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「駆け付け警護」「宿営地の共同防護」の新任務を考える。(2)

 安倍晋三政権は、2016年11月15日の閣議で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊に、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務を付与する実施計画の変更を決定した。また、閣議に先立つ国家安全保障会議(日本版NSC)では、同じく新任務の「宿営地の共同防護」を付与する方針も確認した。
 このことについて、考える。
2016年11月16日付けの朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、読売新聞紙の社説の見出しは次のようになっている。


(1)朝日新聞社説-駆けつけ警護 納得できぬ政府の説明
(2)毎日新聞社説-駆け付け警護 慎重のうえにも慎重に
(3)東京新聞社説-南スーダンPKO 新任務より撤収の勇気を
(4)読売新聞社説-駆けつけ警護 安全確保しつつ新任務を担え


 今回も、「安全確保しつつ新任務を担え」と主張する読売新聞の異端ぶりが際立つ。
 読売以外の主張は、「新任務より撤収の勇気を」「納得できぬ政府の説明」「慎重のうえにも慎重に」、と反対や疑問が基調になっている。


 各紙の主張は次のようになっている。
Ⅰ.朝日新聞の主張
(1)事実上の内戦状態にある南スーダンでの新任務の付与に、あらためて反対する。
(2)政府は、憲法との整合性を保つため設けられた「PKO参加5原則」は維持されていると繰り返す。実態とかけ離れていないか。現状は「紛争当事者間の停戦合意」や「紛争当事者の安定的な受け入れ同意」が確立した状況とは考えにくい。
(3)政府がいま、急ぐべきは新任務の付与ではない。内戦状態が拡大して、道路や施設整備が難しくなった場合の、自衛隊の撤収に向けた準備ではないか。日本がめざすのは、あくまで南スーダンの国造りであって、自衛隊の派遣継続で存在感を示すことではない。
そのためにも、支援の重点を切り替える必要がある。自衛隊の「出口戦略」を描き、人道支援や外交努力など日本らしい貢献策を強めていく時だ。
Ⅱ.毎日新聞の主張
(1)新任務の付与は、昨年9月に安全保障関連法が成立したことで可能になった。安保関連法のうち、私たちは集団的自衛権の行使容認や重要影響事態法には反対してきたが、国際協力活動の意義は認めてきた。
(2)駆け付け警護には、確かにリスクはある。だが、特殊な訓練を受けた自衛隊にしかできない任務であることも事実だ。人命尊重を考えると、厳しい歯止めをかけたうえで、極めて慎重に判断し、運用することが最低限の条件だ。任務付与といっても、必ずやらなければならないということではなく、実施するかどうかは、状況を見て部隊長が判断する。自衛隊の能力を超える場合は、救援要請を断るしかない。安倍晋三首相は「PKO参加5原則が満たされている場合でも、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と判断する場合には、撤収をちゅうちょすることはない」と語った。政府は現地の治安情勢を正確に把握し、状況次第で撤収を決断する覚悟も必要だ。
Ⅲ.東京新聞の主張
(1)一九九二年のカンボジアから始まった自衛隊の国連平和維持活動(PKO)参加は、二十四年を経て歴史的転換点に立っている。
(2)問題となるのは、自らを守るという武器使用の一線を越え、任務を遂行するための武器使用が可能になることだ。
(3)海外で武力の行使はしないという抑制的な姿勢が、戦後日本の国際的な信頼と経済的繁栄をもたらしたことは紛れもない事実だ。
(4)市民を巻き込んだ戦闘の危険すら否定できない情勢で現地にとどまることが、日本の活動として本当に適切なのだろうか。駆け付け警護に当たる自衛隊が武装勢力との間で本格的な戦闘に発展すれば、双方に犠牲が出ることも避けられないだろう。戦闘相手が、五原則で想定している国家や国家に準ずる組織でないとしても、憲法が禁じる海外での武力の行使と同様の軍事的行為に当たるとの批判は免れまい。
(5)専守防衛に徹する平和国家であり、欧州各国とは違ってアフリカを植民地支配したこともない日本だからこそ得られる信頼があり、できる貢献があるはずである。政府は各国に呼びかけ、インフラ整備をはじめ医療・衛生、教育・人材育成など非軍事の民生支援の検討を急いだらどうか。日本から遠い地で、厳しい状況下で任務に当たる自衛隊員には敬意を表するが、有意義な活動ができない治安情勢に至った場合、安倍晋三首相には躊躇(ちゅうちょ)なく撤収を決断する勇気を求める。
Ⅳ.読売新聞の主張
(1)駆けつけ警護は、国連や民間活動団体(NGO)の職員らが武装集団などに襲われた際、救援に向かう任務である。従来は、正当防衛・緊急避難でしか武器が使用できないという過剰な法律上の制約から、実施できなかった。1992年に自衛隊がPKOに参加して以来、人道上の最低限の国際的責務さえ果たせない不正常な状況がようやく是正される。
(2)疑問なのは、野党が、こうした実情を踏まえず、新任務は危険だと批判ばかりしていることだ。
(3)駆けつけ警護は、あくまで一時的、応急的な任務だ。施設部隊が主体の陸自が救援要請されるケースは、近くに他国の歩兵部隊がいないなど、極めて限られる。陸自の能力上も、武力衝突の現場に駆けつけることは想定されない。無論、新たな任務には、危険が伴う。そのリスクを最小限にする不断の努力が欠かせない。
(4)現地で得た情報や教訓を踏まえて、様々なケースを想定した陸自の訓練や装備を中長期的に充実させることも大切となろう。


