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「共謀罪」を考える。(45)-日本民間放送労働組合連合会中央執行委員長談話2017年6月15日より-

 日本民間放送労働組合連合会は2017年6月15日、「『共謀罪』廃止までたたかい抜く」、と 中央執行委員長の談話(以下、談話とする))を発表した。
 まず最初に、談話は、「国会審議では法務大臣がまともな答弁もできず、挙句の果てに委員会採決を省略した「中間報告」で本会議に上程して徹夜の国会で強行採決するという、憲政史上恥ずべき行いの結果だった。」と断罪し、「安倍政権を揺るがす数々の疑惑の追及を恐れた政府・与党の一連の行動は、政治の私物化そのものであり、断じて許されない。」と結論づけた。
 また、次のようにあらためて、問題点を指摘した。


(1)具体的な犯罪行為がなくても、その相談をしたという疑いがあれば身柄拘束や家宅捜索も可能となるという「共謀罪」は、思想・信条の自由、言論・表現の自由、集会・結社の自由などの基本的人権を踏みにじる、違憲の疑いが強いものだ。
(2)捜査当局の恣意的な判断で、市民団体や労働組合の日常的な活動、テレビ・ラジオなどメディアの取材・報道活動まで摘発の対象とされるおそれがある。


 談話は、「共謀罪」は、国会前で夜を徹して反対の声を上げ続けた多くの市民たちと同様に、私たち放送の現場で働く者としても絶対に容認できない。」、とした。
 さらに、今後の闘いについて次のように示唆し,決意表明した。


(1)国連の特別報告者の立場から「共謀罪」法案に疑問を投げかけたジョセフ・カナタチ氏は、日弁連のシンポジウムで「法律が通ってしまったとしても、まだ始まったばかりだ。日本の人々は基本的人権の保障を享受する権利がある」と語った。
(2)私たちは、政府・与党らの横暴に強く抗議するとともに、「共謀罪」関連法を廃止に追い込むまで、国内・国外の幅広い仲間と共にたたかい抜く決意を表明する。


 確かに、私たちは、まず、政府・与党らの横暴に強く抗議しよう。
 その上で、「共謀罪」関連法を廃止に追い込むまで、粘り強く国内・国外の幅広い仲間と共にたたかい抜こう。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-28 08:02 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(44)-日弁連会長声明2017年6月15日より-

 日本弁護士連合会は、2017年6月15日、「いわゆる共謀罪の創設を含む改正組織的犯罪処罰法の成立に関する会長声明」を発表した。
この声明では、まず、「参議院本会議において、参議院法務委員会の中間報告がなされた上で、同委員会の採決が省略されるという異例な手続により、本会議の採決が行われ、成立した。」、とその異様さを指摘する。
 また、日弁連がこれまで指摘した問題点-「法案が、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強いものとして、これまで本法案の制定には一貫して反対してきた。」-が、政府答弁では解決されていないこと。
 また、あわせて、「本法案に対しては、国連人権理事会特別報告者であるジョセフ・カナタチ氏が懸念を表明する書簡を発出するという経緯も存した。」ということに関連して、、次のように指摘する。


(1)本国会における政府の説明にもかかわらず、例えば、①一般市民が捜査の対象になり得るのではないか、②「組織的犯罪集団」に「一変」したといえる基準が不明確ではないか、③計画段階の犯罪の成否を見極めるために、メールやLINE等を対象とする捜査が必要になり、通信傍受の拡大など監視社会を招来しかねないのではないか、などの様々な懸念は払拭されていないと言わざるを得ない。
(2)277にも上る対象犯罪の妥当性や更なる見直しの要否についても、十分な審議が行われたとは言い難い。
(3)本法案は、我が国の刑事法の体系や基本原則を根本的に変更するという重大な内容であり、また、報道機関の世論調査において、政府の説明が不十分であり、今国会での成立に反対であるとの意見が多数存していた。にもかかわらず、衆議院法務委員会において採決が強行され、また、参議院においては上記のとおり異例な手続を経て、成立に至ったことは極めて遺憾である。


 日本弁護士連合会は、「当連合会は、本法律が恣意的に運用されることがないように注視し、全国の弁護士会及び弁護士会連合会とともに、今後、成立した法律の廃止に向けた取組を行う所存である。」、と決意表明する。


 確かに、次のことが重要になる。


Ⅰ.本法律が恣意的に運用されることがないように注視すること。
Ⅱ.今後、成立した法律の廃止に向けた取組を行うこと。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-27 08:20 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(43)-日本雑誌協会及び日本書籍出版協会の声明2017年6月15日より-

 「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)が参議院本会議で可決・成立したなかで、日本雑誌協会及び日本書籍出版協会は2017年6月15日、連名で「強行採決に抗議し、あくまでも『共謀罪』に反対する」とする声明を発表した。

 この声明では、日本雑誌協会、日本書籍出版協会も、閣議決定のあった本年3月21日にいち早く反対の声明を発表し、その後も様々な機会に反対を表明し、「我々が何度も繰り返し指摘し主張してきた」として、次のように問題点を再度挙げた。


(1)共謀罪は、犯罪を「計画」した段階から、それを計画した人を罪に問う法律であり、人々の自由な発想を阻害し、「内心の自由」「表現の自由」の妨げになるものである。
(2)共謀罪の対象犯罪は277と幅広く、その中には「組織的強要罪」や「組織的信用毀損・業務妨害罪」「不正競争防止法・営業秘密侵害罪」「児童ポルノ禁止法・提供罪」など、出版や報道の現場へ捜査機関が足を踏み入れる口実に使われかねない犯罪が数多く含まれている。


 また、新たな問題点も次のように付け加えて指摘した。


(1)多くの市民が懸念する共謀罪の問題点に対して、政府は国会で十分な説明をしたと言えるだろうか。
(2)国連特別報告者からも、「計画」「準備行為」の定義が抽象的で恣意的な適用がされかねない点や対象犯罪が幅広すぎる点、プライバシー保護の仕組みがなく表現の自由への過度の制限につながりかねない点などが指摘された。だが、これらにも政府は向き合おうとせず、委員会採決を省略するという異例の本会議採決が強行された。


 日本雑誌協会及び日本書籍出版協会の連名の声明は、「我々は、十分な議論のないままの採決に抗議し、あくまでも共謀罪に反対する。同時に、今後、共謀罪の恣意的な運用がなされないよう、出版メディアとして厳しく監視を続けていく。」、と決意を表明するものになっている。


 確かに、「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)がで可決・成立させられたなかでは、それぞれの分野で、それぞれの方法で、力強く連帯して闘っていくことができる。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-26 09:00 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」法に立ち向かうために。(2)-各紙社説から-

2017年6月15日、7時46分。
共謀罪法案の開票結果発表。
賛成165票、反対70票。
伊達忠一議長が「本法案は可決されました」と宣言。


 「共謀罪」法は、強行採決された。
 2017年6月15日7時46分は、日本の歴史の中で、非常に大きな「汚点」として残された。
 人の命さへないがしろにすることを厭わないとの、強い宣言。
 私たちの生活の中に、この「共謀罪」法は、時には恫喝の姿で、時には知らんふりを装った隣人のふりをして、侵入してくる。
では、どうすれば。
 まずは、各新聞社の社説等から、今回の「共謀罪」法強行採決の事実と「共謀罪」法の問題点を捉える。
 最初に、中央紙と呼ばれる6社の社説等の見出しは、次のものである。今回は主張によって少し区分してみた。


