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沖縄から-沖縄県、辺野古埋め立てで「国地方係争処理委員会」(係争委)に審査申し出書を提出。

 標題について、沖縄タイムスは2015年11月2日、「名護市辺野古の新基地建設で、埋め立て承認取り消しの効力を暫定的に停止した石井啓一国土交通相の決定を不服として、沖縄県は2日午後、国と地方自治体の争いを扱う国の第三者機関『国地方係争処理委員会』(係争委)に対し、審査の申し出書を提出した。県の池田竹州基地防災統括監が同日、総務省の渕上俊則自治行政局長に文書を手渡した。申し出書は14ページ。」、と報じた。
 このやり取りについて、「池田統括監は『県としては国土交通相の執行停止の決定は不当な関与行為と考え、本決定には不服がある』として、審査請求の趣旨を説明。渕上局長は『今後、国地方係争処理委員会で関係法令に基づいて手続きがされると思われる』と応じた。」、と伝えた。

 以下、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-11-02 17:34 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄タイムス-沖縄の闘い、広がりを見せる。

 安倍晋三政権の政治手法があまりにひどいことが知れ渡ってしまったからか、沖縄の闘いは、広がっていく。
 このことについて、沖縄タイムスは次のように伝えた。

 104歳の現役医師である日野原重明さんの講演会について、2015年11月2日、「『新老人の会』会長で104歳の現役医師、日野原重明さん(聖路加国際大名誉理事長)の講演会が1日、那覇市内のホテルで開かれた。沖縄から世界へ平和を発信することを望み、『一人一人の命が大切に守られ、互いに許し合うこと。それによって平和がもたらされる』と説いた。沖縄戦に触れ『20万人以上が亡くなった。沖縄こそ平和のパラダイスにしないと駄目だ』とし、『米軍基地が占領しているのは間違っている』と指摘した。」、と報じた。
 また、グリ-ンピースの船の入港に関して、2015年11月1日、「世界で環境保護活動に取り組むNGO団体・グリーンピースの「虹の戦士号」(オランダ船籍、855トン)が1日、那覇新港に入港した。名護市辺野古の新基地建設に反対し、自然保護を求める市民らに賛意を示すことが目的という。6日から4日間、辺野古沖への航行を予定している。」、と伝えた。
 このグリ-ンピ-スは、「沖縄の圧倒的な民意を無視し、基地建設を進める政府の姿勢は非民主主義的だ。大浦湾は、基地ではなく、海洋保護区として未来に残すことを求める」、とのコメントを発表した。

 以下、沖縄タイムスの引用。




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by asyagi-df-2014 | 2015-11-02 16:55 | 沖縄から | Comments(0)

原発問題-伊方原発再稼働をさせないために、運動の広がりを。


 伊方原発の再稼働を許さない闘いが続いている。


 このことについて、愛媛新聞は2015年11月1日、「脱原発を訴える『再稼働阻止全国ネットワーク』(東京)の全国相談会・交流会が31日、愛媛県八幡浜市内であり、地元同意の手続きを終えた四国電力伊方原発3号機(伊方町)の再稼働をさせないよう抗議行動を継続する方針などを確認した。ネットワークは全国16カ所の市民団体などで構成。31日は北海道や鹿児島など各地から約150人が集まった。愛媛からは『伊方原発をとめる会』の草薙順一事務局長らが、中村時広知事の同意表明や伊方原発の運転差し止め訴訟などの状況を説明。八幡浜市で再稼働の是非を問う住民投票の実施を目指した署名活動が行われていることも紹介し、協力を呼び掛けた。ルポライターの鎌田慧さんもマイクを握り『原発の運動は全て負けたわけではなかった。計画があったが原発が建たなかったところは幾つもある。勝った記憶も呼び起こして頑張っていきたい』と訴えた。」、と報じた。
 また、愛媛新聞は2015年11月2日、「四国電力伊方原発の再稼働に反対する全国集会が1日、愛媛県松山市堀之内の城山公園であった。10月26日に中村時広知事が伊方3号機の再稼働に同意したことを受け、参加者は『断固許さない』との決意を胸に、市内をデモ行進した。主催の市民団体『伊方原発をとめる会』(松山市)によると、北海道、福島、鹿児島など全国から約4千人が参加した。」、と伝えた。

