<   2017年 01月 ( 70 )   > この月の画像一覧

2017年1月1日、社説・論説を読む。(2)-南日本新聞から-

 2017年が明けた。
 さて、どのような事態にどのように立ち向かうことになるのか。
まずは、窮乏化する同じ大地に立つこと。
そして、反撃の術を見極めること。
各紙の2017年1月1日の社説及び論説を読む。


 南日本新聞は、やさしく詩的に2017の行く末を著す。
 このように、南日本新聞社は語りかける。


 詩人の茨木のり子さんに「鶴」と題した作品があります。

<鶴が/ヒマラヤを越える/たった数日間だけの上昇気流を捉え/巻きあがり巻きあがりして/九千メートルに近い峨峨(がが)たるヒマラヤ山系を/越える/カウカウと鳴きかわしながら(以下略)>

 飛行しているのはアネハヅル。越冬地のインドへ渡るために、親鳥から若鳥まで編隊を組んでヒマラヤ越えに挑むのです。
 それはまさに命懸けの旅です。詩人は、その姿を捉えたテレビの映像に触発され、一気に作品を書き上げたのでしょう。

 新しい年が明けました。酉(とり)年のこの1年、どんな日々が待っているでしょうか。
 アネハヅルの旅に、人の姿を重ねるのは自然な感情です。私たちの一生もまた、山あり谷ありの旅に違いありません。
 内外を鳥瞰(ちょうかん)すれば、政治や経済をはじめ難題が山積しています。まるで絶壁がそそり立つヒマラヤのようです。

 それでも、アネハヅルのように力強く翼をはばたかせ、その頂を乗り越えなければと思います。


 この詩にのせて、南日本新聞は、このように主張します。


Ⅰ.主張
(1)人口が減り続け、高齢化が進む地域社会の疲弊が叫ばれています。南九州も例外ではありません。ただ、悲観しているだけでは何も始まらないのも事実。厳しい環境下でも、手探りして前に進もうとする人々がいます。足元を見直し、希望を見いだそうではありませんか。
(2)思想家鶴見俊輔さんの言葉を思い出します。月並みな言葉ですが、何事であれ「ひらめき」と「継続」が大事です。
(3)萬田(正治)さんたちの取り組みは、イタリアが発祥地のスローフードやスローライフにもつながるものがあると思います。それは普遍的価値といっていい。
(4)人口増と経済成長が前提の国家モデルはもはや通用しない。いつまでも高度成長期の発想に立っていては解は導き出せません。
(5)高齢化社会で一人暮らしが増えています。宗教学者の山折哲雄さんの最新刊「『ひとり』の哲学」を一読して、がつんと頭を殴られたような気持ちになりました。山折さんは、一人暮らしをおとしめる風潮が増えてきていると言います。「孤立死」とか「孤独死」といった言葉を持ち出して、ことさらに社会の暗部として読み解こうとしていないか。介護や医療を必要とする人は多い。認知症の広がりも無視できない。社会的な手当てが今まで以上に必要な時代です。
 それは認めつつも、「ひとりで事を処する」という心構えのようなものが今、希薄になっていないかと問うのです。山折さんは、鎌倉時代に生きた親鸞や道元、日蓮などの生き方や思想を探る旅に出ます。
(6)私たちは社会を冷たいと思いがちです。結局、人間はみな一人で生まれ、一人で死ぬ。寄る辺ないその原点を見つめ直すことが出発点ではないか。その問いと向き合い、人が生きるとはどういうことかを考える年でもありたいと思います。高齢化には、プラスとマイナスの両面があるでしょう。強調したいのは、多くの試練を乗り越えてきた人たちの経験や知恵から学ぶことが、次の時代を切り開く力になるはずだということです。


 本当の意味で、2017年が、「私たちは社会を冷たいと思いがちです。結局、人間はみな一人で生まれ、一人で死ぬ。寄る辺ないその原点を見つめ直すことが出発点ではないか。その問いと向き合い、人が生きるとはどういうことかを考える年でもありたいと思います。」、ということをじっくり考えることができる年になって欲しいと思います。


by asyagi-df-2014 | 2017-01-06 08:58 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年1月5日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 「美しい海がまた囲い込まれた-。」
琉球新報は、辺野古の海をそう表現した。
 辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部にオイルフェンスが、約7カ月ぶりに設置された。
 「ポピュリズム(大衆迎合主義)」が2017を表す言葉になるのか。
 他方、琉球新報は、瀬長亀次郎氏に、「『不屈』の市長」との「全国から共感のメッセージが寄せられている。」、と伝える。
瀬長さんに関する資料を展示する不屈館の内村千尋館長は、「米統治下よりひどい無法地帯のような状況で県民が団結して闘っている背景には、島ぐるみでカメジローを支えた当時の経験がある。現在はカメジローの言葉が、皆さんを支える力になっているのではないか」、と。
 沖縄のとてつもないエネルギ-は、道筋を照らす。


 2017年1月5日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-辺野古の海、市民排除再び 海保が8人一時拘束-2017年1月5日 06:30


琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「美しい海がまた囲い込まれた-。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画に伴う名護市辺野古の新基地建設に向けた作業で、沖縄防衛局は4日午後、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に汚濁防止膜(オイルフェンス)を約7カ月ぶりに設置した。」
②「市民らはカヌーや船で抗議行動を展開したが、ゴムボートに乗った海上保安官約80人に次々と拘束、排除された。約1時間で約200メートルのオイルフェンスが海に浮かんだ。午後3時すぎ。砂浜に移動したクレーンが海上保安庁のゴムボート3艇を海に浮かべた。『作業船が海上作業を始めます』。海上保安官がスピーカーで告げると、市民に緊張が走った。」
③「作業船3隻がオイルフェンスを沖へ移動。作業船に近づいたカヌーが次々と海保のゴムボートに囲い込まれ、市民8人が拘束された。抗議船も全てオイルフェンス外に排除された。」


(2)琉球新報-辺野古のブロック投下、沖縄県が照会へ 破砕許可の更新判断に影響も国の作業内容を検証-2017年1月5日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が海域の汚濁防止膜を固定するため海中に投下するコンクリートブロックについて、沖縄県は近く防衛局に詳細を照会する文書を発送する方針を固めた。」
②「コンクリートブロックの投下行為は、仲井真弘多前知事が2014年8月に防衛局に出した岩礁破砕許可の対象区域外で行われる予定。県側は投下行為の内容次第では、岩礁破砕許可違反になる可能性もあるとみて、慎重に内容を精査する。岩礁破砕許可は今年3月末に更新期限を迎えるため、県の更新可否判断に影響する可能性もある。」
③「14年に前知事が岩礁破砕許可を出した際、防衛局は県への申請でコンクリートブロックの重量は約15トンだと表示していた。だが、その後に作成した工事の仕様書では、投下するブロック236個の約半数が、申請内容の4倍となる57トンと記載されていた。
そのため県は、投下行為が海底地形に深刻な影響を与えかねないとして、その影響を評価するため、ブロックの重量や個数、投下位置など詳細を説明するよう15年11月25日に防衛局に求めた。しかし防衛局は県には具体的な回答をせず、一方で、県が照会したのと同日に琉球新報の取材に対して『波高、潮流、水深などの技術面での条件に基づき検討』した結果、海中に投入するブロックは全て15トン以下とするよう申請通りに再変更したと明らかにしている。」
④「県はまた防衛局に対し、投下前の事前協議を求めていたが、防衛局は再変更したため県との事前協議に応じる必要もないとの認識を示していた。」


(3)琉球新報-「不屈」の市長に全国から共感 沖縄の米軍弾圧に抵抗、今と重なる闘い-2017年1月5日 08:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「沖縄の復帰前に米統治下での弾圧に抵抗した政治家、瀬長亀次郎さん(1907~2001年)が1957年1月5日に那覇市長に就任した日から60年を迎える。瀬長さんに関する資料を展示する不屈館(那覇市若狭)には、政府が名護市辺野古への新基地建設や米軍北部訓練場のヘリパッド建設を強行する中、全国から共感のメッセージが寄せられている。」
②「内村千尋館長は『米統治下よりひどい無法地帯のような状況で県民が団結して闘っている背景には、島ぐるみでカメジローを支えた当時の経験がある。現在はカメジローの言葉が、皆さんを支える力になっているのではないか」と話している。」
③「瀬長さんは人民党事件で米当局により投獄され、56年4月に出獄。同年12月に那覇市長に当選し“赤い市長”誕生の報道が米国に衝撃を与えた。就任後は米国民政府が補助金を打ち切るなど弾圧。多くの市民が納税することで瀬長さんを支え、財政危機を脱した。」
④「不屈館には全国から訪問者が相次ぎ、館内に『不屈の精神は辺野古、高江の闘いにつながっている』『勇気づけられた。決して諦めない』など、来館者からカメジローへのメッセージが張り出されている。ほかに名古屋市の団体職員、宇野進二さん(51)が2013年から毎月30個ずつ届けている手作りの『瀬長くん人形』も、12月で計千個となった。サンタクロース姿やエイサーの装いなど工夫を凝らした人形を届けてきた宇野さんは『人形がお土産として全国に広がり、瀬長さんの気持ちも広げてくれるといい。今後も作り続けたい』と話す。」
⑤「内村さんは沖縄の民意に反した基地建設が強行されることに対し、瀬長さんが1956年10月20日の日記に残した『民衆のにくしみに包囲された軍事基地の価値は0にひとしい』との言葉を挙げて『現在の状況と同じだ。政府は辺野古で作業を強行するだろうが、県民は負けない』と強調した。」


