カテゴリ:書くことから-貧困問題( 27 )

「子どもの貧困」解消は、緊急の課題。依然として、子どもの7人に1人が貧困状態。

 厚生労働省は、2017年6月17日、2016年の国民生活基礎調査による子どもの貧困率を発表した。
 朝日新聞は2017年6月27日、このことについて次のように報じた。


 「子どもの貧困率(相対的貧困率=キーワード)は2015年に13・9%となり、過去最悪だった前回の12年調査から2・4ポイント改善したことが27日、厚生労働省が発表した16年の国民生活基礎調査でわかった。労働環境がよくなって親の所得が増えたためで、改善は12年ぶり。ただ主要国の中では依然として高く、ひとり親世帯は過半数が貧困状態のままだ。
 調査は16年6~7月に実施。貧困率は約3万4千世帯の15年の所得を調べ、有効回答率は71・76%。
 子どもの貧困率は03年の13・7%から上昇が続き、12年調査で16・3%に達した。今回は全世帯の年間の平均所得が8万6千円増えて545万8千円となり、改善につながった。」


 しかし、日本の子どもをめぐる状況は、依然として厳しい。
 朝日新聞はこのように続けた。
 本来、この事実こそがまず最初に指摘されるべきである。


(1)子どもの7人に1人が所得が少ない貧困状態で、先進国でつくる経済協力開発機構(OECD)の平均13・2%(13年)を上回る。デンマークの2・7%や韓国7・1%などに及ばず、主要36カ国で24位にとどまる。
(2)ひとり親世帯の貧困率も、前回より3・8ポイント改善して50・8%となったが、過半数を占める状況が続く。大人も含めた全体の貧困率は前回より0・5ポイント改善して15・6%。主要36カ国では29位だった。
(3)7573人が対象の介護の調査(有効回答率89・66%)では、同居する家族が主に介護を担う世帯で、介護される人とする人がいずれも65歳以上の「老老介護」の割合が54・7%だった。13年の調査より3・5ポイント増えた。




by asyagi-df-2014 | 2017-07-06 08:26 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

貧困問題-島村 聡さんの「貧困問題の解決を困難にしている3つの政策的失敗」の指摘。

 貧困問題、特に子どもの貧困問題については、沖縄タイムスでもこの間、この問題を焦点に特集も組まれてきた。
 ここ数年は、貧困問題に少なくも関心を寄せてきただけに、緊急に取り組まなければならない課題である。
 また、「最貧困層の子どもは、標準的な子どもと比べてどれぐらい厳しい状況にあるのか。その格差を分析したところ、日本は先進41カ国中34位で、悪い方から8番目だった。」、と国連児童基金(ユニセフ)が報告書をまとめたところでもある。
 沖縄タイムスは2016年4月15日、島村聡さんの「貧困問題の解決を困難にしている3つの政策的失敗」を掲載した。
 まずは、これを要約する。


(1)問題の提起
 子どもの貧困の問題は対症療法的な施策では解決しないほど深刻であり、お互いが痛みを共有しないと乗り越えられないところに来ている。その主原因が「将来不安」にあるためである。長期にわたる3つの政策的ツケがその背景にある。

(2)政策失敗の背景
①1つめは「住宅軽視のツケ」。
②2つめは「教育コスト」のツケ。
③3つめは「所得保障のツケ」である。

(3)「住宅軽視のツケ」
①那覇市など都市部で一定以上の部屋数を確保するとなると月の家賃は6万~7万円となり、平均月収である25万円の4分の1を占めてしまい、可処分所得を圧迫している意味は大きい。国土交通省は住宅の誘導居住面積水準(例えば3人世帯の都市型居住の場合で75㎡)を定めたが、全国ではこれに達しない住居が半数もある。
②一方で借り手や住み手のない空き家が757万戸(空家率13.1%)発生している(総務省平成20年度住宅・土地統計調査)。このようなことが起きる背景には、高度経済成長期に多額のローンを組めるよう低利住宅貸し付けを推し進めながら、住宅そのものの部屋数や面積に規制を設けてこなかった「持ち家」政策のツケがある。長期的に不況になることで給与が上がらず返済に苦しむ社員やリストラされて借金だけが残った高齢者が目立つようになった。
③他方で質を伴わない住宅群が宙に浮き、貧困層の単身者たちは安宿や生活保護基準額に合わせた雑居ビルの部屋に身を寄せている。
④子どもの貧困に引き寄せて考えると、高い家賃が教育費を圧迫するだけでなく、子ども部屋の確保が後に回され、プライバシーの確保や集中力の維持が難しい。誘導居住面積水準という民間頼み的な施策ではなく、規制を伴う建築基準をもって対処する時期に来ている。

