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戦争法案(安保法制)採決から、1年が経過した。

 2016年9月19日、戦争法案(安保法制)採決から、1年が経過した。
 このことの意味を、日本弁護士連合会の「安保法制採決から1年を迎え、改めて安保法制の適用・運用に反対し、廃止を求める会長談話」から考える。
 「会長談話」は、次のように記す。


 まず、安保法制そのものについて、次のように再確認する。


「安保法制が容認した集団的自衛権の行使や後方支援の拡大等は、海外での武力の行使を容認し、又は、武力の行使に至る危険性が高いものであり、日本国憲法前文及び第9条に定める恒久平和主義に反する。また、憲法改正手続を経ずに、閣議決定及び法律の制定によって実質的に憲法を改変するものであり、立憲主義に反する。」


 次に、安保法制採決後のこの1年間について、このようにまとめる。


「安保法制をめぐっては、採決後のこの一年の間も、全国で違憲訴訟が提起されるなど、安保法制が憲法違反であることを訴える市民の活動は続けられている。これに対し、政府は、市民に対する説明を十分に尽くさないまま、安保法制の適用・運用に向けた準備を進めており、南スーダンに国連平和維持活動(PKO)の部隊として派遣される自衛隊の交替部隊について、「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」の訓練を始めることを表明している。」


 特に、南ス-ダンの現状と問題について、次のように指摘する。


「南スーダンでは、政府と反政府勢力との間で戦闘が再燃し、JICA職員も避難したと報じられており、PKO参加5原則の一つである『紛争当事者間の停戦合意の成立』が崩れているとの懸念もある中で、『駆け付け警護』等の任務と権限を与えられた自衛隊が派遣されることにより、自衛隊員が殺傷し、あるいは殺傷される危険が現実のものになろうとしている。9月から始まる臨時国会では、政府は南スーダンの情勢やそこでの自衛隊員等へのリスクを丁寧に説明し、その危険性について十分に審議すべきである。」


 日本弁護士連合会は、このような状況を受けて、会としての決意を表明する。


「当連合会は、憲法違反の安保法制に基づく運用が積み重ねられていることは、立憲主義や恒久平和主義に対するより深刻な危機となることから、これに反対するとともに、安保法制の廃止を求めて、引き続き市民とともに取り組む決意を改めて表明する。」


 私たちは、戦争法(安保法制)が、「安保法制が容認した集団的自衛権の行使や後方支援の拡大等は、海外での武力の行使を容認し、又は、武力の行使に至る危険性が高いものであり、日本国憲法前文及び第9条に定める恒久平和主義に反する。また、憲法改正手続を経ずに、閣議決定及び法律の制定によって実質的に憲法を改変するものであり、立憲主義に反する。」、であることを常に確認しつつ、安保法制の廃止を求めて行かなくてはならない。
 特に、南スーダンの状況が、PKO参加5原則の一つである「紛争当事者間の停戦合意の成立」が崩れているなかで、安倍晋三政権が意図する「自衛隊員が殺傷し、あるいは殺傷される危険が現実のものになる」ことを、阻止しなければならない。


以下、日弁連会長談話の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-09-23 06:06 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

朝鮮学校に係る補助金交付の停止に抗議する。

 日本弁護士連合会は2016年7月29日、文部科学大臣が2016年3月29日に朝鮮学校をその区域内に有する28都道府県知事宛ての「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について(通知)」を発出したことについて、日本弁護士連合会会長声明を出した。
 このことによって引き起こされる朝鮮学校に係る補助金停止に強く抗議する。
 


 この声明から、この問題を考える。


(1)通知(2016年3月29日付け)の内容
「『朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について(通知)』は、朝鮮学校について、『北朝鮮と密接な関係を有する団体である朝鮮総聯が、その教育を重要視し、教育内容、人事及び財政に影響を及ぼしている』という政府の認識を示したうえで、対象自治体の各知事に対し、大要、『朝鮮学校の運営に係る上記のような特性も考慮の上、補助金の公益性、教育振興上の効果等に関する十分な御検討と補助金の趣旨・目的に沿った適正かつ透明性のある執行の確保』を要請している。」


(2)通知の問題点
①「補助金の支給権限は地方自治体にあり、その判断と責任において実施されるべきところ、同通知は、具体的な事実関係を指摘することなく、上記のような政府の一方的な認識のみを理由として、数多くある各種外国人学校のなかの朝鮮学校のみを対象として補助金交付を停止するよう促しており、事実上、地方自治体に対して朝鮮学校への補助金交付を自粛するよう要請したものと言わざるを得ない。このことは、同通知を受けて、実際に補助金の打ち切りを検討する自治体が出てきていることからも明らかである。」
②「朝鮮学校に通学する子どもたちも、一個の人間として、また、一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利である学習権(憲法26条第1項、同13条)を保障されている。そして、朝鮮学校は、六・三・三・四を採用し、学習指導要領に準じた教育を行っている。」                ③「そもそも、朝鮮学校は、歴史的経緯から日本に定住し、日本社会の一員として生活する、朝鮮半島にルーツをもつ在日朝鮮人の子どもたちが通う学校であり、民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として既に一定の社会的評価が形成されてきた(大阪高裁平成26年7月8日)。」
④「それにもかかわらず、子どもの教育を受ける権利とは何ら関係を持たない政治的理由により補助金の支給を停止することは、朝鮮学校に通学する子どもたちの学習権の侵害につながるものである。」
⑤「朝鮮学校に通う子どもたちが、合理的な理由なく他の学校に通う子どもたちと異なる不利益な取扱いを受けることは、憲法14条などが禁止する不合理な差別的取扱いに当たり、憲法の理念を反映させた教育基本法4条1項の教育上の差別禁止の規定にも反し、我が国が批准する国際人権(自由権・社会権)規約、人種差別撤廃条約及び子どもの権利条約が禁止する差別にも相当する。2014年(平成26年)8月に採択された国連人種差別撤廃委員会による最終見解においても、朝鮮学校への補助金の不交付等の措置に対し、『朝鮮学校に対し地方自治体によって割り当てられた補助金の停止あるいは継続的な縮小を含む、在日朝鮮人の子どもの教育を受ける権利を妨げる法規定及び政府の行動について懸念する』旨の指摘がなされているところである。」


(3)日本弁護士連合会の主張
「当連合会は、全ての子どもたちが教育を受ける権利を平等に享受することができるよう、政府に対して、朝鮮学校に対する補助金交付の停止を、事実上、地方公共団体に要請している同通知の撤回を求め、また、地方公共団体に対しては、朝鮮学校に対する補助金の支出について上記憲法上の権利に配慮した運用を行うよう求めるものである。」


