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日本軍「慰安婦」問題、「慰安婦問題日韓で合意。」を考える。(2)

 この合意に関しての「少女像の移転」について、「日本政府関係者はこう語る。『韓国がこれからかく汗の量は半端ではない』」との朝日新聞の記事は、どう考えても筋違いである。
 当然、次のような記事に繋がることは明白ではないか。
 朝日新聞は2015年12月30日、「日韓両政府が慰安婦問題を決着させるとした合意について、元慰安婦を支援する日本国内の団体でつくる『日本軍『慰安婦』問題解決全国行動』は29日、『被害者不在の『妥結』は『解決』ではない』とする声明を発表した。声明は、政府間協議が『被害者不在』と批判。『日本政府が責任を認めたことは被害者と市民運動が勝ち取った成果』とする一方、少女像の移転について『勝手な【合意】は被害者を再び冒瀆(ぼうとく)する』と反発した。
 さらに安倍晋三首相の『おわびと反省』をめぐり、首相が朴槿恵(パククネ)大統領との電話で表明したことに対し、『被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明する』よう求めた。この団体など各国の元慰安婦や支援団体は昨年6月に『解決策』をまとめ、日本政府に提出している。」、と報じた。
 また、「戦後補償や在日コリアンの問題にかかわってきた弁護士ら37人も30日、声明をまとめた。日本政府に対し『加害に具体的に言及し、責任を認め誠実に謝罪し、謝罪の証しとして賠償などの具体的措置を実施する』ことを求めた。」、と続けた。

 
 「被害者不在の『妥結』は『解決』ではない」と主張する日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の声明で触れられている「日本政府への要求」は次のものである


① 総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること。
② 日本国の責任や河野談話で認めた事実に反する発言を公人がした場合に、これに断固として反駁し、ヘイトスピーチに対しても断固とした態度をとること。
③ 名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業には、被害者が何よりも求めている日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育を含めること。
④ アジア・太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとること。


 今回の『合意』を受けての「現状の中で、今回の『合意』の重さをを考える時、東京新聞の『従軍慰安婦問題で合意【妥結】の重さ』という意味が、現在の状況の中で、この『合意』を判断する上で、重要になってくると考えざるを得ないのではないか。」という自分自身の判断は、「日本政府は、ようやく国家の責任を認めた。安倍政権がこれを認めたことは、四半世紀もの間、屈することなくたたかって来た日本軍「慰安婦」被害者と市民運動が勝ち取った成果である。」(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の声明)ということに重きを置く状況判断に寄りかかっていることは間違いない。
 確かに、安倍晋三政権の動きに容易に踊らされていることへの反省はしなければならない。
 ただ、この妥結に意味をもたせていくことは重要なのではないかと思いはある。
 だとすれば、このためには、日本政府に前回のものに加えて、次のことを要求し、実現させなければならない。


① 総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること。
②日本側で出版されている大日本帝国軍従軍慰安婦制度を史実否定や歴史修正や韓国ヘイトや女性蔑視の立場から扱っている歴史修正出版物について、「それらは日本政府の立場とは相いれず、日本政府はそれらの出版物を史実として認めない」と公式に表明すること。
③日本の政治家、政府高官、政府関係者から、大日本帝国軍従軍慰安婦制度について、史実否定や歴史修正や韓国ヘイトや女性蔑視の立場から蒸し返す発言が出たら、「それは日本政府の立場とは相いれない」と首相自らコメントし、そのような発言をした者の政府内での職を解くこと。
④名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業には、被害者が何よりも求めている日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育を含めること。
⑤アジア・太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとること。


 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-31 10:18 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

日本軍「慰安婦」問題、「慰安婦問題日韓で合意。」を考える。

 慰安婦問題の日韓(2015年12月28日)の合意(以下、「合意」とする)をどのように考えれば良いのか。 
朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、読売新聞の各社の社説の見出しは、次のとおりである。
①朝日新聞社説-慰安婦問題の合意 歴史を越え日韓の前進を
②毎日新聞社説-慰安婦問題 日韓の合意を歓迎する
③東京新聞-従軍慰安婦問題で合意 「妥結」の重さを学んだ
④読売新聞-慰安婦問題合意 韓国は「不可逆的解決」を守れ
 またしても、読売新聞だけは「その主たる責任は無論、韓国側にある」といった「加害者責任を放棄した本末転倒」の論調であるのだが、他の三社は、この「合意」の積極的な受入れを結論づけている。
 例えば、朝日新聞の主張を要約すると次のようになる。


①節目の年にふさわしい歴史的な日韓関係の進展である。両政府がわだかまりを越え、負の歴史を克服するための賢明な一歩を刻んだことを歓迎したい。
②きのうあった外相会談の後、岸田外相は慰安婦問題を「軍の関与のもと多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題」と定義し、「日本政府は責任を痛感している」と明言した。
③安倍首相は日本の首相として元慰安婦に対し、「心からのおわびと反省」を表明した。
④一方、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相も日本政府に応えた。今回の合意について、「日本政府の措置の着実な実施」という前提つきながら、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と言い切った。日本側から「韓国は約束してもゴールポストを動かす」と批判されていたことを意識したうえでの確約の表明である。
⑤両外相ともメディアを通じて両国民に固く誓ったのだ。合意をしっかり履行してほしい。
⑥韓国政府は、元慰安婦の名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やすための財団をつくり、そこに日本政府が約10億円を国家予算から拠出する。
⑦今回の合意は、新たな日韓関係を築くうえで貴重な土台の一つとなる。日本政府は誠実に合意を履行し、韓国政府は真剣に国内での対話を強める以外に道はない。


 そして、この上で朝日新聞は、「経済だけでなく、安全保障や紛争・災害の人道支援、環境対策など、地球規模の課題が多い時代、アジアを代表する主要国同士の日韓が手を携えて取り組むべきテーマは数知れない。両外相はきのう、ともに『日韓関係が新時代に入ることを確信している』『来年から新しい関係を切り開けることを期待する』と期待を述べた。3日後の新年からは、日韓がともに前を向いて歩む50年の始まりとしたい。」、と結論づけた。