Ⅰ.批判的主張
①朝日新聞社説-権力の病弊 「共謀罪」市民が監視を
②毎日新聞社説-「共謀罪」法の成立 一層募った乱用への懸念
③東京新聞社説-「共謀罪」法が成立 「私」への侵入を恐れる
Ⅱ.積極的受け入れ主張
④読売新聞社説-テロ準備罪成立 凶行を未然に防ぐ努力続けよ
⑤産経新聞主張-テロ等準備罪成立 国民を守るための運用を 海外との連携強化に生かせ
Ⅲ.曖昧または省略主張
⑥日本経済新聞社説-あまりに強引で説明不足ではないか


 次に、各地方紙の社説・論説の見出しをみてみる。あくまで、こちらが集約できる範囲ではあるが。


Ⅰ.批判的主張
①北海道新聞社説-口つぐむ国民にはならぬ
②河北新報社説-「共謀罪」法が成立/「1強」の数の横暴極まる
③東奥日報社説-「1強」のおごり極まった/「共謀罪」法成立
④秋田魁新報社説-「共謀罪」法成立 熟議の府否定する暴挙
⑤岩手日報論説-「共謀罪」成立 おごり極まる議論封じ
⑥福島民報論説-【「共謀罪」法成立】恣意的運用を許さない
⑦茨城新聞論説-「共謀罪」法成立 1強のおごり極まった
⑧信濃毎日新聞社説-共謀罪法成立 民主主義の土台が崩れる
⑨新潟日報社説-「共謀罪」成立 乱用防止へ国民が監視を
⑩福井新聞論説-「共謀罪」法 成立 疑念払拭なきままの暴挙
⑪京都新聞社説-「共謀罪」法成立  行き過ぎた運用に歯止めを
⑫神戸新聞社説-「共謀罪」成立/民主主義が脅かされている
⑬山陽新聞社説-「共謀罪」法成立 「良識の府」の使命どこへ
⑭愛媛新聞社説-「共謀罪」強行成立 民主主義の原則踏みにじる暴挙
⑮徳島新聞社説-共謀罪成立 民主主義を否定するのか
⑯高知新聞社説-【「共謀罪」法成立】民主主義壊す「安倍1強
⑰西日本新聞社説-「共謀罪」法案 監視すべきは1強政治だ
⑱宮崎日日新聞社説-「共謀罪」法成立
⑲佐賀新聞論説-「共謀罪」法成立 1強のおごり極まった
⑳南日本新聞社説-[「共謀罪」法成立] 数の力の暴挙に政権のおごり極まる
㉑琉球新報社説-「共謀罪」法成立 民主主義の破壊許さず
㉒沖縄タイムス社説-[「共謀罪」採決強行]極まった暴挙 信を問え
㉓大分合同新聞論説-「共謀罪」法成立 1強のおごり極まった


Ⅱ.積極的受け入れ主張
①北國新聞社説-テロ等準備罪成立 条約結び組織犯罪に備えを


 続けて、今回は、中央紙の主張のみを要約する。


Ⅰ.主張
(朝日新聞)
(1)委員会での審議・採決を飛ばして本会議でいきなり決着させるという、国会の歴史に重大な汚点を残しての制定である。
(2)捜査や刑事裁判にかかわる法案はしばしば深刻な対立を引きおこす。「治安の維持、安全の確保」という要請と、「市民の自由や権利、プライバシーの擁護」という要請とが、真っ向から衝突するからだ。二つの価値をどう両立させ、バランスをどこに求めるか。
 その際大切なのは、見解の異なる人の話も聞き、事実に即して意見を交わし、合意形成をめざす姿勢だ。どの法律もそうだが、とりわけ刑事立法の場合、独善と強権からは多くの理解を得られるものは生まれない。その観点からふり返った時、共謀罪法案で見せた政府の姿勢はあまりにも問題が多かった。277もの犯罪について、実行されなくても計画段階から処罰できるようにするという、刑事法の原則の転換につながる法案であるにもかかわらずだ。
(3)「独善と強権」を後押ししたのが自民、公明の与党だ。政治家同士の議論を活発にしようという国会の合意を踏みにじり、官僚を政府参考人として委員会に出席させることを数の力で決めた。審議の中身を論じずに時間だけを数え、最後に仕掛けたのが本会議での直接採決という禁じ手だった。国民は最後まで置き去りにされた。権力の乱用が懸念される共謀罪法案が、むき出しの権力の行使によって成立したことは、この国に大きな傷を残した。

(毎日新聞)
(1)テロなどを防ぐ治安上の必要性を認めるにしても、こんな乱暴な手法で成立させた政府を容易に信用することはできない。

(東京新聞)
(1)プライバシーを握られた「私」は、「公」の支配を受ける関係になるのである。監視社会とは国家による国民支配の方法なのだ。おそらく国民には日常生活に異変は感じられないかもしれない。だが気付かぬうちに、個人の自由は着実に侵食されていく恐れはある。

(読売新聞)
(1)残念だったのは、国会が混乱したことだ。民進、共産など野党が金田法相の問責決議案、内閣不信任決議案などを次々と提出したことで、改正法の参院本会議の採決が翌日朝にずれ込んだ。
(2)与党が、参院法務委員会での採決を省略し、審議経過などに関する委員長の「中間報告」で済ませたのは、乱暴な対応だった。7月に東京都議選を控え、野党が徹底抗戦の構えを取ったため、採決時の騒動を避けようとしたというが、かえって与党の強引な国会運営が印象づけられた。委員会できちんと結論を得たうえで本会議にかける手続きを踏むのが、本来の国会の姿だ。18日の会期末が迫っていたが、会期を多少延長することは十分可能だったはずだ。重要法案だからこそ、もっと丁寧に審議を尽くすことが与党には求められる。

(産経新聞)
(1)野党は強く反発したが、新法の成立をまず評価したい。国連が採択した国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准条件を満たし、これでようやく日本も締結することができる。「共謀罪」は過去に3度、廃案に追い込まれた。すでに187カ国・地域が条約を締結し、先進7カ国では日本だけが取り残される状況となっていた。
(2)新法は参院法務委員会での採決を省略し、「中間報告」の手続きを取って本会議で可決された。民進党や共産党は「異常な禁じ手を使った暴挙だ」などと批判する。では、反対する野党は真摯(しんし)な議論を尽くしたのか。
(3)最終的な採決に向けた混乱の責任は、政府与党にもあった。金田勝年法相は明らかに答弁能力を欠いた。成立を目指すあまり、「共謀罪」を否定する物言いに起因したのか。必要と信じる法なら堂々と通すべきだった。

(日本経済新聞)
(1)過去にも委員会採決を経ずに衆参の本会議で採決をした例はある。だがそれは野党が委員長ポストを握っていたり、各党が個々の議員に本会議採決での賛否を委ねたりするケースだった。与党が議事運営の主導権を確保していながら、審議の手続きを省略したのはどう考えてもおかしい。


Ⅱ.「共謀罪」法の評価等

(朝日新聞)
(1)マフィアなどによる金銭目的の国際犯罪の防止をめざす条約に加わるための立法なのに、政府はテロ対策に必要だと訴え、首相は「この法案がなければ五輪は開けない」とまで述べた。まやかしを指摘されても態度を変えることはなかった。
(2)処罰対象になるのは「組織的犯罪集団」に限られると言っていたのに、最終盤になって「周辺の者」も加わった。条約加盟国の法整備状況について調査を求められても、外務省は詳しい説明を拒み、警察庁は市民活動の監視は「正当な業務」と開き直った。これに金田法相のお粗末な答弁が重なった。
(3)きょうからただちに息苦しい毎日に転換するわけではない。だが、謙抑を欠き、「何でもあり」の政権が産み落としたこの法律は、市民の自由と権利を蚕食する危険をはらむ。
(4)日本を監視社会にしない。そのためには、市民の側が法の運用をしっかり監視し、異議を唱え続けなければならない。

