の記事を掲載した。
 この記事から、辺野古埋立承認の「撤回」と県民投票について考える。
まず、乗松は、翁長知事の訪米行動と辺野古埋立承認の「撤回」について、次のように論評する。


 訪米行動に意味がないわけではない。米国で沖縄の現状を知る人を1人でも2人でも増やすことは大事だ。しかし今のような、もう埋立に向けて作業が進み毎日大浦湾の海底が破壊されている事態では、本当に基地を中止に追い込める可能性のある「撤回」を翁長知事が即刻行うことが何よりも大事と思う。


 また、今回の訪米行動について、次のように押さえる。


(1)そもそも、コストの側面から米軍駐留への不満を口にしていたトランプ氏側に、日本の納税者が全額負担する予定の辺野古新基地計画を変更する動機などない。この厳しい状況の中で訪米を有効に行うには影響力のある相手に対して具体的要求を行う必要があった。しかし翁長知事が年末、「違法確認訴訟」の最高裁判決後、埋立承認取り消しの取り消しを行い、仲井真弘多前知事が埋立承認した状態に戻り工事も再開し、訪米するタイミングとしては最悪となった。
(2)唯一強いメッセージを持っていくとしたら「埋め立て承認撤回」を行ってから行くことだった。撤回宣言と同時に、2015年10月の「取り消し」の直後に国交相にされたような「執行停止」をさせないために、それを差し止める訴訟と仮の差し止めの申し立てを行えば即時に撤回の効力が生じ、工事を止めることができる。シンポが訪米の直前だったこともあり、私は沖縄で知事に届くように「訪米前の撤回」を訴えた。これは、むろん私だけではなく、多くの識者や運動家、市民が要請してきていることであった。
(3)その声は結果的に届かず、予想通り、翁長知事も「オール沖縄」訪米団も、トランプ政権の政策に影響を与えられるような相手に会うことはできず、前回までと同じで「反対」の気持ちを伝えただけであったようだ。辺野古基地建設が「15~20年かかりますよ」と強調したというが、これは計画の中止要求にはとても聞こえない。本紙2月7日の記事によると、面会した1人であるハナブサ下院議員には、知事が計画の中止を求めたという印象は薄かったようだ。


 兼松は、この上で、「撤回」における「県民投票」について、次のように主張する。


 工事が毎日進む今、翁長知事は、本当に基地阻止ができる可能性のある「埋め立て承認撤回」を今すぐ行ってほしい。2年以上「視野に入れた」状態を続けた後、今でも遅いのだが、もちろんしないよりはした方が阻止の可能性が高まる。損害賠償を求められるとしたら遅ければ遅いほどその額は増え、阻止は遠のく。「天王山」は今なのだ。


 兼松は、「撤回」における「県民投票」の位置づけについて、「県民投票」が必要ないことの理由を次のように説明する。


(1)県民投票は無意味だと思う。県民投票に半年かけたらその間に工事は進み補償を要求される額もつり上がる。勝っても法的拘束力はなくその代償に見合うメリットは期待できない。
(2)「撤回」については仲井真弘多前知事の埋立承認以降に公益を害する事由が生じた場合にできるのだから、これから新たな事由を作らなくともできるはずだ。


 兼松は、「県民投票」や「出直し選挙」について、明快に指摘する。


(1)シンポが終わった後も、高江や辺野古で常に体を張って運動してきた人たちから「よく言ってくれた」と次々に言われた。「遠くにいる人の方がよく見えている」とも。「私を呼んで言いにくいことを言わせている」、という人もいた。運動の中には、翁長知事のやり方に疑問を呈したり批判したりしてはいけないという雰囲気があるらしい。私はシンポで、「意見の対立は民主主義の実践につきものであり、分断を恐れて建設的批判もしなくなってしまったら権力側の思うつぼになる」とも伝えた。
(2)「県民投票」の案についてだが、「自明の民意をなぜ調べるのか」「工事が取り返しのつかない所まで進んでしまう」など、現場や市民レベルに近い人ほど否定的な声が多いと思う。提案する側は簡単だが、実際に足を使って運動させられるのは市民である。「わかりきったことを調べるためにこれ以上運動させるのか」との悲鳴が聞こえてくる。実際、肯定的な意見は県政、政治、新聞に主に見られるように思える。市民から「新聞は県政の方ばかり見て、市民感覚からかけ離れてしまっている」という声も聞いた。
(3)沖縄は知事選を含むさまざまな選挙や県民大会、世論調査などで「民意」を示しても政府は顧みもせずに工事を強行してきた。そのパターンが県民投票をやったからといって変わることはない。その間に工事は取り返しのつかなくなるほど進む。県民投票をしてそれを無視する政府にまた「怒る」だけで終わるのが目に見えている。
(4)私は本当に基地を止めたいと思っている人が県民投票など推すはずはないと思っている。県民の圧倒的な反対の声を背負って知事になった翁長知事が、ご自分の権限で基地を阻止するべきなのにどうしてまた市民に振り戻すのか。県政も、県民投票に前向きな姿勢を表明したようだが、あまりにも無責任ではないか。
(5)県民投票に成功しても、国は埋立承認がそのままである限りは着々と工事を進めるであろう。それどころか工事を加速させるであろう。また、歴代の沖縄の選挙にありがちであったように、国側の不当な介入によって万が一逆の結果が出る可能性もある。そうなった場合、県民投票を推した人たちはどう責任を取るつもりなのか。いい結果になってもプラスはなく、悪い結果になったらマイナスは果てしないというゲームにどうして多額の費用と労力と時間をかけて突入するのか。最近県議会で言及された「出直し選挙」にしても同様である


 辺野古埋立承認の「撤回」については、時期と方法を早急に決定する時期が来ていると考える。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-13 08:24 | 沖縄から

「『沖縄の全ての基地』を対象に『自衛隊と共同使用すべきだ』」との米軍の呼びかけに、稲田朋美防衛相は「今後充実させるべきだ」、と乗る。

 琉球新報は2017年3月9日に、ローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官の「8日、米軍キャンプ瑞慶覧で記者会見した。在沖米軍基地の在り方について『沖縄の全ての基地』を対象に『自衛隊と共同使用すべきだ』と述べた。」、伝えていた。また、この発言については、「米軍基地の自衛隊との共同使用化については『軍人としての個人的意見で日米両政府の政策ではない』とも強調した。」、とも報じた。
 稲田朋美防衛相は2017年3月10日、すぐさまこのことに反応した。
 琉球新報は、この様子を次のように伝えた。


(1)稲田朋美防衛相は10日の衆院安全保障委員会で、在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官が県内全ての米軍基地を自衛隊と「共同使用すべき」と主張したことに関して「今後充実させるべきだ」と同調した。
(2)防衛省は、米軍基地・施設での自衛隊の訓練数や研修が増加していることも明らかにした。特にキャンプ・ハンセンでの訓練数は急増している。赤嶺政賢氏(共産)の質問に答えた。
(3)赤嶺氏は「米軍再編は『沖縄の負担軽減』といいながら、自衛隊が米軍基地を使って訓練している。負担はどんどん重くなっている」と指摘した。
(4)稲田氏はその他の米軍基地の共同使用について「何ら決まったことはない」と強調した。ただ、共同使用する施設は増えている。日米両政府は2006年5月に合意した米軍再編ロードマップ(行程表)でハンセンについて「陸上自衛隊の訓練に使用される」と明記。ハンセンは07年度に共同使用が始まり、ホワイトビーチでも11年度から行われている。15年10月には日米合同委員会で北大東村の「沖大東島」と周辺水域・空域を自衛隊が恒常的に共同使用することも合意された。
(5)ハンセンでは沖縄に配備されている陸上自衛隊第15旅団の部隊が射撃や市街地戦闘、爆破訓練などを実施。年度ごとの訓練回数は07年度1回、08年度6回、09年度8回、10年度8回、11年度14回、12年度24回、13年度36回、14年度47回、15年度95回、16年度は2月24日までに85回。1回の訓練で最長は10日だった。
(6)沖大東島では13年11月に陸海空自衛隊の統合部隊訓練、15年11月と16年6月に海自護衛艦による対地射撃訓練などが行われた。
(7)米軍基地内での自衛隊の研修も増えている。陸自は08年度の8件から徐々に増え15年度は21件となった。海自は08~15年度まで毎年度1件。空自は08年度は17件、15年度には26件あった。


 確かに、赤嶺政賢氏(共産)の「米軍再編は『沖縄の負担軽減』といいながら、自衛隊が米軍基地を使って訓練している。負担はどんどん重くなっている」との指摘は、米軍再編の実像を物語っている。
 日本政府は、米軍再編を契機に、辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設、与那国島、石垣島、宮古島の自衛隊の基地化等々の沖縄における自衛隊の拡大強化を図っている。
 もちろん、そこでは「沖縄の負担軽減」は考慮されない。
稲田朋美防衛相の「今後充実させるべきだ」の「同調」の声が、このことを明らかに証明する。
 稲田朋美防衛相の理解には、防衛省からの沖縄の「共同使用」の着々と進められている実態の説明は受けても、そのことによってもたらされる「負担の増」は説明されることはないし、自らが理解しようとすることもない。
 やはり、きちんと、米軍再編の実像を洗い出し直す必要がある。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-12 20:03 | 米軍再編 | Comments(0)

在沖縄米軍トップ発言は、沖縄県内の米軍基地での深夜・早朝の離着陸は「運用上やむを得ない」と、認識を示す。つまり、「騒音規制措置に拘束力なし」(沖縄タイムス)。

 標題について、沖縄タイムスは2017年3月9日、「在沖縄米軍トップのニコルソン四軍調整官は8日、米軍嘉手納飛行場などで米軍機による深夜、未明の離着陸が相次いでいることに関し『パイロットは昼夜、一定の時間を飛ばないといけない』と述べ、運用上、やむを得ないとの認識を示した。嘉手納や普天間飛行場では日米が合意した騒音規制措置が守られず騒音被害が増しており、住民が反発するのは必至だ。キャンプ瑞慶覧で開いた報道機関との意見交換会で述べた。」、と報じた。
 このことについて、沖縄タイムスは同日、次のように解説した。、