 加えて、スーダンの最近の状況について朝日新聞はこのように押さえている。


(1)現地の治安情勢は予断を許さない。国連の事務総長特別顧問は今月11日、南スーダンで「民族間の暴力が激化し、ジェノサイド(集団殺害)になる危険性がある」と警告した。
(2)国連南スーダン派遣団(UNMISS)にも混乱が広がっている。7月の首都ジュバでの大規模戦闘では、各国の文民警察官らが国外に退避。今月に入ってケニア出身の司令官が更迭され、これに反発したケニアは部隊の撤退を始めた。
(3)武器は全土に拡散し、7月の戦闘の際は国連施設も略奪の被害を受けた。この戦闘で政府軍とPKO部隊が一時交戦したとの認識を、南スーダン情報相が本紙の取材に示している。



 さて、問題は、毎日新聞の指摘する「新任務の付与は、昨年9月に安全保障関連法が成立したことで可能になった。」、ということにある。
 このことの判断なしに今回の新任務の付与の意味は語れないはずである。
 ただ、毎日の「安保関連法のうち、私たちは集団的自衛権の行使容認や重要影響事態法には反対してきたが、国際協力活動の意義は認めてきた。」、とはどういうことなのかきちっとした説明が必要である。


 以下、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、読売新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-11-20 06:08 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

「駆け付け警護」「宿営地の共同防護」の新任務を考える。

 東京新聞は2016年11月15日、「政府は十五日午前の閣議で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊に、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務を付与する実施計画の変更を決定した。閣議に先立つ国家安全保障会議(日本版NSC)では、同じく新任務の「宿営地の共同防護」を付与する方針も確認した。」、と報じた。
 このことに関して、澤藤統一郎さんは「澤藤統一郎の憲法日記」のブログで2016年11月7日、自衛隊員よ。危険を背負わされて、南スーダンに行くなかれ。」、と記した。
澤藤さんのこのブログから「『駆け付け警護』『宿営地の共同防護』の新任務」について考える。


Ⅰ.何が問題なのか。


(1)大統領派と副大統領派の戦闘の現実を、「戦闘ではない、衝突に過ぎない」と無責任なレトリックで、危険な地域に危険な任務を背負わしての自衛隊派遣である。これは、海外派兵と紙一重。
(2)これまで派遣されていたのは「南スーダン派遣施設隊」の名称のとおり、施設科(工兵)が主体。道路修復などもっぱらインフラ整備を主任務としてきた。今度は、普通科(歩兵)だ。危険を認識し覚悟しての自衛隊派遣。派遣される自衛隊員も危ないし、自衛隊員の武器使用による死傷者の出ることも予想されている。
(3)アベ政権が、危険を承知で新任務の自衛隊派遣を強行しようというのは、憲法を壊したいからだ。憲法の平和主義を少しずつ侵蝕して、改憲の既成事実を積み上げたい。いつの日にか、「巨大な既成事実が憲法の理念を押さえ込む」ことを夢みているのだ。
(4)1992年6月成立のPKO協力法(正式には、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」)審議は、国論を二分するものだった。牛歩の抵抗を強行採決で押し切って、にようやくの成立となった。もちろん、憲法との整合性が最大の問題だった。
(5)そもそも1954年成立の自衛隊法による自衛隊の存在自体が憲法違反ではないか。これを、与党は「自衛権行使の範囲を超えない実力は戦力にあたらない」として乗り切った。そのため、参議院では全員一致で「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」をしている。
(6)PKO協力法は、その自衛隊を海外に派遣しようというもの。明らかに違憲ではないかという見解を、法に「PKO参加五原則」を埋め込むことで、「戦闘に参加する恐れはない。巻き込まれることもない」として、乗り切ったのだ。
(7)そして今度は、「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防護」だ。場合によっては、積極的に武器使用を辞さない覚悟をもっての自衛隊派遣を許容する法が成立し、運用されようとしている。これを許せば、いつたい次はどうなることやら。


Ⅱ.改憲問題対策法律家6団体連絡会の「南スーダン・PKO自衛隊派遣に反対する声明」(2016年10月27日)から見えるもの。
 まず、「声明」は問題点を次のように指摘する。


