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ハンセン病回復者の本当の人権回復と社会復帰へ向けてともに歩む会・大分」の第19回総会に参加し、学習会にも参加してきました。

 「ハンセン病回復者の本当の人権回復と社会復帰へ向けてともに歩む会・大分」の第19回総会が2017年10月15日、大分市のソレイユで14時30分から開催されました。
 この総会では、徳田泰之弁護士の「ハンセン病家族訴訟の現状と課題」と題した学習会があると連絡をいただき、参加してきました。
総会前に、関西テレビの「閉じ込められた命~語り始めたハンセン病家族たち」のビデオ上映があり、ハンセン病家族たちの抱える諸問題を、あらためて重く受け止めることができました。


①徳田弁護士は、学習会の中で、ハンセン病家族被害の特徴を次のように話してくれました。


「家族は、強烈な差別、偏見に曝される。そのことが本人にとってすさまじい『トラウマ』になってしまう。その後の厳しい生活の中では徹底的に隠していくことになる。それは大きな負担を背負って行くことだ。ただ、この隠して生きていくことの重さはどんどん大きくなっていく。こうした秘密を抱えていくこと、隠し続けることの意味は、『理屈ではわかっても、実際には、親がハンセン病になったからと、親を恨んだり、親を疎ましく思う』、という結果になってしまうことが多い。」


②徳田弁護士は、この家族訴訟の意義を次のようにまとめました。


(1)国の加害責任を徹底的に明らかにする。
(2)同時代を生きた一人ひとりについて、加害者としての社会の側の責任を追求していく。
(3)家族一人ひとりが、自分の人生を振り返ることができる。それは重圧から解き放たれること。
(4)家族を取り戻すこと。


③徳田弁護士は、「家族訴訟」と「国賠訴訟」の違いを説明しました。この違いを理解していなかったことに気づかされました。この違いに関しての「いつも大風呂敷を広げる、と言われるのだが、この『家族訴訟』は勝つと思っている。・・・ただ『国賠訴訟』は負けると思っている。ただ、それでも『国賠』訴訟の意味はあるんだ。」、との話が、非常に印象に残りました。
 また、「国の対応はひどい。」「国は、ハンセン病は終わったと高をくくっている。」、との批判する徳田弁護士の熱さが伝わりました。
④最後に、徳田弁護士は、「家族訴訟」や「国賠訴訟」の解決のためには、数千人の応援団が裁判所を取り囲まなくてはならないと、叱咤激励したのでした。


 この総会で配布された「菊池事件-その真相と司法の責任」には、「この冊子に引用した和歌及び詩は、死刑囚Fさんが菊池恵楓園入所者自治会機関紙「菊池野」に投稿したものから選びました。」と記載されています。その和歌と詩を紹介します。


学浅く一字のために悩まされ
今日も辞書引き手書きをかけり
(「菊池野」誌五巻九号)一九五六年二月


 小さな望み

押し鮨のように
狭っ苦しい箱の中に
閉じ込められて
消えかけた命を
今日もまた引き摺ってゆく・・・・
ああ・・・
わずかな空地でいい
腹の底から
(馬鹿やろう)と
大きな声が出せるところがほしい
(「菊池野」誌九巻三号)一九五九年六月


by asyagi-df-2014 | 2017-10-18 06:42 | ハンセン病 | Comments(0)

菊池事件の再審拒否に対して、元患者が熊本地裁に国賠提訴を起こす。(4)

 毎日新聞は2017年8月30日、「ハンセン病患者とされた熊本県の男性が殺人罪などに問われ、無実を訴えながら裁判所外の隔離された特別法廷で死刑判決を受けて執行された『菊池事件』で、元ハンセン病患者6人が29日、無罪となるべき男性について検察が再審請求しないため精神的苦痛を受けたとして、国を相手取って1人当たり10万円の慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を熊本地裁に起こした。」、と報じた。
このことについて、熊本日日新聞は2017年8月30日、「ハンセン病患者とされた男性が1952年に殺人事件を起こしたとして、事実上非公開の特別法廷で死刑判決を受けた『菊池事件』は、62年の死刑執行から間もなく55年となる。男性が無実を訴えた事件の本質を問い続け、再審を目指して熊本地裁へ提訴した意義を、弁護団代表と学識者に聞いた。」、と「菊池事件・国家賠償が問うもの」(下)-【菊池事件・国賠訴訟が問うもの】(下)誤判の是正、検察の責務-を掲載した。
この国家賠償請求訴訟償の「男性が無実を訴えた事件の本質を問い続け、再審を目指して熊本地裁へ提訴した意義」を熊本日日新聞で考える。
 熊本日日新聞は、内田博文・九州大名誉教授(刑事法学)への質問とその回答を次のように載せる。


(1)-提訴理由の一つに、男性が死刑判決を受けた「特別法廷」の違憲性を挙げています。:
 「ハンセン病を理由に隔離施設内に設けられた事実上非公開の特別法廷で裁かれた患者らは当時、公開の場で裁判を受ける権利を保障した憲法の外側に置かれていた。特別法廷は日本国憲法下で最大の人権侵害の一つといえる」
 「最高裁は特別法廷の違法性を認めて謝罪したが、手続きが違法なら、判決にも影響を与えるというのが国際的な考え方だ。ハンセン病問題基本法は被害救済や再発防止を公務員や国に義務付けており、刑事訴訟法も検察官に対し、誤った判決を正すために再審請求する権限を与えている。検察はその職務を果たす責務がある」
(2)-最高検察庁は3月、特別法廷に関与した責任を認めて謝罪しましたが、菊池事件の再審請求はしないと回答しました。:
 「再審請求しない理由について、検察側はほとんど説明していない。菊池事件など個別の裁判について、被告らの名誉回復を図ったわけでもない。今回の国賠訴訟で、検察官に証人尋問に出てもらい、判断の理由を聞くことも考えられる」
(3)-今回の裁判では、元患者らが原告になりました。:
 「元患者らは、ハンセン病というだけで差別的な特別法廷の被告席に座る可能性があった。男性と同様に人権が侵害される不安定な立場に置かれ、共通の精神的な損害を受けたという考え方だ」
(4)-弁護団は今回の裁判を通して、国民に問題提起したいとも語っています。:
「司法判断の誤りを是正する国の義務が現行法の下で認められないということであれば、法律に問題があるということ。是正する義務は国会や国民にもある。裁判と並行して国会議員へ立法措置などを働き掛け、国民に問い掛けたい」
(5)-日本の再審制度にも問題があると指摘しています。:
 「裁判の誤りは国家として最大の誤りで、是正に終わりはないはずだ。それなのに有罪判決を受けた当事者や一部親族などに請求する権利を限定しているのは問題。彼らがいなくなれば、裁判の誤りを正すことが困難になるからだ。憲法違反でさえ請求の事由になっていない。各都道府県の弁護士会長が再審請求できるようにする制度作りも考えられる」