(毎日新聞)
(1)警察などの捜査機関が権限を乱用し、国民への監視を強めるのではないか。そこがこの法律の最大の懸念材料だった。しかし、政府・与党は懸念解消どころか増幅させる振る舞いに終始した。法律への不安は一層深まった。
(2)組織犯罪の封じ込めは必要だ。ただし、こうした活動はあくまで広範な国民の同意の下でなされなければならない。そのため、私たちは、大幅な対象犯罪の絞り込みと、捜査権乱用の歯止め策を求めてきた。組織的犯罪集団が法の適用対象だ。それでも、一般人が捜査対象になるかどうかが、法案審議では一貫して焦点になってきた。参院段階では、政府から「周辺者」も適用対象との説明が新たにあった。これでは、一般人とは、警察の捜査対象から外れた人に過ぎなくなる。重大な疑問として残った。
(3)法は来月にも施行される見通しだ。法務省刑事局長は国会答弁で「犯罪の嫌疑が生じていないのに尾行や張り込みをすることは許されない」と述べた。国民の信頼を損ねない法の運用を重ねて警察に求める。仮に強制捜査が行われる場合、令状の審査に当たる裁判所の責任が重いことは言うまでもない。捜査機関が捜査を名目に行き過ぎた監視に走る可能性があることは、これまでの例をみても明らかだ。
(4)2010年、警視庁の国際テロ捜査に関する内部文書がインターネット上に漏えいした事件があった。そこには、テロとは無縁とみられる在日イスラム教徒らの個人情報が多数含まれていた。「共謀罪」法によって、こうした監視が今後、社会に網の目のように張り巡らされていく危険性は否定できない。
(5)政治的な活動を含めて国民の行動が警察権力によって脅かされてはならない。監視しようとする側をどう監視するか。国民の側の心構えも必要になってくる。

(東京新聞)
(1)「共謀罪」が与党の数の力で成立した。日本の刑事法の原則が覆る。まるで人の心の中を取り締まるようだ。「私」の領域への「公」の侵入を恐れる。
(2)そもそも日本では「既遂」が基本で「未遂」は例外。犯罪の着手前にあたる「予備」はさらに例外になる。もっと前段階の「共謀」は例外中の例外である。だから「共謀罪」は刑事法の原則を変えるのだ。
(3)身に覚えのないことで警察に呼ばれたり、家宅捜索を受けたり、事情聴取を受けたり…。そのような不審な出来事が起きはしないだろうか。冤罪(えんざい)が起きはしないだろうか。そんな社会になってしまわないか。それを危ぶむ。何しろ犯罪の実行行為がないのだから…。
(4)スマートフォンの機能には地図もカメラのズームもメモ帳もある。つまりは取り調べで「内心の自由」に踏み込むしかないのだ。警察の恣意(しい)的判断がいくらでも入り込むということだ。だから、反政府活動も判断次第でテロの準備行為とみなされる余地が出てくる。市民活動の萎縮を招くだろう。こんな法律を強引に成立させたのだ。廃止を求めるが、乱用をチェックするために運用状況を政府・警察は逐一、国民に報告すべきである。
(5)ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン氏が共同通信と会見し、米国家安全保障局(NSA)が極秘の情報監視システムを日本側に供与していたと証言した。これは日本政府が個人のメールや通話などの大量監視を可能にする状態にあることを指摘するものだ。「共謀罪」についても「個人情報の大規模収集を公認することになる」と警鐘を鳴らした。「日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになる」とも。大量監視の始まりなら、憲法の保障する通信の秘密の壁は打ち破られ、「私」の領域に「公」が侵入してくることを意味する。

(読売新聞)
(1)2020年東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策は喫緊の課題である。凶行を防ぐため、改正法を有効に機能させなければならない。
(2)犯罪の芽を事前に摘み取り、実行を食い止めることが、テロ対策の要諦である。「既遂」を処罰する日本の刑事法の原則に縛られたままでは、有効な手立てを講じられない。テロ等準備罪が必要とされる所以ゆえんである。他国から日本に侵入するテロ集団を摘発するためには、国際協力が不可欠だ。改正法の最大の利点は、国際組織犯罪防止条約の締結が可能になることだ。締結国間では、捜査情報のやり取りなど、迅速な捜査共助が容易になる。犯罪人の引き渡しもスムーズにできるだろう。
(3)テロ等準備罪で摘発の対象となるのは、組織的犯罪集団だ。テロ集団のほか、暴力団、麻薬密売組織、人身売買組織、振り込め詐欺集団などが想定される。組織的犯罪集団の構成員や周辺者が、2人以上で重大犯罪を企てる。うち1人でも実行準備行為に走れば、その段階で全員を取り締まることができる。テロ集団の活動を根元から封じるための武器として、改正法を活用したい。
(4)過去に3度廃案になった「共謀罪」法案では、対象の団体が組織的犯罪集団に限定されず、適用には実行準備行為も必要とされなかった。テロ等準備罪が共謀罪とは別物であることは明らかだ。
(5)説明により、摘発対象が明確になったのではないか。「一般人も処罰される」という野党の主張は、不安を煽あおるだけだったと言わざるを得ない。
(6)野党は「監視社会になる」とも批判した。改正法はあくまで、犯罪の成立要件や刑罰を定めた実体法だ。捜査手続きは従来の刑事訴訟法に基づいて行われる。警察が新たな捜査手段を手にするわけではない。批判は的外れだ。

(産経新聞)
(1)2020年には東京五輪・パラリンピックを控えている。日本がいつまでも、テロや組織犯罪に対峙(たいじ)する国際社会の弱い環(わ)でいるわけにはいかない。一刻も早い新法の成立が望まれたゆえんである。テロリストは、国会の都合を待ってはくれない。
(2)「平成の治安維持法」などの批判は、安全保障関連法案を「戦争法案」と呼んだのと同様の、劣悪なレッテル貼りである。戦前と現在とでは体制も社会情勢も大きく異なり、本来、比較の対象とはなり得ない。
(3)日本の刑事法は犯罪の実行を処罰対象とする原則があり、準備罪はこれに反するとの反対もあった。だが、現行法でも殺人罪などには予備罪が設けられている。無差別大量殺人を企図するテロ計画を察知しても、犯行後しか処罰対象にできないなら、そんな原則は見直すべきだ。この法律は、そこを問うものでもある。多くの人命を失った後では遅い。
(4)処罰対象の選別と法定刑の設定は、いわば国の意志である。テロなどの凶行は許さない。テロ等準備罪の新設には、そうした日本の決意を内外に示す意味がある。これは、テロとの戦いのスタートにすぎないことも、改めて認識すべきである。