 毎日新聞は、この「合意」の意義を、次のようにまとめた。


①韓国は「反人道的な不法行為」である慰安婦問題は請求権協定で解決されていないという立場から「法的責任」を求めてきた。道義的か法的かを、あえて明確にしないことで双方が歩み寄り、決着につながった。
②日本政府が韓国の設立する財団に10億円を拠出する点も大きい。アジア女性基金は国民からの寄付金を軸にしたため韓国側が「政府の責任をごまかそうとしている」と反発した。公的な資金を出すことは政府の責任をより明確化させることになる。
③今回の合意について「最終的で不可逆的な解決」であることを確認したことは両国の信頼構築につながる。これにより、国連など国際社会での非難合戦という不毛な争いにも終止符が打たれるはずだ。


 また、毎日新聞は日韓両国の今後の「合意」の課題として次のことを指摘している。


「韓国政府は、日本が強く問題視する在韓日本大使館前に建つ少女像の撤去にも前向きな姿勢を見せた。韓国で慰安婦問題の象徴になっているだけに簡単ではなかろう。真の和解につながる歴史的合意とするためには、まだ多くの作業が残っている。日韓両国が互いを信頼し、協力していかねばならない。
 日本は、解決策が最終的なものとなる確約を重視した。韓国政府が日本の対応をいったん評価してから、世論の反発を受けると一転して強硬姿勢に転じることを繰り返してきたという思いがあるからだ。アジア女性基金の取り組みを無視されたといういらだちもあった。 ただ、問題を蒸し返してきたのは韓国側だけではない。政府間で前向きな動きがあっても、日本の政治家やメディアが植民地支配を正当化したり、元慰安婦を中傷したりしたことが、日韓関係をより複雑化させてきたことは事実だ。」


 この上で、毎日新聞は、「日本にとって韓国は最も重要な隣国である。外交はそもそも互いに譲り合わなければ成り立たない。今回の合意内容について、どちらが多く譲ったかの『勝ち負け論』に陥ることなく、日韓の新時代を切り開く基礎にすべきである。」、とまとめている。

 東京新聞は、この「合意」について、「日韓外相は『解決』『決着』という言葉を使ったが、一連の交渉経過を見れば、キーワードは『妥結』という表現ではないか。実は韓国語にも妥結(タギョル)という漢語があり、日韓の辞典を見ると『利害の対立する者が折れ合って、話をまとめる』という部分が共通している。両首脳は当初の主張を和らげ互いに譲歩した。国内の反対世論を説得する決断もしたということだろう。」、と新たな意味を解釈して見せた。
 その上で、「合意」の妥結を急がねばならない両政府の事情について、「元慰安婦の韓国人女性は生存者四十六人、平均年齢は九十歳近く、交渉をずっと続ける時間的余裕はなかった。また慰安婦問題で関係が冷えこんだままでは、経済、安保など協力すべき分野が進まないという不満が、双方の国内から出ていた。」、と解説する。
 また、あわせて、「日韓双方の背中を押したのは米国だった。オバマ政権は韓国に対し、歴史問題にこだわるばかりでは日米韓の共助体制が崩れていくと批判した。一方で、戦時下の女性に対する性暴力は深刻な人権侵害だとして、日本側に慰安婦問題の解決を迫った。
」、というもう一つの背景を示した。


一方、朝日新聞は、韓国側の「屈辱的」「政府に違う」との相反する内容の次の記事を掲載し、東京新聞は「火種は残っている」と表現しているが、このことを「合意」を考える上で、どのように考えていくのかが重要である。
 例えば、朝日新聞の次の記事である。


「元慰安婦の支援団体『韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会』(挺対協)は会談終了後、『屈辱的だ』と反発する声明を発表し、『慰安婦は日本政府が主導した犯罪であり、不法という点が明らかになっていない』と批判。安倍首相による直接の謝罪もなかったとして『真心がこもった謝罪と受け入れるのは難しい』とした。さらに真相究明や歴史教育などの『再発防止措置』への言及もないと指摘、韓国政府が受け入れたことは『衝撃だ』とした。
 一方、韓国のYTNテレビは『政府が年内に解決しようとしてくれたのだから、努力してくれた人たちのことを考えて、政府が決めたことに従いたい』という元慰安婦の女性のインタビューを放送した。」


 これまでも、日本軍「慰安婦」と従軍慰安婦という言葉のどちらを使用するのかで、問題の本質の捉え方は違ってくる。
 本来、この日本軍「慰安婦」問題の解決のためには、「女性国際戦犯法廷」の最終判決文の次の指摘を日本政府が行うことが必要となることは言うまでもない。


1.「慰安婦」制度の設立に責任と義務があること、この制度が国際法に違反するものであることを全面的に認めること。
2.法的責任をとり、二度と繰り返さないと保証し、完全で誠実な謝罪を行うこと。
3.ここで宣言された違反の結果として、犠牲者、サバイバーおよび回復を受ける権利がある者に対し、政府として、被害を救済し将来の再発を防ぐのに適切な金額の、損害賠償を行うこと。
4.軍性奴隷制について徹底的な調査を実施する機構を設立し、資料を公開し、歴史に残すことを可能にすること。
5.サバイバーたちと協議の上で、戦時中、過渡期、占領期および植民地時代に犯されたジェンダーに関わる犯罪の歴史的記録を作成する「真実和解委員会」の設立を検討すること。
6.記憶にとどめ、「二度と繰り返さない」と約束するために、記念館、博物館、図書館を設立することで、犠牲者とサバイバーたちを認知し、名誉を称えること。
7.あらゆるレベルでの教科書に意味のある記述を行い、また、研究者および執筆者に助成するなど、公式、非公式の教育施策を行うこと。違反行為や将来の世代を教育する努力が行われること。犯罪の原因、犯罪を無視する社会、再発を防止するための手段などを調査する努力をすること。
8.軍隊とジェンダー不平等との関係について、また、性の平等と地域のすべての人々の尊重を実現するための必要条件について、教育を支援すること。
9.帰国を望むサバイバーを帰国させること。
10.政府が所有する「慰安所」に関するあらゆる文書とその他の資料を公開すること。
11.「慰安所」の設置とそのための徴集に関与した主要な実行行為者をつきとめ、処罰すること。
12.家族や近親者から要望があれば、亡くなった犠牲者の遺骨を探して返還すること。


