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沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第63回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。

 
 今回の報告は、「自衛隊配備を問う! 宮古島の市長選挙」、と2017年最初の報告。
三上さんは、宮古島市市長選挙について、こう切り出す。


 今週末、日本の南の端っこの小さな島で、とてつもなく大切な選挙があるのだが、その重大さに気付いている人がどれだけこの国にいるのだろうか。沖縄本島からもさらに南に飛行機で40分、およそ5万5千人が住む宮古島だ。今回、この宮古島市長選挙で止められたら、まだこの国を救えるかもしれない、そんな濁流が徐々に私たちを飲み込もうとしている。ここから先、引き返せるポイントは少ない。流されながらも捕まってこの濁流から這い出すための岩は、この先には、もうないかもしれないと私は焦っている。


 なぜ、三上さんは、このようにまで語りかけるのか。
 三上さんは、「あえて誤解を恐れずに一言でいえば」、と次のように報告する。


 この南西諸島を軍事要塞化する計画は、自分の国の安全のつもりがアメリカの対中戦略に巻き込まれ損でしかなく、多大な犠牲を出しかねない方向に突き進んでしまっているということだ。その端緒となるのが地対艦ミサイルの設置である。日本の防衛省は、それを「抑止力」といい、仮に先島を舞台に軍事衝突が起きたとしても地域限定の戦争にとどめる考えだが、それが局地戦で終わる保証はどこにもない。いつの間にか日本が戦争当事国になるだろう。そんな物騒な話は初期消火に当たった方がいいとお考えの方は、ぜひ宮古島市長選挙に注目してほしいのだ。


 また、三上さんは、今回の宮古島市長選挙について、次のように書き込む。


 立候補しているのは、届け出順に、元県議の奥平(おくひら)一夫さん(67)、現職で3期目を目指すの下地敏彦さん(71)=自民推薦=、医師の下地晃さん(63)=社民、沖縄社会大衆推薦=、前市議の真栄城(まえしろ)徳彦さん(67)の4人だ。下地敏彦現市長は、受け入れの是非を市議会で話し合うことも、市民に問うこともなく、水面下のやり取りで防衛省と受け入れ態勢を整えてきた。自衛隊の容認派でさえもその不透明さに対する不信感が強い。だから保守の真栄城さんも自衛隊容認だが、市政刷新を訴えて立候補した。一方で革新系の下地晃さんは、自衛隊配備問題は国が決めることだとして明確な反対を表明していない。そこで元県議の奥平さんが自衛隊配備反対を前面に出して立候補し、翁長知事の応援を得ている。

 四つ巴の複雑な選挙だが、現市長勝利なら自衛隊配備の決定打になるし、奥平候補が勝てばブレーキがかかるということだ。だがこの問題で安倍政権は、辺野古・高江同様、強硬姿勢をとる。菅官房長官は先週、宮古島市長選挙の結果がどうあれ、自衛隊の配備方針に全く変更はないと言ってのけた。それだけこの選挙の動向を気にしているのであろうが、あきれた発言である。

 配備先の千代田・野原という二つの集落が市議会に撤回要請を上げているにもかかわらず、黙殺して受け入れ表明に走った現市長。この市長に対して仮に市民がNOを突き付けたなら、それは宮古島市民が受け入れ表明を認めていないのであるから、民主主義国家ならば重く受け止めるとしか言えないはずだ。記者会見の場で易々と繰り返される民意軽視発言に対し、切り込まないでパシャパシャとキーボードを叩くだけの記者たちの無言が情けない。「市長選挙なんて、頑張ったって国防の方針は変えません。無駄ですよ」と反対する住民にいって無力感を与えようとする権力側のアンフェアな姿勢をなぜ追及できないのだろう。辺野古の埋め立てを急転直下認めてしまった前沖縄県知事しかり。沖縄県民の意見など聞いていたらなにもできない。知事や市長というトップだけをなんとか丸め込めばいいのだと高をくくったような現政府の態度。それは民主主義の全否定であり、国民主権を揺るがすものだ。


 宮古島は、実は、「宮古島の意気は軒昂である。」、とします。
 その意味を、三上さんはこう記します。


 同日行われる補欠選挙への立候補を決めたのだった。

 候補になったのは「てぃだぬふぁ」共同代表の一人、石嶺香織さん。3人の乳幼児を抱えての出馬である。しかも、本人も周囲も選挙はズブの素人。街宣カーも告示日には間に合わず、ウグイスも候補者本人。運動員も少ないものの、みんなまっすぐな気持ちだけで参加しているので独特の熱気のある選挙戦を展開していた。彼女たちの活動を1年余り追いかけていたのだが、なまじ政治的な活動に疎かっただけに逆に怖いもの知らずで、溢れんばかりの正義感と行動力で突き進む。その行動力は清々しいくらいだった。特に香織さんは学級委員キャラでエネルギッシュ。ストレートな表現であちこち壁にぶつかり、たんこぶはできるけれども、そこを撫でながら泣き笑いして、すくっとまた立ち上がるような女の子だ。当然、まだ無名なかおりさんだが、自衛隊配備を憂う人々の票を集めてどこまで票を伸ばせるか、今は全く未知数だが、楽しみでもある。

 今回の動画の後半は、神事を収録した。昨日17日、有名なユタ(神事をつかさどる人・霊的職能者)の方を呼んで、自衛隊配備予定地の横でこの土地が軍事的に利用されて争いが持ち込まれないよう土地の神様に祈る行事が行われたのだ。これは、すでに航空自衛隊のレーダー基地を抱えて苦労も多かった野原(のばる)集落と、隣の千代田集落が主催したもの。自分たちの故郷である宮古島が他人の手によってさらに要塞化され、挙句、防波堤にされるなんてまっぴらだ。しかし彼らの集落が上げた抗議決議が宮古島市長に無視され、また国にも「市民の選択など国防に影響はない」と梯子を外された。ならば神や先祖を味方につけようという発想は、宮古島らしい。

 沖縄本島のユタに当たる職能者を宮古島ではカンカカリャ(神がかり)と呼ぶが、今回招聘された男性のカンカカリャは、私が30年ほど前、宮古島でシャーマニズムの調査をしていた時にしばらく通って勉強をさせていただいた方だった。当時から、珍しい大学出の男性ユタとして有名で、今も彼は引っ張りだこのようだ。その根間忠彦さん自身も、過去には保守系しか応援してこなかったということだが、自衛隊配備については島の未来が危ういと今回ばかりは断固反対で、すでに各地で祈願をしていたそうだ。各地域の神々がまだ大きな影響力を持っている宮古島ならではだが、どこでも大きな事業を始めるにあたっては、まずはその集落の神様が望むものかどうかを聞いてみるのが通例だ。そして根間さんが言うには、神の意思はそこにはない。争いしか見えていないということだった。


 民俗学を学んだ三上さんとして、さらに、このように続ける。


 宮古島の住民が、現時点で自衛隊の問題をどこまで理解しているのかはわからない。ガードマンを置くくらいの表層の理解だけで抵抗感のない人もいるだろうし、何より無関心層がまだ多いかもしれない。でも、無関心であっても、宮古島には先祖を敬い目上の人を大事にする文化が根強く息づいているため、おじい、おばあが望まないことはNOだし、神さまが拒否しているという案件は、基本的に進まなくなる。ここでは民主主義によるブレーキも働くが、神さまのブレーキも大きな威力を持つ。

 こんな話は迷信と笑う人がいるかもしれないが、人間の共同体だけでは見誤る判断を補完するシステムとして、畏敬の念を抱く神と、その神秘世界を存在せしめている豊かな自然がある。この、神と自然と共同体が三位一体で有機的に繋がっている場所では、住民の大事なものを奪うようなとんでもない事業は簡単に受け入れられない。民俗学を学んだものとして、豊かな伝統文化が息づいている集落に出会った時に私がいつも感心するのは、必ずそこには神と自然と共同体の調和があるということだった。とても抽象的なことを言っているようだが、私はまだ宮古島に生きる人々のその見えない力を期待し、信じている部分がある。


 最後に、三上さんは、このようにまとめる。
 どうぞ、それぞれが考えて下さいと。


 人間の判断など、たかが70、80年の産物だ。しかし「神」という超越した存在に抽象化させて人々が先祖から子孫までスライドさせていく普遍的な価値観というものは、そこに生まれただけで過去の知恵から学び、未来に責任を持つ哲学を教えてくれる。時空を超えて必要な時に立ち現れて私たちの判断を助けるシステムとして機能する。