 さて、この間の「共謀罪」法の取り扱われ方から、二つの問題点が指摘できる。
 一つ目は、「共謀罪」法決定の過程の方法論についてである。
 二つ目は、「共謀罪」法の持つ根本的な問題点である。
 この一つ目については、国会で決定のあり方の問題について一定の批判を6紙とも行っている。また、各地方紙も多くが批判的である。
 ただ、読売や産経及び北國新聞は、今回の責任が与党よりも野党にすり替えられて説明されている。
 例えば、読売は「残念だったのは、国会が混乱したことだ。民進、共産など野党が金田法相の問責決議案、内閣不信任決議案などを次々と提出したことで、改正法の参院本会議の採決が翌日朝にずれ込んだ。」と。
産経は「新法は参院法務委員会での採決を省略し、『中間報告』の手続きを取って本会議で可決された。民進党や共産党は『異常な禁じ手を使った暴挙だ』などと批判する。では、反対する野党は真摯(しんし)な議論を尽くしたのか。」、と。
 また、北國新聞は、「トランプ米大統領がメディアや野党の厳しい追及を受けているのは、違法な司法妨害の疑いがあるからだ。違法性が見当たらないのに、安倍晋三首相をあたかも『疑惑の人』のように指弾し、スキャンダラスに扱うのはいかがなものか。加計学園の問題を『安倍下ろし』のための政争の具にしているだけではないか。審議を引き延ばし、政府への追及時間を確保するあてが外れた野党が『国会での熟議を放棄した』と批判しても説得力を欠く。」、と説く。
 しかし、こうした主張には、信濃毎日新聞社社説-「共謀罪法成立 民主主義の土台が崩れる」-の次の主張を対置すれば充分である。


 「議会制民主主義を破壊しかねないやり方で共謀罪法が成立した。参院法務委員会での審議を与党が一方的に打ち切り、本会議での採決に持ち込んだ。加計学園問題での追及を避けるため、会期は延長しない。共謀罪法案は何としても成立させる―。政権の意向に従い、『中間報告』という奇策で委員会採決を省く強硬手段に出た。国会議員は、主権者である国民を代表する。数の力に頼んで反対意見を封じる姿勢は、立法府の存在意義を根本から損ない、国民をないがしろにするものだ。」


 二つ目については、今回もまた、読売と産経が全国的にみて突出している。
 例えば、読売は「野党は「監視社会になる」とも批判した。改正法はあくまで、犯罪の成立要件や刑罰を定めた実体法だ。捜査手続きは従来の刑事訴訟法に基づいて行われる。警察が新たな捜査手段を手にするわけではない。批判は的外れだ。」、と。
 産経は「2020年には東京五輪・パラリンピックを控えている。日本がいつまでも、テロや組織犯罪に対峙(たいじ)する国際社会の弱い環(わ)でいるわけにはいかない。一刻も早い新法の成立が望まれたゆえんである。テロリストは、国会の都合を待ってはくれない。」、とさへ主張する。
 各新聞社の主張に、決定的差異をもたらすのは、権力との距離感の問題である。
 この二社には、自らの会社の使命として、安倍晋三政権を補完するということが打ち立てられているとしか思えない。そこには、喘ぎ慟哭する市民の姿は微塵も想像されていない。
 こうした主張には、次の各社の主張を対置すれば済む。中央紙の分については、再掲も含む。


(1)捜査や刑事裁判にかかわる法案はしばしば深刻な対立を引きおこす。「治安の維持、安全の確保」という要請と、「市民の自由や権利、プライバシーの擁護」という要請とが、真っ向から衝突するからだ。その際大切なのは、見解の異なる人の話も聞き、事実に即して意見を交わし、合意形成をめざす姿勢だ。どの法律もそうだが、とりわけ刑事立法の場合、独善と強権からは多くの理解を得られるものは生まれない。その観点からふり返った時、共謀罪法案で見せた政府の姿勢はあまりにも問題が多かった。277もの犯罪について、実行されなくても計画段階から処罰できるようにするという、刑事法の原則の転換につながる法案であるにもかかわらずだ。(朝日新聞)
(2)マフィアなどによる金銭目的の国際犯罪の防止をめざす条約に加わるための立法なのに、政府はテロ対策に必要だと訴え、首相は「この法案がなければ五輪は開けない」とまで述べた。まやかしを指摘されても態度を変えることはなかった。(朝日新聞)
(3)警察などの捜査機関が権限を乱用し、国民への監視を強めるのではないか。そこがこの法律の最大の懸念材料だった。しかし、政府・与党は懸念解消どころか増幅させる振る舞いに終始した。法律への不安は一層深まった。(毎日新聞)
(4)組織犯罪の封じ込めは必要だ。ただし、こうした活動はあくまで広範な国民の同意の下でなされなければならない。そのため、私たちは、大幅な対象犯罪の絞り込みと、捜査権乱用の歯止め策を求めてきた。組織的犯罪集団が法の適用対象だ。それでも、一般人が捜査対象になるかどうかが、法案審議では一貫して焦点になってきた。参院段階では、政府から「周辺者」も適用対象との説明が新たにあった。これでは、一般人とは、警察の捜査対象から外れた人に過ぎなくなる。重大な疑問として残った。(毎日新聞)
(5)「共謀罪」が与党の数の力で成立した。日本の刑事法の原則が覆る。まるで人の心の中を取り締まるようだ。「私」の領域への「公」の侵入を恐れる。(東京新聞)
(6)そもそも日本では「既遂」が基本で「未遂」は例外。犯罪の着手前にあたる「予備」はさらに例外になる。もっと前段階の「共謀」は例外中の例外である。だから「共謀罪」は刑事法の原則を変えるのだ。(東京新聞)
(7)スマートフォンの機能には地図もカメラのズームもメモ帳もある。つまりは取り調べで「内心の自由」に踏み込むしかないのだ。警察の恣意(しい)的判断がいくらでも入り込むということだ。だから、反政府活動も判断次第でテロの準備行為とみなされる余地が出てくる。市民活動の萎縮を招くだろう。こんな法律を強引に成立させたのだ。廃止を求めるが、乱用をチェックするために運用状況を政府・警察は逐一、国民に報告すべきである。(東京新聞)
(8)ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン氏が共同通信と会見し、米国家安全保障局(NSA)が極秘の情報監視システムを日本側に供与していたと証言した。これは日本政府が個人のメールや通話などの大量監視を可能にする状態にあることを指摘するものだ。「共謀罪」についても「個人情報の大規模収集を公認することになる」と警鐘を鳴らした。「日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになる」とも。大量監視の始まりなら、憲法の保障する通信の秘密の壁は打ち破られ、「私」の領域に「公」が侵入してくることを意味する。そうなると、変化が起きる。プライバシーを握られた「私」は、「公」の支配を受ける関係になるのである。監視社会とは国家による国民支配の方法なのだ。おそらく国民には日常生活に異変は感じられないかもしれない。だが気付かぬうちに、個人の自由は着実に侵食されていく恐れはある。
(9)安倍晋三首相がかつて繰り返した「戦後レジーム(体制)からの脱却」とは、詰まるところ「戦前回帰」だった。そうした思いが募るばかりだ。(北海道新聞)
(10)安倍晋三首相の下で増長する「1強」のおごりはここに極まったといえよう。結果は深刻である。犯罪が実行されて初めて罰するという刑事法の原則の大転換となり、一気に277の罪で共謀・計画が処罰の対象となる。そうした「内心」の領域を探るため警察は団体や個人に対する監視を一層強めることになる。社会の隅々に監視が及び、プライバシーが脅かされ、言論・表現の自由が後退するようなことがあってはならない。政府は「テロ対策」を強調するが、人権への配慮は一切ない。あらゆる団体や個人が連携し、市民の手で法の恣意(しい)的な運用や捜査権限の膨張に歯止めをかけていくしかない。(茨城新聞)
(11)密告を促す規定も人を疑心暗鬼にさせるだろう。目をつけられないようにしようと人々が縮こまり、口をつぐめば、民主主義は窒息してしまう。(信濃毎日新聞)
(12)捜査機関の乱用を防ぐため、国民の側が運用を厳しく監視していくことが不可欠になる。内心の自由を脅かす恐れや監視社会につながりかねない危険が生じれば、強く廃止を求めていかなければならない。(新潟日報)
(13)社会の根幹をなす民主主義が脅かされている。何より「国民が主役」であるはずなのに、その国民が蚊帳の外に置かれている。「かつてここまで国民と国会が軽んじられた時代があっただろうか」。「世界平和アピール七人委員会」が先日、発表した緊急声明に危機感がにじむ。この国の民主主義が岐路に立っている。広く危機感を共有し、声を上げていきたい。国民が主役の原則を守り、政治の過ちを正すために。(神戸新聞)
(14)民主主義は、問答無用の多数決ではない。選挙で国民の負託を受けても、個々の政策まで白紙委任されたわけでもない。議論を通じて少数派の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、「合意」を丁寧に形成していく過程こそが重要。それを忘れては、信は必ず失われる。すべての国会議員、政治家が肝に銘じてもらいたい。(愛媛新聞)
(15)国家権力には縛りが必要です。国民主権をうたった憲法の下で、権力の乱用や行き過ぎがないよう国民が国家の動きを監視していく-。そうした立憲主義の基本理念に照らして、この法案はいわば正反対の性格を帯びています。(西日本新聞)
(16)「共謀罪」成立で、日本は監視社会に大きく一歩踏み出した。国民一人一人が、法の恣意的運用や捜査権限の膨張に厳しい目を向け続けなければならない。(南日本新聞)
(17)この法律は監視社会を招き、憲法が保障する「内心の自由」を侵害する。捜査機関の権限を大幅に拡大し、表現の自由、集会・結社の自由に重大な影響を及ぼす。
(琉球新報)
(18)首相は衆院代表質問で「条約を締結できなければ東京五輪を開催できないと言っても過言ではない」とも明言。だがそれが事実なら、そもそも五輪招致などできないはずで、答弁には疑問符が付く。あからさまな矛盾でさえ、今国会では修正されることもなかった。
(沖縄タイムス)