 このように、日本弁護士会は、「朝鮮学校に通う子どもたちが、合理的な理由なく他の学校に通う子どもたちと異なる不利益な取扱いを受けること」の問題を、明確にした。
 あらためて確認する。


(1)憲法14条などが禁止する不合理な差別的取扱いに当たり、憲法の理念を反映させた教育基本法4条1項の教育上の差別禁止の規定にも反する。
(2)我が国が批准する国際人権(自由権・社会権)規約、人種差別撤廃条約及び子どもの権利条約が禁止する差別にも相当する。
(3)2014年(平成26年)8月に採択された国連人種差別撤廃委員会による最終見解においても、朝鮮学校への補助金の不交付等の措置に対し、『朝鮮学校に対し地方自治体によって割り当てられた補助金の停止あるいは継続的な縮小を含む、在日朝鮮人の子どもの教育を受ける権利を妨げる法規定及び政府の行動について懸念する』旨の指摘がなされている。


 この上で、次のことを要求する。


(1)文部科学省は、「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について(通知)」を撤回すること。
(2)地方公共団体は、朝鮮学校に対する補助金の支出について憲法上の権利に配慮した運用を行うこと。



 以下、日本弁護士連合会の会長声明の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-09-03 05:44 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」(「テロ等組織犯罪準備罪」)という名の「共謀罪」法案の提出。

 朝日新聞は、216年8月26日に、「共謀罪要件変え新設案 『テロ等準備罪』で提案検討」、との記事。8月29日に、「『共謀罪』法案 政権の手法が問われる」、と社説を掲載した。
 今、手もとにある大分県弁護士会・日本弁護士連合会共催の「共謀罪シンポジウム」のチラシには、「共謀罪」について、次のように説明している。


共謀罪は犯罪計画に合意することを罰する罪です。
政府は必要性を訴え続ける一方で、捜査機関が好き勝手に利用したり、国民の日常生活が監視されたりする恐れがあるとの批判が根強くあります。


 この「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」(「テロ等組織犯罪準備罪」)という名の「共謀罪」法案を考える。
 朝日新聞はこの法案提出の経過を次のように伝える。


(1)安倍政権は、小泉政権が過去3回にわたって国会に提出し、廃案となった「共謀罪」について、適用の対象を絞り、構成要件を加えるなどした新たな法改正案をまとめた。2020年の東京五輪やテロ対策を前面に出す形で、罪名を「テロ等組織犯罪準備罪」に変える。9月に召集される臨時国会での提出を検討している。
(2)共謀罪は、重大な犯罪を実際に実行に移す前に相談しただけで処罰するもので、小泉政権が03年、04年、05年の計3回、関連法案を国会に提出。捜査当局の拡大解釈で「市民団体や労働組合も処罰対象になる」といった野党や世論からの批判を浴び、いずれも廃案になった。
(3)今回は、4年後に東京五輪・パラリンピックを控える中、世界で相次ぐテロ対策の一環として位置づけた。参院選で自民党が大勝した政治状況も踏まえ、提出を検討する。
(4)今回の政府案では、組織的犯罪処罰法を改正し、「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」(テロ等組織犯罪準備罪)を新設する。
(5)今回の政府案では、組織的犯罪処罰法を改正し、「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」(テロ等組織犯罪準備罪)を新設する。


 また、過去の「共謀罪」法案との比較を次のように説明する。


(1)過去の共謀罪法案では、適用対象を単に「団体」としていたが、今回は「組織的犯罪集団」に限定。「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」と定義した。テロ組織や暴力団、人身取引組織、振り込め詐欺集団などを想定している。
(2)過去の法案では、犯罪を行うことで合意する「共謀」だけで罪に問われていた。今回は共謀という言葉を使わずに「2人以上で計画」と置き換えたうえで、計画した誰かが、「犯罪の実行のための資金または物品の取得その他の準備行為」を行うことを構成要件に加えた。武器調達のためにパンフレットを集めるなどの行為を想定している。


 今回の法案の問題点を次のように指摘している。


(1)共謀罪に対しては、一般の会社の同僚らが居酒屋で「上司を殺してやろう」と意気投合しただけで処罰されるといった批判があった。今回は犯罪の構成要件を厳しくすることで、こうした批判を避ける狙いがある。ただ、「組織的犯罪集団」や「準備行為」などの言葉は定義があいまいで、捜査当局によって解釈が拡大される可能性は残る。
(2)対象になる罪は法定刑が4年以上の懲役・禁錮の罪とし、その数は600を超えるとみられる。道路交通法や公職選挙法にも適用されることになり、対象範囲が広いことも議論を呼びそうだ。


 「『テロ等組織犯罪準備罪』の罰則は、死刑や無期、10年を超える罪に適用する場合は5年以下、4年以上10年以下の罪には2年以下の懲役・禁錮とした。」、と報じた。


 この上で、朝日新聞はその社説で、「またぞろ、というべきか。」、と批判した。
あらためて、その社説の主旨を押さえる。


(1)安倍晋三政権そのものの体質への批判


①「ついこの間おこなわれた参院選ではそのような方針はおくびにも出さず、選挙が終わるやいなや、市民の自由や権利を脅かしかねない政策を推し進める。特定秘密保護法や安全保障法の制定でもみせた、この政権のふるまいである。」
②「いや、自民党は治安・テロ対策を選挙公約に掲げたうえで多くの支持を得ている。政府はそう反論するかもしれない。しかしそこに書かれていたのは『国内の組織・法制のあり方について研究・検討を不断に進め、【世界一安全な国、日本】を実現します』という、著しく具体性を欠く一文だ。連立与党を組む公明党は、公約でこの問題にいっさい触れていない。」
③「そんな状況で本当に法案を提出するつもりなのか。内容以前に、政権の体質そのものがあらためて問われよう。」


(2)法案への批判


①「小泉内閣が提出した法案には、▽共謀罪が適用される組織の範囲があいまいで、ふつうの労働団体や市民団体、企業の活動が制約されるおそれがある▽共謀だけで罪となる行為が600以上に及び、処罰の網が広くかかりすぎる▽犯罪が行われてはじめて刑罰を科すという刑法の大原則がゆらぐ――といった批判が寄せられた。」
②「今回の案では、当時の国会審議や与野党協議の到達点を踏まえ、組織の定義などについて相応の修正がなされるようだ。だが対象罪種は前のままで、引き続き600を超すという。数を絞り込む方向で積み重ねてきた、これまでの議論はどうなったのか。この間も捜査のいきすぎや不祥事は後を絶たず、そんな当局に新たな力を付与することに疑問をもつ人は少なくない。さらなる見直しが必要だ。」
③「東京五輪をひかえ、テロ対策や国際協力の看板をかければ、多少の懸念があっても大方の理解は得られると、政権が踏んでいるのは容易に想像できる。」