(4)沖縄タイムス-基地反対運動リーダー勾留2カ月超 「苦痛与えている」元裁判官ら釈放訴え-2017年1月4日 21:55


 沖縄タイムスは、「沖縄県東村高江や名護市辺野古での基地建設に反対する抗議行動で、公務執行妨害などの容疑で逮捕・起訴され、勾留が続く沖縄平和運動センターの山城博治議長ら3人の『早期釈放を求める会』のメンバーが4日、沖縄県庁記者クラブで会見した。『罪証隠滅や逃亡の恐れがないのに、長期勾留で心身に苦痛を与えている。裁判所は即刻解放すべきだ』と訴えた。」、と報じた。
 また、「『早期釈放を求める会』は先月28日に発足。メンバーは街頭署名を集め、今月17日、それを添えて裁判所に保釈請求する。共同代表で元裁判官の仲宗根勇さん(67)は『警察は山城議長を器物損壊の容疑で逮捕し、公務執行妨害や威力業務妨害などの罪で勾留を続けている。別件逮捕だ』と指摘。『大病を患った山城議長を70日以上もの長期間、勾留する必要があるのか』と批判した。」、と伝えた。


(5)琉球新報-オスプレイの空中給油あす再開 日本政府は容認-2017年1月5日 10:44


 琉球新報は、「墜落事故を受けて空中給油訓練が停止されている米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、防衛省は5日午前、米軍が6日から同訓練を再開すると発表した。日本政府は飛行再開を容認する。詳細な事故原因が不明なまま、昨年12月13日の事故から1カ月たたない状況で飛行全面再開となる。」、と報じた。
 また、「稲田朋美防衛相は米側による『安全対策』が防衛省、自衛隊の専門的知見などからも『妥当』だとして『有効であることが確認できたことから、防衛省として6日に空中給油訓練が再開されることを理解する』とのコメントを発表した。墜落事故は昨年12月13日に発生し、米軍は同月19日から空中給油を除いて飛行を再開していた。」、と報じた。
 さらに、「米軍は事故当時と同様に、天候や飛行条件の場合の同訓練の手順確認、地上でのシミュレーションなど必要な教育を実施したと日本側に説明している。」、と伝えた。


(6)琉球新報-「米軍の言いなり」 政府が空中給油容認で安慶田副知事-2017年1月5日 11:13


 琉球新報は、「昨年12月の米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落原因となった空中給油訓練を米軍が6日に再開する方針について、稲田朋美防衛相が容認したことに、安慶田光男副知事は5日午前、記者団の取材に『原因究明もまだだ。日本政府は米軍の言いなりではなく、少しは県民の気持ちになってほしい。県民感情を考えたかなと思う』と述べた。」、と報じた。


(7)沖縄タイムス-辺野古新基地阻止へ 市民400人が座り込み 名護・シュワブゲート前-2017年1月5日 10:41


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古のキャンプ・シュワブ工事用ゲート前で5日午前7時、今年初の辺野古新基地に反対する大規模集会が行われた。市民約400人(主催者発表)が集まり、基地建設阻止に向け決意を新たにした。座り込みに参加した稲嶺進名護市長は『今年は正念場を迎える。民主主義という当たり前の政治を取り返すためにも、信念を持ってみなさんとともに闘う』と誓った。基地建設予定地の辺野古沿岸では同日早朝から、浮桟橋の設置など海上作業が確認された。」、と報じた。





by asyagi-df-2014 | 2017-01-05 18:16 | 沖縄から | Comments(0)

2017年1月1日、社説・論説を読む。(1)-沖縄の2紙から-

 2017年が明けた。
 さて、どのような事態にどのように立ち向かうことになるのか。
まずは、窮乏化する同じ大地に立つこと。
そして、反撃の術を見極めること。
各紙の2017年1月1日の社説及び論説を読む。


 最初に、沖縄の2紙から。
 常に状況に追い込まれてきた歴史の中で、この2紙は、沖縄人の誇りある闘いを支えるという「決意」をもとに、沖縄の未来を提起してきた。
 2017年1月1日、沖縄の2紙は、このように語りかけた。
 琉球新報は、「『屋良朝苗主席は復帰前日に発表した談話で『県民自体がまず自主、主体性を確立して、この世紀の大事業と取り組む決意を新たにしなければならない』と県民に呼び掛けた。復帰45年は『本土並み』とは程遠い。屋良主席の言葉を胸に刻み、主体性を確立して日米両政府を突き動かし、県民自らの手で『沖縄の未来』を切り開きたい。」
、と。
 沖縄タイムスは、「沖縄の先人たちは、国策に翻弄(ほんろう)されながらも人間としての尊厳と『自治・自立』を求め、困難な道を切り開いてきた。愚直で、寛容性に富み、ユーモアを好みつつ、抵抗の精神を失わなかった多くの名もない先人たちに学びたい。『危機』を『機会』に転換させる知恵と行動力が、いまほど求められているときはない。」、と。
2紙は、このように訴える。


Ⅰ.主張
(琉球新報)
(1)新年を迎えて 「復帰の誓い」今こそ 米軍優先に終止符打とう。日本復帰から45年となる新年を迎えた。この間、さまざまな困難が立ちはだかった。それを県民の力で乗り越え、時代を切り開いてきたことを誇りたい。過酷な米施政権下にあっても、圧政に抗して主席公選を実現させ、復帰を勝ち取った不屈の精神は今も県民に宿っている。安倍政権の強権姿勢にひるむことなく米軍優先に終止符を打ち、復帰時に誓った「平和で明るい豊かな県づくり」にまい進したい。
(2)格差が広がり、貧困問題が顕在化している。その一因は沖縄の成長を阻む米軍基地にある。県民総所得に占める基地関連収入は復帰時の15・5%から2013年度は5・1%に減った。基地は沖縄の発展に必要ないのである。沖縄の未来を担う子どもたちの健やかな成長を保障するためにも、米軍基地の負担軽減に努めることは社会の責務であることを深く認識したい。
(3)屋良朝苗主席は復帰前日に発表した談話で「県民自体がまず自主、主体性を確立して、この世紀の大事業と取り組む決意を新たにしなければならない」と県民に呼び掛けた。
復帰45年は「本土並み」とは程遠い。屋良主席の言葉を胸に刻み、主体性を確立して日米両政府を突き動かし、県民自らの手で「沖縄の未来」を切り開きたい。
(沖縄タイムス)
(1)耐え難い被害が現実に出ているのに、それを放置する政府は、政府として失格だ。両地域について直ちに実効性のある対策を打ち出すよう強く求めたい。
(2)辺野古沿岸域に大型コンクリートブロックを投下した15年1月以降、音響に敏感なジュゴンが確認されていない。名護市安部のオスプレイ墜落現場付近は、3頭のうち2頭の生息域である。政府は、大浦湾におけるジュゴン調査、オスプレイを前提とした北部訓練場の環境影響評価(アセスメント)の再調査を実施すべきである。
(3)目の前の被害に目をつぶって埋め立てに狂奔してはならない。
(4)沖縄の先人たちは、国策に翻弄(ほんろう)されながらも人間としての尊厳と「自治・自立」を求め、困難な道を切り開いてきた。愚直で、寛容性に富み、ユーモアを好みつつ、抵抗の精神を失わなかった多くの名もない先人たちに学びたい。「危機」を「機会」に転換させる知恵と行動力が、いまほど求められているときはない。


Ⅱ.事実-沖縄の今。
(琉球新報)
(1)政府が米軍基地問題で約束した沖縄の過重負担の軽減は、ほとんど成果が見られない。それどころか、基地反対の民意を踏みにじる姿勢がここ数年、顕著になっていることを危惧する。
(2)その一つの源流は復帰前年1971年の「沖縄国会」にある。沖縄米軍基地縮小に関する決議が採択され、佐藤栄作首相はその直後に発言を求め「基地の整理縮小については速やかに実現できるよう、現在からこの問題に真剣に取り組む方針である」と述べた。
政治は結果が全てである。結果を伴わない取り組みは、70年余も米軍基地の重圧に苦しむ県民にとっては何ら意味はない。そもそも真剣に取り組んだかも疑わしい。「基地縮小」決議は国会でなされたものであり、決議は今も生きている。佐藤首相の「真剣に取り組む方針」も政治の責任として歴代政権が引き継ぐことは当然である。だが安倍政権は「米軍基地機能強化」を「沖縄の負担軽減」と言い換えるなど、不誠実な対応に終始している。
(3)復帰前は米軍基地と米政府が県民の前に立ちはだかった。安倍政権になってからは、日本政府が県民弾圧に加わったと言わざるを得ない状況がある。
(4)東村高江集落を取り囲むヘリパッド建設を条件とした米軍北部訓練場の過半返還、宜野湾市の米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設は、いずれも基地機能強化が狙いである。県民の基地負担は確実に増し、国会決議に逆行する。国会決議採択と同じ日に沖縄返還協定が承認されている。自民党の福永一臣氏は賛成討論で「沖縄の返還は、全ての点で本土と同じ状態になることは当然である」と述べている。国会決議もその趣意が通底していると解すべきである。安倍政権は「基地縮小」決議の重みを踏まえ、直ちに実現すべきだ。
(沖縄タイムス)
(1)宜野座村城原の泉さんの自宅は、キャンプ・ハンセン内の「ファルコン」と呼ばれるヘリパッドから約380メートルしか離れていない。昨年12月には連夜オスプレイが自宅真上を旋回してつり下げ訓練などを行った。泉さんはオスプレイが近づくと、2階建ての部屋中の電気をつけ、カーテンを開ける。パイロットに人間が住んでいることを知らせるためだ。墜落の恐怖からである。
 昨年10月からは住居の目印となる「航空標識灯」が設置されたが、自宅付近を避けるようにはみえない。ぜんそくの持病がある泉さんは体調を崩した。金属がきしむような不快な爆音に加え、激しい下降気流で粉じんが舞い上がり、燃料のにおいが漂う。窓ガラスが揺れ、孫が恐怖に襲われ、母親に抱きついてきたこともある。
(2)東村高江の安次嶺さんは妻雪音さん(45)との間に子どもが6人いる。高校生の2人は村内に高校がないため自宅を離れた。うっそうとした木々と小川が流れる自然環境の中で4人の子どもと暮らす。
 子どもたちを伸び伸び育てたいと県内各地を探し回り、たどり着いたのが高江だった。14年前のことだ。子どもたちは小川で水遊びしたり、クワガタムシやカブトムシを捕ったりしてヤンバルの自然を楽しんだ。
 そんな日常が一変したのは2012年に普天間飛行場にオスプレイが配備され、13年と14年に2カ所のヘリパッドが完成してから。自宅から約400メートルしか離れていない。自宅上空が飛行コースに当たり、昨年7月には連夜、低空飛行でオスプレイが迫ってきた。自宅が揺れ、子どもたちは眠れない。体調を崩し、学校を休んだ。隣の国頭村に一時避難したが、もうここには住むことができない、と考えるようになった。
(3)泉さん、安次嶺さんの願いは一つ。「人間らしい普通の暮らしがしたい」。それだけである。

