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「共謀罪」を考える。(54)-朝日新聞2017年7月12日より-

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が、2017年6月21日公布、2017年7月11日施行された。
 朝日新聞は2017年7月12日、治安維持法の研究で知られる荻野富士夫氏のインタビュー記事「荻野富士夫氏『治安維持法と危険性共通』『共謀罪』法」を掲載した。
 朝日新聞は、「治安維持法や特高警察の研究で知られる小樽商科大特任教授の荻野富士夫さん(64)は、「成立後に法改正や拡大解釈を重ねて「悪法」に成長していった治安維持法と「共謀罪」の類似点を指摘し、警鐘を鳴らす。」、と始める。
 以下、インタビュー記事の要約。


(1)「治安維持法が猛威を振るった戦前戦中と今は断絶している」。それは楽観に過ぎます。
(2)都議選の最終日、安倍晋三首相は秋葉原の街頭演説で、自身をヤジる群衆を指さして「こんな人たち」と激高しました。法を運用する立場の人がこんな発想なのです。捜査当局の「市民運動や政府に抗議するやからは一般人でない」という発想につながるのではないでしょうか。
(3)「共謀罪」と戦前戦中の治安維持法を並べると「当時と今は違う」と反論されます。果たしてそうか。漠然とした法文が、拡張解釈の源泉となる。そんな運用上の危険性は、両者に共通していると思います。
(4)「希代の悪法」と記憶される治安維持法ですが、成立した瞬間からその効力を発揮したわけではありません。実は、国内では成立後2年ほどは抑制的な運用でした。1925年の成立時は、「国体」(天皇を中心とした国のあり方)の変革や私有財産制の否認が目的の結社を禁じました。若槻礼次郎内相は「国体変革の目的がはっきりした共産党員を処罰する」と、対象が限定されていることを強調していました。転機は3年後。28年の「3・15事件」で共産党員が一斉検挙され「大陰謀事件」と扇情的に報道されると、それを足がかりとして法改正が行われ、「目的遂行罪」が加わりました。結社に参加せずとも、ある行為が「結果的に国体変革に資する」と捜査当局に判断されれば取り締まり対象になります。当初若槻内相が言っていた「主体の限定」は、早くもかなぐり捨てられた。
(5)当局は目的遂行罪を使って拡張解釈を繰り返し、無理な取り締まりをする。それを裁判所が追認し、判例で根拠づけるというループ。こうして、治安維持法の拡大解釈は30年代後半に野放図に広がりました。そして41年の改正を迎えます。国体変革結社を「支援する結社」、それを「準備する結社」など、当初の限定の外側に何重も処罰の層が広がり、誰でも弾圧できるようになった。7条しかなかった条文は、65条ほどにふくれあがりました。
(6)治安維持法の成立時は市民や新聞も反対していたんです。ところが、改正の際には反対運動は広がらず、41年に治安維持法は「完成」してしまう。
(7)同じことは「共謀罪」でも言えないでしょうか。政府は最初は慎重に運用するかもしれない。人々から反対運動の記憶が薄れたころに何らかの「事件」が起きて、当局発表に輪をかけるようなセンセーショナルな報道がメディアによってなされる。人々は衝撃を受け、その衝撃を利用してより広範な取り締まりが可能な法改正がされる可能性は十分にある。
(8)これからが大事。市民は萎縮してはいけないし、市民運動は「決してテロ行為ではない」と自信を持って淡々と展開すべきです。メディアも当局発表を面白おかしく脚色するのではなく、そうした誘惑に耐えて検証していく姿勢を忘れてはいけません。


 まず確認することは、「共謀罪」法の漠然とした法文が、拡張解釈の源泉となることにより、「共謀罪」法が運用上の危険性を治安維持法と同様に孕んでいるということ。
 このことを理解するために、治安維持法の次の歴史を学ぶこと。
①当局は目的遂行罪を使って拡張解釈を繰り返し、無理な取り締まりをする。それを裁判所が追認し、判例で根拠づけるというループ。こうして、治安維持法の拡大解釈は30年代後半に野放図に広がりました。
②当初の限定の外側に何重も処罰の層が広がり、誰でも弾圧できるようになった。7条しかなかった条文は、65条ほどにふくれあがりました。
③治安維持法の成立時は市民や新聞も反対していたんです。ところが、改正の際には反対運動は広がらず、41年に治安維持法は「完成」してしまう。
 また、この「共謀罪」法を政府は、最初は慎重に運用するかもしれない。
 しかし、「人々から反対運動の記憶が薄れたころに何らかの『「事件』が起きて、当局発表に輪をかけるようなセンセーショナルな報道がメディアによってなされる。人々は衝撃を受け、その衝撃を利用してより広範な取り締まりが可能な法改正がされる可能性は十分にある。」、ということがリアリティを持つ。


 確かに、「これからが大事。市民は萎縮してはいけないし、市民運動は『決してテロ行為ではない』自信を持って淡々と展開すべきです。メディアも当局発表を面白おかしく脚色するのではなく、そうした誘惑に耐えて検証していく姿勢を忘れてはいけません。」、との指摘が重要である。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-20 06:11 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(53)-朝日新聞2017年7月10日より-

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が、2017年6月21日公布(2017年7月11日施行)された。
 朝日新聞は2017年7月10日は、施行を前日に控えて、「『共謀罪』恣意的な運用に懸念 元裁判官・水野智幸氏」、と以下のように報じた。


(1)「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が11日、施行される。政府は「テロ対策に必要」と繰り返し説明してきたが、捜査当局による監視強化や、「表現の自由」の侵害への懸念も広がっている。
(2)元裁判官の水野智幸法政大法科大学院教授は、当面は裁判官が令状を厳しくチェックし、将来的には実務家の英知を集めて厳格に運用させる仕組みづくりが必要だと指摘する。