 戦後手にした、いや本当に掌握できていたのかどうかも今となっては怪しい「民主主義」というものは、たかが70年余りでぐらついている。沖縄の島々で、いまなお地域の規範や救済や歓喜をもたらす存在でありつづけている「神」のほうが、よっぽど確かな存在として機能しているのかもしれないと思うのは、民俗学者のたわごとだろうか。


 以下、三上智恵の沖縄(辺野古・高江)撮影日記第63回の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2017-01-19 10:14 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年1月18日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 米ワシントン州弁護士のローレンス・レペタ氏は、琉球新報の取材に応じ、「山城博治沖縄平和運動センター議長の長期拘束について『国際人権法に反する』と指摘した。」、と対応した。
 まさしく、「山城議長の長期勾留は日本の裁判制度の国際的な評判にまた傷を付けている」。


 2017年1月18日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-山城議長勾留「国際人権法反する」 米弁護士レペタ氏が異議-2017年1月18日 07:30


 琉球新報は、「明治大特任教授で、米ワシントン州弁護士のローレンス・レペタ氏が琉球新報の取材に応じ、名護市辺野古の新基地建設現場と東村高江のヘリパッド建設現場での行為を巡り、逮捕・起訴された山城博治沖縄平和運動センター議長の長期拘束について『国際人権法に反する』と指摘した。」、と報じた。
また、「山城議長の拘束を認めている裁判所に対しても保釈を求めた上で『山城議長の長期勾留は日本の裁判制度の国際的な評判にまた傷を付けている』と述べ、対応を疑問視した。ローレンス氏は情報公開制度を武器に米政府の秘密主義に挑戦する人々を著書などで紹介してきた。そのほか、日本の裁判の傍聴人が法廷でメモを取ることの許可を求めたが認められなかったため、国家賠償法に基づき損害賠償を求めた事件の原告としても著名。(池田哲平)」、と伝えた。


(2)沖縄タイムス-米軍F35、普天間の一時使用も 今月岩国に配備-2017年1月18日 07:35


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「沖縄の第3海兵遠征軍は17日までに、今月中に米軍岩国基地(山口県)に配備する最新鋭ステルス戦闘機F35Bが、『一時的に普天間飛行場を使用することがある』と沖縄タイムスの取材に回答した。海兵隊が運用しているFA18戦闘攻撃機と同程度の頻度で使用するとしている。」
②「沖縄防衛局はF35Bの嘉手納基地への飛来をすでに県や基地周辺市町村に報告している。海兵隊は、県内では嘉手納基地を中心に、普天間や伊江島補助飛行場などの既存施設を使用、周辺の空域や射爆撃場などで訓練するとしている。一方、米海軍は米軍佐世保基地(長崎県)を母港とする強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」を、F35に対応した同型の『ワスプ』に今年秋までに換装する予定。新たに海兵隊の主力戦闘機として就役するF35Bの訓練が激化しそうだ。」
③「海兵隊は同機を運用するアリゾナ州ユマ基地の第121海兵戦闘攻撃飛行隊を岩国基地に移設。1月に第12海兵航空群のFA18の代替として10機、8月に第31海兵遠征部隊のAV8B攻撃機の代替として6機を配備する。F35は短距離離陸垂直着陸が可能で、敵のレーダーに捕捉されにくいステルス機能を持った第5世代戦闘機。空対空の戦闘のほか、空対地の攻撃を担当する。」


(3)琉球新報-海上フェンス作業続く 200人が座り込み 辺野古の新基地建設-2017年1月18日 11:34


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は18日午前、支柱のついた新たなフロート(浮具)を米軍キャンプ・シュワブ沖に運び、ロープで結んで海上フェンスにする作業を続けている。シュワブ沿岸の砂浜では新たなフロートを並べ直す作業をしており、19日以降も沖に浮かべる作業が継続されるとみられる。天候が悪く波も高いため、カヌーや抗議船は出ていない。一方、シュワブの工事車両用ゲート前には朝から雨が降り続く中、新基地建設に反対する市民ら約200人が雨具を身に付け、座り込んでいる。17日には昨年末に工事が再開されてから初めて、工事車両用ゲートから機材が搬入されたため、18日も警戒が続いている。午前10時現在、資機材の搬入は行われていない。」、と報じた。


(4)琉球新報-制限区域「立ち入りせぬよう」 防衛局、報道各社に申し入れ-2017年1月18日 15:02


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設に関し、沖縄防衛局は18日午後、沖縄県政記者クラブ加盟14社に対し、臨時制限区域に立ち入った場合の刑事特別法の罰則規定『一年以下の懲役または2千円以下の罰金もしくは科料に処される』を示した上で『許可なく立ち入ることのないようお願いする』と申し入れる報道室長名の文書をファクシミリで送った。」、と報じた。
 また、「沖縄防衛局報道室によると、米軍キャンプ・シュワブ沖の臨時制限区域に関し、報道社に申し入れするのは初めて。申し入れた理由として『報道関係者と思われる人が乗船した船舶が臨時制限区域に許可なく立ち入り、当局の警備業務受注者の警告に従わない事案が発生した』ためとしている。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2017-01-18 17:18 | 沖縄から | Comments(0)

メリル・ストリープの「決意」。

 メリル・ストリープのスピーチをTVで見ました。。
2017年1月8日に開催された第74回ゴールデングローブ賞授与式で、セシル・B・デミル賞を受賞した際のものでした。
「決意」をそこに見ました。
 メリル・ストリープに共闘の拍手を。


 クーリエ・ジャポン-が緊急全訳を掲載してくれた。
メリル・ストリープは、こんなふうに話しています。


 役者の唯一の仕事は、自分たちと異なる人々の人生に入っていくことで、それはどんな感じなのかを見ている人に感じさせることです。まさにその役目を果たした力強い演技が、この1年もいっぱい、いっぱい、いっぱいありました。息をのむ、心のこもった仕事ばかりです。

 しかし、この1年の間に、仰天させられた一つの演技がありました。私の心にはその「釣り針」が深く刺さったままです。

 それがいい演技だったからではありません。いいところなど何ひとつありませんでした。なのに、それは効果的で、果たすべき役目を果たしました。想定された観衆を笑わせ、歯をむき出しにさせたのです。

 我が国で最も尊敬される座に就こうとするその人物が、障害をもつリポーターの真似をした瞬間のことです。

 特権、権力、抵抗する能力において彼がはるかに勝っている相手に対してです。心打ち砕かれる思いがしました。

 その光景がまだ頭から離れません。映画ではなくて、現実の話だからです。

 このような他者を侮辱する衝動が、公的な舞台に立つ者、権力者によって演じられるならば、人々の生活に浸透することになり、他の人も同じことをしていいということになってしまいます。

 軽蔑は軽蔑を招きます。暴力は暴力を呼びます。力ある者が他の人をいじめるためにその立場を利用するとき、私たちはみな負けるのです。

 さあ、やりたければやればいいでしょう。


 メリル・ストリープは、このように続けます。


 さて、この話が記者につながります。私たちには信念をもった記者が必要です。ペンの力を保ち、どんな暴虐に対しても叱責を怠らない記者たちが──。建国の父祖たちが報道の自由を憲法に制定したゆえんです。

 そういうわけで、裕福で有名な「ハリウッド外国人映画記者協会」とわが映画界の皆さん、私と一緒に、「ジャーナリスト保護委員会(Committee to Protect Journalists)」の支援をお願いします。ジャーナリストたちが前進することが私たちにとって必要だし、彼らが真実を保護するために私たちが必要だからです。


 メリル・ストリープは、最後に、自らの「決意」をこのように表明します。


 最後に一言。あるとき、私はセットの周りで、何かについてグチをこぼしていました──ほら、私たちは夕飯も食べずに長時間働いたりなんだりするでしょう。そのときに、トミー・リー・ジョーンズが私に言ったんです。

 「役者でいられるって、すごい特権じゃない?」

 ええ、そうです。私たちはその特権と、共感する役目の責任をお互い確かめ合わなければなりません。私たちはみんな、ハリウッドが今夜ここで栄誉を授ける仕事に誇りをもつべきです。

