カテゴリ:持続可能な社会( 12 )

「二度と朝鮮半島を戦場にしてはならない  米朝は武力ではなく対話による解決を」。

 ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFPJ)の井筒高雄代表は4日、都内で記者会見した。
この会見で、井筒高雄代表は「ミサイル発射を続ける北朝鮮に対する日米両政府の対応について、「さらなる圧力が行き着く先は、軍事行動しかない」と警鐘を鳴らし、外交交渉で解決するよう求めた。沖縄を含む在日米軍基地がある地域が巻き込まれる可能性」(沖縄タイムス)を指摘した。
 また、沖縄タイムスは、井筒高雄代表の次の指摘を伝えた。


(1)圧力や経済制裁は「失敗している」とし、軍事行動に行き着きかねない状況を指摘。安倍晋三首相が軍事行動を示唆するトランプ米大統領と電話会談を重ねたり、小野寺五典防衛相が集団的自衛権を行使可能な存立危機事態の認定に言及したりしていることに「本当にそこまでの覚悟があるのか」と疑問を呈した。
(2)自衛隊が巻き込まれる可能性も指摘し、「基地がある地域は沖縄に限らず、攻撃対象としてのリスクは上がる」と強調した。
(3)地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などを中心とした今の日本のミサイルへの対処能力については、「北朝鮮のミサイルが単発ならやりようがあるが、複数発射されたら守れる能力、迎撃態勢はまったく不十分だ」と指摘した。


 なお、2017年8月17日、ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFPJ)はほかの35団体とともに、「二度と朝鮮半島を戦場にしてはならない  米朝は武力ではなく対話による解決を」、との緊急声明を発表した。
 この緊急声明は、「私たちは現在の米国と朝鮮民主主義人民共和国の間の対立による戦争の危機に対し、東アジア地域に暮らす市民として強い恐怖を感じている。そして、私たちは、この危機を回避するために、米朝両政府に対しては、いかなる挑発的言動も、いかなる軍事的行動も自制するよう強く求めます。また、日本 政府と韓国政府には朝鮮半島の緊張を高める米軍との合同軍事演習の中止を強く求めます。」、と主張している。
また、具体的に次のような要求を。各国に示している。


(1)朝鮮民主主義人民共和国に対してはグアム島周辺に向けてのミサイル発射の自制 を求めます。
(2)米国に対しては、同国に対するいかなる先制を含む軍事的攻撃を行わないことを国際社会に約束することを求めます。
(3)また、朝鮮戦争の現在の停戦協定から包括的な平和協定締結に向けて早急かつ具体的な対話を行うことを強く求めます。
(4) 韓国、ロシア、中国、日本の各国政府に対しては、米朝のリーダーに対し挑発的 言動の停止を即刻要求すること、そして米朝の外交交渉再開への支援、また6者協議の再開に向けて早急に最大限の努力を行うことを求めます。


 
 昨今の状況は、より一層戦争へのキナ臭さを感じさせるものになっている。
この緊急声明は、最後にこのようにまとめている。


Ⅰ.1950年に勃発した朝鮮戦争において朝鮮・韓国の市民300万人以上が犠牲とな り、ヒロシマ・ナガサキでは原爆によって20万人以上の市民が犠牲となりました。
Ⅱ.私たちはこのような非人道的悲劇を二度と繰り返してはなりません。そして、万が一、再び朝鮮半島で軍事衝突が発生すれば中国、ロシアという核保 有国をも巻き込んだ東北アジア全域での核戦争へと発展する可能性があると言わ ざるを得ません。
Ⅲ.国際社会は今年7月、核兵器禁止条約を生み出し、核兵器廃絶という人類にとっ て重要な人道的目標に向かい歩みを始めました。今回の大陸間弾道ミサイルを巡 る緊張はまさに、その目標達成に向けての最大の試練です。
Ⅳ.私たちは、朝鮮半島の緊張を生み出している当事国の政府が人間の理性に基づ き、朝鮮半島の恒久平和と非核化の実現に向けて真摯に対話を始めることを切に要求します。


 あらためて、この緊急声明を繰り返し要求する。


 私たちは、朝鮮半島の緊張を生み出している当事国の政府が人間の理性に基づ き、朝鮮半島の恒久平和と非核化の実現に向けて真摯に対話を始めることを切に要求します。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-06 06:13 | 持続可能な社会 | Comments(0)

高校生平和大使は国連軍縮会議での核廃絶演説ができなかった。

 「軍縮会議の様子を議場上の傍聴席から見守る高校生平和大使ら」と題された何とも言えない脱落感を醸し出す朝日新聞の8月23日付けの写真が、日本という国の現状を映し出しているではないか。
 朝日新聞は2017年8月23日、標題について、このように伝えた。


(1)核廃絶と世界平和を訴える第20代高校生平和大使の22人が22日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れ、軍縮会議本会議を傍聴した。2014年から16年にかけて、代表の高校生が本会議で日本政府代表団の一員として演説する機会を与えられてきたが、今年は実現しなかった。
(2)在ジュネーブ日本政府代表部は本会議での高校生の演説について、「問題視する国があった。軍縮会議では全会一致で議決するのがルールなので、指摘を重んじた」と見送った理由を説明した。日本政府が不参加を表明している核兵器禁止条約と、今回の決定は関係がないとしている。
(3)代わりに在ジュネーブ日本政府代表部で前日21日夕に開かれた高見沢将林(のぶしげ)・軍縮大使主催のレセプションで、招待された外交官や国際機関職員らに対して発言する機会を与えられた。広島大学付属高校2年の小林美晴さん(16)は、曽祖母が原爆で犠牲になったことに触れて「核なき世界のために、被爆者の声を世界の人々に伝えていきます」と英語で演説すると、大きな拍手が起きた。
(4)一行は22日午後、核廃絶と世界平和を求める21万4300筆の署名を国連軍縮部幹部に手渡した。


 このことを、2017年8月25日の西日本新聞社説(「高校生平和大使 核廃絶へ尊い20年の活動」)及び2017年8月26日の毎日新聞社説(「核廃絶の高校生演説見送り 外務省はだれを守るのか」)で考える。
 これまでの高校生平和大使の活動を、西日本新聞は次のように紹介する。