 前回、徳田弁護士の指摘から、この国家賠償請求訴訟の目的をまとめた。
 今回の内田教授の指摘を、これに加えると次のようになる。


Ⅰ.特別法廷がいかにひどいものだったか、違憲だったかを明らかにすること。それは、、「ハンセン病を理由に隔離施設内に設けられた事実上非公開の特別法廷で裁かれた患者らは当時、公開の場で裁判を受ける権利を保障した憲法の外側に置かれていた。特別法廷は日本国憲法下で最大の人権侵害の一つ」であることを明確にすること。
Ⅱ.特に、ハンセン病への差別偏見が社会に根付いてしまった原因の一つは、憲法の守り手である最高裁がハンセン病隔離政策の一環として特別法廷を許し続けたことにあることを明らかにすること。
Ⅲ.たとえ判決で再審請求が認められなくても、男性の無実と、ずさんな事実認定で死刑判決が出されたことを示すこと。このことは、元患者らが原告になった意味を明らかにすることでもある。それは、「元患者らは、ハンセン病というだけで差別的な特別法廷の被告席に座る可能性があった。男性と同様に人権が侵害される不安定な立場に置かれ、共通の精神的な損害を受けたと」ということ。
Ⅳ.いずれ遺族が再審請求したいと思った時に、可能になる道筋もつけておくこと。つまり、「裁判の誤りは国家として最大の誤りで、是正に終わりはないはずだ。それなのに有罪判決を受けた当事者や一部親族などに請求する権利を限定しているのは問題。彼らがいなくなれば、裁判の誤りを正すことが困難になるからだ。憲法違反でさえ請求の事由になっていない。各都道府県の弁護士会長が再審請求できるようにする制度」作りが必要であることを示すこと。
Ⅴ.菊池事件は、冤罪が生まれる恐ろしい構造も示していることから、菊池事件を放置しておくことは、日本の裁判所、法律家にとって汚点であることを認識する必要させる必要があること。特に、検察は、「最高裁は特別法廷の違法性を認めて謝罪したが、手続きが違法なら、判決にも影響を与えるというのが国際的な考え方だ。ハンセン病問題基本法は被害救済や再発防止を公務員や国に義務付けており、刑事訴訟法も検察官に対し、誤った判決を正すために再審請求する権限を与えている。検察はその職務を果たす責務がある」こと。さらに、「再審請求しない理由について、検察側はほとんど説明していない。菊池事件など個別の裁判について、被告らの名誉回復を図ったわけでもない。今回の国賠訴訟で、検察官に証人尋問に出てもらい、判断の理由」を明確にする必要があること。
Ⅵ.再審無罪をやり遂げない限り、日本の司法は本当の意味で信頼されるものにならないこと。だとするならば、やはり、「司法判断の誤りを是正する国の義務が現行法の下で認められないということであれば、法律に問題があるということ。是正する義務は国会や国民にもある。裁判と並行して国会議員へ立法措置などを働き掛け、国民に問い掛け」が必要であること。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-09 06:05 | ハンセン病 | Comments(0)

菊池事件の再審拒否に対して、元患者が熊本地裁に国賠提訴を起こす。(3)

 毎日新聞は2017年8月30日、「ハンセン病患者とされた熊本県の男性が殺人罪などに問われ、無実を訴えながら裁判所外の隔離された特別法廷で死刑判決を受けて執行された『菊池事件』で、元ハンセン病患者6人が29日、無罪となるべき男性について検察が再審請求しないため精神的苦痛を受けたとして、国を相手取って1人当たり10万円の慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を熊本地裁に起こした。」、と報じた。
このことについて、熊本日日新聞は2017年8月30日、「ハンセン病患者とされた男性が1952年に殺人事件を起こしたとして、事実上非公開の特別法廷で死刑判決を受けた『菊池事件』は、62年の死刑執行から間もなく55年となる。男性が無実を訴えた事件の本質を問い続け、再審を目指して熊本地裁へ提訴した意義を、弁護団代表と学識者に聞いた。」、と「菊池事件・国家賠償が問うもの」(上)を掲載した。
この国家賠償請求訴訟償の「男性が無実を訴えた事件の本質を問い続け、再審を目指して熊本地裁へ提訴した意義」を熊本日日新聞で考える。
 熊本日日新聞は、最初に、弁護団共同代表・徳田靖之弁護士への質問とその回答を次のように載せる。


(1)-国賠訴訟に至った理由を聞かせてください。:
「菊池事件の確定記録に隅々まで目を通して男性の無実を確信した。それを明らかにすることは事実を知った弁護士としての務めだ。さらに最高裁は限定的だが、男性が裁かれた『特別法廷』の差別的な取り扱いと、そのことによってハンセン病への差別偏見を助長したことを認め謝罪した。その被害回復の道は憲法上、再審請求しかない。国の機関として唯一権利を持つ検察が、被害回復のために再審請求をしないのは法的に許されないことを明らかにするために提訴した」
(2)-なぜ今まで提訴できなかったのでしょう。:
「男性の無実を信じる遺族が再審請求できなかったのは、周辺にハンセン病への偏見や差別が及ぶことを恐れたからだろう。一時、遺族の一人が再審請求を決意したが、残念ながら断念した。もう一つはわれわれ法律家の怠慢だ。これは厳しく反省すべきだ」
「遺族に差別偏見を乗り越えて再審請求をしてくださいという資格がわれわれ法律家にあるか問い続けた。むしろわれわれが、どういう責任を果たそうとするかが問われていると思う。その結果、今回の提訴に至った」
(3)-裁判を通じて訴えたいことは何ですか。:
「特別法廷がいかにひどいものだったか、違憲だったかを明らかにしたい。たとえ判決で再審請求が認められなくても、男性の無実と、ずさんな事実認定で死刑判決が出されたことを示したい。いずれ遺族が再審請求したいと思った時に、可能になる道筋もつけておきたい」
(4)-周囲の異論もありながら、国賠提訴を主張し続けた理由は何ですか。:
「男性の無実を信じて最初から支援し続けた菊池恵楓園の入所者から、ボロボロになった男性の手記のコピーを渡され、『無実の罪を晴らさなければ、自分は死んでも死にきれない。自分がやり残した仕事をあなたに引き継ぎたい』と託された。何としても再審の扉を開くため、手段を尽くしたいと思う」
(5)-菊池事件がはらむ問題をあらためて聞かせてください。:
「ハンセン病への差別偏見が社会に根付いてしまった原因の一つは、憲法の守り手である最高裁がハンセン病隔離政策の一環として特別法廷を許し続けたことにある。菊池事件は、冤罪が生まれる恐ろしい構造も示している。菊池事件を放置しておくことは、日本の裁判所、法律家にとって汚点。再審無罪をやり遂げない限り、日本の司法は本当の意味で信頼されるものにならない」


