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それでも、共謀罪法は、「否」と声をあげ続ける。-朝日新聞20170523とともに-

 朝日新聞はは2017年5月23日、「共謀罪」法案が衆議院で強行採決された日の様子を、「無関心、打破したい 声上げ続ける 『共謀罪』衆院通過」、と次のように伝えた。


(1)「共謀罪」法案が衆院を通った23日の夜も、若者たちは国会前で声をあげた。尽くされぬ議論に憤った人たちは、参院での審議に期待をかける。一方、「テロ対策」とする政府に異論を唱えづらい雰囲気も広がる。
(2)「審議時間が圧倒的に少ない。法務大臣は質問に答えられない。法案には不安しか感じない」。都内の大学3年生、馬場ゆきのさん(20)は23日夜、国会前で抗議集会に参加した。学生団体「SEALDs(シールズ)」の元メンバーらが関わって設立された市民団体「未来のための公共」の主催だ。馬場さんは一昨年、安保法に反対するシールズをテレビで見て、自らの言葉で政治を語る姿に感銘を受けた。今は「主張する場を守りたい」との思いから、国会前で「共謀罪」に反対の声を上げる。「どう問題点を伝えればいいのか。諦めずに声を上げ続け、法案を止めたい」
(3)大学院生の千葉泰真さん(25)は、衆院で法案が可決される様子をインターネット中継で見つめた。「審議が進むごとに問題点が出てくるのは安保のときとそっくり」。元シールズの学生らがつくったシンクタンク「ReDEMOS(リデモス)」のメンバーで、4月、団体のフェイスブックに「このままでいいの? 共謀罪」という約4分の動画をアップした。LINE(ライン)で「既読」をつけただけで、捜査対象にされるおそれなどを指摘し問題点を解説。これまで6万回以上再生された。
(4)千葉さんは2年前、国会前での安保法反対デモに参加した。イヤホンをした何人もの公安関係者らしき男性が、自分たちを観察していた光景が忘れられない。「『自分と関係ない』では済まない。周りの人に問題意識を伝えて、議論を盛り上げる必要がある。参院では衆院で掘り下げられなかった論点を掘り下げてほしい。そして国民もそれを注視する必要がある」
(5)一方、安保法に反対して国会前デモにも参加した岩手大の田渋敦士さん(23)は「共謀罪」反対の活動には参加していない。「『監視社会』『言論の自由』と決まり文句では、生活にどう影響するか現実感がない」。SNSで国会前のデモを目にすると、応援したい気持ちにはなる。だが、法案が「テロ防止」のためと説明されると腑(ふ)に落ちるようにも感じ、賛否を言い切れない。今回は冷静に見ていこうと思っている。
(6)コラムニストの小田嶋隆さん(60)は今年1月、ツイッターで「一般人は対象にならない」という政府の説明を批判した。
 《これってつまり「誰が一般人でどんな人間が犯罪予備軍であるのかはオレらが決めるんでよろしく」ということだよね?》
 すぐに反論のツイートが相次いだ。《適当に批判するのは小学生レベル》《「テロ等準備」の文字が読めないの? なんですぐに妄想で語っちゃうの?》
 小田嶋さんは「政権の意向に賛成する人」が増えたのではなく、「権力に反発する人間に反発する人」が増えたとみている。「かつてあった政府の言い分をうのみにしないという『気分』は失われてしまった」
(7)キャスターやジャーナリストら有志14人が集まり、法案に反対の声明を出した先月の記者会見。その数日前、呼びかけ人の元には声をかけた報道関係者から「賛同できない」と断りの連絡が相次いでいた。声明に名を連ねた田原総一朗さん(83)は「『中立の立場を保たないといけない。反対と言えば、立場が苦しくなる』と断られたらしい」と明かす。昨春、著名なキャスターやコメンテーターが次々に番組を降板した。「下手すると、降ろされるんじゃないかという不安があるんでしょう」。田原さんはそう指摘する。
 半世紀にわたって報道の現場に立ち続けてきた田原さんだが、「共謀罪」に対する視聴者の反応は予想に反し、小さいものだった。「そんな空気は非常に危ないな、と思いますね」(後藤遼太、山本亮介、岩崎生之助)
(8)この日も国会周辺で多くの人が法案に反対の声をあげた。
 傍聴した横浜市の中森圭子さん(61)は「まだ議論は尽くされていない。どうして無理に採決してしまうのか」と憤る。本会議では、与党議員が英国で起きたテロ事件に触れた。中森さんは「賛成の議論に利用された。法案ではテロの定義も明確にされていないのに」と批判した。
 東京都大田区の鍼灸(しんきゅう)師、石倉千鶴子さん(79)は「憲法に抵触する政権に怒りを感じる」。小学2年生で終戦。今の日本があるのは憲法のおかげと感じる。「『共謀罪』は基本的人権をなし崩しにする。法案が通ったら萎縮して声を上げられなくなるのでは。命のある限り反対していく」
(小林孝也、小早川遥平)


 「無関心」。
 闘う相手はそこではないはずだ。
 安部晋三政権という明確な壁があるのだから。
「共謀罪」法は、許さない。




by asyagi-df-2014 | 2017-05-24 07:28 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(28)-小口幸人FB20170516より-

 小口幸人弁護士は、そのFBで、「2つの歯止めがあるから、濫用の危険があるという批判はあたらないし、一般市民は対象にならない」という政府の説明について、「2つとも『まやかし』である確証を持てました」、と次のように説明します。


(1)2つの歯止めは以下のとおりです。
①計画だけでなく準備行為がなければ処罰しない
②組織的犯罪集団だけを対象にしている
(2)このうち1については、歯止めにならないことが、もう広く報道されているとおりです。どこかへ行けば下見で準備行為、お金を下ろせば準備行為で下見、チケットを予約すれば準備行為という感じで、日常にありふれすぎた行為が、全部「その他準備行為」に該当しちゃうので、歯止めになりません。
(3)よって、これまで2の「組織的犯罪集団の定め」が唯一の歯止めらしい歯止めだと言われてきたのですが、これも歯止めでないことがわかりました。