(1)核兵器廃絶を訴える高校生平和大使の活動が20年目を迎えた。戦争や被爆の体験が風化する中、若者による活動の意義は大きい。
(2)インドとパキスタンが核実験をした1998年、長崎の平和団体が被爆地の声を世界に伝えようと、未来を担う高校生を国連に派遣したのが始まりだった。
(3)高校生大使は毎春、公募で選ばれ、1年交代で後輩に引き継がれる。これまで国内外の約200人が務めた。長崎や広島を訪れる修学旅行生との交流、各地の活動報告会のほか、4年目からは核兵器廃絶署名を集めて国連に届ける。署名は計160万筆を超えた。
(4)炎天下の夏も雪が舞う冬も、街頭に立ち核兵器廃絶を訴える歴代高校生大使の地道な活動は尊い。
(5)今年も22人の平和大使が今月21、22両日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れ、1年分の約21万4千筆の署名を提出した。国連での核兵器禁止条約採択も反映し、署名は過去最多となった。


 また、毎日新聞は、このことに関しての経過と問題点を次のように指摘する。


(1)演説は3年前から始まったが、特例的な演説を問題視する国があり、今年は実施に必要な全会一致の賛同を得られなかったという。政府間交渉の場である軍縮会議での民間人の演説は確かに異例だ。それが定例となったのは、唯一の被爆国である日本の高校生が被爆者の声を伝え、核廃絶を訴える意義を各国が認め合っていたからだろう。
(2)その貴重な機会が奪われた。とても残念だ。
(3)高校生大使は全国の高校生が核廃絶の署名を集め国連に届ける活動だ。今年は20年目で過去最多の21万4300筆の署名が集まった。2014年には日本政府代表団の一員に登録することで演説が実現し、昨年まで続けられた。
(4)異議を唱えた国を政府は明らかにしていない。被爆国の立場を強調することに反発する近隣国もあれば、核廃絶をけん制する友好国もある。問題は演説を続けられるよう日本がどれだけ外交努力を払ったかだ。
(5)政府は軍縮大使主催のレセプションで発言の場を設けたが、社交的な場でもあり、公式の本会議での演説とは発信力も異なる。
(6)本会議では北朝鮮の核・ミサイル開発を巡り米国と北朝鮮が非難し合い、核問題が大きな論点になった。そういうときこそ、核廃絶や世界平和を願う若者たちの訴えに耳を傾けるべきではなかったか。
(7)7月には核兵器禁止条約が国連で採択された。日本は交渉に参加せず、条約への署名もしない方針だ。外務省は政府の条約反対の立場と演説見送りは無関係だと言う。だが、条約を歓迎する高校生たちが政府見解と異なる意見を表明しないかと憂慮したのではないか、という見方もある。
(8)疑念をきっぱり否定するなら、来年以降、本会議での演説を復活できるよう尽力してほしい。


 西日本新聞は、今回のことについて、「平和大使の純粋な訴えはきっと世界へ通じると信じたい。」、とまとめる。
 しかし、「政府は軍縮大使主催のレセプションで発言の場を設けたが、社交的な場でもあり、公式の本会議での演説とは発信力も異なる。」(毎日新聞)ことは、どうしようもない事実である。また、最初に「始める」ことを勝ち取った時の大変さよりも、一度失ったものを再度始めることの困難さは計り知れない。
 やはり、問われなければならないのは、「異議を唱えた国を政府は明らかにしていない。被爆国の立場を強調することに反発する近隣国もあれば、核廃絶をけん制する友好国もある。問題は演説を続けられるよう日本がどれだけ外交努力を払ったかだ。」(毎日新聞)、ということだ。
 毎日新聞は、「条約を歓迎する高校生たちが政府見解と異なる意見を表明しないかと憂慮したのではないか」、というこの報道を受けた多くの者が抱いた疑念について、「疑念をきっぱり否定するなら、来年以降、本会議での演説を復活できるよう尽力してほしい。」と記す。
 そして、「悲惨な歴史を受け継ぎ、世界に発信する若者の活動がなくては、被爆国の経験は歴史に埋もれてしまう。政府が優先すべきは、一部の異論に折れるのではなく、若き語り部の活動を守り、後押しすることだ。」、と書き込む。


 核兵器禁止条約への日本は交渉に参加せず、条約への署名もしないという安倍晋三政権の方針が、「高校生平和大使は国連軍縮会議での核廃絶演説ができなかった。」という状況を生みだしてしまった。
確かに、今必要なことは、日本という国が、「悲惨な被爆国の歴史を受け継ぎ、世界に発信する若者の活動」を支えることである。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-02 06:05 | 持続可能な社会 | Comments(0)

沖縄ジュゴン訴訟控訴審判決を見る。

 沖縄タイムスは、2017年8月23日、標題について、次のように報じた。


(1)沖縄県名護市辺野古の新基地建設は米文化財保護法(NHPA)に違反するとして、日米の自然保護団体などが米国防総省に同法を順守するまでの工事停止を求めた『沖縄ジュゴン訴訟』の控訴審判決が21日(現地時間)、米サンフランシスコ第9巡回区控訴裁判所であった。同裁判所は『原告には訴訟を起こす資格(原告適格)があり、主張は政治的ではない』と指摘。原告側の主張を一部認めて一審の同連邦地裁判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。
(2)原告側によると、同省は連邦地裁での審理に応じるか、判決を不服として連邦最高裁に上告することができるという。今後の裁判所の審理によっては、工事が一時的に停止する可能性がある。
(3)判決で同控訴裁判所は、原告には米国防総省に対し、①ジュゴンの保護措置をせずに埋め立て工事をすることは違法だと確認する、②日本政府へ出す辺野古沿岸部への立ち入り許可の事前差し止めを求める―両利益があると判示。埋め立て工事の一時停止につながる差し止め請求ついては、「政治的な問題ではない」と指摘した。


 この沖縄ジュゴン訴訟について、 沖縄タイムスは2017年8月23日に、「[ジュゴン訴訟差し戻し]米世論をかき立てたい」、琉球新報は2017年8月24日に「米ジュゴン訴訟 差し戻しは賢明な判断」、とそれぞれ社説で論評した。
 残念ながら、2017年8月24日以前に、沖縄県の2紙紙以外に沖縄ジュゴン訴訟を社説で扱った新聞社はない。
 したがって、沖縄ジュゴン訴訟を、この2紙から考える。
この沖縄ジュゴン訴訟控訴審判決の意味を2紙は、次のように押さえる。


Ⅰ.沖縄タイムス


(1)門前払いから一転、控訴審判決は審理を連邦地裁に差し戻した。原告側主張が認められた。意義は大きい。
(2)判決は「原告には訴訟を起こす資格(原告適格)があり、請求は政治的でない」として一審の連邦地裁判決を破棄、審理を地裁に差し戻した。原告が国防総省を訴える権利が認められ、地裁では新基地建設でジュゴン保護の義務が尽くされているか再検証を迫られる可能性が出てきた。
(3)「新基地建設計画は進んでいる」との国防総省の主張に対しても、判決は「これまでの歴史で何度も停止し、再開や計画の変更を繰り返してきた」と判示している。納得できる指摘だ。
(4)控訴審判決に関し、原告の米環境団体幹部は「現在の基地建設計画では、ジュゴンは生息できない」と断言する。気掛かりなのは、大浦湾を含む周辺海域に生息するジュゴン3頭のうち1頭が15年6月以来確認されていないことだ。音に敏感で、防衛省が大浦湾で海底の掘削調査を進めていた時期と重なるからだ。
(5)控訴審判決は米国の法廷で新基地建設の正当性を問う場ができたことを意味する。米国の世論をかき立てることにもつなげたい。