(1)ニコルソン米四軍調整官が県内米軍基地での深夜・早朝の離着陸は「運用上やむを得ない」との認識を示したことは、日米の騒音規制措置(騒音防止協定)が米側に何ら拘束力を持たないことを、図らずも浮き彫りにした。第3次嘉手納爆音訴訟でも司法から騒音を放置する姿勢を批判された日本政府には、主権国家として他国軍の運用を制限するための実効性ある措置を講ずる責任がある。(政経部・大野亨恭)
(2)日米両政府は1996年の日米合同委員会で、嘉手納基地と普天間飛行場で午後10時から翌朝6時までの飛行を制限することで合意した。ただ、「米国の運用上、必要なものに制限する」との免罪符がついた。そもそも、米軍の深夜・早朝の飛行を止められる協定ではなかったということだ。
(3)近年、嘉手納には米本国を任務地とする米州軍の戦闘機が暫定配備されるなど、外来機の飛来が激増し、騒音被害が悪化の一途をたどっている。普天間でもオスプレイが夜間訓練を実施するなど市民の生活に暗い影を落としている。嘉手納で年間千回を超える協定違反が続いている現状を見れば、協定の著しい形骸化は明らかだ。
(4)騒音が激化するたびに周辺市町村は外務省、防衛省に被害軽減を訴えるが、日本政府は「運用には口出しできない」とにべもない。ニコルソン氏は騒音に関する住民の訴えは理解するが、夜間訓練は必要だと明言する。
(5)結局、住民の声は置き去りにされ、騒音被害だけが重くのしかかる。沖縄の負担軽減のために「できることは何でもする」と繰り返す日本政府だが、騒音規制に関し、何もしていないに等しい。協定の見直しを含め、実効性ある対策が急務だ。


 今回の沖縄タイムスの報道で改めて明確になったことは、次のこと。


Ⅰ.日米の騒音規制措置(騒音防止協定)が米側に何ら拘束力を持たないこと
Ⅱ.実態としても、「外来機の飛来が激増し、騒音被害が悪化の一途をたどっている。普天間でもオスプレイが夜間訓練を実施するなど市民の生活に暗い影を落としている。嘉手納で年間千回を超える協定違反が続いている現状を見れば、協定の著しい形骸化は明らかだ。」、ということ。
Ⅲ.「住民の声は置き去りにされ、騒音被害だけが重くのしかかる。沖縄の負担軽減のために『できることは何でもする』と繰り返す日本政府だが、騒音規制に関し、何もしていないに等しい。」ことから、この協定の見直しを含め、実効性ある抜本的な対策必要であること。


 ただ、もう一つの重要な観点がある。
 それは、「日米両政府が推進する方針を示している在沖米軍施設の自衛隊との共同使用に関し『将来的にはキャンプ・シュワブを自衛隊のオスプレイが使用すべきだ』と述べ、自衛隊との共同使用、共同訓練が重要との認識を示した。ニコルソン氏は『私見』と前置きした上で、共同使用は『沖縄の全基地で可能だ』と述べた。また、米軍北部訓練場内で陸上自衛隊が訓練を実施していることも明らかにした。」、との報道。
 このことについての明確な視点も必要である。
 例えばそれは、辺野古新基地建設は、安倍新政権にとっては必要な材料なのだということ。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-12 12:41 | 沖縄から | Comments(0)

「辺野古が唯一の解決策」を考える。(5)-今こそ辺野古に変わる選択を~NDからの提言(第2部「海兵隊新ローテーション方式の提案」)より-

 新外交イニシアティブ(以下、NDとする)は、2017年2月、「今こそ辺野古に変わる選択を-新外交イニシアティブ(ND)からの提言」を発表した。
 第2部「海兵隊新ローテーション方式の提案」を読む。要約する。
 まず、最初に、「海兵隊新ローテーション方式」を提案する。
このことについては、次のように説明する。


(1)沖縄の基地の約7割を占有する海兵隊を沖縄以外へ移転しても、運用所要を満たす施設さえあれば、任務を果たすことは可能である。沖縄の過重な基地負担を抜本的に解決する代替案(オルタナティブ)は、可能であり、早急に検討されなければならない。
(2)本報告書が提案する「新ローテーション方式」は、海兵隊に財政負担を求めることなくその運用所要を維持し、日本政府の追加的財政負担を要求することなく日米同盟の深化に有益な結果をもたらすことを追求したものであり、日本、米国、そして沖縄のいずれにとっても有益となる win-win-win の実現を目指している。「新ローテーション方式」は以下のアイディアから成り立っている。


 また、「海兵隊新ローテーション方式」については、「まとめ」で、次のように押さえている。


 以上述べたように、高速輸送船で分散移転の不便を解消し、接受国支援を地域支援に拡充し、自衛隊が、海兵隊が担う地域の信頼醸成やHA/DRの役割を分担することで、地域安保の基盤としての日米同盟をアピールする。この3要件を同時に満たすことを前提に沖縄から31MEUを移転すれば、普天間の代替飛行場を新設する必要はない。海兵隊の移転は、ランデブーポイントをグアムやオーストラリアなど県外・国外へ移転するだけのことに
過ぎないからである。
 第1海兵遠征軍がMEUをカリフォルニアから太平洋を越えてインド洋へ派遣しているように、ハワイや米本国から31MEUを展開することも可能である。


 具体的内容については、次のように説明する。


前提Ⅰ.米海兵隊の現状


(1)米太平洋軍はアジア・太平洋地域に約10万人を配している。沖縄にはその約4分の1にあたる約25,000人の米兵が駐留する。
(2)米軍再編(2006年の日米合意を2012年に日米で見直した部隊再配備計画)によって、在沖米軍兵力の6割を占める海兵隊19,000人のうち約9,000人がグアムなどへ分散配置される。戦闘力の中軸である第4海兵連隊と補給部隊など4,100人がグアムへ、第12海兵連隊や後方支援部隊の約2,700人がハワイへ、1,300人がオーストラリアへ、800人が米本国へ移転する。連隊規模の兵力はすべて転出し、3MEFなどの司令
部機能と31MEUが残ることとなった。
(3)海兵隊は地上戦闘部隊、航空部隊、後方支援部隊の三つの機能で編成されている。紛争が起きた時の内容や規模によって3つの機能の中から部隊を選出して派遣する。編成規模は海兵遠征軍(MEF、約45,000人)と海兵遠征旅団(MEB、約17,500人)、海兵遠征隊(MEU、2,000人)の三段階がある。MEFはカリフォルニア、ノースカロライナ、沖縄に1個ずつの計3つあるが、沖縄に残留する部隊は、海兵隊が海軍艦艇で遠征する最小規模部隊のMEUのみとなる予定であり、有事には本国から増援する体制となる。
(3)MEUはカリフォルニアに3個、ノースカロライナに3個、沖縄に1個の計7個あり、活動エリアとしてはカリフォルニアMEUがインド洋、中東、アフリカ東海岸を、ノースカロライナMEUが大西洋、地中海、アフリカを、そして沖縄MEUがアジア太平洋地域をカバーしている。任務は非戦闘員救出作戦(NEO)、人道支援・災害救援活動(HA/DR)や同盟国軍との共同訓練などだ。
(4)沖縄のMEUは長崎県佐世保の揚陸艦に乗りグアム、オーストラリア、フィリピン、タイ、韓国などの同盟国のほかアジア太平洋地域の諸国を巡回し、共同訓練を通して軍同士の交流を行いながら信頼醸成を図っている。各地域をカバーするMEUがそれぞれの地域で6カ月ごとに洋上展開、訓練、休憩を繰り返す。


 結局、このように海兵隊の配備先は、任務を担当する地域と一致する必要はない。高度な機動力と即応能力こそ、海兵隊の最大の利点である。


前提Ⅱ.31MEUと普天間飛行場


(1)31MEUに航空輸送力を提供するのが普天間基地に配属されている航空部隊である。普天間基地には航空機が48機配備されており、内訳はMV22オスプレイ24機、CH53E大型輸送ヘリコプター8機、UH1汎用ヘリ3機、AH1攻撃ヘリ9機、UC12汎用軽輸送機(要人輸送)1機、UC35汎用軽輸送機3機である。31MEUと連動し、揚陸艦(ミニ空母)に搭載する航空機は計23機で、内訳はオスプレイ12機、CH53大型ヘリ4機、攻撃ヘリ4機、汎用ヘリ3機である(このほかに山口県岩国基地に固定翼のF35戦闘機、空中給油機などが配備されている)。
(2)上記の通り、普天間基地に配備されている航空機の約半分は31MEUと帯同している。残り半分は予備機として配備されている。このため、31MEUを沖縄に配備することが、普天間基地の航空機能を沖縄に存続させ、辺野古に新基地を建設しなければならない根拠になっている。ちなみに湾岸戦争で海兵隊は回転翼機(ヘリなど)177機、固定翼機194機を投入した。


 結局、このことと比較すれば、普天間基地の航空輸送力は極めて小さく、MEUを支援するのみの配備であることが分かる。


Ⅰ. 運用―ランデブーポイントと高速輸送船


(1)海兵隊の各種部隊は6カ月単位のローテーションで沖縄に配備されている。
(2)米軍再編によって主力部隊がグアムなどへ移転した後、沖縄に残るのは司令部機能と31MEUである。
(3)31MEUは、長崎県佐世保の米海軍の揚陸艦でアジア太平洋地域を巡回する。年間6~9カ月の間、同盟国、友好国を訪問し、多国間の共同訓練を実施する。アジアにおける米軍プレゼンスを維持しつつ、軍事交流を深めることで安全保障ネットワークを構築する重要な任務を帯びている。


 結局、その任務は、日本が期待するような尖閣を含む日本防衛に拘束されない。アジア全域の安全保障の維持・管理の中に日本の安全保障が包含されていると理解すべきである。この理解がないと、地理的概念に囚われ、沖縄基地問題の実相を見誤り、問題解決の前提となる現状認識さえままならない。


ⅰ.海兵隊配備のカギはランデブーポイント


(1)重要なのが、沖縄の海兵隊基地からローテーションで展開してくる部隊と、佐世保の揚陸艦を合流させる「ランデブーポイント」(落合場所)である。現在、海兵隊が移動に使う艦艇は佐世保の揚陸艦のほか、オーストラリアの民間船舶会社からチャーターしている高速輸送船1隻がある。
(2)海兵隊にとって沖縄が便利なのは、2,000人規模のMEUが3、4隻の艦揚陸でアジア地域を洋上巡回する足場になっているからだ。米本国に後退すると移動距離が格段に長くなり、効率性を低下させる。もっとも、巡回の主目的は米軍プレゼンスの維持なので、その要員・装備が不足した場合には、海軍が駆逐艦などを出すほか、アジア地域の基地に陸軍や空軍を一時的に展開させる方法もある。
(3)在沖海兵隊を消防に例えよう。現在は、消防車(=揚陸艦)を長崎に置きながら隊員(=海兵隊員)は沖縄にいる。消防車が沖縄で隊員を迎えて、任務地のアジア太平洋へ出動していく。隊員は米本国から入れ替わりでローテーション配備されている。
(4)こうした部隊運用において、揚陸艦が海兵隊員と合流する「ランデブーポイント」は沖縄でなくてもいい。米本国から派遣される海兵隊員は航空機で日本にやってきて、長崎で揚陸艦と合流させればいい、という考えも成り立つのである。待ち合わせの方法を変えるだけの運用見直しで、沖縄基地問題は普天間移設問題を含め大幅に解消される。仮に31MEUの拠点を米本国へ移転させた場合、アジアへの巡回経費は増大するだろうが、生じるのはその分の費用をどうするかという問題のみである。