Ⅲ.世界情勢と沖縄
(沖縄タイムス)
(1)世界は第2次世界大戦後に形成された戦後秩序が崩れ、冷戦後の新秩序も形成されないうちに、新たな混迷の時代に入った。自由や民主主義をリードしてきた米欧で「分断と対立」が表面化し、「憎悪と不寛容」の政治が頭をもたげてきた。世界各地でテロがやまない。
(2)米国では「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領が20日に就任するが、国内の分裂状況は収まっていない。先行きの見えない不透明感が世界を覆っている。
(3)沖縄もその影響から完全に免れることはできないであろう。国防長官に元海兵隊大将のマティス氏が起用される見通しである。基地政策で予測不能のトランプ新大統領とのコンビ誕生で基地問題にも少なからぬ影響が出るのは避けられないだろう。


 確かに、屋良朝苗の「県民自体がまず自主、主体性を確立して、この世紀の大事業と取り組む決意を新たにしなければならない」は、核心を突く。
 それは、私たち自身のあり方を、2017の辿るべき道筋を示す。





by asyagi-df-2014 | 2017-01-05 08:16 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年1月4日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 安倍晋三政権(沖縄防衛局)は2016年1月4日午前、年末年始のため昨年12月28日から休止していた辺野古新基地建設に向けた作業を再開させた。
 翁長雄志沖縄県知事は、県職員に向けて、「建白書の精神に基づき、辺野古に新基地を造らせないことを県政の柱とし、県の有するあらゆる手法を用いて取り組むとともに、普天間基地の閉鎖撤去、オスプレイの配備撤回という公約実現に向けて取り組んでいく」、と改めて新基地建設阻止への強い決意を示した。
 理にかなうのは、知事の決意である。
 実は、残された問題は、沖縄以外の日本人の「人らしい」覚悟ではないか。


 2017年1月4日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-石垣市、陸自候補地周辺4地区から意見聞かず 住民ら、市長に受け入れ撤回要求-2017年1月4日 05:00


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を巡り、候補地近隣の開南、嵩田、於茂登、川原の4地区の公民館長は12月30日、川原公民館で記者会見し、中山義隆市長の配備受け入れ表明に抗議し撤回を求める声明を発表した。撤回した上での面会を要求。判断前に4地区の意見を聞くとしていた中山市長が『調整がつかなかった』などと住民側に非があるような発言をしていることを批判した。」
②「中山市長は市議会12月定例会で、判断前に意見聴取する考えを示していた。表明の際は『調整がつかなかった。いたずらに判断を延ばすわけにはいかない』などと説明。4地区とは『1月の早い段階で会えるよう調整したい』としている。」
③「川原公民館の具志堅正館長は『年内は難しいので年明けの早い時期に調整することで市は了解していた。決して4地区が引き延ばしてはいない』と強調。嵩田公民館の川満哲生館長は『こっちに非があるような発言で、責任逃れの言い方だ。表明を撤回しなければ会う意味がない』と訴えた。」
④「開南公民館の砂川英秀館長は、市議会に出した計画中止を求める請願が継続審議となったことを挙げ『委員会は市長と4地区の面談を考慮して継続審議にしていた。その理由が成り立たない』と指摘。於茂登公民館の喜友名朝福館長は『市民をばかにしている。怒りは頂点に達した』と憤った。」


(2)琉球新報-フロートを浜に並べる 辺野古新基地建設-2017年1月4日 13:31


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は4日午前、年末年始のため昨年12月28日から休止していた作業を再開させた。昨年末に引き続き、シュワブ内に保管していた浮具(フロート)をトラックで海岸まで運び、浜に並べる作業をした。4日正午現在、フロートや汚濁防止膜(オイルフェンス)の海への設置や別の浜に置かれている浮桟橋の設置などの作業は実施されていない。」
②「午前10時ごろ、フロートやオイルフェンスが並べられている浜にクレーンが到着した。午前11時ごろにはトラックがフロートを浜に運び、さらにクレーンが並べる作業を始めた。トラックは午前中、少なくとも5回にわたってフロートを浜に運び込んだ。」
③「新基地建設に反対する市民らは抗議船4隻、カヌー10艇で浜に近づき『作業をやめろ』『基地を造るな』などとシュプレヒコールを上げた。」
④「米軍キャンプ・シュワブゲート前では建設に反対する市民ら数人が監視活動をしている。資材の搬入などは見られず、大人数による抗議行動は行われていない。」


(3)琉球新報-「あらゆる手法で」 翁長知事、年頭あいさつで新基地阻止誓う-2017年1月4日 10:42


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「翁長雄志知事は4日午前9時半、沖縄県庁での職員向けの年頭あいさつで、4日にも政府が埋め立て工事を本格的に再開する米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について『建白書の精神に基づき、辺野古に新基地を造らせないことを県政の柱とし、県の有するあらゆる手法を用いて取り組むとともに、普天間基地の閉鎖撤去、オスプレイの配備撤回という公約実現に向けて取り組んでいく』と述べ、改めて新基地建設阻止への強い決意を示した。」
②「冒頭で昨年を振り返り、米軍属女性暴行事件や米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイなどの米軍機墜落、辺野古埋め立て承認取り消しを巡る訴訟での敗訴、米軍北部訓練場でのヘリパッド新設とオスプレイの訓練継続を挙げ『米軍基地があることから派生するさまざまな事件・事故が県民の安全・安心な生活を脅かす状況が今なお続いている。沖縄の過重な基地負担の軽減にはほど遠い状況にある』と指摘した。」
③「基地問題のほか、好調な観光産業や情報関連産業など経済面での好況の一方で、非正規雇用の問題や増大するクルーズ船への対応、大型MICE施設整備、空港・港湾の物流強化などの課題に取り組む姿勢も強調した。」


by asyagi-df-2014 | 2017-01-04 19:15 | 沖縄から | Comments(0)

辺野古工事再開(2016年12月27日)をどう捉えるか。

 琉球新報は2016年12月27日、辺野古工事再開を、「沖縄防衛局は27日、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向けた工事を再開した。国と県が辺野古代執行訴訟で和解し、工事が中断した今年3月4日以来、約10カ月ぶり。本格的な工事は年明けに再開する見通し。来年1月以降に海底掘削(ボーリング)調査を実施。汚濁防止膜設置に伴うコンクリートブロックを海中へ投下し、護岸設置に向けた作業を進める。翁長雄志知事は政府の強硬姿勢に強く抗議し、今後、あらゆる権限を駆使して工事を止める考えを示唆しており、工事が今後円滑に進むかどうかは不透明だ。」、と報じた。
このことについて、沖縄タイムスは「民意が踏みにじられ、軽んじられ、国策が強行される。住民運動を力で排除し、公金をばらまき、地域をずたずたに分断して。」と断定しし、琉球新報は「新基地建設に反対する県民の願いが年の瀬に踏みにじられた。年内工事再開の事実を突き付け、建設阻止を諦めさせる狙いが政府にあるならば大きな誤りだ。」と切り込んだ。
この2紙の主張をもとにこの問題を考える。
 二紙は、その主張を次のようにまとめている。

Ⅰ.主張
(沖縄タイムス)
(1)行政上、仲井真弘多前知事の「埋め立て承認」が復活したことになるが、民主主義や地方自治の観点から検証すると、この移設計画には依然として問題が多い。
(2)戦後、これだけ基地を押し付けておきながら、なぜこれから先も沖縄だけが負担を強いられなければならないのか。どう考えても理不尽である。
(3)沖縄の人々が望んでいるのは、憲法で保障された普通の生活だ。基地の過重負担を解消してほしいというのは、決して過大な要求ではない。政府は埋め立ての法的権限をサヤに収め、対話による解決を図るべきである。
(琉球新報)
(4)多くの県民はこの暴挙を政府の虚勢だと受け止めているはずだ。新基地建設ノーの強固な意思は、政府の強行策によって揺らぐことはない。むしろ県民の怒りの火に油を注ぐ結果を招くものだ。
(5)海上保安官による過剰警備に象徴されるように、選挙などで幾度も示された新基地拒否の民意と、それに基づく建設反対運動を政府は力ずくで抑え付けた。沖縄の自己決定権を否定するものであり、法の下の平等、言論の自由を規定する憲法の精神にも背くものだ。
(6)今回の県判断に対し、異論があるのも事実だ。「最高裁判決には執行力はない」という指摘である。「県民への裏切り行為だ」という批判もある。県内識者の間でも見解が分かれている。しかし、今回の取り消し通知によって新基地反対運動に足並みの乱れや分裂が生じることがあってはならない。そのためにも県は判断に至った経緯を丁寧に説明しながら、政府への対抗措置を早急に整える必要がある。県民の不安を払拭(ふっしょく)してほしい。
(7)県の対抗措置を無効化するため、政府は知事承認が必要となる埋め立て計画の設計概要の変更申請を避けることなどを検討している。それを実行すれば政府自ら無法状態を引き起こすことになる。断じて容認できない。


