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辺野古と東村高江周辺では、新基地建設によって、国際人権法に照らして明らかな表現の自由の侵害が起きている。

 国連の人種差別撤廃委員会(CERD)の2014年勧告をめぐって、沖縄タイムスは2016年10月2日、次のように報じた。


①「国連の人種差別撤廃委員会(CERD)が2014年、沖縄の人々を先住民族と認め、権利を保護するよう勧告したことに対し、日本政府が豊見城、石垣両市議会の意見書を根拠に反論していたことが分かった。これを『苦し紛れ』と批判する市民団体は、表現の自由の侵害を訴える報告書を独自に国連機関に提出した。沖縄の人権を巡り、国連を舞台に綱引きが活発化している。」
②「人種差別撤廃委員会は14年の勧告で、被差別部落の問題などについて事後報告を要望。沖縄に関しては求めていなかったが、政府は『さらなる説明が必要』として8月18日に提出した報告の中で言及した。豊見城市議会の意見書にある『先住民族であるとの自己認識を持っておらず』などの文言を引用。沖縄の人々について『日本国民としての権利を全て等しく保障されている』と表明した。」
③「外務省人権人道課は『先住民族の定義は明確ではなく、沖縄の人々が先住民族かどうかはさまざまな意見がある』と語る。県議会ではなく市議会の意見書を引用したことについては、『県議会の方が県民全体の意思を反映するかもしれないが、自治体の意見に軽重はない』との考えを示した。」
④「一方、反差別国際運動(IMADR)と沖縄国際人権法研究会は9月27日、名護市辺野古と東村高江周辺の新基地建設を巡り、表現の自由が侵害されているとの報告書を国連機関に提出した。高江での県外機動隊約500人投入や道路封鎖、市民と記者の拘束を問題視。辺野古で海上警備会社が市民の顔写真入りリストを作成していた問題や相次ぐ逮捕についても取り上げた。研究会の共同代表、島袋純琉球大教授は政府の反論について『国連機関は長年の国際人権法上の議論を踏まえ、客観的、厳密に沖縄の人々が先住民族だと認定している。政府が県議会ですらなく、2市議会の意見書を反論に使うのは苦し紛れというほかない』と指摘する。研究会は4月、来日した国連の表現の自由に関する特別報告者、デービッド・ケイ氏に沖縄の現状を報告。報告書は追加で情報を提供するもので、その他の関係機関にも送った。島袋氏は『国際人権法に照らして明らかな表現の自由の侵害が起きている。国連が日本政府に問い合わせてくれることを期待している』と話した。」


 以下、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-10-04 14:02 | 自由権 | Comments(0)

沖縄-辺野古・高江から-2016年10月3日

 2016年10月3日、沖縄-辺野古・高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-辺野古違法確認訴訟 沖縄県、上告理由書を提出-2016年10月3日 12:19


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡る違法確認訴訟で、沖縄県は3日、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しを違法と判断した一審福岡高裁那覇支部判決を不服として、最高裁への上告理由書と上告受理申立理由書を高裁那覇支部に提出した。」、と報じた。
 また、この最高裁への上告理由書と上告受理申立理由書について、次のように伝えた。


①「県は一審判決が憲法の保障する地方自治を侵害し、公有水面埋立法(公水法)の解釈を誤っていると主張。上告理由書で、憲法92条などが保障する地方自治を根拠に、『県の同意がないまま、自治権の及ばない米軍基地を建設することは違憲だ』と指摘する。」
②「上告受理申立の理由書では、一審が前知事の承認処分に、立ち入って審査していることを問題視。高裁判決は埋め立て承認・取り消しの裁量を都道府県知事に与える、公水法の解釈を誤っているなどと指摘している。」
 


(2)琉球新報-外来種勉強会開催へ 辺野古土砂搬出反対協、熊本で総会-2016年10月2日 11:40


 琉球新報は、「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の第3回総会が1日、熊本県天草市で開かれた。11月に沖縄県議会議員と鹿児島県議、土砂搬出地域で土砂搬出に反対する組織の代表が集まり、埋め立てに使用する土砂内の特定外来生物の県外持ち出しや、侵入を規制する条例について勉強会を開くことを確認した。」、と報じた。
 また、「鹿児島県を拠点とする自然と文化を守る奄美会議(大津幸夫会長)が、鹿児島県議会の9月定例会に特定外来生物の県外持ち出しを規制する条例を制定するよう求める陳情を提出しており、10日以降の委員会で審議される予定。」、「総会では、名護市辺野古への土砂搬出に反対する署名を5万人分集めることなども確認した。沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんやヘリ基地いらない二見以北十区の会共同代表の浦島悦子さんの講演もあった。」、と伝えた。


 以下、沖縄タイムス、琉球新報の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-03 17:00 | 沖縄から | Comments(0)

本からのもの-沖縄・高江 いま、何が起きているのか

著書名;「週刊金曜日 9/30 1106号」-このでたらめさ、まるで無法地帯 緊急特集沖縄・高江
著作者:野中大樹・福元大輔・渡辺豪・黒島美奈子
出版社;週刊金曜日



 週刊金曜日は、「1106」号で、「このでたらめさ、まるで無法地帯」、と緊急特集沖縄・高江を組んだ。
この緊急特集を読む。
例えば、高江について、黒島美奈子は、このように描写する。


 こんもりと濃い緑は、上空から見ると上質の絨毯のようだ。常緑樹が枝を張り、その下に亜熱帯性の植物が幾重にも層をなす。沖縄本島北部に広がるその森は「やんばるの森」と呼ばれる。71年前、辛くも沖縄戦の戦禍を逃れ、今や日本随一の多様な生態系を有する。その一部は9月15日、33番目の国立公園に指定され、さらに今後同地域と奄美諸島を含む一帯の世界自然遺産登録を目指す。
 それが今、「高江問題」と言われ、数百人の機動隊と建設に反対する住民らの衝突が報じられる現場だ。米軍北部練習場の面積の約4割分を返還することを条件に、日本政府はこの森に、新に六つのヘリパッド建設を進めている。


 この「高江問題」について、野中大樹・福元大輔・渡辺豪・黒島美奈子の各記事で考える。


(1)野中大樹-「住民と暮らしの間で”国境”に遮られたふたつの沖縄」


 野中大樹〈週刊金曜日編集部〉は、まず、「住民の暮らしの間で”国境”に遮られたふたつの沖縄」、と高江が置かれている状況を紹介する。


 参院選直後から、沖縄県東高江の米軍ヘリパッド建設工事が、反対する市民を力で排除して強行されている。沖縄の負担軽減を名目とした日米合意に基づくが、辺野古新基地建設とともにさらなる痛みを強いるものだ。しかし地元首長がヘリパッド建設を容認していることもあり焦点になりにくい。政府はそこにつけこみ違法行為を繰り返している。