 また、韓国挺身隊問題対策協議会(以下、挺対協とする)は、「12.28日韓外相会談」に向けて、特に、「『平和の碑』の撤去と『二度と問題を蒸し返さないという約束』の提示」について、次の論評を発表していた。


 解決の前提条件として「平和の碑」の撤去と「二度と問題を蒸し返さないという約束」を提示していることは、安倍政権が表向きには日本軍「慰安婦」問題の解決を口にしながら、実は日本軍「慰安婦」問題を解決する意思がないのだとしか解釈できない。さらにこれは、仮に日本軍「慰安婦」問題が未解決のまま残された場合に、その責任を被害者側である韓国社会に押しつけるための術策ではないかとさえ思われる。

―「平和の碑」は、1992年1月8日に始まった水曜デモが2011年12月14日に1000回を迎えた日に、20年以上も毎週水曜日にその場所で訴えてきたハルモニたちと私たちの歴史を記憶するために建てたものだ。過去の辛い歴史を記憶することを超えて、被害者と市民の1000回もの叫び、20年もの歳月あきらめずに水曜デモをおこなってきた過程を表現したものである。そして、戦争を経験していない若い世代に、生きた歴史教育の場として、人権と平和教育の教室として、被害者の人権擁護活動の象徴として積み重ねてきたその歴史を前向きに評価し、褒め称えて「平和の碑」を建てたのである。ところがこれの撤去を条件とすることは、加害者が被害者の問題解決の歴史を抹消しようとする暴力的な動きであり、新たな障害を作り出すものである。

―「二度と問題を蒸し返さないという約束」をしろという前提条件も、加害者側が出してはいけないもので、ありえないことだ。それは、日本政府の正しい責任履行によって実現されることで、韓国政府が前提条件として約束する事柄ではないからである。
3.私たちは、日本軍「慰安婦」問題解決のため、25年間、諦めずに走ってきた。その成果が国連と国際社会の決議採択、日本政府への勧告を引き出し、韓国憲法裁判所の判決を生み出したのだと思う。また、このような圧力によって、日韓政府が日本軍「慰安婦」問題を外交議題として議論するようになったのだと思っている。12月28日に予定されている日韓外相会談は、25年もの間努力してきた、このような被害者たちの活動とアジアの被害国の女性たち、そして国際社会の努力が実を結ぶような形で結果が引き出されなければならない。


 挺対協は、その論評を、「万が一にも懸念される、外交辞令でお茶を濁すような解決ではなく、被害者が心から納得できる、受け入れることのできる、速やかで正しい解決を願う」、とまとめている。


 ただ、現状の中で、今回の「合意」の重さをを考える時、東京新聞の「従軍慰安婦問題で合意『妥結』の重さ」という意味が、現在の状況の中で、この「合意」を判断する上で、重要になってくると考えざるを得ないのではないか。
 だとしたら、村野瀬玲奈の次の指摘を、「その責任を被害者側である韓国社会に押しつけるための術策ではないかとさえ思われる。」という疑念を払拭するために、「合意」の日本側の責任の取り方として、日本政府に守らせなければならない。


①日本側で出版されている大日本帝国軍従軍慰安婦制度を史実否定や歴史修正や韓国ヘイトや女性蔑視の立場から扱っている歴史修正出版物について、「それらは日本政府の立場とは相いれず、日本政府はそれらの出版物を史実として認めない」と公式に表明すること。
②日本の政治家、政府高官、政府関係者から、大日本帝国軍従軍慰安婦制度について、史実否定や歴史修正や韓国ヘイトや女性蔑視の立場から蒸し返す発言が出たら、「それは日本政府の立場とは相いれない」と首相自らコメントし、そのような発言をした者の政府内での職を解くこと。


 今回の「合意」を、やはり、「日本にとって韓国は最も重要な隣国である。日韓の新時代を切り開く基礎」と考えたい。


 以下、各新聞社の社説及び「村野瀬玲奈の秘書課広報室」ブログの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-31 06:00 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

沖縄から-辺野古新基地建設をめぐる今。軍準機関紙「米星条旗」は「現時点では滑走路建設は宙に浮いた状態だ」と報道。

 沖縄タイムスは、辺野古新基地建設をめぐる状況について、次の記事を掲載した。
 

 「米軍準機関紙『米星条旗』は29日、米海兵隊の2016年を占う主な出来事の一つに米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題を挙げた。国と県の法廷闘争により、『計画の将来は裁判所の手に委ねられている』と先行きを疑問視する見方を伝えている。同紙は、多くの県民にとって、米海兵隊のグアム移転計画の難点とは、完了後も『あまりにも多くの海兵隊が島に残るという事実だ』と指摘。翁長雄志知事が埋め立て取り消しをしたのに対し、日本政府は取り消しを却下する訴訟を起こしたと経過を説明し、『現時点では滑走路建設は宙に浮いた状態だ』と報じた。
 海兵隊紙『マリンコー・タイムズ』は、来年は辺野古移設をめぐり、日本政府と県の間で複数の法廷闘争が繰り広げられると指摘。辺野古移設をめぐる情勢は緊迫しているが、『問題はあるが太平洋地域の海兵隊部隊の再編は進むだろう』と予測。米連邦議会がこれまで凍結してきた日本政府の拠出金を含むグアム移転予算の承認で、グアムでの建設工事が進められていると報じた。」


 「名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局が設置した環境監視等委員会の委員4人が建設工事関連の受注業者から寄付金を受け取っていた問題で、同委は28日、委員が受注業者からの寄付金を今後受領しないようルール化する方針を固めた。業者に対しては、委員や大学への寄付を自粛するよう防衛局が要請する。同日の第6回会合で防衛局が方針を提案し、出席した委員10人が了承した。欠席した委員3人には防衛局が説明し、中村由行委員長(横浜国立大大学院教授)が最終判断する。」


以下、沖縄タイムスに引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-30 13:26 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-沖縄タイムスが説く、辺野古抗告訴訟のポイント。

 沖縄県が2015年12月25日に起こした抗告訴訟について、沖縄タイムスは2015年12月28日「弁護団が『最大の争点』というように今回のケースで県が国を訴える資格があることや、国交相決定で県の利益が侵害されていることなどを強調。決定の違法性を指摘している。訴状と申立書のポイントをまとめた。」、との記事を掲載した。