 結局、米軍再編で部隊が分散配置されることにより、海兵隊は高速輸送船を必要としている。この高速輸送船を日本が提供すれば、海兵隊にとって財政負担がなく、しかも速やかに移動できるという大きな利点になる。


ⅱ.海兵隊の予算難を救うカギは高速輸送船


(1)海兵隊の内実は厳しい。オバマ政権の大幅な国防費カットは、海軍にぶら下がる海兵隊により大きく影響する。海兵隊は将来の陣容と装備に不安を抱えている。
(2)海兵隊が沖縄からグアムやオーストラリアへ分散すれば、距離を埋めるための高速輸送船の必要性が高まるだろうし、実際、海兵隊は高速輸送船の追加配備を望んでいる。フィリピンの台風災害で高速輸送船を使えたら、事態への対応はまったく違っていたはずである。
(3)米海兵隊は現在、高速輸送船のチャーターに年間約14億円を支出している。また2005年10月29日に日米合意した『未来のための変革と再編』(米軍再編中間報告)には、日米両政府が協力する分野として「輸送協力には航空輸送および高速輸送艦(HSV)の能力によるものを含めた海上輸送を拡大し、共に実施することが含まれる」とある。さらに高速輸送船については、防衛省が2016年3月、自衛隊の訓練や災害派遣などに優先使用できるよう、もう1隻の輸送船とあわせ約250億円の契約金額で2025年12月末まで民間会社と契約を結んだ。なおこの高速輸送船は新造すると1隻500億円以上の費用がかかる。


 結局、以上の数字を考えると、後述する「提供施設整備費」などを併せても、日本側の支出は現在よりかなり低く抑えることができる。


Ⅱ. 財政負担の転換―ホストリージョナルサポート


(1)日本が負担する在日米軍の駐留経費年間約3,725億円のうち、防音対策などの周辺対策、訓練移転、漁業補償といった基地の外側での費用がほぼ半額を占める。基地内では従業員の給与が多くを占め、米軍が直接使用する提供施設の整備費は在日米軍全体で年間約220億円であり、全体に占める割合は5%に過ぎない。このうち在沖米軍基地の提供施設整備費は約50億円で、海兵隊基地への配分はさらに少ない。海兵隊が沖縄から移転する場合、同等額の援助を移転先の国や地域へ投下することになれば、海兵隊への日本政府の支出額は維持されることになる。
(2)沖縄の基地の約7割を使う海兵隊の転出によって、日本の基地周辺対策費は大幅に軽減される。この財源を活用すれば、海兵隊への支出額を増加しつつ、日本政府が負担する駐留経費を削減することができる。


 結局、これを実施するためには、日本政府における新たな立法措置が必要となる。しかし、この処置は、日本防衛のコストとしてみなされてきた駐留経費(ホストネーションサポート=接受国支援)をアジア全域の安全保障に活用する(ホストリージョナルサポート=接受域支援)ことを意味しており、地域の安定に寄与する日米同盟という性格をアピールすることができる。


Ⅲ. 同盟深化―日米Joint MEU for HA/DR


(1)アジア太平洋地域における米海兵隊の役割は、これまで述べてきた通り、日本防衛というよりアジア太平洋地域の安全保障環境の改善にある。具体的には、友好国との共同訓練のほか、アジア地域で近年頻発する大規模な自然災害への緊急対処が重要な役割になっている。これらは自衛隊の得意分野であり、世界で高い評価を受けている。海兵隊が実施している共同訓練、災害救援、人道支援活動の領域で自衛隊は今まで以上に大きな役割を担うことが期待できる。
(2)米海兵隊と日本の自衛隊が、沖縄に残留する海兵隊司令部を通じて緊密に連携・調整し、東アジア地域のHA/DRの訓練や実働任務を共同して、あるいは地域を分担して実施する体制を整備することで、「日米JointMEU for HA/DR」というべき新たな協力の枠組みが構築されることが望ましい。
 

 結局、2,000人の米海兵隊に加え、自衛隊は同等以上の規模のHA/DR部隊の提供が可能であり、日本近傍の地域の救援・訓練の所要により柔軟かつ実効的に対応することができるようになる。あるいは、自然災害に加えて戦闘任務を伴う事態が同時に発生した場合には、戦闘に優先的に投入される海兵隊に代わって自衛隊が救援任務を担当するなど、機能に着目した協働的な作戦が可能となる。


ⅰ.自衛隊にはすでに実績がある


(1)2004年のスマトラ島沖の地震・津波では27万人が犠牲となり、約1,000万人が家を失った。自衛隊は、インドネシアのアチェ州へ3隻の艦艇、輸送機2機を含む900人を派遣し、各地で救援活動を行った。
(2)2013年、フィリピンにおける台風被害に際しては、1,000人を超える人員と、KC-767空中給油・輸送機2機、C-130H輸送機7機、U-4多用途支援機1機、CH-47輸送ヘリコプターおよびUH-1多用途ヘリコプター各3機、輸送艦、護衛艦および補給艦の計3隻を派遣し、医療活動等に加えて、防疫活動および現地における救援物資などの輸送を行った。
(3)さらに自衛隊は、米海軍主催の人道支援活動「パシフィック・パートナーシップ」に毎年参加し、関係国との間の相互理解および協力の促進並びに民間団体との協力の促進を図るとともに、国際平和協力業務および国際緊急援助活動にかかわる医療、施設補修および輸送に関する技量の向上を図っている。
 
 
 結局、こうした自衛隊の能力を活用することは、日本の現行法制で可能である。


ⅱ.HA/DRの実例


(1)前出のスマトラ沖地震に際し、米国は9億5,000万ドルの支援金を拠出し、空母エイブラハム・リンカーンなど艦艇約20隻、航空機60機など、総勢12,600人の兵力を派遣して2カ月間救援支援を行った。
(2)2009年からASEANはリージョナルフォーラムで災害救援訓練(DiRex)を実施している。現状ではアジア太平洋地域でHA/DRへの対処能力を備えているのは日米中豪の4カ国に限られており、国際協力が不可欠だ。
(3)2010年のハイチ地震における中国政府の対応は迅速で、数百万ドルを寄付したほか、遭難レスキュー隊、医療チームを派遣、発電機、浄水設備、テント、衣類を提供した。またシリア、ヨルダン、レバノン難民に1,600万ドルの人道支援金を寄付している。
(4)2013年、フィリピンを襲ったスーパータイフーン「ハイヤン」は約7,000人の命を奪った。米国は48時間以内に即応し、8,600万ドルを提供し、米軍は最初の2週間だけで1,400万ドルの経費を使い救援活動を展開した。日本も国際緊急援助活動としては過去最大の約1,000人を現地に派遣した。中国政府の援助は当初10万ドルにとどまり、中国はアジアに冷たいと非難を浴びたため、175万ドルを追加提供したほか、病院船「ピースアーク」を派遣した。


ⅲ.アジアの安全保障とHA/DR


(1)米太平洋司令部がHA/DRを新たな安保課題と位置づけ、本格関与するようになったのは冷戦後の1989年からだ。その後、東南アジアにおけるほぼすべての大規模災害に即応している。また中国軍も近年、軍事ドクトリンで大規模災害を非伝統的安全保障分野の脅威と認識し、優先度の高い任務と位置づけている。米中がHA/DRで協力関係を広げることで信頼醸成と地域安定化の基盤構築が期待できる。
(2)例えば米中両国が保有する病院船の連携がある。米国の米海軍病院船「マーシー」(1,000床)が出動準備するには約5日、太平洋を横断するには約7日かかる。その間、中国が保有する病院船「和平方舟」(ピースアーク、300床)が初期対応し、米側と連携すればより多くの命を救えるはずだ。アジア太平洋地域で緊張緩和を促進し、安全保障を支える柱の一つになりえるだろう。
(3)米国はフィリピンで「バリカタン」「フィリベック」、タイで「コブラゴールド」、日本で「キーンソード」など多くの共同訓練を実施している。共同訓練でHA/DRを重視したのは2008年からで、米海兵隊だけでなく、太平洋地域に展開する陸海空の各軍とも積極的に取り組んでいる。フィリピンのドゥテルテ大統領は米比間の軍事演習を縮小する方針だが、HA/DRを軸とした共同訓練は継続する意向を表明している。
(4)従来、米国は中国との共同訓練参加に消極的だったが、2013年のアデン湾における海上行動の共同対処が成功してから両国の協力が深まった。同年夏、米中両海軍の双方が駆逐艦、ヘリコプター、特殊部隊を出して海賊対策訓練が行われた。フィリピンでの多国間共同訓練に中国軍が初めて参加したのもこの年だった。さらに同年11月には中国主催でHA/DRの機上訓練が初開催され、翌2014年の環太平洋合同訓練(RIMPAC)への中国初参加へ弾みをつけた。
(5)国際連合の試算によると、アジア太平洋地域は、自然災害の被害に遭う確率がアフリカの3.2倍、中南米の5.5倍、北米の9倍、ヨーロッパの実に67倍も高いとされている。大規模災害に対応する国際体制づくりを今日的な安全保障政策の重要テーマの一つとして位置づけるべきだろう。


 結局、日米安保体制は米国が日本防衛義務を負う片務性が指摘されるが、人道支援・災害救援活動で自衛隊の能力は高く、HA/DRは日本が憲法9条の精神を生かしながらアジアの安全保障に貢献できる分野だ。今日的な安保課題に合わせた同盟関係を再構築することで新たな地平が見えてくるだろう。沖縄基地問題の「解」もそこから導かれるはずだ。


