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集団的自衛権を考える-01



集団的自衛権を考える-01

 集団的自衛権の問題を書かずに来ました。
 そうしているうちに、事が進められています。
時事通信社は2014年6月8日に、「 集団自衛権、安倍首相が作業加速指示=高村氏「今国会中」決着へ意欲」と次のように報じています。


 安倍晋三首相は8日、首相公邸に谷内正太郎国家安全保障局長らを呼び、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈変更に関し、22日に会期末を迎える今国会中の閣議決定に向け検討を加速するよう指示した。政府は10日の安全保障法制整備に関する協議会で自民、公明両党に原案を提示し、速やかな合意形成を促す構えだ。
 与党協議会で座長を務める自民党の高村正彦副総裁は8日のNHKの番組で、「会期中にまとめたい。まとまるかどうかは公明党の了解を得なければならない」と述べ、早期の合意に意欲を表明。この後、記者団に「今ぎりぎり、不可能を可能にする努力をしているということだ」と語った。
 一方、公明党の北側一雄副代表は同じ番組で、年末の日米防衛協力の指針(ガイドライン)再改定を「当面の政治課題で一番大きい」と位置付けた上で、「ガイドラインに直結する話は、早く結論を出さなければならない」と語った。
 ただ、集団的自衛権をめぐるこれまでの与党協議に関し、「『国の存立を全うするため』とか、『わが国の安全保障に重大な影響を与える』とか、言い換えるとセルフディフェンスだ」と指摘。「他国防衛ではなく、自国防衛だ」と語り、行使容認のための憲法解釈変更には慎重な立場を重ねて示した。


 この動きに対して、朝日新聞は2014年6月8日付けの社説「集団的自衛権―乱暴極まる首相の指示」で批判を次のように展開しています。


 集団的自衛権の行使を認める閣議決定を今国会中にする。そのための公明党との協議を急ぐように――。安倍首相が自民党幹部にこう指示した。会期末は22日。首相は、延長は考えていないと言っている。
 政府の憲法解釈の変更によって集団的自衛権を認めることはそもそも、法治国家が当然踏むべき憲法上の手続きをないがしろにするものだ。
 それを、たった2週間のうちに行うのだという。認めるわけにはいかない。
 首相の指示を受けて自民党は、行使容認に難色を示す公明党との協議を強引に押し切ろうとしている。
 おとといの協議では、自民党側が終了間際になって、それまで議論されていなかった集団的自衛権にからむ「事例」をいきなり持ち出した。さらに、閣議決定の文案を用意するよう政府側に求めた。
 政府が示した15事例に、どれほどの必然性があるのか、判然としない。公明党を容認論議に誘い込むための「呼び水」という意味合いが強いのに、その検討ですら駆け足ですませようとしている。
 自民党と公明党は、党としての成り立ちも、支持基盤も、重視する政策も異なる。そこから生じる意見の違いを埋めてきたものは何か。
 選挙協力や政策決定への関与といった打算も互いにあるだろう。ただ、少なくとも表向きはていねいな政策協議があってこそだったのではないか。
 自民党は、10年以上にわたって培われてきた公党間の信義をかなぐり捨ててでも、強行するというのだろうか。
 公明党は、それでも与党であり続けることを優先し、渋面を浮かべながらも受け入れるのだろうか。
 安倍首相は、集団的自衛権容認に向けての検討を表明した先月の記者会見で語った。
 「私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守るため、私たちは何をなすべきか」
 「今後のスケジュールは、期限ありきではない」
 その後、与党協議や首相の国会答弁で、ペルシャ湾での機雷掃海や、国連決議に基づく多国籍軍への後方支援の大幅拡大などが次々と示された。
 あげくの果てが、いまの国会中に閣議決定するという自民党への指示である。
 与党間の信義という内輪の問題にとどまらない。国民に対してもまた不誠実な態度だ。
 