 朝日新聞は、この法案に対して、「もちろんテロの抑止は社会の願いだ。だからこそ権力をもつ側はよくよく自制し、人権の擁護と治安というふたつの要請の均衡に意を砕かねばならない。」、とその批判を結ぶ。


 残念ながら、「東京五輪をひかえ、テロ対策や国際協力の看板をかければ、多少の懸念があっても大方の理解は得られると、政権が踏んでいるのは容易に想像できる。」、との指摘は、安倍晋三政権のやり口から、容易に理解できる。
 この後に何が用意されているのかも。


 以下、朝日新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-08-30 05:40 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

第3次嘉手納爆音訴訟が結審。

 嘉手納町や沖縄市など米軍嘉手納基地周辺の住民約2万2千人が、国に深夜・早朝の米軍機飛行差し止めと損害賠償などを求めた「第3次嘉手納爆音訴訟」が2016年8月25日、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)で結審した。
判決日は、「追って指定される。」、とされている。
この訴訟の原告について、「2011年4月に提起した3次訴訟の原告2万2千人余は、全国の米軍基地訴訟でも最大規模だ。1982年の1次提訴から34年にわたる住民と国の争い。騒音による心身への影響、墜落の危険との隣り合わせの暮らしが続く中、救済を求める住民は、1次約900人の24倍、2次約5500人の4倍にまで膨れ上がっている。」、と沖縄タイムスは伝えた。
 また、原告団の新川秀清団長の「司法の正義をもって静かな夜と、人間が人間として尊厳されるよう切に願う」、との意見陳述での強い訴えを報じた。
 なお、「第1、2次訴訟ではいずれも、騒音の違法性や過去分の損害賠償を認めたが、差し止め請求は退けている。」。
 沖縄タイムスは、この訴訟の争点を次のように伝えている。


(1)住民側は①午後7時~午前7時まで全ての米軍機の離着陸禁止。エンジン調整音などの騒音を40デシベル以下に制限、②午前7時~午後7時まで、騒音を65デシベル以下に制限③過去、将来分の損害賠償―を求めている。
(2)対して国側は請求を退けるよう求め、全面的に争っている。
(3)提訴は2011年4月。航空機騒音による睡眠妨害を通じた心疾患や高血圧が発症しているなどとして、住民側が立証を重ねた「騒音と健康影響の因果関係」が最大の争点。


 また、沖縄タイムスは、住民側の飛行差し止めポイントを、次のように説明している。


(1)住民側が飛行差し止めのポイントとして力を入れたのが、騒音と健康被害の因果関係だ。2次で騒音性難聴の個別立証をしたのに続き、3次訴訟では特に夜間騒音に着目。睡眠妨害や睡眠障害を通じ、心臓血管系疾患や精神機能への影響といった健康被害が生じているとの科学的な立証を重ねた。「騒音に起因し同基地周辺では毎年4人が死亡」との専門家証言もなされた。
(2)これまで、裁判所が差し止めを退けてきた根拠は、日本政府の主権の及ばない米軍の飛行に日本政府へ差し止めを命じることはできないという「第三者行為論」だ。3次では、本訴訟とは別に、第三者行為論を崩す試みとして、2010年施行の民事裁判権法を根拠とし、米国政府へ直接、米軍機の飛行差し止めを求めた「対米訴訟」も提起している。


 さらに、沖縄タイムスは、もう一つの焦点となっている「すべての原告の賠償請求を認めるか」について、次のように伝えた。


(1)原告2万2千人余は、嘉手納町、沖縄市、北谷町、うるま市、読谷村の5市町村、原告団6支部にまたがる。国の作成した騒音予測分布図(コンター)で、うるささ指数(W値)75以上の地域に全員が住んでいる。
(2)国の環境基準では飛行場周辺の住宅用地域はW値70以下。W値75以上は住宅防音工事の対象だ。第2次嘉手納や1次普天間、4次厚木など近年の訴訟では、W値75以上の地域に賠償を認める判断が踏襲されている。ただし、読谷村の座喜味以北は、W値75でも被害が少ないとして2次で請求が棄却された。今回、すべての原告の賠償請求を認めるかも焦点の一つとなる。
(3)一方、防衛省は嘉手納周辺のコンター見直しを10月末をめどに進めている。東京・横田基地など、見直し前に比べコンターが縮小したケースもあり、原告団や弁護団には、「結果次第では今後の控訴審に影響が出るかもしれない」との懸念が広がっている。


 あらためて、嘉手納爆音訴訟が、「静かな夜と、人間が人間として尊厳される」ための
住民の切なる、あたりまえの要求・要望であることを確認する。
 であるとするなら、日米両政府の果たす役割は、すでに決まっているではないか。


 以下、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-08-29 05:48 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

「国家権力による報道の自由への重大な侵害で、絶対に許されない」

 日本新聞労働組合連合は2016年8月24日、8月20日に起こった琉球新報及び沖縄タイムスの記者の拘束、排除に対して、「国家権力による報道の自由への重大な侵害で、絶対に許されない」として、警察当局に強く抗議する「声明」を発表した。
 声明は、次のように指摘した。


(1)沖縄タイムスと琉球新報によると、排除・拘束があったのは8月20日午前。機動隊が建設に抗議する市民を強制排除する様子を取材していた両社の記者が、機動隊員に腕をつかまれたり背中を押されたりして撮影を邪魔され、警察車両の間に閉じ込められたりして自由な取材活動の機会を奪われた。
(2)沖縄県警は「反対派と区別しづらかった。報道を規制する意図は全くない」と説明しているというが、記者は腕章や社員証を提示して社名や身分を名乗り続けたと説明しており、現場の状況から考えて記者だとの認識が持てなかったとは考えづらい。
(3)防衛省によるヘリパッド建設は、地元住民らが根強い反対運動を続ける中、7月の参院選直後に全国から集められた数百人の機動隊員による強制力を用いて再開された。多くのけが人や逮捕者まで出る緊迫した状況が続いており、現場で何が起きているのかを目撃し伝えることは、地元紙はもとより沖縄で取材活動を続けている全ての報道機関にとって大切な使命だと考える。実力行使で報道を妨害する行為は、絶対に認めるわけにはいかない。