まとめ


 以上述べたように、高速輸送船で分散移転の不便を解消し、接受国支援を地域支援に拡充し、自衛隊が、海兵隊が担う地域の信頼醸成やHA/DRの役割を分担することで、地域安保の基盤としての日米同盟をアピールする。この3要件を同時に満たすことを前提に沖縄から31MEUを移転すれば、普天間の代替飛行場を新設する必要はない。海兵隊の移転は、ランデブーポイントをグアムやオーストラリアなど県外・国外へ移転するだけのことに
過ぎないからである。
 第1海兵遠征軍がMEUをカリフォルニアから太平洋を越えてインド洋へ派遣しているように、ハワイや米本国から31MEUを展開することも可能である。


※海兵隊(3MEF)司令部について 
この提言は31MEUの再配置についてのみ言及した。司令部機能については今後の議論に委ねることにした。アジア太平洋地域の主要な活動がHA/DRであることを鑑みて、人道支援や災害救援という今日的な安全保障の課題にアジア各国が対処する拠点として沖縄を活用する道筋も想定されるだろう。各国の代表者が沖縄に集い、人道支援などの連絡調整を行う場所として沖縄を活用することは検討に値する。例えば「国際協力調整センター」(仮称)を設置し、近年多国間共同訓練に積極参加している
中国も含めて、平和的なアジア安保について語り合う空間を沖縄で提供する意義は深いと考えるからである。在沖海兵隊司令部もこの調整機能の主要な役割を担うことに期待したい。


 最後に、結論的なものをここで挙げてみる。


Ⅰ.「このように海兵隊の配備先は、任務を担当する地域と一致する必要はない。高度な機動力と即応能力こそ、海兵隊の最大の利点である。」
Ⅱ.「このことと比較すれば、普天間基地の航空輸送力は極めて小さく、MEUを支援するのみの配備であることが分かる。」
Ⅲ.「その任務は、日本が期待するような尖閣を含む日本防衛に拘束されない。アジア全域の安全保障の維持・管理の中に日本の安全保障が包含されていると理解すべきである。この理解がないと、地理的概念に囚われ、沖縄基地問題の実相を見誤り、問題解決の前提となる現状認識さえままならない。」
Ⅳ.「米軍再編で部隊が分散配置されることにより、海兵隊は高速輸送船を必要としている。この高速輸送船を日本が提供すれば、海兵隊にとって財政負担がなく、しかも速やかに移動できるという大きな利点になる。」
Ⅴ.「以上の数字を考えると、後述する「提供施設整備費」などを併せても、日本側の支出は現在よりかなり低く抑えることができる。」
Ⅵ.「これを実施するためには、日本政府における新たな立法措置が必要となる。しかし、この処置は、日本防衛のコストとしてみなされてきた駐留経費(ホストネーションサポート=接受国支援)をアジア全域の安全保障に活用する(ホストリージョナルサポート=接受域支援)ことを意味しており、地域の安定に寄与する日米同盟という性格をアピールすることができる。」
Ⅶ.「2,000人の米海兵隊に加え、自衛隊は同等以上の規模のHA/DR部隊の提供が可能であり、日本近傍の地域の救援・訓練の所要により柔軟かつ実効的に対応することができるようになる。あるいは、自然災害に加えて戦闘任務を伴う事態が同時に発生した場合には、戦闘に優先的に投入される海兵隊に代わって自衛隊が救援任務を担当するなど、機能に着目した協働的な作戦が可能となる。」
Ⅷ.「こうした自衛隊の能力を活用することは、日本の現行法制で可能である。」
Ⅸ.「日米安保体制は米国が日本防衛義務を負う片務性が指摘されるが、人道支援・災害救援活動で自衛隊の能力は高く、HA/DRは日本が憲法9条の精神を生かしながらアジアの安全保障に貢献できる分野だ。今日的な安保課題に合わせた同盟関係を再構築することで新たな地平が見えてくるだろう。沖縄基地問題の「解」もそこから導かれるはずだ。」


いずれにしろ、共通の出発点は、「 沖縄基地問題の『解』」、ということだ。



by asyagi-df-2014 | 2017-03-12 06:33 | 沖縄から

沖縄-辺野古-高江-から-2017年3月11日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 3月11日は土曜日、「大規模行動日」に当たり、大雨の中、懸命な抗議活動が続けられている。沖縄タイムスは、「建設反対の立場をとる県選出国会議員や県議、那覇市や名護市、金武町などの市町村議員らも参加。政治の場でも、基地建設阻止に向けた働きかけをいっそう強める決意を示した。」、と伝える。
 そこには、生活の幅と政治の幅を一生懸命に合わせようとする営みがある。


 2017年3月11日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-東村高江の基地工事費10倍 警備追加発注で59億円-2017年3月11日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍北部訓練場のヘリパッド建設を巡り、沖縄防衛局が昨年7月に工事を再開して以降に完成させた3地区4ヘリパッドの総工費が、当初予定の6億1300万円から合計59億768万円と、10倍近くに膨れ上がっていたことが分かった。防衛局はヘリパッド工事の契約を業者と締結後、複数回にわたり契約を更新する形で警備業務などを追加したことから、工費が19億327万円増の25億1627万円になったことが既に判明している。今回、これとは別に一般競争入札でも二つの警備業務を発注したことから33億9141万円の追加費用が出ていたことが明らかになった。平和市民連絡会の北上田毅氏が福島瑞穂参院議員(社民)を通して入手した資料で明らかになった。」
②「今回明らかになった警備業務は2件で、いずれも一般競争入札で発注された。警備の対象期間は昨年9月20日からことし3月末までの6カ月強で、金額は『N1』『N4』『ゴンザレス』と呼ばれる地区の警備が18億5997万円(受注者・総合警備保障、東京)。『G』『H』地区の警備が15億3144万円(受注者・テイケイ、東京)。」


(2)琉球新報-日米訓練にオスプレイ、群馬 機体大破の事故後初-2017年3月10日 19:24


 琉球新報は、「陸上自衛隊と米海兵隊は10日、群馬県の陸自相馬原演習場で行われている日米共同訓練で、米軍の新型輸送機オスプレイが参加する訓練を実施した。陸自隊員が同乗し、負傷者を輸送する手順などを確認。昨年12月に沖縄で機体が大破する事故を起こして以降、国内の共同訓練に参加するのは初めて。13日からは新潟県の関山演習場で、より大規模な『総合訓練』を実施する。共同訓練は『フォレストライト』と呼ばれ、年2回実施。陸自によると、安全保障関連法に基づく訓練シナリオは含まれていない。」、と報じた。


(3)沖縄タイムス-辺野古新基地:大雨の中「大規模行動日」 70人が抗議-2017年3月11日 10:53


 沖縄タイムスは、「名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で辺野古の新基地建設に反対する市民ら約70人は11日午前、工事車両の搬入を阻止しようとゲート前で座り込みを続けている。この日は毎週土曜の「大規模行動日」に当たり、大雨の中、建設反対の立場をとる県選出国会議員や県議、那覇市や名護市、金武町などの市町村議員らも参加。政治の場でも、基地建設阻止に向けた働きかけをいっそう強める決意を示した。」
 また、「午前8時25分ごろには、ゲート内に進入しようとする工事車両に抗議していた50代女性が、機動隊とのもみあい中に転倒。後頭部を打ち、緊急搬送された。午前10時半現在、車両3台の基地への進入が確認された。市民らは『弾圧を許すな』『沖縄の未来を壊すな』と声を上げ、抗議の姿勢を強めている。一方、海上では午前10時半現在、作業は確認されていない。ゲート前でも、東日本大震災から6年となる午後2時46分、犠牲者へ黙とうをささげる。」、と報じた。


(4)沖縄タイムス-辺野古沖に汚濁防止膜を設置 埋め立てへ最終段階-2017年3月11日 09:23


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は10日、大浦湾で、濁った水の周囲への拡散を防ぐ汚濁防止膜を設置する作業を開始したと発表した。約1カ月間で計4カ所、約2110メートルの膜を設置した後、護岸工事を始める方針。本格的な埋め立て工事に向けた準備が最終段階に入った。各選挙で示された県内民意を顧みない強行が続いており、新基地建設に反対する市民らは船やカヌーに乗り、海上で抗議の声を上げた。」
②「汚濁防止膜設置を含む工事は2015年2月に業者と契約し、16年3月には終了する予定だった。県と国の集中協議や、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しで、大幅に遅れていた。14年7月の事業着手後、これまでは調査や設計など本体工事の準備段階だったが、膜の設置が終われば、海上作業ヤードや護岸の整備などに移る。政府は名護市長選や知事選など今後予定される選挙日程をにらみ、既成事実を積み重ねる考えだ。」
③「作業は午前10時半に始まり、正午には終わった。フロートの付いた約350メートルの汚濁防止膜をタグボートで引き出し、埋め立て区域の北側で、作業員が海底のコンクリートブロックにつなげ、固定した。ブロックを海底に投下する作業も午前9時15分ごろから、正午ごろまで続いた。」
④「工事に必要な県の岩礁破砕許可の期限は3月末に切れるが、国は再申請しない方針。県は、許可の切れた状態で、防衛局が4月1日以降に工事を続けた場合、県漁業調整規則違反に当たる可能性があるとして、文書での行政指導や検察庁への告発などの対抗策を打ち出すとみられる。」





by asyagi-df-2014 | 2017-03-11 17:14 | 沖縄から | Comments(0)

「辺野古が唯一の解決策」を考える。(4)-今こそ辺野古に変わる選択を~NDからの提言(第1部「辺野古に変わる選択肢」)より-

 新外交イニシアティブ(以下、NDとする)は、2017年2月、「今こそ辺野古に変わる選択を-新外交イニシアティブ(ND)からの提言」を発表した。
 ここでは、 第1部「辺野古に変わる選択肢」を読む。要約する。



Ⅰ.沖縄は日米政府の「不正義」に怒っている


(1)2015年9月、翁長雄志沖縄県知事は、ジュネーブの国連人権理事会総会で以下のように述べた。「沖縄県内の米軍基地は、第二次世界大戦後、米軍に強制接収されて出来た基地です。沖縄が自ら望んで土地を提供したものではありません。沖縄は日本国土の0.6%の面積しかありませんが、在日米軍専用施設の73.8%(2017年12月の北部訓練場過半の返還により、2017年2月現在は70.6%)が存在しています。戦後70年間、いまだ米軍基地から派生する事件・事故や環境問題が県民生活に大きな影響を与え続けています」。
(2)沖縄は、軍用機の騒音・爆音、墜落事故、山火事、有害物質の流出による環境汚染、性犯罪、殺人事件などの犯罪など、米軍基地から派生する様々な問題に悩まされてきた。例えば、米兵の犯罪率は高く、施政権が日本に返還された1972~2013年の間に限っても、米兵による犯罪件数は5,833件(年平均142件)で、うち 1割は殺人、強盗、強姦、放火などの重大犯罪であった。また、同期間において、飛行機事故は594件(年平均14件)起きている。米軍基地の過度な集中が犯罪件数の発生数につながっていることは容易に想像できる。
(3)日米地位協定により、基地への立ち入りが極めて限定的で、基地内で起きる猛毒のダイオキシン汚染、PCB汚染、日常的なオイル漏れなど、県民の健康と生活に直接影響を及ぼしかねない環境汚染に地元自治体が直接関与できないのは地方自治の見地からも到底、適切とはいえない。