以下、愛媛新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-11-02 13:29 | 書くことから-原発 | Comments(0)

沖縄から-沖縄弁護士会の「辺野古新基地建設にかかる沖縄県知事の公有水面埋立承認取消処分の尊重を求める決議」を読む

 沖縄弁護士会は、2015年10月27日、「辺野古新基地建設にかかる沖縄県知事の公有水面埋立承認取消処分の尊重を求める決議」を発表した。
 この決議については、「すでに、2010年12月13日の臨時総会にて『沖縄への新たな米軍基地建設に反対する決議』を挙げ、さらに2014年1月15日には、『普天間飛行場代替施設建設事業に基づく公有水面埋立申請を沖縄県知事が承認したことに反対する会長声明』を公表したところであるが、今般の情勢にかんがみ、あらためて以上の決議をなすものである。」、と位置づけている。
 この「決議」を考える。
 「決議」は次の構成になっている。
(1)沖縄県知事による公有水面埋立承認取消の判断の本質的な問題
(2)本件取消処分の背景
(3)沖縄県内への新たな基地の建設には、沖縄県民の同意が求められるべきこと
(4)公有水面埋立免許・承認の判断権が知事にあることの地方自治法上の意義
(5)知事の判断を尊重すべきこと
(6)政府による行政不服審査法による審査請求
(7)拙速な代執行
 この上で、「豊かな自然が維持された環境のもとで平和のうちに生存することを求めて」、と題して、次のように結論づける。

(1)「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有すること」(前文)を確認した日本国憲法は、沖縄における凄惨な地上戦をはじめとした国内外にもたらした戦争の惨禍を繰り返さないことを誓って誕生した。
 ところが、沖縄は、戦後27年間にわたり米軍占領下におかれて日本国憲法の適用がなされず、在沖米軍基地は、その間、朝鮮戦争やヴェトナム戦争への出撃の重要拠点となった。そして、日本復帰後もこの状況は変わらず、在沖米軍は、湾岸戦争やイラク戦争、アフガン戦争へと展開をしてきた。9・11テロの際には、在沖米軍基地も警戒対象となったことにもみられるとおり、今も集中する米軍基地と隣り合わせの沖縄県民は、常に米軍が行ってきた現実の戦争の危険と接しているといえる。
 沖縄への米軍基地の集中を解消し、沖縄県民が米軍による戦争に巻き込まれる危険を能う限り減じ、平和のうちに安心してくらせるよう取り組むのが、憲法にもとづく政府の責務というべきである。
(2)また、人が健康で快適な生活を維持する条件としての良好な環境を享受する権利としての環境権は、急速かつ大規模に地球環境が悪化してその持続可能性が問われるようになった今日、ますます重要なものになってきている。
 この沖縄においても、亜熱帯島嶼域に特有の自然環境は、沖縄県民のみならず国際的に貴重な財産といえるが、その劣化が急速に進んでいるのも同様であり、今こそその保全が求められるといえる。政府が策定した「生物多様性国家戦略2012-2020」では、わが国の将来像として「ジュゴンが泳ぐ姿が見られる」豊かな自然環境の保全を目標としており、政府は自ら定めた取り組みに全力を尽くすべきである。


 安倍晋三政権は、「沖縄への米軍基地の集中を解消し、沖縄県民が米軍による戦争に巻き込まれる危険を能う限り減じ、平和のうちに安心してくらせるよう取り組むのが、憲法にもとづく政府の責務というべきである。」、「わが国の将来像として『ジュゴンが泳ぐ姿が見られる』豊かな自然環境の保全を目標としており、政府は自ら定めた取り組みに全力を尽くすべきである」、という視点を、その政治の基本認識としなければならない。


