カテゴリ:人権・自由権( 20 )

東京都知事及び墨田区長の追悼文拒否の中で開かれた関東大震災追悼式。(2)

 東京新聞は2017年9月2日、「墨田区の都立横網町(よこあみちょう)公園では同日午前、朝鮮人犠牲者の追悼式が開かれ、出席した約五百人が、不当に命を奪われた人たちを悼んだ。しかし、例年実施されてきた都知事と墨田区長の追悼文読み上げは行われなかった。」、と報じた。
 標題について、東京新聞は2017年9月6日、「朝鮮人虐殺 歴史は抹消できない」、と社説を論評した。
東京新聞は、「歴史の事実は消すことができない。当たり前のことに、小池百合子東京都知事は疑問符をつけるのだろうか。関東大震災での朝鮮人虐殺犠牲者を弔う追悼文を出さなかった。真意を語ってほしい。」、とその社説を始める。
また、萩原朔太郎の次の三行詩を掲げる。


  近日所感
 朝鮮人あまた殺され
 その血百里の間に連なれり
 われ怒りて視る、何の慘虐ぞ


 「朝鮮人虐殺は動かせない史実である。」、と。
 さらに、東京新聞は次のように続ける。


(1)大震災の発生直後に「朝鮮人が暴動を起こした」といったデマが瞬く間に広がった。あおられた民衆が組織した自警団や住民が、朝鮮人を見つけ出しては殺傷した。
(2)知事名の追悼文は、少なくとも石原慎太郎氏の時代から歴代知事は毎年送ってきた。小池氏も去年は送ったではないか。
(3)こうつづられている。「極度の混乱のなか、多くの在日朝鮮人の方々が、言われのない被害を受け、犠牲になられたという事件は、わが国の歴史の中でも稀(まれ)に見る、誠に痛ましい出来事でした」。知事として、負の歴史と正面から向き合う姿勢が伝わる。この追悼文が今年はなくなった。歴史に目をつぶり、学ぶべき教訓を無意味化するにも等しい。
(4)その理由を記者会見で問われると、小池氏は、大震災の遭難者を弔う都慰霊協会主催の大法要の場で「全ての方々へ哀悼の意を表している」と繰り返した。聞く限り、真意はよく分からない。災害による落命と、民族差別を背景にした虐殺とは性格が異なるのに、「不幸な出来事」とひとくくりにもした。虐殺の史実については「歴史家がひもとくものではないか」と述べるにとどまった。
(6)追悼式の会場に立つ慰霊碑には、六千人余という犠牲者数が刻まれている。それを疑う声はある。国の中央防災会議の報告書は、殺された朝鮮人らは震災全体の死者十万五千人余の「1~数%」と推計する。虐殺の事実は否定できない。


 東京新聞は、最後に、こう結ぶ。


 「首都直下地震をはじめ大災害時に、小池氏は人命救助を指揮する責任を負う。人心を惑わし、暴走を招きかねないデマの拡散を防ぐのも重要な任務である。過去の教訓を蔑(ないがし)ろにしてはならない。


 確かに、「過去の教訓を蔑(ないがし)ろにしてはならない。」。
もう一度繰り返す。
 今回のことは、「国際社会の原則」-「人類の普遍的価値と国民的合意に基づく被害者の名誉回復と補償、真実究明と再発防止の約束という国際社会の原則」-を踏みにじる行為でしかない。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-15 14:52 | 人権・自由権 | Comments(0)

東京都知事及び墨田区長の追悼文拒否の中で開かれた関東大震災追悼式。

 東京新聞は2017年9月2日、「墨田区の都立横網町(よこあみちょう)公園では同日午前、朝鮮人犠牲者の追悼式が開かれ、出席した約五百人が、不当に命を奪われた人たちを悼んだ。しかし、例年実施されてきた都知事と墨田区長の追悼文読み上げは行われなかった。」、と報じた。
 このことについて、2017年9月2日付けの東京新聞「小池氏、虐殺の認識語らず 『歴史家がひもとくもの』」及びハンギョレ「追悼文拒否の中で開かれた関東大震災追悼式『忘却は再び悪夢を生む』」の記事で考える。


 この追悼式の模様とその問題点を、ハンギョレは、次のように伝えた。


(1)今年の追悼式は、例年以上に憂鬱な雰囲気の中で開かれた。小池百合子東京都知事側は「(朝鮮人らに向けた)特別な形での追悼文は控えた」と宣言した。2000年代以後、すべての東京都知事が毎年送ってきた追悼文を今年は送らなかった。
(2)変化した日本社会の雰囲気を反映する場面は追悼式場の目の前でも見られた。日本人20人あまりが集まって、朝鮮人追悼式と同じ時刻にすぐそばで日本人地震被害者慰霊式を開いた。彼らは「朝鮮人6000人虐殺は事実か?」「日本人の名誉を守ろう」などと書かれた大型横断幕を日章旗とともに掲げた。彼らは「朝鮮人6000人以上が虐殺されたというのは嘘だ。犠牲者は20分の1程度ではないだろうか」として「反対に日本人がやられた場合もないだろうか」とまで主張した。以前にも駅頭で追悼式反対パンフレットを配った人はいたが、追悼式場の目の前で反対行事が開かれたのは今年が初めてだ。市民団体の日朝親善協会会員シマオカ・マリ氏は「日本社会の右傾化が激しくなり、右派の力が一層強まっている。向かい側の反対集会がその例」と話した。朝鮮総連東京本部副委員長のホ・ジョンス氏は「以前にも過去を否定する人々はいたが、最近はきわめて露骨になった」と話した。
(3)日本の保守派も、関東大震災当時に朝鮮人が日本人に殺害された事実自体を完全には否定できない。関東大震災の後、日本では朝鮮人が毒を井戸に撒いたというデマが出回り、自警団が警察のほう助の下で朝鮮人数千名を虐殺した。日本の内閣府が作成した報告書にも、殺された場合があると書かれている。彼らは大震災後の混乱した状況で正確な統計がありえないという点を悪用している。内閣府の報告書には殺された朝鮮人と中国人の数について「殺傷事件による死亡者は正確には分からないが、地震による死亡者10万5000人の1~数%」と書いた。今年3月、古賀俊昭・東京都議会議員は「犠牲者数の6000人には根拠がない」という質問で追悼文の送付拒否を要請し、小池知事はこれに応じる形で朝鮮人虐殺隠蔽に加勢している。これは朝鮮人虐殺追悼碑撤去要求の動きにつながっていて、朝鮮人虐殺の事実全体を否定する動きにまで膨らむ可能性がある。