(4)「教育コスト
①平成21年度版文部科学白書によると大学卒業までにかかる教育コストは公立の幼稚園から高校まで在学し国立大学に進学した場合が約800万円(下宿をすると約1,000万円、オール私学なら2,300万円)に及ぶ。無論その多くの負担が高等教育にかかるため、多くの家庭でこの時期に預金を使い果たす。これが将来不安に繋がっている。
②日本は他のOECD諸国に比べ就学前の親の負担も大きく、収入の低い若い親にとって子育ての大きな壁になっている。
③これに非正規雇用の増大による親の低所得化が加わり、一気に問題が表面化してきた。
④仮にオール公立の金額を大卒年齢の22で割ると年間40~50万円で、わが国のGDPに比して決して多額な投資とはいえないだろう。OECD各国の中で政府総支出比9.5%(OECD平均13.3%)と最低ランクの公財政教育支出国であるわが国の弱さが露呈した格好である。少なくとも大学卒業時に400万円近い借金(奨学金の返済)を背負って低賃金の就職先に悩む学生の姿は早く何とかしなければならない。

(5)「所得保障のツケ」
①「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](2015年)によると、老後の不安を感じている理由として「年金や保険が十分でない」が7割を超える。それと並んで「十分な金融資産がない」とする人も7割程度いる。公的年金に頼って生活をしている人は2人以上の世帯では8割いるが、単身世帯は57%と減り、その不足を就労収入や個人年金などで賄っている姿が見られる。
②ここで問題なのは公的年金(老齢基礎年金や遺族基礎年金)の月額65,008円という金額である。年金受給者が2人以上の世帯であればギリギリの生活が可能であるが、実際の満額受給は一部で、自営業者の受け取り額平均は夫婦で10万円ほど、単身であれば5万円といずれも生活保護法の最低生活費を下回ってしまう。単身者に至っては貯蓄ゼロが5割を占めるので働くか生活保護以外の選択肢がない。将来の生活が困難なことは高齢期になる前から明確なので消費に回さず貯蓄へ流れ、経済市場は活性化しにくい。年代を問わず、ベースとなる所得を確保することでこの不安から脱却させるためには、給与を大きく上げていくか、社会保障としてその給付を行うかが必要となるが、わが国はその両方ともが進まない。

(6)政策失敗の原因
①従来の政策に共通していえることは、景気浮揚を目的とした経済政策と連動していることである。経済が好循環になることを想定できた時代だからこそ家を建てたが、大きな借金をすることが難しい今、家を買いたいと考えていない人が多数を占めるようになった(先の「世論調査」では2人以上世帯で56%、単身世帯では74%が家を買わない意向を示している。)。                                  ②競争により偏差値の高い大学へ行くことが、一流企業に就職して高収入で幸せだと考えられてきたが、グローバル化で大企業も安閑とはしていられない。生き残りの名の下に賃金労働者の非正規化を進めた結果、その割合が4割を超え(厚生労働省「就業形態調査」2015年12月発表)、不安定な雇用状況が消費を縮小させ、金融政策の連動も効果が出にくい。

(7)島村聡さんの主張
①もう、アベノミクスの「3本の矢」のような経済・金融政策は限界である。
②私は、国民の連帯を呼び起こす政策によりこの状況を打破すべきだと考えている。