 また、この「決議」の要約は次のとおりである。

(1)沖縄県知事による公有水面埋立承認取消の判断の本質的な問題
 本件取消処分は単に公水法上の問題にとどまらず、その背後には、住民の同意なくして国が新たな米軍基地を建設できるかどうかという根本的な問題がある。これは沖縄の将来と日本の民主主義・地方自治等の観点から重要な憲法問題であること。

(2)本件取消処分の背景
①米軍基地の集中による沖縄県民への過重負担
 沖縄県には、依然として在日米軍専用施設の73.7%(2014年3月末現在)が集中している。過度に集中している米軍基地の存在は、沖縄県民にさまざまな被害をもたらしている。
②辺野古沿岸、大浦湾周辺の環境保全の重要性
 地球の持続可能性のための生物多様性の保全が国際的な課題となっているところ、生物多様性に富んだ辺野古沿岸域等の自然環境の保全は、沖縄にとっても、また日本、世界にとっても重要な意義がある。辺野古の海の埋立は、その豊かな自然環境を不可逆的に失わせるものとなる。
③沖縄県民の民意
 沖縄県民の世論は、辺野古を埋め立て新基地を建設することには反対の意思を示している。

(3)沖縄県内への新たな基地の建設には、沖縄県民の同意が求められるべきこと
 日本国憲法は、地方自治を保障し、地方自治体が「地方自治の本旨」に基づいて組織、運営されねばならないと定めている(92条)。この「地方自治の本旨」とは、国から独立した団体において自らの意思にもとづいて運営されるという団体自治と、住民自らの意思に基づいて地域の事項を決定するという住民自治を内容とする。基本的人権の尊重と国民主権の原理のもとにおいて、団体自治は地方分権を通じた自由を、住民自治は地方での民主主義を制度的に保障するものとして、統治機構の根幹を構成している。したがって、住民の生命や身体、財産に大きな影響を及ぼす新しい米軍基地の建設という極めて重大な問題が住民の意思に基づいてなされなければならないということ、そしてそれが地方の判断として尊重されるべきことは、まさに憲法上の要請であるというべきである。
 過去と同じように住民の意思に基づかずに基地建設を進めるということはあってはならない。住民の意思に基づかずに米軍基地が建設され、長年にわたって基地から生じる様々な問題に苦しんできたという歴史に鑑みれば、今度こそは住民の意思を率直に受け止めなければならないはずである。
 米軍への施設区域の提供については、住民への生命や身体、財産に大きな影響を及ぼす可能性があるにもかかわらず、住民の意向を反映させる法律上の仕組みが一切存在しない。米軍への施設区域の提供が安全保障上の政治判断が必要だとしても、住民意思がまったく反映されないという法制度は不当といわねばならない。この点は、日本弁護士連合会も、日米地位協定に関する意見書(2014年2月20日)において、米軍への施設区域提供や返還に当たり、住民や自治体の意見が尊重される仕組みがつくられるよう求めている。

(4)公有水面埋立免許・承認の判断権が知事にあることの地方自治法上の意義
 1999年の地方分権一括法の制定により、見直された役割分担の観点から検討すると、公有水面の埋立、即ちどの海を埋め立てあるいは埋め立てないかという問題は、本来的に「国家としての存立にかかわる事務」あるいは「全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策」等ではなく、治山・治水といった防災等の観点から「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動」に当たることから法定受託事務とされているというべきである。
  地方自治法が「国は、…地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たって、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。」とした点も鑑みれば(地方自治法1条の2第2項)、公水法の埋立許否の判断は、法定受託事務であっても、その委託の趣旨に従い、国の関与は、防災等の観点に限られ、埋立の合理性等の判断に関しては、地方自治体の自主的な判断が尊重されなければならないというべきである。
(5)知事の判断を尊重すべきこと
 米軍への新たな施設区域の提供にあたっては、それにより大きな影響を受ける住民の同意を求めて行うべきであり、沖縄県知事がなした本件取消処分は、米軍基地の過重負担の解消や沖縄の自然環境保全の観点から、住民の民意に依拠し、地方自治体として主体的に判断をなしたものである。
 政府は、地方自治の本旨にもとづき、沖縄県知事の判断を尊重するのが憲法の趣旨にかなうものであり、本件取消処分を受け入れ、これに従うべきである。
(6)政府による行政不服審査法による審査請求
 このような手法が確立すれば、地方と国の意見が対立する問題について、国が地方の判断をことごとく無視することが可能となるのであって、沖縄の基地問題というにとどまらず、全国共通の地方自治の問題としてとらえられなければならない。
(7)拙速な代執行
 是正の指示ないし勧告を出すということは、知事のなした承認取消の判断が実体法上も違法であることを、政府として判断したということとなる。しかしながら、本来、承認取消の是非を判断するに当たっては、多数の論点について、慎重な検討が必要となるはずであって、上記のような是正指示ないし勧告及び代執行の方針の発表は、代執行の要件該当性を十分判断してなされたものであるかについて重大な疑問があり、いかにも拙速と言わざるを得ないものである。

