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「共謀罪」を考える。(15)-明日の自由を守る若手弁護士の会ブログ②-

 明日の自由を守る若手弁護士の会(以下、「あすわか」とする))が、「『テロ等準備罪』!?無害なフリしちゃってポイント解説」とだいして、「共謀罪」法案について解説してくれています。
  2017年4月6日、組織犯罪を計画段階で処罰可能とする『共謀罪』の成立要件を絞った『テロ等準備罪』を新設する組織犯罪処罰法改正案が、衆院本会議で審議入りした。
 
 今回は、2017年3月21日版の「『テロ等準備罪』!?無害なフリしちゃってポイント解説 ②」、です。
 まず、こう説明にはいります。



 政府は、テロ対策のためには「国際組織犯罪防止条約」を締結する必要がある、「テロ等準備罪」を成立させないと、 条約を締結できないし、2020年の東京オリンピック・パラリン ピックも開催できないと言っています。
 「たしかに、テロ対策は必要だよね」とか「東京オリンピック・ パラリンピックが開催されなきゃ困る!」と思ってしまうかも しれませんね。でも、「本当にそうなのかな?」と立ち止まって考える必要があります。


 そうです。立ち止まって考える時なのです。
 「あすわか」は、こんな事実を示してくれます。


(1)そもそも、「国際組織犯罪防止条約」(別名「パレルモ条約」)は、マフィアのマネーロンダリング(資金洗浄)などの経済犯罪を国際 的に協力して防止することを目的としたもので、テロ対策の条約ではありません。
(2)それとは別にハイジャック防止条約とか爆弾テロ防止条約など テロ防止のための条約は13個もありますが、日本はその13個ぜーんぶ締結しているのです。
(3)テロ対策の法律も既に整備されています。内乱罪や殺人罪など70以上の重大な犯罪については、今でも共謀や予備の段階で処罰できます。ハイジャック犯がハイジャック
の目的で航空券を予約する行為はハイジャック防止法の航空機 強取等予備罪で処罰できますし、サリン等の毒物を作るために薬品を購入する行為は殺人予備罪やサリン等人身被害防止法 予備罪で処罰できます。
(4)ね、もうテロ対策の法律は、できているのです。


 また、「あすわか」は、続けてくれます。


(1)実は、この「テロ等準備罪」の法案、原案では「テロ」という文言自体どこにも書かれていませんでした。 共謀罪とはまったく別物の「テロ等準備罪」だよと言ってるわりには「テロ」の言葉がどこにもないとかいって、おかしすぎるだろ、やっぱり「テロ対策」なんてウソじゃないか!と猛批判が巻き起こり…。急遽、政府は法案の「組織的犯罪集団」という言葉の前に「テロリズム集団その他の」という文言を付け足しました。
(2)なにこの「怒られたから書きました」感…(-_-;)
(3)ただ書き加えただけなので、「テロリズム集団」の定義はありませんし、 「その他の」ってあるから、本当にテロ対策なのかどうか結局あいまい なまま…
(4)実際、テロ等準備罪(共謀罪)の対象となる犯罪は277もあるの ですが、テロとはまっったく関係ない犯罪も半数以上含まれているのもドン引きポイントです。
(5)例えば、原発に反対している市民団体が、原発再稼働を進める電力会社に抗議の意志を示そうと思って、電力会社前での抗議 行動を計画し、メンバーの一人が訴えをするためのハンドマイクを購入すれば、「組織的威力業務妨害罪」の準備行為をしたという ことで計画に加わった人全員が処罰される可能性があります。
(6)なにそれどこがテロ…みたいな。


 最後に、「あすわか」からの大事なこと。


 「テロ対策」のために本当に必要なことは何?、「テロ等準備罪」が導入されると逆にどんなデメリットがあるの?、こういったことをこれ からの国会の議論で見ていかなければいけませんね。





by asyagi-df-2014 | 2017-04-25 05:46 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(14)-明日の自由を守る若手弁護士の会ブログ①-

 明日の自由を守る若手弁護士の会が、「『テロ等準備罪』!?無害なフリしちゃってポイント解説」と題して、「共謀罪」法案について解説してくれています。
  2017年4月6日、組織犯罪を計画段階で処罰可能とする『共謀罪』の成立要件を絞った『テロ等準備罪』を新設する組織犯罪処罰法改正案が、衆院本会議で審議入りした。
 