 結局、「基地の島」とも呼ばれる沖縄では、沖縄本島の約20%が米軍基地に占められている。これらの米軍基地は、第二次大戦中の米軍の占領や1950~60年代の日本本土からの基地移転により建設され、現在まで使用され続けているものである。


Ⅱ.基地の歴史と現状


(1)普天間基地は、大戦中の1945年6月頃、米軍が沖縄上陸ののち、宜野湾村(当時)の農村集落を占領し、日本本土を爆撃する最前線基地として利用するため建設した基地である。同年8月の終戦後,収容所や避難先から戻った住民が家に帰ると、一帯はすでに強制接収され、滑走路が出来上がっており、住民の立入りが禁止されていた。
(2)第二次大戦後も沖縄では米国による支配が続き,米軍が住民の土地を強制的に収用できるとする米占領当局の布令により、土地収奪が続けられた。
(3)1951年のサンフランシスコ平和条約締結以降、日本本土では基地反対の世論が高まった。これを鎮め、同時に、米国の軍事費を削減するため、日本本土の米陸軍部隊や米海兵隊が沖縄へ移された。現在沖縄に配備されている米海兵隊も、岐阜県、山梨県、静岡県などから沖縄に配置されたものである。1972年に沖縄が日本に返還されたのちも、こうした現状は変わっていない。
(4)沖縄の人々は普天間基地の沖縄県内移設に強く反対し、大規模な反対運動を行ってきた。2004年4月に始まった辺野古建設現場における座り込みも12年以上続いている。日本政府は、反対する住民を排除するため、東京の治安対策部隊である警視庁機動隊を投入している。


 結局、普天間基地返還の条件と称して、これまでと同様の手法で新たな基地を押し付ける日米両政府の強制的な姿勢が、沖縄県民に負の記憶を呼び覚ましている。


Ⅲ.辺野古が最善の選択肢という論理は破たんしている


 日米両政府が2013年4月の日米安全保障協議委員会(2+2)で合意した普天間代替施設の判断基準は、以下の4点であった。
 (1) 運用上有効であること。
 (2) 政治的に実現可能であること。
 (3) 財政的に負担可能であること。
 (4) 戦略的に妥当であること。


ⅰ.運用上の有効性(基地の規模と設備が、所在、来訪する航空機の運用上のニーズを満たし、飛行に制約がないことを意味。)


(1)現在建設が進められようとしている辺野古の新基地には、集落の上空を飛行しないように2本の滑走路を建設する計画が示されている。この設計では、天候の急変の際、作戦上の柔軟な運用が妨げられる可能性がある。規模と設備の面でみれば、現在および将来の配備機種・機数に見合う地積さえ確保できればよい。こうした候補地は、沖縄のような狭い島でなくとも、世界中に存在している。
(2)オスプレイが輸送する地上部隊との適正な距離も、運用上の判断基準である。地上部隊が必要とするのは隊舎と訓練場であって、31MEUの地上部隊と航空部隊がパッケージで移転することを前提とすれば、やはり候補地は世界中に存在する。


ⅱ. 政治的実現可能性(地元の自治体や共同体が基地の存在を許容することを意味。)


(2)辺野古の新基地建設は、計画が公表されて以降20年間、県、名護市および辺野古周辺地区の住民を分断する政治的対立の火種であり続けている。
(3)賛成する住民も、積極的に歓迎しているのではなく、住民を分断する対立状態に耐えられなかったり「世界一危険」と言われる普天間基地の返還の実現のためにやむなく受け入れようとしているに過ぎない。そのような消極的賛成の世論を根拠に基地を建設しても、基地運用への十分な支持が期待できないばかりか、予期せざる事故や事件の発生によって一気に反対の世論に発展する可能性がある。
(4)ましてや建設に反対している住民の怒りはすさまじく、基地の安定使用は望むべくもない。


 結局、辺野古は、最も政治的に実現可能性がない地域と言うべきである。


ⅲ.財政的負担可能性


(1)日本政府の試算によれば、辺野古移設のために必要な財政負担は3,500億円である。この金額は、今後の設計変更などによってさらに増額されると考えられている。これは、日本の防衛関係費1年分の7%に上る額であり、決して小さな額ではないが、日本政府は、これを負担可能であると判断している。したがって、この3,500億円以下の経費で実現可能な計画であれば、財政的に負担可能ということになる。
(2)例えば、海兵隊主力のグアム移転に伴い日本政府が負担する金額2,700億円は、辺野古の基地新設よりも少ない。


 結局、このグアム移転計画のように、既存の施設の拡張計画に併せて、大規模な埋め立てを必要としない施設を新設する代案であれば、現行計画よりも少ない財政負担で済む。そのような既存施設は、米本土をはじめ、アジア太平洋地域に数多く存在している。


ⅳ.戦略的妥当性


 結局、辺野古案の最大の問題は、戦略的妥当性を主張できないことにある。


 後に詳述するように、移動速度が遅く、ミサイル攻撃に対して防御力に欠ける海兵隊陸上部隊が中国の中距離弾道ミサイルの射程内に存在することは、米政府のアジア地域におけるリバランス政策において最も弱い「脆弱性の窓」となる可能性があり、米国の戦略にとって妥当とは言い難い。


Ⅳ.米国の戦略上の利益のためには海兵隊が沖縄にいるべきではない


(1)1996年、普天間返還合意当時の米国の戦略は、中東および北東アジアの二つの大規模紛争(2 MajorRegional Conflicts)に対処することを念頭に、欧州および極東にそれぞれ10万人の前方展開兵力を維持するというものであった。20年後の今日、米政府は、アフガニスタンおよびイラクにおける戦争の長期化の中で、膨大な財政赤字に対処するため国防費の強制削減に取り組んできた。大規模な軍事介入を控えるとともに前方展開兵力の配備を見直し、日本や北大西洋条約機構(NATO)などとの協力を必要としている。
(2)アジア太平洋においては、近年、中国の軍事的進出が急速に進んでいる現状を踏まえ、力のバランスを長期にわたって維持する再均衡化(Rebalance)を目指している。
(3)再均衡化戦略を特徴づける要素は、以下の4点である。
ⅰ.中国を封じ込めるのではなく、共有されたルールの下での共存を目標とする。
ⅱ.万一中国に対する軍事的対応(Hedge)が必要となった場合には、戦略目標を明確にしたうえで、それに見合う軍事力を展開する。
ⅲ.そのため、米軍の態勢としては、宇宙・サイバーを含むC4ISR(指揮、統制、通信、コンピュータ、情報、監視、偵察)の優位性を維持するとともに、大規模な前方展開兵力よりも、必要な時に適切な規模の軍事力を必要な場所に展開できる輸送能力とアクセス可能な基地ネットワークを構築する。
ⅳ.同盟国・友好国の自助能力を高める。


 結局、こうした軍事戦略の流れは、米国が「世界の警察官」としての役割を減らそうとする場合にも、米国自身の安全保障上の国益を長期にわたって維持するために必要であり、かつ自らの負担を軽減する意味でも、将来にわたって合理的だあり続ける。


Ⅴ.海兵隊の位置づけ


 海兵隊の配備は、こうした戦略的トレンドの中で考慮しなければならない。その際、考慮すべき要素として、以下の点があげられる。
ⅰ.東アジアにおける再均衡化の焦点は、南シナ海、東シナ海および西太平洋という広域な戦域における力のバランスの維持である。
ⅱ.海洋のコントロールを担うパワーは海軍力と空軍力であり、これに対する脅威は、基地および空母を標的とするミサイルおよび潜水艦である。
ⅲ.陸上拠点となる基地および周辺海域の防衛は、主として受け入れ国の役割であり、日本の自衛隊は、防空作戦、対水上艦戦、対潜水艦戦および米軍と連携したミサイル防衛の能力を向上させている。


 結局、これらの要素からみて、東アジア・西太平洋のパワーバランスの維持にとって、海兵隊の沖縄駐留が不可欠とは言えない。加えて、沖縄は、中国の中距離弾道ミサイルの射程内にあり、海兵隊を含む地上兵力は、ミサイルの脅威に対して脆弱である。東アジア・西太平洋における海兵隊の前方展開を維持するのであれば、ハワイ、オーストラリアなど、中国の中距離弾道ミサイルの射程外に拠点を置くことが合理的である。


Ⅵ.抑止のメッセージ


(1)日米の安保関係者の中に「海兵隊が沖縄から撤退すれば中国に誤ったメッセージを送ることになる」という懸念を表明する向きがある。これは、客観的に見て妥当な懸念と言えるだろうか。
(2)これまでの日米両政府の合意によれば、最終的に沖縄に残留する海兵隊の実戦部隊は31MEUのみとなる。
(3)上記懸念は、31MEUのような規模、機能を持った部隊が残留すれば、中国に対する十分な抑止力になるという認識を前提としている。加えて、日本では、海兵隊が沖縄にいることが尖閣防衛にとって必要であるとの考え方が一般的である。この考え方は、米政府が、日本と中国との紛争要因となりかねない尖閣諸島の防衛に必ずコミットし、沖縄に残る31MEUが尖閣防衛の抑止力になるという認識を前提としている。
(4)しかしこれらの認識は、2015年の日米防衛協力指針における定義と矛盾する。この指針では、一義的に尖閣を含む離島の防衛は日本の自衛隊の役割であって、米軍は「支援し、補完する」という役割に留まるとしているからだ。
(5)さらに、日中固有の領土問題である尖閣に米政府が海兵隊を使って必ず介入するとの認識を放置すれば、将来の紛争における米政府の対応の自由を奪い、米国の国益を損なう可能性がある。
(6)一方、陸上自衛隊は、尖閣を含む離島防衛を目的として、オスプレイを保有する3,000人規模の水陸機動団を2018年度に新設する計画を持っている。これは、辺野古新基地を使用する予定の31MEUと同等以上の規模であり、沖縄周辺の離島防衛を主任務としている。この部隊は、航空自衛隊の輸送機や、海上自衛隊が保有する揚陸機能を持つ輸送艦に搭乗して遠距離の作戦にも従事できる予定であり、東南アジア地域におけるHA/DRにも対応可能である。