 そして、「まるで戦争状態」の現在の高江の様子を、「まるで戦争状態に入った二つの国の国境線のようだ。」、と伝える。


 7月10日の参議員選挙では名護市辺野古の新基地建設にも高江ヘリパッド建設に沖縄にも反対する伊波洋一氏が当選したが、国はその数時間後、高江の建設工事を強行しはじめた。抗議する市民も方々から集結する。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で状況を知り県外から来る人もしくなくない。市民らは抗議の拠点を数日のうちに構築。森の中に、ブルーシート製のテント村が忽然と現れた。その奥には、米軍の訓練場に通じる道がある。しかし金網が張られ、網の向こうには3人の警備員が仁王立ち。まるで戦争状態に入った二つの国の国境線のようだ。


 続いて野中は、「国の焦りと強行策」と、高江の今の報告を続ける。


 高江では、すでに完成したN-4地区のヘリパッド〈二つ〉以外に、3か所で建設工事が進んでいる。N-1地区〈二つ〉、H地区、G地区の3か所、計四つで、いずれもオスプレイパッドだ。米海兵隊は、海からゴムボートで海岸線に上陸し、森林へと攻め込み、森の中のヘリパッドからオスプレイで脱出-という複合訓練を計画している。訓練実施にはヘリパッド完成が不可欠だ。
 9月26日の安倍晋三首相による所信表明演説では高江の米軍基地返還を「本土復帰後、最大の返還」と強調した。しかし、内実は攻撃能力を高める訓練を可能たらしめるものであり、米海兵隊の資料においても、返還されるのは、「北部訓練場の使い道のない土地」(unusable Nortyern Training Area)とされている(「2025戦略展望」)。
 オスプレイを作戦に組み込んだ訓練がすでに日常化しているのだ。完成したN-4地区の
パッドから約400メートルの位置で生活している安次嶺雪音さんは話す。
 「この6月からの訓練はひどいものでした。以前は1回の訓練時間を短く、1日~2日で終わることが多かったのですが、6月以降は日中もちろん夜は11時頃まで、それも毎晩です。1回の訓練時間も長くて、子どもは夜目を覚まして眠れなくなります。すると朝も起きられない。私がイライラすると、そのイライラは子どもに伝わるんですね・・・もうここでは生活できないと、子どもが夏休みに入る前に国頭村に非難しました」
 安次嶺さんは東村に何度も訓練を控えるよう沖縄防衛局(嘉手納長)に伝えてほしいと訴えてきた。7月に国が故事を強行してきたのは、まさに安次嶺さんが
要請していた最中だ。
 「余計にショッックでした。村民の暮らしなど、どうでもいいということなんでしょう」 国はなりふりかまわぬ態度で作業を強行する。9月13日には重機の運搬に陸自ヘリ(CH-47)が使われた。24日、稲田朋美防衛省と県庁で会談した翁長雄志知事は、「抗議活動のために工事が進まず、自衛隊ヘリを使わざるをえなかった」と説明する防衛完了に対し、「それが上から目線なんだ」「沖縄の長い歴史を踏まえないといけない」と主張した(『沖縄タイムス』9月25日付)
 上から目線であるだけではない。警察によるテント撤去、道路の検問封鎖、先の陸自ヘリの使用など、法的根拠すら曖昧な行為に及んでいる。9月23日にはダンプ11台が3往復して砂利を運んだ。過去最多だ。9月中旬以降、市民が集会する中をダンプが突っ切たり、作業の遅れを鳥戻そうと国も必死だ。


 あわせて、野中は、「抗議活動の持続の難しさ」と高江の闘いを伝える。 


 一方で抗議活動に対する高江地区住民の反発もある。抗議する市民の車が道を塞ぎ畑に通えないという農業者、道路が封鎖されて通勤の時刻に遅れたという勤め人などからは煩雑に苦情が寄せられている。
 県の姿勢も煮え切らない。翁長知事は機動隊の強行姿勢に遺憾の意を述べているものの、ヘリパッド建設そのものに異を唱えていない。翁長知事を誕生させた「オール沖縄」は辺野古新基地建設反対では成立したが、高江では成立しにくい現実がある。高江の抗議活動をウオッチしている捜査関係者は「翁長知事は辺野古にしか反対できない。高江の抗議活動は必ずしも地元住民の理解が得られていない。抗議活動は孤立化する可能性もある」と語る。
 抗議を続けることには苦難がついてまわるのだ。高江住民の中には、抗議活動から一歩身を引きながらも、オスプレイノの訓練が日常化すればそれこそ日常生活への支障が大きいと、心の内では理解している人も多い。
 国は期限までの完成に向けて血眼だ。重要な局面にさしかかっている。
 


(2)福元大輔-「日本マネーで建設される最新鋭ヘリパッド」


 福元大輔は、「日本マネーで建設される最新鋭ヘリパッド」の記事で、高江の工事が、「負担軽減」どころか基地機能の強化であることについて、解き明かす。


 日本最大の面積を誇る米海兵隊の「北部訓練場」7543ヘクタールのうち、半分以上の3987ヘクタールの返還は、1996年12月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告に盛り込まれた。返還部分の7ヶ所のヘリパッドを、日本政府の責任で残余部分に移設することが条件だった。訓練場内には、すでに22ヶ所のヘリパッドがある。7ヶ所が返還されても15ヶ所が残る。何故移設が必要なのか。
 ヘリパッドには、それぞれ特徴がある。そこでの訓練を米軍は「制限値着陸」よ呼ぶ。戦場や災害地への物資、人員の輸送を担う航空部隊のために、地形や風、形状など制限、
制約がある中での訓練を目的にしている。当然、新たなヘリパッドには、他とは違う役割、
機能が求められる。沖縄防衛局が実施した環境影響評価に殉ずる「自主アセス」では、新たなヘリパッドは、上陸訓練と連動する形で使用する狙いが明記されている。
 艦船から海に投下したゴムボートなどで歩兵部隊が上陸し、空からヘリコプターでの支援や逃げ遅れた兵士の救出作戦を展開する訓練に利用するとみられる。さらに、海兵隊の新型輸送機「MVオスプレイ」の高音排気熱に耐えうる構造になっている。つまり、「沖縄の負担軽減」を理由に、米軍はちゃっかり、日本政府の予算で時代に合った新施設を手に入れようとしている。そうなれば、土地は返還されても、使い勝手がよくなった沖縄の基地の重要性は増し、海兵隊の駐留が続くことになる。騒音被害や事件・事故の危険性も
除去されないというのが沖縄側の見方だ。
 高江の問題は全国的に注目されていないが、普天間飛行場の名護市辺野古移設と同じ、SACOの合意事項だ。95年の米兵による痛ましい事件をきっかけに、「沖縄の負担軽減」を目指し、日米両政府が協議した結果、逆に沖縄の基地機能が強化されるのではないか、という懸念や怒りが高まる。