(4)まず、今回の共謀罪は、実は新しい法律をつくる法律ではなくて、現在もある組織犯罪処罰法等の法律をまとめて改正する法案です。そして、現在の組織犯罪処罰法でも、「共同の目的」を有する「団体」だけが対象になっているところ、実務では、次のように使われていることが判例調査でわかりました。
①まず、複数人での犯罪を見つけます。そして、その複数人の共犯者だけを一まとめのグループとして捉え、組織犯罪処罰法2条の「団体」に該当するかを検討します(団体名は不要)。該当するなら、例えば起訴状にこう書いて、組織犯罪処罰法で起訴します。

 「被告人は、●●と共謀の上、●●名目で現金をだまして利益を図ることを共同の目的とする、組織犯罪処罰法上の団体の活動として、上記犯罪を実行する組織により、現金をだまし取った」

②上には「目的」という言葉が出てきますが、そこに書かれていることは一般用語で言う目的ではありません(お金を稼ごうとして、ではない)。一般の言葉で言うところの「手段」が書かれています。
※法務大臣は「自然環境保護」というように目的を括るかのように答弁していますが、虚偽答弁というほかないでしょう。
③要するに、複数人での犯罪を見つけたら、その手口をそのまま「目的」として書いて、共犯者を一まとめに見て団体として扱うという運用がされています。こういう使い方をする限り、当然「団体の目的は犯罪の実行」になります。共犯者だけで括っているからです。
④例えて言うなら、高校生を100人集めて、その中から、本人がアイドルになりたくて、親もアイドルにしたいと思っている人だけを集めて「団体」として結成すると、その団体の目的は、必ず「アイドルになること」になるのと同じです。共犯者だけをグルーピングして団体としているのですから、その団体の目的は必ず犯罪を実行することになる、ということです。

(5)政府は、法案に、次の用語があるから濫用の恐れはない、一般人は対象にならない、と言っています。

「組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪を実行することにあるもの)」

①しかし、上記のような運用をするのであれば、法律を改正する前の現時点でも、団体の目的は常に「犯罪の実行」になるので、上記の用語があるから、「歯止めになる」ということにはなりません。
②例えて言うなら、上記の高校生100人からつくった、アイドルになることを目的とする団体について、そのうちアイドルになれるのは、アイドル集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的がアイドルになることにあるもの)に限る!と言われても、全部の団体が該当しましまうのと同じです。「無意味」ということです。
 
(6)よって、政府があげる2つの歯止めは、どちらも歯止めにならない「まやかし」です。
(7)そして共謀罪が怖いのは、「計画」段階で犯罪になることです。いままでは、何かの「結果」が起きてから警察は動くので、グルーピングも目的の認定も「結果」から導いて行われてきました。これなら、グルーピングされるのは実際に犯罪の共犯者達だけ、一般の人は対象になりません。しかし、共謀罪は「計画」でグルーピングされ目的の認定がされます。もちろん、本当に犯罪の計画がそこにあるならアレですが、結果まだ生じていないのですから、限られた証拠から捜査機関が「計画」を見立てて、その「見立てた計画」からグルーピングと目的の認定がされることになります。
(8)こいつらは、こういう動きをしているから、こういう犯罪に該当することを計画しているはずだ、という形です。こんな使われ方されるのは…、怖いと思いませんか?その計画を建てている「疑うに足りる理由」が疎明されたら、逮捕されちゃうんですよ(しかも、令状審査で裁判官が見れるのは警察が出した資料だけ。反論の機会も言い分を聞かれることもなし)。

(9) 政権に目障りな動きとか、、、、うーん。





by asyagi-df-2014 | 2017-05-24 05:46 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(27)-沖縄タイムス20170514より-

 沖縄タイムスは、「「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の国会審議が続いている。主な争点をQ&Aの形で解説する。」、とシリーズの掲載を始めました。
 第1回は、国際組織犯罪防止条約との関連について。
 


(1)犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、政府は国際組織犯罪防止条約を締結するために成立させる必要があると主張しています。
(2)Q 条約の内容は。
 A 国境を越える薬物や銃器の不正取引などに対処するため、締結国に重大犯罪の合意(共謀)やマネーロンダリング(資金洗浄)を犯罪化するよう義務付けています。2000年に国連総会で採択され、日本の国会では03年、民主党(当時)や共産党も賛成して条約が承認されましたが、現在も締結されていません。
(3)Q 各国の締結状況は。
 A 187の国・地域が締結済みで、まだなのは日本やイランなど11カ国です。政府は20年東京五輪・パラリンピックを控えたテロ対策を前面に出し、締結の必要性を訴えています。
(4)Q テロ対策が条約の目的ですか。
 A 民進、共産両党は、マフィアなどによる経済的利益を得るための犯罪を防ぐのが目的で、政府は国民に誤った印象を与えていると批判しています。政府は条約の起草段階からテロと関連付けて議論されてきたと反論しています。
(5)Q 共謀罪がないと締結できないのですか。
 A 条約は共謀罪か組織犯罪集団への「参加罪」のうち、少なくとも一方を犯罪化するよう求めています。政府は特定の犯罪と結び付かない行為を処罰する参加罪は法制度になじまないと判断した一方、現在でも一部の犯罪には似たような規定があるため、共謀罪を選択しました。
 民進党などは、必要な犯罪ごとに実行着手前の行為(凶器の準備など)を罰する「予備罪」の規定を設ければ締結できると主張。政府はそれでは合意を犯罪化したことにならないため「条約の義務を履行できない」としています。
(6)Q 他の国の対応は。
 A 経済協力開発機構(OECD)に加盟する35カ国のうち、共謀罪や参加罪を新たに作ったのはノルウェー、オーストリア、カナダ、ニュージーランドの4カ国です。日本を除く他の30カ国は既に国内法で両方またはいずれかの罪が規定されていたので、新たな法整備はしていません。
(7)Q 条約にメリットはないのですか。
 A 個別に条約を結んでいない国と外交ルートを通さずに捜査協力ができるようになります。犯罪人引き渡しについても実効性が高まると期待されています。





by asyagi-df-2014 | 2017-05-23 07:47 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(26)-毎日新聞20170513より-