特集:「共謀罪」
(3)何が処罰されるのかが不明確。罪刑法定主義の観点からも問題で、疑問はいっさい解消されていません。政府は、適用対象は「組織的犯罪集団」であり限定をかけたと言いますが、一般人が含まれるかどうかをめぐり、国会での説明は二転三転しました。犯罪の構成要件である「準備行為」も、「花見か下見かをどう区別するのか」と議論になりましたが、日常の行為との区別は難しい。ひとえに捜査当局が怪しいと見なすかどうか、そのさじ加減にかかっていて、恣意(しい)的な運用が懸念されます。また、犯罪の実行行為という「異変」がおきて捜査が始まるという原則が、根本から変わります。「日常」の中でおきている計画を罪に問うことになるため、事前の任意捜査の範囲が際限なく広がります。
(4)今でさえ、警察が、犯罪の疑いのある人物の自動車にGPS端末を勝手に装着して行動を監視したり、風力発電施設の建設に反対する住民の情報を収集したりしたことが明るみに出ました。熱心な捜査官であるほど日頃から対象に目星をつけていくのではないでしょうか。証拠を集めるために、盗撮や盗聴、メールの傍受、尾行など日常的な監視は不可避なのです。
(5)警察は「共謀罪」という大きな、危うい武器を手にしたわけです。警察内部でチェックが働く仕組み作りがより重要になってきます。監視の方法や捜査対象の選定が恣意的にならないような、内部基準を作っていただきたいと考えています。
(6)裁判官も重大な責任を背負うことになりました。警察から令状請求があった段階で、厳しい目で審査することが求められます。少しでも疑問があれば、警察に問いただす勇気と矜持(きょうじ)が求められています。準抗告(不服申し立て)での裁判官の役割も重要です。逮捕された容疑者の勾留について、弁護側が申し立てる準抗告を形式的に退けるのではなく、容疑者の抱える事情に丁寧に耳を傾けるのです。威力業務妨害罪などに問われた沖縄県の基地反対派リーダーについて、裁判所は準抗告を繰り返し却下し、約5カ月の長期勾留を認めることになりました。こうした姿勢は改めるべきです。
(7)犯罪の対象などを厳格化し、乱用を防ぐ基準をいかに構築するか。これからの実務家や研究者の英知が問われています。



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                        (東京新聞2017年7月10日より)


 確かに、この「共謀罪」法は廃止されなければなりません。
 ただ、あわせて、同時に取り組むこともあるようです。


Ⅰ.警察は「共謀罪」という大きな、危うい武器を手にした。そのため、警察内部でチェックが働く仕組み作りがより重要になる。監視の方法や捜査対象の選定が恣意的にならないような、内部基準を作らせる。
Ⅱ.裁判官には、警察から令状請求があった段階で、厳しい目で審査することが求められる。裁判官に、少しでも疑問があれば、警察に問いただす勇気と矜持(きょうじ)をもって事に当たるようにさせる。
Ⅲ.裁判官に、逮捕された容疑者の勾留について、弁護側が申し立てる準抗告を形式的に退けるのではなく、容疑者の抱える事情に丁寧に耳を傾けさせるようにさせる。


 これが、できたらどんなにいいのだろう。
 これがむずかしいから、「共謀罪」法が危険なのだな。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-19 06:11 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(51)-AERA2017年7月10日号より-

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が、2017年6月21日公布(2017年7月11日施行)された。
 AERA2017年7月10日号は、「『使えない』法律との意見もあるが・・・ 警察に『共謀罪』を与えていいのか」を掲載した。
 AERAは、「7月11日に施行される『共謀罪』法。一般市民を巻き込むか否かは、運用する警察にゆだねられている。『共謀罪は使えない法律』との指摘もあるが、だからといって安心していいのだろうか。」、と指摘する。
 この指摘をAERAの引用から考える。
まず最初に、AERAでは、「『共謀罪』法の運用」について、早稲田大学大学院法務研究科の古谷修一教授の「これをどう運用するかはわかりませんが、利用できるようにしておきたい、と考えるのではないでしょうか」という次の疑問を紹介する。


(1)「今回成立した共謀罪の形には、賛成できません」。そう語るのは、早稲田大学大学院法務研究科の古谷修一教授。早くから、日本国内での共謀罪導入を唱えてきた人物でもある。
(2)それでも今回成立した「共謀罪」法に賛成できない理由は、共謀罪が適用される犯罪の数が277とあまりに多いことだ。条約5条には、犯罪の種類について「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的の(犯罪)」と規定している。
(3)なぜ277もの犯罪が決められたのか。古谷教授は共謀罪を運用する側の心の内をこう推察する。「これをどう運用するかはわかりませんが、利用できるようにしておきたい、と考えるのではないでしょうか」


 次に、「法律の解釈の問題」についての賛否や法の実態論についての考え方を載せる。


(1)賛成-「共謀罪を実際に運用する警察と司法システムへの信頼感」


 法律の解釈には確かに幅がある。賛成派の意見の底流にあるのは、共謀罪を実際に運用する警察と司法システムへの信頼感だ。賛成派の椎橋隆幸・中央大学名誉教授はこう語る。
「日本の警察は基本的に適正な法執行をしているし、比較法的に見ても権限の行使は抑制的だ。警察が判断を誤っても検察が公判維持が難しいと考えればそこで止まるし、裁判所の判断もある」
 また木村弁護士は、こうも語る。
「現行法でもデモ等に関する威力業務妨害の実行行為をもとに、共謀共同正犯理論で、単なる『共謀者』の立件が可能である。しかし、警察は法の限界に挑むような執行はしていない」