 このように謀略的政策が着ちゃくと進行させられている中なのですが、ここでは、日弁連の2014年5月30日の「重ねて集団的自衛権の行使容認に反対し、立憲主義の意義を確認する決議」を、まずは集団的自衛権に関する諸問題を捉えるために掲載します。

当連合会は、2013年5月31日の第64回定期総会における「集団的自衛権の行使容認に反対する決議」において、政府が、従来の確立した集団的自衛権の行使に関する政府解釈を閣議決定あるいは法律の制定によって変更しようとしていることに強く反対を表明した。
 これまで政府は、一貫して、憲法第9条の下における自衛権の行使は、我が国に対する急迫不正の侵害(武力攻撃)があり、これを排除するために他の適当な手段がない場合に、必要最小限度の範囲のものに限って許容されるものであって、我が国が直接武力攻撃を受けていない場合に問題になる集団的自衛権の行使は、その範囲を超えるものとして憲法上許されないとしてきた。
 ところが、政府は集団的自衛権の行使容認等に向けて、2013年12月に国家安全保障会議(日本版NSC)を設置した上、自衛隊を質・量共に強化し、その活動範囲を広げる等、実力による国際紛争への対処の方向性を強く打ち出し、従来の政府解釈の自衛権行使要件の緩和につながりかねない「国家安全保障戦略」、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)」を閣議決定した。
 そして、自衛隊法や周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(周辺事態法)、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(PKO協力法)等の個別法を改正しようとしている。また、政府は、集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の変更を閣議決定等によって行う方針を示した。
 さらに現在、政府は、安倍晋三首相の私的懇談会である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告を受け、憲法解釈を変更する閣議決定を行おうとしている。
 このような憲法の基本原理に関わる変更を国民の意思を直接問う手続を経ることもなく、内閣の判断で行うことは、仮に集団的自衛権の行使に「限定」を付して認めるものだとしても、憲法を最高法規とし、国務大臣等の公務員に憲法尊重擁護義務を課して(憲法第98条第1項及び第99条)、権力に縛りをかけた立憲主義という近代憲法の存在理由を根本から否定するものである。立憲主義は、全ての人々が個人として尊重されるために憲法が国家権力を制限して人権を保障するというものであり、近代自由主義国家が共有するものであって、その趣旨は、個人尊重と人権保障にある。したがって、立憲主義の否定は、これらの価値を否定することにつながり、到底容認することができない。
 憲法前文は、全世界の人々の平和に生きる権利を実現するための具体的規範たる平和的生存権を定め、憲法第9条は一切の武力による威嚇・武力の行使を放棄し、他国に先駆けて戦力の不保持、交戦権の否認を規定して、軍事力によらない徹底した恒久平和主義を実現しようとするものであって、これらは世界に誇りうる先駆的意義を有する。
 憲法の徹底した恒久平和主義の下における外交・防衛政策は、軍事力によるのではなく、あくまでも平和的方法による国際的な安全保障の実現でなければならない。世界各国が相互に密接な経済的依存関係を有する今日、軍事力に頼るのではなく、平和的方法による地域的な共通の安全保障を追求することこそが現実的である。そのとき、世界に先駆けてあらゆる戦争を排した日本国憲法の先駆的意義こそが指針とされなければならない。
 当連合会はここに重ねて、政府が憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認しようとすることに対し、立憲主義及び徹底した恒久平和主義に反するものとして、強く反対する。
 以上のとおり決議する。
               2014年(平成26年)5月30日
                            日本弁護士連合会


現在の安倍政権による集団的自衛権を憲法解釈で合憲化しようとするやり方は、立憲主義を破壊するものであり、到底許されるものではありません。


by asyagi-df-2014 | 2014-06-09 06:14 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