 こうした事実を基に、次のように抗議した。


「沖縄県の米軍北部訓練場(東村高江など)に建設中のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の工事現場近くで、取材中の地元紙記者2人が警察の機動隊によって強制排除され、一時的に身柄を拘束された。新聞労連は『国家権力による報道の自由への重大な侵害で、絶対に許されない』として、警察当局に強く抗議する。」


 さらに、日本新聞労働組合連合の総意として、次のように闘いを宣言した。


「言うまでもないことだが、言論、表現の自由は憲法の下で保障されている国民の権利である。新聞労連は沖縄県のマスコミの仲間とともに、報道の自由を侵害する行為とは断固として闘うことを宣言する。」


 この事件は、沖縄高江で起こっていることが、いかに基本的人権を侵しているかを証明した。
 日本のマスコミは、全力で、「国家権力による報道の自由への重大な侵害で、絶対に許されない」、という基本の基に、その使命を充分に果たさなければならない。


 以下、日本新聞労働組合連合の声明の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-08-28 05:45 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

大阪再審無罪。

 標題について、朝日新聞は2016年8月11日、「大阪市東住吉区で1995年に青木めぐみさん(当時11)が焼死した住宅火災の再審で、大阪地裁(西野吾一〈ごいち〉裁判長)は10日、殺人や現住建造物等放火などの罪で無期懲役が確定した母親の青木恵子さん(52)と同居人の朴龍晧(たつひろ)さん(50)に無罪判決を言い渡した。有罪の柱だった朴さんの自白について『取調官による暴行や虚偽をもとにした追及があった』と指摘。青木さんの自白と共に、調書類の証拠能力を否定した。戦後に発生し、死刑か無期懲役が確定した事件のうち、再審無罪は9件目で計11人に上った。大阪地検は上訴権を放棄し、2人の無罪は即日確定した。青木さんは捜査・公判の違法性を明らかにするため、国家賠償請求訴訟を起こす。」、と報じた。
 また、朝日新聞は判決内容や青木さん、朴さんのコメントを次のように伝えた。


(1)「2人は保険金目的で車庫にガソリンをまいて放火し、入浴中のめぐみさんを焼死させたとして逮捕・起訴された。」
(2)「判決は、弁護団が再審請求中にした再現実験では、ガソリンをまききる前に気化して風呂釜の種火につき、数秒で大規模火災が起きたことを踏まえ、『自白通りの放火は困難』と認めた。一方で満タン給油していた軽ワゴン車のガソリンが漏れた可能性があると指摘。火災は自然発火の可能性があるとした。」
(3)「判決後、青木さんは会見し、『完全な真っ白な無罪判決で本当によかった』と笑顔を見せ、『訴えてきたことがやっと認めてもらえた』と話した。大阪地検が上訴権を放棄し、即日判決が確定したことについては『明日から普通の母親として生きていける』とのコメントを出した。」
(4)「朴さんは判決後の会見で検察に対し『裁判で(捜査書類など)大切な証拠を隠してきた。しっかり判決を受け止めてほしい』と求めた。上訴権を即日放棄したことについて、会見後『検察の理念に立ち返った結果。再審無罪判決を真摯(しんし)に受け止められたものとして意義深い』とのコメントを出した。」


 さらに、「大阪地検の田辺泰弘・次席検事は10日夕、『お二方が長年にわたって服役して無罪に至ったことは遺憾』と述べた。しかし、『謝罪する予定はない』と話し、『無罪を積極的に裏付ける証拠が提出されたわけではない』と理由を説明した。」、と報じた。


 このこことに関連して、朝日新聞は2016年8月11日、「大阪再審無罪 誤判の究明がなお必要」、とその社説で、次のように批判した。


(1)「自白偏重の捜査は許されないことを、警察と検察はあらためて肝に銘じるべきだ。」
(2)「注目すべきなのは、有罪の根拠とされた2人の自白を証拠から排除したことだ。『最初から犯人扱いし、相当な精神的圧迫を加えた』『取調官による誘導の疑いがある』。地裁は取り調べについてそう指摘した。自白に偏った予断捜査を厳しく戒めたといえよう。」
(3)「判決は誤判の原因には言及しなかった。2人は保険金目的で自宅に放火したとされた。しかし裁判のやり直しの過程で、車のガソリン漏れによる自然発火の可能性が高いことが、弁護側の再現実験で明らかになっていた。当初の捜査で自然発火の可能性を詰めなかったのはなぜか。自白通りならやけどをしているはずなのに、それがないのを裁判所はなぜ見逃したのか。再審開始決定時から指摘されてきたこうした疑問に、判決はこたえていない。裁判所もこの誤判にかかわった当事者であることを忘れてはならない。」
(4)「大切なのはなぜ捜査当局や司法が誤ったかを明らかにし、共有することだ。ふつうの市民が裁判員になる時代だからこそ、どこに落とし穴があるのか、みんなが知る意義は大きい。」
(5)「自白偏重を改めるため、今春、取り調べの録音・録画(可視化)を義務付ける法改正がなされた。だが、対象は限定されている。このままで十分か、さらに検討が必要だ。」


 よく理解できないのは、「裁判所の『お二方が長年にわたって服役して無罪に至ったことは遺憾』と述べた。しかし、『謝罪する予定はない』と話し、『無罪を積極的に裏付ける証拠が提出されたわけではない』と理由を説明した。」という裁判所の見解である。
 だとしたら、誤判の究明は、裁判所にとって最大の課題である。、


 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-08-15 09:16 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

集団的自衛権-自衛隊派遣のリスク

 新外交イニシアティブは、そのブログで、2016年5月20日に開催した今井高樹氏(日本国際ボランティアセンター(JVC)スーダン駐在スタッフ現地代表)の講演の様子を報告した。
この講演内容(「自衛隊派遣のリスクを考える―南スーダン現地からの報告―」)は、非常に重要であるので、要約の要約ということになるが、掲載する。


(1)南スーダン
1956年にイギリスの植民地から独立したスーダンでは、北部「アラブ」系の支配層と南部の非アラブ系民族の間で、第一次(1955~1972年)・第二次(1983~2005年)あわせて半世紀に及ぶ内戦が続いた。2005年に南北包括和平協定が結ばれ、2011年の住民投票によって南スーダンが分離独立したが、2013年7月、サルバ・キール大統領がリエック・マチャール副大統領を含む全閣僚を解任。同年12月15日、ジュバの政府軍内部での衝突を契機に、各地で激しい戦闘が繰り広げられた。その後、ディンカ族を中心とする政府軍SPLA(大統領派)と、ヌエル族を中心とする反政府軍SPLA-IO(前副大統領派)による対立が続いた。