(8)島村聡さんの具体的な主張-国民の連帯を呼び起こす政策
①教育費は教材費や給食費などの諸経費も含め高校まで無償化し、大学進学を望む子どもたちにはしっかりとした人物審査による給付型奨学金を支給する。
②誘導居住面積を満たした賃貸住宅を対象に絞った家賃補助を進め、子育て世代や高齢者世帯の特性に合わせた住居が得やすい環境をつくるとともに、良質な賃貸住宅へのリフォームを促進する。
③所得が低下した場合に生活保護制度による医療や住宅などの全面的な丸抱えをするのではなく、一定額の所得を補填(ほてん)し、医療保険や年金と合わせて不安のない暮らしを保障する。
④これらの施策により万が一の時にも生活不安にならずに済むなら、国民としても相応の負担を良しとするのではないか。


 島村聡さんのこの提起に、大きな示唆を受ける。
 特に、「これらの施策により万が一の時にも生活不安にならずに済むなら、国民としても相応の負担を良しとするのではないか。」という意識づくりが重要になるだろう。
 また、この対局にあるのが、「もう、アベノミクスの「3本の矢」のような経済・金融政策は限界である。」、ということである。


 以下、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-04-25 05:41 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

貧困問題-ユニセフが「子どもの貧困格差、日本は先進41カ国中34位」との報告書を発表。

 標題について、朝日新聞は2016年45月14日、「最貧困層の子どもは、標準的な子どもと比べてどれぐらい厳しい状況にあるのか。その格差を分析したところ、日本は先進41カ国中34位で、悪い方から8番目だった。国連児童基金(ユニセフ)が報告書をまとめ、14日発表する。日本について分析し、国際比較したのは初めて。」、と報じた。
 この報告書は、「『子どもたちのための公平性』というタイトルで、先進国での子どもたちの格差について、所得、教育、健康、生活満足度の四つから分析した。」。
 また、日本語版の解説を担当した首都大学東京子ども・若者貧困研究センター長の阿部彩さんの「1985年から2012年にかけ、格差は拡大している。真ん中の所得が約177万円から211万円に上がったのに対し、最貧困層の所得は90万円から84万円に下がったためだ。」、「貧困が広がっているだけでなく、深刻度も高い現状が明らかになった。日本は平等社会だと幻想を抱いていると、さほど深刻に思えないかもしれないが、幻想を早く捨て、貧困と格差に対処する覚悟が必要だ」とに分析を伝えた。


 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-04-16 06:13 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

貧困問題-都道府県で初めてとなる県の調査で分かったこと。沖縄県内の子どもの貧困率が29・9%に上った。

 都道府県で初めて行った沖縄県の子どもの貧困の調査について、「沖縄県内の子どもの貧困率が29・9%に上ることが29日、都道府県で初めてとなる県の調査で分かった。2012年時点の全国平均16・3%の約2倍。子どもの3人に1人が貧困状態に置かれていることになり、県内の深刻な状況があらためて浮き彫りになった。ひとり親世帯の貧困率は58・9%で、全国を4・3ポイント上回った。」、と報道した。
 また、その貧困の実態について次のように伝えた。


①小中学生と保護者のアンケートでは、経済的に厳しい家庭に学用品や給食費を補助する就学援助の周知が足りず、必要な世帯に行き届いていない実態も明らかになった。
②貧困層で就学援助を受けていない割合は小学1年が57%、小学5年52%、中学2年45%に上った。比較が可能な大阪市の調査(12年度)の2倍以上だった。
③貧困層に必要な食料が届いていない現状も分かった。過去1年間に経済的な理由で食料に困窮した経験があるかとの問いでは、貧困層の保護者の約5割が「あった」と回答。このうち中学2年生の貧困層の8%、小学5年生の6%が「よくあった」と答えた。
④食料困窮の経験を詳しくみると、両親がいる世帯が25%だったのに対し、ひとり親世帯は43%と多かった。この数字は全国調査結果の22~33%より多く、深刻さが際立った
⑤生活の困窮からライフラインが脅かされる状況も表れた。電気や電話など料金を過去1年間に滞納した経験は電気やガス、電話などで貧困層が30%程度。水道料金も20%を超えていた。過去10年間に停止された経験も20%近くあった。