 今回は、2017年3月21日版の「『テロ等準備罪』!?無害なフリしちゃってポイント解説 ①」、です。
 先に、結論を言うと、「テロ等準備罪」の法案とは、次のことです。


 「テロ対策」とか言っちゃって… 対象は、「全国民」です。
 すべての一般人が対象になり、コミュニケーションと心の中が監視される。
 それが「テロ等準備罪」です。


 さて、次のように説明してくれています。


(1)金田法務大臣は、「法案は処罰の対象となる団体を明文で『組織的犯罪集団』に限定することで、一般の会社や市民団体といった正当な活動を行っている団体が適用対象とならないことを、一層、明確にしている」と述べたそうです。
 菅官房長官も言ってました。 「一般の方々が対象になることはあり得ない」
 よく、こう報道されていますね。
 あくまでも、一定の犯罪の実行を目的とする「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」が団体の活動として、重大な犯罪の実行を計画した時にしか、テロ等準備罪(共謀罪)は成立しません、って。
(2)「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」…
 いかにも、それっぽい人しか関係ないように見えます。
 善良な一般市民である私にもあなたにも縁遠いもののように感じます。
 でも、ここに大きな大きな落とし穴があります。
(3)テロリズム集団その他の「組織的犯罪集団」というのは、なにも、犯罪を行うためにあえて結成された集団だけを言っているのではありません。
 市民団体、住民団体、NPO、NGO、労働組合、漫才コンビ、夫婦、ママさんバレーチーム、アイドルグループ…平穏な社会にいくらでも存在する、ごくごく普通の「複数人の集まり」は、なんでも当てはまり ます。
 その普通の団体の、内部の会話やコミュニケーションに注目して、 捜査機関(警察)が、「このやりとりは、犯罪を計画するやりとりだ!」と認定してしまえば、その瞬間に、その市民団体も、ダンスボーカル ユニットも、兄弟も、「組織的犯罪集団」と見なされてしまうからです。
(4)「この団地の裏の大きな森が、国道を通すために伐採されちゃうん だって!」「さっそく工事始まるらしいよ」「おかしいよね、なんの説明もないし!明日は現場に担当者来るっぽいよ」「それ、ちょっとひどいよ、 直談判してみようよ」
 団地の住民が集まる管理組合で、こんなやりとりがあれば、 「組織的な威力業務妨害罪」の共謀だ、と見なされかねません。
 この瞬間に、管理組合は、「組織的犯罪集団」と言われてしまうのです。
(5)企業や役所に「おかしい!」と声を届けよう、というアクションを起こ そうとすれば,とたんに「組織的な威力業務妨害罪の共謀」なんて おどろおどろしい認定をされるなんて、あまりにも理不尽だな、って思いませんか。
(6)だって、そんなの昨日まで普通にやってたことだし!
 業務妨害してやろうとか、そんなこと思ってないのに!
 ただ、おかしいことをおかしいって訴えたかっただけなのに!
 アポをとりたくてもとってくれないから、直談判するしかないのに!


 そして、このように指摘してくれます。


(1) …一般人が、この「テロ等準備罪」によって、かんたんに「組織的犯罪 集団」として犯罪者扱いされていくことが、容易に想像できます。
  「そんな悪いこと、政府は考えてないよ。」
 「考えすぎでしょう。」
(2)政府を信頼して、楽観視する人も少なくないかもしれません。しかし、戦後民主主義の70年間、警察(捜査機関による)法律の濫用、 犯罪のでっちあげ(えん罪)、市民運動の弾圧は、まっったく無くなりま袴田事件など、証拠をねつ造して無実の人が殺人の罪で何十年も牢獄に閉じ込められたり、沖縄の米軍ヘリパッドの建設に反対する人が、 悪性リンパ腫を患っていて逃げも隠れもしないことが明らかなのに、 不当に逮捕されたあげく5ヶ月も勾留されたり。
(3)残念ながら、捜査機関や権力の「善意」「正義感」をただただ信頼して いれば平穏に暮らせる社会とは、ほど遠いのが、現実です。


 明日の自由を守る若手弁護士の会は、このように訴えます。


 ですから、濫用の危険がある、人権が侵される危険のある法律は、 絶対に作らせてはならないのです。




by asyagi-df-2014 | 2017-04-23 06:57 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀を罪」を考える。(13)-東京新聞20170321より-