(1)1992年にPKO法が制定された時、PKO活動の変質(米ソ冷戦前は北欧やカナダなどが原則非武装で、派遣国の停戦・受入合意がある場合にPKO活動を行っていたが、米ソ冷戦後は時にアメリカなどの大国が重武装で、しかも派遣国の停戦・受入合意がない場合でもPKO活動を実施するようになった)と憲法との関係(自衛隊をPKO活動に「派遣」するのは憲法9条違反ではないかという議論)から、当時の野党は国会で牛歩戦術まで使って抵抗したほど議論があった。
 そのため、政府・与党もPKO法を制定したものの、PKO法に基づく参加に当たっての基本方針として5原則(①紛争当事者間での停戦合意の成立、②紛争当事者のPKO活動と日本のPKO活動への参加の同意、③中立的立場の厳守、④上記原則が満たされない場合の部隊撤収、⑤武器使用は要員の生命等の防護のために必要最小限のものに限られること)を定め、自衛隊のPKO活動はあくまで復興支援が中心で、武器使用は原則として自己及び自己の管理に入った者に限定し、派遣部隊も施設部隊が中心であった。
(2)南スーダンでは、今年4月に大統領派と反政府勢力の前第1副大統領派とが統一の暫定政府を立ち上げたが、今年7月に両派で大規模な戦闘が発生し、この戦闘ではPKO部隊に対する攻撃も発生し、中国のPKO隊員と国連職員が死亡している。国連安保理は、今年8月にアメリカ主導で南スーダン政府を含めたいかなる相手に対しても武力行使を認める権限を付与した4000人の地域防衛部隊の追加派遣をする決議案を採択したが、この決議には南スーダンの代表自体が主要な紛争当事者の同意というPKOの原則に反しているという理由で反対し、ロシアや中国なども棄権している。今月も大統領派と前第1副大統領派との間での戦闘が拡大し、1週間で60人もの死者を出している。この状況はとてもPKO参加5原則を満たしている状況とはいえない。そして、政府が今後予定しているのは、施設部隊に加えて普通科部隊や、さらに中央即応集団の部隊も派遣される可能性があり、他国部隊を守るために武器使用に踏み切るならば、憲法9条で否定された武力行使にあたることになる。


 この上で、改憲問題対策法律家6団体連絡会は、「憲法違反の『戦争法』(いわゆる『安保関連法』)の廃止を引き続き求めていくとともに、かかる状況の下での自衛隊の南スーダンへの派遣と新任務の付与に断固として反対するものである。」、と結論づける。


Ⅲ.状況の悪化について。


 澤藤さんは、「その後、実態は悪化している。」、と次のように続ける。


(1)ケニア政府は11月3日、現地部隊にUNMISSからの即時撤退を命じた。同国は南スーダンの隣国、1230人を派遣してUNMISS総人員約1万3000人の主力をなし、UNMISSの司令官を出す地位にあった。ところが、潘基文国連事務総長はこのオンディエキ司令官を解任した。同国部隊が撤退した事情は、「今年7月首都ジュバで発生した政府軍と反政府勢力との戦闘のなか、政府軍の攻撃で多くの住民が死傷し、海外の援助関係者がレイプなどの被害に遭ったにもかかわらず、UNMISSの歩兵は動かなかった」「このため、国連は1日公表の報告書で、文民保護に失敗したと断定。司令官だったオンディエキ氏はその責任を追及されたとみられる」と報じられている。
(2)文民警察を派遣していた英国、ドイツ、スウェーデン、ヨルダンなども、7月の戦闘を契機に「安全確保」などの理由で文民警官を国外に退避させている。新たな任務を帯びた自衛隊は、そんなところに行くのだ。


 澤藤さんは、「澤藤統一郎の憲法日記」で、最後に次のようにまとめる。


「UNMISSの一員としての自衛隊は、その任務遂行のためには南スーダン政府軍との交戦が避けられない。既に、PKO参加五原則の要件は崩壊している。敢えての自衛隊派遣と駆けつけ警護等による武器使用は、憲法の許すところではない。」


 そして、こう語りかける。


「自衛隊員よ。南スーダンに行くなかれ。」


 以下、澤藤統一郎の憲法日記の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-11-17 06:52 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

陸上自衛隊に「駆け付け警護」を可能にする新任務付与を閣議決定。

 東京新聞は2016年11月15日、標題について次のように報じた。


(1)政府は十五日午前の閣議で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊に、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務を付与する実施計画の変更を決定した。閣議に先立つ国家安全保障会議(日本版NSC)では、同じく新任務の「宿営地の共同防護」を付与する方針も確認した。稲田朋美防衛相は、十二月十二日から実際に駆け付け警護の実施が可能となることも明らかにした。実施に必要な指揮権を切り替える派遣命令を今月十八日に出す方針。 
(2)二十日から順次派遣される陸自第九師団(青森市)を中心とする交代部隊が新任務を担う。自衛隊の海外任務を大幅に拡大した安保法が適用される初のケースとして、活動が始まる。
(3)駆け付け警護は、離れた場所にいる国連職員らが武装集団に襲われた際、自衛隊が武器を持って緊急的に助けに行く任務。
 交代部隊は道路整備などを担当する施設部隊を中心とする約三百五十人。施設部隊の活動地域は首都ジュバ周辺に限定し、駆け付け警護の対象範囲も同じ地域内になる。政府は、実際の任務は原則として現地の警察や他国の歩兵部隊に委ねる方針で、自衛隊の警護対象にはジュバ市内の大使館関係者ら在留邦人二十人を想定している。
(4)駆け付け警護では、銃による威嚇や警告射撃が新たに認められた。武器を向けられたり発砲されたりした場合は「正当防衛・緊急避難」として危害を加える反撃が可能。今までにない任務で、自衛隊員のリスクが高まるとの指摘がある。
(5)ジュバ市内では七月に大統領派と反政府勢力との銃撃戦が発生し、二百七十人以上が死亡。十月にはジュバから約六百キロ離れた地域の戦闘で五十人以上が死亡した。政府は稲田氏や柴山昌彦首相補佐官を現地に派遣し、治安について「状況は楽観できないが、ジュバ市内は比較的落ち着いている」との見解をまとめ、交代部隊が必要な訓練を終えたとして任務付与に踏み切った。
(6)宿営地の共同防護は、他国軍と一緒にPKOの活動拠点を守る任務。安保法に新任務として明記された。
(7)安倍晋三首相は十五日午前の参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、南スーダンのPKOへの陸上自衛隊派遣に関し「安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と判断される場合は、撤収をちゅうちょすることはない」と述べた。
 首相は南スーダンの治安情勢について「状況は極めて悪く、多くの市民が殺傷される事態がたびたび生じている」と指摘。しかし、海外での武力行使を避けるためのPKO参加五原則は守られているとし「危険を伴う活動ではあるが、自衛隊にしかできない責務をしっかり果たすことができる」と強調した。