Ⅱ.問題点の指摘
(沖縄タイムス)
(1)2010年、仲井真氏は「普天間飛行場の県外移設」を公約に掲げ再選を果たした。以降、毎年のように慰霊の日の平和宣言で「一日も早い普天間飛行場の県外移設」を求めた。知事が会長を務める軍転協も、同様に政府に県外移設を要請してきた。政府・自民党の圧力で、自民党国会議員5人が「県外移設」の公約をかなぐり捨て、仲井真氏が県民への事前説明もほとんどないまま埋め立てを承認したのは、3年前のちょうどこの時期だ。すべての混乱の原因はここにある。政治家の「裏切り」に県民の怒りが爆発し、その後の県知事選、衆院選、参院選では新基地建設に反対する候補者が当選したのだ。しかし今やその民意さえお構いなしに、辺野古埋め立てが強行されようとしている。
(2)普天間移設計画は当初の「基地内移設」から「基地の外への新基地建設」に変わり、住民の頭越しに進めないという方針も反故(ほご)にされた。
(3)県が15年に実施した県民意識調査で、米軍基地が沖縄に集中する現状を約7割の人たちが「差別的だと思う」と回答した。私たちが「差別」という重い言葉で本土の人たちに問うのは、基地負担の不均衡の解消である。自分たちが受け入れられないものを未来にわたって沖縄に押し付けようというのは公平・公正・正義に反する。
(4)沖縄と本土との埋めがたい溝が、沖縄に基地を集中させる見返りに金をばらまくという「補償型政治」によってもたらされていることも忘れてはならない。米軍再編交付金は、米軍再編への協力度合いに応じて支払われるという究極の「アメとムチ」政策である。埋め立て予定地に近い「久辺3区」に直接補助金を出すのもなりふり構わないやり方だ。
(琉球新報)
(5)菅義偉官房長官との会談で翁長雄志知事は「事前協議を含め、話し合いを続けてほしい」と要請した。菅官房長官は「工事再開に向けて必要な準備を行っている。わが国は法治国家で、確定判決の趣旨に従って工事を進める」と拒否した。まさしく問答無用であり、およそ民主国家が取るべき態度ではない。ここに安倍政権の専横が露骨に表れている。翁長知事が「強硬的にならざるを得ない」と対抗措置を示唆したのも当然だ。菅官房長官は「法治国家」を説き、工事再開の根拠に最高裁判決を挙げた。しかし、沖縄を相手に法治国家を逸脱する行為を重ねてきたのは、ほかならぬ政府の方だ。
(6)政府と最高裁が結託して新基地建設を推し進めているかのような態度は、まさしく法治国家の瓦解(がかい)を自ら表明するものだ。菅官房長官が、工事再開前の協議を求めた翁長知事の要請を拒否したのも、その一端でしかない。法治国家を破壊するような政権の屋台骨を支える官房長官が工事再開にあたって法治国家を掲げる姿は、もはや茶番だ。沖縄以外でも同じような理不尽な態度を取れるのか、菅氏に問いたい。


 まず、押さえておかないいけないのは、安倍晋三政権の今後の強権手法である。
 このことについては、「県の対抗措置を無効化するため、政府は知事承認が必要となる埋め立て計画の設計概要の変更申請を避けることなどを検討している。それを実行すれば政府自ら無法状態を引き起こすことになる。断じて容認できない。」(琉球新報)、ということである。
 いずれにしろ、安倍晋三政権は、「民意が踏みにじられ、軽んじられ、国策が強行される。住民運動を力で排除し、公金をばらまき、地域をずたずたに分断して。」(沖縄タイムス)との沖縄の声を、きちんと腹に据えなけねばならない。


 以下、沖縄タイムス、琉球新報の引用。






More
by asyagi-df-2014 | 2017-01-04 08:35 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年1月2・3日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


「私は、住んでいる人たちの意見を尊重すべきだと思う。どんなことがあってもね。沖縄の方はみんな嫌だって言っているなら造るべきじゃない」
「あんなきれいな海が荒らされていくのは、ジュゴンだってかわいそう。(建設)しないで済むなら、こんないいことはない」
 誰が考えても、こうなるはずだ。
 後は発言する勇気なのか。


 2017年1月2・3日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-翁長知事、今月下旬にも訪米 辺野古の民意、次期政権に訴え-2017年1月3日 07:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「翁長雄志知事は名護市辺野古の新基地建設を阻止する意思を直接示すため、今月下旬にも訪米する方向で調整に入った。20日にはトランプ次期米政権が発足するため、米国防総省、米国務省の次官補級担当幹部の指名など、対外基地政策の体制固めをする前に県側の立場を伝え、米軍普天間飛行場返還・移設問題で『辺野古が唯一』とする日米両政府の姿勢を転換させたい考え。」
②「辺野古新基地建設問題に絡む翁長知事の訪米は2016年5月以来3度目。トランプ次期大統領の就任に合わせて早期に訪米して沖縄の民意や政治状況を伝えるため、過去2回の訪米行動からの「仕切り直し」をする形で新政権にアプローチする。今回の訪米行動では米政府に発言力を持つ有識者らを交えたシンポジウムなどを開催することも計画している。」
③「安倍晋三政権が昨年12月27日に新基地建設工事を再開し、辺野古移設が日米両政府の『既定路線』として次期政権にも引き継がれようとする中、政府当局者以外の政権周辺にも働き掛け、米側に再考を促す。」


(2)琉球新報-黒柳さん「辺野古、住民意見尊重を」 9条「変えてはいけない」-2017年1月3日 08:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「女優でユニセフ(国連児童基金)親善大使を務める黒柳徹子さん(83)がこのほど、琉球新報のインタビューに応じ、沖縄への思いや平和の大切さについて語った。米軍普天間飛行場の返還に伴い政府が建設を強行する名護市辺野古の新基地建設について『沖縄の問題は難しい』と前置きしつつ、『住んでいる人たちの意見を尊重すべきだと思う。沖縄の方が嫌と言っているなら造るべきじゃない』と述べた。」
②「辺野古新基地建設について、県知事選や名護市長選などの選挙で反対の民意が示されたことを『知っている』と述べた上で『私は、住んでいる人たちの意見を尊重すべきだと思う。どんなことがあってもね。沖縄の方はみんな嫌だって言っているなら造るべきじゃない』と述べた。『あんなきれいな海が荒らされていくのは、ジュゴンだってかわいそう。(建設)しないで済むなら、こんないいことはない』とも述べた。」
③「憲法改定については『絶対戦争はしない国とし、それを誇りとしている憲法を変えようという動きは心配している』と述べた。特に憲法9条について『平和憲法を変えることは絶対してはいけない。先の戦争で300万人もの人が死んだ。将来ある若い人たちも』と力を込めた。黒柳さんは小学校高学年で体験した東京大空襲や青森に疎開した経験を語り、『食べる物がなくて栄養失調で痩せて、体中におできができた。タンパク質の不足だった。ユニセフの活動で世界を回ると栄養失調になっている子どもたちがいる。親善大使になったのも自分がそんな経験をしたからだ』と述べ、『100歳まで親善大使を続けたい』と話した。」


(3)沖縄タイムス-普天間返還と沖縄振興、どう進める 関係大臣に聞く-2017年1月2日 14:22


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設に反対する県に対し、主張を全面的に認めた最高裁判決を『錦の御旗』に埋め立て工事を再開させた政府。翁長雄志知事が『あらゆる手法で阻止する』と明言する状況で、普天間飛行場の返還と沖縄振興をどう進めていくか。稲田朋美防衛相と鶴保庸介沖縄担当相が沖縄タイムスと琉球新報の合同インタビューに応じた。」
<鶴保庸介沖縄担当相>失業率、脱ワーストへ
②「沖縄の本土復帰から45年の節目の年。沖縄振興で特に力を入れたい分野は。」
-「今までは本土並みのインフラ整備に主眼が置かれてきた。その結果として、県民一人一人が豊かさを実感できるような振興策を打ち立てられていたか疑問だ。県民所得や失業率の最下位の状況を脱することができるかに主眼を置きたい。貧困の連鎖を断ち切りたい」
③「来年度予算案に新規事業で盛り込んだ産業イノベーション創出や離島活性化推進にどう取り組むか。」
-「産業の人材育成に取り組みたい。新しく起業する方のための種づくりに総合的に取り組みたい。離島活性化では持続可能な離島の在り方を考えたい。『十五の春』が起こり得ない方策を考えなければならない」
④「現沖縄振興計画は後期5年に入る。展望を。」
-「今まででき得なかった部分は虚心坦懐(たんかい)にレビューする必要がある。一括交付金も使い切れていない問題がある。市町村で少し立案能力などに無理が生じている部分があると思う。県や市町村と密に連携をとっていきたい」
-「能力や、やる気がある子どもたちが家の貧困を理由に流れに乗ることができない事例を多く見てきた。給付型奨学金制度の全国制度のスキームを研究し、真っ先に沖縄で適用できるよう頑張りたい。手に職がつくような総合的な学校や教育関連施設の設立の可能性も探りたい」
⑤「沖縄の交通渋滞解消に意欲を示している。」
-「沖縄は車社会であり、道路の使用状況は今後も増える。自動車交通の合理化や安全な通行空間の創出を手掛けたい。路線バスの自動運転技術の実証実験もその一つだ」
⑥「名護市辺野古の新基地問題で政府と県が対立している。沖縄振興への影響は。」
-「振興額と基地問題は全然リンクしていない。振興のために必要なもの、不必要なものとの仕切りでやっていて、これからも同じだ。ただ、基地があるかないか、これから基地が返ってくるかこないかで振興策は変わる。当然影響はある」
-「県と政府の対立構造は不幸なことだと思う。この解決策は、両者が同じテーブルで冷静に話し合うこと以外あり得ない。その素地づくりがわれわれには必要だと思う」
(聞き手・石川亮太)
<稲田朋美防衛相>オスプレイ事故は遺憾 安全対策働き掛ける
①「最高裁判決が確定した。今後どう対応するのか。」
-「県民の理解を得ることは、すごく重要。政府の取り組みに理解が得られるよう引き続き粘り強く取り組んでいきたい。一日も早い普天間飛行場の返還を目指して移設事業に取り組んでいきたい」
②「沖縄の基地負担軽減をどう捉えるか。」
-「北部訓練場の過半の返還は20年越しの課題であった。一つ実現した。嘉手納以南の返還による跡地利用は沖縄全体の発展に寄与する。一つ一つ確実に負担軽減を実現していく」
③「オスプレイが大破する事故が発生した。」
-「事故は大変遺憾。(原因が)機体ではないという米側の説明、普天間所属機の安全確認を行い、搭乗員に対する再教育も行ったとして空中給油(訓練)以外のオスプレイの飛行を再開した。安全対策に最大限取り組むよう働き掛けていきたい」
④「在沖海兵隊は国防を担っているのか。」
-「在沖海兵隊は優れた機動性と即応性、水陸両用作戦能力を持ち、さまざまな事態へ対応することができる。米軍の駐留が日米同盟の実効性を確かなものにして抑止力を高め、わが国の安全のみならず太平洋地域の平和と安定に大きく寄与している」
⑤「宮古島や石垣島に陸上自衛隊を配備する意義は」。
-「わが国周辺の安全保障環境は大変厳しい。南西地域における自衛隊配置の空白状況は早期に解消する必要がある。大規模災害のみならず、島しょ防衛の迅速な対応を可能とする。極めて重要」
⑥「日米地位協定上の軍属の範囲を見直すことがなぜ再発防止につながるのか。」
-「軍属について適格性を定期的に見直し、認定が一層厳格になって適格者だけが軍属の地位を得る。非常に今回の合意は有意義。軍属に対する管理や監督が一層強化され、軍属による犯罪の効果的な抑止につながっていく」
(聞き手・上地一姫)