(3)渡辺豪-「国の勝訴ありき」で進んだ「辺野古違法確認訴訟」


 渡辺豪は、この間の、沖縄と国の関係を、いや、国の沖縄への「構造的沖縄差別」をあらためて示すことになった「辺野古違法確認訴訟」について、このように記す。
まず、裁判結果について。


 「裁判所は政府の追認機関であることが明らかになった」
 翁長知事の言葉には、司法があからさまに政権側に立ち、「政治に口をはさんだ」ことへの驚きと不信、憤りがにじんでいる。
成蹊大学法科大学院の武田真一郎教授〈行政法〉も同じ認識だ。
 「本土を含めた国民全体で真剣に取り組めば代替案はあり得るのだから、そのような政治的課題について裁判所が断定する権限はない。本判決は司法権逸脱判決と指摘されるが、その通りだ。」


 渡辺は、この判決について、「今回の判決は政治判断を伴う国の基地政策を無批判かつ一方的に肯定し、『事実』として論旨に盛り込むことを厭わなかった、という点で極めて異例だ。」、と批判する。
 また、渡辺は、高裁判決に至る一連の流れについて、次のように指摘する。


 武田教授は、高裁判決に至る一連の流れをこう批判する。
 「当初の国の代執行と執行停止は、あまりに非常識だから取り下げさせたが、是正の指示をすれば国の主張を認めるという筋書きが和解勧告の段階でできていたのでしょう。そうでなければ、これだけ重大な問題がわずか2回の弁論で結審きるはずがない」
 多見谷裁判長は、沖縄県側が答弁書を提示する前に国側の訴状だけで「争点メモ」を作成していた。審理が始まると、県側が申請した8人の承認申請をすべて却下した。県の主張を入り口で切り捨てた結果、提訴から2カ月足らずの「スピード判決」となった。
 異様だったのが、口頭弁論での翁長知事への本人尋問だ。
「判決確定後はただちに従い、誠実に対応するか」(国側代理人)
 「県が負けて最高裁で確定したら取り消し処分を取り消すか」(多見谷裁判長)
 県敗訴を前提に国側代理人とともに知事に詰め寄る裁判長の態様は、司法の公正中立を疑わせるものだったが、実は同じ言葉が政府からも審理前に発せられている。
 菅義偉官房長官は、県を相手取って違法確認訴訟を起こすと表明した7月21日の会見でこう述べた。「確定判決には従うことを〈翁長〉知事に確認した」。
 三者の言葉の重なりは、一蓮托生ぶりを白日にさらすものだ。


 渡辺は、この判決の評価を、沖縄タイムスの社説を引用して、「高裁判決の翌日、『沖縄タイムス』は社説でこう指摘した。『一連の過程を振り返ると、国と司法が【あうんの呼吸】でことを進めてきたのではないか、という疑いを禁じ得ない」、とまとめた。
 結局、渡辺は、この問題についての「真の解決」を、次のように提示する。


 日本政府は、沖縄の海兵隊部隊を日本本土に移転することで反米軍基地運動が広がることを警戒し、圧倒的多数の本土の人々は自分の住む地域に米軍基地が来ることを忌み嫌っている。その意味で、本土の人と日本政府は、「共犯」の関係にある。沖縄県民の大半はこうした本土側の「差別とエゴ」も敏感に察知している。
 翁長知事は判決後の会見で「長い長い闘いになろうかと思う」と辺野古移設阻止を表明した。
 翁長知事個人を「敵」とみなし、「国の権威」で押さえつければ「解決できる」と、現政権が本気で考えているのであれば、「木を見て森を見ない」のと同じだ。知事を背後で支える沖縄世論に目を向け、多くの県民の理解を得るため政治的な知恵と努力を尽くす。真の解決はその先にしか見えてこない。


(4)黒島美奈子-他の場所に移すだけ「基地負担軽減」の嘘


 黒島美奈子は、安倍晋三政権の進めるヘリパッド着陸帯の建設の意味を、次のように指摘する。


 高江区の強い反対にもかかわらず、ヘリパッドは、すでに二つ完成し昨年運用開始した。以来、区ではかってない騒音と低周波が住民を苦しめている。そしてやんばるの森は、またも切り裂かれた。
 「高江問題」の経緯は、日米政府がアピールする沖縄の基地負担軽減策の実態を端的に示す。つまり基地負担軽減とは、老朽化した米軍基地〈施設〉の代わりに、沖縄の土地や海に新しい基地を建設し、住民に新たな被害と負担を負わせることにほかならない。


 黒島 美奈子は、基地問題の元凶を鋭く言い当てる。
 「負担軽減は嘘なのだ」、と。


 SACOでは、①普天間飛行場②安波訓練場③ギンバル訓練場④楚辺通信所⑤読谷補助飛行場⑥キャンプ桑江の一部⑦瀬名波通信所⑧那覇港湾-の返還なども合意したが、すべて沖縄県内のほかの地への移設が条件だ、高江をはじめ辺野古や浦添への軍港移設、伊江島補助飛行場問題など今沖縄が抱える基地問題の元凶が、ここにある。
 「負担軽減」は嘘なのだ。


 この国の首相が「本土復帰後、最大の返還」と言ってしまう実態。
 しかし、一方では、この返還の実態とは、「北部訓練場の使い道のない土地」(unusable Nortyern Training Area)とされている(「2025戦略展望」)の返還でしかない、ということを沖縄県民の多くがすでに認識してしまっている。
それは、もちろん、「米軍はちゃっかり、日本政府の予算で時代に合った新施設を手に入れようとしている。そうなれば、土地は返還されても、使い勝手がよくなった沖縄の基地の重要性は増し、海兵隊の駐留が続くことになる。騒音被害や事件・事故の危険性も除去されない」、ということをである。
 結局、「負担軽減は嘘なのだ」。
「辺野古違法確認訴訟」における今回の司法権逸脱判決も、こうした路線の中で行われたものであることに、沖縄県民は、当然、気づいている。


by asyagi-df-2014 | 2016-10-03 05:50 | 本等からのもの | Comments(0)