 政府は2017年3月21日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。
  2017年4月6日、組織犯罪を計画段階で処罰可能とする『共謀罪』の成立要件を絞った『テロ等準備罪』を新設する組織犯罪処罰法改正案が、衆院本会議で審議入りした。

 東京新聞は2017年3月21日、「『共謀罪』は表現の多様性否定 劇作家・坂手洋二さんに聞く」、との記事を掲載した。
 「政府は二十一日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定する方針。」の中での問題提起。
 記事は、「共謀罪」の危険性を次のように描き出す。


(1) -なぜ「共謀罪」法案に反対なのか。

 「演劇は人間が集まることで成立する表現。(法案は)人間同士のコミュニケーションの自由や、表現の多様性を否定することにつながる」

(2) -具体的には。

 「表現上、今ある仕組みに疑いを持つこともある。より面白く、深く、豊かな表現をしようとするとき、既成の枠を超えて想像することは当然ある。そうした言論、表現の自由に恣意的(しいてき)に『共謀罪』が適用されると、脅威になりかねない」

(3) -現実的に、どんなことがあり得るか。

 「『誰かが爆破作戦を考えている』という設定で戯曲を書くため、何人かで資料を集めたり買ってきたりすると、思いもせず『共謀』として適用されてしまうかもしれない。フィクション(創作)のためだと言っても、判断するのは捜査機関だ」

(4) -日本劇作家協会は二月に緊急アピールを出した。

 「二〇〇六年四月に『共謀罪に反対する表現者の緊急アピール』を出した。当時と名前が変わっても、『共謀罪』には変わりない。なぜ性懲りもなくまた出すのか。昔の治安維持法につながる法案であることは間違いない。またアピールを出さなくては、と」

(5) -沖縄県名護市での新基地建設反対運動に影響するとの指摘も。

 「影響は大変大きい。座り込みや、(建設現場に)車両を入れるのを阻止することも、計画段階で止められてしまう。いろんな人が勾留されてしまう恐れを危惧している」




by asyagi-df-2014 | 2017-04-08 08:31 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀を罪」を考える。(12)-東京法律事務所bloより-

 政府は2017年3月21日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。
2017年4月6日、組織犯罪を計画段階で処罰可能とする『共謀罪』の成立要件を絞った『テロ等準備罪』を新設する組織犯罪処罰法改正案が、衆院本会議で審議入りした。

 東京法律事務所bloは2017年3月18日、「それでもやっぱり『共謀罪は必要』と思うあなたへ 」と掲載しました。
 今泉義竜弁護士は、次のように始めます。
 「『犯罪の未然防止には必要じゃない?』や『犯罪の計画なんて思ったこともない一般人である私には関係ないでしょ?』 、という声は、まだまだたくさんあるようです。」、と今泉義竜弁護士は投げかけます。
 また、弁護士としての仕事柄、「共謀罪」について次のように指摘します。


 弁護士は、刑事弁護を経験する中で捜査機関という組織が恣意的な捜査をし、自白を強要し、場合によっては平気で法律を破る、ウソをつくということがあるということを現場で肌感覚で身に着けます。
 そのような経験から、「話し合い」の段階にまで処罰を広げ、捜査機関に権限をあたえることがどれだけ危険なことかが共通認識として持ちやすい面があります。
 例え身に覚えがなくても、一般人が「共謀をした」容疑で犯罪をでっち上げられるということは容易に想像がつきます。
 しかし、事件とは無縁の一般の人にとっては、そのような感覚はなかなか理解しづらいかもしれません。そうした方には、私が担当した築地国賠訴訟の事案を知っていただきたいと思います。


 この上で、具体的に、「しかし、事件とは無縁の一般の人にとっては、そのような感覚はなかなか理解しづらいかもしれません。そうした方には、私が担当した築地国賠訴訟の事案を知っていただきたいと思います。」、と「共謀罪」の危険性について、このように事例を基に説いてくれます。