 私の友人で、親愛なる去りしレイア姫が、かつて言ったように、砕かれたハートをもってアートにしましょう。


 以下、クーリエ・ジャポンの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2017-01-18 08:18 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年1月16・17日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 宜野湾市の夜間騒音、異音について、琉球新報は、「宜野湾市には12~14日にかけて『いつもと違う音がする。墜落しないか』『気が狂いそうだ。午後8時に帰宅し、10時近くまで何十回も壊れているような音を立てて飛んでいた』などの苦情が市に33件寄せられた。市によると2016年度、苦情が過去最高だった15度の363件を上回る勢いで増加しており、16日までに348件寄せられている。」、と伝える。
 安倍晋三政権は、「気が狂いそうだ」、との声にどのように対応するのか。


 2017年1月16・17日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-「山城議長ら釈放を」 那覇地裁前集会 2万9000筆署名提出へ-2017年1月17日 05:00


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「基地の沖縄県内移設に反対する県民会議は16日、名護市辺野古の新基地建設に対する抗議行動を巡って逮捕・起訴され、約3カ月間勾留されている沖縄平和運動センターの山城博治議長らの早期釈放を求め、那覇地裁前で緊急抗議行動を行った。400人(主催者発表)が参加し『仲間を返せ』とシュプレヒコールを上げた。山城議長らの早期釈放を求める署名は同日午前までに2万9千筆以上が集まっており、17日に山内徳信元参院議員らが同地裁に提出する予定。」
②「那覇地裁は門扉を閉じ、職員を配置して抗議行動に対応した。抗議集会に集まった人々は、門の外から『不当勾留を許すな』と声を上げた。那覇地裁裏の那覇拘置支所に勾留されている山城議長らに向け『元気でいてください。みんなが付いている』と激励メッセージも送った。」
③「基地の県内移設に反対する県民会議の高里鈴代共同代表は『沖縄の声を圧殺し、行動を止めようとすること以外、拘束の理由は見い出せない。人権無視の不当拘束を許してはいけない』と抗議した。」


(2)琉球新報-宜野湾市長が防衛局に抗議 夜間騒音、異音「容認できない」-2017年1月17日 12:55


 琉球新報は、「宜野湾市の佐喜真淳市長が17日午前10時、沖縄防衛局に中嶋浩一郎局長を訪ね、米軍普天間飛行場での米軍機の夜間騒音や12日夜に発生したCH53大型ヘリの異常音について抗議し『市民の不安を増すような運用は容認できない』と訴えた。中嶋局長は謝罪した上で『夜間の飛行禁止は常に話しているが、なかなかゼロにならない。引き続きやっていくしかない。真摯(しんし)に対応する』と話した。」、と報じた。
 また、「宜野湾市には12~14日にかけて『いつもと違う音がする。墜落しないか』『気が狂いそうだ。午後8時に帰宅し、10時近くまで何十回も壊れているような音を立てて飛んでいた』などの苦情が市に33件寄せられた。市によると2016年度、苦情が過去最高だった15度の363件を上回る勢いで増加しており、16日までに348件寄せられている。」、と報じた。【琉球新報電子版】


(3)琉球新報-稲田氏「効果は軍人にも及ぶ」 軍属範囲明確で言及-2017年1月17日 12:38


 琉球新報は、「稲田朋美防衛相は17日午前の会見で、米軍属女性暴行殺人事件を受けた日米地位協定の対象軍属の範囲を明確化する『補足協定』が締結されたことに関し『効果は軍人にも及ぶと思う』と持論を展開した。」、と報じた。
 また、「今回の補足協定はこれまであいまいだった軍属の対象を明示しただけで、地位協定で守られている軍人や引き続き軍属の身分にある米軍関係者に関する裁判権などの取り扱いに変更はない。稲田氏は『軍属の範囲を明確にする。さらにそれには法的拘束力を持たせる。そして軍属に対する管理監督を一層強化する』ことが、軍人に対しても効果があると主張した。」、と報じた。
 さらに、「陸自配備の是非などが争点となっている22日投開票の宮古島市長選に関しては『選挙いかんによって変更があることではない』と述べ、選挙結果が配備計画に及ぼす影響を否定し、計画を推進する考えを示した。国防が争点となることには『国益全体、日本の安全保障に関わる重大な問題である。同時に地元の人々の生活への影響もしっかりと考えなければならない両面がある』と指摘した。」、と伝えた。


(4)琉球新報-政府自賛も犯罪抑止に遠く 「軍属」範囲の明確化、沖縄は地位協定の改定要求-2017年1月17日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「日米両政府が日米地位協定で身分が保障される軍属の範囲を明確化する『補足協定』を結んだ。沖縄県で昨年発生した米軍属女性暴行殺人事件を受けたもので、日本政府は犯罪抑止を強調する。ただ事件の被告と同様の人物が対象から外れるのか、軍属の人数が減るのかも分かっていない。なぜ犯罪抑止につながるのかも不明で、“有名無実”の『補足協定』となっている。」
②「地位協定には軍属の扱いについて詳細な規定が無かったが、補足協定に基づく日米合同委員会の合意で取り扱いが明確化されたため、日本政府は『画期的』だと自賛する。合意文書は軍属を8分類し、特に事件の被告と同様の契約業者が対象となる資格があるかの見直しを定期的に行うなど、その後の対応や軍属を離れた場合の適法な滞在資格への移行手続きの必要性も指摘した。一見、対象を細かく規定することで軍属を削減することが目標と思われるが、政府は『減らすのを目的にしていない』(外務省関係者)と明言する。契約業者の規定も詳細にもかかわらず、事件の被告がどういう理由で軍属から外れるか明らかにせず『(米軍から)軍属にならないと説明されている』と述べるだけだ。」
③「そもそも県などは地位協定が米軍の特権的地位を定めているとして、抜本的改定を求めている。事件の被告は遺体を運んだスーツケースを基地内に捨てたと供述したが、日本の警察は基地に立ち入り捜査できず、スーツケースは見つかっていない。軍属から外れたとしても基地従業員に変わりなければ基地内で証拠隠滅することは可能だ。除外されない軍属や軍人の特権的な地位も変わらず、犯罪の抑止効果があるのか疑問符が付く。(仲村良太)」


(5)琉球新報-「全基地撤去を」 100人がF35配備・飛来、降下訓練に抗議-2017年1月17日 14:06


 琉球新報は、「】嘉手納爆音訴訟原告団と沖縄平和運動センター、中部地区労働組合協議会は17日午後、嘉手納町屋良の米軍嘉手納基地が見渡せる通称『安保の見える丘」で、F35戦闘機の配備・飛来とパラシュート降下訓練に反対する集会を開いた。100人以上が集まり『嘉手納基地を含む全基地を撤去せよ』などと抗議の声を上げた。」、と報じた。
 また、「第3次嘉手納爆音訴訟の新川秀清団長は『危険な降下訓練や外来機の飛来は許せない。降下訓練を通知しなかったことは命に関わることで【人的ミス】では済まされない』と批判した。中部地区労の新垣昭洋事務局長は『中部地域では米軍属女性殺害事件、ハリアーやオスプレイの墜落、降下訓練など事件・事故が相次いでいる。米軍を許しているのは抗議しない日本政府だ』と指摘した。」、と報じた。
 さらに、「集会中も抗議の声を遮るように、米軍普天間飛行場の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ2機が飛行した。参加者は『オスプレイの全面撤去を』と拳を上げて訴えた。」、と伝えた。


(6)沖縄タイムス-米軍艦、海に汚水15万リットル捨てる 2015年 トイレ・医務室からか-2017年1月17日 07:28


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「米海軍の強襲揚陸艦『ボノム・リシャール』が2015年1月27日、米軍ホワイトビーチ(うるま市)に接岸中、15万1416リットルの雑排水を海に投棄していたことが分かった。雑排水は艦内のトイレや医務施設、衣服クリーニング施設から出た可能性がある。投棄は日本側には通報されておらず、本紙が情報公開請求を通じて入手した米軍の内部文書で判明した。」
②「米海軍の取り決めでは、陸地の近くにいる艦船の雑排水は陸地に移して処理することになっている。しかし、5日前の1月22日、うるま市の津堅島沖で海軍の大型貨物船の座礁事故が発生。ボノム・リシャールの雑排水を運ぶはずだったはしけ船は、事故対応のため事故現場に派遣されていた。内部文書は周辺海域への影響について『最小限』としたが、海洋環境の研究者で、NPO法人『ピースデポ』副代表の湯浅一郎氏は『根拠が不明。米軍は雑排水の成分を分析して公表すべきだ』と指摘する。特に、医務施設からの排水に懸念を示した。」
③「米海軍の定義では、雑排水には甲板排水、トイレ、シャワー、食器洗い場、衣服クリーニング、医務施設からの水が含まれる。産業廃棄物、感染性の医療廃棄物は含まれないという。投棄された約15万リットルは、一般的なドラム缶(200リットル)の約750本分に相当する。」
④「在日米軍の環境問題への取り組み指針『日本環境管理基準(JEGS)』は、艦船や航空機からの雑排水投棄や流出事故は日本側への通報の対象になっていない。」
⑤「ボノム・リシャールは佐世保基地(長崎県)を母港とし、普天間飛行場のオスプレイなどを運用する能力を持つ。全長は257メートルで、辺野古新基地に新設される全長271メートルの護岸にも接岸可能とされる。日本の法律では、船舶から投棄されるふん尿や汚水は、『海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(海防法)』で原則禁止されているが、最大搭載人員100人以下の船舶は厳格な規制がなく、海域投棄が可能。産業廃棄物などの有害物質についても原則、海洋投棄は禁止されている。」