 そのポイントとして、①国交相 執行停止の違法性、②新基地建設 中止の緊急性、③侵害される利益、④抗告訴訟の適格性 、について次のようにまとめている。


①国交相 執行停止の違法性
・県の埋め立て承認取り消しに対する石井国交相の執行停止について、県は私人の権利救済を目的とする行政不服審査制度は国(沖縄防衛局)に請求資格がなく、「不適法で却下されるべきもの」でありながら、「辺野古移設という内閣の一致した方針」に従い違法に執行停止を決定したと指摘する。
・地方自治の保障の観点からも国が不服を申し立てる問題点を指摘する。地方自治法改正で国と地方自治体の関係は「対等・協力」であり、両者の調整は司法の判断に委ねるとされた理念に適合しないと主張する。
・沖縄防衛局が私人と同様に位置付けられるかどうか「固有の資格」の有無の判断では、埋め立ての「承認」は国が対象で、「免許」を得る私人とは区別されると説明。外交・防衛上の条約に基づく基地の提供を目的とした基地建設は国家としての「固有の資格」の立場であり、防衛局は「私人」ではなく執行停止を申し立てる資格がないと強調する。
・沖縄防衛局の執行停止申し立てを国交相が判断するという国同士となる構図に「同一の行政主体が行政目的実現のために結論ありきの偏った判断がなされる恐れがある」と、客観性・公平性の問題も挙げた。代執行手続きの閣議決定と同日の国交相の執行停止決定は、裁決を避けて代執行を優先させる目的であるとし、「行政不服審査手続きを棚上げ・塩漬けするもの」で「執行停止決定権限の悪用」とも批判した。


②新基地建設 中止の緊急性
・執行停止の申立書で、県は石井国交相の執行停止を止めるべき緊急性について、環境面を中心に「工事が進行してから工事を違法とする判決が下されたとしても、沖縄県が被る損害の回復は不可能」として、作業の進行が既成事実化につながることを防ぐ点からも急ぐ必要性があると主張する。
・県は「事業対象区域周辺の生物環境は広範囲に破壊され、どれほどの資金を投入しようとも、どれだけの努力を行おうとも絶対に元に戻すことは出来ない『重大』な損害が生ずることは余りにも当然」と環境の不可逆性を強調している。
・新基地建設は「危険の除去」ではなく「危険の移転」であるとして「部分的にでも供用が開始すれば回復できない以上、速やかに食い止めるべき緊急の必要性がある」と主張する。
・裁判の判決が出るまでの間に工事が進むことで「沖縄県民の意思に反して、自らの管理の及ばない広大な土地が生ぜしめる既成事実が刻一刻と積み重ねられていく」と懸念を示した。
・国交相の執行停止によって作業が可能な状態となった沖縄防衛局の立場は「工事着工の遅れで生じる可能性がある違約金等を免れる利益くらい」であり、工事の着工にも至っていない現段階では「考慮に値すべき利益とは到底言い難い」として、「埋め立て承認取り消し処分の執行停止」の必要性はないとする指摘も盛り込んだ。


③侵害される利益
・埋め立てで、海草藻場、ジュゴン、ウミガメ、サンゴ類など自然環境への影響のほか、航空機騒音などによる生活環境への影響も避けられない。自然環境は一度消失すると再生不可能。恒久的な米軍基地の建設は恒久的な航空機騒音などの被害を周辺に与える。その結果、県の環境保全や利用にかかる計画の立案や実行も不可能になる。
・米軍基地の建設は自治権を直接的に制約し、自治権の空白地帯を設定するものにほかならない。米軍基地の存在は県の地域振興開発の重大な阻害要因で、環境被害や犯罪など被害は甚大。行政権の行使は著しく制限される。
・沖縄県の自己決定によらずに新基地を建設して、基地負担を固定化することは憲法92条が保障する自治権を侵害するものにほかならない。
・本件執行停止決定は、公有水面埋立法4条1項1号、同2号により保護された沖縄県の固有の利益を侵害するものであり、本件執行停止決定を取り消すことについて、沖縄県には法律上の利益が認められるから、抗告訴訟の出訴資格が認められる。


④抗告訴訟の適格性
・県に抗告訴訟の資格があるかどうかをめぐり、訴状は、知事の埋め立て承認取り消しの効力が国に停止されたことで「新基地建設工事が始まってしまっているという不利益」が生じていると指摘している。加えて、県が被る不利益は抗告訴訟の提起以外に司法的救済方法がないと主張し、県に提起の適格性があると主張している。
・地方自治体が抗告訴訟を起こす行為に否定的な見解があるが、独、仏、英米諸国のほか、日本国内の学説でも、地方自治体が国家の行為を訴える資格があるとする論考が多数あることを挙げ、反論している。
 例として塩野宏東大名誉教授や人見剛早稲田大法学学術院教授ら複数の法学者による論文を引用。
 「制定法上、地方公共団体の(利益の)侵害を、訴訟をもって(自治体が)攻撃し得ることは認められるであろう」(塩野氏)、「公益を理由に原告の適格が否定されるのは、原告が一般私人であるからである。地方自治体の原告適格を否定する理由にはならず、むしろ自治体のみが原告適格を有しうる」(人見氏)などの主張を列挙した。
 その上で、国交相による執行停止決定で「県の利益が侵害されている」とし、国と県が上命下服の関係にあるわけではなく、意思形成の独立性があると訴えている。


 以下、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-30 06:01 | 沖縄から | Comments(0)