 徳田弁護士は、このインタビューを通して、「男性が無実を訴えた事件の本質を問い続け、再審を目指して熊本地裁へ提訴した意義」は、一つにはわれわれ法律家の怠慢があったとした上で、「男性の無実を信じて最初から支援し続けた菊池恵楓園の入所者から、ボロボロになった男性の手記のコピーを渡され、『無実の罪を晴らさなければ、自分は死んでも死にきれない。自分がやり残した仕事をあなたに引き継ぎたい』と託された。」、と説明する。
 この決意が、この国家賠償請求訴訟の意義の多くを語っている。
 この上で、徳田弁護士は、国家賠償請求訴訟の目的を次のように明らかにしている。


Ⅰ.特別法廷がいかにひどいものだったか、違憲だったかを明らかにすること。
Ⅱ.たとえ判決で再審請求が認められなくても、男性の無実と、ずさんな事実認定で死刑判決が出されたことを示すこと。
Ⅲ.いずれ遺族が再審請求したいと思った時に、可能になる道筋もつけておくこと。
Ⅳ.ハンセン病への差別偏見が社会に根付いてしまった原因の一つは、憲法の守り手である最高裁がハンセン病隔離政策の一環として特別法廷を許し続けたことにあることを明らかにすること。
Ⅴ.菊池事件は、冤罪が生まれる恐ろしい構造も示していることから、菊池事件を放置しておくことは、日本の裁判所、法律家にとって汚点であることを認識する必要させる必要があること。
Ⅵ.再審無罪をやり遂げない限り、日本の司法は本当の意味で信頼されるものにならないこと。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-05 08:28 | ハンセン病 | Comments(0)

菊池事件の再審拒否に対して、元患者が熊本地裁に国賠提訴を起こす。(2)

 毎日新聞は2017年8月30日、「ハンセン病患者とされた熊本県の男性が殺人罪などに問われ、無実を訴えながら裁判所外の隔離された特別法廷で死刑判決を受けて執行された『菊池事件』で、元ハンセン病患者6人が29日、無罪となるべき男性について検察が再審請求しないため精神的苦痛を受けたとして、国を相手取って1人当たり10万円の慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を熊本地裁に起こした。」、と報じた。
このことについて、西日本新聞は2017年8月30日、「ハンセン病差別 司法が加担した罪を問う」とその社説で論評した。
この家賠償請求訴訟の意味を西日本新聞の社説で考える。
西日本新聞は、この国家賠償請求訴訟を、「ハンセン病患者の誤った隔離政策に司法が加担し、差別を助長した歴史を踏まえ、国はこの訴えを重く受け止めるべきだ。」と位置づけ、「菊池事件が問うのは人権侵害に対する司法全体としての姿勢だ。真相を闇に葬ってはならない。」、と結論づける。
 また、西日本新聞は、国家賠償請求訴訟までの経過とこの問題の本質を次のように指摘する。


(1)訴えたのは熊本県でハンセン病患者とされた男性が殺人罪などで死刑判決を受け執行された「菊池事件」を巡り、裁判のやり直しを求めてきた支援者の元患者らだ。
(2)隔離施設内に設けられた「特別法廷」で裁かれた男性について、元患者らは差別的な扱いを受けた冤罪(えんざい)の疑いが強いとして、検察自らが刑事訴訟法に基づき「公益の代表者」として再審を請求すべきだと主張してきた。
(3)しかし、最高検は「再審の事由がない」とこれを拒み、元患者らは差別や偏見の被害回復を求める権利が侵害され、精神的苦痛を被ったと訴えている。再審の道が開かれない中で、国賠訴訟を通じて事件の真相に迫るのが狙いだ。
(4)熊本県の元役場職員を殺害するなどした罪に問われた男性は一貫して無罪を主張しながらも1962年、3度目の再審請求が棄却された翌日に死刑が執行された。最大の問題は、人権尊重や裁判の公開をうたった憲法に反した疑いが強い特別法廷である。最高裁が1948~72年に開廷を認めた事例は全国で95件に上る。
(5)最高検は今年3月、隔離法廷に関与したこと自体は認め、最高裁や日弁連に続き謝罪した。
(6)菊池事件は特別法廷で下された唯一の死刑事案とされる。元患者らの弁護団は冤罪の新証拠などを示すとともに、特別法廷の違憲性を明らかにしていく方針という。
(7)ハンセン病問題は、国の隔離政策を違憲とした2001年の熊本地裁判決(確定)後、元患者の救済策が進む一方、今も差別と偏見に苦しむ家族が国を集団提訴するなど、全面解決にはほど遠い。


 結局、この国家賠償請求訴訟は、次のことを明らかにする。


Ⅰ.この国家賠償請求訴訟の意味は、「再審の道が開かれない中で、国賠訴訟を通じて事件の真相に迫るのが狙い」ということ。
Ⅱ.この国家賠償請求訴訟が問うているのは、この特別法廷は、人権尊重や裁判の公開をうたった憲法に反した疑いが強く、日本国憲法に違反するものであったことということ。
Ⅲ. さらに、ハンセン病問題は、依然として全面解決には程遠い状況にあるということ。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-04 05:57 | ハンセン病 | Comments(0)