Ⅱ.琉球新報


(1)名護市辺野古の新基地建設を巡り当事国である米国で、司法が賢明な判断を下した。
(2)一審の連邦地裁は、外交や防衛問題には司法が介入できないとする「政治的問題の法理」を採用して実質審理を避けた。しかし、今回の連邦高裁は、原告には訴訟を起こす資格「原告適格」があると判断した。今後、ジュゴン保護の実質審理を通して、新基地建設の不条理を米国民に訴える意義は大きい。
(3)原告側が訴えの根拠としたのは米国の国家歴史保存法(文化財保護法、NHPA)だ。米政府に国内だけでなく他国の法で保護された文化財も保護対象とすると定めている。原告はこれまで、ジュゴンは日本の文化財保護法に基づく天然記念物であり、米政府は保護する義務があると主張してきた。
(4)一審の中間判決は、国防総省がジュゴンの保護計画を作成していないことは違法との判断を示していた。このため国防総省は「ジュゴンへの影響はない」と結論づけた報告を提出した。日本政府の環境アセスメントなどを踏襲した内容だが、日本のアセスは生物多様性への影響を十分考慮したものとは言えない。一方、連邦高裁は「環境分析を終え最終的な計画を策定した上で、普天間飛行場代替施設計画(FRF)に着手している」という日本政府の主張に納得していない。「一時停止や再開、計画変更を繰り返しているのが現状だ」と指摘しているからだ。
(5)指摘のように沖縄防衛局は新たな海上ボーリング調査を計画している。海上ヤードの設置も取りやめとなっており、今後、設計や工法など工事計画が大幅に変更される可能性が浮上している。変更するならNHPAに基づく新たな分析が必要になるだろう。連邦高裁からすれば「議論は収束していない」のである。差し戻し審で、ジュゴン保護に関する審理が尽くされることを期待する。


 今回の沖縄ジュゴン訴訟の控訴審判決から、沖縄の2紙をまとめると、次のことが言える。


Ⅰ.地裁では新基地建設でジュゴン保護の義務が尽くされているか再検証を迫られる可能性が出てきた。また、連邦高裁からすれば「議論は収束していない」のである。差し戻し審で、ジュゴン保護に関する審理が尽くされなければならない。
Ⅱ.今後、設計や工法など工事計画が大幅に変更される可能性が浮上している。変更するならNHPAに基づく新たな分析が必要になる。
Ⅲ.日本政府は、米国で差し戻し審の結果が出るまで、新基地建設工事を中止しなければならない。
Ⅳ.沖縄防衛局のジュゴン生息調査で、辺野古北側の嘉陽沖や西海岸の古宇利島沖などでジュゴン3頭を確認していた。しかし、3頭のうち1頭が2015年6月を最後に約2年間、同じ海域で確認できていない。ジュゴンが来ないのは、新基地建設工事に伴い大きな環境変化が生じ、ジュゴンの生息に影響を与えたことの証拠だ。環境は保全されていないのである。差し戻し審で、ジュゴンに影響なしとした国防総省の報告を、しっかり検証しなければならない。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-30 07:05 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「核兵器禁止条約」の採択を日弁連会長声明から読む。

 「核兵器禁止条約」が2017年7月7日、国連で採択された。
 このことを、朝日新聞は2017年7月7日、「核兵器の使用や保有などを法的に禁ずる核兵器禁止条約が7日午前(日本時間7日深夜)、米ニューヨークの国連本部で開かれている条約交渉会議で採択された。広島と長崎への原爆投下から72年。『ヒバクシャにもたらされた苦痛』との一節を前文に入れ、人道的見地から核兵器の存在を否定する条約が誕生した。」、と伝えていた。
日本弁護士連合会は、2017年7月10日、「『核兵器禁止条約』の採択に関する会長声明」
を発表した。
この声明を読む。


Ⅰ.日弁連の立場

(1)当連合会は、本年3月27日から始まった「核兵器のない世界」を国際法規範として確立することを目的とする史上初の本国連会議に注目し、6月6日付けで「『核兵器禁止条約』の早期実現を求める会長声明」を発表するとともに、NGOとして参加し、同国連会議の第二会期中の6月19日には、 当連合会の代表が発言を行った。
(2)当連合会が1954年の第5回定期総会において、「原子力の国際管理、平和利用、原子兵器の製造、使用、実験禁止に関する宣言」を行い、1978年には当連合会独自の「核兵器使用禁止条約案」を発表し、当時のワルトハイム国連事務総長に提出するなど、核兵器禁止条約締結を求めてきた歴史を振り返るとき、今回の条約採択については、当連合会としても、高く評価し、心から歓迎する。


Ⅱ.「核兵器禁止条約」の意義

(1)核兵器の完全な廃絶こそ、核兵器が再び使用されない唯一の方法であるとして(前段第2段)、核兵器の使用がもたらす「壊滅的な結果に対して、人類は適切に対処できない上、その影響は国境を越え、人類の生存、環境、社会経済的な発展、世界経済、食料の安全及び現在と将来の世代の健康に重大な影響を与え、しかも、電離放射線の影響を含めて女性及び少女の健康に対し均衡を失する悪影響を及ぼす」(前段第4段)とし、その使用は、「武力紛争に適用される国際法の規則、特に国際人道法の原則及び規則に違反する」(前段第9段)ことを確認したことは、これまでの当連合会の意見と一致するものである。
(2)締約国に課される法的義務としての核兵器その他核爆発装置についての禁止行為(第1条)として、「使用」だけでなく「使用の威嚇」を加えたこと、他に「開発、実験、生産、製造、その他の方法による取得・保有・貯蔵」、更には「移譲、直接・間接の受領、禁止行為の援助・奨励・勧誘、配置・配備・設置の許可」を含めて、これら全てを禁止したことは画期的である。
(3)被爆者の声を受け入れ、「核兵器の使用又は実験によって影響を受けた自国の管轄下にある個人について、適用可能な国際人道法及び国際人権法に従い、医療をはじめリハビリテーションや心理的な支援を含めて、年齢及び性別に配慮した援助を適切に提供し、社会的・経済的に社会に包摂されるようにする」ことを締約国の義務とし(第6条第1項)、さらに、採択に当たり、「過去に核兵器またはその爆発装置の使用を行った締約国は、犠牲者の援助のために、影響を与えた他の締約国に対し、十分な援助を行う責任を有する」ことを定めたこと(第7条第6項)の意義も大きい。