 毎日新聞は2017年5月13日、その社説で、標題について次のように論じた。


(1)後半国会の焦点である「共謀罪」法案をめぐって、自民、公明両党と日本維新の会が修正で合意した。
(2)修正案では、「捜査を行うに当たってはその適正の確保に十分配慮しなければならない」と本則に盛り込むという。だが、こうした訓示規定が行き過ぎた捜査の歯止めになるのか。実効性は疑わしい。また、維新が求めた対象事件の取り調べ可視化(録音・録画)は、付則で検討課題と盛り込むにとどまった。抜本的な見直しにはほど遠い。
(3)政府は、法案提出の目的を、国際組織犯罪防止条約を締結するためだという。だが、条約の締結に当たって、幅広い共謀罪の法整備が必要なのか。政府・与党と野党の主張は今も平行線のままだ。一方で政府は法案提出に当たり、テロ対策を前面に打ち出している。確かに多くの国民がテロ対策の必要性を感じている。ただし、「共謀罪」法案は、計画、準備段階の犯罪の処罰を可能とするものだ。捜査が市民生活への監視にまで及ぶことへの国民の懸念は根強い。
(4)仮に「共謀罪」法案が必要ならば、まずは対象犯罪を徹底的に絞り込むことが最低限求められる。そもそも、共謀罪新設に当たり、条約が求める600以上の対象犯罪は減らせないと政府は長年説明してきた。だが277に半減させた。適用対象を組織的犯罪集団に限定などすれば対象犯罪を減らせる。条約もそれを容認しているというのが、新たに持ち出してきた論法だ。あまりにご都合主義的だ。結局、条約が各国の裁量を広く認め、解釈の余地があるのだろう。
(5)対象犯罪の絞り込みは難しくないはずだ。国会審議でも、法学者が性犯罪など必要性の薄い犯罪が多数含まれていると指摘した。
(6)もう一つ、捜査権の乱用の歯止め策について、与野党で徹底的に議論を深めることを求めたい。組織的犯罪集団に適用対象を限定し、犯罪の準備行為も要件に加えたとはいえ、定義にあいまいさは依然残る。捜査機関に市民監視の武器を与えてしまうのではないか。その不安は当然だ。法案の条文で具体的な対策を書き込むしかない。
(7)与党は来週にも採決する構えだ。数の力で押し切ってはならない。


 「共謀罪」法案をめぐる自民・公明・日本維新の会の修正合意は、 数の力による「愚挙」の前準備でしかない。
 「共謀罪」法案の危険性は何も解決されていない。





by asyagi-df-2014 | 2017-05-22 06:02 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(25)-毎日新聞20170512より-

 毎日新聞は2017年5月12日、標題について次のように報じた。


(1)安倍晋三首相は東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年を「新しい憲法が施行される年にしたい」として憲法改正の目標期限と位置づけた。ただ、国際オリンピック委員会(IOC)は「スポーツと平和の祭典」の政治利用を禁じている。五輪をてこにした憲法改正は、五輪の精神にかなうのか。【佐藤丈一、曽根田和久】
(2)「20年に向けてさまざまな目標を立てている。日本が新たなスタートを切る年にしたい」。首相は9日の参院予算委員会で五輪と憲法改正について語った。これまでも五輪に関連する形で政策課題に言及してきた。13年9月、ブエノスアイレスのIOC総会で「(福島第1原発の)状況はコントロールされている」と発言。汚染水対策をアピールし、招致の実現につながった。その後はたびたび「復興五輪」に言及。「野球・ソフトボール」の一部の福島開催は首相官邸の意向が働いたとされる。だが汚染水はIOC総会の前月、約300トンが海に流れ出ていた。現時点で溶け落ちた核燃料の正確な状況すら分かっていない。福島県浪江町から避難し、福島市の災害公営住宅に暮らす元原発作業員の今野寿美雄さん(53)は「廃炉の見通しは立っていない。2週間の五輪に何兆円も使うのに、自主避難者の支援は打ち切られた」と復興施策に疑問を投げかける。
(3)「共謀罪」の成立要件を改める組織犯罪処罰法改正案を巡っては、首相は今年1月の衆院の代表質問で、成立しなければ「五輪をできないと言っても過言ではない」と語った。この問題に詳しい山下幸夫弁護士は「首相はもともと治安の良さをアピールしていた。五輪と結びつけるのは飛躍だ」と語る。
(4)これまでも五輪は政治に翻弄(ほんろう)されてきた。1936年のベルリン五輪はナチス・ドイツの国威発揚に利用され、80年のモスクワ五輪ではソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して日米など各国政府がボイコットを決めた。「スポーツと選手を政治的または商業的に不適切に利用することに反対する」。五輪憲章はこう規定しており、東京都とIOCの開催都市契約にも「本大会をオリンピック・ムーブメントの利益以外の目的で使用しない」と盛り込まれた。 首相は16年8月、リオデジャネイロ五輪の閉会式に「マリオ」に扮(ふん)して登場し、東京開催をアピールした。五輪憲章は国家元首ですら開会式や閉会式で宣言する言葉を定め、政治色を排除している。大会組織委員会の森喜朗会長は近著「遺書」で自ら首相を起用したことを明かしたが、スポーツ評論家の玉木正之さんは「計画した組織委も、それを許可したIOCも憲章違反と言わざるを得ない」と語る。(5)果たして五輪と政治の関係はどうあるべきか。玉木さんは「アスリートを応援するのは当然で、五輪には反対しにくい。五輪に絡めて憲法改正を持ち出すのは巧妙だ」と指摘。「五輪はスポーツの祭典として独立しているべきだという感覚が全くない。政治はスポーツをサポートする役割に徹するべきだ」と語った。





by asyagi-df-2014 | 2017-05-21 06:18 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(24)-朝日新聞20170505より-