(2)南スーダンの状況
①現在は大規模な衝突が起きているわけではないものの、昼夜ともに銃を用いた襲撃、強盗や強姦が行われ、日本人は長期滞在できない状態になっており、滞在も首都ジュバに限られている。私は2007年から3年間、JVCの駐在員として独立前の南スーダン(当時はスーダンの一部)で暮らしていたが、2013年12月以降治安や経済状況は著しく悪化。通貨価値は6分の1に低下し、外貨がないため輸入もできず、ガソリンや食料品は闇マーケットでの高価な取引に限られている。今年の国連の報告によると国内(170万人)・国外(70万人)あわせておよそ240万人が避難民となっており、農業を営めないことによる食糧不足も深刻化し、同報告では約280万人が飢餓状態に陥っているという。
②2015年8月、両勢力の間で和平合意が結ばれるが、現政府(大統領側)が2015年10月に独自に決定したディンカ族に有利な線引きによる州数(10州から28州へ)の変更(「28州問題」)等により協議は難航。今年4月29日、統一政府が樹立されマチャール氏が副大統領に再任し、閣僚(総数30)の配分もSPLM(大統領派)53%(16)、SPLM-IO(反政府派)33%(10)、SPLM-FD(中立派) 7%(2)、その他諸政党2%(2)と合意に沿ったものとなった一方、政府軍・反政府軍の統合の問題や「28州問題」が今後新たな紛争の火種になりかねないとみている。

(3)国連PKOの状況
①国連PKOに関しては、南北スーダンの和平プロセスを支援するUNMIS(United Nations Mission in Sudan)が2011年の南スーダン独立に伴い任務を終了し、国家建設の支援にあたるUNMISS (United Nations Mission in South Sudan) が設立された。このUNMISSは2013年12月以降、市民保護に重点が置かれ、主に国内避難民約18万人を各地で保護する国連のキャンプ(PoC(Protection of Civilians))の警護や人道支援関係者の保護を行っていたが、2015年8月の和平合意後、「国連安保理決議2252(2015年12月15日)」により、「人権に関する監視・調査」、「人道支援のための条件整備・後方支援(治安情報提供・武装警護等)」、「和平合意の履行支援(統一政府樹立に向けた行政支援・停戦監視メカニズムの支援・治安部隊の統合への支援など)」などの任務が加えられた。
②PKO側に対しても、国連ヘリの撃墜、国連車両やPKO駐屯地、避難民収容施設への襲撃などが起きており、2013年12月以降41名の犠牲者が出ている。ただし襲撃者は政府軍・反政府軍の他に民兵や暴徒もいるため、「武装グループ」が誰なのか明らかでない場合も多く、不用意に反撃をすると住民を巻き込む危険性やPKO部隊への反感を呼び起こす恐れがある。PKOは部隊が「紛争」の当事者とならないよう戦闘に巻き込まれることを避けており、今年2月に国連難民キャンプが襲撃された際も、威嚇射撃、催涙弾での対応に留めたという。現在PKO部隊は、いわゆる「駆け付け警護」に相当するような救出作戦も展開しておらず、基本的には交渉による解決を図っている。そのため、現地情勢の把握や当事者との信頼醸成が重要な能力となる。

(4)自衛隊の任務としての「駆け付け警護」や「安全確保業務」、「宿営地の(他国軍との)共同防衛」について
①このような現地の状況があるため、この度のPKO法の改定で自衛隊の任務に加わった「駆け付け警護」や「安全確保業務」、「宿営地の(他国軍との)共同防衛」に対し、外国のNGOは「奇妙な発想」とみており、日本の大半のNGOも「迷惑」「困る」という認識である。もし自衛隊が襲撃に対して軍事的な介入を行っていけば、政治的・軍事的に中立な技術立国としての信頼が損なわれるばかりでなく、「武装グループ」や住民の反感が高まることで攻撃の対象になる危険性や、「日本」への敵対感情を生み出すことにもつながりかねない。
②自衛隊は、武力介入を行わないという中立な立場によって築かれた信頼関係を活かし、武力衝突が繰り返されないよう、政府・警察官に対する人権についての研修、行政機構や法律の整備の指導、教育支援や復興支援等、いた非軍事面での重要な役割を果たせると考える。


 以下、新外交イニシアティブの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-06-11 04:56 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

日本弁護士連合会の「安保法制に反対し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言」を考える。

 日本弁護士連合会(以下、日弁連とする)は、2016年5月27日に定期総会を開催し、総会決議として、「安保法制に反対し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言」(以下、「宣言」とする)を採択した。

 これまでも、日弁連の会長声明や人権宣言及び大会決議等は、考え方を整理するために参考にさせてもらってきた。
 再度、安保法制を捉え直し、立憲主義・民主主義の危機を乗り越えるために、この「宣言」を考える。
 その要約は、次の通りである。


(1)確認する安保法制とは。

 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」(平和安全法制整備法)及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」(国際平和支援法)(以下併せて「安保法制」という。)。

(2)この施行された安保法制の内容について。

 安保法制は、「存立危機事態」なる要件の下に、歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を容認した。また、「重要影響事態」や「国際平和共同対処事態」において外国軍隊の武力行使と一体化したといえる範囲にまで後方支援を拡大し、国連平和維持活動(PKO)等に従事する自衛隊に対しては、「駆け付け警護」等の新たな任務と任務遂行のための武器使用権限を付与することを認めた。さらには艦船・航空機を含む米軍等外国軍隊の武器等を防護するための武器使用を自衛官に認めたものである。

(3)この安保法制の問題点。

①安保法制が容認した集団的自衛権の行使や後方支援の拡大等は、海外での武力の行使を容認し、又は、武力の行使に至る危険性が高いものであり、日本国憲法前文及び第9条に定める恒久平和主義に反する。                          
②憲法改正手続を経ずに、閣議決定及び法律の制定によって実質的に憲法を改変しようとするものであり、立憲主義に反するものである。
③国会(第189回国会)の審議において、政府は集団的自衛権の行使を容認する根拠として、1972年10月14日に参議院決算委員会に提出された政府見解や1959年12月16日に最高裁判所が出したいわゆる砂川事件最高裁判決を挙げていたが、これらは根拠になり得ないものであり、外国領域における集団的自衛権行使の唯一想定される適用場面として説明されたホルムズ海峡の機雷封鎖も、参議院審議の最終局面では立法事実となり得ないことが明らかになった。このように、集団的自衛権の行使を容認する政府の説明は説得力に乏しく、報道機関の世論調査においても同国会での成立に反対するとの意見が多数を占めていた。
④2015年7月16日の衆議院本会議に続き、同年9月17日の参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」においても、採決が強行された。憲法違反の安保法制が、言論の府であるべき国会において、十分な説明が尽くされないまま採決が強行されたことは、立憲主義・民主主義国家としての我が国の歴史に大きな汚点を残したものであった。