 結局、「中国に対して誤ったメッセージを送らない」という配慮は必要であるるとしても、それは、沖縄の海兵隊でなくても日本自身の防衛努力によって代替可能である。他方、海兵隊の沖縄駐留に固執すると「海兵隊さえいれば、離島防衛は万全」という日本国内に対する誤ったメッセージとなることを考慮しなければならない。


Ⅶ.本格的武力紛争への対応


(1)離島をめぐる領域紛争の枠を超える本格的武力紛争が生起した場合、31MEUが沖縄に所在すれば、台湾、朝鮮半島に比較的短時間で駆けつけることはできる。だが、こうした本格的事態において必要となるのは米本土から動員される1個あたり1万人を越える師団および旅団規模の大規模な兵力であり、沖縄に残留する2,000人の31MEUでは戦局を左右できない。
(2)米国の抑止力にとって不可欠なのは、中国の眼前に小規模の即応戦力を置き続けることではなく、必要な時に来援する大規模兵力を受け入れる基盤を維持することである。それこそが米国の選択的コミットメントの象徴となる。


 結局、全国各地にある自衛隊の基地、駐屯地および演習場は、有事の米軍来援を受け入れる基盤として活用することができる。沖縄から撤退した米海兵隊がこれらの施設を使って共同訓練を行うことによって、米国のコミットメントの意志を示し続けることが可能である。


Ⅷ.東アジアの公共財としての海兵隊


(1)東アジアの安全保障上の懸念は、中国による海洋進出と北朝鮮の核開発にとどまらない。この地域は、台風・地震・津波など世界有数の大規模な自然災害が多発する地域でもある。31MEUは、こうした災害において大きな役割を果たすとともに、日ごろから域内各国を訪問して2国間および多国間の訓練を行い、各国の能力向上と信頼醸成を通じた安全保障環境の改善に貢献している。これは、海・空軍が提供する軍事的な抑止力とともにこの地域の安定を支える二本柱の一つである。
(2)HA/DRの分野では、自衛隊も、その高い能力を活かして米軍とともに活動しており、さらに連携強化する余地がある。第2部で述べる「日米JOINT MEU for HA/DR」は、この地域の現実の脅威である災害対処において、日米が主導する中国を含む多国間の安全保障協力関係を構築する絶好の機会を提供する。
(3)日本は、フィリピン、ベトナム、インドネシアに対する巡視船の提供などを通じ、海洋の安全管理に関する能力向上を支援している。


 結局、こうした一連の施策によって、日米同盟は地域安全保障の中核的な公共財として深化を遂げることができる。





by asyagi-df-2014 | 2017-03-11 08:03 | 沖縄から

沖縄-辺野古-高江-から-2017年3月10日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 沖縄防衛局は2017年3月10日、辺野古沖に汚濁防止膜きょう設置。本格的な埋め立て工事に向けた準備段階に入る。
 沖縄県は、「4月1日以降に防衛局が許可を得ないまま工事を進めた場合は、県漁業調整規則違反に当たる可能性があるとして、行政指導や検察庁への告発などを含めた対抗策を打ち出すとみられる。」(沖縄タイムス)、とされる。
 いよいと、「撤回」の問題を含めて、重要な時期を迎える。


 2017年3月10日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-辺野古沖に汚濁防止膜きょう設置 埋め立て準備本格化-2017年3月10日 07:25


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は9日、護岸建設に向け、汚濁の拡散を防ぐための膜を設置する準備に着手した。防衛局は10日から約1カ月かけて設置し、終了後に護岸工事を始める方針で、本格的な埋め立て工事に向けた準備段階に入る。」
②「防衛局はキャンプ・シュワブ沿岸部の埋め立て予定海域の4カ所に防止膜を設置する予定。膜は全長約2100メートルに及び、今回はシュワブから沖合に向けた「本体北側」部分に約950メートルを設置する。」
③「市民によると9日は台船から防止膜約300メートルが海上に引き出されたという。防止膜を固定するためのコンクリートブロックを沈める作業も見られた。防止膜は、埋め立て工事で海底の起伏をならす作業を実施する際の濁った水の拡散を防ぐ目的で設置する。膜は「垂下型」と「自立型」の2種類あり、海面に浮く形となる垂下型は海底のコンクリートブロックで固定する。防衛局は計228個のブロックを設置する計画で、既に大半を海底に投下した。」
④「一方、県は埋め立て承認時の留意事項に付した実施設計に基づく事前協議がなされていないとして工事の中止を求めている。国は3月末に期限を迎える岩礁破砕許可の再申請をしない方針で、県は4月1日以降に防衛局が許可を得ないまま工事を進めた場合は、県漁業調整規則違反に当たる可能性があるとして、行政指導や検察庁への告発などを含めた対抗策を打ち出すとみられる。」


(2)沖縄タイムス-捜索4時間、落下タイヤ発見できず 米軍つり下げ訓練-2017年3月10日 07:09


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「米軍のUH1ヘリが8日のつり下げ訓練中にタイヤを落下させた事故で、米軍は9日、落下場所とみられる金武町中川区にある米軍提供区域内の茂みを引き続き捜索した。米軍関係者約20人が午前9時すぎから約4時間捜索したが、全員が何も持たずに引き揚げた。正午ごろには米軍ヘリ1機が捜索現場上空をホバリングした。」
②「現場はフェンス外だが、約300メートルの場所に金武町ごみ処理場があり、日中は付近の道路をごみ搬入車両が頻繁に往来する。処理場で働く男性(57)は『昨日は、低空でホバリングしていたからおかしいと思った。これまでも、人がいてもお構いなしに付近でつり下げしていた。落下と知ってやっぱり怖いし、危ない」と話した。」
③「道路を挟んで中川区に隣接する宜野座村城原区の崎濱秀正区長(72)は『民間地のすぐ近くで起きた事故で、人命に関わる問題だ。つり下げ訓練も、民家に近い着陸帯ファルコンも撤去すべきだ』と憤った。」


(3)琉球新報-辺野古中止訴え121万署名 市民団体が提出、過去最大規模-2017年3月9日 17:00


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設や米軍北部訓練場(同県国頭村・東村)の過半返還に伴うヘリパッド建設などに反対する『沖縄県民の民意尊重と、基地の押し付け撤回を求める全国統一署名』が9日までに121万2281人分集まった。県内への基地建設に反対する署名としては過去最大規模となる。呼び掛け人となった市民団体は同日、衆院第1議員会館で集会を開き、野党国会議員に署名を提出し、新基地建設の即時中止に向けて請願の手続きを取るよう求めた。」
②「署名は『基地の県内移設に反対する県民会議』『【止めよう!辺野古埋立て】国会包囲実行委員会』『戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会』の3団体が連携し、昨年10月から全国各地で集めた。9日の集会には民進、共産、社民、自由の4党と参院会派「沖縄の風」の議員ら約20人が参加し、団体代表者から署名を受け取った。」
③「3団体は引き続き4月25日まで署名を集め、全国に賛同者を広げていく考え。集会に参加した沖縄平和運動センターの大城悟事務局長は、全国各地での取り組みに感謝し『今の沖縄に対して差別とも言える弾圧を許さないし、屈さない。必ず未来の子どもたちのために今ある基地建設を止めていく。その決意を改めて固めた』と語った。」


(4)琉球新報-公明県本が外務省に抗議 米軍ヘリのタイヤ落下-2017年3月10日 11:00


 琉球新報は、「金武町と宜野座村の境界線付近で米軍ヘリがつり下げていたタイヤを落下させた問題を受け、公明党県本は10日午前、外務省沖縄事務所を訪ね、井関至康副所長に抗議し、事故原因の究明や民間地上空でのつり下げ訓練を実施しないことなどを求めた。井関副所長は『徹底した原因究明と再発防止を強く求めているところだ。米側にはしっかりと対応するよう引き続き申し入れていきたい』と述べた。」、と報じた。


(5)琉球新報-汚濁防止膜の設置開始 辺野古新基地建設 新たな工程に-2017年3月10日 10:12


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、沖縄防衛局は10日午前9時42分、大浦湾海上の臨時制限区域内で、護岸工事に先立つ汚濁防止膜の設置作業を始めた。海面に浮く防止膜につなぐ浮具(フロート)を船でえい航した。工事は新たな工程に入った。防止膜は4月末までに計4カ所設置する予定。5月には護岸工事を始め、その後に本格的な埋め立て作業を始める。」
②「海上では基地建設に反対する市民らが抗議船4隻、カヌー11艇で抗議している。汚濁防止膜の設置と並行し、膜を海底で固定するためのアンカーとなる大型コンクリートブロックの投下も続いている。大型クレーン船が稼働し、午前9時29分からブロックの投下が始まった。2月から続いているブロック投下は現在、予定する228個のうち、少なくとも6割以上が投下を終えているとみられる。」
①「一方、米軍キャンプ・シュワブゲート前では同日午前8時45分ごろ、基地建設に反対する市民約20人が座り込み、県警の機動隊約50人が排除した。工事車両の進入路を確保した後、ゲート内にダンプ19台が入り、うち2台はトレーラーで、荷台にコンテナ3個を積んでいた。」


(6)琉球新報-辺野古汚濁防止膜設置へ 知事に「撤回決断を」 市民、自然破壊も危惧-2017年3月10日 11:22


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「沖縄防衛局が10日にも辺野古移設に向け、護岸工事に伴う汚濁防止膜の設置作業を開始することに、市民から『翁長雄志知事は一刻も早く埋め立て承認の撤回に踏み切ってほしい』『もっと県民は怒らないといけないのではないか』など、翁長知事の決断を待ち望む声や怒りの声が上がった。
②「大浦湾では連日大型のコンクリートブロックが投下され、工事は急ピッチで進んでいる。米軍キャンプ・シュワブゲート前では、工事用車両の搬入を止めようと座り込む人たちを機動隊が強制排除し、工事が遅れる気配はない。」
③「大浦湾の海上で抗議活動をしている写真家の牧志治さん(67)は『汚濁防止膜が張られると海水の流れが阻害され、生態系が破壊される。一度破壊された自然は二度と戻らない』と危惧した。」
④「キャンプ・シュワブゲート前で座り込んで機動隊に強制排除された那覇市の具志ムツミさん(67)は『国は県民の意見を聞かずに勝手な解釈で工事を進めてひどい。もっと県民は怒らないといけないのではないか。子どもや孫、未来の沖縄のことを考えないといけない』と訴えた。大浦湾に面する名護市二見区に住む浦島悦子さん(69)は『毎日大浦湾に落とされるブロックを見せつけられて地域の人は【もう駄目だろう】と不安をかき立てられている。基地ができたら、次世代に申し訳ない。20年間続いてきた行動を絶対に諦めない』と声を上げた。」