菊池事件の再審拒否に対して、元患者が熊本地裁に国賠提訴を起こす。

 毎日新聞は2017年8月30日、標題について次のように報じた。


(1)ハンセン病患者とされた熊本県の男性が殺人罪などに問われ、無実を訴えながら裁判所外の隔離された特別法廷で死刑判決を受けて執行された「菊池事件」で、元ハンセン病患者6人が29日、無罪となるべき男性について検察が再審請求しないため精神的苦痛を受けたとして、国を相手取って1人当たり10万円の慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を熊本地裁に起こした。
(2)訴状によると、元患者らは2012年11月、検察に菊池事件について再審請求するよう要請したが、検察は17年3月に再審請求しないことを決めた。この決定は検察官に課せられた再審請求権行使義務に違反しており、元患者らは特別法廷で助長されたハンセン病患者らに対する差別や偏見を解消する被害回復請求権を侵害されたとしている。
(3)男性の公判は、憲法が定めた裁判の公開原則に反する特別法廷で審理され、裁判官や検察官、弁護人が白衣を着て証拠品を箸で扱うなど差別的な取り扱いをした。さらに凶器とされる短刀が被害者の全ての傷を説明できないことなどを示した新証拠の法医学鑑定書などから無実は明らかとしている。その上で、ハンセン病に対する差別と偏見を恐れる遺族は再審請求ができないため、検察官が再審請求権を行使しないのは違法と主張している。
(4)特別法廷を巡っては16年4月、最高裁が1960年以降の違法性を認めて元患者らに謝罪。最高検も今年3月に特別法廷に関与した責任を認め謝罪したが菊池事件についての再審請求には応じなかった。
【野呂賢治】
(5)-ハンセン病問題に関わってきた識者は国賠訴訟をどう見るのか。:特別法廷に関する最高裁の有識者委員会で座長を務めた井上英夫・金沢大名誉教授は「検察は国民への説明責任を果たしていない」と厳しい。「関係者のプライバシー」を理由に、再審請求しない理由を一切明らかにしないからだ。
 同委は2016年4月、患者の隔離・収容の場で行われた特別法廷の裁判が「裁判の公開原則」を満たしていたか否かについて「違憲の疑いはぬぐいきれない」と指摘し、違憲性を認めなかった最高裁の調査報告書を問題視した。しかし、検察も今年3月、この調査報告書を引用し、開廷を知らせる張り紙や傍聴人がいた記録があるとして違憲性を否定する見解を示している。
 井上氏は「検察が最高裁の見解を安易に引用したのは問題で、独自に調査すべきだった。検察は冤罪(えんざい)ではないとするなら合理的な根拠を示すべきだ。できなければ自ら再審を請求しなければいけない」と語り、国賠訴訟で事態が進むことを望む。
 国のハンセン病問題検証会議で副座長を務めた内田博文・九大名誉教授は「憲法を擁護すべき裁判所や法曹がハンセン病の人を別扱いするという人権侵害を引き起こしたのが特別法廷の本質だ。患者・家族全体が被害者であり、実質的な審理をすべきだ」と指摘する。【江刺正嘉】


 今、なされなければならないことは、「内田博文・九大名誉教授は『憲法を擁護すべき裁判所や法曹がハンセン病の人を別扱いするという人権侵害を引き起こしたのが特別法廷の本質だ。患者・家族全体が被害者であり、実質的な審理をすべきだ』と指摘する。」(毎日新聞)、ということである。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-01 06:01 | ハンセン病 | Comments(0)

ハンセン病療養所に入らなかった「非入所者」の元患者の和解が東京地裁で成立。

 ハンセン病療養所非入所者の遺族と国が和解したのは初めとなった和解が成立した。
 このことについて、毎日新聞は2017年2月21日、次のように報じた。


(1)国の強制隔離により差別が助長され被害を受けたとして、ハンセン病療養所に入所していなかった患者の遺族が国に賠償を求めた訴訟の原告弁護団は20日、東京地裁(佐久間健吉裁判長)で和解が成立したと発表した。国が謝罪し、遺族4人に1人350万~500万円を支払う内容。隔離政策を違憲とした2001年の熊本地裁判決後、国と患者本人や入所者遺族との和解が進められてきたが、非入所者遺族の和解は初めて。
(2)和解が成立したのは1997~99年に死亡した非入所者3人の遺族で、愛知、福島県の子供3人と沖縄県の母1人。非入所者3人の中には病歴を隠して結婚し、発覚を恐れて自殺した男性もいた。
(3)02年に国が患者側と交わした基本合意書では、非入所者遺族への賠償は明記されず、残された課題の一つだった。昨年3月に「らい予防法」廃止から20年がたち損害賠償請求権が消滅したため、新たな提訴は原則できない。遺族側の神谷誠人弁護士は新たな提訴希望者について「厳しいが、理解した上で手を挙げる方がいれば力を合わせたい」としている。                             【伊藤直孝】


 課題となるのは、「昨年3月に『らい予防法』廃止から20年がたち損害賠償請求権が消滅したため、新たな提訴は原則できない。遺族側の神谷誠人弁護士は新たな提訴希望者について『厳しいが、理解した上で手を挙げる方がいれば力を合わせたい』としている。」、ということである。
                             




by asyagi-df-2014 | 2017-02-21 12:05 | ハンセン病 | Comments(0)

ハンセン病-隔離された「特別法廷」について、最高裁の責任は果たされたのか。

 このことについて、2016年4月26日付けの社説から、事実を拾い出してみた。


①ハンセン病隔離政策は違憲として国に元患者への賠償を命じた2001年の熊本地裁判決を受けて政府は謝罪、国会も補償金を支給する法律を制定した。だが裁判所は動かず、元患者らの団体などは「司法は責任を明らかにしていない」と批判。13年に「特別法廷は裁判の公開を定めた憲法に違反している」とし、最高裁に検証を求めた。
②最高裁は一昨年5月、元患者らの強い要請を受け、特別法廷の調査を始めた。最高裁の外部有識者委員会は先月、特別法廷が「憲法に定められた法の下の平等・裁判公開の原則に反し違憲だった疑いがある」と指摘していた。 
③報告書は「病状や感染の可能性などを具体的に検討せず、ハンセン病に罹患(りかん)していることが確認できれば開廷の必要性を認定した」と指摘。「遅くとも1960年以降は合理性を欠く差別的な扱いであったことが強く疑われ、違法」とした。
④「ハンセン病患者の裁判がかつて、隔離された『特別法廷』で開かれていたことをめぐり、最高裁はきのう、元患者らに『患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、お詫(わ)びする』と謝罪した。」
⑤「裁判を隔離した判断のあり方は差別的だった疑いが強く、裁判所法に違反すると認めた。最高裁が司法手続き上の判断の誤りを認めて謝罪するのは極めて異例であり、検証作業をしたこと自体は評価できるだろう。」
⑥「だが、注目された違憲性の判断に関しては、憲法上の『裁判の公開』の原則には反しない、と結論づけた。」