(4)沖縄タイムス-<先島陸自配備計画の経緯と概要> 住民ら懸念 強く反発-2017年1月3日 13:48


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「防衛省が南西地域の防衛力強化を目的に進める陸上自衛隊配備計画が大きく動いている。昨年3月に『与那国沿岸監視隊』」を新設。下地敏彦宮古島市長は同6月、中山義隆石垣市長は同12月に受け入れを表明した。防衛省は両市で候補予定地を挙げ、作業を加速させたい考えだ。2017年度予算案では宮古島での部隊庁舎整備費など311億円を計上しており、工事が本格化するとみられる。候補予定地に近い集落は、いずれも計画に強く反対している。」
石垣島 説明不足に批判も
②「中山義隆石垣市長は昨年12月26日、記者会見で陸自配備に向けた各種手続きの開始を『了承する』と表明した。年の瀬に突然の発表だった。
 防衛省は15年11月、中山市長を訪ね、平得大俣地区を候補地とし、500~600人規模とする具体的な配備計画を正式に伝達。隣接する開南、嵩田、於茂登、川原の4地区は『静かな環境が失われる』と相次いで反対を表明した。市長や市議会に抗議文を提出し、配備撤回を求めるなど態度を鮮明にしてきた。
③「中山市長は受け入れ表明の12日前、市議会で『4地区の意見を聞いた上で判断する』と答弁したが、一部地域の賛成派のみと会談しただけで『説明不足』と批判を受けた。『なぜこのタイミングか』と憶測(おくそく)を呼び、波紋を広げている。」
④「昨年10月の市主催の公開討論会では、反対、賛成の両派が『軍拡競争を招き、緊張が高まる』『防衛の空白域を埋め、日本の安全保障に直結する』と意見を戦わせた。市は来場者へのアンケート結果として約700人のうち約300人が回答、「反対」46%(139人)、「賛成」27%(80人)だったと明かした。是非を巡る住民投票について、中山市長は14年3月の再選直後、『視野に入れる』と述べたが、16年3月の市議会で『自衛隊配備を住民投票で判断するのは危険性がある』と否定的な認識を示した。防衛省は17年度当初予算案に石垣島への配備関連の費用を計上していない。」

計画概要 ヘリ部隊配備で最大800人

①防衛省は石垣市への陸上自衛隊配備候補地として、島の中心部にある平得大俣地区の市有地約20ヘクタールを選定。理由を『平らで十分な土地があり、災害などを考えるとある程度の標高が必要」としている。地形のほか、水源や民家との距離を分析、島内7カ所から平得大俣に絞り込んだという。」
②「宮古島と同様に地対空(SAM)と地対艦(SSM)のミサイルを運用する部隊と警備部隊の500~600人を予定する。指揮所のある宮古島に比べ、100人程度少ないが、物資の輸送に必要なヘリコプター部隊が配備された場合、700~800人規模に増大する可能性がある。防衛省は各役割について警備部隊は『災害を含む各種事態の初動対応」、SSMは「島しょ部への侵攻を洋上で阻止』、SAMは『SSMと連携し、作戦部隊、重要地域の防空』と説明している。」

市長意見 防衛体制の充実重要

①「昨年12月26日の中山義隆石垣市長の陸自受け入れ表明の概要は次の通り。
②「市民の生命財産を守る立場として石垣島への陸上自衛隊配備に関し、諸手続きを開始することを了解すると防衛省に伝達した。具体的な計画が出た段階で最終的に判断する。
尖閣諸島周辺での中国公船による領海侵犯や軍艦による接続水域での航行、北朝鮮のミサイル発射などわが国の安全保障環境が非常に厳しさを増す現状で、南西諸島地域の防衛体制の充実は重要と認識する。もろ手を挙げてOKということではない。受け入れの手続きを進めることを了承した上で、話し合いのテーブルにつき議論を深めていく。
③「住民説明会、公開討論会、抗議や要請の文書を見ても、賛成、反対双方の意見は、出尽くしていると判断した。(反対する)4公民館とも会いたいと話していたが、日程の調整が付かなかった。

与那国島 「基地の島」 根強い不安

①「防衛省は南西諸島への陸上自衛隊配備計画の第1弾として、昨年3月、周辺をレーダーで監視する「与那国沿岸監視隊」を発足させた。沖縄が日本復帰した1972年以降、自衛隊施設の新設は初めてだ。過疎化が進み、1500人を割り込んでいた人口は、隊員160人と家族100人の移転で1600人余に回復。町人口の15%を自衛隊関係者が占める。住民の間では『活性化の起爆剤』といった期待と「自治が失われる」といった不安が交錯したままだ。」
②「防衛省は町内の牧場跡地など26ヘクタールを造成、監視レーダーや隊舎、庁舎などを建設した。沿岸監視部隊は北海道稚内市の陸自第301沿岸監視隊をモデルに、与那国島付近を通過する艦船や航空機の動向を早期に察知し、情報を集める役割を担っている。
③「町は、住民税が年間4300万円増えることや小学校の複式学級の解消、隊員や家族の消費などを効果として挙げ、「自立」に向けた取り組みを進めている。

 一方、2015年2月の住民投票では41%が「配備反対」を示した経緯があり、島内では「島の行事に隊員たちが迷彩服で訪れることがある。基地の島になってしまった」といった意見も根強く、不協和音が残っている。

宮古島 防衛省 千代田推進

①「宮古島市への部隊配備計画は、石垣市より一歩進んでいる。防衛省は本年度に用地取得と敷地造成費で108億円、17年度予算案には部隊庁舎などの整備費を計上している。
防衛省は千代田カントリークラブと大福牧場の2カ所を候補地に選定していた。ところが、市の審議会が大福牧場周辺の地下水汚染の可能性を指摘。下地市長は昨年6月の市議会で受け入れを表明する一方、大福牧場では施設の建設を認めない意向を示した。防衛省は同9月、大福牧場への配備を断念するとともに、施設の整備計画など『千代田』案を具体的に提示した。」
②下地市長が14年1月に『千代田』への陸自配備を防衛省へ提案したことが明らかになり、市民の反発は強まった。市長は『(大福牧場の)1カ所より、分散して配備することで社会基盤が整備され、経済波及効果が大きくなる』と理由を説明するが、受け入れ表明の1年以上前に水面下で防衛省と調整していたことに『配備ありき』と批判の声が相次いだ。『千代田』周辺の野原部落会は昨年3月、千代田部落会は同8月に、自衛隊配備反対を決議。防衛省や市長、市議会に配備反対の意思を伝えた。住民説明会では『有事で攻撃の対象となり、被害は免れない』といった不安の声が上がった。市議会は陸自配備の是非を決める住民投票実施の陳情書や『千代田』への配備撤回を求める陳情書を不採択とした。」

計画概要 700~800人の駐屯目指す

①「市上野野原のゴルフ場『千代田カントリークラブ』を候補地として、防衛省は地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊とその指揮所、警備部隊の700~800人規模を駐屯させる計画だ。22ヘクタールの土地に事務所など4棟、隊員や家族の宿舎6棟のほか、食堂や倉庫などを整備する案を示す」。
②「防衛省は火薬庫やヘリポートの整備は『基本的にない』と否定。千代田地域には車載型のミサイル発射機を置き、ミサイルそのものは置かないと明言。射撃訓練は米国で実施する。警備に必要な小銃の保管庫は千代田地域に設置する。
③「防衛省は市北東部の『大福牧場』周辺との分散配置を進めていたが、近くに島内最大の湧出量を誇る水源があり、断念した。部隊の機能や規模を考えれば千代田1カ所では厳しいとの見方も残り、『将来的に拡張するのでは』」との懸念の声も根強い。