(1)この事件は、すし店を経営し、少し頑固であるという点を除いては正真正銘の一般人であった二本松さんが、駐車違反の指摘に対して反論しただけで、公務執行妨害をでっち上げられて、逮捕・勾留されたという事件です。
(2)警察官二人のウソが発端となったものですが、組織ぐるみでウソが作り上げられました。裁判では、警察官のウソに従って整理された証拠がだされました。しかし、ウソには必ず矛盾があります。弁護団は、証拠に現れた矛盾を徹底的に追及し、警察官二人の供述のウソを暴きました。
(3)結果、裁判所は、警察官の供述の信用性を否定し、東京都に賠償を命じました。判決は確定し、賠償金は支払われましたが、その後東京都や警察官からは一言の謝罪もありません。賠償金は税金から払われますので、ウソをついた警察官やウソを塗り固めるのに加担した。
(4)関係者には何の痛みもありません。
(5)「気に入らない」と思えば、犯罪を作りだして逮捕することも平気でやる、警察というのはそういうことをする組織だということなのです。(もちろん、現場で頑張っている良心的な警察官もいますが、組織としてどうか、というと、そういう方は主流ではないと思います。)



 今泉義竜弁護士は、最後にこう強調します。


 共謀罪が導入されれば、「話し合いをしてただろう(明示の共謀)」「目くばせしただろう(黙示の共謀)」「既読スルーしただろう(黙示の共謀)」という容疑で いともたやすく「気に入らない者を逮捕する」ということができるようになるでしょう。
 それでもあなたは「自分には絶対に関係ない」と言っていられますか?




by asyagi-df-2014 | 2017-04-07 07:17 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」の成立要件を絞った「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法改正案」が6日午後、衆院本会議で審議入り。

 毎日新聞は2017年4月6日、「組織犯罪を計画段階で処罰可能とする『共謀罪』の成立要件を絞った『テロ等準備罪』を新設する組織犯罪処罰法改正案が6日午後、衆院本会議で審議入りした。」、と報じた。
毎日新聞は、このことについて。次のように伝えている。


(1)政府・与党は2020年の東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策を強調し、今国会での成立を目指す。民進党など野党側は「捜査当局の乱用の恐れがある」などと批判しており、後半国会の焦点となる。
(2)本会議では金田勝年法相が趣旨説明を行った。政府は各国で協力して組織犯罪を未然に防止する「国際組織犯罪防止条約」の締結を目指している。条約が締結国に「重大な犯罪の合意」などの犯罪化を求めていることから、「国内法の整備としてテロ等準備罪が必要」というのが政府の見解だ。
(3)国内法整備を巡っては、「共謀罪」を新設する同法改正案が03~05年に3度、廃案となった。当時の法案は適用対象を単に「団体」とし、重大な犯罪を合意(共謀)しただけで処罰できる内容で、「一般の民間団体も対象になる恐れがある」などと批判された。
(4)テロ等準備罪は適用対象を、重大な犯罪の実行を共同の目的とする「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と条文に明記。集団の活動として、2人以上で犯罪を計画し、うち1人以上が計画に基づく「実行準備行為」を行った場合、計画した全員を処罰可能とした。
(5)準備行為は、凶器購入の資金調達や犯行場所の下見などを想定している。対象となる犯罪は懲役・禁錮4年以上の罪で総数は676だったが、公明党などから「多すぎる」との指摘があり、組織的犯罪集団の関与が現実的に想定される277に削減された。
(6)野党側は、条約締結のためのテロ等準備罪の必要性▽組織的犯罪集団や実行準備行為の定義▽対象犯罪の絞り込みの根拠--などを問題視しており、論戦のポイントとなる。


 また、毎日新聞は、「地方44議会が懸念 撤回や慎重対応求める」とし、「県議会では三重、宮崎の2件、市町村議会では11都道府県の42件で、いずれも3月中に可決。このうち37件は改正案への反対を表明したり、撤回や国会提出の断念を求めたりする内容。7件は『テロ行為などの準備行為の処罰を一般化する必要性や合理性が明らかにされなければならない』(宮崎県議会)などと慎重な検討を求めた。」、と伝えた。
 さらに、この反対意見書等の内容については、「反対意見書で岩手県花巻市議会は『思想や人の心は処罰しないという近代刑法を根底から覆す』と指摘。東京都国立市議会も『モノ言えぬ監視・密告社会をつくる』と強い懸念を示した。高知県須崎市議会は『極めて広範囲にわたって捜査権限が乱用される恐れがある。本当に必要か大いに疑問』と訴えた。」、としている。





by asyagi-df-2014 | 2017-04-06 20:18 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(11)-沖縄タイムス20170306より-