 2016年4月236日付けで確認した社説・論説は10社でであり、その見出しは次のようになっている。


(1)朝日新聞社説-ハンセン病 司法の差別、決着せぬ
(2)読売新聞社説-ハンセン病法廷 差別的運用が偏見を助長した
(3)東京新聞社説-ハンセン病 遅すぎた司法の反省
(4)北海道新聞社説-ハンセン病法廷 これで謝罪と言えるか
(5)信濃毎日新聞社説-ハンセン病法廷 司法の責任 なお検証を
(6)山陰中央新報論説-ハンセン病問題調査/真相の解明に期待したい
(7)徳島新聞社説-ハンセン病法廷 謝罪の言葉は届くのか
(8)高知新聞社説-【最高裁の謝罪】人権のとりでに値するか
(9)西日本新聞社説-ハンセン病差別 最高裁謝罪では終わらぬ
(10)沖縄タイムス社説-[ハンセン病特別法廷]違憲の疑いは拭えない

 これから推察すると、今回の最高裁による謝罪は、「『遅すぎた司法の反省』が『差別的運用が偏見を助長した』。『違憲の疑いは拭えない』ことから『 司法の差別、決着せぬ』し、『最高裁謝罪では終わらぬ』。最高裁が『人権のとりでに値する』ために、『真相の解明』につとめ、『司法の責任なお検証を』する必要がある。真の『謝罪の言葉』を届けるために。」、ということになる。

 また、その主張を要約すると次のようになる。


(1)朝日新聞社説
①「人権の砦(とりで)」たる最高裁として、これで問題が決着したといえるのだろうか。
②今回の最高裁の検証では、「裁判官の独立」を理由に、個別の事件の判断は避けられた。だが、手続きに問題があれば、裁判そのものに疑いが生じかねない。本来なら個別事件も検証し、被害救済や名誉回復まで考慮すべきだろう。今後、再審請求があれば、裁判所は真剣に対応すべきだ。
③差別や偏見のない社会に少しでも近づけるために、今回の検証をどう役立てるのか。謝罪を超え、最高裁はさらにその責任を負い続けなくてはならない。
(2)読売新聞社説
①人権侵害を正すべき裁判所が、ハンセン病患者への差別を助長した。司法の汚点である。
②社会と隔絶された施設で開廷することが公開の要請を満たしていると言えるのか、疑問である。
③裁判官の独立を尊重するため、特別法廷で審理された判決内容の是非については、検証の対象外となった。それはやむを得ないとしても、特別法廷という異例の場で公正な裁判が行われたのか、元患者らの疑念は根強い。
④差別的運用により、裁判への信頼が損なわれた。そのことに対する最高裁の責任も重い
(3)東京新聞社説
①「人格と尊厳を傷つけ、お詫(わ)び申し上げる」。かつてハンセン病患者の裁判を隔離先の療養所などの「特別法廷」で開いた問題で、最高裁が謝罪した。あまりに遅い司法の反省と言わざるを得ない。
②公開の原則、平等の原則が貫かれていたか。最高裁には今後も徹底的な検証を求めたい。つまり、最高裁が誤りを認めているのは、六〇年以降も特別法廷を開き続けていたことだ。その時点では既に確実に治癒する病気であったし、国内外で強制隔離の必要性が否定されていた。だから、裁判所法に反するとしたのだ。
③だが六〇年以前の特別法廷に問題はなかったのだろうか。もっと早い時点で特別法廷の問題に気づけなかっただろうか。それが悔やまれる。何より謝罪まで時間がかかりすぎている。
④二〇〇一年には熊本地裁がハンセン病の強制隔離政策を違憲と判断し、首相や衆参両院も反省と責任を認めた。最高裁もその時点で調査を開始できたはずだ。司法は人権の砦(とりで)でなければならない。あらためて、自覚を促したい。
(4)北海道新聞社説
①ハンセン病隔離政策をめぐる政府と国会の謝罪から15年。最高裁が自ら検証し、誤りを認めたことは評価されるが、遅きに失した。一方、憲法が保障する「裁判の公開」には反していないとした。形式的には公開の要件が満たされていたと判断したためだ。
②元患者やその家族たちはこの結論に納得するだろうか。偏見と差別に満ちた特別法廷を認めてきた責任に正面から向き合うことこそ、「憲法の番人」である最高裁の責務のはずだ。
③最高裁は、特別法廷設置について「合理性を欠く差別的な取り扱いであったことが強く疑われる」として謝罪した。当然である。
④理解できないのは、開廷時に開廷の張り紙が正門に出されていたことなどから、裁判は公開されていたと判断したことだ。普段、人があまり訪れない療養所に張り紙をしただけで、公開されていたとするのは無理がある。
⑤この問題を調べてきた最高裁の有識者委員会も、一般法廷と比較し実質的に公開されていたかが重要だとして、違憲の疑いを指摘した。事実上の非公開とみるのが市民感覚だろう。
⑥形が整っているから良しとするのが、最も人権感覚に敏感なはずの司法の判断なのか。残念な結論と言わざるを得ない。
⑦国の隔離政策で患者らは長年、言葉に言い表せない苦しみを味わってきた。その人たちの名誉を回復するためにも、最高裁は真摯(しんし)な反省の姿勢を示すべきだ。それこそが、現在も根強い偏見を解消する方策の一つになる。
(5)信濃毎日新聞社説
①ハンセン病患者らを強制隔離し続けた差別政策に、「人権のとりで」であるべき司法までが加担した。その責任の重大さに正面から向き合った検証結果とは言いがたい。
②遅きに失した謝罪の言葉だけでは、不信感は拭いようもない。違憲性に関して、さらに徹底した検証が欠かせない。
③熊本の男性が無実を訴えながら殺人罪で死刑判決を受け、執行された「菊池事件」について、弁護団などが再審を求めている。個々の裁判のやり直しも、遺族らの要望に応じて認めるべきだ。
(6)山陰中央新報論説
①殺人罪で死刑判決が言い渡され、執行された「菊池事件」を巡っては再審請求の動きがあり、司法による過去の償いはまだ終わらない。
②報告書は特別法廷の問題点を一通り示し、裁判所の誤りも認めている。記者会見した最高裁事務総長は「法の下の平等に反していたと強く疑われる」と、報告書にはない違憲の疑いまで指摘した。しかし個別の事件の審理にどのような影響があったかは明らかにはなっていない。
③菊池事件では、被告が無罪を主張したのに弁護人は検察側提出の全証拠に同意したり、裁判官がゴム手袋をして調書をめくったりといった異様な裁判の光景が語り伝えられている。弁護団は刑事訴訟法に基づき検察に再審請求を求めるなど手を尽くしており、真相解明につながることを期待したい。
(7)徳島新聞社説
①憲法の番人が差別意識を持っていたのでは、公正な司法など期待できようか。最高裁は恥ずべき過ちを犯したことを重く受け止めるべきだ。
②ハンセン病患者への強い偏見があったのは明白である。報告書では「誤った運用が偏見と差別を助長した。深く反省し、おわびする」とした。謝罪は異例だが、それで済むものではない。
③今回の報告では、「司法が人権侵害を行った」との批判は収まらないだろう。検証も不十分だ。
④三権の一翼を担う最高裁が重い腰を上げて調査を始めたのは、入所者協などの要請を受けた後の一昨年5月だ。対応が遅きに失したのが極めて残念だ。亡くなった元患者に謝罪の言葉は届かない。最高裁には、さらに患者側の理解を得る努力を求めたい。
(8)高知新聞社説
①「謝罪になっていない」―。長年にわたっていわれのない差別、偏見を強いられてきた元患者や家族が憤るのも無理はないだろう。
②憲法が定める裁判の公開原則に関し、最高裁は療養所に開廷を知らせる「告示」を出していたことを挙げて、「公開されていなかったとは認定できない」と結論付けた。だとしても、実質的には「公開」とは程遠く、あまりに外形的な判断といわざるを得ない。
③社会の差別や偏見を助長した責任を直視しないままなら、「人権のとりで」という国民の信頼に自ら傷をつけたといわなければならない。
(9)西日本新聞社説
①最高裁はまず違法性について、特別法廷は災害など例外に限るとされる裁判所法に違反していたと認めた。一方で特別法廷は「傍聴を許していたと推認できる」などを理由に、憲法の「裁判の公開」には反しないと結論付けた。こうした判断は問題を矮小(わいしょう)化していると言わざるを得ない。
②最高裁は報告書の末尾で外部有識者委から「最高裁は人権のとりでたれ」と叱咤(しった)されたことを自ら記している。国民の人権を巡って司法までが厳しく指弾された意味は極めて重い。
③国の補償など元患者らの救済は進む一方、最近では耐え難い偏見から家族らが国を提訴するなどハンセン病問題は依然深刻だ。
④改めて私たち一人一人に問われる人権問題と捉えたい。
(10)沖縄タイムス社説
①今回の調査報告書は、療養所の正門に開廷を知らせる「告示」を出していたことをあげ、「公開されていなかったとは認定できない」と違憲性を否定する。違憲性を認めた場合の影響を懸念するあまり腰が引け、形式論をかざして逃げ込んだ印象が強い。実際のところはどうだったのか。
②熊本県の国立療養所「菊池恵楓園」入所者自治会の志村康会長(83)は指摘する。「告示に気付く人はおらず、知らない間に裁判は開かれていた」。50年代に「特別法廷」を目撃したという菊池恵楓園の入所者は「白黒の幕の中で裁判が開かれ、全然見えなかった」と証言する。
③最高裁が謝罪したことで行政・立法・司法の三権が隔離政策について謝罪したことになるが、ハンセン病に対する差別や偏見は解消されていない。司法による過去の償いも終わっていない。