(7)沖縄タイムス-公安調査庁、沖縄の研究者を「琉球独立勢力」と指摘 又吉氏ら反論「偏見生む」-2017年1月17日 07:48


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「国内外の過激派や周辺諸国の情勢を分析する法務省の外局『公安調査庁』が今年1月付で発刊した報告書で、中国の大学との学術交流に参加した県内の研究者を『琉球独立勢力』などと指摘し、中国側が交流を進める中で、『沖縄で、中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいるとみられる』と分析していることが16日、分かった。」
②「同庁の報告書『2017年 内外情勢の回顧と展望』が中国の動向を分析した記述では、【中国国内では、『琉球帰属未定論】に関心を持つ大学やシンクタンクが中心となって、【琉球独立】を標ぼうする我が国の団体関係者などとの学術交流を進め、関係を深めている』とした。」
③「北京大で昨年5月、『第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議』があり、中国、台湾、沖縄、日本本土の研究者らが参加。東アジアの近現代史や沖縄の基地問題、民俗学など幅広いテーマで意見交換した。報告書は今後、同庁のホームページ上で公開される予定。
④「『日本の公安警察』などの著書があるジャーナリストの青木理さんの話:公安調査庁は警察の『公安警察』と違う組織だが、情報の質が極めて低い。ネット右翼のような沖縄分析を報告書に載せるセンスにはあきれ返る。本業は暴力破壊活動をする団体の調査・処分請求だが、オウム事件でさえ、規制申請が棄却され、組織のたがが外れた。不要論も多く、今は『国内外は危険が多い』と叫び、沖縄や中国を危険視することで組織延命と予算獲得を狙っているのだろう。」
⑤「昨年5月に中国・北京であった学術会議に参加した県内の研究者は、公安調査庁のリポートの内容に絶句し、沖縄への偏見を生み出しかねないと反論した。学術会議には研究者ら12人が参加した。取りまとめた沖縄大の又吉盛清客員教授は『沖縄への偏見で、とんでもない話だ』と憤る。日中交流は学術や経済など、さまざまな分野で行われていると指摘。『沖縄だけ取り上げ、このような浅い分析をするのは信じられない。沖縄戦、米軍統治下の体験を踏まえ、東アジアの平和を求めて交流している気持ちが全く受け止められず、踏みにじられている』と残念がった。」
⑥「沖縄国際大の友知政樹教授は『琉球民族独立総合研究学会』の共同代表の一人。『国は沖縄の声を聞かない。中国のためではなく、沖縄のために自己決定権を研究している』と反論し、『沖縄の声を中国脅威論に結び付け、分断を望んでいるのは国の方ではないか』と皮肉った。」
⑥「八重山郷土史家の大田静男さんは『学術交流を国家権力が推論で否定するのは、憲法で認められた学問の自由も否定するもので許し難い』と批判。『私たちはどこにも利用されていない。学問の積み重ねに基づいた交流を、中国の手先のように言うのはネット上のヘイトスピーチ(憎悪表現)と変わらない』と指摘した。」


(8)沖縄タイムス-機動隊員60人が市民を強制排除 辺野古新基地、工事再開後で初-2017年1月17日 12:10


 沖縄タイムスは、「名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの工事車両専用ゲート前で17日午前8時40分ごろ、新基地建設に反対して座り込む市民約30人が機動隊員60人ほどに強制排除された。市民らによると、4日に海上工事が再開して以来、強制排除は初めて。同50分ごろまでに、クレーン車2台とユニック車2台が基地内に入った。市民らは『新基地では県民を守れない』など声を上げた。また海上の臨時制限区域内では、沖縄防衛局の作業員がフロートの支柱にロープを通す作業が確認された。市民らは船4隻で警戒に当たり『作業をやめて』などと抗議した。」、と報じた。


(9)沖縄タイムス-【解説】米軍属補足協定:地位協定の問題を矮小化、根拠なき弥縫策-2017年1月17日 11:40


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「日米両政府は『焦点』だった米軍属を明確化し、補足協定に署名した。管理監督が強化されることで、軍属による暴行殺人事件の再発防止につながることを期待するという。米軍基地を抱える14都道県が求めたのは日米地位協定改定の着手だった。未来ある女性の命が奪われても、問題点を軍属だけに矮小化した両政府が出したのは抑止策ではなく、効果が上がる根拠がない弥縫策だった。」
②「昨年4月に事件が発生し、すぐさま日米両政府が問題視したのは事件を起こした男が軍属としての地位を有していたことだった。6月の防衛相会談で軍属の見直しが決まり、7月には共同発表。署名まで約9カ月とスピーディーに進んだのは、伊勢志摩サミット前の首脳会談で再発防止を確認した米国の政権から交渉相手が変わる前に形作りたかったからだ。日米合同委員会の中に『疑問があれば日本が提起する枠組み』として軍属に関する作業部会が設置され『透明性が向上』する。あくまでも不明瞭な現状と比較してであり、国民にとっても明快かはまた別だ。」
③「事件を犯した男が軍属とされた経緯や見直し後の軍属の人数の増減は明らかにされなかった。『数を減らすことを目的でやっているわけではない』というのはもっともだ。軍属だけでなく、管理が厳しいはずの軍人も事件事故を起こす。だからこそ、基地所在自治体は、起訴前の身柄引き渡しや米軍への国内法の適用など抜本改定を訴える。」
④「補足協定には『軍属に係る扱いについての協力を推進することが(日米安保)条約の目的達成と同盟の強化に一層寄与すると確信する』とされた。国や地域の平和と安定は重要だ。その大前提として国が守り責任を持つのは、国民の命や財産など安心できる生活ではないだろうか。」(東京報道部・上地一姫)
⑤「合同委でまた「逃げ道」 前泊博盛沖国大教授:「日米地位協定上の軍属の範囲の見直しは犯罪抑止には何ら効果はない。最大の問題点は、米軍人・軍属が起こした犯罪は公務中であれば第1次裁判権が米側にあるとする地位協定17条。あたかも、軍属の身分を限定すれば事件・事故が防げるかのような言い方をするが、そもそもピントがずれた誤った対応だ。今回の見直しで軍属としての従業員(コントラクター)の適格基準に高等教育を通じた技能取得など4項目を挙げているが、5項目は『その他合同委員会で認めた場合』とした。つまり、合同委で認めれば誰でも適格となる。日米の取り決めの特徴である『逃げ道』がまたしてもつくられた。さらに、認定した従業員の名前や雇用主、適格性基準などを通報するとしているが、何千人もの雇用員の適格性を日本が審査する訳ではない。オスプレイの飛行再開でもそうだったように結局米軍の決定事項を追認するだけだ。第1次裁判権を議論せず、軍属の身分だけの見直しは、地位協定の抜本改定を求める声や論点を交わすための小手先のずるい策だ。日本政府は地位協定を、日米安保を守るための『防波堤』として利用している。だからこそ、地位協定の本質的な問題点に触らない。
 トランプ新政権誕生後、日米安保などの見直しを求めてくる可能性はあるが、日本は要求をのむことしかできない。そのとき、日本の無策ぶりが露呈するだろう。(日米安全保障論)」
⑥「『抜本的見直し求める』 翁長知事、事件事故減少を疑問視:「日米両政府が米軍属に関する補足協定に締結したことに関し、翁長雄志知事は16日、『事件・事故の減少に直接つながるかは明らかでない』とし、日米地位協定の抜本的な見直しを求めるコメントを発表した。
 知事は、米軍基地から派生する諸問題の解決には『米側に裁量を委ねる地位協定の運用改善だけでは不十分だ』と指摘。今後も全国知事会や県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)などで協定見直しを求める考えを示した。米軍が公表していない軍属の総数などの県への提供も求めた。」
⑦「県幹部は、今回の見直しで米政府が軍属として認定した作業員の名前や雇用主などを日本側へ報告するとしていることに、『本当に沖縄へ正確な情報が下りてくるのか』と疑問視する。その上で、『地位協定の適用外を理由に米軍が教育や研修を放棄すれば、沖縄での事故や犯罪は一層増える恐れがある』と述べ、事件・事故抑止に向け、軍人、軍属に限定せず米軍関係者全体に責任を持つよう求めた。」



by asyagi-df-2014 | 2017-01-17 17:45 | 沖縄から | Comments(0)