 政府は2017年3月21日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。 

 沖縄タイムスは2017年3月6日、「「共謀罪」と米軍基地]抗議行動に適用の恐れ」と、その社説で主張した。
この社説を読む。
沖縄タイムスは、まず、安倍晋三政権が画策する「共謀罪」法案に関して、「『共謀罪』と同じ趣旨の『組織犯罪処罰法改正案』が、米軍基地周辺で抗議行動をする人たちに適用されかねないことがわかった。」、と指摘する。
また、その根拠について、「改正案が対象とする277の犯罪のうち、米軍基地を保護するための刑事特別法で(1)軍用物などの損壊(2)米軍事裁判所での虚偽証言-など二つの罪が適用対象に含まれているからだ。」、とする。
 このことについて、具体的に次のように説明する。


(1)憲法第21条は「集会、結社及(およ)び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と明記。憲法の3本柱の一つ、基本的人権のうち民主社会の基盤となる権利が「言論・表現の自由」である。
(2)改正案は適用対象を「組織的犯罪集団」とし、2人以上のうち、少なくとも1人が資金や物品の手配、下見などの「実行準備行為」をしたときに処罰できると規定している。米軍基地に対する抗議活動が兵器や弾薬などの損壊行為に向けた下見などの準備行為とみなされる恐れがないとはいえない。組織犯罪集団かどうかを認定するのは捜査当局である。
(3)日本弁護士連合会が指摘するように改正案には組織的犯罪集団の定義として「常習性」や「反復継続性」の要件がない。このため、市民団体や労働組合が処罰対象となる可能性が消えないのである。
(4)刑特法関連だけではない。米軍基地建設に抗議する市民らがゲート前に座り込んだり、工事車両を止めたりすることなどを電話やメール、無料通信アプリLINE(ライン)などで呼び掛けた場合、積極的に異議を唱えない限り、「共謀罪」が成立したと判断される懸念がある。
(5)昨年5月、沖縄防衛局から海上警備を受注している警備会社が辺野古新基地に抗議する市民の顔写真と名前が入った「監視リスト」を作成していたことが明らかになった。警備会社は米軍内にある警備会社の現地本部を通じて沖縄防衛局に伝えていた。米軍も抗議行動に参加する市民の顔写真や名前などの個人情報を収集し内部で共有していることが本紙の情報公開請求でわかった。現場では日米の捜査当局がビデオカメラで抗議する市民らを撮影している。いずれも個人のプライバシーや肖像権の侵害に当たる違法性が強い行為だ。
(6)捜査当局が「共謀罪」を適用するには日ごろから、狙い撃ちにする市民らを監視する必要がある。監視リストはもちろん、尾行したり、会話や電話、メールなどを盗聴したりする手法が使われよう。抗議する市民団体や労働組合が対象になる危険性が高い。


 沖縄タイムスは、「警察の捜査手法は拡大するばかりだ。通信傍受法が改正され、組織犯罪だけでなく一般刑法犯にまで電話などの傍受(盗聴)が通信事業者の立ち会いなしで可能になった。裁判所の令状があれば電気通信事業者から衛星利用測位システム(GPS)による位置情報も入手できる。」、としたうえで、「改正案には『テロ』という表現が出てこない。政府はこれまでテロを前面に押し出し、過去3回廃案になった『共謀罪』とは違うことを印象づけようとしていた。改正案の本質はやはり『共謀罪』であることを自ら露呈した。」、と「共謀罪」法案を糾弾した。




by asyagi-df-2014 | 2017-04-05 07:39 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(10)-東京新聞20170228より-

 政府は2017年3月21日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。
 東京新聞は2017年2月28日、「テロ準備罪に『テロ』表記なし 『共謀罪』創設の改正案を全文入手」、と次のように報じた。