実は、東京新聞は、二つの日本の今を描き出していた。
それは、関東大震災当時に朝鮮人が日本人に殺害された事実自体を完全には否定できないにもかかわらず「過去を否定する人々」の姿であり、これに対抗するもう一つの姿である。


(1)追悼式実行委員長の宮川泰彦さん(76)は「歴史家の判断として逃げているだけで、虐殺否定論の上に立っているとしか思えない」と批判。「人の命を大事にせず、歴史的事実を自らの歴史観から否定するのなら知事としてふさわしくない。追悼文をやめたのもこれが本意だったと思う。学校現場など他分野にも影響が広がるのでは」と危惧した。
(2)一方、東京都と同様に当時朝鮮人虐殺があった埼玉県熊谷市では、市主催の朝鮮人犠牲者追悼式があり、富岡清市長が百五十人の参列者を前に追悼のことばを読み上げた。


 また、あわせて、ハンギョレは、「この日の追悼式には昨年の2倍ほどの500人余りが参加した。12時から始まった献花行列は40数分にわたり続いた。小池都知事の追悼文送付拒否が大きく報道されたので、逆に関心が高まって起きた苦々しい現象だった。この日、同じ横網町公園では、関東大震災と東京空襲の犠牲者を慰霊する行事が日本の皇太子が参加した中で開かれた。小池知事はこの行事には追悼文を送ったが、朝鮮人虐殺に対する言及はなかった。」、と伝えていた。


 このような状況をもたらした東京都知事と墨田区長に対して、ハンギョレは、関係者からの疑問の声を、次のように投げかける。


(1)「日本社会で関東大震災での朝鮮人虐殺の事実は歳月と共に風化し忘れられようとしている」。1日、関東大震災94周年朝鮮人虐殺犠牲者追悼式が開かれた東京墨田区の横網町公園で会った追悼式実行委員長の宮川泰彦氏は苦々しく話した。
(2)宮川委員長は「(保守的なことで有名だった)石原元東京都知事も虐殺を否定する雰囲気ではなかったので追悼文を送った。だが、小池知事は追悼文さえ送らない」と嘆いた。彼は追悼式で「自然災害で亡くなった人(日本人)と、人の手で殺された人とは違う。都知事が追悼文を送らないということは容認できない」として「忘却は再び悪夢を生む危険がある」とも話した。
(3)「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」事務局長の田中正敬氏は、追悼式で「関東大震災当時、朝鮮人だけでなく中国人、そして(労働運動家などの)日本人も殺された」として「私たち皆が加害者であり被害者になりうる」と話した。


 東京新聞は「朝鮮人虐殺追悼碑撤去要求の動きにつながっていて、朝鮮人虐殺の事実全体を否定する動きにまで膨らむ可能性がある。」という中での、今回の都知事と区長の「拒否」に対して、「史実 戦前の公文書」として次のように説明する。
 都知事の「(朝鮮人らに向けた)特別な形での追悼文は控えた」との回答への反論でもある。


(1)一九二三(大正十二)年九月一日に関東大震災が発生すると、「朝鮮人が暴動を起こした」などのデマが広がった。あおられた民衆がつくった「自警団」などの手で、多数の朝鮮人や中国人らが虐殺された。
(2)政府中央防災会議の報告書によれば、朝鮮人虐殺は当時の行政などの公的記録から確認できる。司法省の「震災後に於ける刑事事犯及之に関連する事項調査書」では、二百三十三人が殺害されたことが分かる。起訴事件分だけで一部にとどまる。
(3)朝鮮総督府の東京出張員が調べたという文書「関東地方震災ノ朝鮮ニ及ホシタル影響」では、殺された「見込数」として、東京約三百、神奈川約百八十、埼玉百六十六など計約八百十三人を挙げている。
(4)東京都公文書館所蔵の「関東戒厳司令部詳報」中の「震災警備ノ為兵器ヲ使用セル一覧表」は、軍の記録だ。軍隊の歩哨や護送兵の任務遂行上のやむをえない処置として十一件五十三人の殺害が記録されている。


 今、宮川委員長の追悼式での、「自然災害で亡くなった人(日本人)と、人の手で殺された人とは違う。都知事が追悼文を送らないということは容認できない」「忘却は再び悪夢を生む危険がある」、との訴えをどのように捉え直すことができるのかが問われている。
 結局、東京都知事と墨田区長の追悼文の拒否は、関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任に背を向けるものである。
 つまり、今回のことは、「国際社会の原則」-「人類の普遍的価値と国民的合意に基づく被害者の名誉回復と補償、真実究明と再発防止の約束という国際社会の原則」-を踏みにじる行為でしかない。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-13 06:15 | 人権・自由権 | Comments(0)

国連人権理事会と日本、沖縄

 2017年6月6日からスイス・ジュネーブで国連人権理事会が開催された。
沖縄タイムスは、阿部岳記者による「国連と沖縄・上・中・下」を掲載した。また、琉球新報は「国連『指針』違反 人権理事国らしい対応を」(2017年6月22日)、沖縄タイムスは「[国連報告者指摘]懸念に正面から答えよ」(2017年6月14日)、とそれぞれが主張を展開した。
 国連人権理事会と日本、沖縄という問題が、特別報告者の報告と日本政府の反論及び人権侵害の当該者からの報告という中で、浮き彫りになった。
 これを基に、国連人権理事会と日本、沖縄という問題を考える。
 まず、阿部岳記者の「ジュネーブの国連機関でこの1週間、沖縄の基地反対運動に対する政府の圧力が何度も議論になった。今後の課題を探る。」、という記事を要約する、
なお、阿部岳記者は、山城博治さんの釈放に向けて、沖縄タイムスの社説で心情に深く届く訴えを書いた人でもある。