(2)反対-「警察が『これは共謀罪だ』『彼らは犯罪組織だ』と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりうる。」


 警察は立件できる手段がない。だから共謀罪は安心──。だが、未来にわたってそんな安心が担保されるのか。
 法律には、拡大解釈を罰則をもって明確に禁じる文章が記載されているわけではない。また前出の梓澤弁護士は、「警察は刑事訴訟法上、『犯罪があると思料するときは』捜査ができると規定されている」とも指摘する。いくら検察や裁判所が歯止めになるといっても、警察が「これは共謀罪だ」「彼らは犯罪組織だ」と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりうる。そして警察はすでに現状の法体系でも、個人の人権を脅かす捜査や情報収集を繰り返してきた。



(3)「共謀罪」法の実態は、「こんな法律があっても使えない、という結論になっています」。


 警察取材が長いジャーナリストは、共謀罪法を冷めた目で見る警察幹部が少なくないと指摘する。
「国際条約批准のために作文された法律で捜査現場が使うことを想定していない、準備行為の立件のためには捜査手段を整えなければいけないがその見通しがない、といった意見があります」
 立件に必要な捜査手段とは、通信傍受や潜入捜査のことだ。通信傍受は00年に始まったが、対象犯罪が13類型に限られている。過去の刑事司法改革論議では警察が会話傍受、たとえば直接机の下などに盗聴器を仕掛ける捜査手段の導入も提案したが、見送られたという。そのため、「こんな法律があっても使えない、という結論になっています」(ジャーナリスト)というのだ。


 では、AERAの「『使えない』法律との意見もあるが・・・ 警察に『共謀罪』を与えていいのか」との指摘をどのように受けとめるのか。
 AERAは、次の二つの見解を紹介し、自らの見解を表明している。

 

(1)警察は立件できる手段がない。だから共謀罪は安心──。だが、未来にわたってそんな安心が担保されるのか。
 法律には、拡大解釈を罰則をもって明確に禁じる文章が記載されているわけではない。また前出の梓澤弁護士は、「警察は刑事訴訟法上、『犯罪があると思料するときは』捜査ができると規定されている」とも指摘する。いくら検察や裁判所が歯止めになるといっても、警察が「これは共謀罪だ」「彼らは犯罪組織だ」と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりうる。そして警察はすでに現状の法体系でも、個人の人権を脅かす捜査や情報収集を繰り返してきた。


(2)公安警察を長く取材し『日本の公安警察』などの著書があるジャーナリストの青木理さんは、「警察官はおおむねみんなまじめだし、職務に忠実」と言う。そして、こう付け加える。
「だからこそ、彼らは暴走する可能性があることを忘れてはいけない」
 オウム事件で存在感を発揮できなかった公安警察は外事3課を創設してテロ対策に乗り出したものの、捜査ターゲットが見当たらないまま、イスラム教徒に対する大規模な情報収集を行った──そう、青木さんは読む。膨大な個人情報への遠慮のない侵入は、彼らの「まじめさ」のたまものでもある。だから共謀罪による監視対象者を一定期間後に開示するなど、警察の捜査手法を第三者にチェックさせる仕組みが不可欠と青木さんは言う。
「実際にテロが起きて世論がヒステリックになった時、警察がその後押しを得て捜査手法を広げ暴走する可能性がある。内なる暴力装置の暴走こそが国を危うくするという発想がない今の政治家は『平和ボケ』だ」


 私たちは、「共謀罪」法について「こんな法律があっても使えない、という結論になっています」ということをも冷静に受けとめ、やはり、「警察には暴走する可能性がある」、ということを基本に対応していかなければならない。
 その理由をAERAから再掲する。


Ⅰ.「警察は立件できる手段がない。だから共謀罪は安心」ということが、未来にわたって担保されるのか。
Ⅱ.法律には、拡大解釈を罰則をもって明確に禁じる文章が記載されているわけではない。
Ⅲ.警察は刑事訴訟法上、「犯罪があると思料するときは」捜査ができると規定されている。
Ⅳ.警察が「これは共謀罪だ」「彼らは犯罪組織だ」と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりう   る。
Ⅴ.警察はすでに現状の法体系でも、個人の人権を脅かす捜査や情報収集を繰り返してきた。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-17 16:34 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」法の施行を迎えて。

 犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が、2017年7月11日施行された。
 今後は、対象となる277の罪で、犯罪を計画し準備を始めた段階で処罰されることになる。 
 「共謀罪」法の施行を受けて、あらためてこの法の意味を考える。


東京新聞は、2017年7月10日、この法律の主旨を次のようにまとめている。

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 東京新聞は「共謀罪」法に関して、2017年6月15日、「数々の問題 置き去り」として、次の9点の問題点を指摘していた。


Ⅰ.計画段階の捜査で人権侵害の恐れ
Ⅱ.何が「合意」に当たるのか
Ⅲ.何が「準備行為」に当たるのか。
Ⅳ.何が「組織的罪集団」に当たるのか
Ⅴ.冤罪、誤認逮捕の恐れ
Ⅵ.なぜ犯罪対象が277なのか
Ⅶ.テロを防止できるか
Ⅷ.国際組織犯罪防止条約はテロを対象にしているのか
Ⅸ.共謀罪なしで条約締結できないのか

 また、東京新聞は、この各指摘事項について、「取材班の目」で次のように答える。


Ⅰ.「監視強化の歯止めなし」
Ⅱ.「曖昧な『計画』の具体性」
Ⅲ.「実行意志なくても捜査」
Ⅳ.「『一般人』でも処罰の対象」
Ⅴ.「冤罪防ぐ議論深まらず」
Ⅵ.「削減の努力不充分」
Ⅶ.「必要性に説得力欠く」
Ⅷ.「正式回答は後回しに」
Ⅸ.「イメージづくりに腐心」