Ⅲ.日弁連の主張

(1)当連合会は、1950年の第1回定期総会において、「地上から戦争の害悪を根絶し、平和な世界の実現を期する」と宣言して以降、繰り返し核兵器の廃絶や被爆者の援護を求め、世界の諸国間で核兵器禁止条約が締結されるよう提言してきた。
(2)その立場からすれば、当面は締約国間の法的義務を定める本条約が、「締約国会議及び検討会議に、条約の締約国ではない国及び国際連合その他関連する国際機関、地域的機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、関連する非政府機関をオブザーバーとして出席するよう招請する」(第8条第5項)としたことは、今後の核兵器禁止条約の国際的な広がりと市民社会の世論形成にとって有益であると評価する。
(3)また、このことは、日本政府が、原子爆弾の投下による被害を受けた唯一の被爆国として、積極的な役割を果たす礎となることを期待するものである。


 確かに、核兵器の使用は、「武力紛争に適用される国際法の規則、特に国際人道法の原則及び規則に違反する」(前段第9段)、とされたことの意味は大きい。
 また、「締約国に課される法的義務としての核兵器その他核爆発装置についての禁止行為(第1条)として、「使用」だけでなく『使用の威嚇』を加えたこと、他に『開発、実験、生産、製造、その他の方法による取得・保有・貯蔵』、更には『移譲、直接・間接の受領、禁止行為の援助・奨励・勧誘、配置・配備・設置の許可』を含めて、これら全てを禁止したこと」は素晴らしいことである。
 問題は、日本政府のあり方である。




by asyagi-df-2014 | 2017-07-26 07:31 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「ヒバクシャにもたらされた苦痛」との一節を前文に入れた核兵器禁止条約が、米ニューヨークの国連本部で開かれている条約交渉会議で採択。

 朝日新聞は2017年7月8日、標題について次のように報じた。


(1)核兵器の使用や保有などを法的に禁ずる核兵器禁止条約が7日午前(日本時間7日深夜)、米ニューヨークの国連本部で開かれている条約交渉会議で採択された。広島と長崎への原爆投下から72年。「ヒバクシャにもたらされた苦痛」との一節を前文に入れ、人道的見地から核兵器の存在を否定する条約が誕生した。
(2)この日の交渉会議には国連加盟193カ国中124カ国が出席。投票の結果122カ国が賛成した。北大西洋条約機構(NATO)に加わるオランダが反対。シンガポールは棄権した。
(3)条約は核兵器の使用、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移転など幅広く禁止。当初案で除外されていた、核使用をちらつかせる「脅し」の禁止も最終的に盛り込まれた。また、核兵器の使用や実験の影響を受けた人々に、医療などの援助を提供することもうたった。
(4)9月20日から各国の署名手続きが始まる。批准国数が50カ国に達した後、90日をへて発効する。ただし、批准しない国には効力がない。条約推進国側は、核兵器の「非人道性」を強調することで国際世論を喚起し、核兵器の廃絶を後押しする狙いがある。
(5)日本政府は3月の交渉会議で「北朝鮮の脅威といった現実の安全保障問題の解決に結びつくとは思えない」と表明し、5核保有国などと歩調を合わせてボイコットした。米国の「核抑止力」を国家安全保障の柱に据える国々は、近い将来の条約加盟が見通せない状況だ。(ニューヨーク=松尾一郎、金成隆一)
(6)核兵器禁止条約が採択された。前文は「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)と核兵器実験の被害者にもたらされた苦痛と被害を心に留める」とうたう。核兵器は国家安全保障の「必要悪」などではなく、人類に被害をもたらす「絶対悪」だと訴えてきた広島・長崎の被爆者の願いが盛り込まれた形だ。
(6)米ソ冷戦期のピーク時に7万発超あった核兵器は約1万5千発にまで減った。とはいえ、核保有国が核軍縮の「段階的アプローチ」の第一歩と位置づける包括的核実験禁止条約(CTBT)は、成立から20年余り経っても米国や中国などが批准しないため、今も発効していない。大多数の非核保有国はこうした現状に強く異議を唱え、世界の核被害者らとともに「人道的アプローチ」を進めてきた。
(7)2013~14年に「核兵器の人道的影響に関する国際会議」を開催。広島・長崎の被爆者や世界各地の核実験場の風下被曝(ひばく)者らの証言を聞き、「核と人類は共存できない」と結論づけた。こうした世界の核被害を国際社会が再認識し、可視化したのが核兵器禁止条約だ。条約には「放射線の女性への悪影響」や「被害者支援と環境回復」など、「風下」の核被害者らの視点が多く盛られた。「核兵器は非人道的で使えない」との「悪の烙印(らくいん)」を押し、すでに禁止条約が発効している生物・化学兵器や対人地雷、クラスター弾といった非人道兵器と核兵器を同列に並べることで、核兵器に対する価値観の大転換につなげる狙いだ。
(8)核保有国に同調して日本政府は交渉に参加しなかった。だが条約は発効後、締約国会議への非締約国のオブザーバー参加を認める。被爆国・日本が世界の核被害者たちに寄り添うかどうかが問われそうだ。


 朝日新聞は2017年7月9日、この採択を、「『核兵器のない世界』の実現に向けた歴史的な一歩だ。」、と評価した。
一方、採択について、「採決では国連に加盟する国の3分の2近い122カ国が賛成した。米ロ英仏中などの核保有国や北朝鮮は交渉をボイコットし、日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国など、米国の核の傘に入る国々もオランダを除いて参加しなかった。交渉では『核の使用をちらつかせる脅し』が禁止対象に加わった。核保有国はもちろん、核の傘の下の国が条約に入るのは困難になった。日本の大使は『署名しない』と断言した。」、と伝えた。
 しかし、この採択の意味を次のように解説する。


(1) 条約は国際的な規範である。発効すれば、核兵器の抑止力に頼った安全保障政策は国際法上、正当化できなくなる。その意義は大きい。
(2)すでに中南米や南太平洋、東南アジア、アフリカ、中央アジアでは核兵器を禁じる非核兵器地帯が実現している。条約で「核兵器は違法」との規範を確立することは、核に固執する国々に政策転換を迫る、さらなる圧力となるだろう。そうした国々の政治家や国民に認識してもらいたいのは、核兵器の非人道性だ。
(3)広島、長崎で20万人以上が殺され、生き延びた人も放射線の後遺症に苦しむ。核保有国は戦後も世界中で2千回を超す核実験を繰り返し、先住民を中心に多くの人々を被曝(ひばく)させた。条約の前文は、核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)や核実験被害者の「受け入れがたい苦痛と被害」に触れた。核がもたらす非人道的な結末を二度と繰り返してはならない、という固い決意が込められている。