 以下、東京新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-11-16 05:45 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

日弁連の、「憲法の恒久平和主義を堅持し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言」を読む。

 日本弁護士連合会は、2016年10月7日、「憲法の恒久平和主義を堅持し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言」を採択した。
 宣言は最初にこう切り出す。
 「今、この国の在り方すなわち憲法体制が、大きく変えられようとしている。」、と。
 この言葉にすべてが集約されている。
この宣言をこのように受け取った。


Ⅰ.何が問題なのか。
 憲法9条に違反する平和安全法制整備法及び国際平和支援法(以下「安保法制」という。)が2015年9月19日に国会で採決され、2016年3月29日に施行された。これによって日本は、集団的自衛権を行使して他国の戦争に参加し、あるいは海外での他国の武力の行使と一体化する危険を免れないこととなった。


Ⅱ.このことはどのような意味を持つのか。
(1)日本国憲法の役割
1.1945年、日本は、アジア・太平洋戦争の惨禍に対する痛切な反省に立ち、その惨禍をもたらした国家主義と軍国主義を排し、個人の尊厳に立脚して、主権が存する国民による全く新たな憲法体制を構築することとなった。そして制定された日本国憲法は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」、世界に先駆ける徹底した恒久平和主義を高らかに謳った。
2.戦後70年の日本の歴史において、憲法9条は、現実政治との間で深刻な緊張関係を強いられながらも、集団的自衛権の行使の禁止、海外における武力行使の禁止などの基本的な原則を内容とする法規範として、平和主義の基本原理を確保するための現実的な機能を果たしてきた。これによって日本は、国際社会の中で、平和国家としての一定の評価を得てきた。
(2)安倍晋三政権の策動
1.この間、日本を取り巻く安全保障の環境が一層厳しさを増していることを理由に、特定秘密保護法の制定、国家安全保障戦略の策定、武器輸出禁止原則の転換などが進められた上、解釈で憲法を改変し安保法制を整備するための閣議決定がなされ、これを受けて憲法に違反する安保法制が制定されるに至った。ここに、内閣及び国会によって立憲主義が踏みにじられ、同時に、憲法9条の上記法規範としての機能も損なわれることとなった。
2.政府は、安保法制法案を国会に提出するよりも前に内容を先取りする新たな日米防衛協力のための指針を合意し、法案の国会審議においても、多くの専門家の違憲性の指摘や法案成立反対の多数世論にもかかわらず、また集団的自衛権の行使等を必要とする立法事実すらあいまいなまま、審議を十分に尽くすことなく、採決を強行した。その過程は、言論の府としての国会による代表民主制の機能を阻害するものであった。


Ⅲ.これから現実としておこること。
(1)安保法制が施行された今、この国は、政府の判断と行為によって、集団的自衛権が行使されることなどが、現実の問題として危惧される状況にある。しかも特定秘密保護法の下では、市民は、政府の判断の是非を検討するため必要な情報を十分に知らされず、民主主義事後的な検証すら保障されない。政府に対する監視にとって表現の自由の保障が不可欠であるが、政府・与党関係者がメディアの政治的公平性を問題視し、放送局の電波停止にまで言及する等、表現の自由への介入の動きも際立ってきている。
(2)このような状況は、日本が戦後70年間にわたって憲法9条の下で培ってきたかけがえのない平和国家としての理念と実績を損ない、海外においても武力の行使ができる国となり、個人の尊厳と人権の尊重を基本とする憲法の価値体系が影響を受けて、国の基本的な在り方が変容させられてしまいかねないものである。


Ⅳ.日本弁護士連合会の決意
(1)今ほど、立憲主義、民主主義、恒久平和主義という憲法的価値の真価が問われているときはない。そして、この憲法的価値の回復と実現は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士からなる当連合会としての責務である。また、安保法制が制定・施行された現在、立憲主義の理念に基づいて権力の恣意的行使を制限し、法の支配を確保すべき司法の役割は大きく、その一翼を担う当連合会の果たすべき役割もまた重大である。
(2)今、この国の歴史の大きな岐路に立って、当連合会は、民主主義を担う市民とともに、立憲主義国家が破立壊され、この国が再び戦争の破局へと向かうことの決してないよう、憲法の恒久平和主義を堅持し、損なわれた立憲主義と民主主義を回復するために、全力を挙げることをここに表明するものである。