 朝日新聞は2017年5月5日、標題について次のように報じた。


(1)国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のために政府が必要としている「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)をめぐり、国連の「立法ガイド」の執筆者が朝日新聞社の取材に応じ、「テロ対策は条約の目的ではない」と明言した。条約の目的について「テロ対策」を強調する日本政府とは異なる見解が示された。
(2)取材に答えたのは、米ノースイースタン大のニコス・パッサス教授。国際刑法の専門家で、2000年に国連総会で採択された同条約に関連し、各国が立法作業をするための指針を示した「立法ガイド」の執筆で中心的役割を担った。滞在先の欧州から、電話やメールで取材に応じた。
(3)安倍晋三首相は4月6日の衆院本会議で、「(TOC条約は)テロを含む幅広い国際的な犯罪組織を一層効果的に防止するための国際的な枠組み」と述べた。しかし、パッサス氏は「イデオロギーに由来する犯罪のためではない」とし、「利益目的の組織犯罪を取り締まるための条約だ」と話した。パッサス氏は「テロの資金規制は、法的拘束力を持つ国連憲章第7章に基づく国連安保理の決議などがある」との見方を示した。
(4)国会審議では、条約に加わるには法案の創設が必要とする政府の主張と、現行法で足りないものを補うことで対応できるという野党の主張が対立している。
(5)「新規立法が必要か」との質問に、パッサス氏は条約に加わるために(1)組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪行為への合意(2)組織的な犯罪集団に参加――のいずれかを処罰する法律が必要だと説明したうえで、「既存法で加盟の条件を満たすのであれば、新法の必要はない」と語った。ただ、日本の既存法がこの条件を満たすかどうかについては、答える立場にないとした。(中井大助)


 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結問題に関する朝日新聞の次の指摘は、条約に加わるには法案の創設が必要とする政府の主張の破綻を示す。
再掲する。


Ⅰ.国連の「立法ガイド」の執筆者(米ノースイースタン大のニコス・パッサス教授)が、朝日新聞社の取材に応じ、「テロ対策は条約の目的ではない」と明言した。条約の目的について「テロ対策」を強調する日本政府とは異なる見解が示された。
Ⅱ.安倍晋三首相は4月6日の衆院本会議で、「(TOC条約は)テロを含む幅広い国際的な犯罪組織を一層効果的に防止するための国際的な枠組み」と述べた。しかし、パッサス氏は「イデオロギーに由来する犯罪のためではない」とし、「利益目的の組織犯罪を取り締まるための条約だ」と話した。パッサス氏は「テロの資金規制は、法的拘束力を持つ国連憲章第7章に基づく国連安保理の決議などがある」との見方を示した。
Ⅲ.パッサス氏は条約に加わるために(1)組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪行為への合意(2)組織的な犯罪集団に参加――のいずれかを処罰する法律が必要だと説明したうえで、「既存法で加盟の条件を満たすのであれば、新法の必要はない」と語った。




by asyagi-df-2014 | 2017-05-16 05:57 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(23)-朝日新聞20170428より-

 放送局のキャスターやフリージャーナリスト、漫画家ら有志14人が「共謀罪」法案に反対する声明を発表した。
 このことについて、朝日新聞は次のように報じた。


(1)放送局のキャスターやフリージャーナリスト、漫画家ら有志14人が27日、東京都内で記者会見し、「共謀罪」法案に反対する声明を発表した。声明では「内面の自由、プライバシーを踏みにじる道具になり、言論の自由、表現の自由、報道の自由を著しく破壊する」と主張している。
(2)参加者の中で戦争を知る世代のジャーナリスト、田原総一朗さんは「一般国民に関係ないといいながら政府批判をする人々を逮捕していったのが治安維持法。そっくりの構図だ」と発言。TBS「報道特集」キャスターの金平茂紀さんは「平成の治安維持法で人間の内面を裁くもの。あの時マスメディアの人間が何をしていたのかと言われないように、声を上げるのが重要だ」と語った。
(3)フリージャーナリストの安田浩一さんは「日常生活に網をかけないと共謀の立証はできず、一般の人たちが無関係であるはずはない」と語った。
(4)漫画家の小林よしのりさんは薬害エイズ事件の経験に触れ、「90%以上の人がもの言わぬ市民で一生を終えるが、権力と戦わないといけない、もの言う市民になる時が来るかもしれない」と発言。「多くの人は自分たちとは関係ないと思っているかもしれないが、そうではない」と訴えた。
(5)会見では、メールやLINE(ライン)など日常のコミュニケーションが捜査当局による監視対象となり、一般市民へ影響が及んでいくことへの懸念が繰り返し表明された。





by asyagi-df-2014 | 2017-05-14 05:20 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(22)-朝日新聞20170406より-

 「共謀罪」法」が2017年4月19日、本格的審議にはいった。
ここで、朝日新聞の2017年4月6日の「市民は対象外?何が罪に? 『共謀罪』国会審議の論点は」を基に、再確認する。
 朝日新聞は、次のように論点を指摘していた。



Ⅰ.「共謀罪」とは違うのか?

(1)日本の刑事法では、犯罪を実行しようと具体的な行動を起こした時点で罪に問うことが原則だ。殺人や放火など一部の重い罪に限り、それよりも前の段階で処罰する予備罪などが設けられている。
(2)「共謀罪」は仲間同士で犯罪をしようと合意した段階で罪に問うもので、こうした原則を大きく変えることになる。2000年代に3回、法案が提出されたが、心の中のことを捜査当局が立証するのは難しく、憲法が保障する内心や思想の自由に踏み込むおそれもあることから批判を浴び、いずれも廃案になった。
(3)政府は今回、東京五輪の「テロ対策」を前面に出し、「テロ等準備罪」という呼び名をつけた。適用の対象は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」とし、処罰するには犯罪を実行する合意に加え、「準備行為」が必要とした。菅義偉官房長官は3月、「かつての共謀罪とは明らかに別物である」と説明した。
(4)ただ、実行行為を伴わず、「仲間同士で話し合った」ことを罪に問うという点では、今回の法案も変わっていない。法案の「テロ」という言葉も後から与党の指摘で追加されたものだ。野党は「別の法律のような印象を与えようとしているが実質は共謀罪だ」として、政府の姿勢を批判している。


Ⅱ.普通の市民は対象にはならないのか?

(1)政府は暴力団やテロ組織が対象で「一般市民は対象ではない」と説明する一方、「もともと正当な活動をしていた団体でも、犯罪を目的とする団体に性質が変わった場合は適用の対象になる」という考え方も示す。性質が変わったかどうかを決めるのは捜査機関で、どういう基準で判断するかは明らかではない。逮捕状などのチェックをするのは裁判官だが「捜査員が示した証拠でしか判断できず、チェックは難しい」との元裁判官の指摘もある。

Ⅲ.何をすると罪に問われるのか?