 特に、読売については、ここで押さえておく必要がある。
 5月22日の「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」との記事で、郷原信郎さんに「読売新聞は死んだに等しい」と断罪された。この間の事実経過で、このこの意味が公に証明された形となってしまった。今回の主張も含めて、読売はすでに崩壊している。
 また、もう一つ気になるのは、日本経済新聞の「あいまい」さや根本問題への省略的扱いである。この6月16日付けのその社説には、「共謀罪」法への主張はまさに「省略」されている。その手法は、「家計問題」を混在させることによって「共謀罪」法の本質の問題点を薄める役割を果たしているように取れる。


 最後に、やはり押さえておかなくてはならないのは、次のことである。
今後、日本という国は、「この法律は監視社会を招き、憲法が保障する『内心の自由』を侵害する。捜査機関の権限を大幅に拡大し、表現の自由、集会・結社の自由に重大な影響を及ぼす。」(琉球新報)という時代を迎える。
 だから、「『共謀罪』成立で、日本は監視社会に大きく一歩踏み出した。国民一人一人が、法の恣意的運用や捜査権限の膨張に厳しい目を向け続けなければならない。」(南日本新聞)、ということも理解できる。
 だからこそ、日本のジャーナリズムに投げかけなくてはならない。
 朝日新聞は「日本を監視社会にしない。そのためには、市民の側が法の運用をしっかり監視し、異議を唱え続けなければならない。」、毎日新聞は「政治的な活動を含めて国民の行動が警察権力によって脅かされてはならない。監視しようとする側をどう監視するか。国民の側の心構えも必要になってくる。」、東京新聞は、「『共謀罪』が与党の数の力で成立した。日本の刑事法の原則が覆る。まるで人の心の中を取り締まるようだ。『私』の領域への『公』の侵入を恐れる。」、と唱える。
つまり、市民の闘いの背景に必要なのは、市民の側に建った立場を鮮明にして権力に立ち向かうジャーナリズムの姿であるということである。
 このことをきちんと示す中で、共闘していくことこそ新聞社にとって必要なのではないか。
期待という意味で、やはり、こう書かざるを得ない。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-20 06:56 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(42)-沖縄タイムス2017年6月15日より-

 2017年6月15日7時46分、日本という国は、大きな破壊の道に踏み込んだ。
 しかし、負けるだけではいけないと、心ある人たちは闘いを表明する。
 さあ、一人ひとりがこの闘いに繋がろう。


 沖縄タイムスは、2017年6月14日、「心縛(しんばく)」の連載を開始した。
 その意味を、「国会で審議中の「共謀罪」。戦前の治安維持法同様だとして警鐘がならされる。戦前の社会は、同法で心を縛られ、自由を失い戦争へ突き進んだ。連載『心縛(しんばく)』は沖縄戦と現在を結び、私たちの社会の危機を考える。」、と綴る。
 沖縄タイムスは、2017年6月14日、「『こんな世に生まれたことが悪かった』 歌う自由、大伯父への思い 【心縛「共謀罪」と沖縄戦・1】」、と次のように報じた。


(1)5月下旬、那覇市安里のライブハウス。激しいビートに安里成文さん(39)=大阪市=が熱唱する。「ワッツーシゾンビ」のボーカル。「2000年代半ばから大阪で新しい音楽をやるバンドとして活動してきた」。本番前のもの静かな横顔。大伯父・安里成忠とどこか重なる。成忠は20歳で死亡した。1931年の沖縄教育労働者組合(OIL)事件で治安維持法違反に問われ、拷問を受けた末のことだ。奈良で生まれ育つ理由となった大伯父の存在。「僕は大伯父を尊敬しています」。まっすぐに受け止める。
(2)OIL弾圧直前。世界恐慌による砂糖価格暴落で沖縄は「ソテツ地獄」と呼ばれた大不況に苦しんだ。子どもの身売り、出稼ぎ。学校は長欠児童が続出した。青年や教師は社会運動で社会を変えようと試みた。25年の治安維持法成立以降、社会運動の弾圧が激化。OILは31年1月に結成、その1カ月後には指導者真栄田一郎、成忠ら4人が逮捕された。警官が剣道の防具を着て何度も体当たりする凄惨(せいさん)な拷問。成忠も真栄田も精神に変調を来し家に戻され死亡した。
(3)いとこがまとめた冊子『安里成忠のこと』。生前の姿を伝える。旧真和志村壺川の2間の家。座敷牢で成忠は砂利と小石を並べていた。「クングトウル(こんな)世の中に生まれあわしたことが悪かったのでしょう」。父親は多くを語らなかった。「水ぶくれした白い顔、15、16歳の子ども」のような成忠。傍らに目の不自由な弟がいたと記録する。成文さんの祖父だ。奈良で珍しい安里姓を名乗る祖父は鍼灸(しんきゅう)師だった。「不自由な体で家族に手紙も残さず、沖縄を出たと聞いた」。家族の間でそれ以上話題にすることはなかった。成文さんが祖父の来し方を知ったのは中学生のころ。押し入れの箱から成忠の冊子を見つけた。母を早く亡くし、弟の面倒を見る優しい兄。体が弱かったが情熱家で勉強熱心だった成忠の姿がつづられていた。
(4)事件当時、祖父は18歳。私立沖縄盲学校を卒業後、那覇市の旅館で鍼灸の仕事をしていた。「共産党員の弟だ」。指弾が相次いだ。「世間の眼はものすごく冷たかった」。祖父は1人沖縄を後にした。記憶の中の祖父は自由な人。「ええのん、聞いとるな」。孫の聴く音楽にも興味を示した。沖縄民謡を愛し、バイオリンを弾き、ビートルズを口ずさんだ。なにげない日常を大切にした。成文さんも心のままに歌い、自身の音楽を追求する。「大伯父は命懸けで信念をつらぬいた」。成忠が闘った自由を思う。
(編集委員・謝花直美)





by asyagi-df-2014 | 2017-06-18 06:39 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」法に立ち向かうために。(1)