 今、私たちにとって何よりにも増して必要なことは、「療養所で暮らす人の平均年齢は80歳を超す。尊厳が回復されたとはいえないまま年老いる元患者らの現状に向き合い、差別をどう克服していくか。司法の責任とともに、社会が問われていることもあらためて認識したい。」(信濃毎日新聞)、ということだ。
 それも緊急な具体的な対応の中で。


 以下、各社社説等の引用。(また、長くなります。)





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by asyagi-df-2014 | 2016-04-28 06:07 | ハンセン病 | Comments(0)

ハンセン病-元患者は「胸に響かぬ」、と。「司法の責任は不問にされたに等しく、到底受け入れられるものではない」。

 「特別法廷」について、最高裁報告は「違憲」とは認めなかった。
 このことについて、朝日新聞は2016年4月26日、「ハンセン病患者を隔離された特別法廷で裁いてきた過ちを、『憲法の番人』である最高裁は25日、『違法』だったと謝罪しながらも、『違憲』とは認めなかった。検証を求めてきた元患者たちは『間違いを真摯(しんし)に認めてほしかった』と悔しさと怒りを訴えた。」、と報じた。
 朝日新聞は、次の声を伝えた。


(志村康さん-83)
「違憲ではないが違法としたうえ、最高裁判所は責任を負わないなんて、理不尽な結果だ。これで謝罪になっているのでしょうか」

(長州次郎さん-88)
「我々の胸に響くような見解ではありませんでした。本当に残念。(調査で話した)真意が伝わらなかった」。
「(法廷は)黒幕で囲われ、中の様子を見ることは絶対にできなかった。公開の原則に反していないなんて、まやかしです」

(藤田三四郎会長-90)
「(20年前の)らい予防法の廃止の時に(司法も)謝罪すべきだった。今ごろ謝罪は遅すぎる。最高裁はハンセン病に無知だった」

(北原誠学芸員-61)
「検証を始めるまで随分時間がかかったという印象だ。特別法廷は当時、十分議論されずに設置が慣例化していたのでは」

(中尾伸治さん-81)
「政府や国会は誤りを認めているのに、憲法の番人であるはずの最高裁は遅すぎる」


 私たちが、聞かなければならないのは、まさにこの声ではないのか。


 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-04-26 09:14 | ハンセン病 | Comments(0)