市長意見 最小限の配備は必要

①「昨年6月20日の下地敏彦宮古島市長の陸自受け入れ表明の概要は次の通り。
 市民の生命財産や国土の保全、国民の安全を確保する観点から宮古島への自衛隊配備については了解する。中国の公船、軍艦まで領海に入ってきた。庭に入ってきた脅威に備えなければならず、最小限の配備は必要と考えている。
②「与党議員をはじめ、市民の意見もいろいろ聞いて回り、総合的に判断した。宮古島全体について配備することを了解する。特定の地域についてどうのこうのと言っているわけではない。「千代田」は場所だけで具体的な配備計画がない。具体的な計画が出て、それを見て最終的に法律に適合するかで判断する。」
②「水道水源への影響など、不安材料がある所は止めてほしい。自衛隊だから駄目、ホテルだから良いという判断は行政上できない。関係する法律に適合しているかどうかで判断する。民間施設でも同じことだ。」


(5)沖縄タイムス-【解説】宮古・八重山地域での陸自配備計画 手続き止め議論深めよ-2017年1月3日 14:00


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「宮古・八重山地域での陸自配備計画で、防衛省は、下地敏彦宮古島市長の受け入れ表明を受け、2017年度予算案に同市での施設整備費を盛り込んだ。石垣市でも昨年末に中山義隆市長が配備を容認したことで作業が加速する。候補地の隣接住民が反対を表明しているにもかかわらず、既成事実が積み重なっていく。防衛省と両市長が手を組んだような進め方に懸念が強まるのも無理はない。」
②「住民への説明責任が防衛省にあるのは間違いない。ただ、政府方針に従い、配備を進める立場である。住民説明会で東日本大震災での支援活動をことさら取り上げ、参加者から『離島の弱みにつけ込み、必要性を強調している』と非難の声が上がった。」
③「防衛省から都合の悪い情報は出にくいことを前提に、地方自治体はメリット、デメリットを引き出し、どちらに転んでも地域が分断されないよう調整する役割があるのではないか。その点で言えば、両市長の姿勢には疑問を持たざるを得ない。下地市長は配備を容認する1年以上前に、配備先を自ら提案していた。当初は否定したが、市民らに追及される形で認めた。防衛省がその通りに選定した後、受け入れを表明しており、『結論ありきだ』と批判を浴びている。
 中山市長は周辺住民の意見を確認すると明言しながら、約束を守らずに受け入れを発表した。直前に菅義偉官房長官と非公開で面談したことが明らかになっている。『住民との面談の日程調整ができなかった』と説明したが、住民らは『年明けで調整していた。責任逃れだ』と抗議している。」
④「住民らの不安の声はたくさんある。陸自のミサイルが必要な場合、島はどのような状況にあるのか、その際の住民保護や避難の計画は十分か。沖縄戦の教訓を踏まえれば、領土防衛のために住民が犠牲になるのではないか。」
①「政府、自衛隊、両市長は『中国の脅威』にはやり立つ一方で、そういった声を置き去りにしている。このままでは禍根を残す。手続きを止め、じっくりと考えるための材料を提供し、議論を深めるべきだ。」


(6)琉球新報-普天間基地の閉鎖・撤去を 新春自動車デモ-2017年1月3日 14:34


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の即時撤去や名護市辺野古への新基地建設阻止、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの撤去を求め『第34回新春自動車デモ』(普天間基地撤去をめざす宜野湾市民協議会主催)が3日午後、宜野湾市内で開かれた。のぼりを掲げた約30台の車両が飛行場を1周しながら『基地の無条件閉鎖・撤去を』と道行く人に訴えた。」
②「宜野湾市役所前で事前集会が開催され、約40人が参加した。昨年12月にオスプレイが墜落したことを受け『一歩間違えば大惨事だった。市民の不安と恐怖は計り知れない』としてオスプレイ撤去、飛行場の閉鎖・撤去や新基地建設の断念のため力を合わせようと呼び掛けるアピール文を採択した。市民協議会の知念吉男事務局長は『オスプレイが墜落し、6日後に飛行再開した。普天間基地内に新しい施設を造る動きは固定化につながる。無条件撤去を求めよう』と決意を新たにし、呼び掛けた。」
③「参加した平安山一三さん(55)=北中城村=は『自分が住む安谷屋の地域もヘリの騒音がうるさい。まずはオスプレイを飛ばさないところから始め、基地の撤去をしてほしい。新基地も造らせてはいけない』と思いを語った。」




by asyagi-df-2014 | 2017-01-03 17:49 | 沖縄から | Comments(0)

刑法学者に、「法律を学び、教える者として無力感におそわれる。」とまで言わせた山城氏の違法な逮捕・勾留。

 緊急声明を行った刑法学者は2016年12月28日、緊急声明の前に、次のようなプレスリリースを行っている。


 日本政府は、民主的に表明される沖縄の民意を国の力で踏みにじっておきながら、日本は法治国家であると豪語する。法律を学び、教える者として無力感におそわれる。まことに残念ながら刑事司法もこれに追随し、非暴力平和の抗議行動を刑法で抑え込もうとしている。平和を守ることが罪になるのは戦時治安法制の特徴である。しかし、今ならば引き返して「法」をとり戻すことができるかもしれないので、刑事法学の観点から、山城氏の逮捕・勾留こそが違法であり、公訴を取消し、山城氏を解放すべきであることを説明する必要があった。
 10日前に海外識者らの「山城博治氏らの釈放を求める声明」が発表され、その後、沖縄県内の二紙が、勾留中の山城氏の「県民団結で苦境打開を」「未来は私たちのもの」とする声を伝えた。日本の刑事法研究者としても、刑事司法の側に不正がある、と直ちに応じておかねばならないと考え、別紙のとおり、「山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明」(2016.12.28)を発表する。


 刑法学者に、「法律を学び、教える者として無力感におそわれる。」とまで、言わさせた日本の現状と、これに「今ならば引き返して『法』をとり戻すことができるかもしれない」と対抗しようとする「山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明」について、考える。
 「声明」をまとめると次のようになる。


Ⅰ.山城博治沖縄平和運動センター議長に関する事実
(1)沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)が、70日間を超えて勾留されている。(2)山城氏は次々に3度逮捕され、起訴された。接見禁止の処分に付され、家族との面会も許されていない
(3)①2016年10月17日、米軍北部訓練場のオスプレイ訓練用ヘリパッド建設に対する抗議行動中、沖縄防衛局職員の設置する侵入防止用フェンス上に張られた有刺鉄線一本を切ったとされ、準現行犯逮捕された。同月20日午後、那覇簡裁は、那覇地検の勾留請求を棄却するが、地検が準抗告し、同日夜、那覇地裁が勾留を決定した。これに先立ち、②同日午後4時頃、沖縄県警は、沖縄防衛局職員に対する公務執行妨害と傷害の疑いで逮捕状を執行し、山城氏を再逮捕した。11月11日、山城氏は①と②の件で起訴され、翌12日、保釈請求が却下された(準抗告も棄却、また接見禁止決定に対する準抗告、特別抗告も棄却)。さらに山城氏は、③11月29日、名護市辺野古の新基地建設事業に対する威力業務妨害の疑いで再逮捕され、12月20日、追起訴された。
(4)以上の3件で「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(犯罪の嫌疑)と「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」があるとされて勾留されている(刑訴法60条)。


Ⅱ.反論
(1)犯罪の嫌疑についていえば、以上の3件が、辺野古新基地建設断念とオスプレイ配備撤回を掲げたいわゆる「オール沖縄」の民意を表明する政治的表現行為として行われたことは明らかであり、このような憲法上の権利行為に「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があるのは、その権利性を上回る優越的利益の侵害が認められた場合だけである。
(2)政治的表現行為の自由は、最大限尊重されなければならない。いずれの事件も抗議行動を阻止しようとする機動隊等との衝突で偶発的、不可避的に発生した可能性が高く、違法性の程度の極めて低いものばかりである。
(3)仮に嫌疑を認めたとしても、次に、情状事実は罪証隠滅の対象には含まれない、と考えるのが刑事訴訟法学の有力説である。
(4)法的に理由のない勾留は違法である。その上で付言すれば、自由刑の科されることの想定できない事案で、そもそも未決拘禁などすべきではない。
(5)山城氏は健康上の問題を抱えており、身体拘束の継続によって回復不可能な不利益を被るおそれがある。しかも犯罪の嫌疑ありとされたのは憲法上の権利行為であり、勾留の処分は萎縮効果をもつ。したがって比例原則に照らし、山城氏の70日間を超える勾留は相当ではない。


Ⅲ.反論の詳細
(1)上記「Ⅰ.の(3)」について、①で切断されたのは価額2,000円相当の有刺鉄線1本であるにすぎない。②は、沖縄防衛局職員が、山城氏らに腕や肩をつかまれて揺さぶられるなどしたことで、右上肢打撲を負ったとして被害を届け出たものであり、任意の事情聴取を優先すべき軽微な事案である。そして③は、10か月も前のことであるが、1月下旬にキャンプ・シュワブのゲート前路上で、工事車両の進入を阻止するために、座り込んでは機動隊員に強制排除されていた非暴力の市民らが、座り込む代わりにコンクリートブロックを積み上げたのであり、車両進入の度にこれも難なく撤去されていた。実に機動隊が配備されたことで、沖縄防衛局の基地建設事業は推進されていたのである。つまり山城氏のしたことは、犯罪であると疑ってかかり、身体拘束できるような行為ではなかったのである。
(2)②の件を除けば、山城氏はあえて事実自体を争おうとはしないだろう。しかも現在の山城氏は起訴後の勾留の状態にある。検察は公判維持のために必要な捜査を終えている。被告人の身体拘束は、裁判所への出頭を確保するための例外中の例外の手段でなければならない。もはや罪証隠滅のおそれを認めることはできない。以上の通り、山城氏を勾留する相当の理由は認められない。