Ⅰ.人権の遵守ということの意味 

(1)沖縄平和運動センターの山城博治議長は16日、スイス・ジュネーブの市街地にある国連人権高等弁務官事務所を訪れた。一室に集まった国連職員は、特別報告者のアシスタントら。返事は明快だった。「山城議長は当然、人権の擁護者である」「私たちは引き続き状況を見守っていく」。山城議長は思わず立ち上がり、90度のお辞儀をして「うれしいです。ありがとう」と言った。
(2)「人権の擁護者」は他の人の権利も守るため、国際的には特別な保護の対象となる。一方、山城議長は国内では刑事被告人として罪に問われている。同行した金高望弁護士は「国内法の形式的な適用のおかしさを痛感している。改めて国際人権法の到達点に感動した」と語った。
(3)例えば、集会に関する政府向けのガイドラインがある。「集会による一定の交通阻害や経済的損失は許容されなければならない」「警察機関は地域の人口構成を反映しなければならない」といった内容だ。
(4)軽微な道交法違反で逮捕が続き、県外から500人もの機動隊が投入される沖縄の状況は違反だらけだ。日本政府はこのガイドライン策定を求める決議に賛成しておいて、順守していない。金高弁護士は「日本では裁判所も国際人権法に耳を傾けないことが多いが、ヘイトスピーチに適用した画期的な判例もある。私たちも諦めず、愚直に国際基準を訴えていきたい」と決意を新たにした。
(5)スイス公共放送国際部が運営するニュースサイト「スイスインフォ」は10カ国語で発信している。日本語版の上原亜紀子編集長が山城議長にインタビューした。「2年前にも知事が来た。地方の権限が強いスイスの人はなぜ民意が反映されないのか、と不思議に思うだろう」と指摘する。「国連でも関心は高まっていて、沖縄という言葉を出すだけで基地問題のことだとすぐ分かる。山城議長のスピーチは短時間だったが、国際社会に訴える意義は大きい」と評価した。
(6)16日の沖縄に関するシンポジウム会場には、米軍のコロンビア駐留に反対するアメリカ法学者協会のデービッド・ロペス氏がいた。登壇者の話に聞き入り、「地球の反対側同士でも関係ない。米軍という同じ根っこから問題が生まれている。沖縄の闘いは私たちの闘いだ」と語った。

Ⅱ.もう一方の動き、反論

(1)スイス・ジュネーブの高級ホテルで13日、市民団体「沖縄の真実を伝える会」がシンポジウムを開いた。メンバーらが参加者20人余りに「真実」を報告した。「日本の共産主義者が沖縄に結集し、琉球独立の名の下に革命を計画している」「加害者が被害者を装って国連を悪用しようとしている」。国連の特別報告者デービッド・ケイ氏や沖縄平和運動センターの山城博治議長が、沖縄における表現の自由の侵害を人権理事会に報告する。その打ち消しを狙っていた。一定の効果はあったようだ。地元に住む女性は「沖縄では米軍犯罪が深刻なのかと思っていた。中国軍の方が脅威だと分かった」と感想を話した。もっとも、別の地元女性は「何でも共産主義者のせいか」と首をかしげた。
(2)日本政府も反論に躍起になった。12日のケイ氏の報告には駐ジュネーブ国際機関政府代表部で人権を担当する次席大使ではなく、トップの伊原純一大使が反論した。会議の合間を縫って出席、「わが国の説明や立場に正確な理解がない点は遺憾」と声明を読み上げた。記者団に囲まれたが「政府として言うべきことは言った」とだけ話すと、足早に会場を後にした。関係者は「トップが出ろ、と東京から指示があった。声明も全て東京で書いているから、聞かれても答えようがない」と代弁した。
(3)政府が事前に書面で提出した反論はさらに激しい内容だった。「伝聞と推測に基づく」「人権理事会の権威を著しく損なう」。
(4)一部のメディアも政府と一体化し、「国連反日報告」などと攻撃を強める。

Ⅲ.こうした政府の反論への異論

(1)神奈川大法科大学院の阿部浩己教授は、政府が北朝鮮には特別報告者の勧告受け入れを迫っていることを挙げ「ダブルスタンダードだ」と指摘。「日本政府は人権分野で国際社会の潮流から大幅にずれ、敵対しているようにすら見える」と懸念した。
(2)NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士は「レッテル貼りで異論を排除する手法を国際社会でも使おうとしている。有効ではないし、日本のためにもならない」とみる。「どの国も完璧ではない。批判された内容を謙虚に、建設的に検討することで、国際社会での評価はかえって高まる」と提起した。

Ⅳ.山城博治議長からの発信

(1)沖縄平和運動センターの山城博治議長を国連に送る計画は、沖縄国際人権法研究会の中で昨年から持ち上がっていた。表現の自由に関する特別報告者、デービッド・ケイ氏がことし6月の国連人権理事会で対日調査報告書を発表することが分かっていた。それに合わせ、スイス・ジュネーブで沖縄代表として発信するのは誰がいいか。山城議長が最適任だと一致したものの、この時点ではまだ留置場にいた。
(2)ジュネーブでの全日程を終えた16日、研究会共同代表の星野英一琉球大教授は「最初は全く見通しが立たなかった。実現できて感無量です」と喜んだ。費用のカンパは、インターネットだけで127万円(18日時点)が集まった。
(3)基地建設反対運動のさなかに逮捕され、5カ月間拘束された山城議長の言葉に、国連で出会った人々は真剣に聞き入った。山城議長は「県民の思いを果たすために泥まみれで運動をしてきて、手錠や腰縄をかけられた。世界中の人が人権を語る場に参加できて光栄だ」と語った。
(4)ジュネーブに駐在し、沖縄からの訪問を支援した反差別国際運動(IMADR)の小松泰介事務局次長によると、当事者が人権理事会で「日本政府による弾圧」を訴えるのは初めてとみられる。「国連関係者に正確で重みのある情報を届けられて成功だった」と言う一方で、「今後のフォローが大切だ」と指摘する。

Ⅳ.今後のフォロー、取り組みということ

(1)「ここで終わったら自己満足になる。現実的に国内政治をどう変えるかを真剣に考えなければ」と話すのは、同行した研究会メンバーで沖縄大地域研究所特別研究員の親川裕子氏。琉球弧の先住民族会(AIPR)の活動で初めてジュネーブを訪れたのは約20年前。「当時は県民にも政府にも全く相手にされず、疎外感があった。今、沖縄で国際人権法が注目され、政府も理事会で山城議長に即座に反論するのを見ると、時代は変わったなと思う」と述懐する。「小さなことの積み重ねでここまで来た」。
(2)研究会は今後も国連に対する働き掛けを続ける。国連加盟国が互いに人権状況をチェックする「普遍的定期審査(UPR)」で、日本が11月に対象になることから、当面はその場で各国から日本政府に質問してもらうことを目指して活動する。


