<   2014年 10月 ( 46 )   > この月の画像一覧

本からのもの-琉球独立論

著書名;琉球独立論
著作者;松島泰勝
出版社;ハジリコ株式会社

 この本から受け取ったものは、沖縄(琉球)の未来に関わってのなぜ今独立なのかということについてでした。
 私自身はこれまで、ここ数年の沖縄の独立という言葉については、この本の中で批判されている新崎盛暉の言う「居酒屋」的放論的な物ではないかとどこかでは考えてきました。 
 松島は、沖縄の独立を理論的に説明します。 何故、沖縄が独立しなければならないかについて。
 なお、松島は、「固有名詞」としての沖縄を琉球と位置づけています。

 まず、沖縄の現状については、次のように分析します。

 第1に、琉球では「復帰」後四〇年以上も日本との地域格差問題が続いているという琉球経済の現状があること。
 第2に、琉球が「基地の島」と呼ばれることが「異常」な状況であること。
 第3に、上記のことについて日本人は恬として恥じ入ることがないこと。

 また松島は、独立に関わって、むしろ現状を維持することのほうが弊害を生み出していることについて次のように説明します。

「誤解を恐れずにいうなら、琉球が日本の一部である限りにおいて、日本政府の措置は日本国という国家の論理からすると『正しい』わけです。また、『本土の』の大企業による琉球における経済搾取も、大都市を抱える自治体以外の大半の地方と同様の構造であり特殊なものではないといわれればそれまでです。まり、琉球固有の『民族問題』は無視され、他の地方自治体と同列に位置づけられている。そして、だからこそ琉球にとっては日本国の一自治体であること自体が深刻な問題なのです。」

 さらに、このような現在の沖縄の状況を「植民地」として位置づけ、次のように説明します。

「オスプレイ配備に対して、琉球のすべての県市町村議会が反対決議をし、全自治体の首長が反対しているにも関わらず、配備を強行する行為は、琉球人を還元不可能な他者として認識し、宗主国の絶対的な軍事的優位性を強化しようとするものだといえます。・・・琉球は、形式上、沖縄県という日本の一自治体ですが、琉球固有の領土は奪われ、琉球人の政治的地位を決める自己決定権の行使も認められませんでした。つまり、琉球は植民地です。」
※この植民地主義の定義を、「植民地主義は帝国主義全般の特別な一形態と見なせるものだが、その核心は植民地された人民を自らに還元不可能な他者として捉え、かつ宗主国のS絶対的な軍事的優位性を前提とした統治であったという点にある」(アルノ・ナンタ)に求めています。

 こうした状況の中で、沖縄人が、次のような考え方にたどり着くのは、当然の流れであるとします。

 第1に、琉球が日本国の一部であることによって多くの犠牲を背負わされるのならば、自らの国家を作るという選択肢を琉球人が真剣に考えても当然なのではないかということ。
 第2に、在琉米軍は、日米地位協定によって守られている。こうした環境下における米軍の琉球人に対する所業を、俗に「奴隷扱い」という。この二一世紀に誰が奴隷でいたいなどと思うのかということ。

 したがって、松島は、最終的に、沖縄の独立が必要な理由を次のようにまとめます。

 第1に、琉球人は、ごく一般的な意味で一つの「民族」として定義される必要かつ充分な要件を満たしており、固有の歴史を育んできた一つの民族国家であること。
 第2に、琉球史、特に、薩摩藩の侵略から現在に至る近現代史は琉球にとって苦難、災厄の歴史であり、それ自体が「琉球独立」の最大の根拠となっていること。
 第3に、植民地としての琉球から脱却する必要があること。 
 第4に、琉球の未来に関わって、現状の維持こそが「弊害」であること。
 第5に、琉球は、二度と他者の戦争に巻き込まれたくないということ。