Ⅳ.結論
(1)山城氏のこれ以上の勾留は「不当に長い拘禁」(刑訴法91条)であると解されねばならない。
(2)山城氏の長期勾留は、従来から問題視されてきた日本の「人質司法」が、在日米軍基地をめぐる日本政府と沖縄県の対立の深まる中で、政治的に問題化したとみられる非常に憂慮すべき事態である。私たちは、刑事法研究者として、これを見過ごすことができない。山城氏を速やかに解放すべきである。


 刑法学者は、「日本の刑事法研究者としても、刑事司法の側に不正がある、と直ちに応じておかねばならないと考え、別紙のとおり、『山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明』(2016.12.28)を発表する。」、とまさに「良心宣言」を行っている。
 つまり、今の日本は「良心宣言」を行わなけねばならない状況にすでに陥ってしまっているということだ。
 じっと見ているだけでは、もう悪くなるだけである。
 それならば、この「声明」に、それぞれの現場で繋がろう。

まずは、山城博治氏の釈放を求める。


 以下、「山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明」とプレスリリースの引用。





by asyagi-df-2014 | 2017-01-03 08:46 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第62回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。


 今回の報告は、「残酷な12月~オスプレイ墜落と高江完成と辺野古再開まで~」、と2016年最後の報告。
報告は、「ところがこの12月の沖縄の、これでもかと降ってくる試練は一体何なんだ。」で始まる。
 確かに、沖縄の2016年12月は、余りにも波瀾万丈で、恐らく記憶に残される月日となるのだろう。
三上さんは、その月日が引き起こしたものを、このように披露する。


・安部集落の地先にオスプレイが落ちた。なんと同じ日に別の機体が胴体着陸。
・辺野古の埋め立てを巡る訴訟で、沖縄県敗訴の最高裁判決。
・事故原因も特定しないまま、米軍はオスプレイの運用を再開。
・今回の機体大破の原因になった空中給油まで再開! 佐賀ではやらないと明言したの!
・高江のヘリパッドが完成したとして「北部訓練場返還式典」が政府主催で開かれた。
・そして今日、今年の3月4日の和解以来止まっていた辺野古の工事が再開した。


 また、沖縄にこんな試練を課した輩の姿を、辛辣に描いてみせる。


 「お前らは負けたんだ。国に対抗しようなんて所詮無理なんだ。今度こそ思い知ったろう?」抵抗する沖縄を踏み潰しながら、政府は言う。
 続けて、アメリカに対してはこう言った。「お望みのオスプレイ訓練場は出来上がりましてございます。ケネディさん、あなたのおかげで復帰後最大の負担軽減が実現しました。沖縄県民も喜んでいます」
 自分の国土に外国の軍用機を落とされ、胴体着陸もされて、そんな彼らのためのオスプレイ訓練場の完成を祝賀する馬鹿がどこにいるだろうか。
 式典の中で政府要人とケネディ駐日大使が、沖縄本島北部のやんばるの森が描かれた額入りの絵をもらってポーズをとっていた。それはすでに漫画でしかなかった。そもそも、その青い森を県民から奪ったのはアメリカだ。その半分を返してやるから感謝しろと、よくも手柄顔ができるものだ。ケネディ氏はこのお土産をアメリカの自宅で眺めながら、「これは私が返してあげた土地なの」と来客に自慢でもするつもりなのか?
 官房長官だってそうだ。まともであれば、あんなに抵抗した沖縄県民の姿が浮かび上がってきて、この絵を正視できないはずだ。あなたが穴をあけた森はもう元には戻らない。私たちは森の命と自分たちの生活を守りたかっただけだ。なのに、県民の正当な抵抗をゲリラ扱いして1000人の機動隊を送り込み、不当逮捕と拘束を続けた末に沖縄を「平定」したつもりなのか。沖縄県民を黙らせた自分の権力の記念として山原の地図を眺めて暮らすのか。悪趣味もいいとこだ。


 長期拘留されたままの山城さんについてこう触れる。


(1)2007年から座り込んで10年目の高江。オスプレイは来ないとうそを言いながら住民をごまかし、集落ごと演習の標的にするという、恐ろしい高江のヘリパッド計画。必ずこれを白日のもとに晒してやる。絶対に許してはならないと頑張ってきたつもりだが、ついにずるずると工事を進められてしまった。10月中旬にリーダーが逮捕されてしまったことも大きな痛手になった。そのリーダーは2カ月たってもまだ出してもらえない。今沖縄で行われているのはあからさまな弾圧だ。続々と逮捕者が出て、不当に長期拘留するのが常になりつつある。来年の2月に裁判をすると聞いた。4、5カ月も拘束し、その間に辺野古の建設を進めてしまおうという魂胆なのだろう。
(2)それほど山城博治に、てこずっていたということだ。一方、器物損壊や10カ月前の公務執行妨害など、微罪の古いカードを切りながら不都合な人間を閉じ込めておく日本政府。社会が反発しなかったら、いったいどんな世の中が待っているのか。なぜこんなに世間の反応がぬるいのか、私は恐ろしくて仕方がない。
(3)(・・・)、その中に、リーダー博治さんの写真とともに立っている男性がいた。この2カ月、家族はおろか誰とも接見さえ許されない異常な監禁状態である。しかも悪性リンパ腫を克服した病み上がりの身体なので心配は尽きない。その男性は、怒ってばかりいてもダメなら、と名護署で手を合わせて嘆願して来たという。「せめて…正月は家に帰してやってくれ」と大粒の涙をこらえながら叫んでいた。
(4)私もまったく同じ気持ちで、聞いていて泣けてきた。囚われ人となっている間にヘリパッドが完成してしまい、オスプレイは墜落し、最高裁は負けた。そして間もなく辺野古の工事再開だと聞いて、狭くて暗い部屋の中で博治さんはどんな思いでいるだろう。なぜここまでの仕打ちをわれらの島が受けねばならないのか、ともがき苦しんでいるかもしれない。自分を出してくれるまでの世論が沸き上がっていないことを残念に思っているかもしれない。政府の残酷な決定にあらがう県民を代表して、見せしめのような仕打ちに耐えている博治さんに対して、いったい私に何ができるのか。
(5)新しい映画を見てもらえれば、泣いて、吠えて、笑って踊る博治さんの、愛すべき人間性をだれもがわかってくれるだろう。ネット上の悪意にあふれた誹謗中傷が、博治さんの本質からかけ離れていることも一目瞭然に理解されるだろう。早く映画を公開したい。彼の魅力を伝えて、仲間をどんどん増やしたい。こんな政府の「これでもかスケジュール」の中で、博治さんがここにいたら、今日の出来事をどう総括し、どう勝利だと騒ぎ、どうやってみんなを鼓舞するのか。いつも心の中でシミュレーションをしている自分がいる。


 なお、琉球新報は2016年12月29日、「名護市辺野古への新基地建設や東村高江へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設への反対運動に絡み逮捕・起訴され、70日以上身体拘束が続く沖縄平和運動センターの山城博治議長の釈放を求めて、全国の刑事法研究者41人が28日、緊急声明を発表した。刑事法研究者が個別事案について声明を出すのは異例。『正当な理由のない拘禁であり、速やかに釈放されねばならない』とした。山城議長の長期勾留について『従来から問題視されてきた日本の【人質司法】が、在日米軍基地を巡る政府と県の対立の深まる中で、政治的に問題化したとみられる非常に憂慮すべき事態だ』とした。」、と報じている。


 最後に、三上さんは、「コテンパンにやられた感のある2016年が終わろうとしている。20歳の女性の命を奪われ、高江の基地が完成し、自衛隊の先島配備が進行していった激動の2016年を締めくくるにふさわしい過酷な日々の中にある。」、と綴ったうえで、次のように書き込む。
 三上さんは、どんな顔してこれを書き込んでいるのか。
 不敵に笑っているのか。それとも。


 来年はここに書き続ける力が残っているのか? と弱気にもなるものの、沖縄の鈍角の闘いはまだまだこれからだと笑顔を見せる人たちが現場には大勢いる。新聞を見ていると落ち込むが、現場に行くと元気になって帰ってくる。これまでで一番気の重い年越しだが、明けてしまえば来年も、現場から勇気をもらいながら、結局は体当たりで乗り越えていくのかもしれない。


 以下、三上智恵の沖縄(辺野古・高江)撮影日記第62回の引用。




 



More
by asyagi-df-2014 | 2017-01-02 09:13 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年1月1日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 「午前7時20分、雲の向こうから日が昇り、光が真っすぐ浜に差し込むと拍手が沸き起こった。」(琉球新報)。
 光と祈り。
昨日から今日へのわずかは時間の移動ではあるが、やはり、そこに「希望」を祈る。


 2017年1月1日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-新基地阻止誓う 名護市長ら辺野古の浜で初日の出-2017年1月1日 13:16


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設の準備が進む名護市辺野古の松田ヌ浜には1日朝、初日の出を見ようと各地から約250人が訪れ、新しい気持ちで新年を迎えた。午前7時20分、雲の向こうから日が昇り、光が真っすぐ浜に差し込むと拍手が沸き起こった。」
②「地元・名護市の稲嶺進市長やヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表、辺野古在住で長年座り込みを続ける島袋文子さんらは、基地建設阻止の誓いを新たにし、海に向かって祈りをささげた。稲嶺市長は『辺野古も高江も(建設を)止めることを誓い合うきょうの日でありたい。力を合わせて頑張ろう』とあいさつした。安次富共同代表は『日米両政府にウチナーンチュの底力を見せないといけない。絶対勝てる』と意気込んだ。」
③「浜の別の地点では『明けましておめでとう 勝つまで負けないぞ ジュゴンを守ろう』などと書いた連だこを揚げる人々もいた。」
④「地元の若者も集まって新年を祝った。島袋太貴さん(21)は初日の出を見た後に友人同士で景気付けに海に飛び込んだ。『毎年恒例でやっている。ずっとこうやっていられる関係でいたい』と寒さに震える声で話した。」