(1)今回、犯罪の計画に加え実行に向けた「準備行為」が罪が成り立つ要件とされた。条文には、「資金や物品の手配」「関係場所の下見」が挙げられている。だが、「下見」や「物品の手配」は、どこかを訪問する、チケットをとる、といった「日常の行為」で、認定は事案ごとに捜査機関に委ねられる。「捜査の対象になると、拡大解釈されるのでは」との危惧もある。また、犯罪を計画したメンバーのうち、誰か1人が準備行為をすれば、全員が捜査の対象となるとされている。メールやLINE(ライン)で連絡をとりあっている場合も「共謀」の仲間とされるという。「準備行為を直接行っていない人も処罰されることになる」ことの是非も議論となりそうだ。

Ⅳ.国際条約締結に共謀罪は必要か?

(1)政府は国際組織犯罪防止条約に入るために「共謀罪」が必要だと説明してきた。条約は「4年以上の懲役・禁錮の刑を定める重大な犯罪」について、犯罪の合意を処罰する「共謀罪」か、組織的な犯罪集団に加わったことを処罰する「参加罪」があることが、締結の条件だという。すでに187の国と地域が締結しており、締結すれば、国同士での犯罪者の引き渡しや国際的な捜査協力が円滑になる、としている。
(2)だが、野党や日本弁護士連合会は、日本にも重大な罪を中心にすでに予備罪、準備罪、陰謀罪などがあり、「『共謀罪』を設ける必要はない」との考えだ。

Ⅴ.対象犯罪は減らせるか?

(1) 現在の政府案が「共謀罪」の対象としているのは277の罪だ。このうち組織的な殺人やハイジャックなど「テロの実行」に関するものは半分以下。この他は「薬物」「人身に関する搾取」「その他資金源」「司法妨害」に分類している。競馬法の「無資格競馬」、著作権や特許権の侵害、脱税なども対象だ。
(2)過去の法案や今回の原案でも対象犯罪は600を超えたが、「組織的犯罪集団の関与が現実的に想定される罪」という条件で絞り込まれた。もっと減らすことができないのかも論点となる。(金子元希)

Ⅵ.277の対象犯罪にはこんなものが含まれている

【刑法】現住建造物等放火、偽証、人身売買、窃盗、強盗
【組織的犯罪処罰法】組織的な威力業務妨害・詐欺・恐喝
【爆発物取締罰則】爆発物の製造・所持
【労働基準法】強制労働
【郵便法】切手類の偽造
【自転車競技法】無資格自転車競走
【文化財保護法】重要文化財の損壊
【森林法】保安林の区域内における森林窃盗
【覚醒剤取締法】覚醒剤の輸入・所持
【商標法】商標権の侵害
【著作権法】著作権の侵害
【種の保存法】国内希少野生動植物種の捕獲
【破産法】詐欺破産
【会社法】株式の超過発行


 さて、琉球新報は2017年4月19日、「犯罪を計画段階で処罰する『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ『テロ等準備罪』を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議は19日午後も衆院法務委員会で続き、法務省の林真琴刑事局長は今回の改正案と過去の法案との比較に関し『限定した適用対象の範囲は同じだ』と述べた。政府はこれまで過去の法案との違いを強調し、野党は『本質は同じ』と反発していた。」、と報じた。

 政府は、これまで、「菅義偉官房長官は3月、『かつての共謀罪とは明らかに別物である』と説明した。」(朝日新聞)、と説明してきた。 しかし、『限定した適用対象の範囲は同じだ』、ということである以上、もはや前回までの3回と同様に、廃案にするしかない。



by asyagi-df-2014 | 2017-05-13 08:31 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(21)-弁護士・金原徹雄のブログから-

 金原徹雄弁護士のブログは2017年4月9日、「『ロ対策』が嘘だと自信をもって言えるようになるために~共謀罪緊急学習会を受講する意義から」、を掲載しました。
 安部晋三政権の「共謀罪法案」に対抗していくためには、この「共謀罪法案」が駄目なのだと、多くの人が言えることが必要だと、私自身もこのところ痛切に感じてきていました。
 このブログでの指摘が、そのための一助になるのではと考えています。


 金原弁護士は、まず、現状をこのように分析しています。


 「共謀罪に反対する運動は、当面、安保法案の時よりもはるかに短期決戦と考えねばならず、悠長に学習会などやっている場合ではないという意見があるかもしれませんが、私の見るところ、安保法案の時よりも、さらに法案の中身自体についての理解が進んでいないように思われます。そして、そういう事情は、法案に賛成する側にしても同じようなものであり、どちらも、実際の法案自体は横に置いた上で、賛成とか反対とか声を上げているものの、中身がよく分かってないので、どうしても発言自体が自信なげになりがちです。」


 したがって、このように指摘しています。


 「そういった状況の中、4月6日の衆議院本会議での安倍首相の答弁が、いくら官僚が用意した(多分オールルビ付きだと推測します)答弁用原稿の棒読みであろうが、何十回でも「テロ対策」のために必要という見え透いた嘘を繰り返そうが、嘘を嘘と見抜いている人は多くなく、『嘘も100回言えば本当になる』」というたとえのとおり(ちなみに、ナチスドイツ宣伝相ゲッベルスがこう言ったというのは『嘘』に近いらしいですが)、それがそのまま通用することになりかねません。自信をもって、『テロ対策は嘘だ』と言えるようになるだけでも、緊急学習会の意義はあるだろうと思います。」

 この上で、「学習会のために書いたレジュメをご紹介します。」、次の内容のレジュメを紹介しています。


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2017年4月9日(日)午後1時00分~ 日高教育会館(和歌山県御坊市)
憲法9条を守り・いかす日高連絡会 憲法連絡会・緊急学習会