 この東京新聞の指摘をまとめると、安倍晋三政権の説得力のない説明に残された七つの疑問と市民の側に発生した二つの恐怖感ということになる。
 「共謀罪」法の問題は、こうした東京新聞の指摘に、琉球新報の次の指摘事項(2017年7月11日社説),日弁連会長声明(2017年6月15日)を付け加えることになる。


Ⅰ.この法律は監視社会を招き、憲法が保障する「内心の自由」を侵害する。捜査機関の権限が大幅に拡大し、表現の自由、集会・結社の自由に重大な影響を及ぼす。
Ⅱ.共謀罪法によって、犯罪が行われていない段階で捜査機関が故意の有無を判断するのは、「心の中」に踏み込むことになる。このままでは広範かつ日常的に室内盗聴や潜入捜査などによって市民が監視される恐れがある。法律が拡大解釈されて冤罪(えんざい)を生む可能性は消えていない。
Ⅲ.共謀罪法は、我が国の刑事法の体系や基本原則を根本的に変更する。


 東京新聞の9つの問題点をこの枠組みに基づいて、東京新聞、朝日新聞社説(2017年7月10日・11日)、琉球新報社説、AERA2017年7月10日号から説明すると次のようになる。


(1)Ⅰに即して
  国会審議を通じてあらためて浮かびあがったのは、捜査当局が重ねてきた基本的人権を踏みにじる行いである。犯罪とまったく関係のない環境保護団体やイスラム教徒の動向を見張る。野党の機関紙を配布する人を長期にわたって徹底尾行する。選挙のとき、労働団体が入る建物の前に監視カメラを設置する――。いずれも警察が実際に手を染め、近年、人々の知るところとなった驚くべき行為だ。捜査や摘発の前倒しをねらう共謀罪法は、こうした警察の不当・違法な動きを助長することになりかねない。法律の必要性を説く前に、まず「過去」を検証し、謝罪する。それが当然踏むべき手順だった。ところが松本純国家公安委員長は、市民監視の実態について「今後の警察活動に支障を及ぼすおそれ」があるとして最後まで説明を拒み、「責務を果たすため必要な情報収集を行っている」と開き直る答弁をした。公安委員会は、警察の民主的運営を保障し、独善化を防ぎ、政治的中立性を確保するために設けられた組織だ。そのトップが使命を忘れ、チェック機能を放棄し、当局と一体化する。そんなことで人々の懸念をぬぐえるはずがない。(朝日新聞)
(2)Ⅱに即して
 政府は「計画には具体的、現実的合意が必要」と、かっての法案との違いを強調した。だが、6月になって、計画に内容について「詳細まで必要ない」と答弁を変えた。計画の詳細が決まっていなければ具体的、現実的と言えるのか。「どこまで犯罪を計画したら処罰されるのか」という犯罪成立の根幹すら、はっきりしないままだ。(東京新聞)
(3)Ⅲに即して
 政府はこれまで「故意がなければ処罰対象にならない」と説明してきた。だが、犯罪を実行する意志(故意)がなくても準備行為は行われる可能性が指摘された。犯罪が行われていない段階で捜査機関が故意の有無を判断するのは、「心の中」に踏み込むことにほかならない。日常の行為が準備行為とされる恐れも強い。(東京新聞)
(4)Ⅳに即して
 政府は法律の適用対象を「組織的犯罪集団」としている。犯罪集団のメンバーらが2人以上で犯罪を計画し、少なくとも1人が現場の下見などの「準備行為」をすれば全員が処罰される。犯罪実行後の処罰を原則としてきた日本の刑法体系を大きく変える。
 安倍晋三首相は当初、一般市民は対象外と説明したが、後に「犯罪集団に一変した段階で一般人であるわけがない」と答弁を変えている。そもそも誰が誰を「一般市民」と決めるのか。
 警察が風力発電計画に関する勉強会を開いた地元住民の個人情報を収集したり、選挙違反を調べるため労働組合事務所を隠し撮りしたりしたケースが国会審議で取り上げられた。政府は通常の警察活動だと言い切ったが、通常でもこのような行き過ぎた捜査が行われている。(琉球新報)
(5)Ⅴに即して
 国会では、捜査当局の拡大解釈で一般市民が処罰対象になりかねない、捜査の開始時期が早まり国民の監視が強まる、などと野党から批判があった。法務省は6月23日に全国の地検などに適正な捜査を求める通知を送付。警察庁も同日、都道府県警に通達を出し、適正さを確保する観点から、都道府県警本部の指揮で捜査するよう指示した。当面の間、捜査開始前に警察庁に報告することも求めた。(朝日新聞)

 「今回成立した共謀罪の形には、賛成できません」。そう語るのは、早稲田大学大学院法務研究科の古谷修一教授。早くから、日本国内での共謀罪導入を唱えてきた人物でもある。それでも今回成立した「共謀罪」法に賛成できない理由は、共謀罪が適用される犯罪の数が277とあまりに多いことだ。条約5条には、犯罪の種類について「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的の(犯罪)」と規定している。なぜ277もの犯罪が決められたのか。古谷教授は共謀罪を運用する側の心の内をこう推察する。「これをどう運用するかはわかりませんが、利用できるようにしておきたい、と考えるのではないでしょうか」(AERA)
(6)ⅥとⅧに即して
 政府は、国連の組織犯罪防止条約に加盟し、テロを封じ込めるには、この法律が不可欠だと主張した。だが当の国連の専門家から疑義が寄せられると、ほおかむりを決めこんだ。すでに加盟している他国がどんな法整備をしたのか、詳細はついに説明されず、計画段階から処罰できる犯罪類型を277もつくることについても、説得力のある理由は示されなかった。(朝日新聞)
(7)Ⅶに即して
 政府は、現行法で対応できず、「共謀罪」創設の必要性を示す例として、ハイジャック目的の航空券導入や毒物テロ事案を挙げていた。しかし、オウム真理教がいつ組織的犯罪集団に変わったかについて「当時はその観点から捜査していない」と繰り返すなど、具体的な議論には応じず抽象的な答弁に終始した。政府が第一の目的としたテロ対策としての実効性にも、疑問符がついたままだ。(東京新聞)
(9)Ⅸに即して
 条約締結のためには共謀罪の創設が必要との政府の主張と、別の方法があるとする野党の論議は平行線をたどった。首相は国連事務総長と会談した際、政府の取り組みを評価する言質を取るなど、国際社会から共謀罪の創設を求められているとのイメージを繰り返し強調した。(東京新聞)