(2)琉球新報-「日本における沖縄の立場」 40代「単独州」 50代「連邦」 琉球新報県民意識調査-2017年1月1日 07:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「琉球新報の県民意識調査で『今後の日本における沖縄の立場』の質問を年代別に見ると、『現行通り』が半数を超えたのは20代と30代で、40代以上は全年代で半数以下だった。『単独州など』を支持した人は40代で最も多く23・7%、『連邦制』支持は50代が22・7%だった。『現行通り』は30代が最多で55・8%だった。40~60代の中年層で自立志向が強く、若年層と70代以上は『現行通り』『分からない』が多かった。同設問は、選択肢を2011年の前回から一部変更した。『現行通り』『独立』は変わらないが、前回15・3%だった『特別区(自治州など)』の項目を廃止し、新たに『単独州など』『連邦制』を設けた。」
②「米軍基地に関しては『縮小すべきだ』が最も多く40・5%(前回比0・9ポイント増)、『撤去すべきだ』が20・0%(同6・3ポイント減)だった。『維持』は14・2%(同3・2ポイント増)、『強化』は1・6%(同0・5ポイント増)だった。『縮小』『撤去』の合計は、年代別では70代以上が最も多く72・4%、20代が最も少なく38・7%だった。」
③「自衛隊基地は『現状規模のまま』45・5%(前回比4・0ポイント増)、『拡大すべきだ』7・3%(同1・9ポイント増)の合計が52・8%で初めて半数を超えた。『縮小すべきだ』は19・9%(同2・2ポイント減)、『撤去すべきだ』は7・4%(同1・8ポイント減)だった。『現状』『拡大』の合計を地域別に見ると、最も多いのは中部で66・2%だった。「拡大」が最も多いのは八重山で16・9%だった。」


(3)沖縄タイムス-新基地阻止を誓う 辺野古の浜で稲嶺名護市長らが御願-2017年1月1日 14:10


 沖縄タイムスは、「名護市辺野古の浜で1日朝、新基地建設に反対する市民らが御願(うがん)をささげた。100人以上が集まり、初日の出に基地を造らせないことを誓った。
就任以来、毎年訪れている稲嶺進市長は『政府が畳み掛けてくる厳しい年になる。ウチナーンチュ、全国の結集が試される』とあいさつ。ヘリ基地反対協の安次富浩代表も『政府のための沖縄ではない。私たちの沖縄だ』と強調した。」、と報じた。


by asyagi-df-2014 | 2017-01-01 21:47 | 沖縄から | Comments(0)

日本の今を考える(1)-The Huffington Post-沖縄・高江の現場にいたカメラマンは、ある日突然逮捕された。狙われた「報道の役割」-

日本というものを考えてみる。
日本の今を見つめ直す機会に。
自分自身の厭世観やだらしなさと向き合うために。
「人らしく」少しでも進んで行くために。
2017の初頭に。


 The Huffington Posは2016年12月26日、フリージャーナリストの木村元彦氏(以下、木村とする)のリポートを掲載した。
 このレポートで、それぞれの「決意」について受け取ることができた。
 今、その「決意」を試される時代背景が目の前にある。
 だとしたら、2017の初頭に、自分としての「決意」の意味を確認する。
このレポートを通して。


木村は、カメラマンの島崎ろでぃーの「逮捕劇」を、次のように紹介した。


(1)(2016年)11月16日朝6時45分。アルバイトに行こうとアパートから外に出ると、声をかけられた。「もう、出て来たのか。早いな」。神奈川県警の警官だった。家宅捜査の令状を見せられた。驚きながらも部屋にいる妻を心配した。「連れ合いが家にいます。何でも出しますから、手荒なガサ入れは辞めて下さい」。乱暴に荒らされるようなことはなかったが、沖縄で撮影した画像の入ったメモリーカードとハードデイスクがすべて押収された。
(2)「逮捕のフダ(令状)もあるけど、それは車の中で見せる」。容疑は約3ヶ月前の8月25日に高江で起きたとされる「公務執行妨害」と「傷害」。防衛局の職員に対して暴行を働いたというものである。ろでぃーには全く身に覚えがなかった。カメラマンはこうして突然逮捕された。
(3)沖縄での取り調べのためにパトカーに乗せられ、羽田空港に移送される。手錠と腰縄を付けられていた。当然、空港ロビーでは衆目を集める。警官は「(手錠を)隠すか?」と聞いて来たが、「悪いことをしていないので恥ずかしいと思わない。隠さなくていいです」と答えた。沖縄の彫刻家金城実の作品で胸を張って刑場に行く死刑囚があったのを思い出していた。
(4)13時過ぎの便で那覇に渡り、与那原署に収監されて取り調べが始まった。拘留中は弁護士以外の接見は禁止され、1日2時間から4時間の調べが続いた。「3ヶ月前の事件でなぜ、カメラマンの自分がやってもいない『公妨』で逮捕されなければならなかったのか」。納得はできなかった。何度聞かれてもずっと否認していた。
(5)取り調べに出てきた刑事は紳士的な態度であったが、ひとりの女性検事にこう言われた。「私はあなたをジャーナリストと思っていない。あなたは活動家だ」。2回目の検事調べで、現場で自分が映っている動画をズームアップ編集で見せられた。そこにはヘリパッドに反対する高江のプロテスターを励まし、ときに抗議行動の情報や方針を大声で伝達する姿が映っていた。検事はこれらの素材を前にして、「あなたはカメラマンではなく活動家だ」と断じたのである。


 次に、ジャーナリストのあり方、その立ち位置はどのようにあるべきかを、島崎ろでぃーの言葉、文章で伝える。


(1)これに対してろでぃーは今、こう反論する。「現場においてどの立場でシャッターを切るのかということが重要じゃないですか。僕の場合はそれは明確で、あくまでも抗議する市民の側ですよ」。
(2)カメラは武器である。人を傷つけることもあれば守ることもある。市民運動の場で権力の監視というのはカメラマンの仕事の一つではないかと思っている。差別・排外デモに抗議する市民と警察の間に立って不当な逮捕をさせないのはとても大事なことで、たとえ証拠不十分で不起訴になったとしても、逮捕されるのは市民にとって大きなダメージになる。実際、そこにカメラがあることで警官が落ち着きを取り戻すといったシーンが何度もあった。沖縄ではそんな役割をマスメディアのカメラマンも当然のようにやっているのを見て、自分が間違っていないことを確信もした。


 さらに、木村は、島崎ろでぃーのジャーナリストのあり方に関しての「決意」について、次のように触れる。


(1)現場においてどの立場でシャッターを切るのかということが重要じゃないですか。僕の場合はそれは明確で、あくまでも抗議する市民の側ですよ。
(2)ろでぃーはこの信念を曲げない。尊敬する写真家としてユージン・スミスと土門拳の名前を挙げる。「水俣病患者を撮影し続けたユージン・スミスさんだって、チッソに対する抗議行動に自分も参加したし、土門さんも筑豊炭田での失業と貧困の問題を訴えるために生活に入り込んだじゃないですか。それらは取材対象に向かって写真を撮る上で必要な信頼関係だと思うんです」。


 木村は、島崎ろでぃーの「逮捕劇」を通して、報道の自由の意味やジャーナリズムのあり方について、次の二つのことを投げかける。


(1)当事者との信頼が無いアジテーション有りきの薄っぺらなやらせやプロパガンダは写真ではない。カメラは武器であるということを自覚した上で、武器を何のためにどう行使するのか。それは彼の作品群を見れば瞭然であろう。「あなたはジャーナリストではなく活動家だ」と面罵した検事は報道写真を理解していないのではないか。
(2)8月20日には東高江村で、アスファルトに座り込んだ住民を機動隊が引きずって排除する様子を琉球新報と沖縄タイムスの記者が写真撮影していたところ、腕や背中を捕まれて強制的に拘束されるという事件が起きていた(二紙は報道の自由を侵害と抗議声明を出す)。権力を前にした非対称の弱者を避けて撮影することが中立な報道とでも言うのであろうか。


 最後に、木村は、島崎ろでぃーの今を、「ろでぃーは起訴か不起訴か、未だ処分保留のままである。『(逮捕されて移送される際の)帰りの航空券は自費負担なんですよ。仕事が出来ない中での5万円は痛かった』。帰京後は早々にまたバイトに出かける毎日である。」、と伝える。


この木村のレポートは、沖縄の今を映し出すとともに、日本の民主主義の底の浅さを抉り出すものである。また、あわせて、人としての「立ち位置のあり方」を、それは引いては「決意」をどこに位置づけるのかということについて問うている気がする。
例えば、沖縄の琉球新報と沖縄タイムスの二紙は、米軍基地問題について、沖縄の基地負担の問題について、その立ち位置をどこに置くかを常に求められるなかで、記事を書いている。それは、木村の言葉を借りれば、「権力を前にした非対称の弱者を避けて撮影することが中立な報道」ではないことへの反証としての実践である。
 もちろん、二紙は常に、自らの負の歴史を乗り越えることを求められている。したがって、二紙の記者は、逃げの曖昧さが許されない厳しい現場に自らの足で立ち、自らの目で見た事実を基に、乗り越えなけねばならない問題の原因は何かを問い詰めるなかで、真実を書くことが「仕事」なのである。だから、時として、沖縄の二紙を読む時、その記事からは「決意」を感じることができる。
その「決意」は、報道の自由やジャーナリズムのあり方を、自分の立ち位置を明確にする中で、真実を刻み込もうとする行為として現れる。
日本の今を見つめ直すとは、実は、こうした「決意」の中で自分の立ち位置を考えるとともに、現状を検証し、何ができるかを考えることであるという気がする。
この意味で、2017を位置づける。



以下、The Huffington Postの引用。






More
by asyagi-df-2014 | 2017-01-01 02:19 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