 次に、琉球新報は、「日本政府が、東村高江や名護市辺野古の新基地建設で行ってきた警備活動は国連のガイドライン(指針)に反していることが明らかになった。」、と社説の中で、指摘する。
その具体的な説明は次のものである。


(1)国連人権理事会へ国連特別報告者が提出した報告書に、市民の抗議活動を各国が制限する際のガイドラインが示されている。国連ビルで開かれたシンポジウムでは、国連特別報告者が日本政府に熟読するよう求めた。
(2)昨年2月に提言されたガイドラインは(1)長期的な座り込みや場所の占拠も「集会」に位置付ける(2)座り込みなどによる交通の阻害は、救急車の通行といった基本的サービスや経済が深刻に阻害される場合以外は許容されなければならない(3)集会参加者に対する撮影・録画行為は萎縮効果をもたらす(4)力の行使は例外的に(5)集会による渋滞や商業活動への損害も許容されなくてはならない-という内容だ。
(3)米軍北部訓練場のヘリパッド建設や、辺野古新基地建設に反対する抗議行動に対する警備は、国連ガイドラインを逸脱していることになる。国際基準と言わずとも、ビラやチラシ、集会やデモ行進、座り込みなどは憲法21条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」として保障されている。
(4)ヘリパッド建設に対する抗議行動中に逮捕され、5カ月間勾留された山城博治沖縄平和運動センター議長について、国連特別報告者は「不均衡な重い罪を課している」としてガイドラインに反するとの認識を示した。
(5)米法学者も国際人権規約第9条違反と指摘し「山城さんのケースは明らかに微罪。米国の警察なら、仮に逮捕してもこの程度の微罪ならその日のうちに保釈している。これで長期勾留するなど民主国家としてあり得ない」と語っている。
(6)ガイドラインには「法執行者の構成は、そのコミュニティー(地域)を代表するものでなければならない」という規定もある。法執行機関と地域の「信頼」を重視したものだ。しかし、北部訓練場のヘリパッド建設で政府は、全国から500人以上の機動隊員を派遣し抗議する市民を排除し続けた。その過程で大阪府警の機動隊員が市民に「土人」と発言し、県民を深く傷つけ信頼が著しく損なわれた。


 琉球新報は次のように結論づける。


Ⅰ.政府は国連人権理事会の理事国として、あるいは国際社会の一員としてガイドラインに従わなければならない。
Ⅱ.日本は昨年、国連人権理事会の理事国選挙に、特別報告者との対話を重視すると共に「人権理事会の活動に積極的に貢献していく」と公約し当選したはずだ。山城さんに対する特別報告者の指摘に真摯(しんし)に向き合わなければならない。ところが「法に基づく適正なもので国際法違反はない」と開き直っている。理事国選挙の公約に反し、特別報告者を軽視する態度は許されない。


 さらに、沖縄タイムスは、国連人権理事会を受けて、「[国連報告者指摘]懸念に正面から答えよ」、と主張する。この中で、人権擁護の最前線に立つ2人の報告者の最近の日本政府の方針への強い懸念について、次のように報告する。


Ⅰ.特別報告者デービッド・ケイ氏報告

(1)言論と表現の自由に関する特別報告者のデービッド・ケイ氏が、ジュネーブで開催中の国連人権理事会に対日調査報告書を提出し、演説した。ケイ氏は昨年4月に訪日し調査した結果をもとに、放送局に電波停止を命じる根拠となる条項が盛り込まれた放送法見直しの勧告を検討するよう要請。報道の独立性確保を訴えた。
(2)基地を巡る沖縄の状況についても、抗議行動に加えられる圧力を指摘。活動への規制は「最小限で釣り合いの取れたものにとどめるべきだ」と慎重な対応を求めた。対日報告書では沖縄平和運動センターの山城博治議長の長期勾留について「抗議行動を萎縮させる懸念がある」ことにも言及している。
(3)これに対しジュネーブ国際機関政府代表部の伊原純一大使は「報道機関に違法・不当に圧力をかけた事実はない」「デモを含む表現の自由は最大限保障している」などと反論した。
(4)辺野古では今も新基地建設に反対する市民に対し、警察官や海上保安官らによる強制排除が続いている。政治的表現の自由が規制されているのである。政府の説明が説得力を持たないのは、ケイ氏が示した危惧を多くの県民が抱いているからにほかならない。


Ⅱ.特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏報告

(1) 国会で審議中の「共謀罪」法案について懸念を示す書簡を日本政府に送ったのは、プライバシーの権利に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏。ケナタッチ氏は、対象となる犯罪が幅広くテロや組織犯罪と無関係なものも含まれる可能性があることなどを挙げ、「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する。
(2)ところが安倍晋三首相は書簡を「著しくバランスを欠く不適切なもの」と批判。与党からは「国連の権威に名を借りた主張」という声まで飛び出している。ケナタッチ氏はプライバシー権の保護と救済を示してほしいと要請しているのであり、法案すべてを否定しているのではない。
(3)昨年、日本は人権理事会の理事国選挙に立候補した際「特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現に協力していく」と誓約している。異論は受け付けないというのは約束をほごにするものだ。


 琉球新報は、日本政府に対して、次のように危惧感を表明する。


(1)特別報告者に対する政府の反応に、1930年代のリットン調査団への抗議を彷彿(ほうふつ)させるという声が上がり始めている。日本の満州国建国を認めなかった調査団の報告に異議を唱え、国際連盟を脱退した時とよく似ているという。
(2)政府は国際世論に与える影響を心配し、特別報告者の指摘に神経をとがらせているようだが、国際社会から不誠実に映るのはどちらだろう。批判を正面から受け止める謙虚さと、指摘に対する丁寧な説明が必要である。



 最後に、沖縄タイムスと琉球新報の記事は、あらためて、国連人権理事会と日本、沖縄という問題を考えさせるものになった。
 少なくとも、次のことは言える。


Ⅰ.安倍晋三政権には、「批判を正面から受け止める謙虚さと、指摘に対する丁寧な説明」が必要である。
Ⅱ.安倍晋三政権は、「特別報告者に対する政府の反応に、1930年代のリットン調査団への抗議を彷彿(ほうふつ)させるという声が上がり始めている。」、という国際的な声を真摯に把握しなければならない。
Ⅲ.特に、安倍晋三政権は、国連人権理事会の理事国として、あるいは国際社会の一員としてガイドラインに従わなければならない。
Ⅳ.今後については、国連加盟国が互いに人権状況をチェックする「普遍的定期審査(UPR)」で、2017年11月に日本が対象になることに向けたとりくみが重要になる。



by asyagi-df-2014 | 2017-07-03 05:54 | 人権・自由権 | Comments(0)