「少女像」の設置と撤去の問題を考える。(2)-各紙の社説から-

 朝日新聞は2017年1月6日、釜山市の「少女像」の設置についての日本政府の対応について、「韓国・釜山の日本領事館前に設置された慰安婦像をめぐり、菅義偉官房長官は1月6日午前の記者会見で対抗措置を発表した。菅官房長官は、慰安婦問題を象徴する『少女像』の設置について、『日韓関係に好ましくない影響を与える』と発言。外交関係に関するウィーン条約に規定する領事機関の威厳等を侵害するもので、『極めて遺憾』と述べ、日本政府の立場を明確に示す当面の措置として下記4点を実施する旨を発表した。
・在釜山総領事館職員による、釜山関連行事への参加見合わせ、・長嶺駐韓国大使および森本在釜山総領事の一時帰国、・日韓通貨スワップ取り決めについての協議の中断、・日韓ハイレベル経済協議の延期」、と安倍晋三政権の対応について報じた。
 このことについて、2017年1月6日に読売新聞は「少女像釜山設置 日韓合意を損なう不法行為だ」と社説で触れた。また、2017年1月7日に、毎日新聞は「釜山の少女像 合意の崩壊を危惧する」、東京新聞は「日韓関係『逆風』 改善の流れを止めるな」、朝日新聞は「韓国との外交 性急な対抗より熟考を」、とその社説で主張した。
各紙の主張の主旨は次のものである。


Ⅰ.主張
(毎日新聞)
(1)日本政府は「領事関係に関するウィーン条約に規定する領事機関の威厳等を侵害する」として撤去を求めている。日韓合意では、ソウルの日本大使館前に建つ少女像について、韓国政府が日本政府の抱く「懸念を認知」し、「適切に解決されるよう努力する」とうたわれた。この問題で進展が見られない中での新たな少女像だ。民間団体による私有地への設置なら政府にできることは限られるが、外交公館前の公道である。明らかに合意の精神に反している。
(2)日本として強い不快感を示す外交的措置を取ることは必要だろう。ただ、今回の事態で互いの国民感情を悪化させ、合意そのものを揺るがせてはいけない。
(3)残念なのは、合意への韓国社会の理解が深まっていないように見受けられることだ。
だが実際には、合意に基づいて設立された財団による元慰安婦らへの現金支給事業は順調に進んでいる。合意時点で生存していた元慰安婦の7割超が事業を受け入れた。韓国ではほとんど報じられていないが、当事者の意向はもっと重視されるべきだ。
(東京新聞)
(1)新年早々、日韓関係がまた険しくなってきた。慰安婦問題での合意について、韓国で否定する動きが広がり、日本側は対抗措置を取った。一年かけて築いた改善の流れを止めてはならない。
(2)朴槿恵大統領は政権内の不正が発覚して国会で弾劾訴追され、職務停止中だ。時を合わせるように、国内では朴政権が進めた日韓合意を否定する動きが広がる。黄教安首相が大統領代行を務めるが、釜山での像設置は自治体が判断する事案だとして対応策を示せなかった。外交は機能停止状態だと受け止めざるを得ない。
(3)韓国の混迷は政治腐敗をただし、より民主的な体制を生み出すプロセスと言えるが、外交を混乱させぬよう国内政治とは一線を画すべきだ。日本側は繰り返される反日感情など、韓国情勢を注意深く見守る必要がある。
(朝日新聞)
(1)少女像問題の改善へ向けて、韓国政府は速やかに有効な対応策に着手すべきである。日本政府が善処を求める意思表示をするのも当然だ。しかし、ここまで性急で広範な対抗措置に走るのは冷静さを欠いている。過剰な反発はむしろ関係悪化の悪循環を招くだろう。日本政府はもっと適切な外交措置を熟考すべきである。
(2)日韓政府間ではこれまでも、歴史認識問題のために関係全体が滞る事態に陥った。
だからこそ、歴史などの政治の問題と、経済や文化など他の分野の協力とは切り離して考えるべきだ――。そう訴えてきたのは、当の日本政府である。少女像問題をきっかけに経済協議や人的交流も凍結するというのでは、自らの主張と行動が反対になる。今後の対韓交渉で説得力を失うものだ。日韓関係が再び、暗いトンネルに入りかねない局面である。ここは両政府が大局観に立ち、隣国関係を対立の繰り返しではなく、互恵へと深化させる価値を国内外に説くべき時だ。
(3)日本政府と同様に、韓国政府側の責任は重い。一昨年の日韓合意では、ソウルの日本大使館前にある少女像の扱いについて、韓国政府が「適切に解決されるよう努力する」ことが盛り込まれた。日本政府は、少女像が在外公館の安寧や威厳の維持を定めたウィーン条約に抵触するとして撤去を求めてきた。努力目標とはいえ、韓国側は合意の文言を尊重しなくてはならない。
(4)日韓合意は、元慰安婦らの心の傷をいかに癒やせるかを双方が考え、知恵を出し合った結果であり、いまの両政府の関係を発展させる出発点でもある。この合意を侵食するような行動は双方が慎むべきだ。両政府は合意の精神を着実に実践し、両国民の理解を深めるよう心を砕いてもらいたい。
(読売新聞)
(1)韓国政治が混迷する中で、対日関係を損なう不法行為が罷まかり通った。憂慮すべき事態である。韓国政府が、地方自治体の判断する事案だとして、自らの立場を明確にしないのは疑問だ。
(2)合意では、韓国が元慰安婦支援の財団を作り、日本が10億円を拠出する。問題の「最終的かつ不可逆的な解決」と確認する。日本が撤去を求めるソウルの日本大使館前の少女像を巡っては、韓国が適切な解決への努力を約束した。にもかかわらず、釜山で新たな像が設置されたのは遺憾だ。
(3)政局の主導権を握った野党陣営から大統領選出馬を目指す有力者らが、合意の再交渉を主張しているのは、看過できない。釜山の像設置も公然と支持した。反日感情を煽あおっているのではないか。
(4)日韓関係は、合意を契機に改善に向かいつつあった。新たな少女像の設置が、その動きに冷や水を浴びせた。日本国民の嫌韓感情が再び高まるのは避けられまい。日本との歴史問題を名分にすれば、国内法、国際法や他国との取り決めを順守しなくても許容される。そうした韓国の独善的な体質は、対外的なイメージを低下させるだけである。


Ⅱ.事実の確認
(毎日新聞)
(1)韓国では、朴槿恵(パククネ)大統領に対する弾劾審判の結果によっては今年前半にも大統領選が行われる。主要候補と取りざたされる政治家は軒並み合意に否定的だ。昨年末の世論調査でも「破棄すべきだ」という意見が6割近かった。
(2)だが実際には、合意に基づいて設立された財団による元慰安婦らへの現金支給事業は順調に進んでいる。合意時点で生存していた元慰安婦の7割超が事業を受け入れた。韓国ではほとんど報じられていないが、当事者の意向はもっと重視されるべきだ。
(東京新聞)
 慰安婦問題では、一五年末時点での生存者四十六人のうち、七割余の三十四人が日本側の拠出金を受け取る意向を示すなど、合意で決まった救済事業は着実に進んでいる。この事実を韓国側はもっと重く受け止めるよう望む。


 この問題についての深刻な両国の相違は、「「日韓合意」について、「日韓合意は、元慰安婦らの心の傷をいかに癒やせるかを双方が考え、知恵を出し合った結果であり、いまの両政府の関係を発展させる出発点でもある。」(朝日新聞)、と果たして捉えることができるかという判断の違いにある。
 日本側の毎日新聞、東京新聞、読売新聞、朝日新聞のどこもが、多少のニュアンスの違いはあっても、「日韓合意」を受け入れた立場で、このことを捉えている。
 しかし、例えば、韓国のハンギョレは2017年1月7日、「日本政府が報復措置の根拠にしている一昨年末の合意は、正義の原則を損ねたものであるだけに根本的に誤っている。」、という立場に立つ。
 また、ハンギョレは、「日韓合意」や今回の日本政府の対応について、次のように指摘する。