(4)安保法制が、2016年3月29日に施行されたことの意味。

 安保法制が本年3月29日に施行されたことにより、我が国は、集団的自衛権に基づく武力の行使や、後方支援として米軍等へ弾薬を提供したり、PKOや米軍等の武器等防護として自己保存を超える武器を使用したりすることで、海外における武力の行使に踏み出しかねない段階に至った。立憲主義及び民主主義の危機はより一層深刻であり、平和国家としての我が国の在り方が変わろうとしている。

(5)現在の状況を座視しないための日弁連の主張。

①安保法制の立法化の過程では、若者、母親、学者その他の市民各界・各層が、自発的かつ主体的に言論、集会等の行動を通じて政治に参加する民主主義の大きな発露があった。そのような政治参加の声を国政に反映させることは、立憲主義及び民主主義の回復を支えるものである。また、安保法制が施行された今、人権を擁護し、立憲主義及び民主主義を回復するために、弁護士会を含む法曹の役割、そして司法が果たすべき責任もまた重大である。
②当連合会は、2015年5月29日の定期総会において、戦前、弁護士会が戦争の開始と拡大に対し反対を徹底して貫くことができなかったことを省み、安保法制に反対し、立憲主義を守る活動に全力を挙げて取り組むことを宣言した。当連合会は、これまでの取組の成果を踏まえ、改めて憲法の立憲主義及び恒久平和主義の意義を確認するとともに、今後とも安保法制の適用・運用に反対しその廃止・改正を求めることを通じて立憲主義及び民主主義を回復するために、市民と共に取り組むことを決意する。


(6)今、再確認しなければならないこと。

①立憲主義及び恒久平和主義の意義の確認。
・立憲主義とは、憲法によって個人の自由・権利を確保するために国家権力を制限することを目的とする近代憲法の基本理念である。日本国憲法は、基本的人権の永久・不可侵性を確認するとともに(第97条)、憲法の最高法規性を認め(第98条第1項)、国務大臣、国会議員等の公務員の憲法尊重擁護義務を規定し(第99条)、立憲主義を基本理念としている。
・日本国憲法は、全世界の国民が平和的生存権を有することを確認するとともに(前文)、戦争と武力による威嚇又は武力の行使を禁止することに加え(第9条第1項)、戦力の不保持、交戦権の否認を定めることで(同条第2項)、徹底した恒久平和主義を基本原理とした。
・日本国憲法は、その前文において「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」としており、立憲主義に基づく平和主義を宣言している。
②保法制が日本国憲法の恒久平和主義及び立憲主義に反していることの確認。
・第一に、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合においても、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされる等の要件を満たす場合(存立危機事態)に、自衛隊が地理的限定なく国外に出動して米軍等外国の軍隊と共に武力を行使することを可能としている。これは、集団的自衛権に基づく武力の行使を容認するものである。
・第二に、我が国の平和と安全に重要な影響を与える「重要影響事態」や、国際社会の平和と安全を脅かす「国際平和共同対処事態」において、現に戦闘行為が行われている現場でなければ、地理的限定なく世界中で、武力を行使する米軍等外国の軍隊に、自衛隊が弾薬の提供等までを含む支援活動(後方支援)を行うことを可能としている。これでは、自衛隊の活動は従前禁止されてきた外国軍隊の武力行使との一体化は避けられず、海外での武力の行使に至る危険性の高いものである。
・第三に、これまでの国連平和維持活動(PKO)のほかに、国連が統括しない有志連合等の「国際連携平和安全活動」にまで活動範囲を拡大している。そしてその両方において、従来禁止されてきた安全確保業務、「駆け付け警護」、共同宿営地防護を新たな任務とし、それらに伴う任務遂行のための武器使用等を認めている。しかし、任務遂行のための武器使用は、相手からの妨害を排除するためのものであるから、自衛隊員を殺傷の現場にさらし、さらには戦闘行為から武力の行使に発展する道を開くものである。これは、海外での武力の行使に至る危険性の高いものである。
・第四に、武力攻撃に至らない侵害への対処として、新たに艦船・航空機等を含む外国軍隊の武器等の防護を自衛官の権限として認めている(自衛隊法第95条の2)。これは、現場の判断により戦闘行為に発展しかねない危険性を飛躍的に高め、実質的に集団的自衛権の行使と変わらない事態すら危惧される。
・ このように安保法制は、集団的自衛権の行使や海外での武力の行使を容認することになる。これは、戦争の違法化(戦争放棄に関する条約(パリ不戦条約、1928年)・国際連合憲章第2条第3項及び第4項)を推し進めて、戦争の放棄のみならず、戦力の不保持と交戦権の否認を規定した日本国憲法第9条第2項の意義を否定するものである。そして、同時に、これら武力の行使は、自衛隊員はもとより、自国・他国の国民を殺傷する現実をもたらし、諸国民の平和的生存権を保障する日本国憲法前文にも違反するものである。さらに、安保法制は、後記のとおり、閣議決定に基づき、法律の制定・改正によって、日本国憲法第9条等の恒久平和主義の実質的内容を改変しようとするものであり、それは、国民の自由・権利そして平和を、権力に縛りをかける憲法によって守ろうとする立憲主義を踏みにじるものである。
③立憲主義及び民主主義の危機の状況の確認。
・安保法制の提出に至る経緯
・安保法制をめぐる国会審議
・衆議院本会議での採決の強行
・市民の自発的かつ主体的な政治参加の広がり
・参議院特別委員会での採決の強行と参議院本会議での可決
・立憲主義及び民主主義の危機
 
(7)安保法制施行による立憲主義の危機の深化の確認。(どういうことが実際に起きるのかについての確認)