2017年6月16日、7時46分。
共謀罪法案の開票結果発表。
賛成165票、反対70票。
伊達忠一議長が「本法案は可決されました」と宣言。


 「共謀罪」法は、強行採決された。
 2017年6月16日7時46分は、日本の歴史の中で、非常に大きな「汚点」として残された。
 人の命さへないがしろにすることを厭わないとの、強い宣言。
 私たちの生活の中に、この「共謀罪」法は、時には恫喝の姿で、時には知らんふりを装った隣人のふりをして、侵入してくる。
では、どうすれば。
 まずは、この声を受けとめよう。


(1)東海林 智FB-2017年6月15日


 「あきれ果てててモノも言えない」という方は多いだろうが、あきれ果てても、言葉だけは手放さないでおこう。〝独裁政権〟は、モノを言い続ける、私たちだけが倒しえるから


(2)徐 元喆FB-2017年6月15日


 共謀罪強行採決。国会で民主主義がムリヤリ処刑された朝。外に出た。鴉(カラス)が待っていた。
「戦後日本は死んだね。お前たちが死んでも、オレは死なないよ」といった。
「お前たちもまた、オレの不自由な姿から出発するがいい」。
「オレはだてに黒いんじゃない。ゴミのように捨てられた、多くの死者たちの記憶を食いつないできたら、いつの間にか、お前たちが直視したがらない色になったんだ」とうそぶいた。
「さて、そろそろ行かなくっちゃ。民主主義が殺された現場の国会へね。それと官邸にもね。ゴミのように殺された民主主義の死体をつついて食っておかなくっちゃ」。カアーカアー。
「悪魔くんのアベくんたちも官僚や財界メディアと腹を黒くして待っているだろうからね」。カアカア。


(3)明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)HP-2017年6月15日


共謀罪(テロ等準備罪)が作られた今、怒りと不安で震えるすべての方へ。


 共謀罪(テロ等準備罪)が作られた今、「これからどうすればいいの」
と震えるすべての方へ。

 どうか、けっして、萎縮しないで下さい。
 その震え、その不安こそが権力の狙いなのですから。
 私たちには自由にものを考え、表現する自由があります。
 心の中を誰にも覗かれない自由があります。
 憲法に違反する共謀罪のせいで、皆さんが自発的に自由を手放したら、永遠にこの国の民主主義は帰ってきません。
 一人ひとりが考え、表現し続けることは、「共謀罪」を運用させずに死文化させる大きな圧力になります。

 それから、万が一、おかしな政治に声を上げる市民が共謀罪で捜索されたり逮捕されたりしても、けっして「犯罪者」扱いしないでください。
テロ等準備罪というまがまがしい名称で、「もの言う市民」を反社会的な存在かのようにレッテル貼りする手口に乗せられたら、排除を恐れてみんな考えることを止めてしまいます。
 自由に政治を批判してなにが悪い、という風を吹かせ続けましょう。


 国民の心を侵すことになんのためらいもなく、同法案に賛成した政府・与党、すべての国会議員を、私たちは忘れません。
 全身の血が沸くほどの怒りをもって、あなたたちを許しません。

 いくらでも濫用できる条文で「物言う市民」を恫喝する現政権に、民主主義国家の舵を取る資格はありません。


 落胆、やりきれない思い、徒労感。すべての重い気持ちで押しつぶされ そうになっているすべての人へ。
 それでも希望はあるのです。あなたがその怒りを前向きなエネルギーに変えてくれる限り!
 私たちはいまある自由と、自由でいられる社会を手放したくありません。
子どもたちの尊厳と自由も、穏やかな民主主義の社会も、手放すつもりはありません。
 自由を行使し続けることでしか、自由は守り抜けない――憲法が問いかける「不断の努力」の覚悟を、「彼ら」に見せつけましょう。

 私たちあすわか570名は法律家として、主権者として、「不断の努力」で共謀罪を廃止させることを誓います。


(4)保坂 展人Twitter-2017年6月15日


 共謀罪が成立したら、市民活動は続けられますか? という質問を、この1カ月何人からから受けた。当然、続けられますと答えました。「一般の人には関係ありません」と言い張ってきた政府答弁の通りに、濫用を許さない監視が必要だ。 一日も早く、今日の政権を退場させ法改正でブロックするしかない。


(5)梁取 洋夫FB-2017年6月15日


【落胆している暇は無い‼】
「歴史は一直線に進むとは限らない」「時にはジグザグを繰り返し、しかし必ず、ら旋状に次の高みに向かう」のだから――。


(6)橋本 太地FB-2017年6月15日


2017年6月15日、自由は死んだ。
再び自由を生み出すのは、私たちの「不断の努力」だ。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-15 14:08 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(41)-北海道新聞2017年6月10日より-

 北海道新聞は、2017年6月10日、「『共謀罪』を考える」として「『共謀罪』節税の相談が『脱税の計画』に?」を掲載した。
 組織犯罪処罰法改正案の対象犯罪に脱税行為が含まれることに関して、きちっと説明してくれています。
 まずは、要約します。
北海道新聞は、こう切り出します。


 「犯罪を計画段階で処罰する『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の対象犯罪には、脱税行為も含まれる。脱税か、適正に税負担を軽くする節税かの境目は曖昧。しかも、判断は現在、収入の申告以降に行われるが、『共謀罪』が導入されると、申告の前段階でも処罰が可能となる。税理士団体などは『節税の相談が脱税の計画ととられかねず、自由な経済活動が阻害される』と懸念を強めている。」


 このことに関して、「事例」を含めて次のように説明します。


(1)個人事業主のAさんが友人の会社社長に、今後の取引を期待して高額な接待をし、税理士と相談して費用を経費に計上した事例について。
①法人や個人事業主などが収入を得る上で必要な経費は、法人税や所得税の控除対象。ただ、「課税逃れのために経費扱いした」と国税当局に脱税認定されると、金額の多さや悪質さによっては追加で重い税金を課されたり、刑事罰を受けたりすることもある。
②北海道や東京などの税理士でつくる税制研究団体「東京税財政研究センター」理事長の永沢晃税理士(72)=東京=によると、冒頭の事例では接待の後、取引が生じた場合などは一般的に経費と認められる。だが、状況によっては「友人同士のただの飲み食い」と退けられることもある。
(2)改正案は、所得税法や法人税法などの「偽りその他不正な行為」で納税を免れる脱税行為について、「計画」や「準備行為」を処罰対象としている。だが、準備行為が具体的に何を指すのかは不明。永沢税理士は「会社社長と税理士が結託して脱税を計画したと国税当局が判断すれば、処罰される可能性もある」とみる。
(2)「ただでさえ脱税の判断は難しいのに、収入の申告の前段階で処罰されかねないとなれば、税理士活動は萎縮する。影響は、副収入があって申告が必要な会社員などにも及ぶ可能性がある」と訴える。
(3)「現状の脱税捜査に当てはめると不備ばかりの法律」と話すのは、「全国税制懇話会」(東京)理事長で国税OBの小田川豊作税理士(68)だ。そもそも脱税は未遂罪の規定がほとんどないため、捜査側は脱税の意図を示す不正な帳簿など物的証拠を、収入の申告を受けてから探す。しかし、「共謀罪」の適用には収入の申告を受ける前に「脱税するつもり」の物的証拠を見つける必要がある。そのため「厳密な立証は難しいのでは。だが、捜査はしようと思えばいくらでもできる。こんな曖昧な法律は作る意味があるのか」と指摘する。
(4)全国の税理士ら約千人でつくる税制の研究団体「税経新人会」(東京)が3日、札幌市内で開いた会合の参加者からは法案への批判が相次いだ。同会は近く改正案反対の声明を出すことを決めた。
(5)東海大の藤中敏弘准教授(56)=税法=は「税法はもともと捜査側に恣意(しい)的に使われやすい法律。一般人が対象にされかねず、専門家が危険をしっかり指摘していくべきだ」と話す。