 また、日本政府の姿勢については、次のように批判する。


(1)この点で国際社会を失望させたのは、交渉を冒頭で退席した日本政府だ。被爆国でありながら、米国の核の傘に頼る安全保障政策を変えようとしない。
(2)核・ミサイル開発を急ピッチで進める北朝鮮は深刻な脅威だ。一方の北朝鮮は、米国の核こそ脅威だと反論する。双方が核に依存し続ける限り、核が使われるリスクは消えず、核兵器のない世界も近づかない。
(3)日本は、条約成立へ向けた各国の動きを、核の傘からの脱却をはかる機会ととらえ、その道筋を真剣に考えるべきだ。


 さらに、朝日新聞は、「条約は、加盟国が集まる会合に、非加盟国がオブザーバーとして参加できる規定も盛り込んだ。日本はこうした機会を積極的に生かし、条約への早期加盟の可能性を探ってほしい。」、と結んだ。


 ここでもまた、「米国の目下の政府として、対米従属政策を『国是』としてきた」日本という構図が際立つ。


 朝日新聞は、こうも伝える。


 核兵器禁止条約採択後の7日午後(日本時間8日早朝)、米ニューヨークの国連本部。カナダ在住の被爆者、サーロー節子さん(85)の力強い声が響く。

 「私はこの日を70年以上待ち続けていました」
 明瞭で、訴えかけるような英語のスピーチに、各国代表やNGO関係者らがじっと耳を傾ける。
 これまでの核抑止政策を失敗と断じ、「我々は取り返しのつかない環境汚染を繰り返しません。将来世代の命を危険にさらすことを続けません。世界各国の指導者たちに懇願します。もしあなたがこの惑星を愛しているのなら、この条約に署名してください」。
 最後は、こう締めくくった。
 「核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。そして今では、法律にも反するのです。一緒に世界を変えていきましょう」


 やはり、「核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。そして今では、法律にも反するのです。一緒に世界を変えていきましょう」、との声に続こうではないか。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-16 06:05 | 持続可能な社会 | Comments(0)

今村復興相が、「自主避難は『本人の責任』」、と言い放つ。

 朝日新聞は2017年4月5日、標題について、「今村雅弘復興相は4日午前の閣議後会見で、東京電力福島第一原発事故で今も帰れない自主避難者について、国が責任を取るべきでは、との記者の問いに対し、『本人の責任でしょう。(不服なら)裁判でも何でもやればいいじゃないか』と発言した。記者が重ねて質問すると『出て行きなさい』などとして質問を打ち切った。同日夕、記者団に『感情的になったのはおわびする』と釈明したが、自主避難者への発言は『私は客観的に言ったつもりだ』と撤回しなかった。」、と報じた。
 このことに対して、原子力損害賠償群馬弁護団(団長鈴木克昌弁護士)は、2017年4月5日付けで、「今村雅弘復興大臣の発言に対する抗議声明」を今村雅弘復興大臣に送付しています。

 この声明に基づき、大事なことを確認します。
 まず、自己責任発言についてです。

Ⅰ.前橋地方裁判所(原道子裁判長)は,福島県から群馬県に避難した原告などが国と東京電力を相手に提起した損害賠償請求訴訟において,国に東京電力と同等の賠償責任を認めた上,原告となった自主避難者のほとんどの人について,避難することが合理的であったこと,また,種々の理由で避難を継続していることも合理的であることを認めました。
 すなわち,上記前橋地裁判決は,自主避難者が避難したことや避難を継続していることは,自己責任ではなく,国に法的な責任があることを認めていること。
 
 次に、政治家としての使命に関してです。

Ⅱ.三権分立の下では,行政府は,司法によって具体的な事件を通じて国民の権利利益を擁護すべき判断が下されたときは,その判断を真摯に受け止める必要があります。今村復興大臣の上記発言は,三権分立の理解に欠けているものと言わざるを得ません。

 あわせて、声明に触れられている次の事項についても、極めて不当なものであると言えます。

Ⅲ.「それなりに国の責任もありますねと言った。しかし,現実問題として,補償の金額はご存知のとおりの状況でしょう。」と述べています。
 上記発言は,明らかに上記前橋地裁判決を念頭に置いた発言です。このような発言は,我々の依頼者が裁判に訴えなければならなかった事情を全く知らないが故の極めて軽率な発言であるとともに,我々の依頼者である原告を侮辱するものである。




by asyagi-df-2014 | 2017-04-06 08:14 | 持続可能な社会 | Comments(0)