①安保法制の施行
・政府は、2016年3月22日、安保法制の施行について閣議決定をし、同法は同月29日施行された。
 これにより、我が国は、集団的自衛権に基づく武力行使や、戦闘行為の現場近くで弾薬の提供等までを含む後方支援、PKOや米軍等の武器等防護として自己保存を超える武器の使用を行うなど、海外における武力の行使に踏み出しかねない段階に至った。
・既に防衛省は、民間会社との間で、自衛隊員や武器の運搬に使う民間フェリー確保のための事業契約を締結したことや、民間船舶の船員を予備自衛官として確保することなどが報じられている。
・このように準備が進められる中で、安保法制が施行されることにより、立憲主義の危機はより一層深刻であり、平和国家としての我が国の在り方が根本から変わろうとしている。
②海外でのPKOへの新たな任務と権限の付与
・当面危惧される一例が、南スーダンにPKOとして派遣されている自衛隊への新たな任務と権限の付与であるといわれている。PKOは、伝統的には、紛争当事者の停戦合意、中立性の維持、自己防衛以外の武力不行使の原則の下での停戦監視が主たる任務とされ、軽武装でその任務に当たってきた。しかし、南スーダンを含め冷戦崩壊後のPKOにおいては、その主たる任務が住民保護とされ、そのための武力行使権限も付与されている。そのため、任務遂行の過程で住民に紛れた武装勢力からPKO部隊が攻撃を受け、それに反撃することで武力紛争状態になりPKO部隊自身が国際法上の紛争当事者(交戦主体)になる事態が生じている。
・南スーダンにおいて武力紛争が継続していることが指摘されている中で(2016年2月4日衆議院予算委員会での質疑)、日本国憲法第9条第2項で交戦権を放棄している日本の自衛隊が、安全確保業務、「駆け付け警護」、宿営地共同防護等の新たな任務と、その任務遂行のための武器使用等の権限が付与されて派遣されることになれば、自衛隊員が自ら殺傷し、殺傷されるという非常に危険な状態に至るおそれがより一層現実化する。

(8)立憲主義・民主主義の回復に向けた展望の確認。

①立憲主義回復における司法の果たすべき役割

・近代立憲主義憲法は、個人の権利・自由を確保するために国家権力を制限することを目的とするが、この立憲主義思想は、法の支配の原理と密接に関連する。
 法の支配の原理は、専断的な国家権力の支配(人の支配)を排斥し、権力を法で拘束することによって、国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理であるが、そこでは憲法の最高法規性の観念、権力によって侵されない個人の人権、法の内容・手続の公正を要求する適正手続に加えて、権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割が重要である。
・憲法違反の安保法制が施行されるに至ったことから、今後、安保法制の適用・運用から個人の基本的人権を擁護し、立憲主義を回復するために、法曹の役割、そして司法の果たすべき責任は重要である。立憲主義が侵されようとしている中で、司法には、裁判手続を通じて立憲主義を回復することが期待されている。

②市民の自発的かつ主体的な政治参加の広まり
・安保法制に関する国会審議の在り方や採決強行を受けて、若者、母親、学者その他の市民各層に立憲主義及び民主主義が侵されようとしていることへの危機感が強まり、そのことが市民の自発的かつ主体的な政治参加の広がりを生み出してきた。
・市民が集会・デモなどに参加するなど、自発的かつ主体的に言論、集会等の行動を通じて政治に参加し国政に民意を反映させることは、民主主義の大きな発露でありその健全性を示すものである。それは、立憲主義及び民主主義の回復を支えるものである。
③当連合会、弁護士会及び弁護士会連合会の取組
・戦前、弁護士会は、言論・表現の自由が失われていく中、戦争の開始と拡大に対し反対を徹底して貫くことができなかった。今、弁護士及び弁護士会が「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という立場から意見を述べ行動しなければ、弁護士及び弁護士会は、先の大戦への真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓を生かせないことになる。
・当連合会、全国の弁護士会及び弁護士会連合会は、このような立場から、安保法制に関する憲法上の問題点を解明しそれを広く訴え続けてきた。
・立憲主義及び民主主義の危機がより一層深刻になる中で、立憲主義及び民主主義を回復するために、弁護士会がその責任を果たすことが更に求められている。
④立憲主義・民主主義の回復のために
 2015年10月21日、衆議院において総議員の4分の1以上の議員が臨時国会の召集を求めたのに対し、政府は召集を見送った。憲法第53条は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、「内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めているが、その決定を行わなかった。
 憲法違反の安保法制の可決・施行に続き、臨時国会の召集に応じないことや政府関係者が国家緊急権の創設や日本国憲法第9条の改変等に言及する状況の下、当連合会は、これまでの取組の成果を踏まえ、改めて憲法の立憲主義及び恒久平和主義の意義を確認するとともに、今後とも憲法に違反する安保法制の適用・運用に反対し、その廃止・改正を求めることを通じて、立憲主義及び民主主義を回復するために、市民と共に取り組むことを決意する。



 私たちが、再確認することは、「安保法制が本年3月29日に施行されたことにより、我が国は、集団的自衛権に基づく武力の行使や、後方支援として米軍等へ弾薬を提供したり、PKOや米軍等の武器等防護として自己保存を超える武器を使用したりすることで、海外における武力の行使に踏み出しかねない段階に至った。立憲主義及び民主主義の危機はより一層深刻であり、平和国家としての我が国の在り方が変わろうとしている。」、ということである。
 こうした状況をどのように克服していくかが問われるわけである。
日弁連は、そのための決意を、「改めて憲法の立憲主義及び恒久平和主義の意義を確認するとともに、今後とも憲法に違反する安保法制の適用・運用に反対し、その廃止・改正を求めることを通じて、立憲主義及び民主主義を回復するために、市民と共に取り組むことを決意する。」、とした。
 私たち市民もまた、ひとり一人が、明確な意思を持って、立憲主義及び民主主義を回復するために取り組まねばならない。


 以下、日本弁護士連合会の「安保法制に反対し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言」の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-05-30 05:37 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

産経は、「教職員の政治活動に罰則 自民、特例法改正案、秋の臨時国会にも提出」とリーク。

 私自身も、政権がマスコミを利用して観測記事を書かせて、それを判断基準にしてきたという経過を身を以て知ってきた。
 なかなか産気新聞を直接読む機会はないため、2016年5月10日の澤藤統一郎の憲法日記の「アベ政権が牙をむいてきた-「教特法に刑罰導入の改正法案」については、安倍晋三政権のやり方に驚かされるでけでなく、いよいよ感が強い。
 この産経新聞の記事は次のものである。