(1)政府が創設を検討している「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の全容が二十七日、関係者への取材で明らかになった。政府はテロ対策を強調し呼称を「テロ等準備罪」に変更したが、法案には「テロ」の文言が全くないことが判明。捜査機関の裁量によって解釈が拡大され、内心の処罰につながる恐れや一般市民も対象になる余地も残しており、共謀罪の本質的な懸念は変わっていない。」 (山田祐一郎)
(2)本紙が入手した法案全文によると、処罰されるのは「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画」で、「計画罪」と呼ぶべきものとなっている。政府が与党に説明するために作成した資料では、対象とする二百七十七の犯罪を「テロの実行」「薬物」など五つに分類していたが、本紙が入手した法案全文には「テロ」の文言はなく、分類もされていなかった。特定秘密保護法で規定されているようなテロリズムの定義もなかった。
(3)法案は、共同の目的が犯罪の実行にある「組織的犯罪集団」の活動として、その実行組織によって行われる犯罪を二人以上で計画した者を処罰対象としている。計画に参加した者の誰かが資金や物品の手配、関係場所の下見、「その他」の実行準備行為をしたときに処罰すると規定。また「(犯罪)実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、または免除する」との規定もある。
(4)政府はこれまでの国会答弁で「合意に加えて、準備行為がなければ逮捕令状は出ないように立法する」などと説明してきた。しかし、条文は「実行準備行為をしたときに」処罰するという規定になっており、合意したメンバーの誰かが準備行為をしなければ逮捕できないとは読み取れない。準備行為がなければ起訴はできないが、計画や合意の疑いがある段階で逮捕や家宅捜索ができる可能性が残ることになる。合意の段階で捜査できるのは、本質的には内心の処罰につながる共謀罪と変わらない。
(5)「組織的犯罪集団」は政府統一見解では、普通の団体が性質を変えた場合にも認定される可能性がある。団体の性質が変わったかどうかを判断するのは主に捜査機関。その裁量次第で市民団体や労働組合などが処罰対象となる余地がある。
(6)<内心の処罰> 複数の人が犯罪を行うことを合意しただけで、実際の犯罪行為がなくても処罰につながることが、今法案の大きな問題点とされている。現代刑法は、犯罪行為を実行(既遂)、あるいは、結果は生じていないが犯罪行為に着手(未遂)した場合に処罰することが大原則。日弁連は、未遂の前の段階まで罪に問うと刑法の体系を根底から変えてしまうと批判している。過去に共謀罪が国会審議された際には「内心の処罰は表現の自由を脅かす」「捜査機関が乱用する恐れがある」との批判が大きく、廃案の一因となった。


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東京新聞20170228



 また、東京新聞は、『共謀罪』法案のポイントを次のようにまとめている。


○目的は国連の国際組織犯罪防止条約の実施
○犯罪を実行するために結合している「組織的犯罪集団」が対象
○現場の下見や資金、物品調達などの「準備行為」が処罰の対象
○実行に着手する前に自首した場合は刑を減免」


 「法案には「テロ」の文言が全くないことが判明。捜査機関の裁量によって解釈が拡大され、内心の処罰につながる恐れや一般市民も対象になる余地も残しており、共謀罪の本質的な懸念は変わっていない。」との東京新聞の指摘は、今回も「共謀罪」法案に反対する大きな理由の一つである。




by asyagi-df-2014 | 2017-04-04 07:29 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(9)-東京新聞社説20170215より-

 東京新聞は2017年1月6日、「安倍晋三首相は五日、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を二十日召集の通常国会に提出する方針を固めた。」、と報じた。
また、この背景を、「菅義偉(すがよしひで)官房長官は五日の記者会見で、『共謀罪』法案の通常国会への提出に関して、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向けテロ対策の強化が必要だと主張し『テロを含む組織犯罪を防ぐことは、国民も望んでいる。これまでの国会審議の意見を踏まえ、最終検討している』と述べた。」、とも伝えた。
 政府は2017年3月21日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。

 緊急かつ重大な課題である『共謀罪』について考える。

 東京新聞は2017年2月15日、「『共謀罪』審議 法相の迷走が目に余る」とする社説を掲載した。
この声明を読む。
 東京新聞は、まず、「担当閣僚がまともに国会答弁できないような法案を、なぜ国会に提出する必要があるのか。『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ『テロ等準備罪』を新設する『組織犯罪処罰法改正案』である。」、と切り込む。
 あわせて、こんな担当大臣のていたらくぶりを紹介する。


(1)「この大臣、大丈夫か」との言葉がつい出てしまう。金田勝年法相の国会答弁。質問のたびに背後に控える官僚と打ち合わせて答弁したり、答弁が二転三転したり、答えに窮して立ち往生したり。
(2)委員長にたびたび注意されるようなひどい答弁がまかり通るのは、閣僚としての資質はもちろん、組織犯罪処罰法改正案の内容自体に問題があるからではないのか。