 この宣言から受け取るのものは次のことである。


(1)今、この国の歴史の大きな岐路に立っていることを深く自覚すること。
(2)立憲主義国家が破立壊され、この国が再び戦争の破局へと向かうことの決してないよう、憲法の恒久平和主義を堅持し、損なわれた立憲主義と民主主義を回復するために、全力を挙げて取り組むこと。
(3)こうした考え方を持った人々と広範な闘いを共闘すること。


 以下、日本弁護士連合会の宣言の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-11-07 10:03 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

日本国憲法は公布七十年の節目の日に考える。

 2016年11月3日、日本国憲法は公布七十年の節目を迎えた。
東京新聞は、「<憲法70年を歩く>きょう公布70年 沖縄を誰が守る」、との記事を掲載した。
東京新聞は、沖縄の現状を通して、この国の憲法の意味を問うた。
まずは、東京新聞はこのように沖縄の今を描写する。


 沖縄県北部・東村(ひがしそん)の森で見つけた木の実。楕円(だえん)形で筋状の出っ張りがある。そう、ウルトラマンの顔そっくり。水辺に落ち、川や海に浮かんで運ばれる。
 そこから連なる亜熱帯の森に東村高江(たかえ)周辺の米軍用ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設現場がある。
 「排除ッ!」。機動隊の隊列が、ゲート手前の路上に座り込む市民の腕や足をつかみ、羽交い締めにし、力ずくで路肩へと抱え出す。後ずさりし、記者の足に触れた女性の背中は震えていた。


 続いて、「『教授』と呼ばれる元裁判官」を描く。


 この抗議現場に通い、「教授」と呼ばれる元裁判官がいる。仲宗根(なかそね)勇さん(75)で、裁判所職員から「弱者の権利を守りたい」と五十一歳で簡易裁判所の判事になった。指名されると、スピーチに立つ。「警察官諸君! 憲法が保障する人権と自由を害する権限の乱用があってはならない。警察法二条に書いてあるぞ」
 沖縄は一九四五年の地上戦の末、米軍の支配下に置かれる。日本国憲法は、七二年の本土復帰まで適用されなかった。仲宗根さんは当時、近所の畑で「黒い塊」を見た。米兵に乱暴された女性の死体だった。地元うるま市でも米軍は「銃剣とブルドーザー」で土地を奪い、基地を広げた。


 東京新聞は、仲宗根勇さんの痛烈な批判を伝える。


 「むき出しの暴力だった。だからこそ憲法が沖縄人に光り輝いて見えた。人権が守られる、平和な暮らしを取り戻せる、とね」。ところが公布七十年の節目を前にして起こったことは。「解釈改憲で集団的自衛権が容認され、憲法違反の安全保障関連法が成立してしまった」

「沖縄では機動隊や海保の国家暴力を総動員しているのに、『彼らは国民のために頑張っている』と煙幕を張るためだ」。

「国家の暴走を縛る憲法と立憲主義が、時の権力者の恣意(しい)で着物のように簡単に脱ぎ捨てられた。米軍統治時代よりもワジワジして(怒って)いる」


 あわせて、前泊博盛沖縄国際大教授の次の声を伝える。


「在日米軍は、本土からは外国の脅威を倒してくれるウルトラマンに見えるが、沖縄から見ると怪獣でしかない。私たちを守ってくれる真のウルトラマンは憲法のはず」。


 東京新聞の辻渕智之記者は、こう続ける。


「だが七十年前に生まれたその『実』は根づくどころか、どこかに漂流しようとしている。」


 確かに、日本国憲法は、沖縄で最も光り輝いていた時が一瞬であったとしてもあった。
 それは、「むき出しの暴力だった。だからこそ憲法が沖縄人に光り輝いて見えた。人権が守られる、平和な暮らしを取り戻せる、とね」、と。
しかし、「解釈改憲で集団的自衛権が容認され、憲法違反の安全保障関連法が成立してしまった」。
 果たして、日本国憲法はどんなかたちで漂流しているというのか。
 思っているほどには、すでに中味はなくなってしまっているのではないか。
 でも、実を育てるのは、人の営みのはずである。
 少なくとも、日本国憲法で育った来た証は、それぞれが持っているはずなのだから。


 以下、東京新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-11-06 09:15 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

この国の荒廃。慰安婦問題の資料展示施設「女たちの戦争と平和資料館」に、爆破予告。それでも、「言論を暴力に結び付けない社会」の実現を。

 標題について、朝日新聞は2016年10月30日、「はがきには黒字と赤字で『爆破する 戦争展示物撤去せよ 朝日赤報隊』と書かれている。9月30日の消印で配達され、10月5日にスタッフが見つけ、翌6日に警視庁戸塚署に被害届を出した。wamは『言論を暴力に結びつけない社会を』と題するメディア向けの呼びかけ文を在京の新聞社や通信社に送り、30日にホームページで発表した。」、と報じた。
 また、「wamによると、2005年の設立以来、嫌がらせは日常的にあったが『爆破予告は初めて』という。今年5月末、8カ国・地域の団体が共同で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産(世界の記憶)に元慰安婦らの証言記録や運動の記録を登録申請した。申請に日本からwamも加わった。」、と伝えた。