「日本政府は問題の根本原因が合意自体にあることを直視しなければならない。合意当時、日本政府は元慰安婦被害者に対する法的責任認定をはじめとして絶対的に必要な措置をほとんど取らなかった。そのうえ元慰安婦支援として10億円を出すことでこの問題が不可逆的・最終的に解決されたと宣言した。」
「少女像の設置が日本の責任回避と歴史無視に対する韓国市民の抗議であることを日本政府が分からないはずはないだろう。それなのに根本問題には目を瞑り少女像を撤去しろと言って超強硬報復行為をするのは懺悔と正義を求める声を力で押さえ付けようとすることに他ならない。」


 つまり、この大きな隔たりは、「日韓合意」をどう受け取るかにある。
確かに、私自身は、2015年末の「日韓合意」が出されたすぐの時には、高齢化した当事者のために緊急な何らかの救済策が必要であるとの判断に立った。
 しかし、この「日韓合意」には、ハンギョレが指摘する問題が残されたままであったし、韓国以外の被害国に補償の道が開かれることもなかった。
 だとするなら、「加害国の法曹人が先に頭を下げて、粘り強く待ち続けたからこそ、韓国のハンセン病患者たちが法と向き合うことができた」(ハンギョレ2016年10月26日)、という視点の中でしか、やはり、侵略された側の解決策には繋がらない。
 逆に、新たな「日韓合意」を、もう一度創り出す機会にしなれねばならないのではないか。



by asyagi-df-2014 | 2017-01-17 08:13 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

プリントパック社は、「ブラック企業大賞2016」業界賞受賞を理由に、労働組合活動に圧力。

 ブラック企業大賞実行委員会(以下、実行委員会とする。)は2017年1月13日、「プリントパック社の『ブラック企業大賞2016』業界賞受賞を理由に労働組合活動に圧力をかけていることに対する声明」、を発表した。
 「声明」は、ブラック企業株式会社プリントパックの不当な行為を次のように告発する。


「『ブラック企業大賞2016』業界賞を受賞した株式会社プリントパックが、2017年1月11日付で、『ブラック企業大賞2016』授賞式に出席した従業員(労働組合委員長)に対して、『ブラック企業大賞2016』の選考にはたらきかけていたかのような嫌疑をかけ『呼び出し状』を出し、さらには懲戒処分をほのめかすという驚くべき事態が生じている。」


 このことについて、実行委員会は次のように反論している。


(1)ブラック企業大賞は、ブラック企業の被害をなくすために、特別に人権侵害的な労働環境をつくっている企業についてノミネート・表彰をおこなってきた。ノミネート企業や受賞企業の選考は、ブラック企業大賞実行委員会が責任をもっておこなっている。
(2)その選考理由については、ウェブサイトで公表しているとおりである。また、実行委員会は、弁護士、労働運動関係者、ジャーナリスト、研究者などによって構成され、構成メンバーもウェブサイトで公開している。
(3)したがって、たとえ何者かの働きかけを受けたとしても、それを理由として当該企業をノミネートすることなどあり得ないことを、ここに宣言しておく。


 また、実行委員会は、株式会社プリントパックに向けてこのように宣言する。


(1)今回の株式会社プリントパックの「呼び出し状」でかけられている嫌疑は、事実とまったく異なることであり、邪推も甚だしく、実行委員一同呆れ果てているところである。と、同時に、こうした行為が、むしろ自らが「ブラック企業」であることを証明することになっている点に、どうして気づかないのか、不思議に感じているところでもある。
(2)株式会社プリントパックは、「ブラック企業大賞2016」において「業界賞」を受賞されたが、「ブラック企業大賞2017」の「大賞」を狙っておられるのだろうか?
(3)さまざまな労働条件について、労働組合と使用者とが話し合うことは、まともな企業であれば常識である。当実行委員会としては、株式会社プリントパックが邪推に基づき労働組合役員に圧力をかけることなどなく、一日も早く正常な労使関係を構築されることを願うものである。


 そうなのだ、実は、日本の働く者を取り囲む状況は、「さまざまな労働条件について、労働組合と使用者とが話し合うことは、まともな企業であれば常識である。」、ということがすでに失われているのだ。




by asyagi-df-2014 | 2017-01-16 18:07 | 書くことから-労働 | Comments(0)

労働問題-福井労働局敦賀労働基準監督署は、関西電力課長過労自殺に対して、関電社長を出頭させ、指導票を公布。

 朝日新聞は2017年1月17日、標題について次のように報じた。


①「運転開始40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の運転延長を巡り、原子力規制委員会による審査に対応していた関電課長の40代男性が昨年4月に自殺した問題で、福井労働局敦賀労働基準監督署が関電の岩根茂樹社長を出頭させ、管理職を含む全社員の労働時間管理の徹底を求める指導票を交付していたことが分かった。」
②「関係者によると、今月6日に福井労働局への出頭要請があり、同日中に岩根社長が同局に出向き、指導票を直接受け取った。指導票では、全社員の労働時間の適正な把握や長時間労働者に対する産業医による面談の確実な実施などを求めているという。過労死問題に詳しい森岡孝二・関西大名誉教授は『業界全体に指導するのではなく、特定の企業のトップを呼び出して指示するのは非常に珍しい』としている。自殺した課長は管理職に適用される『管理監督者』に該当するとされ、労働基準法による労働時間の規制から外れていた。管理監督者についても会社側は健康状態を管理し、過重労働とならないよう努めなければならないが、労務管理はおろそかになりがちだとの指摘がある。」
③「高浜1、2号機は昨年7月7日までに原子力規制委の審査手続きを終えなければ廃炉になる可能性が高かった。課長は工事計画認可申請を担当し、規制委への説明や対応にあたっていた。昨年4月に出張先だった東京都内のホテルで自殺しているのが見つかり、その後、敦賀労基署が労災を認定している。関電広報室は、課長の自殺については『プライバシーの問題もあるので回答を控えている』とし、労基署の指導については『真摯に受け止め、引き続き適正な労働時間の管理に努める』としている。」


 このことは、ただ単に、関西電力の企業体質として把握するのではなく、日本の働く者の環境が壊されている実態そのものであると、理解する必要がある。




by asyagi-df-2014 | 2017-01-16 11:47 | 書くことから-労働 | Comments(0)

「少女像」の設置と撤去の問題を考える。

 朝日新聞は2017年1月6日、釜山市の「少女像」の設置についての日本政府の対応について、「韓国・釜山の日本領事館前に設置された慰安婦像をめぐり、菅義偉官房長官は1月6日午前の記者会見で対抗措置を発表した。菅官房長官は、慰安婦問題を象徴する『少女像』の設置について、『日韓関係に好ましくない影響を与える』と発言。外交関係に関するウィーン条約に規定する領事機関の威厳等を侵害するもので、『極めて遺憾』と述べ、日本政府の立場を明確に示す当面の措置として下記4点を実施する旨を発表した。
・在釜山総領事館職員による、釜山関連行事への参加見合わせ、・長嶺駐韓国大使および森本在釜山総領事の一時帰国、・日韓通貨スワップ取り決めについての協議の中断、・日韓ハイレベル経済協議の延期」、と安倍晋三政権の対応について報じた。
 一方、ハンギョレは2017年1月7日、その社説で、「市民の『少女像』に報復した日本の居直り」、と反論した。
ハンギョレの主張の主旨は次のものである。


Ⅰ.主張
(1)日本の今回の措置は不適切であることを越えて、居直りに近い。
(2)日本政府は問題の根本原因が合意自体にあることを直視しなければならない。
(3)日本政府が報復措置の根拠にしている一昨年末の合意は、正義の原則を損ねたものであるだけに根本的に誤っている。日本は報復措置を直ちに止めるのが当り前である。おりしも韓国の裁判所は合意に関連した交渉文書を公開せよとの判決を下した。政府は今からでも合意内容を全て明らかにし、国民の意思に沿った選択をせねばならない。