 松島のこうした考え方をについては、2010年4月6日の人種差別撤廃委員会最終見解の「21.ユネスコは沖縄の固有の民族性、歴史、文化、伝統並びにいくつかの琉球語を認めている(2009年)ことを強調するとともに、委員会は、沖縄の特色に妥当な認識を示そうとする締約国の姿勢を遺憾に思い、沖縄の人々が被る持続的な差別について懸念を表明する。さらに、委員会は、沖縄における軍事基地の不均衡な集中は、住民の経済的、社会的及び文化的権利の享受に否定的な影響があるという現代的形式の差別に関する特別報告者の分析を改めて表明する(第2条及び第5条)。」という見解が実証しています。

 最後に、松島は、「琉球独立の土台となるのは『自治』という理念」であるとし、この自治の理念について、「日本による侵略・併合と植民地化の清算を掲げた『琉球独立論』は何よりも内なる『帝国主義的感性』を克復したものでなければなりません。そして、それを社会制度的に担保するための鍵となるのが『自治』という理念です。」と、しっかり押さえています。


by asyagi-df-2014 | 2014-10-31 18:35 | 本等からのもの | Comments(0)

沖縄から-沖縄県知事選告示、日本の政治のこれから

任期満了に伴う第12回沖縄県知事選挙が10月30日告示された。
 沖縄タイムスは、同日、「軍普天間飛行場返還問題や振興政策を主な争点に、11月16日の投開票までの県内最大の政治決戦が幕を開けた。」と、報じた。
 また、「元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)、元参院議員の喜納昌吉氏(66)、前那覇市長の翁長雄志氏(64)の新人3氏、現職の仲井真弘多氏(75)=自民推薦=がいずれも無所属で立候補を届け出た。」とも報じた。

いよいよ、これからの日本のあり方を問うかたちにもなる県知事選挙が始まった。

 以下、沖縄タイム誌の引用。


沖縄タイムス-沖縄県知事選告示 4氏が届け出-2014年10月30日

 任期満了に伴う第12回県知事選挙が30日告示され、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)、元参院議員の喜納昌吉氏(66)、前那覇市長の翁長雄志氏(64)の新人3氏、現職の仲井真弘多氏(75)=自民推薦=がいずれも無所属で立候補を届け出た。米軍普天間飛行場返還問題や振興政策を主な争点に、11月16日の投開票までの県内最大の政治決戦が幕を開けた。

 普天間の辺野古移設は下地氏が県民投票実施、喜納氏が埋め立て承認の取り消し、翁長氏が反対、仲井真氏が容認―を掲げている。


by asyagi-df-2014 | 2014-10-30 17:28 | 沖縄から | Comments(0)

原発問題-薩摩川内市の原発再稼働を考える

 薩摩川内市の岩切市長は、九州電力川内原発1、2号機の再稼働に同意すると市議会全員協議会で表明した。
 このことについて、各新聞の社説の主立った内容は、次の通りである。
 南日本新聞は、「周辺住民の不安や疑問は、なお払拭(ふっしょく)されていないのが実態である。火山の噴火対策など特有の課題もある」とし、「原子力防災を抜本的に見直すことが福島原発事故の教訓である。ならば、避難計画についても国は自治体任せにできないはずだ。積極的に関わり、具体的な計画づくりに力を入れてもらいたい。」と、まとめている。
 佐賀新聞は、「核のゴミ問題など原子力政策の重要課題は未解決のまま、再稼働の手続きだけが着々と進んでいく印象だ。」とし、「原発はこれまで「安全神話」と「地元理解」の両輪で進められてきた。事故後の再稼働に向けて新規制基準が設けられたように、地元理解もより高いハードルを設けるべきだ。」と、意見を表明する。
 西日本新聞は、「だが、地域の活性化を過度に原発へ頼るのは、かつての『安全神話』に基づく発想ではないか。福島原発の事故で神話は壊れた。広範な地域が放射能で汚染され、多くの住民が古里を追われた。原発は安全か。電力は本当に足りないのか。放射性廃棄物をどう処理するか。再稼働するなら事故は起こり得るとの前提で備えられるか。そうした多角的な論議を尽くすことが原発事故の教訓だ。」と、主張する。
 朝日新聞は、「政府が同意自治体の範囲を地元の判断に丸投げしているために起きている問題だ。」とし、「今後、11月上旬にも鹿児島県議会で再稼働の是非を採決した後、伊藤知事が再稼働の是非を判断する。その際、周辺自治体や住民の意向をくみ上げる努力を重ねるべきだ。それこそが『3・11』後の政治と行政の責任だろう。再稼働の地元とは、どこなのか。川内原発でまず、明確に示してほしい。」と、注文をつけた。