 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(略称wam)は、2016年10月29日、このように呼びかけている。


Ⅰ.事実
 2016年10月5日、私たちが運営するアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(略称wam)に、「朝日赤報隊」を名乗る者からwamの爆破を予告する葉書が届きました。文面は「爆破する 戦争展示物を撤去せよ 朝日赤報隊」、消印は「9月30日 新宿局」です。wamでは直ちに戸塚警察署に被害届を出しました。
Ⅱ.wamの活動
 wamは戦時性暴力の根絶をめざし、いまだ解決されていない日本軍「慰安婦」問題について、その被害と加害の事実を、証言を中心に展示を行って11年が経過しました。日本軍「慰安婦」制度に焦点を当てた特別展を行うときも、日本軍以外の軍隊による現代の性暴力被害を併せて展示しています。加害者への不処罰の連鎖を食い止めるために、勇気を奮って証言した被害者の被害事実を記録し記憶していくことを大切に、活動を続けてきました。
Ⅲ.wamの主張及び呼びかけ
(1)設立以来、さまざまな形での嫌がらせは日常的にありましたが、このような爆破予告は初めてです。その原因を考えると、最近急激に増えた産経新聞やそのデジタルニュースでwamを名指しした記事の増加に思い当ります。特にユネスコ記憶遺産の「『慰安婦』の声」を被害国とともに登録申請して以降、産経新聞には櫻井よしこ氏の連載や(2016年10月3日)や高橋史朗氏の記事(2016年6月15日)に、wamの名前だけでなく、個人名も挙げた批判記事が掲載されるようになりました。
(2)ユネスコの記憶遺産に関してさまざまな意見と見解がありその主張はお互いに尊重されなくてはなりません。しかし、日本の言論は、右翼のテロによって傷つけられてきた歴史があります。近年では1987年、赤報隊を名乗る何者かによって朝日新聞の新聞記者小尻知博氏が殺害されました。1990年には本島等長崎市長が「天皇にも戦争責任はあると思う」と発言したことを理由に、右翼団体幹部に銃撃されました。そして現在も、「慰安婦」の記事を書いたことのある元朝日新聞記者の植村隆氏と家族への脅迫などがあります。日本の言論空間には、国家中心の思想や政府を批判する者たちに対する暴力による恫喝と圧殺が、その底流に脈々と流れていると言わざるをえません。
(3)産経新聞は歴史認識の違いを「歴史戦」と名付け、歴史をめぐる言論を「戦争」という暴力に結び付けて語っています。同調者たちへの影響力は計り知れないものがあり、紙面で個人を名差しすることは「攻撃命令」でもあると指摘するブログ・ウォッチャーもいます。
(4)日本の自由な言論空間を豊かにしていくことこそが人権を守り、日本の民主主義を豊かにすると私たちは信じています。言論を暴力や人権侵害に結び付けない努力こそが、今私たちに求められています。私たちは「言論を暴力に結び付けない社会」の実現を、産経新聞及び報道に携わる全ての方々に、あらためて呼びかけます。


 「言論を暴力に結び付けない社会」の実現を、ともに呼びかけます。


以下、朝日新聞及びwamの呼びかけの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-11-04 08:16 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対し、朝鮮学校にも無償化適用を求める文科省前抗議行動」が100回目を迎える。

 レイバーネットは2016年10月21日、標題について次のように報じた。


(1)2013年5月に始まった、朝鮮大学生が主催する「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対し、朝鮮学校にも無償化適用を求める文科省前抗議行動」は10月21日、100回を迎えた。すでに40校の外国人学校が無償化法による支援金を支給されている中、朝鮮学校だけが排除されてから6年半経過したが、雨の日も風の日も暑い夏の日も朝鮮大学生たちは、なぜ、朝鮮学校だけが排除されるのかという疑問を文科省にぶつけてきた。
(2)この日は、朝鮮大学生や東京朝鮮高校生、神奈川の朝鮮高校生、そして日本人の支援者があつまり、総勢1000人の大規模な抗議行動となった。かわるがわるアピールする大学生・高校生の言葉にはぞれぞれが考えた無償化排除の不条理が語られ、心を打たれる。闘いの中で、確実に成長している学生たちに文科省はどう向かい合うのか
(3)12月13日には文科省の官僚も招請して証人尋問が行われる。また、韓国からの支援者が12人訪問し、28日には文科省要請と抗議行動に参加する。裁判も結審が近づき、司法判断は勝利判決しかありえないと思われる。


 以下、レイバーネットの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-23 11:31 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

「米物品役務相互提供協定(ACSA)」の徹底した審議を。

 2016年9月26日、米軍への「後方支援」を大幅に拡充した「米物品役務相互提供協定(ACSA)」が改定された。
このことについて、朝日新聞は2016年9月27日、次のように報じた。