 一方では、「共謀罪」法の実態は、「こんな法律があっても使えない、という結論になっています」、ということが、説かれていると、AERA(2017年7月10日号)は指摘する。実際に、次のような声があると。


 「警察取材が長いジャーナリストは、共謀罪法を冷めた目で見る警察幹部が少なくないと指摘する。
 『国際条約批准のために作文された法律で捜査現場が使うことを想定していない、準備行為の立件のためには捜査手段を整えなければいけないがその見通しがない、といった意見があります』
 立件に必要な捜査手段とは、通信傍受や潜入捜査のことだ。通信傍受は00年に始まったが、対象犯罪が13類型に限られている。過去の刑事司法改革論議では警察が会話傍受、たとえば直接机の下などに盗聴器を仕掛ける捜査手段の導入も提案したが、見送られたという。そのため、『こんな法律があっても使えない、という結論になっています』(ジャーナリスト)というのだ。」


 しかし、このことについても、次のAERAの見解が正鵠を得ている。
 

(1)警察は立件できる手段がない。だから共謀罪は安心──。だが、未来にわたってそんな安心が担保されるのか。
 法律には、拡大解釈を罰則をもって明確に禁じる文章が記載されているわけではない。また前出の梓澤弁護士は、「警察は刑事訴訟法上、『犯罪があると思料するときは』捜査ができると規定されている」とも指摘する。いくら検察や裁判所が歯止めになるといっても、警察が「これは共謀罪だ」「彼らは犯罪組織だ」と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりうる。そして警察はすでに現状の法体系でも、個人の人権を脅かす捜査や情報収集を繰り返してきた。
(2)公安警察を長く取材し『日本の公安警察』などの著書があるジャーナリストの青木理さんは、「警察官はおおむねみんなまじめだし、職務に忠実」と言う。そして、こう付け加える。
「だからこそ、彼らは暴走する可能性があることを忘れてはいけない」
 オウム事件で存在感を発揮できなかった公安警察は外事3課を創設してテロ対策に乗り出したものの、捜査ターゲットが見当たらないまま、イスラム教徒に対する大規模な情報収集を行った──そう、青木さんは読む。膨大な個人情報への遠慮のない侵入は、彼らの「まじめさ」のたまものでもある。だから共謀罪による監視対象者を一定期間後に開示するなど、警察の捜査手法を第三者にチェックさせる仕組みが不可欠と青木さんは言う。
「実際にテロが起きて世論がヒステリックになった時、警察がその後押しを得て捜査手法を広げ暴走する可能性がある。内なる暴力装置の暴走こそが国を危うくするという発想がない今の政治家は『平和ボケ』だ」


 さて、「共謀罪」法の施行を受けて、何が必要なのか。
 まずは、日本弁護士連合会が行ったように、「本法律が恣意的に運用されることがないように注視し、全国の弁護士会及び弁護士会連合会とともに、今後、成立した法律の廃止に向けた取組を行う所存である。」、との決意表明をひとり一人が発することである。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-12 06:12 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(52)-東京新聞2017年7月10日より-

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が、2017年6月21日公布(2017年7月11日施行)された。
 東京新聞は2017年7月10日は、施行を前日に控えて、「あす「共謀罪」法施行 心の中まで市民監視 277罪、計画段階で処罰」、と以下のように報じた。