 北海道新聞が指摘した次の指摘は、非常に重い。


Ⅰ.「税法はもともと捜査側に恣意(しい)的に使われやすい法律。一般人が対象にされかねず、専門家が危険をしっかり指摘していくべきだ」。
Ⅱ.「『共謀罪』の適用には収入の申告を受ける前に『脱税するつもり』の物的証拠を見つける必要がある。そのため『厳密な立証は難しいのでは。だが、捜査はしようと思えばいくらでもできる。こんな曖昧な法律は作る意味があるのか』」。


 確かに、「共謀罪」法案は、廃案にするしかない。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-15 06:25 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(40)-小口幸人FB2017年6月11日より-

 小口幸人弁護士は、2017年6月11日のFBで「組織的威力妨害罪」について次のように説明しています。こちらで番号をつけています。
 


(1)共謀罪の対象の277罪の一つ、組織的威力業務妨害罪をご存知ですか?
(2)277の中でも、最も市民運動つぶしに使われる可能性の高いとされている罪名です。「威力業務妨害罪」の方が、実際に市民運動に適用されているからです。
(3)さて、この組織的威力業務妨害罪という罪、実際にどれほど発生しているのでしょうか?今週、国会で明らかにされました。
過去5年間で0件です。0件。1件も起きていないんです。
(3)共謀罪は、今でも実際に行われたら(既遂)犯罪になる行為を、あえて計画段階で処罰することで、未然に防止できるようにする法案です。よって、実際に一定数起きているとか、あるいは起きてしまったら人の死など重大な結果が生じるなど、特に未然防止の必要性が高い罪を対象にすれば十分です。過去5年間に1件も起きてもいない、しかも威力業務妨害なんていう怪我人すらでない段階の犯罪を対象にする必要は全くありません。
(4)共謀罪が成立した場合、計画段階で犯罪ですから、警察は計画段階で検挙するために頑張ります。過去5年間に1件も起きていない行為を未然に防止するために捜査(監視)を行う。これがどれほど不毛で、税金の無駄遣いかは一目瞭然だと思われます。そんなのに費やすなら防災対策や災害対策に回すべき。
(5)その先にあるのは幅広い監視であり、その果てにあるのは「計画がある」として検挙したことによる共謀罪のえん罪です。共謀罪なんていらない。


 小口さんは、このようにまとめてくれています。


 過去5年間に1件も起きていない行為を未然に防止するために捜査(監視)を行う。これがどれほど不毛で、税金の無駄遣いかは一目瞭然だと思われます。そんなのに費やすなら防災対策や災害対策に回すべき。
 その先にあるのは幅広い監視であり、その果てにあるのは「計画がある」として検挙したことによる共謀罪のえん罪です。


 確かに、共謀罪なんていらない。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-15 06:15 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(39)-世界平和アピール七人委員会アピールより-

 世界平和アピール七人委員会は、2017年4月24日、「テロ等準備罪に反対する」を発表しました。
このアピールを要約しました。

Ⅰ.反対理由


(1)日本国憲法19条が保障している国民の精神的自由権を大きく損なう。
(2)犯罪の実行行為ではなく、犯罪を合意したこと自体を処罰する共謀罪は、既遂処罰を大原則とする日本の法体系を根本から変えるものである。
(3)2003年に国会に初めて上程されて以降、たびたびの修正と継続審議を経て3度廃案となった。それがこのたび、「テロ等準備罪」と名称を変えて4度目の上程となったものである。
(4)安倍首相は、共謀罪を新設させなければ、テロ対策で各国が連携する国際組織犯罪防止条約を批准できず、2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催できないと発言してきたが、これは大きな事実誤認、もしくは嘘である。
(5)国民を欺いてまで政府が成立を急ぐテロ等準備罪の真の狙いについて、私たちは大きな危機感を抱かざるをえない。


Ⅱ.政府の謀罪の新設が必要というの説明の事実誤認、もしくは嘘ということ


(1)国際組織犯罪防止条約は、第34条で各国に国内法の基本原則に則った措置をとることを求めており、共謀罪の新設が強制されているわけではない。また過去には、日本は必要な立法措置をとらずに人種差別撤廃条約を批准していることを見ても、共謀罪を新設させなければ批准出来ないというのは、事実ではない。
(2)国際組織犯罪防止条約の批准に新たな立法措置は不要となれば、同条約の批准をテロ等準備罪新設の根拠とすることは出来ない。
(3)同条約も、テロ等準備罪も、どちらも本来はテロ対策を目的としたものではない。現に、テロ等準備罪がなければ対処できないようなテロの差し迫った危険性の存在を、政府は証明していない。同様に、すでに未遂罪や予備罪もある現行法で対処できない事例についての明示もない。
(4)今回、世論の反発を受けて条文に「テロ」の文言が急遽追加されたが、277の対象犯罪の6割がテロとは関係なく、法案の提出理由にも「テロ」の文言はない。
(5)テロ対策と言いつつ対象犯罪をテロに限定しないのは、「4年以上の懲役・禁固の刑を定める重大犯罪」に幅広く網をかけるためであろう。
(6)組織的犯罪集団ではない一般の市民団体であっても、犯罪団体へと性格が一変したときには捜査対象になるとされる以上、いつ性格が一変したかを判断するために、市民団体なども捜査当局の日常的な監視を受けるということである。
(7)同罪の成立には何らかの準備行為が必要とされているが、何をもって準備行為とするかの詳細な規定はなく、さらに政府答弁では、その行為は犯罪の実行に直結する危険性の有無とも関係ないとされる。とすれば、捜査当局の判断一つで何でも準備行為になるということであり、構成要件としての意味をなさない。


 この上で、世界平和アピール七人委員会は次のように結論づける。


Ⅰ.政府答弁では、捜査当局が犯罪の嫌疑ありと判断すれば、準備行為が行われる前であっても任意捜査はできる、とされている。これらが意味するのは、すべての国民に対する捜査当局の広範かつ日常的な監視の合法化であり、客観的な証拠に基づかない捜査の着手の合法化である。
Ⅱ.犯罪の行為ではなく、犯罪の合意や計画そのものが処罰対象である以上、合意があったと捜査当局が判断すれば、私たちはそのまま任意同行を求められるのである。テロリストも犯罪集団も一般市民の顔をしている以上、犯罪の共謀を発見するためには、そもそも私たち一般市民のすべてを監視対象としなければ意味がない。そのために、盗聴やGPS捜査の適用範囲が際限なく拡大されるのも必至である。
Ⅲ.政府の真の目的がテロ対策ではなく、国民生活のすみずみまで国家権力による監視網を広げることにあるのは明らかである。


 世界平和アピール七人委員会は、最後に、「一般市民を例外なく監視し、憲法が保障している国民の内心の自由を決定的に侵害するテロ等準備罪の新設に、私たちは断固反対する。」、とその意志を明確にした。