(1)日米両政府は26日、自衛隊と米軍の間で食料や燃料、弾薬などの物資を融通する「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」を改定した。昨年成立した安全保障関連法を踏まえ、米軍への「後方支援」を大幅に拡充した。日本の安全保障に重要な影響があると判断すれば、世界各地に展開する米軍に対する補給や弾薬提供が可能になる。
(2)岸田文雄外相とケネディ駐日米大使がこの日、外務省で新ACSAに署名。稲田朋美防衛相も同席した。岸田氏は「平和安全法制で幅が広がった協力をより円滑にするため、重要な協定だ」と語り、ケネディ氏は「米軍と自衛隊の効果的な協力に不可欠だ」と応じた。政府は、臨時国会に改定の承認案を提出。国会承認を経て、早ければ年内にも運用が始まる見通しだ。
(3)日本側が主に想定しているのは「燃料を求められるケース」(外務省幹部)。政府が国際平和共同対処事態や重要影響事態と認定すれば、テロとの戦いで中東に展開する米艦船や発進準備中の爆撃機への給油が可能となる。これまでは特別措置法で対応してきたが、今回の改定により、国会での法整備を経ず、世界各地の米軍に給油を行えるようになる。弾薬提供の範囲も大幅に拡充される。旧ACSAでは自衛隊から米軍への弾薬提供は、日本が相手国から直接武力攻撃を受けた「武力攻撃事態」と、攻撃が予測される「武力攻撃予測事態」に限られていた。
(4)安保関連法の施行を受けた今回の改定で、他国への攻撃で日本の存立を脅かす明白な危険がある「存立危機事態」▽放置したら日本が攻撃される恐れがある場合、世界中で他国軍の後方支援ができる「重要影響事態」▽国際社会の平和を脅かす戦争や紛争が起こり、国連決議を経て、国際社会が対応する「国際平和共同対処事態」――にも範囲が広がった。
(5)また、平時でも北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、日本海の公海上で警戒する米艦船への弾薬提供が可能となる。ただ日本側は、実際に弾薬の提供を求められるケースはまれとみている。
(6)安保法に基づく日米ACSAの取り扱いをめぐっては、安倍政権は参院選への影響に配慮して改定を先送りしていた。安保法に反対した民進や共産などの野党は、米軍への後方支援の適用範囲など政府側の説明は不十分だと反発しており、改定承認案の審議は臨時国会の焦点のひとつになりそうだ。


 朝日新聞によると、このことによって、①他国への攻撃で日本の存立を脅かす明白な危険がある「存立危機事態」、②放置したら日本が攻撃される恐れがある場合、世界中で他国軍の後方支援ができる「重要影響事態」、③国際社会の平和を脅かす戦争や紛争が起こり、国連決議を経て、国際社会が対応する「国際平和共同対処事態」、に範囲が広がった、としている。
これまでも、「米軍への後方支援の適用範囲など政府側の説明は不十分」であり、徹底した国会での審議がなされなければならない。


 以下、朝日新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-06 16:06 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

本来は正当な表現である市民の抗議活動に対する「ロープでの身体拘束」が、許されていいはずがない。

 この問題は、「本来は正当な表現である市民の抗議活動に対する、警察官による『ロープでの身体拘束』が、許されていいのか、ということにある。

 琉球新報は2016年9月29日、その社説で、「優先すべきは工事ではなく、市民の安全である。その当たり前のことさえ理解できない機動隊は、即座に撤収すべきだ。」、と主張した。
この社説から、この問題を考える。
 琉球新報は、経過を、「東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場内に新設されるヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)のうち、H地区の工事現場周辺で、木の伐採を阻止しようとした市民十数人を、機動隊員がロープで縛った上で強制排除した。」、と説明する。
 また、「機動隊員は、数メートルの高さがあるヘリパッド造成地の斜面に座り込むなどしていた市民一人一人の腰などにロープを巻き付けた。斜面上の機動隊員がそのロープを引っ張り、下にいた機動隊員が市民を抱える形で上に運んだ。録画されているのを意識してか、市民が撮影した動画には機動隊員が『移動をお願いします』と丁寧に促す言葉も入っている。」、と伝えた。
 しかし、琉球新報は、次のように実態を指摘する。


(1)だが、言葉と裏腹にやっていることは乱暴過ぎる。市民を物として扱っているとしか思えない。市民を縛った工事用の細いロープは体に食い込み、相当な苦痛を与えることは容易に想像がつく。これが機動隊のやることなのか。
(2)女性の一人は『リュックサックにロープを結ばれたので、引っ張り上げられた時に首が絞まるような形になった』と話している。極めて危険な行為であり、到底認めることはできない。
(3)足首をひねった50代男性のため、救急車を呼ぶよう市民が求めても、機動隊側は当初無視したという。けがを負った市民を一時的であれ、放置したことは看過できない。


 また、琉球新報は、政府の今後の方針について、「政府は米軍提供施設内への市民の立ち入りに対し、刑事特別法を適用し、逮捕する方向で調整している。基地警備員や沖縄防衛局職員をその任に当たらせる方針とされる。」、と伝える。
 琉球新報は、今回の警察の動きに対して、次のように押さえる。