 
 東京新聞は、この「共謀罪法」の問題点を列挙する。


(1)安倍内閣は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックのテロ対策には国際組織犯罪防止条約の締結が必要で、そのためには犯罪の実行行為がなくても処罰できる法律が不可欠だとしている。同条約の国会承認を受け、政府は「共謀罪」を創設する法案を過去三回提出したが、いずれも廃案になった。「共謀罪」ができれば捜査機関の拡大解釈や恣意(しい)的な運用で人権侵害の恐れがあるとして世論が強く反発したためだ。
(2)安倍内閣は法案提出に当たって「テロ等準備罪」に名称を変え、対象犯罪を従来の六百七十六からテロに関わる二百~三百の犯罪に絞り込み、適用対象も従来の「団体」から「組織的犯罪集団」に限定、犯罪構成要件に準備行為を加えるなど厳格化するという。
(3)これまでの「共謀罪」とは全く別だと訴えるが、犯罪の実行行為がなくても処罰できる点は「共謀罪」と変わらず、人権侵害の懸念が拭い去れない。
(4)条約上、対象犯罪の絞り込みはできないとしていた従来の政府見解との整合性はどうなるのか。既存の法律で対処できるとの指摘にも、政府は耳を傾けるべきだ。


 最後に、東京新聞は、「加えて見過ごせないのは、法務省が法相の指示を受けて、テロ等準備罪については法案の国会提出後に議論するよう促す文書を報道機関向けに出したことである。人権に関わる法案について国会提出前から政府の考えをただすのは何ら不自然でない。「質問封じ」と批判されて当然だ。答弁能力の欠如を自ら認めたも同然の内容である。法執行をつかさどる法相が、国会の国政調査権を制限し、三権分立に反する文書を出すよう指示したことは、閣僚の適格性に関わる重要問題だ。撤回では済まされない。安倍晋三首相の任命責任は、もちろん重い。」、と指摘する。


 確かに、「法執行をつかさどる法相が、国会の国政調査権を制限し、三権分立に反する文書を出すよう指示したことは、閣僚の適格性に関わる重要問題だ。撤回では済まされない。」、また、「安倍晋三首相の任命責任は、もちろん重い。」。





by asyagi-df-2014 | 2017-04-03 07:12 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(8)-日本ペンクラブ声明より-

 東京新聞は2017年1月6日、「安倍晋三首相は五日、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を二十日召集の通常国会に提出する方針を固めた。」、と報じた。
また、この背景を、「菅義偉(すがよしひで)官房長官は五日の記者会見で、『共謀罪』法案の通常国会への提出に関して、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向けテロ対策の強化が必要だと主張し『テロを含む組織犯罪を防ぐことは、国民も望んでいる。これまでの国会審議の意見を踏まえ、最終検討している』と述べた。」、とも伝えた。
 政府は2017年3月21日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。

 緊急かつ重大な課題である『共謀罪』について考える。

 日本ペンクラブ(以下、ペンクラブとする)は、2017年2月15日、「共謀罪に反対する」、と声明を発表した。
この声明を読む。
 ペンクラブは、明確に、五感に訴える形で、こう断定する。


 
共謀罪によってあなたの生活は監視され、
共謀罪によってあなたがテロリストに仕立てられる。
私たちは共謀罪の新設に反対します。


 ペンクラブは、「過去の法案に対しても、全く不要であるばかりか、社会の基盤を壊すものとして私たちは反対してきたが、法案の本質が全く変わらない以上、その姿勢に微塵の違いもない。」、とその立場を明確にする中で、具体的に次のように反対の理由を次のように説く。


(1)私たち日本ペンクラブは、いま国会で審議が進む「共謀罪(「テロ等組織犯罪準備罪」)」の新設に強く反対する。過去の法案に対しても、全く不要であるばかりか、社会の基盤を壊すものとして私たちは反対してきたが、法案の本質が全く変わらない以上、その姿勢に微塵の違いもない。
(2)過去に3度国会に上程され、いずれも廃案となった法案同様、いま準備されている共謀罪は、事前に相談すると見なされただけでも処罰するとしている。これは、人の心の中に手を突っ込み、憲法で絶対的に保障されている「内心の自由(思想信条の自由)」を侵害するものに他ならない。結果として、表現の自由、集会・結社の自由など自分の意思を表明する、あるいは表明しない自由が根本から奪われてしまう。
(3)しかも、現行法で、十分なテロ対策が可能であるにもかかわらず、共謀罪を新設しなければ東京オリンピックを開催できないというのは、オリンピックを人質にとった詭弁であり、オリンピックの政治的利用である。