沖縄-辺野古・高江から-2016年10月2日

 2016年10月2日、沖縄-辺野古・高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが宜野湾市の普天間飛行場に配備されて2016年10月1日で4年が経過したが、離着陸の回数は「全体的に増加傾向をたどっている。」、という。
 心配されていた低周波の問題は、「4年でオスプレイの訓練域が広がり、状況は悪化した。学習環境にも影響を及ぼしていることが明らかになっている」、とされる。
 これが、実は、「沖縄の負担軽減」の実態なのだ。


(1)琉球新報-オスプレイ配備4年 離着陸は増加傾向 低周波被害の懸念も-2016年10月2日 13:00


 琉球新報は、オスプレイが配備されて4年経過したなかでの、騒音問題について次のように報じた。


①「米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが宜野湾市の普天間飛行場に配備されて1日で4年が経過した。沖縄防衛局の目視調査によると、2015年度は同飛行場で2363回の離着陸が確認された。14年度から372回減ったものの、配備当初の1年間(12年10月~13年9月、1245回)と比べると約1・9倍に増えている。」
②「配備された12年10月から13年3月までの半年間で確認された離着陸は676回。半年ごとに見ると、13年度前期は569回、同後期は1094回、14年度前期は1567回、同後期は1168回、15年度前期は1011回、同後期は1352回だった。増減を繰り返しながら、全体的に増加傾向をたどっている。」
③「低周波(100ヘルツ以下)による健康被害の恐れも指摘される。頭痛や吐き気を催す恐れがある圧迫感や建具のがたつきなどを引き起こすといわれる。琉球大の渡嘉敷健准教授は「4年でオスプレイの訓練域が広がり、状況は悪化した。学習環境にも影響を及ぼしていることが明らかになっている」と指摘した。」
④「日米政府が合意した航空機騒音規制措置も形骸化。飛行が制限されるはずの午後10時以降も騒音が連日発生し、市民からの苦情が市に寄せられている。」


(2)琉球新報-縛られた女性、体にあざ 沖縄・高江のヘリパッド建設 機動隊の「横暴」に怒り-2016年10月2日 06:30


 琉球新報は、警察が市民らをロープで縛って強制排除をした件について、次のように報じた。


①「沖縄県東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設を巡り、機動隊が9月28日に米軍提供施設内のH地区の工事現場周辺で座り込んでいた市民らをロープで縛って強制排除をした件で、排除された20代女性の腕や脚などには複数のあざが残っている。女性は「『こんな作業はむちゃだからやめてください』と訴えたが聞き入れてもらえなかった。ロープで引っ張られた際に切り株や地面に何度も体を打ち付けた」と話した。」
②「市民らによると9月28日午後1時ごろ、抗議行動をしていた斜面に機動隊が下りてきて、市民らの腰や脚の辺りを縛り上げた。使用されたのは通称『トラロープ』と呼ばれる細いロープで、標識などの用途で使用されているものだった。」
③「現場にいた男性は『木や切り株にしがみつきながらでないと上に上がれない斜面だった。無理やりロープで引っ張れば、けがをするのは当然だ。あんな細いロープで縛り上げられれば、痛いに決まっている』と憤った。」
③「腰や脚など複数箇所に痛みが残っているという女性は『現場の機動隊が【手足も縛るか】などと相談していた。明らかにやり過ぎで、こんな横暴が許されるはずがない】と語気を強めた。」


(3)沖縄タイムス-<米軍基地問題>説得力欠く首相の「沖縄の負担軽減」【深掘り】-2016年10月1日 16:46


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「沖縄県北部の東村高江は那覇市から車で2時間余り。150人ほどの小さな集落だ。国内最大規模の米軍専用施設『北部訓練場』の部分返還を巡り国と住民の激しい対立が続いている。日米両政府が総面積約7800ヘクタールのうち約4千ヘクタールの返還で合意したのは20年前。ただ返還区域にあるヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)を米軍側に残す区域に移設する条件付きだった。その後、高江の集落を取り囲む新たなヘリパッドの建設計画や新型輸送機オスプレイの運用が明らかになり、一部住民らが反対の声を上げた。」
②「今年7月の参院選。基地負担軽減を訴える新人が勝利した直後に、日本政府が未完のヘリパッド工事に着手したため反対運動が広がった。これに対して政府は全国から機動隊を投入。搬入ゲート前で抗議する住民を避け、自衛隊ヘリで工事用重機を運搬したのは既に報道されている通りだ。」
③安倍晋三首相は9月26日の所信表明演説でこの北部訓練場に触れた。「(沖縄の)本土復帰後、最大の返還が、0・96ヘクタールのヘリパッド移設で実現が可能となる。しかし面積だけで語れるのだろうか。沖縄の基地問題は、過去と将来を視野に入れて考察すべきではないか。国の特別天然記念物ノグチゲラなどの希少生物が生息する『やんばる』と呼ばれる森林地帯を、米軍はジャングル戦の演習に使ってきた。ベトナム戦争当時には訓練用の『ベトナム村』が作られ、高江の人々は『標的』の住民役をさせられたという。その集落をオスプレイの騒音が覆う。」
④「将来はどうか。米海兵隊が2013年にまとめた『戦略展望2025』は、北部訓練場に関し『約51%の使用不可能な訓練場を日本政府に返還し、限られた土地を最大限に活用する訓練場を新たに開発する』と記す。また米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先として計画される名護市辺野古のキャンプ・シュワブは『ものすごい変化を遂げる』としている。新たな施設・基地は連動した活用が想定されているだろう。だとすれば沖縄本島の中北部で進むのは機能を強化した米軍施設の整備ではないか。『沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす』という所信表明に説得力はない。」
⑤「この問題で同時に考えさせられるのは、参院選が終わったとたんに動きだした政府の姿勢だ。これは小さな集落だけに向けられた強権発動なのか。それとも全国どこでも起こり得る事態なのか―。」


 以下、沖縄タイムス、琉球新報の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-02 16:11 | 沖縄から | Comments(0)

本からのもの-沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか

著書名;「沖縄の新聞は本当に『偏向』しているのか」
著作者:安田浩一
出版社;朝日新聞出版


 安田浩一さん(以下、安田とする)は、「湧田は何の気負いもなく、『沖縄に寄り添い続ける』と話した。20年前に漠然と記者を目指した少女は、地域の鼓動を感じながら沖縄を書き続けている。その姿を、こころざしを、熱と足音を、私は伝えたい。湧田の話を聞きながら、あらためて、切実に、そう思った。”変更攻撃”の渦中にある記者たちを訪ねてまわるようになったのは、その時からである。」、とこの本を始める。
(注;ここでは、新聞記者等の名字を標記のままに使用している。〉