国連人権理事会は、ハンセン病に関わる偏見や差別の撤廃に取り組む「特別報告者」を新たに任命することを決定。

 NHKは、国連人権理事会のハンセン病に関わる「特別報告者」の任命について、次のように報じた。


(1)国連人権理事会はハンセン病に関わる偏見や差別の撤廃に取り組む「特別報告者」を新たに任命することを決め、今後、理事会が任命する独立した専門家が世界各国の現状を調査して、改善に向けた勧告などを行うことになりました。
(2)スイスのジュネーブで開かれている国連人権理事会の会合で22日、日本が中心となり43か国が共同で提案した「ハンセン病差別撤廃決議」が採択されました。決議では「ハンセン病の患者やその家族に対して、根拠のない偏見や差別が世界の各地で今も根強くある」と指摘していて、偏見や差別の撤廃に取り組む「特別報告者」が新たに設けられることになりました。
(3)ハンセン病を専門に扱う特別報告者の設置は初めてで、今後、人権理事会が任命する独立した専門家が世界各国の現状を調査して、改善に向けた勧告などを行うことになります。
(4)ジュネーブ国際機関日本政府代表部の志野大使は「日本が中心となって設置できたことを誇りに思う。根拠のない差別を世界からなくすためにも、日本としても新たな特別報告者を最大限支援していきたい」と話しています。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-24 12:34 | 人権・自由権 | Comments(0)

国連人権理事会で2017年6月12日、デービッド・ケイ特別報告者が日本政府がメディアに対して圧力を行使できる状況に懸念を表明。

 東京新聞は、標題について次のように報じた。


(1)「スイスのジュネーブで開かれている国連人権理事会で十二日、言論と表現の自由に関するデービッド・ケイ特別報告者が報告し、日本政府がメディアに対して圧力を行使できる状況に懸念を表明した上で、報道の独立確保のため放送法の改善などを提案した。ケイ氏の報告に対し、日本の駐ジュネーブ国際機関政府代表部の伊原純一大使は「わが国の立場に正確な理解がなく、遺憾だ」と反論した。ケイ氏は昨年四月に訪日して政府職員や報道関係者、人権活動家らと面会し、報告書をまとめた。
(2)ケイ氏は十二日、放送事業者に政治的公平を求め、違反した場合に総務省が免許の一時停止を命じることができる放送法の見直しを提案。報道規制につながることに懸念を示した。一方で、報道機関の側にもプロフェッショナルな立場で、社を超えた連帯を強めるよう求めた。
(3)ケイ氏は報告書で、二〇一四年に施行された特定秘密保護法に関し、秘密の漏洩(ろうえい)に対する罰則によってジャーナリストや通報者を萎縮させかねないとの指摘があることを紹介し、萎縮させないことを保障するための法改正を求めていた。
(4)日本の歴史教育をめぐっては、慰安婦問題など教科書に記載される歴史解釈に、政府が介入することを慎むよう求めた。米軍普天間飛行場移設に対する抗議活動をした沖縄平和運動センターの山城博治議長の長期勾留も不適切と指摘した。
(5)ケイ氏は、カリフォルニア大アーバイン校の法学教授。一四年八月に言論と表現の自由に関する特別報告者に任命された。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-13 12:30 | 人権・自由権 | Comments(0)

言論と表現の自由に関する特別報告者デービッド・ケイ氏による対日調査報告書が公開された。

 国連人権高等弁務官事務所は2017年5月30日、言論と表現の自由に関する特別報告者デービッド・ケイ氏による対日調査報告書を公開した。
 この報告書は、「政府が過度な権力を行使している」との指摘及び日本政府への懸念を表明している。
 琉球新報派、2017年5月31日、この報告書の指摘内容について次のように報じた。


(1)沖縄平和運動センターの山城博治議長が抗議行動を巡って逮捕され、長期勾留されたことに対して
①「抗議行動に不釣り合いな制限が加えられている」
②「裁判なしに5カ月間拘束したのは不適切で、表現の自由に対する萎縮効果を懸念する」
(3)記者の取材警を察が妨害したことに対して
①「過度の制限を回避するため(規制の適用に至る)経緯を慎重に見直さなければならない」
(4)沖縄の状況について
①「表現と抗議に対し、継続的に規制が加えられている」
②「全国の人々が反対意見や沖縄に関する情報に接する機会を確保することについて、懸念を表明する」
(5)自民党の改憲草案に対して
①「日本の人権保護を弱体化する恐れがある」
②女性差別を含めた広範な差別禁止法の制定も求めた。


 世界の目から見える日本の様子は、政府が過度な権力を行使しているために、日本の人権保護が侵されているということなのである。
 特に、沖縄は、「表現と抗議に対し、継続的に規制が加えられている」ために、危うい状況に追い込まれている。 
 はっきりしていることは、安部晋三政権の強権政治手法の行き着く先は、「日本の人権保護を弱体化する恐れ」にあるということであり、これをを阻止するためには日本人がこのことに覚醒するこことができるのかということにある。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-02 05:47 | 人権・自由権 | Comments(0)

「平和への権利宣言」が国連総会で採択。

 「平和への権利宣言」について、「Right to Peace」のホームページで、次のように記されています。


 2016年11月18日(現地時間)、「平和への権利宣言」が国連総会第3委員会で承認されたことを経て、2016年12月19日(現地時間)、「平和への権利宣言」が国連総会全体会合で承認されました。投票結果は、賛成131ヵ国、反対34ヵ国、棄権19ヵ国でした。


 東京新聞は2017年2月19日、このことについて「『平和に生きる権利』日本、採決反対 戦争を『人権侵害』と反対する根拠 国連総会で宣言」、と次のように報じました。