日本軍慰安婦問題、日韓で合意。

 日韓両政府が、慰安婦問題を結着させることで合意したことについて、朝日新聞は2015年12月28日、「日韓両政府は28日、ソウルで外相会談を開き、慰安婦問題を決着させることで合意した。日本政府が軍の関与や政府の責任を認め、元慰安婦支援で韓国政府が新たに設立する財団に日本から10億円を拠出すると表明。日韓双方が、この枠組みを「最終的かつ不可逆的解決」とすることを確認した。
 日韓関係の最大の懸案の一つだった慰安婦問題は、安倍晋三首相と朴槿恵(パククネ)大統領の政治決断により国交正常化50年の節目に決着を迎えた。両国関係は今後、改善に向けて大きく進む可能性がある。」、と報じた。
 一方で、「日韓両政府の合意について、韓国側では元慰安婦の支援団体などから反発の声が上がった。」、と伝え、「元慰安婦の支援団体『韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会』(挺対協)は会談終了後、『屈辱的だ』と反発する声明を発表し、『慰安婦は日本政府が主導した犯罪であり、不法という点が明らかになっていない』と批判。安倍首相による直接の謝罪もなかったとして『真心がこもった謝罪と受け入れるのは難しい』とした。さらに真相究明や歴史教育などの『再発防止措置』への言及もないと指摘、韓国政府が受け入れたことは『衝撃だ』とした。一方、韓国のYTNテレビは『政府が年内に解決しようとしてくれたのだから、努力してくれた人たちのことを考えて、政府が決めたことに従いたい』という元慰安婦の女性のインタビューを放送した。」、との声を報じた。

 なお、日韓外相の記者会見の模様を朝日新聞は、次のように伝えた。
■岸田外相
 ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。
 安倍首相は、日本国の首相として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。
 ②日本政府は、これまでも本問題に真摯(しんし)に取り組んできたところ、その経験に立って、今般、日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。
 ③日本政府は上記を表明するとともに、これらの措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
 あわせて、日本政府は、韓国政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。
 なお②の予算措置については、規模はおおむね10億円程度となった。以上については日韓両首脳の指示に基づいて行ってきた協議の結果であり、これをもって日韓関係が新時代に入ることを確信している。
■尹・韓国外相
 ①韓国政府は、日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取り組みを評価し、日本政府が表明した措置が着実に実施されるとの前提で、今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は、日本政府の実施する措置に協力する。
 ②韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体と話し合いを行い、適切なかたちで解決するよう努力する。
 ③韓国政府は、今般日本政府が表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに批判することは控える。
 国交正常化50年の今年中に岸田外相とこれまでの交渉に終止符を打ち、この場で交渉妥結を宣言できることをうれしく思う。今回の合意のフォローアップ措置が着実な形で履行され、辛酸をなめさせられた元慰安婦の方々の名誉と尊厳が回復され、心の傷がいやされることを心より祈念する。
 また両国の最もつらく厳しい懸案であった元慰安婦被害者問題の交渉が妥結したことを機に、来年からは新しい気持ちで、新しい日韓関係を切り開いていけることを期待する。


 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-29 18:18 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

原発問題-脱原発弁護団全国連絡会、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団の声明を読む。

 2015年12月24日の福井地裁高浜原発異議決定についての弁護団の声明を読む。
 その要約は、次のとおりである。


(主張)
 福島原発事故のような事故を二度と招いてはならないという観点から新規制基準の不合理性、基準地震動の策定手法の不合理性、津波の危険性、工学的安全性の欠如、シビアアクシデント対策・防災対策・テロ対策の不備といった様々な危険性を指摘しました。
(論点)
(1)本決定は、原子力規制委員会の判断に追随するだけの形で私たちの主張立証を排斥しました。
(2)基準地震動に関しては、「最新の知見に従って定めてきたとされる基準地震動を超える地震動が到来しているという事実」は、「当時の基準地震動の想定が十分でなかったことを示すものである」と認めながら、「いずれも福島原発事故を踏まえて策定された新規制基準下での基準地震動を超過したものではない」とし、新規制基準下ではこのようなことは起こらないとされています。
(3)一方で、本決定は、「新規制基準の策定に関与した専門家により『基準地震動の具体的な算出ルールは時間切れで作れず,どこまで厳しく規制するかは裁量次第になった』との指摘がされていること」も認めており、この認定からすれば、新規制基準における基準地震動の策定手法は見直されていないのですから、上記決定は、論理矛盾を来しているといわざるを得ません。
(4)本決定は、「あらかじめ判明している活断層と関連付けることが困難な地震でマグニチュード7を超えるものが起こる可能性を完全に否定することはできない」とし、「本件原発において燃料体等の損傷ないし溶融に至るような過酷事故が起こる可能性を全く否定するものではないのであり,万が一炉心溶融に至るような過酷事故が生じた場合に備え」なければならないとしています。本決定は、福島原発事故の深刻な被害から何も学ぼうとしない、極めて不当な決定であり、原発周辺住民が事故によって被害を受けることを容認していると言わざるを得ません。
(5)林潤裁判長は、11月13日の審尋期日の際に「常識的な時期」に決定を出すと発言しましたが、私たちが指摘したすべての問題点について正面から検討した上で本日12月24日に決定を出すというのは「常識的な時期」とは到底いえず、年末も押し迫った常識外れなこの時期に出した本決定は、高浜原発3・4号機の再稼働スケジュールに配慮した、結論ありきの決定であると言わざるを得ません。
(6)高浜原発3,4号機が再稼働して重大事故を起こした場合、その責任の重要部分は再稼働を許した3人の裁判官にあるということになります。
(結論)
 私たちは、このような不当決定に負けることはありません。なぜなら、理論的正当性も世論も私たちの側にあるからです。福島原発事故のような事故を二度と招いてはならない、豊かな国土とそこに根を下ろした生活を奪われたくない、子ども達の未来を守りたいという国民・市民の思いを遂げ、ひいては失われた司法に対する信頼を再び取り戻すため、最後まで闘い抜くことをお約束します。


 「福島原発事故のような事故を二度と招いてはならない」、「豊かな国土とそこに根を下ろした生活を奪われたくない」、「子ども達の未来を守りたいという国民・市民の思いを遂げる」。ということのために、私たちも、諦めないで、原発のない社会を取り戻すために、戦い抜きましょう。


 以下、弁護団声明の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-29 05:57 | 書くことから-原発 | Comments(0)

原発問題-福井地裁林潤裁判長の仮処分取り消し決定を考える。

高浜原発3・4号機は2015年4月14日、福井地方裁判所の樋口英明裁判長、原島麻由裁判官、三宅由子裁判官による運転差止仮処分命令が発令されていましたが、2015年12月24日、同裁判所の林潤裁判長、山口敦士裁判官、中村修輔裁判官により仮処分命令は取り消されました。  