(1)犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が十一日午前零時に施行される。日本の刑法は犯罪実行後の処罰を原則としてきた。しかし「共謀罪」法の施行で、二百七十七もの対象犯罪が実行着手前の計画(合意)段階から処罰可能となる。合意の察知にはこれまで以上の監視の拡大が必要で、捜査機関はその根拠を得ることになる。捜査機関の乱用の恐れも指摘される。
(2)今回、新設されたのは「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪の計画」を処罰する罪。処罰の核となるのは犯罪の計画や合意だ。「組織的犯罪集団」の活動として、二人以上で犯罪の実行を計画し、そのうちの一人でも金品の手配などの準備行為をした場合、全員が処罰される。実際に犯罪を実行していなくても、犯罪の実行に合意したことを処罰するため、捜査では、外部からは分からない心の中で何を考えていたかを調べることになる。計画や合意だけでなく準備行為が行われなければ処罰できないが、準備行為は日常的な行為との区別がつきにくい。
(3)適用対象は「組織的犯罪集団」となっているが、政府は構成員の周辺者が処罰される可能性も認めている。テロとは関係ない環境団体や人権団体でも、捜査機関が「実態を隠しているだけだ」と判断すれば、適用の余地がある。
(4)二百七十七の対象犯罪には、組織的威力業務妨害や組織的強要など、市民団体や労働組合の取り締まりに使われる可能性が排除できない罪が含まれている。実行前に自首すれば、刑が減免される。
(5)共謀罪は、犯罪の実行を計画した段階で罪に問うものだ。計画を客観的に立証するには、電話やメール、LINE(ライン)を傍受するなど、日常生活に入り込まなくては立証が難しい構造になっている。捜査側は、共謀罪を通信傍受の対象犯罪にすることや衛星利用測位システム(GPS)捜査の立法化、令状の要らない盗聴(行政傍受)や室内盗聴(会話傍受)といった新たな捜査手法が必要だ、という主張を強めるだろう。
(6)心配なのが捜査機関の成績主義だ。仕組みをつくると結果を出さなければいけなくなる。警察が選挙違反をでっちあげた鹿児島の志布志(しぶし)事件、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件など、予断や偏見、見込みで誤った捜査が行われてきた。共謀罪の立証では、自白や密告が重要な鍵となるため、見込み通りの供述や証言を得ようとする強引な捜査がこれまで以上に行われかねない。捜査機関が密告に頼ることで、市民による市民監視につながらないか懸念される。こうした捜査や監視が、市民団体や労働組合などに向けられる可能性は否定できない。
(7)沖縄・辺野古(へのこ)の新基地反対運動では、座り込む市民と沖縄県警の間で微妙なバランスが保たれていたが、二〇一五年十一月の警視庁機動隊の派遣後、警察の排除行動が激しくなったという。その後、運動のリーダーが長期勾留された。警察が国策に沿って恣意(しい)的に権力を使ったのではないか。共謀罪は、そうした捜査をも早い段階から可能にするもので、市民の萎縮につながる。物言う自由が危機にさらされる。」(西田義洋)


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             (東京新聞2017年7月10日より)


 確かに、東京新聞の「沖縄・辺野古(へのこ)の新基地反対運動では、座り込む市民と沖縄県警の間で微妙なバランスが保たれていたが、二〇一五年十一月の警視庁機動隊の派遣後、警察の排除行動が激しくなったという。その後、運動のリーダーが長期勾留された。警察が国策に沿って恣意的に権力を使ったのではないか。共謀罪は、そうした捜査をも早い段階から可能にするもので、市民の萎縮につながる。物言う自由が危機にさらされる。」、との指摘は、沖縄県警幹部による県議会での答弁の「県警機動隊が米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議する市民らを排除した後、エンジンをかけた警察車両の横に長時間市民らを留め置いていることについて、県警の重久真毅警備部長は『(警察車両の)排ガスを吸いたくなければ、違法行為をやめていただくことだ』と、県警による市民“制裁”を容認する見解を7日までに示した。」(琉球新報2017年7発8日)、に端的に現れている。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-11 06:10 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(50)-沖縄タイムス2017年7月2日より-

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が、2017年6月21日公布された。
 沖縄タイムスは、2017年7月2日、「木村草太の憲法の新手(59)『共謀罪法』施行を前に これからなすべき4つのこと」を掲載した。この「これからなすべきことを4点」を考える。
指摘は、次のものである。


(1)第一は、未遂処罰との関係整理だ。共謀罪法では、傷害罪など、刑法において未遂処罰規定のない犯罪についてまで、その共謀を罰する。刑法が「既遂にならなければ処罰の必要がない」と評価した犯罪について、未遂のさらに前段階にすぎない共謀を処罰するのは、あまりにも不合理だ。政府・与党は、せめて未遂処罰規定のない犯罪を対象から除く修正だけでも検討すべきだ。
(2)第二は、捜査手続きの適正確保だ。自白偏重の問題が指摘されて久しい。しかし、近年になっても、長い身柄拘束を背景に、不当に自白を強要したと思われる事案が発生している。例えば、神保哲夫『PC遠隔操作事件』によれば、2012年に発生したPC遠隔操作ソフトを使った連続脅迫事件で、警察は4人も誤認逮捕してしまった。うち2人は犯行を自白し、しかも、調書には犯人しか知りえない情報すら含まれていたという。従来から処罰対象となっていた殺人の予備罪を立件しようとすれば、凶器となるナイフやひもなど、客観的な物証が存在するはずである。しかし、共謀にはそうした物証はないことも多いだろう。その結果、自白に頼る部分が多くなり、長期間にわたる拘束や心理的圧迫による自白が冤罪(えんざい)を産む危険は大きい。捜査段階での弁護士の立ち会いを義務化するなど、本格的な対応が必要だ。
(3)第三は、憲法による限定だ。憲法31条は、刑事手続きの適正と共に、刑事実体法の適性をも求める規定だと理解されている。刑事実体法の適正には、「刑罰を科すに値する法益侵害がない限り、刑罰を科してはならない」との原則が含まれている。共謀罪法は、危険度が非常に低い準備行為まで処罰対象に含んでおり、「処罰範囲が過度に広範であり違憲だ」と評価される可能性もなくはない。この点、最高裁は、過度に広範な法文について、その適用を限定することで合憲性を担保する限定解釈をしてきた。例えば、国家公務員法の条文は、公務員によるほぼすべての政治活動を処罰対象とするように見える。しかし判例は、公務員の中立性を損なうおそれを「現実的」に発生させる行為のみを処罰対象とすべきだとした。共謀罪の処罰対象も、犯罪発生の危険が明白かつ現実的に差し迫っている計画のみに限定すべきだろう。
(4)最後に、死刑廃止への取り組みだ。共謀罪制定は、国境を越える犯罪についての国際協力の枠組みを定める国際組織犯罪防止条約(TOC条約)に入るために必要と政府は説明していた。この点、TOC条約16条7項は、犯罪人を引き渡すときに、相手国の刑罰の内容を考慮することを認めている。つまり、死刑廃止国が、死刑を存置する日本への犯罪人引き渡しを拒否するという事態があり得るということだ。諸外国との協力を本気で望むなら、諸外国の趨勢(すうせい)に合わせ、死刑廃止の検討が急務である。