(1)平和に生きる権利をすべての人に認める「平和への権利宣言」が国連総会で採択された。国家が関与する戦争や紛争に、個人が「人権侵害」と反対できる根拠となる宣言。日本の非政府組織(NGO)も深く関与し、日本国憲法の理念も反映された。NGOは宣言を具体化する国際条約をつくるよう各国に働きかけていく。 (清水俊介)
(2)日本のNGO「平和への権利国際キャンペーン・日本実行委員会」によると、きっかけは二〇〇三年のイラク戦争。多くの市民が巻き込まれたことをスペインのNGOが疑問視し「平和に対する人権規定があれば戦争を止められたのでは」と動き始めた。賛同が広がり、NGOも出席できる国連人権理事会での議論を経て、昨年十二月の国連総会で宣言を採択した。
(3)宣言は、すべての人が「平和を享受する権利を有する」と明記。宣言を実施するための「適切で持続可能な手段」を各国や国連に求めた。国連が「平和への権利」を個人の人権として認めた意義は大きい。
(4)立案段階で日本実行委は「全世界の国民が、平和のうちに生存する権利を有する」との日本国憲法前文を伝え、宣言に生かされる形に。憲法施行七十年となる今年、各国のNGOとともに、国際条約をつくって批准するよう働き掛けを強めていきたい考え。ただ、国連総会では、米英などイラク戦争の有志連合の多くが反対。日本も反対に回った。日本外務省人権人道課の担当者は「理念は賛成だが、各国で意見が一致しておらず議論が熟していない」と説明する。


 「平和への権利宣言」は、第1条で、「すべての人は、すべての人権が保障され、発展が保障されるような平和を享受する権利を有する」、と明記されている。
 また、第2条では「国家は、平等、正義および法の支配を尊重し、平和を構築する手段として恐怖と欠乏からの自由を保障すべきだ」、第3条で「国家、国連は、この宣言を実施するために適切で持続可能な手段を取るべきだ。市民社会は支援を奨励される」、第4条では「寛容、対話、連帯の精神を強化するため、国際・国家機関による平和教育が促進される」、第5条では「この宣言は、国連憲章、世界人権宣言および国際・地域文書に沿って理解される」、となっている。
 そもそもこの宣言は、二〇〇三年のイラク戦争で多くの市民が巻き込まれたことを受けて、「『平和に対する人権規定があれば戦争を止められたのでは』と動き始めた。」、ということがきっかけだったという。
 この宣言が、「すべての人は、すべての人権が保障され、発展が保障されるような平和を享受する権利を有する」としたことから「国家が関与する戦争や紛争に、個人が『人権侵害』と反対できる根拠となる宣言。」、となることを強く願う。
 当然、そのために果たさなければならないことをやり尽くそう。




f0345938_11163025.jpg
東京新聞-2017年2月19日-平和への権利宣言(抜粋)






by asyagi-df-2014 | 2017-02-20 12:10 | 人権・自由権 | Comments(0)

「国境なき記者団の声明」を読む。

 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)は2016年10月22日、沖縄における報道の自由侵害を懸念する声明を発表した。
 この声明を考える。


声明は、最初に、「国境なき記者団は、在沖米軍が日本の市民、NGO、ジャーナリストを広範囲に監視していることについて、米軍と日本政府に説明を求める。」、とその主張を明確にする。
声明は、この監視活動の実態を次のように告発する。


(1)監視活動は英国人ジャーナリスト、ジョン・ミッチェル氏が情報公開請求で入手した305ページの文書で明らかになった。ことし5~7月の在沖米海兵隊捜査当局による監視活動の日報、幹部が出した電子メール、ある基地の憲兵隊が回覧した報告書が含まれる。
(2)6月9日付の日報には、ミッチェル氏が米軍の環境汚染について講演したことが、写真や短いプロフィル付きで記述されている。ある電子メールはミッチェル氏を「敵対的」「協力関係を築く見込みがない。彼には方針があり、それを隠そうとしない」と表現している。
(3)沖縄の2つの日刊紙、沖縄タイムスと琉球新報についても日報で言及されている。
(4)米軍がミッチェル氏を監視するのは、沖縄における軍事活動、環境汚染、冷戦中の化学兵器投棄などを報じてきた結果だという。地元の平和運動、米軍基地や日本政府の政策への抗議行動も取材しており、ミッチェル氏はこれも監視下に置かれた理由になったと考えている。
(5)国境なき記者団は在沖米海兵隊が監視活動を説明すべきだと信じ、連絡したが返事がなかった。ミッチェル氏は米国防総省に監視活動の程度や、どのレベルで許可されたのかを照会したが、拒否された。
(6)国境なき記者団はテストを実施し、ミッチェル氏の自宅のIPアドレスがインターネット接続遮断の標的になっていることを突き止めた。嘉手納基地を含むいくつかの米軍ウェブサイトを閲覧することができなくなっている。


 この事実を受けて国境なき監視団は、次のように見解を表明する。


 国境なき記者団アジア太平洋事務所のベンジャミン・イズマイル所長は「ミッチェル氏が入手した文書は、米軍が彼の日本における全ての行動を注意深く監視していることを明確に示しており、非常に深い懸念を抱く。文書に照らし、米軍はこの監視活動の決定を説明すべきだ。在日米軍による監視活動は、報道の自由を保障する日本政府の責務を脅かしている。日本政府もこれらの活動に関与したかどうかを明確にする必要がある」と述べた。


 また、沖縄での抗議活動の取材に関連して次のように告発する。


 沖縄での抗議活動の取材に関連して、標的にされたジャーナリストはミッチェル氏だけではない。8月、県北部での米軍ヘリパッド建設に対する抗議行動を取材していた沖縄タイムスと琉球新報の記者を、機動隊員が拘束した。記者であることを警察に証明したにもかかわらず、現場から連れ去られた。両紙やマスメディアの労働組合は「国による報道の自由の深刻な侵害だ」と非難した。しかし、安倍晋三首相が率いる政府は警察のこうした行動を容認し、将来抗議行動を取材するジャーナリストにとって危険な先例を作った。


 
 さらに、日本の状況の悪化を告発する。


(1)与党自民党のメンバーは昨年、政府に批判的なメディアには財政的圧力を加えるべきだと言い、公共放送NHKの前経営委員は沖縄タイムスと琉球新報がつぶれるべきだと発言した。
(2)国境なき記者団は国連の表現の自由に関する特別報告者、デイビッド・ケイ氏が4月に日本を訪問する直前、日本における報道の自由を巡る状況が深刻だとの評価を発表した。