(7)沖縄タイムス-辺野古新基地:抗議市民30人を4度強制排除-2017年3月10日 14:45


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの工事用ゲート前では10日、午前8時45分から午後12時40分にかけて、新基地建設に抗議して座り込む市民20~30人が警察官約50人による計4度の強制排除を受けた。強制排除後に工事車両が基地に計30台入った。また、基地から計30台出た。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-10 18:41 | 沖縄から | Comments(0)

「辺野古が唯一の解決策」を考える。(3)-今こそ辺野古に変わる選択を~NDからの提言(「概要」及び「本文 はじめに」、「結論」)より-

 新外交イニシアティブ(以下、NDとする)は、2017年2月、「今こそ辺野古に変わる選択を-新外交イニシアティブ(ND)からの提言」を発表した。
 その政策提言とその説明は次のものである。そのまま引用する。


政策提言
 米海兵隊普天間飛行場(普天間基地)の名護市辺野古移転計画は沖縄県民に受け入れられない。日米両政府が海兵隊の航空基地を維持するため辺野古埋め立てを強行すれば、空軍嘉手納基地の安定維持を犠牲にする可能性さえある。本提案は、海兵隊の運用自体を見直すことにより沖縄県内はもとより日本国内への新しい基地の建設なしに、普天間基地の返還を可能とするものである。即ち、沖縄県名護市辺野古への新基地の建設の必要もない。
 それは具体的に下記の方法により可能となる。
1. 現行の米軍再編計画を見直し、第31海兵遠征隊(31MEU)の拠点を沖縄以外に移転する。
2. 日米JOINT MEU for HA/DRを常設する。
3. 日米JOINT MEU for HA/DRの運用などを支援するため、日本が高速輸送船を提供する。米軍駐留経費の施設整備費を移転先で現行のまま日本政府が負担する。
4. HA/DRへの対応、その共同訓練などアジア各国の連絡調整センターを沖縄に置き、アジア安全保障の中心地とする。


説明
1. 米軍再編を再検討し、現在行われているローテーションをさらに拡大し、ハワイを含む米本国からMEUをアジアへ展開させる新たなローテーション方策を検討すべきである。
2. フィリピンやタイで実施されるHA/DR (Humanitarian Assistance/Disaster Relief /人道支援・災害救援活動)の訓練に米軍、自衛隊はもとより中国軍も部隊を派遣している。こうした軍事外交、協調関係を良好に維持するため、沖縄に連絡調整センターを設置し、海兵隊司令部が各国代表と共同訓練の連絡調整をする。中国を含むアジア諸国が安全保障について議論する場所として沖縄を活用し、東シナ海、南シナ海の緊張緩和を含めアジア安保について議論する。軍事的に競い合う時代を過去のものとし、ソフトパワーを軸としたアジア安保の輪を沖縄からアジア全域へ広げていく。戦中戦後にわたり、多大な犠牲を払ってきた沖縄の21世紀にふさわしい姿であると考える。
3. 31MEUがHA/DRなど平時任務で活用できる高速輸送船を日本政府が提供する。アジア各国で実施している多様な訓練ニーズに対応し、輸送所要にかかる高速輸送船提供コストを日本政府が恒常的に負担する。海兵隊にとっては経費の軽減が可能となり、日本にとっては日米同盟の目的であるアジアの平和と安全に貢献できる。
4. 日本政府が在沖海兵隊基地に提供している施設整備費を31MEUが拠点とする先で使える仕組みを創設する。
5. 沖縄配備の31MEUは1年の半分以上の期間をアジアへ展開し、同盟・友好諸国と共同訓練などを実施している。特に東南アジア諸国はHA/DRの需要が高く、この分野で日米同盟が新たな役割を確立することはアジア地域の安全保障にとって大きな意義を持つ。



 この政策提言から読み取れるものは、この際策を行うことによって、「現行の米軍再編計画を見直し、第31海兵遠征隊(31MEU)の拠点を沖縄以外に移転する。」、という政策転換を行うことにより、Ⅰ.海兵隊の運用自体を見直すことにより沖縄県内はもとより日本国内への新しい基地の建設なしに普天間基地の返還を可能とすること、Ⅱ.沖縄県名護市辺野古への新基地の建設の必要がないこと、を実現させるということ。
 ただし、これを具体的実現させるためには、Ⅰ.日米JOINT MEU for HA/DRを常設する、Ⅱ.日米JOINT MEU for HA/DRの運用などを支援するため、日本が高速輸送船を提供する、Ⅲ.米軍駐留経費の施設整備費を移転先で現行のまま日本政府が負担する、Ⅳ. HA/DRへの対応、その共同訓練などアジア各国の連絡調整センターを沖縄に置き、アジア安全保障の中心地とする、ということが必要であり、日本国及び日本国民が総体としてこののことを受け入れることが前提となる。
 NDは、このことについての考え方を、「概要」及び「本文 はじめに」で次のように説明している。要約する。
 まず最初に、「概要」から。(太字は、作者)


Ⅰ.「日本政府の政策は日米安保の根幹を揺るがす」


(1)現在の政治的状況の下で辺野古新基地建設を強行すれば、沖縄県民の米軍基地への反発は、海兵隊のみならず、米空軍の拠点である嘉手納など他の基地への反対にも拡大し、米軍の駐留を不安定化させるとともに、日米同盟の基盤を揺るがす恐れがある。
(2)日米両政府は、沖縄県宜野湾市の普天間基地を同県北部の名護市辺野古に移設することで合意している。しかし、日本政府が普天間基地の辺野古移設に着手して以降の沖縄県における各種選挙の結果をみれば、辺野古への新基地建設に対する沖縄県民の反対の意志は不変である。基地建設予定地辺野古を抱える名護市の市長選はじめ、市議会議員選、沖縄県知事選、沖縄県議会議員選、そして、衆議院議員選挙・参議院議員選挙のいずれにおいても、辺野古基地建設に反対する候補者が勝利してきた。
(3)沖縄の背景には、沖縄県民12万人が犠牲となった1945年の沖縄戦に続く米軍の占領統治、さらには、日本への復帰後も続く基地の集中と米軍による度重なる事故と犯罪によって、沖縄県民の生活が脅かされているという県民共通の認識がある。近年、それは沖縄差別という強い言葉となって県民に広く共有されている。
(4)日米両政府は、沖縄県民の歴史的経験に基づく米軍支配に対する不満と失望を直視し、沖縄県内移設以外での解決策を早急に実行に移すべきである。
(5)「工事を強行して既成事実を作れば沖縄はあきらめる。彼らは金が欲しいだけ」といった妄想は捨てなければならない。まして「辺野古基地建設に反対すれば世界一危険な普天間を固定化する」といった脅しは、沖縄県民の怒りをさらに高め、怨念を生み出すだけである。怨念のマグマの上に作られる基地は、脆弱といわなければならない。


Ⅱ.人道支援・災害救援(HA/DR)に特化した海兵隊の平時の所在は沖縄でなくてもいい


(1)日米両政府の計画によれば、海兵隊の主力である第4海兵連隊のグアム移転、第12海兵連隊の海外移転の後に沖縄に残留する主な部隊は、第3海兵遠征軍(3MEF)などの司令部機能と普天間の航空部隊を含む第31海兵遠征隊(31MEU)のみである。31MEUは、米本土から6か月の期間で交代配備され、沖縄から約430マイル(約700km)離れた長崎県佐世保に所在する海軍の揚陸艦に乗って東南アジア諸国を巡回し、HA/DRの共同訓練を主任務としている。31MEUが沖縄に滞在するのは、訓練と休養のためであり、平均して1年の3分の1に満たない期間となっている。
(2)HA/DR活動は、東アジア地域の安全保障環境の改善に役立つものであるが、その実体を見れば、沖縄が提供しているのは、休養と練度維持のための訓練の施設である。そうだとすれば、31MEUの駐留先は沖縄でなくてもいい。必要なものは、佐世保に所在する揚陸艦との合流における利便性であり、それは、31MEUが米本土やハワイ、グアム、あるいはオーストラリアにいても、適切な輸送手段の選択により解決可能な問題である。
(3)日本政府は、辺野古への新基地建設のための巨額な財政負担を確約している。これを、31MEUの兵員や物資を輸送する高速船などの提供費用に転用すれば、大規模な海面埋め立てを伴う新基地建設よりもはるかに少ない費用で実現できるはずである。
(4)日米両政府は「移設先がどこか」という発想を切り替え、技術と運用による現実的な解決を見出すべきである。


Ⅲ.日米JOINT MEU for HA/DRによる同盟深化


(1)31MEUの平時任務であるHA/DRに関しては、自衛隊も高度な能力を有している。東アジアのHA/DRについて自衛隊の能力を活用することは、地域の各国軍隊との連携を高め、安全保障環境の改善に寄与する。日米両政府は、現在31MEUが行っているHA/DRに自衛隊が参加するような制度を検討すべきである。
(2)沖縄に残留する3MEF司令部は、域内諸国が参加する東アジアHA/DRの共同センターの役割を果たすことが期待される。こうした地域共同の作業は、同じく地震や台風、干ばつや水害の被害に直面する内陸やASEAN諸国にも開放されるべきである。
(3)31MEUの沖縄県外・国外への移転にあわせてこうした構想を推進すれば、3MEFなどが残ることにより、海兵隊の「旗」を沖縄に維持するとともに、31MEUが単独で行うHA/DRを通じた地域の信頼醸成を、日米同盟を基軸に一層発展させることが可能となる。