 私自身は、この本から、ジャーナリズムとは、新聞とは何のためにあるのかを真剣に考えさせられた。
 あらためて一つわかったことは、沖縄のこころと言われるものが、人の営みで形作られるものであるということである。だから、そのことに向き合うためには、「決意」、「使命」といった言葉が自然と出されてくることになるということを。
 今回は、安田の記述を追うことにする。私自身がこの本から受け取ろうとしたものを、見つめなおしてみるために。


(1)
 1945年4月、米軍が沖縄本島に上陸した。上江州が10歳の時である。戦火を逃れるため北部の今帰仁村に疎開した。終戦を迎え、その後数カ月は同地の米軍収容所で暮らした。冬になってようやく故郷の宜野湾に戻ってきたが、生家に近寄ることができなかった。米軍によって、張り巡らされた鉄条網が行く手を阻んだのである。
 地域一帯を米軍が接収し、飛行場が作られていた。仕方なく生家に近い鉄条網の外側で暮らすようになり、現在に至った。帰るべき故郷を米軍に奪われ、基地にへばりつくような生活を余儀なくされている。
 先祖代々の墓は、いまも基地の中にある。だが自由に墓参りすることもできない。
 「いちいち米軍の許可をもらわないとならないんですよ」
 そう言って上江州は一枚の書面を私に手渡した。
 「Request for permission to enter United State Forses facilities and areess」と題されたこの書面、米軍基地内への「入場許可申請書」である。

(2)
「辺野古の新基地建設も同じことです。要するに、強権的につくろうとしている点では70年前と変わりません。そりゃあ、土地を返してほしい。切実にそう思います。しかし、たとえば普天間の飛行場が辺野古に移設したところで気持ちが晴れるわけではない。沖縄の人間が鉄条網に囲まれて生きていくという状況が続くのですから」

(3)
 「本土」に存在する米軍基地は、そのほとんどが旧日本軍の基地だった。だが沖縄の米軍基地は民間地を強奪してできたものだ。もしも辺野古を埋め立て、そこに基地ができたならば、新たな国有地が生まれることになる。沖縄は国の持ち物に干渉することはできない。それは沖縄の主体的な意志が剥奪されると同時に、基地の固定化をも意味する。

(4)
 もうひとつの鉄条網が「本土」と沖縄を分断している。基地と隣り合わせで暮らしてきた上江州の視界には、それがしっかりと映り込んでいる。

(5)
 燦然と輝く太陽の下に、深くて暗いぬかるみがある。民主主義も国家主義も人権も、米軍基地の門前で立ち止まる。それが沖縄だ。

(6)
「米本土では安全基準に満たず、運用停止になってもおかしくない普天間基地が存在し、やはり本国ではできない訓練が沖縄で実施されている。しかもそれを日本政府も追認しているのですから、”命の二重基準”がまかり通っているわけですよ。つまり、沖縄県民の命は軽視されている。これが差別でなければなんというのか」

(7)
「では、なにをすべきか。一方的に奪われた者たち、発言の回路を持たない者たちの側に立って、あるべき均衡を取り戻すことではないでしょうか」
 それは普段、ヘイトスピーチの取材をしている私が感じていることでもあった。差別は常に不均衡、不平等な状況のなかで起きる。そのとき、非対称な関係を無視したうえでの「公正・中立」などありえない。マイノリティーが人権や人格すら侵されているときに、まるで天井からジャッジを下すかのごとく「双方の意見を対等に」などと呑気な記事など書いていられないのだ。こうした際に両論併記などでお茶を濁すのは、何も考えていないことを示しているに過ぎない。竹富が言う「均衡を取り戻す」とは、公正さを守ろうとする新聞記者たちの矜恃なのだ。いや、竹富にとっては理念というよりも決意だ。新聞との約束である。

(8)
「どうしたって領土問題はナショナリズムを喚起してしまう。しかし我々がつくりたかったのは国家間の対立を煽ることではなく、国境近くに住む人々の視線を通して、ともに生きる道はないかと問いかけるものでした。特に沖縄は戦争の過酷な体験を有している。我々としては二度と戦火を見たくない、尖閣の海を火の海にしたくない、尖閣を戦争の発火点にしたくない、という思いがあります。国境は対立の場ではなく、人が生きて行く場所であり、相互理解の最前線だという認識で、とにかく取材しようと」

(9)
 領土問題は、この先、何百年もあり続けるかもしれない。だからこそ、敵と味方を安易につくり出す『思考停止』に陥らず、武力衝突を避ける努力を続ける-竹島と尖閣を『地元』として生きる私たちが踏み出す一歩ずつの積み重ねが、歴史をつくると信じて〉
 
(10)
 それこそ「新報」編集局次長の松本剛が話したように「沖縄で何か問題が発生し、それが政府の思惑通りに進まないと、必ずと言ってよいほど同じような言説が流布される。つまり、自らの危機感を沖縄の新聞批判にすり替えることで、民意を矮小化する」ということではないのか。 
 「偏向キャンペーン」の、どす黒い背景が見え隠れする。

(11)
「偏向していると指摘されることなど、なんとも思わない。新聞をつくっているのは血の通った人間ですし、紙面には軸足というものがあります。それをどこに置くべきか-当然ながら沖縄ですよ。偏っているのではなく、常にそこから発信していくことが地方紙の使命だと思うんです」
 沖縄への偏見に沈黙で応じたかっての明ではない、支えているのは自信というよりもある種の覚悟のようにも感じるのだ。

(12)
 繰り返す。米軍こそが沖縄に依存してきた。そして安全保障を名目に、日本もまた、沖縄に頼り切って、いや、無理強いを続けてきたのである。
 
(13)
 このように、”本土”が経済成長を謳歌した20年は、沖縄にとって屈辱の20年でもあった。主権も何もあったものではない。
 まさに「明暗」の歴史だ。正史と叛史の20年である。
 「この連載にかかわったからこそ、確信をもって言えるんです」
 宮城がそう前置きしたうえで口から飛び出したのが、「憲法や言論の自由が天から降ってきた本土とは決定的に違う」という言葉だった。
 「沖縄では、人々が虫けらのように扱われてきた時代がある。だから、一歩、一歩、権利を勝ち取ってきた。戦争で肉親を奪われた人々が、血の染み込んだ土地で、人権のための闘いを繰り返してきたんです」
 念仏のように唱えていれば何かが保障されているような気になる、甘ったれた民主主義とはわけが違うのだ。
それは新聞も同じだ。
 「沖縄の新聞も、その歴史に寄り添って、これまで続いてきたと思うんです。新聞がいつも正しかったなんて言うつもりはありません。権力との関係の中で揺れてきたし、翻弄されてきた。そのなかから論調を鍛えてきた。やっぱり読者です。沖縄の民意ですよ」
 戦争で捨て石にされ、主権を奪われて米軍に差し出されてきた沖縄に、そもそも「落としどころ」を求めるほうが間違っているのだ。
 だからこそ沖縄の新聞は簡単にはつぶされない。