①「自民党は9日、今夏の参院選から選挙権年齢が『18歳以上』に引き下げられることを踏まえ、公立高校の教職員の政治活動を禁じる教育公務員特例法を改正し、罰則規定を設ける方針を固めた。早ければ今秋の臨時国会に改正案を提出する。」
②「同法は『政党または政治的目的のために、政治的行為をしてはならない』とする国家公務員法を準用する規定を定めているが、罰則がないため、事実上の『野放し状態』(同党幹部)と指摘されていた。
③「改正案では、政治的行為の制限に違反した教職員に対し、『3年以下の懲役又は100万円以下の罰金』」程度の罰則を科することを想定している。また、私立学校でも政治的中立性を確保する必要があるとして私立校教職員への規制も検討する。これまで『国も自治体も、私立には口出ししない風潮があった』(同党文教関係議員)とされるが、高校生の場合は全国で約3割が私立に通学する実情がある。党幹部は『私立でも政治的中立性は厳格に守られなければならない』と指摘。小中学校で政治活動をした教職員に罰則を科す『義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法』を改正し、私立高の教職員にも罰則を適用する案が浮上している。」
④「日本教職員組合(日教組)が組合内候補者を積極的に支援するなど選挙運動に関与してきた過去を踏まえ、組合の収支報告を義務付ける地方公務員法の改正についても検討する。」


 澤藤統一郎の憲法日記は、この問題について、まずは、「教育現場での教員の政治的問題についての発言は、残念ながら萎縮しきっていると言わざるをえない。それをさらに、刑罰の威嚇をもって徹底的に押さえ込もうというのだ。闘う力もあるまいと侮られての屈辱ではないか。」、と現場の闘う状況を概観する。
 そして、問題点を次のように指摘する。


①「この改正法案の当否以前の問題として、罰則をもって禁じなければならないような『高校教職員の政治活動』の実態がどこにあるというのだろうか。1954年教育二法案制定当時と今とでは、政治状況はまったく違っている。かつての闘う日教組は、今や文科省との協調路線に転換している。「日の丸・君が代」問題でも、組合は闘わない。個人が、法廷闘争をしているのみではないか。
②「教育二法とは、『義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法』(教員を教唆せん動して特定の政治教育を行わせることを禁止)と、『教育公務員特例法』(教員の政治的行為を制限)とのこと。当時の反対運動の成果として、教特法への刑事罰導入は阻止された。それを今、60年の時を経て導入実現しようというのだ。
③「『政治的中立』の名をもって圧殺されるものが政権批判であることは、現場では誰もが分かっていることだ。さらに、萎縮を求められるものは『憲法擁護』であり、『平和を守れ』、『人権と民主主義を守れ』、『立憲主義を尊重せよ』という声だ。憲法に根拠をおく常識も良識も党派性を帯びた政治的発言とされてしまうのだ。」
④「教育基本法(第14条)は、『良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。』と定める。明日の主権者を育てる学校が、政治と無関係ではおられない。18歳選挙権が実現した今となればなおさらのこと。刑事罰導入はいたずらに、政治的教養教育、主権者教育の限りない萎縮をもたらすことが目に見えている。それを狙っての法改正と指摘せざるをえない。


 澤藤統一郎さんは、この問題に対して、次のように主張する。


①「今、教育現場において『教育基本法の精神に基き、学校における教育を党派的勢力の不当な影響または支配から守る』ためには、政権の教育への過剰な介入を排除することに主眼を置かねばならない。」
②「教育公務員も思想・良心の自由の主体である。同時に、教育という文化的営為に携わる者として、内在的な制約を有すると同時に、権力からの介入を拒否する権利を有する。」
③「『教職員の政治活動に罰則』という、教職員の活動への制約は、政権の教育支配の一手段にほかならない。憲法をないがしろにし、教育基本法を敵視するアベ政権が、危険な牙をむいてきたといわなければならない。」                    ④「改憲反対勢力がこぞって反対しなければならないテーマがひとつ増えた。」


 この安倍晋三政権による「教職員の政治活動に罰則」化は、憲法をないがしろにする、日本国憲法改正への一過程である。
 確かに、これまでも「政治的中立」とは、政権政党への権力集中を補完するものでしかない。そこで求められるものは、『憲法擁護の萎縮』であり、『平和を守れ』、『人権と民主主義を守れ』、『立憲主義を尊重せよ』という憲法に根拠をおいた真っ当な思想信条の否定やそれに基づく憲法実現のための運動の排除である。
 やはり、何としても、安倍晋三政権の教育への過剰な介入を阻止しなけねばならない。


 以下、澤藤統一郎の憲法日記及び産経新聞 の引用。




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by asyagi-df-2014 | 2016-05-15 05:56 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

日本国憲法-日本弁護士連合会会長声明が語ること。

 日本弁護士連合会(以下、日弁連とする)は、2016年5月3日、「憲法記念日を迎えるにあたっての」として、会長声明を発表した。
69回目を迎えた憲法記念日を、日弁連の思いとともに、日本国憲法を考えたい。

 日弁連は、「日本国憲法は、個人の自由・権利を保障するため憲法により国家権力を制限するという立憲主義を基本理念とし、基本的人権の尊重、恒久平和主義、国民主権を基本原理としている。今日ほど、この基本理念や基本原理に基づく政治の実現が期待されている時はない。」、と日本国憲法の危機の状況を明確にする。
 その上で、日弁連はその使命を、現状と照らしあわせて、次のように記す。

(1)本年4月14日以降、熊本県を中心に地震が続いており、大勢の被災された方々が今なお大きな不安の中で過ごされている。今何よりも、被災された方々への支援と、被災地域の一刻も早い復旧・復興が求められている。そのことは、被災された方々の生存権等を含む基本的人権を保障するという憲法上の要請である。
(2)本年3月29日に施行された安保法制は、集団的自衛権の行使を容認するなど恒久平和主義に反するとともに、立憲主義及び国民主権に反するものであり、当連合会は、その廃止・改正を求めている。
(3)本年6月19日、選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が施行されることを受け、日本の未来を担う若者の積極的な政治参加が広がるとともに、憲法への理解が進展することが期待される。

 日弁連は、「日本国憲法の基本理念や基本原理を堅持し、その実現に向けて、市民と共に全力を尽くすことを誓う。」、とその決意を表明する。


 2016年5月3日、憲法記念日に、「日本国憲法は、個人の自由・権利を保障するため憲法により国家権力を制限するという立憲主義を基本理念とし、基本的人権の尊重、恒久平和主義、国民主権を基本原理としている。」、ということを、まずは、自分の中に深く沈静させること。
 また、市民の一人として、その実現に尽くそう。


 日弁連会長声明の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-05-05 17:45 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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