安倍晋三政権は、「核保有国と非保有国の橋渡し役」を放棄した。

 朝日新聞は2017年3月29日、標題について次のように報じた。


(1)米ニューヨークの国連本部で27日に始まった「核兵器禁止条約」の交渉会議で、日本政府代表の高見沢将林軍縮大使は「核兵器国の理解や関与が得られないことは明らかだ」と演説し、交渉への不参加を宣言した。唯一の被爆国としての核軍縮推進と、北朝鮮の核開発など安全保障環境の厳しさをてんびんにかけた結果、自任してきた「核保有国と非保有国の橋渡し役」を放棄した。
(2)「核兵器国と非核兵器国の対立をいっそう深めるという意味で逆効果にもなりかねない。交渉へは参加しないことにした」
 岸田文雄外相は28日、首相官邸で記者団に、核兵器禁止条約への交渉不参加を表明した。被爆地広島出身の外相として、昨年5月のオバマ前米大統領の広島訪問の実現に尽力し、条約制定に向けた交渉開始が決まった昨年10月の記者会見でも「交渉に積極的に参加し、主張すべきことは主張していきたい」と訴えていた姿勢から一転した。
(3)日本政府関係者は「トランプ米大統領を刺激することはすべきではないという首相官邸の意向」があったと話す。親密ぶりが演出された先月の日米首脳会談では、日本の働きかけで共同声明に米国の「核の傘」による日本の防衛が盛り込まれた経緯もあり、条約に反対する米国と歩調を合わせる道が妥当と判断した。
(4)日本政府は当初、交渉に参加し、「核なき世界」の実現に寄り添いながら、北朝鮮の核ミサイル開発の脅威などを挙げ、「今すぐ条約を制定するのはマイナス」と主張し、被爆地と米国双方から一定の理解を得るシナリオを描いていた。だが、いざ交渉に向けた情報収集をしてみると、日本の狙いに賛同してくれそうな交渉参加国が見当たらず、「仲間がいると思ったらいなかった」(日本政府関係者)との誤算もあった。過去の発言との整合性を記者団から問われた岸田氏は、質問を遮りながらこう述べた。「最後の最後まで様々な情報があった。我が国の主張が会議で受け入れられることは難しい。こういった判断だ」(下司佳代子)
■反対派の不参加、織り込み済み
(5)27日午前10時すぎ。核兵器禁止条約の交渉会議が始まった議場の外に、米国のヘイリー国連大使ら約20カ国の代表が並んだ。交渉を批判するためだった。ヘイリー氏は「禁止条約を作るために議場に足を踏み入れた国々は、自国民の利益を考えているのか、自問しなければならない。我々が直面する脅威を理解しているか」と交渉の参加国を批判。両脇に英仏代表が立ち、韓国など「核の傘」に入る国々も同席した。
(6)米国では1月、トランプ政権が誕生した。同政権は「核能力の強化」を掲げ、核軍縮には後ろ向きとされる。国連などでの多国間交渉にも否定的だ。「核なき世界」の理想を掲げたオバマ前政権とは異なる。ロシアも時折、米国との新たな軍拡競争をいとわないかのような姿勢をみせる。核大国の米ロが核軍縮への意欲を失っている。ただ、反対派の不参加は、主要な条約推進国側には織り込み済みだ。「交渉を迅速かつ率直に進める」(メキシコ)ことで、対立状態が長期化して国際的な分断が深まることを避けたい考えだ。さらに核保有国など反対派が将来、条約に加わりやすくするため、条約の文言や構成を工夫するよう知恵を絞る。条約案の最初のたたき台は5月にも示される。(ニューヨーク=松尾一郎、金成隆一)


 あわせて、次の「声」を伝えた。


(1)27日の交渉会議で被爆体験を語った、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の藤森俊希事務局次長は、政府の交渉不参加表明について「とても賛同できない。外務省や政治家は『唯一の戦争被爆国』という枕ことばを使う。今回、(軍縮)大使が『建設的なことができない』と、いわば『帰る』と言いに来たようなもの。唯一の戦争被爆国の政府が言う言葉ではないと私は思う」と話した。
(2)国内の被爆者からも、落胆や憤りの声が上がった。
 「怒り心頭。がっかりです。日本政府は核廃絶の立場にまわるべきだ」。広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)の箕牧智之(みまきとしゆき)副理事長(75)は28日、広島市で会見し、こう語った。条約制定を求めて国際署名を集めているだけに失望も大きい。「被爆者の願いは永遠に核被害者がまた出ないこと。会議ではその思いをないがしろにしないことを願っている」
(3)原爆で背中に大やけどを負った長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄(すみてる)会長(88)も長崎市で取材に応じ、「人間の苦しみを分かっていない」と怒りをあらわにした。原爆の熱線で背中を焼かれた自身の写真とともに、核兵器廃絶を訴えてきた。「核廃絶に向かっている国際社会の動きに反している。被爆国としての役割を果たしてほしい」
(4)長崎市の田上富久市長は報道陣に「被爆地として到底理解できず、深い失望を感じている」と語った。広島選出の岸田文雄外相が、会議への参加には前向きな姿勢を示していたことに期待を寄せていた。「被爆国としてテーブルにつき、どういった条約なら前に進むのか、議論をしっかりとリードしてほしかった」とも述べた。
(5)核兵器禁止条約を推進してきたNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のティム・ライトさん(アジア太平洋担当)は「日本は核兵器を受け入れるのか、受け入れないのか。今回の歴史的な交渉への不参加は、日本が核兵器を合法的な兵器と考えていることを示している。日本の不参加は、核なき世界の達成を切望してきた広島と長崎の生存者への侮辱であり、被爆者への裏切りだ」とコメントした。




by asyagi-df-2014 | 2017-04-01 08:33 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「TPP恥ずかしくないのか!党としてウソをつく」-北海道がんセンター名誉院長西尾正道氏の国会意見陳述を紹介-

 「お役立ち情報の杜(もり)」は2016年12月4日、「TPP恥ずかしくないのか!党としてウソをつく」とする北海道がんセンター名誉院長西尾正道氏の国会意見陳述を紹介している。
 「お役立ち情報の杜(もり)」は、「2016年12月2日、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏が参議院のTPP特別委員会で意見陳述をしました。日本国民が知っておくべき重要な事実が多数含まれています。ビデオが見られない環境の人もいると思いますので、以下に陳述内容の書き起こしを記します」、とTPPを考える材料を提供してくれています。
これを要約します。