ハンセン病-最高裁は、「患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、お詫(わ)びする」と謝罪。しかし、憲法の「裁判の公開」には違反しないと。

 ハンセン病患者の「特別法廷」問題について、朝日新聞は2016年4月25日、「ハンセン病患者の裁判を隔離された療養施設などに設けた「特別法廷」で開いていた問題で、最高裁の今崎幸彦事務総長は25日、調査報告書を公表し、『患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、お詫(わ)びする』と謝罪した。」、と報じた。
 このことについて、「最高裁が司法手続き上の判断の誤りを認め、会見で謝罪するのは極めて異例。」、と伝えた。
 しかし、一方では、「特別法廷を開いたことは、憲法の『裁判の公開』には違反しないと結論づけた。」、と報じた。


 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-04-25 19:32 | ハンセン病 | Comments(0)

ハンセン病-隔離された「特別法廷」を、岡山弁護士会会長声明と社説・論説で考える。

 「『憲法の番人』たる最高裁が違憲性を問われる異例の事態」(京都新聞)であるハンセン病患者の裁判がかつて隔離された「特別法廷」で開かれていた問題について、岡山弁護士会会長声明(以下、声明とする)及び各紙の社説・論説を基に考える。
 まず、この声明の中で、経過と隔離された「特別法廷」が日本国憲法違反であることを確認する。
 続いて、3月末から4月当初の各新聞社の社説・論説を拾い出してみて、要約する。

 
 声明は、隔離された「特別法廷」の経過を、最高裁判所が開催した「ハンセン病を理由とする開廷場所指定の調査に関する有識者委員会」の資料から、次のように説明している。

「1948(昭和23)年から1972(昭和47)年までの間に、ハンセン病を理由とする特別法廷の上申は96件であり、そのうち95件が認可され(刑事事件94件、民事事件1件)、1件が撤回され、却下事例がなかった(認可率99%)。
 これに対し、1948(昭和23)年から1990(平成2)年までの間の、ハンセン病以外の病気及び老衰を理由とする開廷場所指定の上申は61件であり、そのうち9件が認可され、25件が撤回され、27件が却下された(認可率15%)。
 これらの統計からすれば、最高裁判所は、特別法廷の指定について、事件ごとに個別具体的な判断をすることなく、被告人がいわゆる「ハンセン病患者」であるという一事をもって、判断していたと推察される。」

 次に、声明は、次の二点の理由により、「こうしたハンセン病患者に対する差別・偏見に満ちた取扱いは、到底、公平な裁判所による裁判が確保されていたとはいえず、憲法第37条1項に違反する。」、と断定する。
 

(1)憲法は、裁判の公正を確保する趣旨から、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う」と規定し(第82条1項)、とりわけ刑事被告人に対しては、重ねて「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と規定し、公開裁判を受ける権利を保障している(第37条1項)。
 ここに「公開」とは、訴訟関係人に審理に立ち会う権利と機会を与えるといういわゆる当事者公開をいうのではなく、国民に公開されるという一般公開、具体的には国民一般の傍聴を許すこと(傍聴の自由)を意味する。
 特別法廷は、いずれも「らい予防法」施行下における隔離施設としてのハンセン病療養所、拘禁施設としての医療刑務支所・拘置所などで開廷されたものであって、いずれも一般人が立ち入ることのできない場所で実施されたものであるから、その「対審及び判決」には、国民一般の傍聴の自由が確保されていたとは認められず、憲法第37条1項、第82条1項に違反する。
(2)上記菊池事件の特別法廷においては、法曹三者がいずれも予防衣と呼ばれる白衣を着用し、長靴を履き、記録や証拠物等をゴム手袋をしたうえで火箸等で扱っていたことが判明している。


 続けて、3月末から4月当初にかけてのこの問題に関しての社説・論説を採り上げてみた。
 その見出しは、次のようになっている。

(1)朝日新聞社説-ハンセン病 違憲性を直視してこそ
(2)毎日新聞社説-ハンセン病法廷 最高裁は誠実に謝罪を
(3)京都新聞社説-ハンセン病法廷  最高裁は真摯に謝罪を
(4)南日本新社説-[ハンセン病法廷] 最高裁は十分な検証を
(5)新潟日報者越-ハンセン病法廷 差別や偏見のない社会を
(6)日本経済新聞社説-「特別法廷」最高裁が謝罪へ ハンセン病、手続き不適切
(7)琉球新報社説-ハンセン病謝罪 言葉だけでなく再審認めよ
(8)沖縄タイムス社説-[ハンセン病訴訟]家族の苦しみ直視せよ
(9)産経新聞主張-最高裁が謝罪へ 過ち認めるに躊躇するな-

 
 こうした主張を見た時、ハンセン病にかかる特別法廷の問題が、最高裁判所に責任があることは、一致している
ただ、「今まで腰が重かった経緯を考えれば、最高裁がどこまで問題を直視するかは見通せない。当時の手続きの違法性は認めても、違憲性にまで踏み込むかどうかは不透明だ。」(朝日新聞)という問題が、つまり、今回、最高裁判所が、憲法違反という領域まで踏み込んで判断できるかどうかが問題として残されている。
 私たちは、声明の指摘する次の主張を肝に命じるべきなのである。


「特別法廷の問題につき、弁護士の立場からその実施や実施方法に何ら異論を挟むことなく黙認してきたことにつき、痛切に反省の意を表明する。
 そのうえで、当会は、最高裁判所に対し、特別法廷の実態が明らかになるよう事実関係を詳細に公表し、特別法廷の指定行為が憲法に違反するものであることを真摯に受け止め、ハンセン病問題によって被害に遭われた方々の更なる名誉回復に努めることを求める。」