 今回の判決での最大の問題点は、「3.11」をもたらした「安全神話」に埋没する役割を果たしてきた「伊方原発最高裁判決」の「高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委だねられている」という考え方を、踏襲させてしまったということである。
 したがって、この決定について各紙は、「逆回転が加速し始めたということか。」(東京新聞)、「まるで福島原発事故以前の司法に逆戻りしたかのようだ。」(朝日新聞)、「国民が心配するのは根拠の乏しい『安全神話』復活である。それを阻止できるのは司法しかない。」(神戸新聞)、「原発訴訟では、もっぱら行政判断の合理性に重点を置いて審査された結果、これまでほぼすべてで国や電力会社側が勝訴してきた。そうした司法の『前提』は、福島第1原発事故後、根拠無き原発安全神話を補強する側面を担ってきたというほかない。」(沖縄タイムス)、と厳しく指摘した。伝えた。
 「3.11」を克服するために、それ以後の原発のあり方は、少なくとも「安全神話」の否定が出発点であったはずであった。樋口判決は、まさしくこのことを実践したのであった。
 このことについても、「司法の判断が分かれた意味は重い。」(京都新聞)、「『絶対的安全性は存在しない』『過酷事故の可能性が全く否定されるものではない』と国や電力側に重層的な対策を求めた。重い言葉だが、同時に、裁判所は原発の安全性を担保する立場にないことを浮き彫りにしている。」(福井新聞)と、評している。


 いずれにしろ、このこ判決を受けた段階で言えるのは、「国も福井県も関電も、急ぐべきは再稼働ではなく、脱原発への道筋を描くことだと肝に銘じなければならない。4年9カ月が過ぎてなお収束のめどが立たない東京電力福島第1原発事故から、決して目を背けてはならない。」(愛媛新聞)、ということである。また、「政府も電力会社も、これらの問題点を置き去りにしたまま再稼働に突き進むことは許されない。」(朝日新聞)、ということでもある。


 このことについて、考えるために、各新聞の社説等を掲載する。
 2015年12月25日及び26日の各新聞社社説等の見出しは次のものである。

①河北新報社説- 高浜原発再稼働へ/安全のお墨付きではない
②中日新聞社説-大飯・高浜原発 安全は“神話”のままだ
③福井新聞論説-地裁、高浜再稼働容認 さらに安全対策を高めよ
④京都新聞社説-高浜原発異議審  再稼働の免罪符でない
⑤神戸新聞社説-高浜原発/割れる判断に事の重大性
⑥愛媛新聞社説-高浜原発の再稼働容認 地裁決定を「お墨付き」にするな
⑦沖縄タイムス社説-[高浜原発再稼働容認]行政を追認する決定だ
⑧朝日新聞社説-高浜原発訴訟 司法の役割はどこへ
⑨毎日新聞社説-高浜で逆転決定 絶対安全の保証でない
⑩東京新聞社説-大飯・高浜原発 安全は“神話”のままだ
⑪読売新聞社説-高浜再稼働へ 「差し止め」覆す合理的決定だ


 このところのいつも通りの主張である。
 読売の過ぎた政府・電力会社寄りの姿勢と、「司法の役割はどこへ」に類似したといった多くの批判的記事との違いが、際立つこのところのいつも通りの主張の一覧となっている。
 この主張を見てみる。