 さらに、アンケートを統括した千葉明徳短期大学の山野良一教授の「制度を知らなかった保護者が各年代で約20%あったと指摘。『沖縄県では貧困層で援助を受けていない割合が高い特徴がある。制度を知らせることが大事だ』と語った。」、と伝えた。
 沖縄タイムスは、「県が独自に実施した今回の調査は、子どもの貧困を社会全体の問題として取り上げ、光を当てた点に大きな意義がある。深刻ではあるが、その重要性に向き合うスタートとすべきだ。貧困率にとどまらず、全国一低い大学進学率、全国一高い若年無業者率など、子どもの成長に関係する課題は山積している。県に『子どもの貧困対策課』を立ち上げるなど体制づくりでも強い意志を示し、これまでにない大胆な発想で推進計画を練り上げてもらいたい。」、と主張した。


 沖縄県が全国で初めて行った調査は、非常に有意義である。
 貧困問題の解決は、特に子どもの貧困の解決は、緊急を要する課題となって久しいのが実態である。
 そこには、日本という国の政策が貧困問題の解決に真から向き合っていないという現実が横たわっている。
 こうした政府の方針の影響を受けて、沖縄タイムスが指摘するように、「自ら訴えることの難しい子どもの貧困は見えにくい」ことや「豊かな日本でありえないという思い込みと、個人の問題に押し込める自己責任論が、貧困を見えにくくし、助けを求めにくくしている。」、といった国民一人一人の意識の問題が背景としてある。
 さらに、国だけでなく、地方時自体においても、「沖縄県では貧困層で援助を受けていない割合が高い特徴がある。制度を知らせることが大事だ」、といった取り組みの貧しさがある。


 貧困の解決、特に子どもの貧困の解決は、日本という国の緊急の課題である。


 以下、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-02-03 05:56 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

貧困問題-子どもの貧困-沖縄タイムスから20160101

 2016年1月1日の沖縄タイムスの1面は、辺野古新基地建設ではなく、「ここにいるよ 沖縄子どもの貧困」でした。
 実は、貧困問題の解決、特に、子どもの貧困の解消は、日本だけでなく、世界の緊急課題となっています。
 本来は、安倍晋三政権が最も集中させなくてはならない政治課題のはずなのです。
 しかし、安倍晋三政権の「成長戦略」の中では、いつの間にか片隅に置かれてしまう危険性が高い「課題」になってしまっています。
 この間、朝日新聞や毎日新聞も 子どもの貧困を取りあげてきました。
 沖縄タイムスが子どもの貧困を、「国内の6人に1人は貧困の子どもたち。働く貧困層が多い県内は、さらに割合が高いと見込まれ、『子どもの貧困』はより身近な問題だ。家庭の事情などで経済的に困窮し、孤立し、夢や可能性を奪われている子どもたちがいる。子どもの実態や背景にある家庭や社会の問題を追い、必要な支援を考える。」として取りあげることは非常に意味のあることです。

 さて、「プロロ-グ」と題された第1回目の特集は、次のような子どもの貧困の実態を報告します。


「『千円ちょうだい。お父さんがお金なくて、かわいそうなんだ』。本島中部に住む小学校低学年のタカトは大人に金銭をねだる癖がある。断られると『何だよ、けち』と悪態をつく。
 病気がちで働けない父親とアパートで生活保護を受けて暮らす。地域との関わりはほとんどなく、親子2人で過ごすことが多い。」
「子どもの居場所になっている施設に時々、一人で現れる。初めて来た日、空腹のはずなのに、出された食事を半分残した。『お父さんに持って帰ってもいい?』。スタッフが『全部食べて。お父さんのは別に用意するから』と声を掛けると、うれしそうに完食した。幼い心の中に、自身の境遇へのいら立ちと家族への愛情が同居している。」