 鹿児島県議会が、こうした主張を受け入れたかたちで、結論を出すことを強く要望する。

 以下、各新聞社の社説の引用。




More
by asyagi-df-2014 | 2014-10-30 05:41 | 書くことから-原発 | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第13回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
 そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。
 
 今回も伝える、沖縄の声を。
 「その苦しみを越えて初心を貫き、反対できる人は稀である。反骨精神旺盛だった当初のお年寄りたちは、ほとんど鬼籍に入られたか様々な事情で離脱して、いま、顔や名前を晒して反対できる方はわずかである。かと言って、顔を出して座り込まないから賛成ということでは絶対にないのだ。」
 こうも語りかける。
 「こういう、戦争を体験した方々の切実な思いが私の中に降り積もっている。だからこそ声なき声まで伝えたい。なぜ、いつまでたっても沖縄のお年寄りは、安心して後生(ぐそう・あの世)に行くことも出来ないのか。どうやったらこの苦しみは終わるのか。賛成、反対ではない。もう断ち切りたいのだ。おばあたちの命をもってではなく、私たちの手で。」 
 以下、三上知恵の沖縄撮影日記の引用。




More
by asyagi-df-2014 | 2014-10-29 18:10 | 沖縄から | Comments(0)

原発問題-薩摩川内市長、原発再稼働に同意

南日本新聞は、2014年10月28日、「薩摩川内市の岩切秀雄市長は28日、市議会全員協議会で、九州電力川内原発1、2号機(同市久見崎町)の再稼働に同意する考えを表明した。」と、報じた。
 このことは、「原発の規制対策を定めた新規制基準の施行後、議会の判断を経て立地自治体の首長が再稼働に同意するのは全国で初めて。」である。

 以下、南日本新聞の引用。

南日本新聞- 薩摩川内市長、原発再稼働に同意-2014年10月28日

 薩摩川内市の岩切秀雄市長は28日、市議会全員協議会で、九州電力川内原発1、2号機(同市久見崎町)の再稼働に同意する考えを表明した。原発の規制対策を定めた新規制基準の施行後、議会の判断を経て立地自治体の首長が再稼働に同意するのは全国で初めて。
 市議会は同日開かれた臨時議会で、再稼働に賛成する陳情を賛成多数で採択。反対陳情は反対多数で不採択とした。岩切市長は、陳情を採決した本会議後の全員協議会で再稼働に同意すると述べた。


by asyagi-df-2014 | 2014-10-28 18:02 | 書くことから-原発 | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第12回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
 そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。
 
 今回の慨歎の報告は、「誰でも批判はできるだろう。しかし、どこまでが許容範囲でどこからが無理なのか。素人が海に出ること自体、無理だというのか。安易に批判する人に私は問いたい。『あなたの言う無理をせずに、この状況を止められますか?』」と、綴る。
 でもやはり、このように言う。
 「S船長、最後の瞬間まで船長として行動したあなたに敬意を表します。後生(グソー=あの世)で待つ大西さんに『こっちに来るの、早すぎたよ』と叱られて下さい。祐治さん、当山さんと酒盛りをし、久坊さんの船に乗って遊んで下さい。そして辺野古の海の神さまとともに、私達にこの海を、島を、守らせて下さい。遺志は必ず引き継ぎます。」

 少なくとも、その想いにどこかで繋がらなければ。
 以下、三上知恵の沖縄撮影日記の引用




More
by asyagi-df-2014 | 2014-10-27 05:42 | 沖縄から | Comments(0)