Ⅱ.経過の問題
(1)釜山に設置された少女像はろうそく集会の市民たちが一昨年末の慰安婦問題合意1周年を迎えて自発的に立てたものだ。民間次元で行われたことに反発して大使を本国に召還し、経済協力活動を中断する措置までしたことは理解し難い。
(2)日本のこうした強硬措置は、韓国で早期大統領選挙の可能性が高まるにつれ次の政権で合意の再協議の動きが起きることに備えてあらかじめ釘を刺そうとする計算に基づいていると見られる。


Ⅲ.合意自体の問題


(1)合意当時、日本政府は元慰安婦被害者に対する法的責任認定をはじめとして絶対的に必要な措置をほとんど取らなかった。
(2)そのうえ元慰安婦支援として10億円を出すことでこの問題が不可逆的・最終的に解決されたと宣言した。少女像の設置が日本の責任回避と歴史無視に対する韓国市民の抗議であることを日本政府が分からないはずはないだろう。それなのに根本問題には目を瞑り少女像を撤去しろと言って超強硬報復行為をするのは懺悔と正義を求める声を力で押さえ付けようとすることに他ならない。
(3)日本に強硬措置の糸口を与えてしまった韓国政府の無責任かつ外交力欠落も指摘せざるをえない。
(4)当初、韓国政府が10億円の義援金で事実上すべての責任を免除する合意をしたことからして誤りだった。しかも合意直後から韓国政府が10億円を受ける代価として少女像を撤去するという裏取引をしたという議論が起きた。日本政府は今回も少女像の問題に関連して「約束したことは必ず守らねばならない」と求めている。朴槿恵(パク・クネ)政権が自ら招いた外交屈辱である。


 この問題の本質が、「問題の根本原因が合意自体にあることを直視しなければならない。」、というハンギョレの指摘にあることを基本に置かなくてはならない。
 その上で、このことを考えるうえで手助けになるのが、2016年10月26日のハンギョレの「韓国のハンセン病訴訟手伝った日本の弁護士たち、加害国の良心的勢力の役割が重要」、との記事である。
 これを紹介する。ハンギョレはこのように紹介する。


Ⅰ.事実の経過


(1)この訴訟をはじめ、6件のハンセン病患者集団訴訟が政府の度重なる上訴により遅れているが、2000年代以前には訴訟すらも考えられなかった。ハンセン病患者に加えられた国家暴力は、真っ暗な法の死角地帯に置かれており、法曹人もこの問題に対する認識が全くなかった。
(2)2001年、一筋の光が差し込んだ。同年5月、熊本地方裁判所では「(日本)国のハンセン病患者隔離政策は違憲」という判決が下された。これによって「らい予防法」が廃止され、日本政府は「ハンセン病補償法」(「ハンセン病療養所入所者等 に対する補償金の支給等に関する法律」)を制定した。この訴訟を主導した徳田靖之護士は、韓国のハンセン病患者たちも日帝強制占領期(日本の植民地時代)に強制的に隔離・収容されたことを知り、韓国の弁護士と接触して被害者を捜した。国家暴力の被害者を自国民と非自国民に分けてはならないだけでなく、特に非自国民に対しては自分も加害者の位置に立つしかないと思ったからだ。彼に刺激を受けて韓国でも50人を超える弁護人団が構成された。
(3)小鹿島ハンセン病患者訴訟助けた徳田弁護士ら、自国民・非自国民に分けられないと判断、韓日政府に対する訴訟を積極的に支援。
(4)2003年、ついに小鹿島の病院の患者117人が日本政府に補償を申請したが、拒否されると、再び東京地方裁判所に訴訟を起こした。訴訟の費用はすべて日本の弁護士たちが負担した。2005年10月に判決が言い渡された1審訴訟では敗訴したが、2006年2月、日本の国会で補償法の改正案が可決され、日帝強制占領期韓国のハンセン病患者の被害者たちも、結局、補償を受けられるようになった。


 ハンギョレは、「現在韓国で行われている訴訟は、解放以後の韓国政府に責任を問うものだ。ところが、徳田弁護士が韓国を訪れてから、日本政府に補償を申請するまでに、2年という時間がかかった事情は何だろうか。」、と問う。
 その答えは、次のものであった。


「『初めて徳田弁護士が小鹿島を訪れた時、そこのハンセン病患者はみんな(彼を)あざ笑いました。一度も法の保護を受けたことがない一方、日帝強制占領期に日本人から受けた苦痛をはっきりと憶えていたからです。心を開き、心を尽くして話し合い、連帯感を育んで、一人またひとりと原告を集めて行きました』。ハンセン病患者の訴訟に主導的に参加しているチョ・ヨンソン弁護士は『加害国の法曹人が先に頭を下げて、粘り強く待ち続けたからこそ、韓国のハンセン病患者たちが法と向き合うことができた』と振り返った。」


 この姿にこそ、今回の問題を解く鍵があるのではないか。
 徳田弁護士達が示した方法こそが、「加害国の法曹人が先に頭を下げて、粘り強く待ち続けたからこそ、韓国のハンセン病患者たちが法と向き合うことができた」、という状況を開くことができる唯一の行動であったのだ。
 逆に言えば、安倍晋三政権の方法は、これと真逆の道を進んでいるのである。




by asyagi-df-2014 | 2017-01-16 08:28 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江-から-2017年1月15日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 大学入試センター試験が実施された沖縄県の琉球大学で、ヘリが飛行して発生したとみられる騒音が測定された。
 琉球新報は、その被害について、「琉大工学部2号館屋上で渡嘉敷健准教授が設置した測定器で単発騒音暴露レベル86・8デシベル(80デシベルは地下鉄の車内、90デシベルは騒々しい工場の中に相当)が観測された。」、と報じた。
 あわせて、琉球新報はこのことについて、「英語の試験で、リスニングの説明をしている時間帯にヘリの音が聞こえた。実際に試験が始まった時には聞こえなかったが、米軍に飛行しないよう要請しており問題だ」、との声を伝えた。
 「これが沖縄の実態だ」、と言い続けるだけでは、もはや駄目なのだ。


 2017年1月15日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-辺野古、新たに「海上フェンス」 抗議船の進入阻止へ防衛省-2017年1月15日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画に伴う同県名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、防衛省沖縄防衛局が突起物付きの浮具(フロート)を準備していた件で、防衛局は14日、フロートを海上に並べ、金属製とみられる支柱を新たに取り付けた。海面に突き出た支柱にロープを張る作業も確認された。市民らの抗議船やカヌーが進入するのを防ぐ「海上フェンス」として用いる狙いがあるとみられる。市民らがロープを切断するなどした場合、海上保安庁が器物損壊容疑で立件する可能性もある。フロートに設置された棒は海上に突き出た状態。新基地建設に反対する市民からは危険性を指摘する声も上がっており、工事を強硬に進めようとする政府の姿勢に批判が集まりそうだ。」
②「突起物の付いた新たなフロートの用途について、防衛局は12日、琉球新報の取材に対し『臨時制限区域の境界を明示すると共に作業の安全確保に万全を期すためのフロートであることには変わりない』と回答。『海上フェンス』として用いることなど詳細については明らかにしていない。」
③「板と棒が付いた突起物は海上には見えないため、海中側で重りになっているとみられる。海面に突き出た支柱には、海面と水平にロープを通せる穴が三つ付いている。沖縄防衛局は14日午後3時すぎまでに、突起物の付いた新たなフロート(長さ約100メートル)3本を海上に引き出し、海中に沈めている大型コンクリートブロックにワイヤで固定した。支柱はフロート約3個ごとに立てられた。砂浜には突起物の付いたフロートが多く残っており、トラックで追加搬入されるのも確認された。15日以降も『海上フェンス』の取り付け作業が続くとみられる。」
④「市民らは14日、抗議船3隻、ゴムボート1艇、カヌー11艇で抗議を行ったが、抗議船1隻が海上保安庁に一時拘束された。一方、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前付近では午前7時から、新基地建設に反対する市民らが座り込んだ。参加人数は最大で約90人。」


(2)琉球新報-センター試験中、琉球大でヘリらしき騒音-2017年1月15日 09:59


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「大学入試センター試験が実施された14日、試験時間中の午後5時25分に西原町の琉球大学でヘリが飛行して発生したとみられる騒音が測定された。ヘリの所属、機体は不明だが、SNS(会員制交流サイト)では『オスプレイの騒音がうるさくて迷惑だった』との書き込みもあった。」
②「琉大工学部2号館屋上で渡嘉敷健准教授が設置した測定器で単発騒音暴露レベル86・8デシベル(80デシベルは地下鉄の車内、90デシベルは騒々しい工場の中に相当)が観測された。渡嘉敷准教授は「英語の試験で、リスニングの説明をしている時間帯にヘリの音が聞こえた。実際に試験が始まった時には聞こえなかったが、米軍に飛行しないよう要請しており問題だ」と指摘した。」
①「県内大学は沖縄防衛局などに対し試験時間中の米軍機、自衛隊機の飛行自粛を要請していた。14日午後、本島中部では米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが飛行するのが確認されていた。」