Ⅰ.事実
(1)米国の医療はとんでもなく高い。日本のGDPの20%以上を占めてますし、日本の7倍の医療費が使われてる。TPPになるって事は、結局アメリカナイズされた医療になるという事でございます。もうお互いに助け合うとかですね、共に生きるなんていう発想は無いんです。とにかく、医療も完全に金儲けの道具になるというふうに考えて下さい。米国のロビー活動費見たら、何がターゲットですか?農業とかそういうものじゃないです。最大のターゲットは保険も含めた医療業界の仕掛けなんです。2013年の3月4日付けのタイムスに28ページに渡る、米国医療の驚愕・医療ビジネスという特集号が出てました。正にこの中から取った記事であります。こういう事によって日本の医療は多分、かなり大幅に変わると思います。
(2)ちなみに米韓FTAが2012年に締結されましたけど、韓国の医療費は2年間で2倍になりました。日本は韓国の医療規模の4倍位ありますから、恐らく、あっという間に膨大にお金が飛び上がる。今オプシーボ(新型がん治療薬)で、半額にしようなんて議論やってますが、そんな話じゃ全然なくなります。本当に深刻です。
(3)1985年以来、とにかく日本の医療市場を解放する様に、アメリカはずっと働きかけて参りました。最近では新薬創出加算の様なものを作ったりして、一様に製薬会社が有利な形で日本市場に参入して参りました。しかしTPPが正にこういったですね、米国が日本の医療産業の解放を行う最後の仕上げがTPPだと僕は考えております。ちなみに米国業界と保険業界の標的は日本市場であるという事は、全国保険団体連合会の寺尾さんの論文からサマリー(要約)を取ったものです。
(4)私が医者になった頃は、1ヶ月の抗がん剤は数千円でした。90年代になって数万円になりました。21世紀になって数十万円になりました。そして3年前の免疫チェックポイント阻害剤が出たら数百万円になりました。桁3つ違ってますけども、TPPが締結されればどうなるか?要するに、アメリカの製薬会社の殆ど言いなりの値段になりかねない。中医協(厚生労働大臣の諮問機関)ではチェック出来ません。中医協のやってる事が透明性とか公平性を欠くとISD条項で訴えられたら出来ませんので、かなり製薬会社の意向を汲んだ価格になる。ダントツで日本の医療費は飛び抜けます。最終的にはですね、皆保険も実質的に崩壊するというふうに考えております。
(5)患者負担が増大し、混合医療が解禁されます。民間医療保険が拡大します。営利産業が医療に入ってきます。このままでは日本の医療は崩壊し、日本人の健康は守られません。新技術が保険診療に出来ない事態が考えられますし、実際の術式(外科手術の方式)までですね、特許料を取るというような事態になります。医療費も高くなりますので、国民はみんな医療保険に入らざるを得ない社会にもなりかねない。
(6)遺伝子組換えを日本人が一番食べてる。アメリカにとって、大豆やトウモロコシは家畜のエサです。ところが日本人は納豆で大豆食べます。味噌や醤油の原材料です。一番食生活で、遺伝子組み換えの影響を受けるのは日本人の食生活なんです。こういう事が全くチェックされないで、世界一、遺伝子組み換え食品が普及してる。日本人の健康そのものが保てません。ガンの患者さんが増えてるのは高齢者だけじゃないです。食生活を含めて増えてるし、更にもっと深刻なのは、昔60以上になってガンになってたのが、今は40代はザラです。約20年、若年化してガンになってます。これが現実です、僕の実感として。自分達の国で農薬を規制したり、遺伝子組み換えを表示したりする事が、TPPに入った場合に出来なくなっちゃうんです。日本の国の決まりよりもTPPの方が上位にある訳です。こういう現実を冷静に考えて頂きたい。
(7)最近では遺伝子組み換えで、鮭も5倍位大きいものが作られてますよね。これも規制しなくていいの?ってことですよね。本当に何があるか分かりませんよ。子宮頸がんワクチンだって、今まで不活化ワクチンか弱毒化ワクチンで作ってたんです。だから大きな問題は起きなかった。子宮頸がんワクチンは遺伝子組み換え技術で作ってるんです。更に効果を高める為に、アルミニウムの様なアジュバント(補助剤)を加えて作ってるから、ああいう予期しない問題が起こっちゃう訳です。 

Ⅱ.疑問、問題点
(1)かつて自民党は、「ウソはつかない!TPP断固反対!」って言ってました。稲田防衛大臣はかつて、「TPPのバスの終着駅は日本文明の墓場だ」という発言をしてるんですけれども、コロッと個人がウソをつくとかいうレベルではなくて、党としてウソをついてる、180度態度を変えちゃう。国民は一体誰に投票したらいいんですか?党の公約も破棄しちゃう。修正どころか180度変えちゃう。これはウソとしか言い様が無い。倫理的・道義的な問題はどうなっているんでしょう。恥ずかしくないんですかね!TPP断固反対と何年か前に言っていたのに。この様に息を吐くようにウソをつかれたら、やってられません!国民は。
(2)そもそも6000ページにも及ぶ内容を本当に皆さん読んでるんですか?情報出して下さいといっても海苔弁当の段階です。知らないで、赤信号みんなで渡れば怖くないって言って、皆さん賛成しようとしている訳です。冗談ではない。条文をまともにチェックもしてない訳ですから、実際には赤信号も見ないで渡ろうとしている訳です。これが今の現実です。

Ⅲ.TPPの本質
(1)TPPってのは基本的には、昔戦争、今TPPです。昔は戦争を仕掛けて国益を取りました。ところが公然と核兵器を持つ時代になったら、お互い面と向かって戦争は出来ない。地域紛争は勿論起こりますけども、国家として国同士がぶつかり合えないですから、国益を取る。むしろグローバル企業ですけれども、国を動かしているグローバル企業の利益を取る為に、貿易上の仕組みを変えて利益を取ろうってのが正にTPPでございます。これがTPPの本質でございます。
(2)TPPの本質は、グローバル企業が一般国民を犠牲にした金儲けでございまして、自由貿易は善であるという前提なんですけど、国の状況とかですね、経済格差を考えてやるべきであって、これ自体が本当に良いかどうかは話が別ですね。産業革命以来、富の源泉ってのは労働力でした。今はロボットも使える、AI(人工知能)も使える。そしたら何が富の源泉かっていうと、科学技術を持つか持たないかです。そうすると、科学技術の負の側面は隠蔽するという事になりますし、そういう事が金儲けになっちゃうと、とんでもない格差が出来ます。それをどういうふうに公平性を保って再配分するかっていうのが本当の意味での政治家の仕事だと思います。こういった本質的にやるべきことをきちっとやらないで、どんどん企業が儲けるようなところに世界を誘導していくってのは、とんでもない事だと思います。
(3)生命を脅かすTPPの2つの大きな問題がございます。医療問題を言いました。もう一つは健康問題です。例えばこの40年間、ホルモン依存性のガン、女性は、僕医者になった頃、乳ガン15000人でした。今90000人です。前立腺ガンも殆どいなかったけど、今90000人で、男性の罹患者数のトップになりました。卵巣ガンもどんどん増えてる。子宮体ガンも増えてる。ホルモン依存性のガンが5倍になってるんですよ。この40年間でアメリカの牛肉消費量は5倍になりました。正にエストロゼン(女性ホルモン)入のエサを与えて1割生産性を高めて、そういう肉を食べている日本人もアメリカ人も5倍になってるんです。ホルモン依存性のガンが。それから耐性菌もそうですね。豚や鶏には抗生物質入りのエサを与えて生産を高めてる。そのため、人間が肺炎になっても薬がなかなか効かないという問題もございます。それから残留農薬が世界一緩和されてる。とんでもない話だ。今一番使われてるネオニコチノイド系の農薬が自閉症の原因であることが突止められてます。WHOでは発ガンにも関係しているとBランクにランキングされました。それから認知症にも関係している。鬱病にも関係しているという報告がどんどん出てきている。このままいけばアメリカの子ども達が、二人に一人が自閉症になるよという論文が、ハーバード大学から去年出ました。本当に、こういう事が深刻なんですね。
(4)大変深刻なのは、今、福島から出ている放射性物質、これは微粒子として浮遊してます。残念ながら。そういうものと、農薬も含めた化学物質が人間の身体に入った場合、相乗的に発ガンするって事が動物実験で分かってます。こういう多重複合汚染の社会になって来て、恐らく2人に1人がガンになるっていわれてますけども、多分20〜30年経ったら3人のうち2人はガンになります。僕はとっくに死んでますから、若い議員さんは是非確かめてください。この場で西尾が嘘を言ったかどうか確かめて欲しい。本当にガンがどんどん増える社会になります。自分たちの国でキチッと法律で、ある程度規制出来る様な体制を作る為には、決してTPPに加入すべきではないと私は思っております。