 以下、「決議」の引用。




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by asyagi-df-2014 | 2015-11-02 05:29 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-沖縄からの現状の報告。

 沖縄タイムスは、2015年11月1日、次のような記事を掲載した。


 埋め立て土砂規制条例が施行されたことについて、「名護市辺野古の新基地建設など、公有水面の埋め立てに使う県外からの土砂や石材の搬入を規制する県条例が1日、施行された。特定外来生物の混入を確認できれば、翁長雄志知事が搬入中止を勧告できる。政府は来年秋にも辺野古沿岸部に土砂を投入する計画だが、条例施行で進ちょくに遅れの出る可能性もある。」、「条例は『アルゼンチンアリ』などの特定外来生物が県外産の埋め立て資材に紛れて県内に侵入するのを防ぎ、沖縄固有の生態系を守るのが目的。辺野古新基地建設、沖縄総合事務局による那覇空港第2滑走路増設が直近の対象になる。」、「新基地建設で、防衛局は県内外からダンプカー約250万台分に当たる約1644万立方メートルの土砂(岩ズリ)を買い取り、辺野古沿岸部を埋め立てる計画だ。この大半を県外から搬入する予定で、沖縄の生態系を破壊しかねない特定外来生物などが紛れ込む懸念が指摘されていた。防衛局の埋め立て申請書では、外来生物の混入を防ぐ具体的な対策が示されていなかった。」、と報じた。

 辺野古に警視庁機動隊100人が週内にも配置されることについて、「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐり、警視庁の機動隊員が11月初旬から沖縄入りし、市民らの抗議行動が続く米軍キャンプ・シュワブゲート前などの警備に当たることが31日までに分かった。複数の関係者によると派遣は少なくとも100人規模で、県外の警察官が辺野古で抗議行動に直接対応するのは初めて。国の建設強行姿勢を受けた抗議行動の激化、長期化を見据えた対応とみられ、今週中にも配置される見通し。」、と報じた。
 このことは、「軍隊を引き連れた琉球処分と同じ構図。また暴力装置で沖縄の声を圧殺するつもりだ」という沖縄平和運動センターの山城博治議長の批判が、まさしく言い当てている。


 また、2015年10月31日には、伊江島にオスプレイ駐機場の整備について、「米軍伊江島補助飛行場で海兵隊F35の訓練用に計画されている着陸帯の改修工事で、2017年に空軍横田基地へ配備予定のCV22オスプレイも収容できる駐機場の整備が盛り込まれていることが30日までに分かった。CV22の沖縄県内での訓練場所が明らかになったのは初めて。」、と伝えた。このことに関しては、「島袋秀幸村長は本紙取材に『現在のMV同様、CVの訓練も反対だ。地元に情報提供がないままに工事が進められ、基地機能が強化されるのは遺憾だ』と答えた。F35訓練に反対決議している村議会や飛行場に隣接する区も『さらなる強化は許せない』と強く反発している。」、との地元の声を報じている。

 以下、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-11-01 17:44 | 沖縄から | Comments(0)