            “共謀罪”とは何か?・その狙いとは
                             弁護士 金 原 徹 雄


1 3月21日に国会に上程された共謀罪法案
(1)2月28日に自民・公明両党に示された法案には「テロ」の「テ」の字もなかった。
 ところが、与党からの指摘を受け、共謀罪の構成要件を定めた「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」第6条の2に、4箇所も「テロリズム集団その他の」という文言を追加する修正を加え、閣議決定の上、3月21日に衆議院に提出した。

(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 五年以下の懲役又は禁錮
二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項と同様とする。


 もちろん、「テロリズム集団」は単なる例示であり、意味があるのは「その他の」の方である。
(2)本レジュメ起案時は、4月6日に審議入りすることで、自民・公明両党が合意に達したと伝えられている段階である。

2 資料の説明
①「一からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる」(全48頁)(以下、本レジュメで「テキスト」と呼称)
 編集・発行
  「秘密保護法」廃止へ!実行委員会(平和フォーラム 新聞労連 ほか)
  「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(許すな!憲法改悪市民連絡会 憲法会議)
  盗聴法廃止ネットワーク(盗聴法に反対する市民連絡会 日本国民救援会)
 ※上記3団体に、「日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)」「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」が加わって「共謀罪NO!実行委員会」が作られ、統一署名が呼びかけられている(後記)。
②「対象の犯罪と罪名一覧」
 「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」別表第3と第4を新聞社でまとめたもの(対象犯罪数277)


3 共謀罪の「これまで」を振り返る(テキスト15、26頁)
 2000年11月:国連越境組織犯罪防止条約 採択
 2003年 3月:第1回 国会上程
 2004年 2月:第2回 国会上程
 2005年10月:第3回 国会上程
 2006年4月~6月:与野党修正案提出
 2006年 9月:第一次安倍晋三内閣成立
 2009年 7月:第3回法案が衆議院解散にともない廃案に
 2012年12月:第二次安倍晋三内閣成立
 2017年 3月:第4回 国会上程 


4 共謀罪が出来たなら~最も重大な3つの問題点
(1)日本の刑事法体系が破壊される(テキスト6頁)
①陰謀(共謀)→予備→未遂→既遂
・陰謀(共謀)罪は例外中の例外
・刑法77条「内乱の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の禁錮に処する。」
・他に、外患陰謀罪、私戦陰謀罪、爆発物取締罰則等 
・ところが、広汎な犯罪について共謀(計画)を罰することになると、未遂は処罰されないのにその前々段階の共謀(計画)は処罰されるというような犯罪が続出するという不合理な事態が現出する。
 ※例:横領罪(刑法252条/5年以下の懲役) 未遂処罰規定なし
②未遂罪との均衡がくずれる
 刑法43条「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」
 実行に着手までしながら、自らの意思で中止した場合(中止未遂)には、必要的にその刑が減軽または免除されるのに、その前々段階の共謀(計画)の段階で検挙されれば、自ら(抜け駆けで)実行の着手前に自首しない限り、減軽・免除の利益を受けられない(共謀罪法案第6条の2第1項ただし書)という不均衡が生じる。  
③日本の刑事法体系の思想(テキスト6頁)
 罰すべきは「意思」ではなく「行為」である。
 具体的な「法益侵害」またはその「具体的危険」が発生したことが刑罰権行使の根拠とする。
(2)「捜査」のあり方が一変する(テキスト7頁)
・共謀(計画)罪は、2人以上の者の意思の合致によって成立する。
・どうやって捜査するのか?盗聴(通信傍受)、おとり捜査が常態化する恐れがある。
・既に昨年、通信傍受法・刑事訴訟法が「改正」され、通信傍受できる対象犯罪が拡大されており(同年12月施行)、また、従来のように通信事業者の施設内でその立会いの下でやらねばならないという制約も撤廃されている(こちらの施行はまだ)。共謀罪が成立すれば、これも盗聴(通信傍受)の対象とされる可能性が非常に高い。
(3)人権が蔑ろにされる息苦しい社会となる(テキスト5、21、28頁)
・犯罪構成要件が曖昧過ぎる。
・刑罰法令の人権保障機能が失われる。
・思想・良心の自由、表現の自由などの人権体系の根幹をなす優越的権利が危機に瀕する。
・現在よりも、一層の「監視社会化」が進んだ息苦しい社会が到来することは疑いない。法案(第6条の2第1項ただし書)による密告奨励の自首規定はそれを助長する。
⇒昨年の参院選、大分県警(別府署)が野党統一候補陣営を隠しカメラで盗撮していたことを想起せよ。


5 国連越境組織犯罪防止条約の批准に共謀罪は不要(テキスト15頁)
・そもそも条約はマフィアや蛇頭などの国際的組織犯罪集団の効果的な取り締まりのために締結された条約であってテロ対策は無関係。
・日本は全てのテロ対策条約(全部で13)を批准済み。
・国連越境組織犯罪防止条約を批准済みの187カ国のうち、批准のために新たに共謀罪を作ったのはノルウェーとブルガリアの2カ国のみと政府も答弁している。
・現行法のままで条約批准は可能。必要であれば留保宣言付きで批准すればよい。 
 海渡雄一弁護士レジュメから引用
 「越境組織犯罪条約については、日本政府は異常なほど律儀に条約の文言を墨守して、国内法化をしようとした。むしろ、一部の法務警察官僚は、批准を機に過去になかったような処罰範囲の拡大の好機ととらえた節がある。もしかすると、アメリカ政府との間で、アメリカ並みの共謀罪を作るという合意があったのかもしれない」


6 戦争する国づくりの集大成としての共謀罪(テキスト11頁)
 2006年 教育基本法「全面改悪」(第一次安倍政権)
 2013年 秘密保護法(以下、第二次安倍政権)
 2015年 安保法制(戦争法)
 2016年 盗聴法(通信傍受法)拡大
 2017年 共謀罪?
 国が常時市民を監視し、萎縮させ、戦争に協力させるための体制作りの集大成としての共謀罪。 