 ペンクラブは、この声明を、「このような法案を強引に成立させようとする政府の姿勢を許すわけにはいかない。法案の成立を断固阻止すべきである。」、と主張する。


 確かに、次の指摘は重要である。


ⅰ.いま準備されている共謀罪は、事前に相談すると見なされただけでも処罰するとしている。これは、人の心の中に手を突っ込み、憲法で絶対的に保障されている「内心の自由(思想信条の自由)」を侵害するものに他ならない。結果として、表現の自由、集会・結社の自由など自分の意思を表明する、あるいは表明しない自由が根本から奪われてしまう。
ⅱ.現行法で、十分なテロ対策が可能であるにもかかわらず、共謀罪を新設しなければ東京オリンピックを開催できないというのは、オリンピックを人質にとった詭弁であり、オリンピックの政治的利用である。


 以下、日本ペンクラブ声明 の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2017-04-02 07:17 | 共謀罪 | Comments(0)

共謀罪」を考える。(7)-東京新聞20170210より-

 東京新聞は2017年1月6日、「安倍晋三首相は五日、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を二十日召集の通常国会に提出する方針を固めた。」、と報じた。
また、この背景を、「菅義偉(すがよしひで)官房長官は五日の記者会見で、『共謀罪』法案の通常国会への提出に関して、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向けテロ対策の強化が必要だと主張し『テロを含む組織犯罪を防ぐことは、国民も望んでいる。これまでの国会審議の意見を踏まえ、最終検討している』と述べた。」、とも伝えた。
 政府は2017年3月21日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。

 緊急かつ重大な課題である『共謀罪』について考える。

 東京新聞は、2017年2月10日、「政府の『共謀罪』創設理由を疑問視 『現行法でテロ対応可能』」、と次のように報じた。


(1)「共謀罪」と趣旨が同じ「テロ等準備罪」の必要性を巡り、政府が現行法で対応できないテロ対策の穴として示した三事例について、元東京地検検事の落合洋司弁護士は九日、「共謀罪がなければ不十分というわけではなく、取り締まりに穴が生じる状況にもない」と述べ、現行法や法改正で対応できるという見解を示した。民進党法務部門会議で有識者として、共謀罪法案の問題点を指摘した。
(2)落合弁護士は、東京地検公安部に在籍した一九九五年ごろにオウム真理教関連の事件捜査を担当。当時、捜査機関が事前に発生を察知することができなかった経験から「テロは情報がなければ防止できない。共謀罪ができればテロを防げるというのは無理がある」と述べた。政府が、共謀罪創設の必要性として示す三事例のうち、地下鉄サリン事件を想起させる化学薬品テロについて「(殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を)入手した段階で殺人予備罪が適用できる」とみる。他の二事例についても「ハイジャックは殺人予備罪やハイジャック防止法の予備罪などが成立する。サイバーテロは、現行法の改正で対処できる」などと述べた。
(3)政府側が新たな案について「合意に加えて実行のための準備行為があって初めて処罰される」とこれまでの共謀罪との違いを強調するのに対し、「共謀だけで処罰は困難だが、共謀や準備行為らしきものがある段階で捜索や逮捕の令状は発付できる。従来の共謀罪と大きな差はない」と解説。「公安事件は関係先を捜索したり、アジトに入って情報収集したりするなど動くことに意味がある。動くためには事件を探して作らないといけない。共謀罪ができると、起訴は難しくても捜査できる範囲は広がる」と危ぶむ。
(4)テロ対策については「オウム真理教関連事件では情報を入手して生かす体制が不十分だった。東京五輪に向けては、共謀罪ではなく、複数の機関が連携して情報を共有し、生かすことが急務だ」との見方を示した。


 また、東京新聞は同記事で、その関係を次のように図で示した。




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by asyagi-df-2014 | 2017-03-28 07:55 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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