PP21 ふくおか自由学校 2015講座Vol6 に参加してきました。

  2015年10月31日(土曜)に福岡市で開催された「PP21 ふくおか自由学校」の第6回目の講座に、久しぶりに参加することができました。
 会場の福岡市人権啓発(ココロン)センター研修室で、共同代表の藤岡さんや事務局長の大山さんのいつもの優しい姿を見ることもできました。
 2015年度に企画された講座のテ-マは、「『戦後』70年の自画像を描く-むきだしの社会を生き抜くために」とされています。
このテーマについては、素晴らしいパンフレット(いのうえしんじさんの作品だと思います。)に、次のように書かれていました。


 敗戦後70年、人の寿命ほどのこの間に様々なことがあり、明らかになったことがあります。それはこの国が少しも成長していないということです。戦争責任をみずからで問うてこなかったように、原発事故の責任を追及しようともしない。政治家も官僚も財界も戦争への準備ばかりにに熱心で、一人ひとりの命には関心もない。そして、それらの背後にアメリカの意向があるとしたら・・・。メッキの剥がれたこの国で、どこから出発したらいいのか?希望の種を探してみましょう。

 「PP21」とは、「『21世紀のための民衆の計画』の総称です。全世界、特に、アジアの民衆としての連合を通して、『上から』ではなく、『もう一つの社会』を作り上げていこうとする人びとのネットワーク」と説明されています。
 だから、ふくおか自由学校は、もう一つの社会を作るために、「メッキの剥がれたこの国で、どこから出発したらいいのか?希望の種を探してみましょう。」、と語りかけています。


 8回の講座のうち6回が終わった段階ではありますが。2015の講座を紹介しておきます。


Vol.1=古謝美佐子ライヴ”歌と語りの夕べ”
Vol.2=崔善愛ピアノコンサート”自分の国を問いつづけて~ショパンからの手紙”
Vol.3=「戦後70年」を問い直す”真の民主主義と自由を求めて”
Vol.4=福岡の戦争の跡を巡るフィ-ルドワ-ク
Vol.5=パレスチナ・ガザの今”遠い復興、抵抗し続ける市民”
Vol.6=誰のためのTPPなの?”その本質を考える”
Vol.7=性暴力被害者(サヴァイヴァ-)の帰還”「引揚女性」と管理される体”
2015年11月14日(土曜) 山本めゆさんの問題提起
Vol.8=考古学は愛を語れるか”地中に障がい者の痕跡をさがす”
2015年12月5日(土曜)  上角智希さんの問題提起

 何と多彩で深い講座なのかと、驚かされています。


 さて、Vol.6の「誰のためのTPPなの?”その本質を考える」について触れたいと思います。
福岡大学商学部教授の山本和人さんが問題提起をしました。山本さんの専門は、世界経済論、貿易政策史、イギリス経済論とのことでした。
 山本さんの話に時折混ざる曖昧さに、問題提起後の質疑の時間に出された「安保法案時には、憲法学者や研究者が、今回の辺野古については行政法研究者がきちんと声明を出しているが、TPPについても研究者がもっとTPPの問題について主張して欲しいのですが」という質問に対して、山本さんは、「その通りです。ですが私が所属している学会はTPP賛成論者ばかりです。本当に少数者なのです。例えば、日本経済新聞は徹底して賛成の声しか載せない、それが実態です。米国や欧州ではきちんと出版されているものが日本では公にならない。」、と答えていました。
 こうした状況は、安保法をあれだけの反対を無視して成立させた安倍晋三政権にとって、JA等を悪者にするだけでいいようなもので、今のままではTPP問題は本当に御し易いものであることがわかった気がします。