 確かに、安倍晋三政権の「共謀罪」法案は、「テロリストも犯罪集団も一般市民の顔をしている以上、犯罪の共謀を発見するためには、そもそも私たち一般市民のすべてを監視対象としなければ意味がない。そのために、盗聴やGPS捜査の適用範囲が際限なく拡大されるのも必至」であり、この政権の目的が「テロ対策ではなく、国民生活のすみずみまで国家権力による監視網を広げることにある」ことは明白である。
 やはり、「共謀罪」法案は、廃案にするしかない。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-15 05:54 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(38)-NGO・市民団体の共同声明より-

 2017年5月29日、環境・開発・人権・平和などの分野で活動してきた 23のNGO・市民団体は、「共謀罪」法案(「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法の改正案)に対して、「市民社会を抑圧するものとして強く反対反対します」との声明を出しました。
 この声明は、次のように主張します。


Ⅰ.主張
(1)「共謀罪」法案(「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法の改正案)は、市民社会を抑圧するものとして強く反対します。
(2)私たちは、この危険な法案が十分な審議も尽くされず、衆議院で強引に採決に持ち込まれたことに強い危機感を抱いています。市民社会を抑圧し、民主主義を窒息させる「共謀罪法案」の廃案を強く求めます。


Ⅱ.問題点


(1)今国会で議論されている「共謀罪」法案は、277の罪が対象となっています。対象法案には著作権の侵害や、開発事業に反対する座り込みや労働組合の活動などが対象になることが懸念される威力業務妨害罪他、森林法の保安林の区域内における森林窃盗、種苗法の育成者権等の侵害なども含まれています。これらがテロの防止に関係があるでしょうか?
(2)そもそも政府は、国連越境組織犯罪防止条約を批准するためにテロ等準備罪が必要と説明していますが、この条約の対象はテロではない上、この法がないと条約に加盟できないわけではありません。テロ防止関連条約は既に締結していますし、国内法でもすでに、殺人や強盗、爆発物使用などの着手以前の段階の行為を処罰するさまざまな法律が整備されています。
(3)法案では「組織的犯罪集団」が対象とされていますが、それを判断するのは捜査機関であり、一般市民も対象になり得ます。何が「組織的犯罪集団」か、定義されていないのです。団体の性質が変わった段階で、「組織的犯罪集団」とみなす、との答弁もなされています。捜査機関の拡大解釈を防ぐ準備はまったくなされていません。


Ⅲ.反対する根拠(下線筆者)


(1)私たちは、国内外で、「国家」の名のもとに、環境が破壊され、人権が侵害される事業に関して、警鐘をならし続けてきました。また、福島原子力発電所の事故を教訓として、国策である原子力発電所の海外輸出に反対している団体もあります。このような政策提言は、政府の政策を批判したということだけで、組織犯罪の準備とみなされ、監視される可能性も否定できません。法案が通れば、密告などによって捜査の対象となり、それら団体の社会的信用を落とすことが可能になり、政府機関に対する市民の活動は萎縮させられてしまいます。
(2)私たちだけではありません。「ふるさとの自然を守りたい」--ただそれだけの想いで開発事業に反対し、座り込みをしている住民たちもいます。「共謀罪法」で合法化された警察権力による監視は、こうした人たちの行為をも、情報の恣意的な切り取りにより、「組織犯罪の準備」にみせかけることが可能です。何よりも、罪に問われることを恐れ、政策に批判することができなくなる、そういった萎縮効果が必ずあらわれるでしょう。
(3)世界には、言論の自由が著しく制限されている国や、結社や集会の自由を制限する法を持つ国、軍事政権下にある国もあります。その状況下でも人権問題や環境問題の解決を訴える活動地域の人々は運動を続けており、時には刑法で処罰を受ける場合もあります。このように人権や環境のために立ち上がった市民を支援することが、海外の犯罪者との共謀とみなされ、処罰の対象とされる可能性もあるのです。
(4)また、この法案が成立することで、準備行為を把握するために捜査機関がメールや電話を監視していくようになることも懸念さまれす。米国では、国家安全保障局(NSA)が一般の国民のメール、インターネット上の情報交換を監視していることが暴かれました。英国の政府通信本部(GCHQ)は、人権NGOや調査報道を行うジャーナリストを国防上の脅威とみなし、メール等を監視していたことも報道されています。私たちのような市民団体だけでなく私たちと情報や意見を交換する市民・研究者・企業関係者・政府関係者まで監視対象となる可能性もあります。民主的な国家に不可欠な、言論や内心の自由が侵害される恐れがあります。
(5)国際的にも懸念が表明されています。国連プライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が、 5月18日、共謀罪法案はプライバシーや表現の自由を制約する恐れがあると懸念を示す書簡を安倍首相に送付し、国際人権法の規範および基準と法案との整合性に関しての情報や、法案の審議に関して公的な意見参加の機会について、市民社会の代表者が法案を検討し意見を述べる機会があるかどうか等、日本政府に情報提供を求めました。しかし、22日、菅官房長官は、これらの疑問に具体的にこたえることもなく、特別報告者があたかも個人の意見を表明したかのように記者会見で述べ、さらには見当違いの批判だと抗議した、とも発言しています。政府は国連の条約に加盟するための法整備を主張しているのに、国連が人権遵守のために任命した特別報告者の担う機能を無視するかのような矛盾した対応です。


 確かに、「共謀罪」法案には、次の危険性が指摘できます。


(1)「共謀罪」法によって、密告などによって捜査の対象となり、それら団体の社会的信用を落とすことが可能になり、政府機関に対する市民の活動は萎縮させられてしまうこと。また、人権や環境のために立ち上がった市民を支援することが、海外の犯罪者との共謀とみなされ、処罰の対象とされる可能性も生じること。
(2)「共謀罪」法で合法化された警察権力による監視は、情報の恣意的な切り取りにより、「組織犯罪の準備」にみせかけることが可能であること。具体的には、準備行為を把握するために捜査機関がメールや電話を監視していくようになることが懸念されること。
(3)このようななかで、罪に問われることを恐れ、政策を批判することができなくなる、といった萎縮効果が必ず生まれること。
(4)結局、「共謀罪」法は、民主的な国家に不可欠な、言論や内心の自由を侵害することより、市民社会を抑圧し、民主主義を窒息させるものであること。
(5)一方、この法案を提案し、運用していく安倍晋三政権が、「政府は国連の条約に加盟するための法整備を主張しているのに、国連が人権遵守のために任命した特別報告者の担う機能を無視するかのような矛盾した対応」しか取れない力量しかないこと。


 したがって、やはり、廃案しかありません。


 なお、声明への参加団体は、順不同で次のものです。


・国際環境NGO FoE Japan ・メコン・ウォッチ ・ピースボート ・アジア太平洋資料センター(PARC) ・国際青年環境NGO A SEED JAPAN ・辺野古リレー ・特定非営利活動法人 ふくしま地球市民発伝所 ・ジュゴン保護キャンペーンセンター ・原子力規制を監視する市民の会 ・ 美ら海にもやんばるにも基地はいらない市民の会
・特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC) ・ 高木仁三郎市民科学基金 ・P-nong Learning Center ・WE21ジャパンいずみ ・ラムサール・ネットワーク日本 ・TPPに反対する人々の運動 ・エナガの会 戦争しないさせない市民の会・柏
・地雷廃絶日本キャンペーン ・アーユス仏教国際協力ネットワーク ・WE21ジャパン
・アフリカ日本協議会 ・WE21ジャパン・たかつ ・APLA





by asyagi-df-2014 | 2017-06-13 07:45 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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