(3)沖縄タイムス-平和市民連絡会が翁長知事を提訴 高江工事警備、支出の違法訴える-2017年1月14日 05:00


 沖縄タイムスは、「東村高江周辺のヘリパッド建設で、警備のために県外から派遣された警察官のために県が燃料費や車両修繕費を支出したのは違法などとして、沖縄平和市民連絡会の市民15人は12日、県警に約860万円を請求・賠償するよう翁長雄志知事に求める住民訴訟を那覇地裁に起こした。連絡会の北上田毅さんは『抗議活動を違法に弾圧した活動への支出で、許されない』と指摘。県警側は『訴状が届いていないのでコメントを差し控えたい』とした。』、と報じた。
 また、「訴状などによると昨年7月、県公安委員会の要請で、東京や神奈川など県外6都府県の警察官約500人が高江の警備に当たった。県警本部に情報公開請求した市民側は、県の経費負担は同7~9月で計約860万円と主張。警備が終了するまでに県が負担した費用はさらに多いだろうと指摘している。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2017-01-15 16:26 | 沖縄から | Comments(0)

安倍内閣総理大臣の2017年年頭所感を読んでみる。

 内閣総理大臣の年頭所感を批判するために、まとめたことは過去にはあった。
 最近は、安倍晋三の表現そのものを読むことがきつくなってしまったので、ずっと取りあげなかったのだが、沖縄タイムスが木村草太さん(以下、木村とする)、日刊ゲンダイが室井佑月さん(以下、室井とする)の文章を載せてくれたので、この両者の文章とあわせてこの年頭所感を読んでみた。
 まず、安倍晋三年頭所感で、気になったのは、次の文章表現のところである。


Ⅰ.「戦後、見渡す限りの焼け野原の中から、我が国は見事に復興を遂げました。」
Ⅱ.「如何にして『希望の光』を彼らに与えることができるか」
Ⅲ.「厳しさを増す安全保障環境」
Ⅳ.「一億総活躍社会を創り上げ、日本経済の新たな成長軌道」
Ⅴ.「積極的平和主義の旗をさらに高く掲げ」
Ⅵ.「日本を、世界の真ん中で輝かせる」


 恐らく、この六つの内容が表現するものについて、きちんと反論していくのが、2017に必要とされることになる。
 ここでは、気になる文章表現を並べてみてみて、大きな疑問符がつくものについて、少しだけ書くことにする。
ⅠとⅡについては、焼け野原の光景は本来侵略者の反省として語られなければならないはずなのに、全く安倍晋三の視野には侵略された側のことがはいっていない。もちろん、「希望の光」とは、自分たちのものだけではないはずなのにだ。
 だから、Ⅵは、独りよがりの姿勢が際立って見える。その結果は、誰からも信用されない事態を招くしかない。
 Ⅲについても、現在の環境をもたらしたのは、何が原因だったのかの検証が全くなされていないため、復古主義的な手法に頼るだけで、未来を築くことができない。これは、Ⅳについても同様である。
 Ⅴについては、意味不明、定義未定の言葉を使用するポピュリズムの典型である。


 さて、木村と室井の文章に触れる。
 最初に、 木村は、「木村草太の憲法の新手(47)首相年頭所感を考える」(沖縄タイムス:2017年1月8日)で、「この年頭所感は憲法改正に意欲を示したもの、と見る向きもある。そこで、憲法改正についてどのように考えるべきか、改めて検討したい。」、とこの年頭所感を憲法改正に係わって切り取っている。
 木村は、憲法について、「憲法は、国家権力によるさまざまな失敗の歴史を反省し、同じ過ちを繰り返さないようにするためのチェックリストだ。」、と規定したうえで。次のようにこの年頭所感を読んでいる。


「憲法を創るときには、現に生じた国家の失敗を分析した上で、『より良い解決を導くにはどうしたらいいか』と徹底的に考えられている。だからこそ私たちは、国家が何らかの失敗をしていると感じた時、憲法の条文を読み、先人たちが憲法に託した希望に学ぼうとする。そういう意味では、安倍首相が、希望というキーワードを示したことは正しい。ちなみに、私も昨年、『憲法という希望』という著作を出版した。憲法に高い関心を示す安倍首相が一読した可能性に期待したいところだ。しかし、ちまたにあふれる改憲論議の中身は、希望からは程遠く、あまりに軽々しい。」


 木村は、このことに続けて、巷に溢れている憲法改正論議の軽薄さについて、次のように指摘する。


(1)「自衛隊は今の憲法ではどう考えても違憲だ。国を守れないのは不合理だから改憲しよう」との議論をしばしば見かける。しかし、自衛隊合憲説は、頭ごなしに否定できるほど不合理な見解ではない。歴代政府はもちろん、ほとんどの政党も、合憲説を採っている。世論調査を見ても、自衛隊を違憲と評価する国民は少ない。だいたい、本気で自衛隊違憲説をとるなら、改憲が実現するまで、自衛隊は解散しなくてはならなくなるが、そこまで覚悟した提案なのだろうか。
(2)「憲法に新しい権利を書き込もう」と言う人もいる。しかし、環境権や犯罪被害者の権利、教育無償の権利を実現するには、通常の法律を作れば足りる。本気で実現したいなら、わざわざ手間のかかる改憲ではなく、法律を制定すべきだろう。


 木村は、最後にこう結論づける。日本国憲法に込められた「希望」について、まずは知るべきだ」、と。


(1)そもそも自民党も、改憲に本気なのか疑わしい。
(2)自民党改憲草案の特徴は、国民の義務を大きく増やす点にある。しかし、自分たちの義務を増やしてほしいと考える国民などそうそういないから、支持が集まるはずもない。本気で改憲を目指すなら、国民が何を求めているのか、もっと真剣に考えるべきだ。
(3)今必要なのは、もう一度、憲法を読み返し、そこに込められた「希望」を思い起こすことではないか。先人たちが、日本国憲法にどんな希望を託したのか。それを知り、それを超える理想像を描くことができたときにはじめて、私たちはより希望にあふれた憲法を手にできるだろう。


 次に、室井は、「新年から新聞を広げると、こればかり。まるでCMじゃ。安倍さんはこの国の首相だから、当たり前なのかもしれないけれど、もうマスコミは安倍政権のスローガンだけ取り上げるのを止めにしてくれないか? 言いっ放しにさせず、その後の後追い記事はもちろん、疑問や批判を挟まないなら、報道じゃなく広告だよ。安倍さんの年頭所感を載せるなら、アンダーラインを引いて、どの部分が嘘くさいか示すぐらいしろ。いっぱい突っ込みどころがあったじゃん。」、と「室井佑月の『嗚呼、仰ってますが。』突っ込みどころだらけだった安倍首相の年頭所感」(2017年1月5日)で切れ味鋭く斬ってみせる。
 また、次のように批判する。


(1)たとえば、冒頭の発言にアンダーラインを引いて、〈安倍氏のいう積極的平和主義とは、この国を守るための自衛隊が、この国とは関係ない国の争いに駆り出されることになること〉とか書かなきゃね。
(2)「女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、一度失敗を経験した人も、誰もが、その能力を発揮できる一億総活躍社会を創り上げ、日本経済の新たな成長軌道を描く」 「子どもたちの誰もが、家庭の事情に関わらず、未来に希望を持ち、それぞれの夢に向かって頑張ることができる。そういう日本を創り上げてまいります」ってとこにもアンダーライン入れなきゃだ。〈非正規労働者は増え、社会保障費は削られまくり、6人に1人の子供が貧困となった。でも、防衛費だけは奮発して、5兆円越え〉とかさ。
(3)「私たちの未来は、他人から与えられるものではありません。私たち日本人が、自らの手で、自らの未来を切り拓いていく。その気概が、今こそ、求められています」といっている。結局、最後は冷たく国民の自己責任論を持ち出すのですね。


 確かに、安倍晋三の年頭所感である。


 以下、安倍晋三内閣総理大臣年頭所感及び沖縄タイムス、日刊ゲンダイの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2017-01-15 10:58 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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