 さて、約束の90分を越えてじっくり説明してくれた山本さんの問題提起で分かったこと。


①TPPの定義とは、最近では環太平洋パ-トナ-シップ協定呼ばれるが、現行のFTA、ETAの一形態であること。つまり、加盟国間の関税及びこれと同等の効果を有する租税を撤廃・禁止する(在及びサ-ビス貿易の自由化)こと-FTA-に加え、人に異動や投資などを含め-ETA-て締結される包括的な協定のこと。
②米国の参画とその目的は、成長する東アジアにおいてアメリカのプレゼンスを維持し、高めるため。また、地政学的問題から、アメリカは、アメリカ抜きのアジア諸国の連携に反対し続けてきたし、台頭する中国を抑えるために、アジアにおいてアメリカの貿易・投資ル-ルを作り上げる必要があった。
③日本の参画は、あえて経済効果が低く、不透明な交渉への参加に到った真相はわからぬままであるし、国民への背信行為である。(山本さんは、民主党政権下でのTPP反対のビラ(責任者は甘利)をもとに説明した。)
④TPPは、2015年10月6日に大筋合意されたとされるが、まだ、調印も批准もされていない。また、アメリカでは、議会で承認されるかどうかはきわどい状況。
⑤2015年10月5日に発表された「環太平洋パ-トナ-シップ協定の概要」によれば、TPPの5つの際立った特徴の一つとして、「生産とサプライ・チェ-ンの継ぎ目ない貿易を促進すること」が挙げられている。このサプラアイ。チェ-ン網を円滑に機能させるためには、関税措置の撤廃だけでなく、通関措置の簡素化、人の移動の自由化、知的財産権の保護、進出先企業の利益を守るための投資協定が(ISDS条項)が必要となる。
⑥このサプライ・チェ-ン貿易とは、1990年代以降、東アジアを中心として機械やエレクトロニクス分野における中間財貿易のことである。中間財貿易の拡大は国際的な企業活動や工程間分業の発展を背景にしており、その内実は、先進国企業の技術と途上国の低賃金との組み合わせである。
⑦TPP協定のシワ寄せは、農業に課せられる。日本の農業に対する保護水準は関税水準でみても国際的に高いとは言えない。日経新聞は、「農業分野での譲歩は、農家に打撃を与えるが、国家財政の逼迫で税金頼みの保護には、限界がある」、と指摘する。
⑧また、日経新聞は「関税率引き下げ・撤廃の執行猶予期間に、生産性を高め『もうかる農業』に生まれかわれるかが農業の将来を握っている。」、とするが、すでに先進国最低の食糧自給率(39%)がさらに低下する。日本の食糧安保のの重要性をどう考えるのか。


 最後に、山本さんのまとめです。


①TPPは、相対的に地位の低下したアメリカが、日本と組んでアジアで新自由主義的な貿易・投資秩序を築き上げ、中国をけん制しつつ、それを広げてグロ-バルスタンダ-ドにしていこうとするもの。
②日本企業にとっては、経済的利益は未知数。こうした面からも、別のアジア重視の戦略を考えるべきであろう。
③アベノミクスの考えには大企業優先の姿勢が一貫している(法人税減税、労働市場の柔軟化など)。いわゆる大企業(富裕層)が潤えば、その恩恵が中小企業や国民に滴り落ちる-トリクルダウン理論-。TPPもその脈絡で考える必要性がある。
④雇用が確保され、医療・教育・地域経済の叔父がTPP協定によって保障されるものではない、そのル-ル作りの推進母体が巨大多国籍企業にある以上、強い企業はますます強くなり、海外進出を加速させるであろう。
⑤TPPの根本思想が、競争原理にあり、その延長線上で、国有企業・公共部門を民間企業に解放するという論理がさらに徹底されれば、医療や公共の福祉分野が外国企業の利潤確保の対象となる可能性を秘めているといえよう。


 山本さんの問題提起で最も大事なこととして受けとめたのは、「成長戦略で誰がその利益を吸収するのかを見極めなくてはならない。」という言葉でした。
 それは、山本さんのまとめの「TPPの根本思想が、競争原理にあり、その延長線上で、国有企業・公共部門を民間企業に解放するという論理がさらに徹底されれば、医療や公共の福祉分野が外国企業の利潤確保の対象となる可能性を秘めている」、と呼応する投げかでした。


by asyagi-df-2014 | 2015-11-01 11:59 | 連帯を通して-市民運動の場で | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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