(14)
〈いま日本政府は権力とカネで沖縄の世論をどうにでも操作できると勘違いしている。こんな手法は米軍統治下ですでに私たちは学んでいる。米軍はその政策を貫徹するために権力とカネを使って世論を分断させ、統治してきた。日本政府がいまやっていることはその二番煎じである。〉

(15)
 「沖縄は戦っていくんですよ。武器とするのは二つ。ひとつは、米国からもらった民主主義。もうひとつは、日本国憲法。この二つを高く掲げて沖縄は生きていく」
 米国に蹂躙され、日本に裏切られ、差別されてきた。それが沖縄だ。しかし、山根は民主主義と日本国憲法を信じている。それこそが沖縄の、そして新聞記者の教典じゃないかと、吠えるように訴えるのであった。

(16)
 「弾除け」の役割を強いる側と強いられる側、その不均衡で不平等な力関係は、脚の欠けた不安定な椅子と同じく理不尽そのものだ。

(17)     
 〈誤解を恐れずに言えば、沖縄の自己決定権回復の主張を『独立志向』などと揶揄するのではなく、自らの自己決定権やその政府との関係性を問い直し、この国と地域の来し方を行く末を、中央集権型か地方分権型かといった視点から、ともに考えられないだろうか〉 〈民主主義は万能ではない。だからこそ、未完の民主主義を沖縄で、全国で、再生・強化する意義は大きく、今を生きる私たちの責任も重たい。そのためにも自己決定権回復・獲得の声を各地から上げたい〉

(18)
 潮平が危惧するのは単純な沖縄攻撃というよりも、人間としての尊厳すら奪う排外主義的な言説の広がりである。差別と偏見で武装した排外主義は「敵」を必要とすることでようやく成り立つものだ。蔑むことで「敵」は生まれる。そして排外主義の向こう岸には殺戮と戦争が控えている。これは歴史の必然だ。 

(19)
 「排外主義は軍事的な膨張主義とリンクする。人間の営みを無視した差別や優越意識が、戦争への扉を開くような気がする。だからこそ、いや、排外的な気分に満ちているいまだからこそ、メディアは警戒感を働かせないといけないと思うのです」

(20)
 その風景を目にしながら、あらためて確信した。ヘイトスピーチと沖縄バッシングは地下茎で結ばれている。
 不均衡で不平等な本土との力関係のなかで「弾除け」の役割だけを強いられてきたのが沖縄だった。いまや一部の日本人からは「売国奴」扱いされるばかりか、「同胞」とさえ思われていない。

(21)
 政府の立ち位置というものが、嫌というほど伝わってきた。要するに、沖縄の置かれた不均衡で不平等な状態を、政府は「人権」の問題として捉えることができないのだ。これは温度差でも見解の相違でもなんでもない。沖縄を安全保障の観点でしか見ることのできない、まさに、「支配者」の視点ではないのか。私にはそれが、基地に反対する人々を「非国民」となじる差別者の視点と重なる。

(22)
 「東京の人は基地の存在を国防や安保の問題として語るんですよね」
 やや強張った表情のままに、さらに続ける。
 「沖縄にとって基地問題とは、生活と命の問題でもあるんですよ」
 意志の強うそうな目が、しっかりと私を見据えている。「そうやって沖縄は捨て石にされてきたんだ」と咎められているような気がした。
 その通りだ。私も含め、基地問題を「国防や安保」の文脈に載せようとする者は多いそこに、基地を強いられる側の苦痛や恐怖は無視されている。年頭にあるのは中国脅威論を背景とした沖縄の「地理的優位性」だけだ。

(23)
 「国の存立に関わる国防外交上の問題」という国側の言葉は、沖縄の苦渋も歴史も無効化させるものである。人の営みも人権も無視されている。」

(24)
 沖縄の基地の7割は海兵隊の専用施設だ。これら海兵隊の移動に必要な海軍艦船は、実は沖縄ではなく長崎県の佐世保にある。万が一の有事であっても、海兵隊は佐世保から来る艦船を、沖縄で待っているしかない。スピードに優れた空軍の大型輸送機も、沖縄ではなく米本土に配備されている。『中国に近い』ことだけをもって機動性を担保するものでないことは軍事専門家の多くも指摘している。
 「何がなんでも沖縄に海兵隊基地を置かなければならない理由など、実はそれほどないのだということは米側だって当然理解しているはずです」

(25)
 犯す前に、これから犯しますよと言いますか-要するに、大事なことを事前に伝えることはないという意味で用いたのだろうが、県内の反発が強い評価書提出を性的暴行に例えた、県民の尊厳を踏みにじる暴言であることは明らかだ。女性への陵辱を肯定するかのような、下品で下劣で、そして沖縄を見下したかのような差別発言でもあった。

(26)
 「地元の警察も消防も一切、現場に立ち入ることができなかった。そこがまぎれもなく日本の領土であるにもかかわらず、支配権は米軍にあった。いまだ沖縄は米国の植民地に置かれているのだという事実をあらためて突きつけられ、脳天に一撃を食らったようなきもちになった。これでリゾート気分は吹き飛びましたね」
 このとき敷地内に唯一入ることが許された日本人は、ピザ店のデリバリースタッフだけだったといわれている。

(27)
 それはつまり、いま、日本の新聞記者が「当たり前」を放棄し、輝きを失っているからではないか、と思わずにはいられない。
 常に何かを忖度し、公平性の呪縛を疑問視することもなく両論併記で仕事をしたつもりになり、志も主張もどこかに置き忘れた新聞記者に、あるいはそこに染まってしまいかねない自分自身にも、どこかで飽き飽きしていた。
 そんな私に、沖縄の記者たちは、むせかえるような熱さをともなって、「当たり前の記者」である生身の姿をさらしてくれたのだ。

(28)
 沖縄の記者は、沖縄で沖縄の苦渋を吸収しながら、沖縄をさらに知っていく。そして、その場所から沖縄を発信していく。
 それは「偏向」なんかじゃない。
 記者としての軸足だ。地方紙の果たすべき役割なのだ。