①河北新報社説
・政府や電力会社など推進側は、描いてきたシナリオの破綻が回避され、他原発でも再稼働の流れが加速すると歓迎しているが、今回の決定は安全のお墨付きではない。ましてや原発への不安や不信を取り払うものになり得ないことを肝に銘ずる必要がある。
・政府が「原子力規制委員会が適合と判断すれば再稼働を進める」との姿勢を決め込み、一方で規制委が「新基準適合と安全はイコールではない」と言い続ける構図は変わりがない。
・民意は「福島事故後は万が一の判断を避けることは許されない」と指摘した4月の仮処分決定の判断にこそ近いと言えるのではないか。
 仮処分の判断を不規則と片付けず、万が一の危険に謙虚に向き合い、前がかりに陥ることなく慎重に事を進める出発点にすべきだろう。
・エネルギー基本計画に定めた原発依存度低減の道筋を早期に示すことをはじめ、原発の不信や不透明感に応える第一の責任は政府にある。
 避難計画への関与や国民理解の促進で政府の責任が明確化された、と受け止める向きもあるようだが、まだまだ不十分と言わざるを得ない。
②中日新聞社説
・福井地裁(林潤裁判長)は、関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を差し止めた4月の仮処分決定を取り消した。地裁判断を不服として異議を申し立てた関電側の主張を全面的に受け入れた形だ。原発訴訟における司法の流れからすれば、ある程度予想された決定ではあるが、そのことで周辺住民らの事故不安が払拭(ふっしょく)されるものではない。
・裁判所は事業者の取った対策が「新規制基準に適合する」という規制委の判断を「合理的」としただけだ。規制委自身が何度も表明しているように、その判断は「安全」を保証するものではない。今回の福井地裁も「過酷事故の可能性がまったく否定されたものではない」と、はっきり述べているではないか。
・安全性も責任の所在もあいまいなまま、再稼働へひた走る。その状況が何も変わっていないということを、忘れてはならない。
③福井新聞論説
・地裁判断を不服として異議を申し立てた関電側の主張を全面的に受け入れた形だ。原発訴訟における司法の流れからすれば、ある程度予想された決定ではあるが、そのことで周辺住民らの事故不安が払拭(ふっしょく)されるものではない。
・今回は同じ地裁で真逆の判断である。林裁判長は「周辺住民の人格権が侵害される具体的な危険性はない」と認定した。国のエネルギー政策に重要な原発の安全性の判断を、同じ下級審で変えられたのでは司法への信頼が揺らがないか。
・林裁判長は福島原発事故の教訓を踏まえ「絶対的安全性は存在しない」「過酷事故の可能性が全く否定されるものではない」と国や電力側に重層的な対策を求めた。重い言葉だが、同時に、裁判所は原発の安全性を担保する立場にないことを浮き彫りにしている。
④京都新聞社説
・司法の判断が分かれた意味は重い。福島第1原発事故を経験した日本が、国民の安全をどのように確保するかがあらためて問われている。再稼働への免罪符を得たわけではない。
・再稼働への同意権は福井県の立地自治体にしかなく、過酷事故が発生すれば重大な影響を受ける京都府、滋賀県にはない。福井、京都、滋賀3府県の避難計画にもさまざまな課題が残っており、国民の理解は決して深まっていない。国と関電は再稼働を急ぐべきではない。
⑤神戸新聞社説
・国民が心配するのは根拠の乏しい「安全神話」復活である。それを阻止できるのは司法しかない。
・住民の生命・健康を守る問題にコミットとしないと宣言する規制委でよいのか。同じ地裁の判断が真っ二つに割れるのは、それだけ再稼働に多くの問題を残すということだろう。高浜3、4号機の再稼働を急ぐことより残された課題の解決が先だ。
⑥愛媛新聞社説
・地裁決定の前に政府は要求に応じるとし、同意の舞台を整えた形だ。関電も周辺自治体の理解取り付けに奔走した。地裁決定前のこうした用意周到な再稼働への段取りは、司法軽視であり、看過できない。
・国も福井県も関電も、急ぐべきは再稼働ではなく、脱原発への道筋を描くことだと肝に銘じなければならない。4年9カ月が過ぎてなお収束のめどが立たない東京電力福島第1原発事故から、決して目を背けてはならない。
⑦沖縄タイムス社説
・原発の再稼働は、行政手続き上も、作業上も複雑で長い工程が必要だ。差し止め決定後も、関電は高浜原発の再稼働に向けた作業を着々と進めてきた。そうしたさなかの仮処分取り消しは、司法もまた、再稼働に向けた「手続き」の一つにすぎないことを示しているかのようだ。
・原発訴訟では、もっぱら行政判断の合理性に重点を置いて審査された結果、これまでほぼすべてで国や電力会社側が勝訴してきた。そうした司法の「前提」は、福島第1原発事故後、根拠無き原発安全神話を補強する側面を担ってきたというほかない。
・今決定は、画期的な前回決定から先祖返りした。決定文は司法審査の在り方について「新規制基準の内容や、規制委による新規制基準への適合性判断が合理的かどうか、という観点から判断すべきだ」としており、原発事故の反省は全く生かされていない。
・司法こそ、国民や専門家の声にもっと耳を傾けるべきである。
⑧朝日新聞社説
・まるで福島原発事故以前の司法に逆戻りしたかのようだ。
・関電は高浜の2基の再稼働が1日遅れるごとに、約4億円の経済的損失が出ると主張してきた。「司法のストッパー」が外れたことで、再稼働へ向けた手続きが加速する。だが、原発には国民の厳しい視線が注がれていることを忘れてはならない。
・福井県に多くの原発が集まる集中立地のリスクについても、議論は不十分だ。政府も電力会社も、これらの問題点を置き去りにしたまま再稼働に突き進むことは許されない。
⑨毎日新聞社説
・今回の福井地裁決定は「過酷事故が起こる可能性が全く否定されるものではない」とも述べ、国や電力会社に避難計画を含めた重層的な対策を求めた。そうした対策を取らない限り再稼働はできないはずだ。
⑩東京新聞社説
・逆回転が加速し始めたということか。「原発ゼロ」の歯止めが、また一つ外された。最大の争点は、3・11後に定められた原子力規制委員会の新たな規制基準を、原発再稼働の“お墨付き”とするか、しないかだ。規制委は二月、高浜原発3、4号機を新規制基準に適合しているとした。それを受け、関電は再稼働の準備に着手。しかし、福井地裁は四月、「新規制基準は合理性を欠く」として、周辺住民が求めた再稼働差し止めを認める決定を下していた。新規制基準の効力に根本的な疑問を投げかけたのだ。関電の不服申し立てを受けた福井地裁は、その決定を百八十度覆したことになる。
⑪読売新聞社説
・専門性が極めて高い原子力発電所の安全審査について、行政の裁量を尊重した妥当な決定だ。
・関電は25日、3号機への核燃料挿入を始めた。来年2月までに2基を順次、再稼働させるという。安全確保を最優先し、着実に準備を進めてもらいたい。
・3、4号機は今年2月、東京電力福島第一原発の事故後に厳格化された新規制基準に基づく安全審査に合格した。ところが、4月に福井地裁の当時の樋口英明裁判長が「新基準は緩やかに過ぎる」と独善的な見解を示し、再稼働を差し止めた。「ゼロリスク」に固執した不合理な決定だったと言うほかない。


 以下、各新聞の社説等の引用。(また、ちょっと長いです)





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-28 06:17 | 書くことから-原発 | Comments(0)

元従軍慰安婦をテーマにした写真展の会場使用の不当な中止に対してニコンに損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は、「使用中止に正当な理由はない」と110万円の支払いを命じた。

 標題について、「元従軍慰安婦をテーマにした写真展の会場使用を不当に中止されたとして、名古屋市の韓国人写真家安世鴻さん(44)が、会場を運営するニコンに損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(谷口園恵裁判長)は25日、『使用中止に正当な理由はない』と110万円の支払いを命じた。」、と報じた。
 この判決の意義について、「安さんは判決後に記者会見し『今後は表現の場が守られることを期待する』と話した。代理人弁護士は『民間企業にも表現の機会を重視するよう求めており、抗議を受けると自粛してしまう昨今の情勢に警鐘を鳴らした』と判決を評価した。」、と伝えた。


 以下、東京新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-12-27 11:58 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄から-アメリカからの辺野古新基地建設反対の動きが。

 ケネディ駐日米大使の発言に対するアメリカでの抗議の動きについて、「映画監督オリバー・ストーン氏や言語学者ノーム・チョムスキー氏ら米国の著名人や識者ら70人は22日、ケネディ駐日米大使が17日の東京での記者会見で米軍普天間飛行場の移設先について『辺野古が最善だ』などと述べたことに抗議する声明を発表した。大使の発言は『法律や環境、選挙結果を恥ずかしげもなく軽視する行為』と非難するとともに、米国を代表するケネディ氏に沖縄の基本的人権の否定をやめるよう米市民の立場から要請している。」、東京新聞報じた。
 この声明の内容について、「声明は『普天間は閉鎖されなければならないが、辺野古移設は解決策にはならない』と現行計画を批判。そのうえで、辺野古移設は『島の別の場所に新たな環境・安全面の脅威を導入し、沖縄の米軍拠点としての役割を強化するもの』と警鐘を鳴らした。また、大使の父である故ケネディ大統領が1963年にアメリカン大学の卒業式で行った演説で『米国の軍事力によって世界に強制的にもたらされるパックス・アメリカーナ(米国による平和)』を否定し、平和とは人権に関する問題と訴えたことに触れ、『大使は父の演説を読み直すべきだ』と述べた上で、『われわれは米市民として、米政府が、自己決定権や、健全で安全な環境で暮らす権利を含む沖縄の市民の基本的人権を否定することを止めるよう強く要求する』と主張した。」、と伝えた。