厚木基地騒音訴訟を考える


厚木基地騒音訴訟を考える-2014年5月24日

 
2014年5月21日、厚木基地騒音訴訟で、自衛隊機の飛行差し止め命令が、全国初めてあった。
 朝日新聞は、次のように報じた。

 「米海軍と海上自衛隊が使用する厚木基地の周辺住民らが、騒音による被害を国に訴えた訴訟の判決が21日、横浜地裁であった。佐村浩之裁判長は、過去最高額となる総額約70億円の損害賠償に加えて、自衛隊機の午後10時~午前6時の間の飛行差し止めを初めて命じた。米軍機の飛行差し止め請求は退けた。」

 このニュースの受け止め方は、ちょっと難しいものになった。
 テレビ画面では「自衛隊機の飛行差し止め命令」の字が踊ってはいたが、注意してみると、米軍機の飛行差し止めは退けられていた。
 複雑な思いが残ることとなった。

 結論的にいうと、次の沖縄からの声(例えば沖縄タイムスの社説)が、今回の判決を捉えている。


沖縄タイムス社説-2014年5月22日

厚木基地騒音訴訟 米軍機こそ差し止めよ


 果たして、基地周辺の住民を苦しめている航空機の騒音被害が、これで解消される判決といえるのであろうか。
 米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県)の騒音被害をめぐり、周辺住民約7千人が国に夜間・早朝の飛行差し止めなどを求めた第4次厚木基地騒音訴訟で、横浜地裁の佐村浩之裁判長は、自衛隊機の夜間・早朝の飛行差し止めを命じる全国で初めての判決を言い渡した。
 一方で米軍機への飛行差し止め請求は退けた。
 損害賠償も基地騒音訴訟では過去最高となる約70億円の支払いを命じた。
 判決は、住民の睡眠妨害などが「健康被害に直接結びつく相当深刻な被害」と認定するとともに、自衛隊が夜間・早朝の飛行を既に自主規制していることから自衛隊機の差し止めで「基地の公共性、公営上の必要性が大きく損なわれることはない」とした。
 原告団は判決に対し「100パーセントではないが一歩踏み出した判決」と喜びの声を上げた。一定の前進ではあろう。
 しかし、騒音の最大の原因である米軍機の飛行差し止めが認められなかったことで、実質的な騒音軽減策は置き去りにされた。
 判決でも触れているように「午後10時から午前6時までの時間帯の騒音は大半が米軍機によると認められる」としているからだ。
 つまり、自衛隊機の差し止めによっても、夜間・早朝の騒音は何ら変わらないということである。
    ■    ■
 厚木基地は、横須賀に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機部隊と海上自衛隊の哨戒機などが駐留する。
 米軍機の夜間離着陸訓練(NLP)が実施されるなど、基地がある大和市、綾瀬市などのほか広範囲にわたって騒音被害を及ぼしている。
 自衛隊機に比べ、はるかに住民への負担が大きい米軍機について判決は「支配の及ばない第三者の行為の差し止めを国に求めるもので、棄却を免れない」と、いわゆる「第三者行為論」によって請求を退けた。
 原告団はもとより米軍基地が集中する沖縄にとっても、納得できるものではない。判決によって、あらためて司法が判断を避ける米軍の“不可侵”性が浮かび上がった。
    ■    ■
 県内では夜間・早朝の飛行差し止めなどを求め、嘉手納で第3次、普天間で第2次の訴訟が、周辺住民らが原告となって進められている。
 これまでの判決では過去の被害に対する損害賠償のみを認めている。肝心の米軍機の飛行差し止めなどは、「第三者行為論」によって退けられている。
 だがこれは、最高法規の憲法よりも、日米安保体制を上位に置く思考停止した論理である。人権のとりでである司法の役割を自ら放棄した判決と言わざるを得ない。
 自衛隊機によって健康被害が生じれば飛行を差し止め、米軍機に対しては差し止めないというのであれば、日本は米国の「属国」というほかない。


by asyagi-df-2014 | 2014-05-24 05:44 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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