(29)
 何度でも繰り返す。凶悪事件がなくならない原因は、沖縄に米軍基地が集中しているからだ。米軍の持つ沖縄への「植民地感覚」はもちろんのこと、その状態を放置、容認してきた、わが「日本」の責任も問われている。

(30)
 沖縄をめぐって、日本社会全体が問われているのだ。どのような立場であれ、安保や国防にどのような考え方を抱いていようが、この社会で生きていく以上、和たちは沖縄と無縁でいられることはない。


さて、私が安田から受け取ったもの
「沖縄の新聞は本当に『偏向』しているのか」ということに関しては、はっきりしている。
 つまり、「『沖縄で何か問題が発生し、それが政府の思惑通りに進まないと、必ずと言ってよいほど同じような言説が流布される。つまり、自らの危機感を沖縄の新聞批判にすり替えることで、民意を矮小化する』ということではないのか。『偏向キャンペーン』」の、どす黒い背景が見え隠れする。」、ということである。
 そして、沖縄タイムスと琉球新報の二紙が、日本の状況の中で毅然としていられるのかも、はっきりしている。
 安田は、このように説いてみせる。


「『憲法や言論の自由が天から降ってきた本土とは決定的に違う』という言葉だった。『沖縄では、人々が虫けらのように扱われてきた時代がある。だから、一歩、一歩、権利を勝ち取ってきた。戦争で肉親を奪われた人々が、血の染み込んだ土地で、人権のための闘いを繰り返してきたんです』。念仏のように唱えていれば何かが保障されているような気になる、甘ったれた民主主義とはわけが違うのだ。それは新聞も同じだ。」


 安田は、こうもまとめる。
 そして、このことの意味を日本人全体に問いかけている。


「沖縄の記者は、沖縄で沖縄の苦渋を吸収しながら、沖縄をさらに知っていく。そして、その場所から沖縄を発信していく。それは『偏向』なんかじゃない。記者としての軸足だ。地方紙の果たすべき役割なのだ。」


by asyagi-df-2014 | 2016-10-02 06:02 | 本等からのもの | Comments(0)

沖縄-辺野古・高江から-2016年10月1日

 2016年10月1日、沖縄-辺野古・高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


 琉球新報は、ノグチゲラの姿を通して、高江の森の輝きを、「命輝かせ」と伝える。
人の命が、森とともに活かされている証。
 この輝きを失ってはいけない。


(1)琉球新報-ノグチゲラ、命輝かせ 東村高江-2016年10月1日 05:00


 琉球新報は、高江の森の輝きを、「新たにヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)が建設される予定の東村高江の米軍北部訓練場に接する新川ダム付近で30日、国の特別天然記念物に指定されるノグチゲラ1羽が餌を探している様子が確認された。ノグチゲラは鋭い声で『フイッ』と鳴きながら虫などの餌を探し、木から木に飛び移っていた。ノグチゲラは沖縄本島の固有種で、3月から6月ごろにイタジイなどの枯死木や半枯死木に穴を掘って営巣する。」、と伝えた。


(2)琉球新報-市民ら約150人が座り込み 北部ヘリパッド建設-2016年10月1日 12:31


 琉球新報は、高江の状況について、次のように報じた。


①「東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設に反対する市民ら約150人は10月1日午前、N1地区ゲート前に座り込み、抗議の声を上げた。資材を積んだダンプ12台はN1ゲートに行かず、メーンゲートに資材を搬入した。」
②「抗議市民は毎週水曜日と土曜日に〝一斉行動〟と称して、大勢による抗議行動を展開している。市民らは1日午前6時ごろからN1ゲート前で座り込みを始め、午前8時までに約150人の市民が集まった。座り込みに参加している川上光男さん(58)=那覇市=は工事が進んでいる現状について『工事を少しでも遅らせることが大切だ。辛抱強く、地道にやる必要がある』と話す。その上で『人任せにしないで、より多くの人が抗議活動に参加してくれれば、もっと工事を遅らせることはできる』と参加を呼び掛けた。」
③「市民ら約20人は米軍提供施設区域内に入っての抗議活動を展開している。」


(3)琉球新報-県警「命綱」は「人を支えられない」 市民縛ったロープ、製造業者が明言-2016年10月1日 07:30


 琉球新報は、機動隊員が抗議市民をロープで斜面を引き上げて排除した件について、次のように伝えた。


①「東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設で、28日に米軍提供施設内の工事現場周辺で機動隊員が抗議市民をロープで斜面を引き上げて排除した件で、ロープが人や物を支える用途では作られていない標識用のロープだったことが30日、分かった。」
②「市民らに結び付けられたロープは黄色と黒のしま模様で、通称『トラロープ』と呼ばれる。直径は約1センチ。愛知県でトラロープを製造する会社は本紙の取材に対し『人や物を支えたりする用途では作られていない。強度は弱い』と回答した。」
③「県警は取材に対し、市民らが刑事特別法に違反して提供施設内に入ったことを強調しつつ『落差10メートルの急斜面が雨の後で滑りやすく、高齢者も多かったためロープ2本を手すりに、別の2本を命綱として使用した』と説明した。『速やかに危険防止と安全確保を図る必要があったため、やむを得ず現場にあった物を使った。警察官5、6人で押し上げるなど安全策を徹底した』と答えた。」
④「ロープを使用された名護市の60代女性は『手を上げた際、体を擦り抜けた。私を引っ張るためのロープで命綱ではない』と反論した。」
⑤「県山岳連盟・雨宮節会長の話」:「トラロープは原則から言うと、強度が弱いため人命が関わるときには使ってはいけないし、全く適さない。ただ、手すりとしての使用や2本以上での同時使用は補助的には問題ない。現場が斜面で真下につるされている状態ではないので、使用する可能性は考えられる。」


(4)沖縄タイムス-<米軍ヘリパッド>警察、抗議の市民を「凶悪犯」呼ばわり-2016年10月1日 06:47


 沖縄タイムスは、「沖縄県東村高江周辺の米軍北部訓練場内ヘリパッド建設に反対する市民らが27日に訓練場内で抗議行動した際、警察官が市民の1人に対し『凶悪犯罪者』と発言していたことが分かった。北谷町の30代男性は『誰も傷つけているわけでもないのに、凶悪犯罪者呼ばわりはおかしい』と話している。」、と報じた。
 また、「男性によるとH地区にある重機の前で座り込みしている際、機動隊員らに複数回排除された。後方から首を押さえつけられ、あおむけにされて複数の警察官に押さえつけられたため、男性が『何でこんなひどい暴力をふるうのか。自分はそんなに凶悪犯罪者じゃないでしょ』と問うと、1人が『いえ、あなたは米軍の提供区域に入っているから凶悪犯罪者です』と発言したという。男性は『誰もやりたくて基地に入っているわけじゃないし、こんなことやりたくない。どれだけ反対の民意が示されても政府が建設を強行する。誰のせいでみんなここまでやっていると思っているのか』と述べた。」、と伝えた。