 また、アメリカ議会の辺野古建設反対決議について、沖縄タイムスは2015年12月24日、「米マサチューセッツ州ケンブリッジ市議会は21日夜(日本時間22日午前)の本会議で、米軍普天間飛行場の代替施設(FRF)を名護市辺野古に建設する計画に反対し、沖縄の人々と連帯する決議を全会一致で可決した。米地方議会が新基地建設に反対する決議を採択したのはカリフォルニア州バークレー市に続き、2例目。」、と報じた。


 このように、世界の良識は、「辺野古移設は『島の別の場所に新たな環境・安全面の脅威を導入し、沖縄の米軍拠点としての役割を強化するもの』」ということにある。

「われわれは米市民として、米政府が、自己決定権や、健全で安全な環境で暮らす権利を含む沖縄の市民の基本的人権を否定することを止めるよう強く要求する」という米国市民から米国政府への要求は、実は、安倍晋三政権にも突きつけられている。
もちろん、「米軍普天間飛行場の代替施設の早期実現を求める意見書」を可決した自治体にも。

 以下、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-12-27 05:40 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から- 沖縄県は、国土交通相が下した承認取り消しの執行停止決定は違法として、決定の取り消しを求める抗告訴訟を那覇地裁に起こした。

 標題について、沖縄タイムスは2015年12月25日、「米軍普天間飛行場の返還に伴う辺野古新基地建設問題で、沖縄県は25日、翁長雄志知事が石井啓一国土交通相が下した承認取り消しの執行停止決定は違法として、決定の取り消しを求める抗告訴訟を那覇地裁に起こした。」、と号外で報じた。
 このことについて、「翁長知事は提訴の理由について『けじめをつけたいということだ』と述べた。」、と伝えた。
 また、この記者会見で、翁長沖縄県知事は、「私は、今後ともあらゆる手法を用いて、辺野古に新基地は造らせないとの公約実現に向け、不退転の決意で取り組んでいく。」、とその決意を表明している。


 この記者会見での翁長知事の発言は、次に要約する。

(抗告訴訟の提起の理由)
 第1に、昨日、国地方係争処理委員会の審査会合が開かれ、県が去る11月2日に行った審査申し出は同委員会の審査対象ではないとして、申し出を却下するとの決定がなされた。
 同委員会が3度にわたり会合を開き、長時間にわたり検討を重ねられたことについては一定の評価をするが、結果として執行停止決定の違法性についての実質的な審査が一切行われることなく却下の判断が示された。この判断は、地方自治法に規定する関与制度および国地方係争処理委員会の存在意義を自ら否定しかねないものと考えており、誠に遺憾である。
 第2に、去る18日に県議会の議決をいただいた「国土交通大臣による公有水面埋立承認取消処分の執行停止決定の取り消しを求める訴えの提起」について、本日、那覇地方裁判所に訴えを提起するとともに、執行停止決定の執行停止を求める申し立てを行った。

 本件の訴えは、国土交通大臣による執行停止決定の効力を失わせることにより、沖縄防衛局が行う埋め立て工事を止める上で有効な方法だと考えている。
 以前から繰り返し申し上げているように、行政不服審査法は、国や地方公共団体の処分等から国民の権利利益の迅速な救済を図ることを目的としている。
 国の一行政機関である沖縄防衛局が、自らを一般国民と同じ「私人」であると主張して審査請求を行うことは、同法の趣旨にもとる違法なものである。この点については、約100人もの行政法研究者からも批判の声が上がっている。
 また、「辺野古が唯一」という政府の方針が明確にされている中で、同じ内閣の一員である国土交通大臣に対して中立・公正な判断は期待し得えず、この点からも、本件審査請求手続きにおける執行停止は違法である。
 県としては、これから裁判所に対して、その旨主張・立証していく。私は、今後ともあらゆる手法を用いて、辺野古に新基地は造らせないとの公約実現に向け、不退転の決意で取り組んでいく。県民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げる。
(抗告訴訟は移設を止める手段となることの重みと、勝算)
 あらゆる手法を尽くして新辺野古基地は造らせないという意味では、可能性のあるものは全部やっていくということに抗告訴訟の提起をした。その件について、裁判はどちらも勝算を持ってやるでしょうし、法律的な意味合いからすると弁護士の先生にお願いしたいが。個人的な思いで留める勝算は、当然沖縄県の主張していることは正当な主張、権利だと思っているので必ずご理解いただけると思っている。


 この抗告訴訟の根拠は、沖縄県は次の二点にあるとしている。
①本件の訴えは、国土交通大臣による執行停止決定の効力を失わせることにより、沖縄防衛局が行う埋め立て工事を止める上で有効な方法だと考えている。
②「辺野古が唯一」という政府の方針が明確にされている中で、同じ内閣の一員である国土交通大臣に対して中立・公正な判断は期待し得えず、この点からも、本件審査請求手続きにおける執行停止は違法である。


 翁長沖縄県知事は、次のように発言した。まさしく正論でである。
今、本当に求められているのは、日本のあり方なのだ。


「私たちのイデオロギーに基づくことではなく県民、日本国全体での民主主義、地方自治、自己決定権、こういったこと等を含めると先生がおっしゃるように不退転の決意で思いを遂げていくと。」
「それが私たちの責任世代の役割だと思っている。確かに厳しい環境にはあるが後ろ姿をしっかりと子や孫にみせることによって、子や孫が自分の生まれた沖縄に誇りをもって勇気をもってそれぞれの世代にはそれぞれの世代の感覚があるので、いまの私たち責任世代の思いを吸収して彼らなりの思いでもってふるさと沖縄の将来を担っていくということにつながっていくのであれば、私たちの役割はそこにあるのではないかと思う。」


 以下、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-12-26 12:39 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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