 声明の補足分として、各社の社説・論説の要約を載せる。


Ⅰ.問題点や指摘事項
①「人権の砦(とりで)」「憲法の番人」であるべき最高裁にとって、あまりに遅い対応だった。
②患者の隔離を定めた「らい予防法」の廃止から20年。すでに政府は01年、熊本地裁での国家賠償訴訟で敗れたのを機に隔離政策の過ちを謝罪した。その直後に国会も、全会一致で責任を認める決議をしている。特別法廷については05年、厚生労働省の第三者機関が「不当な対応だった」と指摘した。それでも最高裁は動かなかった。「裁判官の独立」に抵触する可能性があるとして、自ら調査に乗り出すことをタブー視していた背景があったようだ。
③95件の中には、ハンセン病患者とされた熊本県の男性が殺人罪に問われ、無実を訴えながら死刑執行された「菊池事件」もあった。事件の再審を求める弁護士や元患者らが「憲法の公開原則に反した裁判だった」と訴えたことが、最高裁が検証に動き出すきっかけになった
④ハンセン病患者に対する差別に司法も加担した責任を直視するなら、特別法廷の違憲性にもはっきり向き合うべきだ。
⑤いまなお、差別や偏見への恐怖心から解放されずにいる元患者は多い。その家族が受けた差別被害の裁判も始まる。
⑥元患者や家族が今後の人生を有意義に過ごすため、今回の検証を役立てなくてはならない。最高裁はその責任を担う覚悟を、ぜひ謝罪に込めてほしい。
(朝日新聞)
⑦世界保健機関(WHO)がハンセン病患者の隔離を否定する見解を示したのが60年だ。だが日本で、強制隔離を定めた「らい予防法」が廃止されたのは96年だった。
⑧ハンセン病をめぐっては、療養所に隔離された入所者らが「人権侵害を受けた」と起こした国家賠償訴訟で、熊本地裁が2001年、「60年には隔離の必要性が失われていた」と認定し、違憲の訴えを認めた。
⑨どういった判断で、一律の運用がなされたのか。社会に広がっていた差別が、なぜ裁判の場にまで持ち込まれてしまったのか。公表する検証では、その背景を掘り下げ、経緯をつまびらかにしてほしい。また、公正であるべき審理に与えた影響についても、最高裁には突き詰めた検証を求めたい。
⑩国内の新規患者はほとんどおらず、完治する病気になったにもかかわらず、ハンセン病に対する偏見は根強い。毎日新聞が療養所の入所者と退所者を対象に行ったアンケートでは、全体の77%が「病気への差別や偏見がいまだにある」と回答した。
 差別や偏見を受けたとして患者の家族らが今年、新たに集団で国賠訴訟を起こしてもいる。最高裁の検証にとどまらず、ハンセン病に対する差別や偏見の解消は、私たちの社会が向き合うべき課題である。
(毎日新聞)
⑪最高裁の対応の鈍さは非難されてしかるべきだ。熊本地裁は2001年、ハンセン病の強制隔離政策は、世界保健機関から廃止提言を受けていたことなどから少なくとも1960年以降は不当だったと国敗訴の違憲判決を出した。政府は元患者に謝罪、国会も責任を認めた。2005年に厚生労働省の第三者機関は特別法廷の「不当な対応」を問題視したが最高裁は動かず、元患者の要請で14年にようやく調査を始めた。「裁判判官の独立」に抵触する懸念があったというが不誠実に過ぎる。
⑫最高裁は、個別の裁判手続きの是非には踏み込まないとみられる。だが、重大な問題を放置してきたことが、関係者の高齢化などで検証を難しくしたことは否定できまい。特別法廷の問題点はもちろん、その後の不適切な対応も報告書に記録したうえで、真摯(しんし)に謝罪しなければならない。
(京都新聞)
⑬元患者らが特別法廷の検証を重視するのは、菊池事件の再審に関わるからだ。殺人罪に問われた元患者は無実を訴えたが、国選弁護人は検察側が請求したすべての証拠に同意し、特別法廷で死刑を宣告された。1962年に刑が執行されている。
 当時の書記官によると、療養施設の一室に設けられた特別法廷に傍聴者はなく、白衣を着た裁判官がゴム手袋をして調書をめくり、火箸で証拠品をつまみ上げたという。すべての特別法廷がこのように異様だったわけではないにしろ、当時の偏見や差別のすさまじさを物語るのは間違いない。
⑭患者の強制隔離を定めたらい予防法が廃止されてから20年になる。全国13の国立療養所で暮らす入所者の平均年齢は83歳を超え、介護が必要な人も増えている。
 埋め合わせようのない深刻な人権侵害の被害者に対して、最高裁は踏み込んだ検証結果を示し、真摯(しんし)に謝罪する必要がある。
(南日本新聞)
⑮政府と国会が隔離政策の過ちを認めてから15年近く過ぎている。最高裁が検証を始めたのは当事者側の要請がきっかけだった。「人権のとりで」としての意識が希薄だったと言わざるを得ない。
⑯国は判決を待つのではなく、救済に動くべきではないか。
(新潟日報)
⑰外部有識者委員会が「法の下の平等や裁判の公開を定めた憲法に違反する疑いがある」との意見を最高裁に伝えている。憲法の番人が憲法違反の疑いを指摘された。最高裁は深刻に受け止めるべきだ。
⑱今回も最高裁は元患者側の要請を受けて調査を開始しており、自発的ではない。隔離政策を続けた行政だけでなく、司法にまで不当な扱いを受けた元患者らの不信感は安易な謝罪の言葉だけでは拭えない。再審請求を認めるなど、個別の裁判手続きの是非にも踏み込むべきだ。
(琉球新報)
⑲特別法廷は非公開で、憲法が保障する「裁判の公開の原則」に反する。無実を訴えながら死刑判決が言い渡され、執行された被告がいる。人権の砦(とりで)の司法も差別と偏見に縛られ、公正な審理だったか、重大な疑問が生じている。
 療養所で暮らす元患者の平均年齢は83歳を超え、約4分の1が認知症であるとの調査がある。家族への賠償問題など積み残した課題は多い。
(沖縄タイムス)
⑳最高裁が謝罪に踏み切れば、三権の全てが責任を認めることになる。元患者らは、行政、立法、司法によっても醸成された社会の差別意識に苦しめられてきた。
 いや、報道がこれを助長することはなかったか。その反省と検証も欠かせない。
 ハンセン病はかつて「らい病」の名で呼ばれたが、差別感情を呼ぶなどとして、現在は新聞でも基本的に使わない。「業病」としてこれを扱う小説や映画もあったが、全くの誤りである。
 ハンセン病は、感染力が極めて弱く、治療法も確立している。この機に改めて、その認識の周知を徹底したい。
(産経新聞)


 以下、岡山県弁護士会会長声明及び各新聞社の社説・論説の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-04-12 06:23 | ハンセン病 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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