 こうした指摘は、法的対応ということになるのかもしれないが、若干わかりにくい。
 「未遂処罰との関係整理」、「捜査手続きの適正確保」、「憲法による限定」、いずれも重要なことなのだろうが、運動として結ぶつけるのには何が必要なのだろうか。
特に、「共謀罪」法と死刑廃止の検討がどのように結びつくのだろうか。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-10 06:07 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(49)-朝日新聞2017年6月21日より-

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が、2017年6月21日公布された。 このことに対して、反対してきた日本弁護士連合会は都内で集会を開いた。
 この模様を、朝日新聞は、次のよう報じた。


(1)犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が公布された21日、同法に反対してきた日本弁護士連合会が都内で集会を開いた。安倍晋三首相への書簡で同法への懸念を示した国連特別報告者のジョセフ・カナタチ氏が、「参議院での議論を政府が認めなかったことに失望した」とするコメントを寄せた。コメントは改正法が成立した15日付で、日弁連を通じて公表するようカナタチ氏が求めたという。
(2)カナタチ氏は日本政府の国会審議の進め方について「反対論を強引に押しつぶし、世論や法的論理に逆行した。プライバシー権や表現の自由を保護する義務を怠った」と非難。さらに、「テロに対する市民の恐れを利用し、そもそもテロ対策が目的でない国際条約への加盟を口実に、成立を押し通した」と指摘した。
(3)今後も、「共謀罪」法と国際人権法が整合しているかなどについて質問した自らの書簡に対する政府の回答を求めるとともに、「プライバシー権を保護するための措置を改善すべきだと言い続ける」と訴えた。
(4)集会では立命館大の松宮孝明教授(刑法)が講演し、「『共謀罪』は法定刑のバランスが悪く、できが悪い法律。解釈や運用をめぐって警察や検察、裁判所が混乱する」と指摘。日弁連共謀罪法案対策本部副本部長の海渡雄一弁護士は「『共謀罪』の捜査で通信傍受(盗聴)が使われることがないよう、通信傍受の拡大に全力で反対していく」と述べ、法律廃止を目指していくと呼びかけた。(後藤遼太)





by asyagi-df-2014 | 2017-07-02 05:48 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(48)-「安全保障関連法に反対する学者の会」声明2017年6月18日より-

 犯罪を計画段階から処罰できる「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法の成立を受け、反対する立場の大学教授-「安全保障関連法に反対する学者の会」(約1万4千人)の呼びかけ人の62人-らが、2017年6月18日、「共謀罪法案の強行採決に対する抗議声明」を出した。
 この「声明」は、「内容的にも、手続的にも、民主主義を破壊する暴挙である。」、と結論づけている。
 この「声明」のなかで、次のように批判している。


(1)閣僚・与党および法務省は本法案を「テロ等準備罪」を創設するものと称したが、当初明らかになった案には「テロ」の語が存在しなかった。その後も「テロリズム集団その他」の語が挿入されただけで、テロ対策を内容とする条文は全く含まれない。しかも、日本はテロ対策主要国際条約をすべて批准し、国内法化を終えていることから、組織的なテロの準備行為はすでに網羅的に処罰対象である。本立法にテロ対策の意義はない。内閣が法案提出にあたって理由とした国連国際組織犯罪防止条約も、その公式「立法ガイド」の執筆者が明言するとおり、テロ対策を内容とするものではない。
(2)本改正法の処罰対象は、犯罪の計画の合意と「実行準備行為」から成る、国際的に共謀罪(conspiracy)と理解されるものにほかならない。主体の要件とされる「組織的犯罪集団」には、一般の団体の一部をなす集団の性質が犯罪的なものに変化すれば該当することとなり、人権団体や環境保護団体として組織されたものも対象たりうることを政府答弁は認めている。「実行準備行為」は実質的な危険を含まない単なる「行為」で足り、無限定である。約300に及ぶ対象犯罪は、テロにもマフィアにも関係のない多数の類型を含む一方で、警察の職権濫用(らんよう)・暴行陵虐罪や公職選挙法違反など公権力を私物化する罪や、民間の商業賄賂罪など組織的経済犯罪を意図的に除外しており、国連条約の趣旨に明らかに反している。
(3)こうした点について国会で実質的な議論を拒み、虚偽の呼称により国民をだまし討ちにしようとする政府の姿勢は、議会制民主主義への攻撃である。さらに参議院での採決は、委員会採決を経ない手続を「特に緊急を要する」場合にしか認めない国会法に違反している。
(4)これらの内容・手続の問題点を問いただす公式の書簡がプライバシー権に関する国連特別報告者から首相宛てに出されたにもかかわらず、政府は質問に回答するどころかこれに抗議した。国連人権委員会においては、表現の自由に関する特別報告者によって、日本の政治家の圧力によるメディアの情報操作も公式に報告されている。国連との関係の悪化は、北朝鮮問題の解決や国連国際組織犯罪防止条約への参加を要する日本の国益を侵害している。


 
 この上で、この上で、「声明」は、「ここに、本強行採決に強く抗議し、今後、市民の自由を侵害する怖(おそ)れのある法が悪用されないよう厳しく監視することと、立憲主義と民主主義を回復する勢力によって、この法を廃止することを広く社会に対して呼びかける。」、と結ぶ。


 確かに、この法の廃止を目指していくしかない。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-30 09:12 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(47)-全国保険医団体連合会声明2017年6月15日より-

 全国保険医団体連合会は2017年6月15日、「『共謀罪』法案の委員会採決省略による参議院強行採決に抗議する」との抗議声明を安倍総理、金田法相、マスコミ各社に送付しました。
この声明で、問題点を次のように指摘した。