松代大本営看板問題 -負の歴史に真摯に向き合ってきたこれまでの長野市の取り組みからすると、もったいないことである。

以前、長野市松代町の松代大本営地下壕(ごう)入り口に市が設置した看板で、朝鮮人労働者が工事に携わることになった経緯を伝える文章のうち、「強制的に」の部分に市がテープを貼って見えないようにした問題を取り上げた。
 今回、壕を管理する長野市が、「多くの朝鮮や日本の人々が強制的に動員されたと言われています―。と、「と言われている」と伝聞表現にして、決着を図った格好で、結論を発表した。
 このことについて、信濃毎日新聞は社説で、「市役所内の検討だけで案内板を掛け替えて終わらせてしまっては、もったいない。」と、報じた。
 また、その結論を、「来年で終戦から70年になる。戦争の記憶は風化が進む。だからこそ、市民と一緒になって検証しながら身近な歴史を学ぶ積極的な仕掛けをつくりたい。子どもたちの関心を引き付ける機会にもなる。市役所内の検討だけで案内板を掛け替えて終わらせてしまっては、もったいない。」と、している。

 確かに、このままの結果にすることは、負の歴史に真摯に向き合ってきたこれまでの長野市の取り組みからすると、もったいないことである。
 長野市を訪れ、松代大本営の事実に衝撃を受けるとともに、未来を見つめるための教材化しているその姿に感動を受けた者の一人として、やはりこの長野市の結論は、どうしても間違っていると言わざるを得ない。

 以下、信濃毎日新聞の引用。




More
by asyagi-df-2014 | 2014-10-26 05:40 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄から-辺野古新基地建設を巡る状況

辺野古新基地建設を巡る状況は、安部晋三政権の強権的手法が目に余るものになっている。一方では、11月16日の県知事選選挙が大きな影響を与えるものになっている。
 最近の状況は、以下、沖縄タイムス及び朝日新聞の引用。

沖縄タイムス-辺野古工事変更、知事選後に判断見通し-2014年10月25日

 名護市辺野古の新基地建設埋め立て工事で沖縄防衛局が提出した設計概要の変更申請をめぐり、仲井真弘多知事の承認の判断が、11月16日投開票の沖縄県知事選後に持ち越される見通しとなった。24日までに知事周辺が明らかにした。知事の任期は12月10日で、投開票後に判断する可能性がある一方、周辺からは選挙の結果次第では次期知事に判断を委ねる考えも出ている。

 知事周辺によると、知事選後に承認の判断を持ち越すのは、県の審査が10月30日の告示後にずれ込む可能性があり、選挙に影響を与えかねないという懸念が出ているため。
 防衛局は9月3日に変更を申請。県の規定で標準処理は44日間とされていることから、当初は告示前にも審査が終わり、承認するかどうか判断できる状況が整うとみられていた。
 しかし、防衛局の申請に対して、県が不明瞭な記載があるなどとして35件を補正するよう求めたほか、県環境部への意見照会など審査の手続きが遅れている。

 防衛局の変更申請は、美謝川の水路切り替えなどの工事4件の変更が主な内容。辺野古漁港への作業ヤード整備や辺野古ダムの関連工事を避け、市の許可や同意がなくても当面の工事が進められるよう工法を変えている。

 しかし、現時点で建設に反対する市から工事に必要な許可などを得られる見込みがない上に、変更申請についても承認判断が滞れば、新基地の建設事業に大幅な遅れが出る可能性がある。仲井真氏は24日、変更申請について「事務処理が終わり次第判断する。知事選の前や後といったことは考えていない。淡々と(審査を)やっているのでそれを待ちたい」と述べた。

朝日新聞-辺野古移設、埋め立て本体工事入札を公告 年明けに契約-2014年10月24日

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画で、沖縄防衛局は24日、埋め立て本体工事の入札を公告した。本体工事の入札手続きは初めてで、年内に業者を募り、来年1~2月に契約する見通し。

 24日に公告されたのは、辺野古沿岸部にケーソン(コンクリート製の箱)や護岸を新設する工事、汚濁防止膜を設置する工事など計6件。防衛局は8月に辺野古沖の海底ボーリング調査に着手し、埋め立て予定地の地質を調べている。これらの調査や埋め立てに向けた設計を11月末までに終え、その後に本体工事に入る予定にしている。