7 共同の取組で共謀罪阻止を
(1)「共謀罪NO!実行委員会」結成(2017年3月~)
 呼びかけ団体
 ●「秘密保護法廃止」へ!実行委員会(新聞労連、平和フォーラム等)
 ●解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(憲法会議、許すな!憲法改悪・市民連絡会等)
 ●日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
 ●共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
 ●盗聴法廃止ネットワーク(日本国民救援会等)
(2)3月~5月 緊急統一署名に取り組もう!
 「共謀罪NO!実行委員会」
 「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」
 が共同で呼びかける。
(3)和歌山でも
・和歌山県平和フォーラムと和歌山県地方労働組合評議会が「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の枠組により、共謀罪に反対する共通チラシを作成・配布している。
・3月9日(木)18時~19時、JR和歌山駅前で、上記両団体などが参加する緊急行動(統一署名も)が行われた。
・国会での審議入りを踏まえた早急な運動の拡大が求められている。




by asyagi-df-2014 | 2017-05-12 06:12 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(20)-Yahooニュ-ス-もし「共謀罪」が成立したら、私たちはどうなるか【全国民必読】 知らなかったと後悔する前に-現代ビジネス-

 Yahooニュ-スは2017年4月7日、「もし『共謀罪』が成立したら、私たちはどうなるか【全国民必読】 知らなかったと後悔する前に」(現代ビジネス)、との記事を掲載しました。筆者は、刑法学者で京都大学の高山 佳奈子教授です。
この記事を要約します。
まずは、今回の「共謀罪」法案について次のように指摘します。


 「共謀罪とは、犯罪の未遂や予備よりも前の計画段階で処罰の対象とする犯罪類型である。与党は、同法案が過去のものと異なる点を強調しようとしているが、対象犯罪の数が限定された以外に、実質的な相違はない。その内容は、政府が締結を目指すとされる国連国際組織犯罪防止条約との関係では共謀罪処罰そのものであり、日本語でいかなる名称を付けようともこれが共謀罪法案であることには変わりがない。」


 この上で、下記の幾つかの疑問に答えるかたちを取っています。


Ⅰ.「共謀罪なしでは五輪開催できない?」ということに関して


(1)政府は、本法案を「テロ等準備罪」を処罰するものだとし、首相は、これがなければオリンピックを開催できないといっても過言ではない旨を述べていた。しかし、法案の中には、テロのための条文は1ヵ条も存在していない。
(2)適用対象の条項に「テロリズム集団その他」が付け加えられたが、「その他」の文言からも明らかなように、テロが除外されないことが示されているだけで、ほぼ無意味な挿入である。
(3)こうしたまやかしが判明した後、世論調査における同法案への支持は急落したとされる。
(4)オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった2013年までの間に、政府の犯罪対策計画においてオリンピックのための共謀罪立法が論じられたことはなく、共謀罪立法がテロ対策の一環として位置づけられたこともないという事実が明らかになっている。
(5)筆者は五輪招致を管轄していた文部科学省の事業で、2013年3月までドーピング対策の研究班を率いていたが、やはりそのような話は非公式にも聞いたことがない。
(6)日本にはすでに予備罪や抽象的危険犯の広範な処罰規定があることから、国連条約締結のために共謀罪立法は必要ないと考えられる上に、2004年に国連から各国向けに出された公式の「立法ガイド」にも、共謀罪処罰の導入は義務でないと明示されている。実際、条約締結のために共謀罪立法を行った国としては、ノルウェーとブルガリアの2ヵ国しか知られていない。
(7)このように、規制のために犯罪を創り出すものとしかいえない同法案に対しては、法律家はもちろんのこと、特に、日本ペンクラブや日本マスコミ文化情報労組会議を始めとする表現者の団体からも多数の反対声明が出されていることが注目される。
 学術の分野からは、2月1日に「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」が公表され、筆者を含む日本刑法学会理事7名の呼びかけに150名を超える専門研究者が賛同している。
 また、3月15日には、憲法学者・政治学者を中心とする「立憲デモクラシーの会」が、長谷部恭男早稲田大学教授・元東京大学教授の起草にかかる「共謀罪法案に反対する声明」を発表した。


Ⅱ.「『無限定』という恐怖」について


(1)これらの反対意見が問題視する点の1つは、適用対象に限定がないことである。
(2)「組織的犯罪集団」には認定や指定が不要なのはもちろんのこと、過去に違法行為をなしたことや、過去に継続して存在していたことすらも必要ない。当然のことながら、それ以外の集団との線引きが事前になされているわけではなく、構成員の属性も限定されていない。
(3)当初、与党議員らは、一般人は適用対象にならない旨を述べていたが、その後、法務大臣はこれを撤回する発言を行っている。事実、法案にはそのような限定は書かれていない上、組織的犯罪処罰法に関する最高裁判所の判例も、限定を否定している。
 すなわち、組織的詐欺罪を適用した最高裁の2015年9月15日の決定によると、ある組織がもともとは詐欺罪を実行するための組織でなかったとしても、客観的に詐欺にあたる行為をすることを目的として成り立っている組織となれば同法に該当し、中に詐欺のことを知らないメンバーがいても関係ない。
(4) 一般の集団がある時点から組織的犯罪集団とみなされることになるのである。また、犯罪を行う計画についての「合意」は、やはり法案上限定されていないため、従来の共犯処罰に関する最高裁判例に従って解釈されることになる。すなわち、暗黙のもので足り、ツイッターやフェイスブックなどSNSを用いて順次成立する場合もある。犯罪が確実に実行されることの認識も必要ない。さらに、「準備行為」は、法案では例が挙がっているものの、「その他」の文言があるため、同じく無限定である。予備罪や抽象的危険犯の処罰に必要だとされる実質的な危険が要件となっていないことから、文言上、危険性のない日常的な行為がすべて含まれることになる。