(1)加計学園疑惑の追及による支持率低下と東京都議選挙への影響を恐れ、会期末を延長せず参議院法務委員会の採決を省略する「中間報告」とし、参議院本会議での採決におよんだことは、委員会審議の原則(国会法)を逸脱し、議会制民主主議を破壊する暴挙である。
(2)国会法では、委員会審議し採決することが原則としている。与党が委員長であるにも関わらず、委員会採決省略による参議院本会議の採決を強行したことは、「緊急を要する場合」に限られた「中間報告」(国会法第56条の3第1項~同3項)」の規定の乱用であり、異例中の異例である。世論調査でも賛成が反対を上回り、「説明不十分」が7割、「今国会で成立させる必要がない」が5割を越えており「緊急を要する場合」とは到底言えない。

(3)同法案は審議すればするほど疑問点が生じ、提案者からテロ対策や国際組織犯罪防止条約に加盟するためとした立法趣旨すらまともに説明できていない。
(4)そもそも「共謀罪」法案は、実行行為を処罰する刑法の大原則を覆し、犯罪の計画段階で処罰を可能とする法律であり捜査機関の判断で、犯罪者と見なし捜査活動可能となるが、対象犯罪も277と幅広くテロとは無縁な罪状が多く含まれており、広く市民が対象となり得る。
(5)「共謀罪」法の成立で、一般市民への日常的な監視、盗聴や内偵活動などの捜査機関の権限が際限なく拡大され、市民団体の不当勾留や冤罪事件の発生など、プライバシー権、表現の自由を侵害する可能性が高いため、ジョセフ・ケナタッチ国連特別報告者からも「共謀罪」法案は「プライバシー権侵害の懸念」と指摘された。日本政府は国連人権理事国に加盟する際、国連特別報告官からの指摘を真に対応すると誓約していた。にもかかわらず、ケナタッチ氏の指摘にまともに回答せず、法律修正など真摯な検討を行わず、結論ありきで抗議したことは、国連人権理事会の理事国として恥ずべき態度である。
(6)参議院審議でも、担当大臣らの答弁も曖昧で質問者にまともに答弁せず、審議時間が空費された。「一般人を捜査対象としない」との衆議院答弁を一転させ、一般人も捜査対象となること、自然保護団体や人権団体について「団体の性格が一変した場合、捜査対象となる」と答弁した。政府に物申す団体や市民を「被疑者」とし、話し合いや合意だけで捜査を行い、逮捕・勾留することで活動を萎縮させることをNGOや市民団体が強く懸念している。


 この抗議声明で、全国保険医団体連合会は、「参議院採決に断固抗議するとともに、採決を撤回し、無効とすること、審議を参議院法務委員会に差し戻すことを要求する。」、とするとともに、「私たち医師・歯科医師が取り組んでいる医療費窓口負担軽減や診療報酬増額を求める運動を萎縮せず、市民の表現の自由、内心の自由、プライバシー権を侵害する、『共謀罪』法の廃止に向けて全力を尽くす所存である。」、と決意表明を行った。


 確かに、今回の「共謀罪」法の成立で、一般市民への日常的な監視、盗聴や内偵活動などの捜査機関の権限が際限なく拡大され、市民団体の不当勾留や冤罪事件の発生など、プライバシー権、表現の自由が侵害される危険性が現実のものとなる。
 つまり、この「共謀罪」法は廃案にするしかない。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-29 06:26 | 共謀罪 | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(45)-日本民間放送労働組合連合会中央執行委員長談話2017年6月15日より-

 日本民間放送労働組合連合会は2017年6月15日、「『共謀罪』廃止までたたかい抜く」、と 中央執行委員長の談話(以下、談話とする))を発表した。
 まず最初に、談話は、「国会審議では法務大臣がまともな答弁もできず、挙句の果てに委員会採決を省略した「中間報告」で本会議に上程して徹夜の国会で強行採決するという、憲政史上恥ずべき行いの結果だった。」と断罪し、「安倍政権を揺るがす数々の疑惑の追及を恐れた政府・与党の一連の行動は、政治の私物化そのものであり、断じて許されない。」と結論づけた。
 また、次のようにあらためて、問題点を指摘した。


(1)具体的な犯罪行為がなくても、その相談をしたという疑いがあれば身柄拘束や家宅捜索も可能となるという「共謀罪」は、思想・信条の自由、言論・表現の自由、集会・結社の自由などの基本的人権を踏みにじる、違憲の疑いが強いものだ。
(2)捜査当局の恣意的な判断で、市民団体や労働組合の日常的な活動、テレビ・ラジオなどメディアの取材・報道活動まで摘発の対象とされるおそれがある。


 談話は、「共謀罪」は、国会前で夜を徹して反対の声を上げ続けた多くの市民たちと同様に、私たち放送の現場で働く者としても絶対に容認できない。」、とした。
 さらに、今後の闘いについて次のように示唆し,決意表明した。


(1)国連の特別報告者の立場から「共謀罪」法案に疑問を投げかけたジョセフ・カナタチ氏は、日弁連のシンポジウムで「法律が通ってしまったとしても、まだ始まったばかりだ。日本の人々は基本的人権の保障を享受する権利がある」と語った。
(2)私たちは、政府・与党らの横暴に強く抗議するとともに、「共謀罪」関連法を廃止に追い込むまで、国内・国外の幅広い仲間と共にたたかい抜く決意を表明する。


 確かに、私たちは、まず、政府・与党らの横暴に強く抗議しよう。
 その上で、「共謀罪」関連法を廃止に追い込むまで、粘り強く国内・国外の幅広い仲間と共にたたかい抜こう。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-28 08:02 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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