(1)横田達弁護士は「基地内での私人逮捕は法律的にできなくはない。だが、本来の職務を逸脱した不当な逮捕になる」と指摘している。防衛局の職員が政府として推し進める工事で「私人」を装うことは許されない。
(2)子や孫、沖縄の将来のため、座り込む市民に対し、政府が刑特法を適用して逮捕するなら「弾圧国家」のそしりを免れない。
(3)沖縄に過重な米軍基地負担を押し付け何ら恥じないばかりか、抗議する市民を暴力的に排除し、逮捕まで画策する。そんな政府に正義はない。


 今回の警察の行為は、「本来の職務を逸脱した不当な逮捕」であり、 市民の正当な抗議活動に対する「ロープでの身体拘束」は、許されない。
 安倍晋三政権は、「子や孫、沖縄の将来のため、座り込む市民に対し、政府が刑特法を適用して逮捕するなら『弾圧国家』のそしりを免れない。」との琉球新報の指摘を、肝に命じなければならない。
 機動隊は、即座に撤収しなくてはならない。


 以下、琉球新報の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-01 05:46 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

戦争法案(安保法制)採決から、1年が経過した。(2)

 戦争法(安保法)成立1年で、沖縄はどのように変わらさせられるのか。
 沖縄タイムスは、「安保関連法成立1年 沖縄の負担は変わるのか」、とこのことを伝えた。
 この記事で、考える。
沖縄タイムスは、このことの問題点を次のように指摘する。


「米軍専用施設面積の74%が集中する沖縄では日米共同訓練や米軍基地の共同使用などがさらに進むのは確実。安保法制の成立後に沖縄周辺で実施している他国との訓練が中国を“刺激”している実態もあり、沖縄の住民への基地負担は増す一方だ。」


 また、その「沖縄周辺で実施している他国との訓練」の実態を紹介する。


(1)防衛省によると、2008年度~14年度にかけ陸海空自衛隊はキャンプ・ハンセンやシュワブなどで実習や講義の名目で合わせて計259回の「研修」を実施している。
(2)陸自は、シュワブなどで米海兵隊の水陸両用車に隊員を同乗させ操縦の方法などを学ばせている。非公開のため、実際にどのような任務に就いているかは不明だが、防衛省はあくまでも車内後方から技術などを学ぶ「研修」だと説明する。
(3)15年8月には陸自の特殊部隊に所属する隊員が米陸軍特殊作戦部隊のヘリに同乗していたことも判明した。このときも、防衛省は「研修」と説明したが、海上での特殊作戦能力を実演している最中の事故で、事実上の「訓練」だ。ヘリ着艦に失敗したことで明らかになったが、事故がなければ同乗していた事実さえも表に出なかった可能性が高い。
(4)今年8月には東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設現場で、機動隊が抗議の市民を排除する現場に陸自と米陸軍の特殊部隊員がいることが確認された。日米の特殊隊員による監視や情報収集ともとれる行動に、市民からは「不気味だ」との声も上がる。
(5)防衛省が12年に作成した資料で、キャンプ・ハンセン、シュワブなどに陸自を常駐させる計画を立てていたことが明らかになっている。伊江島補助飛行場など県内13施設と周辺の二つの水域を共同使用の候補地と明記している。


 
 このような状況を、沖縄タイムスは、「水面下での日米の軍事一体化が進んでいるのが実態だ。訓練増加により、周辺住民の軍事的負担が増すことは確実で、政府が進めると強調している沖縄の『負担軽減』とは程遠い。」、と結論づけるのである。
 さらに、沖縄タイムスは、安保法制下での新たな動き・訓練を記す。


(1)8月下旬から安全保障法制に基づく新たな任務の訓練が始まった。現在は自衛隊の部隊が各自で訓練を実施しているが、10月以降に行う日米軍事演習「キーン・ソード」や、日米指揮所演習「ヤマザクラ」では、新任務を訓練内容に含む可能性がある。
(2)今年6月、中国海軍の艦船が、尖閣諸島など沖縄や九州周辺で接続水域を航行し、領海侵入も発生した。軍艦は、長崎県佐世保から沖縄東方の海域で実施されていた日米印共同訓練「マラバール」の情報収集をしていた可能性がある。
(3)安倍晋三首相は昨年12月にインドを訪問した際、安保法制の成立を報告したモディ首相から支持を受けた。海洋進出を続ける中国をけん制する狙いで、米印の海洋合同演習だった「マラバール」に海自が恒常的に参加することも両首相が合意した。
(4)新任務の訓練が含まれないマラバールでも、中国軍艦は不審な動きを繰り返した。今後、沖縄の周辺海域でも合同訓練は増加するだろう。


 こうした状況は、沖縄の負担軽減に決してつながらない。
 また、沖縄タイムスは、「行動をエスカレートさせる中国に問題はあるが、軍艦や海警局の船、漁船が沖縄周辺海域に大量に押し寄せれば、地域の緊張は高まり、漁業者など周辺住民に支障が生じる。」、と警告する。


以下、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-09-26 10:09 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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