Ⅲ.「 警察の実績づくりのための処罰」について


 次に、「なぜ、このように無用な処罰規定を広範に導入する法改正が急がれているのか。」、という仮説を立てます。そしてこれに答えています。


(1)「政府に批判的な勢力を弾圧するため」、「米国に情報を提供するため」という見方にも説得性があるが、筆者は特に、「犯罪のないところに犯罪を創り出し、取締権限を保持するため」という動機が1つの背景をなしていると見ている。
(2)近年の犯罪統計によれば、犯罪認知件数は激減しており、戦後最低新記録を更新中である。暴力団関係者の数とそれによる犯罪も大きく落ち込んでいる。仕事のなくなった警察が摘発対象を求めているかのように見える。
 筆者がそのように考えるのは単なる憶測によるものではない。近年、何の違法性も帯びていない行為の冤罪事件や、極めて軽微な違法行為を口実とした大幅な人権剥奪が現に起こっていることが根拠である。
(3)筆者が直接関与した事件の例として、大阪のクラブが改正前風営法のダンス営業規制により訴追されたNOON裁判がある。クラブNOONは単にフロアで音楽を流していただけで、深夜営業もしていなければ未成年者もおらず、騒音やごみ、いわんや暴行・傷害や違法薬物の問題も全く生じていなかった。最高裁は、クラブには表現の自由と営業の自由が及んでおり、社会に対する実質的な危険がなければ無許可営業罪の処罰対象にはならないとして、無罪の判断を下した。しかし、最高裁まで争って無罪を勝ち取った金光正年氏以外は、同様の事案で多くのクラブ関係者が略式手続によって冤罪の状態のままに置かれてる。しかも、改正風営法ではダンス営業の罪が廃止されたものの、これよりもさらに広範で違憲の疑いの強い「遊興」処罰規定が新設され、多数の飲食店に対し、警察が嫌がらせともとれる立入りなどを実施している。
(4)警察には仕事がないらしい。クラブ関係者の政治的立場は多様であり、反政府的であるから摘発されたとは考えがたい店も多い。最近では、女性タレント2名が電車の線路に立ち入った行為が鉄道営業法違反で書類送検の対象になっている。この行為はクラブ営業と異なり違法は違法だが、極めて軽微な違法性しかない。この程度の行為であれば、刑事罰の対象とはされない国も多い。彼女たちは何の政治的立場もとっていない。また、昨年5月には、右翼団体「草莽崛起(そうもうくっき)の会」メンバー20名が、道路交通法上の共同危険行為を理由に、運転免許の取消処分を受けることになったと報道された。
(5)こうした摘発の現状を見ると、対象にされる者が政府に対してどのような立場をとっているかは、警察の実績づくりのためにはもはや関係がなくなっていると考えられる。
 現行法の下でもこの状態であるから、いわんや、共謀罪処罰が導入されれば、取締権限がどのように用いられるかは、一般人の予測しうるところではないことが明らかである。
(6)イスラム過激派などによるテロを警戒するのであれば、現にテロが起こっているところで用いられているアラビア語、ベンガル語、ウルドゥー語などがわからなければテロの計画を察知できないと思われるが、日本の捜査機関は、摘発が可能な態勢にはおよそない。テロリストでない日本人しか、実質的には共謀罪処罰のターゲットにならないのである。


Ⅳ.「表現の自由はどうなってしまうのか」について


(1)一般人が対象になるということでは、社会運動への悪影響も論じられているが、より一層広がりのある問題は、各種団体も批判するとおり、表現の自由全般に対する抑圧的効果である。
(2)表現の自由に関心を持つ比較的若い世代の懸念の1つとして、マンガ・アニメなどのパロディ(いわゆる二次創作)の計画が著作権法違反の罪の共謀罪として摘発の対象にされるのではないかという点がある。著作権法違反はおよそテロリズムとは無関係に見えるが、海賊版や模造品が犯罪組織の資金源となりうるという理由で、知的財産権を侵害する他の罪とともに、共謀罪処罰の対象犯罪に含められている。
(3)筆者(経済産業省の産業構造審議会で知的財産政策部会の関連委員会に所属する)は、パロディは独自のジャンルとして表現の自由の保護を受けるべきだと考えるが、筆者がどう考えるかは取締当局にとって重要ではない。
 2017年3月28日には衆議院の丸山穂高議員(大阪維新の会)の質問にかかる議論において、同人誌やグッズを作る二次創作団体であっても、それ自体として共謀罪の適用対象から外れるものではないことが確認されている。少なくとも、法令上、海賊版とパロディとの間の線引きは予定されない。
(4)著作権侵害の罪は、被害者の告訴がなければ公訴を提起できない「親告罪」であるが、警察が目を付けたターゲットを摘発するために、原著作者に告訴を促すことは可能である。とりわけ筆者が懸念するのは、性交や非実在児童の描写を含むマンガに対する否定的影響である。
(5)筆者は京都府青少年健全育成審議会委員として、18歳未満の者への提供を禁止する有害図書指定に携わっているが、委員の中には、性交描写の多いマンガやDVDについて、検閲により成人に対する提供も禁止すべきであるという意見を公の場で述べる者が常に複数いる。憲法上の表現の自由を正面から否定する発言であり、おぞましいというほかはない。刑法175条のわいせつ物等頒布罪で規制されない対象には、表現の自由だけでなく営業の自由も及んでいることが無視されている。また、筆者は、数十年前の写真をモチーフに描かれた作品が摘発の対象となったCG児童ポルノ裁判にも、第一審から無罪の意見書を提出してきているが、同事件は一審・二審とも有罪となっている。これらは不当判決であり、現在、事件は最高裁判所に係属している。本来、日本国における児童買春・児童ポルノ処罰法は、実在する児童のみを保護するために立法されており、実在の児童をモデルにしていない絵が処罰対象となるはずはないのである。
(6)しかし、表現の自由に対し抑圧的な意見が世論の有力な一角を占めていることは事実である。共謀罪の適用に関しても、取締機関がこれに迎合する形で摘発のターゲットを定めることは十分に考えられる。
(7)共謀罪法案の実像を見れば、テロ対策目的がどこにもないばかりか、本来マフィア対策の条約である国連国際組織犯罪防止条約への対応としても説明のつかない内容になっている。今回共謀罪処罰の対象から除外された犯罪類型は、警察などの特別公務員職権濫用・暴行陵虐罪や公職選挙法・政治資金規正法違反の罪など、公権力を私物化する罪、また、規制強化が国際的トレンドになっている民間の賄賂罪などである。これは国際社会によって求められているのとは正反対の方向性である。警察は仕事がないなら、汚職の摘発に臨むべきである。


 確かに、今回の「共謀罪法」がいかに危険なものであるかを確認しました。




by asyagi-df-2014 | 2017-05-05 06:08 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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