Ⅳ.海兵隊の有事来援基盤・・・事態拡大への実効的な抑止


(1)「海兵隊が沖縄から撤退すれば、中国に誤ったメッセージを与えるのではないか」という懸念が日米の安保関係者から聞かれる。だが、南シナ海の島々をめぐる領有権争いについては、外交手段を優先する柔軟な選択肢を維持することが米国の基本的国益である。
 この観点から言えば、海兵隊の抑止機能を過度に強調することは、中国のみならず域内の同盟国・友好国に「米国が第三国の領土紛争に海兵隊を必ず投入する」という誤ったメッセージを与え、緊張を高めるとともに、米国の手を縛るおそれがある。
(2)重要なことは、31MEUが沖縄に駐留し続けることではなく「大規模な増援部隊が戦闘に参加する用意があること」である。それは、これまで米海兵隊が行ってきた装備の事前集積と、今回本報告書が提案する輸送手段の改善など、有事の来援基盤を目に見える形で維持することによって米国の意志を示すことである。日米両政府は、海兵隊実動部隊が国外に移転した後、引き続き沖縄を含む西日本の米軍・自衛隊基地を使用した自衛隊との共同訓練を定期的に実施することにより、有事に備えた日米連携要領を確認するとともに、実効的な抑止を追求すべきである。


 次に、「本文 はじめに」、「結論」。


Ⅰ.沖縄は基地を受け入れない


(1)およそ12万人の沖縄県民を犠牲にした1945年の沖縄における地上戦の後「銃剣とブルドーザー」によって土地を接収して建設された普天間基地は、米軍による占領の象徴であるとともに、危険の象徴でもある。普天間基地の周辺には、密集した市街地と複数の学校、保育園などの施設が存在する。普天間基地の返還は、地元住民にとって緊急の課題であった。同時に、占領と危険の象徴である普天間基地をなくすことは、極東最大の空軍基地である嘉手納基地など沖縄に所在する他の米軍基地が沖縄県民から許容されるための条件でもあった。
(2)翁長知事は、2014年の知事選挙で、埋め立てを承認した仲井眞知事に対する県民の反発を背景に、自民党支持者を含む6割を超える県民の支持を得て当選した知事である。沖縄自民党の最高責任者でもあった翁長知事を動かしたものは、沖縄に対する過重な基地負担は、沖縄が事実上の占領状態にあって日米両政府から差別されていることの象徴であり、沖縄の人々の意志によって沖縄の将来を決定するために、これ以上新たな基地は作らせない、という沖縄のアイデンティティーの再認識であった。
(3)2015年末から、翁長知事の埋め立て承認取り消しを巡って、沖縄県と日本政府間の訴訟が複数継続し、裁判の一つにおいては両者の真摯な協議が必要との和解もなされたが、結局現在に至るまで、政府が沖縄県の主張に理解を示すことはなく、沖縄県側の反対の姿勢をより強硬にしている。2016年12月、最高裁判所は、翁長知事による埋め立て承認の取り消しを違法と断定し、政府による辺野古沖の埋め立て工事が再開されることとなったが、大規模な埋め立て工事には必然的に設計変更が生じ、その都度知事の承認が必要になる。翁長知事は、すべての承認を拒否する方針であり、新基地建設には、さらに大きな障害が待ち構えている。
(4)加えて、2016年4月に発生、5月に容疑者の逮捕に至った元米海兵隊員による沖縄女性への残虐な強姦・殺害事件は、沖縄県民の怒りをさらに高め、沖縄県議会は、海兵隊の撤退を求める決議を満場一致で採択した。
6月には65,000人が参加した県民集会が開催され、海兵隊の沖縄からの全面撤退を求める決議が採択された。また、12月に名護市沿岸で普天間基地所属のオスプレイが海面に衝突・大破した事故は県民に恐怖を与え、オスプレイの県外撤去を求める世論は一層高まった。
(5)辺野古に新基地建設を強行し、それが実現されなければ普天間基地を返還しないという日米両政府の姿勢は、沖縄県民の更なる怒りを招いている。この悪循環により、辺野古での新基地建設と、その基地への米海兵隊駐留を県民が受け入る可能性は失われた。


Ⅱ.安全保障環境は変化した


(1)1996年の普天間返還合意から20年の間に、東アジアの軍事情勢は大きく変化した。アジア太平洋地域の米軍は、より機動性を重視した組織に再編され、地理的な制約を克服した新たな抑止力を構築しようとしている。20年前のように、この地域に常続的な10万人のプレゼンスを維持する必要性は失われている。
(2)沖縄に所在する定員19,000人の海兵隊のうち、主力の第4海兵連隊を含む約9,000人は、すでに沖縄からグアム、ハワイ、オーストラリアに移転することが予定されている。沖縄に残る唯一の実戦部隊である31MEUは、短期間の訓練で沖縄を使用するほかは、東南アジア周辺を巡回している。辺野古の埋め立ては、従来の政府の試算でも3,500億円にのぼる莫大な費用を必要としている。この費用は、工法の変更によってさらに増大する。
31MEUの休養と訓練だけのために、沖縄県民が許容しない新基地の建設を強行することは、軍事戦略や費用対効果、そして何より実現可能性の観点から、不適切な選択である。


Ⅲ.辺野古に固執すれば同盟の危機となる


(1)今日、我々は、二つの現実を直視しなければならない。
(2)第1に、沖縄県民の忍耐は限界を超えたという現実である。このまま強制的手段によって新基地を建設すると、新たな基地反対のシンボルを作りだすことになる。米政府
は、かつて米占領軍として「銃剣とブルドーザー」によって作った基地の代わりとして、日本政府の警察があからさまな反対運動弾圧を行い、海洋環境を汚染する工事によって作られる基地を望まないだろう。沖縄の怒りは頂点に達しつつある。
(3)第2に、海洋進出する中国に対する抑止の要は嘉手納に駐留する米空軍と横須賀を拠点とする米海軍であり、これらの基地の安定的使用が最優先課題となっているという現実である。辺野古の新基地建設に固執することは、嘉手納を含む米軍基地全体への反発を強め、かえって日米同盟の基盤を破壊しかねない。


Ⅳ.概要のまとめ


 こうした観点-「辺野古の新基地建設に固執することは、嘉手納を含む米軍基地全体への反発を強め、かえって日米同盟の基盤を破壊しかねない。」-から、新外交イニシアティブ(ND)では、辺野古に代わる現実的な選択肢を提示するため、過去3年間にわたって研究を進めてきた。本報告書は、その成果である。


 さて、このNDの政策提言は、最後にこう結論づけている。



(1)31MEUを沖縄から県外・国外へ移転させるという本報告書の提案は「沖縄の負担軽減」を大幅に進めることを目的としている。
(2)その意味では、日米両政府が合意した基地の整理・統合・縮小を基調としている。あくまでも態勢変更であり、日米安保体制と矛盾を生じさせるものではないことを強調しておきたい。戦後71年もの間、日米安保の重い負担をひとり負わされてきた沖縄にとって、31MEUを移転させる「態勢」の再調整はささやかな要求と言えよう。
(3)31MEUが撤退しても、極東最大規模といわれる米空軍嘉手納基地が残り、隣接する嘉手納弾薬庫と合わせた施設面積は、本土にある主要6基地(青森県三沢基地、東京都横田基地、神奈川県横須賀基地、厚木基地、山口県岩国基地、長崎県佐世保基地)の合計を上回る。嘉手納基地群ひとつみても沖縄の負担はなお重いうえに、陸軍基地、海軍基地の負担もある。2016年4月に起きた元海兵隊員で軍属による女性強姦・殺害事件を受け、沖縄県議会は「海兵隊全面撤退」を求め決議した。沖縄の声に真摯に向き合わないかぎり、日米安保体制の安定さえ損なう恐れがある。
(4)長年の日米両政府間の合意形成の積み重ねは、国家間の約束事であり、一方の政府の要求によってこれを変更することが容易でないことも理解できる。しかし、両政府間で約束した計画の実行が不可能になりつつある現実を認識し、海兵隊の任務・役割をいかに保証するかという原点に立ち返れば、様々な選択肢がみえてくる。
(5)現在の計画に固執して沖縄との永遠の対立という救いようのない道を選ぶのか、沖縄と日米両政府、そして海兵隊がいずれも納得できるall-winの道を選ぶのかが問われている。




 今回のNDの政策提言を考えることは、この「結論」をどのように考えるかということでなる。
この政策提言は、あくまで、「戦後71年もの間、日米安保の重い負担をひとり負わされてきた沖縄にとって、31MEUを移転させる「態勢」の再調整はささやかな要求と言えよう。」、との認識に立ったうえでのものである。
 確かに、2016年4月に起きた元海兵隊員で軍属による女性強姦・殺害事件を受け、沖縄県議会は「海兵隊全面撤退」を求め決議した。
 沖縄の民意とは、「沖縄は日米政府(日本人)の『不正義』に怒っている」、ということである。また、今はっきりしていることは、辺野古は、「最も政治的に実現可能性がない地域」であるということである。
 確かに、すでに、「辺野古が最善の選択肢という論理は破たんしている」。
 「沖縄の声に真摯に向き合う」ということを政策として考える時、当然、愚かな「唯一の選択肢」に固執するのではなく、このNDによる提言を含めて、様々な選択肢を考えるべきである。


 ただ、考慮しなければならない重要な問題もある。
 例えば、NDが主張する下記のようにこの提案について、説明する。


・「米海兵隊と日本の自衛隊が、沖縄に残留する海兵隊司令部を通じて緊密に連携・調整し、東アジア地域のHA/DRの訓練や実働任務を共同して、あるいは地域を分担して実施する体制を整備することで、「日米JointMEU for HA/DR」というべき新たな協力の枠組みが構築されることが望ましい。」
・「陸上自衛隊は、尖閣を含む離島防衛を目的として、オスプレイを保有する3,000人規模の水陸機動団を2018年度に新設する計画を持っている。これは、辺野古新基地を使用する予定の31MEUと同等以上の規模であり、沖縄周辺の離島防衛を主任務としている。この部隊は、航空自衛隊の輸送機や、海上自衛隊が保有する揚陸機能を持つ輸送艦に搭乗して遠距離の作戦にも従事できる予定であり、東南アジア地域におけるHA/DRにも対応可能である。」
・「こうした一連の施策によって、日米同盟は地域安全保障の中核的な公共財として深化を遂げることができる。」

 
 こうした内容については、当然、「日本国憲法における日米同盟の存在をどのように捉えるのか。」、「米軍の侵略的戦略に、日本が組み込まれるだけではないのか」、「米軍再編に添った自衛隊の強化問題をどのように捉えるのか。」、「沖縄の闘いがが作り上げてきたこれまでの運動とどのように結びつけていくのか。」、といった疑問等が出てくる。
 しかし、 いろんな疑問点はあるだろうが、やはり、「現在の計画に固執して沖縄との永遠の対立という救いようのない道を選ぶのか、沖縄と日米両政府、そして海兵隊がいずれも納得できるall-winの道を選ぶのかが問われている。」、との視点は重要な提示である。





by asyagi-df-2014 | 2017-03-10 07:35 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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