 結局、国境なき記者団は、「安倍氏が2012年12月に再び首相に就任して以来、報道の自由への配慮は大幅に後退している。16年の報道の自由度ランキングでは日本は180カ国中72位で、ランキングが02年に創設されて以来、過去最悪となった。」、と指摘する。


 国外からの「日本における報道の自由を巡る状況が深刻」との指摘によって、初めて問題の本質に気がつく状況は、日本がすでに、自らでは告発できないシステムに陥ってしまっているのではないか。
 安倍晋三政権の持つ危険性だけに寄りかかるのではなく、本旨的な問題に立ち向かう時が来ているのではないか。
 特に、この声明の次の指摘は、日本及び日本のマスコミにとって試金石である。


「米軍はこの監視活動の決定を説明すべきだ。在日米軍による監視活動は、報道の自由を保障する日本政府の責務を脅かしている。日本政府もこれらの活動に関与したかどうかを明確にする必要がある」


 以下、国境なき記者団の声明の引用。






More
by asyagi-df-2014 | 2016-10-30 06:17 | 人権・自由権 | Comments(0)

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は、沖縄における報道の自由侵害を懸念する声明を発表。

 沖縄タイムスは2016年10月23日、標題について次のように報じた。


(1)国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は22日、沖縄における報道の自由侵害を懸念する声明を発表した。沖縄に関する声明は初めて。東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設問題を取材中、沖縄2紙の記者が機動隊に拘束されたことなどを列挙し、「安倍晋三氏が再び首相に就任して以来、報道の自由への配慮は大幅に後退している」と指摘した。
(2)国境なき記者団は1985年にフランスで創設された国際非政府組織(NGO)で、毎年世界各国の報道の自由度ランキングを発表している。ウェブサイトに英仏両文の声明を掲載した。権威ある国際組織が沖縄の状況に特化して声明を発表するのは異例。
(3)声明は沖縄タイムスと琉球新報の記者が拘束された問題について、「記者であることを警察に証明したにもかかわらず、現場から連れ去られた」と指摘。政府が「現場の混乱や交通の危険防止」を理由に拘束を正当化したことを念頭に、「安倍氏の政府は警察のこうした行動を容認し、将来抗議行動を取材するジャーナリストにとって危険な先例を作った」と批判した。
(4)さらに昨年、自民党の会合で国会議員やNHK前経営委員の作家の「マスコミをこらしめるには広告料収入がなくなることが一番」「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などの発言も取り上げた。在沖米海兵隊が沖縄タイムスのジョン・ミッチェル特約通信員や市民、団体を監視していた問題には最も行数を割いた。監視活動の日報には、ミッチェル氏の講演内容や写真が掲載されていた。
(5)声明は「米軍が彼の日本における全ての行動を注意深く監視していることを明確に示しており、非常に深い懸念を抱く」と表明、米軍と日本政府に説明を求めた。


 以下、沖縄タイムスの引用。





More
by asyagi-df-2014 | 2016-10-24 12:23 | 人権・自由権 | Comments(0)

沖縄の人々は「先住民族」を考える。-奄美大島から与那国島まで話されているしまくとぅばは、「方言」ではなく「琉球語」。-

 あらためて、沖縄の人々は「先住民族」、ということを考える。
 沖縄タイムスは2016年10月9日、「『琉球語と日本語は別』 新垣友子氏、復興へ行政の後押し求め」、と次のように報じた。


(1)「琉球諸語復興のための言語計画-現状と課題」特別講演会(主催・沖縄キリスト教平和研究所)が8日、西原町の沖縄キリスト教学院大学であり、しまくとぅばの現状と課題が報告された。同学院大学の新垣友子准教授(言語学)は、ユネスコの基準では奄美大島から与那国島まで話されているしまくとぅばは、日本語とは別の独立した言語として識別されているとし、「方言」ではなく「琉球語」として認識を改めるよう呼び掛けた。
(2)また、言語継承の危機状態にあった英国のウェールズでは、ウェールズ語と英語を同等とする「言語法」を制定したり、ウェールズ語教育を義務化するなど、復興政策を開始して以来、全人口の2割にまで激減していた話者が、徐々に増えてきていることを紹介。「琉球諸語の復興には、行政にも強く働きかける必要がある」と訴えた。
(3)琉球大学の島袋純教授(政治学)はしまくとぅばの保存・普及・継承に向けた県の施策を説明。しまくとぅばを使う人を2022年までに県民の88%に増やす目標を掲げているが、学校教育での取り組みが弱く、施策効果に疑問があると指摘した。次世代に継承するには、しまくとぅば学習の推進のため条例を制定し、「学校教育で習得する機会を設けるべきだ」と語った。


 例えば、日本軍慰安婦の問題では、世界基準ではなく、日本の「歴史」として捉えて一方的に解釈することが、大きな混乱をもたらしている。
 では、沖縄の人々の先住民族の規定とは、どのような意味をもつのかと言うことである。
ここでは、言語学の観点から、新垣友子沖縄キリスト教学院大学准教授〈以下、新垣とする〉は、「ユネスコの基準では奄美大島から与那国島まで話されているしまくとぅばは、日本語とは別の独立した言語として識別されているとし、『方言』ではなく『琉球語』として認識を改めるよう」、と呼び掛けたと言う。また、そのために、「琉球諸語の復興には、行政にも強く働きかける必要がある」、「学校教育で習得する機会を設けるべきだ」、と語ったと言う。
ここで指摘された、世界基準について確認する。
 2014年8月29日の国連人種差別撤廃委員会は「日本の第7回・第8回・第9回定期報告に関する最終見解」を採択した。
ここでは、次のように勧告されている。


琉球/沖縄の状況
21.委員会は,ユネスコによる独特な民族性,歴史,文化及び伝統の承認にもかかわらず,琉球/沖縄を先住民族として承認しない締約国の立場を遺憾に思う。委員会は,沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画に基づく,琉球に関して締約国によってとられ実施された措置に留意するものの,彼らの権利の保護に関する琉球の代表との協議のために十分な措置がとられてこなかったことを懸念する。委員会はまた,消滅する危険がある琉球の言語を振興し保護するために十分なことが行われていないとの情報,及び教科書が適切に琉球の人々の歴史及び文化を反映していないとの情報を懸念する(第5条)。
委員会は,締約国が,その立場を見直し,琉球を先住民族として承認することを検討し,また彼らの権利を保護するための具体的な措置をとることを勧告する。委員会はまた,締約国が,琉球の権利の促進及び保護に関連する問題について,琉球の代表との協議を強化することを勧告する。委員会はさらに,締約国が,琉球の言語を消滅の危険から保護するために採用された措置の実施を加速させ,彼ら自身の言語による琉球の人々の教育を促進し,学校カリキュラムにおいて用いられる教科書に彼らの歴史及び文化を含めることを勧告する。