沖縄タイムス-辺野古埋め立て変更申請を提出 沖縄防衛局-2014年9月3日

 米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は3日午後、公有水面埋立法に基づく設計概要の変更申請を沖縄県北部土木事務所に提出した。工事用仮設道路や中仕切り護岸の追加、水路(美謝川)切り替えルート変更と埋立土砂運搬方法の一部変更などを盛り込んだ。

 井上一徳局長は「設計概要変更申請書について、今後沖縄県での審査が行われることから、理解が得られるよう最大限努力するとともに、一日も早い普天間飛行場の返還とキャンプ・シュワブへの移設に向けて、引き続き全力で取り組みたい」とコメントした。


by asyagi-df-2014 | 2014-10-25 08:04 | 沖縄から | Comments(0)

ヘイトクライム-歴史を顧み、足元に巣くう差別の根を断ってこそという決意

NPJの掲載記事から、神奈川新聞のすぐれた社説を見つけた。

 ヘイトスピーチに関してこの社説は、第1に「『(憎悪表現)』とかっこ付きで記されるヘイトスピーチだが、この訳が本質のすべてを表しているとはいえない。事は罵詈(ばり)雑言の次元ではないからだ。」、第2に「言葉の刃で傷付けられているのは民族的少数者たる在日コリアンである。その基本的人権を無視した『朝鮮人を殺せ』のフレーズは民族差別以外の何物でもない。」、という二つの理由から、「公言してみせることで差別を正当化し、蔑視観を刷り込み、排斥の空気をあおる。平等と個人の尊厳を尊重することで成り立つ民主主義社会を根底から突き崩す行為に他ならない。」と、ヘイトスピーチを切ってみせる。
 また、「『日本からたたき出せ』『保健所で処分しろ』という言葉の暴力が表現の自由であるはずがなかろう。」とした大阪高裁の判決については、「判決で特筆すべきは、標的とされた朝鮮学校は社会的に認知された存在で、その民族教育事業は保護されるべきだと言及した点だ。」と、鋭く判決を分析している。
 特に、この社説の優れている所は、自らが関係する地域の問題に立ち返って、このことを自らの問題として分析をしていることである。
 そこでは、「高校無償化の対象から外され、県や横浜、川崎両市は補助金の打ち切りに踏み切った。北朝鮮による拉致問題や核実験という、学校や子どもと無関係な理由が持ち出された政策判断は合理性を欠くと言わざるを得ず、国や自治体の長による公然の差別に等しい。在日の排斥にお墨付きを与え、助長している点でヘイトスピーチと変わらない。」と、明確に主張している。
 社説は、こう続ける。
 「思い致すべきは、在日への差別は今に始まったものではないことだ。朝鮮半島の植民地支配や民族の名前と言葉、文化を奪った同化政策は、差別と対を成す優越思想に基づく所業だった。差別は戦後も制度的に温存され、人々の意識下で再生産されてきた。そして今、過去の反省を示したはずの河野談話や村山談話の見直しを唱える政治家がいて、同様の言説が流布する。
 一審に続いて高裁判決が引いた人種差別撤廃条約の4条(c)は『国、地方の公権力、公的公益団体が人種差別を助長、扇動することを許さない』とうたう。」
最後に、「排外の言動は突如として街中に姿を現したわけではない。歴史を顧み、足元に巣くう差別の根を断ってこそ、示された良識は生かされる。」と、まとめる。

 何とも素晴らしい社説である。
 以下、神奈川新聞の引用。




More
by asyagi-df-2014 | 2014-10-25 05:34 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

本からのもの-「アベノミクス化」する社会

著書名;世界11月号 「アベノミクス化する社会」
著作者;内橋 克人
出版社;岩波書店 


 アベノミクスが目指すのものは、内橋が副題で示す「強者の欲望に寄り添う権力のもとで」というものでしかないことを痛感する。
 ここでは、辺野古敷地建設に関連して、明確に、その意味を明確にする。