(5)沖縄タイムス-<米軍ヘリパッド>稲田防衛相「法の順守を」-2016年10月1日 07:02


 沖縄タイムスは、「稲田朋美防衛相は30日、閣議後の会見で、米軍北部訓練場のヘリパッド建設に反対し、訓練場内で抗議活動をしている市民らへの摘発などの対応を問われ、『何か不測の衝突が反対の人たちと(工事関係者の間で)起こらないようにするのが、両方の安全確保のために必要だろう。当たり前だが法律には従うということが重要』と答えた。」、と報じた。
 また、「北部訓練場内では木の伐採などを止めようと、建設に反対する人たちが抗議活動を行っている。29日の県議会で県警の池田克史本部長は「米軍提供施設内であり刑事特別法にすでに違反している」と答弁。『急な斜面で滑落する恐れがあり命綱代わり』などとして、警察機動隊員らが抗議者にロープを結び付けた。稲田防衛相は『どこの場所であれ、それぞれ法律に従って行動はすべきだ』と法の順守を求めた。」、と伝えた。


(6)沖縄タイムス-東京・武蔵野市議会、高江ヘリパッドに反対の意見書-2016年10月1日 09:42


沖縄タイムスは、武蔵野市議会が、高江ヘリパットに反対の意見書を可決したことについて、次のように報じた。


①「東村高江周辺での米軍北部訓練場内ヘリパッド建設を巡り、武蔵野市議会(深沢達也議長、26人)は30日の本会議で、『住民の安心とやんばるの森の自然環境の保全を求める意見書』を賛成多数(15人)で可決した。高江のヘリパッド建設に関し、反対の民意の尊重を求める意見書の可決は県外で初めてという。国政野党系や公明会派が賛成した。」
②「意見書では県内の選挙結果、県議会意見書などで示された『米軍基地・ヘリパッド建設反対の民意を尊重するべきだ』とし、政府に『対話を通じて解決の道を探るべきだ』と主張。『生活の安心と自然環境の保全を図るよう求める』としている。宛先は首相のほか、総務、防衛、外務、沖縄担当の各大臣。」
③「本会議では賛成、反対の立場から討論があり、賛成の議員は『建設は負担軽減につながらない』『民意を尊重するのは当然』などと強調。反対の議員は、武蔵野市に関係ない事案について意見するべきでないなどと主張した。提案者の一人、内山さとこ市議は『民意を尊重しない理不尽な工事はあってはならない。他の自治体でも沖縄の現実に声を上げることは大事だ』と話した。同議会は昨年9月、名護市辺野古での新基地建設に対し、地方自治の尊重を求める意見書を可決している。」
④「意見書を働き掛けた市民団体『辺野古アクションむさしの』の高木一彦主宰は『辺野古や高江での抗議行動を見捨てることなく一緒に闘っていきたい』と述べた。同団体は高江に派遣されている警視庁機動隊への公金支出は違法不当とし、都監査委員に住民監査請求を行う予定。」


 以下、沖縄タイムス、琉球新報の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-01 21:29 | 沖縄から | Comments(0)

本来は正当な表現である市民の抗議活動に対する「ロープでの身体拘束」が、許されていいはずがない。

 この問題は、「本来は正当な表現である市民の抗議活動に対する、警察官による『ロープでの身体拘束』が、許されていいのか、ということにある。

 琉球新報は2016年9月29日、その社説で、「優先すべきは工事ではなく、市民の安全である。その当たり前のことさえ理解できない機動隊は、即座に撤収すべきだ。」、と主張した。
この社説から、この問題を考える。
 琉球新報は、経過を、「東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場内に新設されるヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)のうち、H地区の工事現場周辺で、木の伐採を阻止しようとした市民十数人を、機動隊員がロープで縛った上で強制排除した。」、と説明する。
 また、「機動隊員は、数メートルの高さがあるヘリパッド造成地の斜面に座り込むなどしていた市民一人一人の腰などにロープを巻き付けた。斜面上の機動隊員がそのロープを引っ張り、下にいた機動隊員が市民を抱える形で上に運んだ。録画されているのを意識してか、市民が撮影した動画には機動隊員が『移動をお願いします』と丁寧に促す言葉も入っている。」、と伝えた。
 しかし、琉球新報は、次のように実態を指摘する。


(1)だが、言葉と裏腹にやっていることは乱暴過ぎる。市民を物として扱っているとしか思えない。市民を縛った工事用の細いロープは体に食い込み、相当な苦痛を与えることは容易に想像がつく。これが機動隊のやることなのか。
(2)女性の一人は『リュックサックにロープを結ばれたので、引っ張り上げられた時に首が絞まるような形になった』と話している。極めて危険な行為であり、到底認めることはできない。
(3)足首をひねった50代男性のため、救急車を呼ぶよう市民が求めても、機動隊側は当初無視したという。けがを負った市民を一時的であれ、放置したことは看過できない。


 また、琉球新報は、政府の今後の方針について、「政府は米軍提供施設内への市民の立ち入りに対し、刑事特別法を適用し、逮捕する方向で調整している。基地警備員や沖縄防衛局職員をその任に当たらせる方針とされる。」、と伝える。
 琉球新報は、今回の警察の動きに対して、次のように押さえる。


(1)横田達弁護士は「基地内での私人逮捕は法律的にできなくはない。だが、本来の職務を逸脱した不当な逮捕になる」と指摘している。防衛局の職員が政府として推し進める工事で「私人」を装うことは許されない。
(2)子や孫、沖縄の将来のため、座り込む市民に対し、政府が刑特法を適用して逮捕するなら「弾圧国家」のそしりを免れない。
(3)沖縄に過重な米軍基地負担を押し付け何ら恥じないばかりか、抗議する市民を暴力的に排除し、逮捕まで画策する。そんな政府に正義はない。


 今回の警察の行為は、「本来の職務を逸脱した不当な逮捕」であり、 市民の正当な抗議活動に対する「ロープでの身体拘束」は、許されない。
 安倍晋三政権は、「子や孫、沖縄の将来のため、座り込む市民に対し、政府が刑特法を適用して逮捕するなら『弾圧国家』のそしりを免れない。」との琉球新報の指摘を、肝に命じなければならない。
 機動隊は、即座に撤収しなくてはならない。


 以下、琉球新報の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-01 05:46 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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