マイノリティ言語及び教科書
24.委員会は,締約国から提供された情報に留意するものの,締約国が,マイノリティあるいは先住民族に属する児童に対し,マイノリティ言語による,またマイノリティ言語の教育を振興するための適切な措置をとっていないことを遺憾に思う。委員会は,条約によって保護される日本の諸グループの歴史,文化及び貢献を適切に反映するための,既存の教科書を修正するためにとられた措置に関する情報の欠如について懸念する(第5条)。
委員会は,締約国が,アイヌ及び琉球の人々を含む,マイノリティ及び先住民族に属する児童に対し,マイノリティ言語によってマイノリティ言語を教える教育を促進するよう勧告する。委員会は,締約国に対し,条約によって保護される日本の諸グループの歴史,文化及び貢献を反映しない教科書を修正することを勧告する。


 国連人種差別撤廃委員会は、日本国に対して、次の四点の勧告を突きつけ、その改善を求めているのである。まさに、このことが日本に求められている世界基準なのである。

(1)締約国〈ここでは、日本〉が,その立場を見直し,琉球を先住民族として承認することを検討し,また彼らの権利を保護するための具体的な措置をとることを勧告する。
(2)締約国が,琉球の権利の促進及び保護に関連する問題について,琉球の代表との協議を強化することを勧告する。
(3)締約国が,琉球の言語を消滅の危険から保護するために採用された措置の実施を加速させ,彼ら自身の言語による琉球の人々の教育を促進し,学校カリキュラムにおいて用いられる教科書に彼らの歴史及び文化を含めることを勧告する。
(4)委員会は,締約国に対し,条約によって保護される日本の諸グループの歴史,文化及び貢献を反映しない教科書を修正することを勧告する。


 一方、日本政府〈外務省〉は、この「勧告」について次のように反論している。


(1)そもそも本条約の適用対象となる「人種差別」とは、本条約第1条1において、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別・・・」と規定している。このことから、本条約は、社会通念上、生物学的諸特徴を共有するとされている人々の集団、及び社会通念上、文化的諸特徴を共有するとされている人々の集団並びにこれらの集団に属する個人につき、これらの諸特徴を有していることに基づく差別を対象とするものであると解される。沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者は日本民族であり、一般に、他県出身者と同様、社会通念上、生物学的又は文化的諸特徴を共有している人々の集団であると考えられておらず、したがって、本条約の対象とはならないものと考えている。
(2)沖縄の住民が日本民族とは別の民族であると主張する人々がいることは承知しているが、それが沖縄の人々の多数意志を代表したものであるとは承知していない。また、上記(1)のとおり、沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者は日本民族であり、社会通念上、日本民族と異なる生物学的または文化的諸特徴を共有している人々であるとは考えられていない。


 このことについて、琉球新報は、2016年4月28日の社説で、明確に次のように反論している。
 


Ⅰ.国連が沖縄の人々を日本の「先住民族」と認識していることに対し、外務省が否定しているのは、歴史認識の違いによるものが大きい。それは1879年の琉球併合(「琉球処分」)まで琉球王国が独立王国として存在していたかどうかへの評価に深く関わっている。
(1)国連が規定する「先住民族」は、他者によって土地を奪われた、もともとその土地に住んでいた人々を指す。血統や言語といった人種や民族的同一性や違いも指標にはなるが、最も重要なポイントは、そこの土地はそもそも誰のものだったかという「土地の権利」だ。
(2)国連が沖縄の人々を「先住民族」と認めたのは①琉球王国が1850年代に米国、フランス、オランダと修好条約を結び、国際法上の主体=主権国家として存在していた②79年に日本によって併合され沖縄県が設置された③その後日本に支配され差別の対象とされた―主にこの3点を事実として認定したからだ。
Ⅱ.日本政府側は琉球王国が国際法上の主体としての独立国家だったかどうかについて「『琉球王国』をめぐる当時の状況が必ずしも明らかでなく、確定的なことを述べるのは「困難」という判断を避ける答弁を繰り返してきた。つまり公式には琉球王国の存在を確定的なものとして認めていない。
(1)今回の国会答弁のように日本の先住民族は「アイヌの人々以外にいない」ということであれば、少なくとも1879年以前、琉球人は存在せず、琉球王国の国民は日本人だったことになる。琉球王国の存在を認めた場合、先住民族論に最も重要な根拠を与えることもあり、判断を避けているとみられる。
(2)2007年に国連で採択された先住民族権利宣言は、先住民族の合意がない限り先住民族の土地を軍事に利用することを禁じている。日本政府が沖縄の人々を先住民族として認めると、日本政府は米軍基地問題などこれまでの沖縄政策で多くの「不正」を是正せざるを得なくなることも、認めたくない理由の一つだろう。


 外務書と琉球新報のどちらに理があるかは、明らかである。
 特に、「2007年に国連で採択された先住民族権利宣言は、先住民族の合意がない限り先住民族の土地を軍事に利用することを禁じている。日本政府が沖縄の人々を先住民族として認めると、日本政府は米軍基地問題などこれまでの沖縄政策で多くの『不正』を是正せざるを得なくなることも、認めたくない理由の一つ」、との指摘は、まさに、日本政府の心胆を抉るものである。
 さて、今回の記事のような言語から先住民族の問題を考える時、どうしても「言語」と「方言」の定義のあり方が問われる。なぜなら、国は言語を支配する関係にあるからである。
 逆に言えば、国の思惑が、少数民族の自己決定権を認めないかからこそ、国連に人種撤廃委員会が置かれている所以にもなる。
 今、「先住民族」を捉える視点として、この「言語」と「方言」について捉え直す必要がある。
 その意味で、日本国には、「方言」ではなく言語としての「琉球語」として認識を改め、具体的な施策として、「学校教育で習得する機会を設けるべきだ」という新垣友子准教授の指摘が、生きてくる。


 以下、沖縄タイムス、琉球新報、その他の資料の引用。






More
by asyagi-df-2014 | 2016-10-16 14:41 | 人権・自由権 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