 2014年9月12日、海底ボーリング調査の進む地域を広く囲むフロートの周辺にカヌーで近づき、抗議活動を行っていた市民5人が海上保安庁・保安官によって、突如、拘束された。拘束した市民に対して保安官は「刑特法を適用する」と叫んだ。拘束を「(身柄)確保」と呼んだ。
また、管官房長官は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題を、「もう過去の問題。粛々と工事を進めて行くだけ」と、述べた。
 こうした一連の事実を、内橋は、「記者会見で、『過去』と定義づけた管官房長官発言は単なるブラフ(脅し)ではない。海保・保安官らの『常軌を逸した排除』、居丈高な振る舞いの背後に安倍政権の強い後ろ盾がある。抗議活動を圧倒的な力で排除、拘束できる強権発動の手順は整った。辺野古を『過去』のものとする官房長官発言は、この国を被う安倍政権の強権的統治手法の一例を示すに過ぎない。」
 こうも続ける。
 「石原伸晃環境大臣(当時)の『金目(かねめ)でしょ』は同氏だけの専売特許ではない。安倍政権が駆使する統治手段の全体の象徴である。『アベノミクス』は単なる経済政策ではなく、『金目(アメ)は先に、ムチは後で』の典型的な国民傀儡化の統治手法である。」
 まさしく、安倍順三政権の特徴は、強権的な『金目(アメ)は先に、ムチは後で』の典型的な国民傀儡化の統治手法であることがわかる。

 また、辺野古新基地建設をこれほどまでに急ぐのかについては、次のように解き明かす。 「危険な普天間基地を名護市辺野古に移すことで、普天間基地の周辺住民に安全を取り戻す-ごく普通に信じられている『常識』の誤謬をウィキリークスが明かした。市街地のただなかにある普天間基地を大浦湾に臨む辺野古に移せば、陸地では臨めなかった『海』を手に入れることができる。海は軍港の母である。『飛行場プラス軍港』が大浦湾に忽然と浮上する。当面、『新たな軍港』には米軍の高速輸送船が配備される。『辺野古軍港』の構築計画はすでに日米両政府間で合意済みとウィキリークスは暴いた。」
 実は、「日本政府はすでに五年前の秋、米府と合意を交わした」と、ウィキリークスは
暴露したのである。
 結局、辺野古新規津建設は、「市街地の『航空基地』を海に移すだけで『軍港』が付加される。軍事基地としての戦略的次元は飛躍」をもたらすことになる。
 ここにこそ、安倍晋三政権の強権的な手法の根拠があると言えるのである。それは、「『軍港』という機能を付加することで『陸海空』を統合する戦略的拠点基地」を作るという意思表示なのである。
 内橋は、こうも続ける。
 「新基地は、『集団的自衛権』発動の試験台となり、そこに至るプロセスの全ては『特定秘密保護法』を武器として国民の『事前通知』は遠ざけられる。」と。
 こうして、安部晋三政権が、辺野古新基地建設を急ぐ理由を明らかにする。
 辺野古新基地建設は、「構造的沖縄差別」をより深くするものでしかない。
 内橋は、辺野古新基地建設の本等の意味を、「以上のすべては、二〇一二年一月、オバマ米大統領による『新軍事戦略構想』、すなわち、『アジア・太平洋地域で軍事的主導権を確立する』という米アジア基軸戦略の構図に符合している。」と、説明する。
 それは、米軍再編に、日本政府が「目下の同盟者」(新崎)としての役割を果たそうとしている姿である。 

 最後に、内橋は、「二〇一三年一二月二五日、総理官邸で会談した直後、仲井間知事『驚くべき立派な内容を提示して頂いた。いい正月になると実感した。一四〇万県民を代表して心から感謝する」と最大級の賛辞で恭順の意を表した。辺野古への移設容認のご褒美は『立派な内容』であったはずだ。が、支払うべき代償の『内容』は明らかにされていない』と警告する。
 ここでもまた、新崎の 「目下の同盟者」という言葉が相応しい。


by asyagi-df-2014 | 2014-10-24 05:38 | 本等からのもの | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