 西尾正道さんの意見陳述は、「自分たちの国でキチッと法律で、ある程度規制出来る様な体制を作る為には、決してTPPに加入すべきではないと私は思っております。」、という結論です。
 また、安倍晋三政権に対しては、「もう少し冷静に、命を重視する、お金よりも命を大事にするっていう発想に切り替えるべきだと思います。」「一人の人間として、共に生きる社会をどう作るかっていう事を本当に真剣に考えて頂きたい。」、と真摯に訴えています。




by asyagi-df-2014 | 2016-12-09 07:54 | 持続可能な社会 | Comments(0)

TPPで、オバマ政権は、事実上断念。

 朝日新聞は2016年11月12日、標題を次のように報じた。



朝日新聞-任期中の承認、事実上断念 TPPでオバマ政権-2016年11月12日16時30分


(1)米ホワイトハウス高官は11日の電話会見で、環太平洋経済連携協定(TPP)の議会承認手続きについて「共和党幹部と次期大統領が協議することになる」として、オバマ政権下での承認は困難との見方を示した。アジア戦略の中核に据えたTPPだが、共和党のトランプ氏が次期大統領に選ばれたことで、任期中の実現を事実上断念した形だ。
(2)オバマ政権は当初、次期大統領が就任するまでの期間のTPP承認に向け、共和党幹部らと水面下で調整を続けてきた。だが、「TPP離脱」を公約に掲げたトランプ氏が当選。選挙翌日の9日、共和党上院トップのマコネル院内総務が、「今年のTPP法案の提出はない」と明言していた。
(3)オバマ大統領が19~20日にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する前の電話会見で、アディエモ大統領副補佐官は「将来の貿易協定をどう進めるかについては、マコネル氏と次期大統領で協議することになる」との見方を示した。ローズ大統領副補佐官は「(TPPは)次期大統領と議会の焦点であり続けるべきだ」と話した。
(4)オバマ氏はペルーでTPP参加国による首脳会合に参加する。大統領選を受けた米国内の状況などについて説明する模様だ。
 米通商代表部(USTR)のフロマン代表も17~18日のAPEC閣僚会合に参加し、TPP参加国との協議を進める見通し。


 さて、日本はどうするかだ。


 以下、朝日新聞の引用。





More
by asyagi-df-2014 | 2016-11-15 09:54 | 持続可能な社会 | Comments(0)

介護問題-安倍晋三政権は、介護保険の費用抑制のため、政府内で検討が進む要介護度が軽い人へのサービスの見直し。

 安倍晋三政権の成長戦略の裏返しが、実はこんなことなのである。
 東京新聞は2016年8月3日、「介護保険の費用抑制のため、政府内で検討が進む要介護度が軽い人へのサービス見直しのうち、特に身近な福祉用具レンタルの全額自己負担化方針に、対象の高齢者から悲鳴が上がっている。当事者らには『用具を使って行動できるからこそ、元気でいられる』『生活を壊さないで』との思いが共通しており、『政府方針は逆に重度者を増やす』と主張する。」、と報じた。
 「軽度者のサービス切り捨ては、頑張って生きてきた高齢者の人生を今後はお金で買えということ。できない人は人生そのものを変えられてしまう。介護保険制度の信頼が根本から崩れる」(東京新聞)、との指摘は、本来あたりまえの論理である。
 しかし、安倍晋三政権の中では、これがあたりまえとは捉えられない。
新自由主義政策の徹底の縮図がこうした結果としてもたらされている。
 まずは、東京新聞が伝える「声」を聞こう。



(1)「『年金暮らしで、福祉用具の全額負担はあまりに厳しい。私のような人を家に閉じ込めないで』。兵庫県西宮市の女性(76)は、語気強く訴える。変形性股関節症が悪化し、二〇〇八年に左足を切断して以来、車いすの生活。ただ『気ままに暮らしたい』と、長男夫婦宅の近くで独居し、大半の家事をこなすほか、友人との観劇や茶会に積極的に出掛け、要支援2を維持している。『用具がなければ全部ができなくなり、認知症になりかねない』と不安がる。」
(2)「ヘルニア手術の後遺症で、五十年前に下半身まひになった盛岡市の吉田義夫さん(85)は、車いすや段差解消用のリフトを器用に扱い、一人で散歩や買い物に行くのが楽しみ。四年前に腸の手術をした後は要介護5だったが、現在は2。ケアマネジャーの資格を持つ長女幸子さん(52)は『月約五千五百円の用具レンタル代が十倍になったら、負担はとても無理。といって用具がなければ、私が仕事を辞めて面倒を見なければならなくなる』と頭を抱える。」



 東京新聞は、この問題を次のように説明する。


(1)「介護保険を利用してレンタルできるのは、トイレやベッドに設置できる手すり、歩行器、車いす、電動ベッドなど十一種。一割負担の場合、車いすだと一般には月に数百円で借りられ、利用者にとっては在宅で自立生活を続けるのに大きな手助けとなっている。」
(2)「厚生労働省の統計によると、一六年二月に介護保険で福祉用具をレンタルしたのは百八十四万人。うち政府側が要介護度が軽いとみなす要支援1、2と要介護1、2の人(軽度者)は百十四万人で六割を占める。一方、それらの人への福祉用具貸与のための給付費は九十五億円で、介護保険全体からみれば1・4%にすぎない。」
(3)レンタル事業者らでつくる日本福祉用具供給協会が昨年、日常的に用具を利用する約五百人に『用具が利用できなくなったらどうするか』を尋ねたところ『介助者を依頼する』『行動をあきらめる』との回答が多数を占めた。協会の小野木孝二理事長は『用具が使えなくなると、家族の介護負担が増すか本人の行動が抑制され心身状態が悪化する恐れがある。そうなると訪問介護の費用も人材も余計に必要になる。福祉用具貸与は費用対効果が大きいサービスだ』と強調する。」
(4)「日本ケアマネジメント学会の服部万里子副理事長は「軽度者のサービス切り捨ては、頑張って生きてきた高齢者の人生を今後はお金で買えということ。できない人は人生そのものを変えられてしまう。介護保険制度の信頼が根本から崩れる」と指摘している。」



 私自身の問題として、不覚にも、2015年6月閣議決定の「骨太の方針」に、「軽度者のサービス見直し」が明記されていることに気づかずに来てしまった。



 以下、東京新聞の引用。



More
by asyagi-df-2014 | 2016-08-06 05:50 | 持続可能な社会 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