「イルミネーションが華やかに街を彩る北谷町美浜。午後11時を回ろうというのに中学2年のユウカは家に帰ろうとする気配がない。『帰っても誰もいない。友達と遊んでいたほうが楽しいから』
 ユウカが小学3年の時に両親が離婚した。公営団地に母娘2人住まい。母親はユウカの学校が終わる午後5時ごろ、居酒屋の仕事に出て朝方まで戻らない。
 ユウカが学校に行く時間には寝ているので、会話はあまりない。たまに話をするときも、母親は何かにいら立っている。
 『いつも疲れている。話すと私もいらいらする。私のために働いてくれているのは分かるけど…』」


「返済予定額780万円。大学3年の奨学金説明会で、手渡された明細書を前に、県内の大学に通うユウスケ(23)は頭を抱えた。」
「卒業までの借入額は500万円。これに280万円の利子が付く。」
「返済のため、教師の夢は諦め、県内企業への就職を決めた。入社半年後から毎月3万3千円の支払いが20年間続くことになる。『終わらないマラソンを走るような気分。人並みに結婚して家族をつくれるのかな』。暗い表情でつぶやいた。」

 
「キョウコ(39)は15歳の時、ホームレスになった。継父の暴力から逃れるために家を飛び出し、約1年を公園で過ごした。キョウコの子どものころの記憶には、飢えや痛み、孤独が刻み込まれている。」
「耐えきれずに家を飛び出し、公園で生活を始めたのは高校1年の夏。食事は友人がたまに差し入れてくれるコンビニ弁当か、スーパーで万引した総菜。何も食べられない日もあり、60キロ近くあった体重は40キロ台まで減った。」
「25歳で結婚したが、夫のDVで離婚。今、障がいのある3人の子どもと生活保護を受けながら暮らす。7年前に統合失調症と診断された。学校の成績は悪くなかった。家を出る前、高校の英語の試験で100点を取ったり、数学の特別クラスに選ばれたりした。18歳のころには、高校か専門学校で学び直したいと母親に相談したが『経済的支援はできない』と言われ、諦めた。向上心はいつも厳しい現実を前にしおれていった。
 『親もそうだし、近所の人、学校の先生、私には関わってくれる人がいなかった』と振り返って思う。」
「今、社会の無関心がさらに広がっているように感じる。子どもたちの未来を考えると不安が募る。塾や部活動など、子どもにいろいろな体験をさせてあげたいが金銭的にできないことへの歯がゆさもある。
 『子どもには、親以外にも関わってくれる人や居場所が必要』と力を込めた。」


 このプロロ-グのまとめとして、濱里正史県就職・生活支援パ-ソナルサセンタ-サポ-ト南部センタ-所長の意見を掲載した。これを要約する。


【子どもの貧困についての考え方 】
①子どもの貧困には「経済的な貧困」と社会的に孤立する「関係性の貧困」がある。何らかの要因で、その子がもともと持っている可能性や潜在力を発揮できない状況ともいえる。
②貧困が世代間で連鎖している場合、本人の力だけで抜け出すのは至難の業だ。自己責任論では解決しない。
③医療分野では早期発見・治療が常識。就学前など、早い段階での予防的支援が重要になる。一人一人の状況に合わせたサポートが大切。父母を支援しながら、子どもの置かれた環境をトータルで援護していくことが必要だ。
④たとえ家庭に問題があっても、社会やほかの大人に助けられた経験があれば、人を信じ、SOSが出せるようになる。
【沖縄社会の現状】
①貧困がすぐ隣にあるのが、沖縄社会だ。平均賃金は全国の7割で物価は9割。賃金に比べ生活にかかる費用が高く、暮らしにくい。長時間労働やダブルワークで生活をぎりぎり維持している層が多いので、病気やけが、離婚などのきっかけで、すぐ貧困に陥る。
②戦後復興の在り方、産業構造に問題がある。多様な地場産業が育たず、第三次産業に偏っていて単調だ。
③沖縄の中南部は114万人が住む「都市社会」。沖縄戦でもともとの地域コミュニティーも破壊された。ユイマールがあるから何とかなる、という甘い状況にはない。

 社会にはさまざまな適性をもった人がいるので本来、いろいろな仕事がある方がいいが、選択肢が少ない。子どもの貧困支援の先には、多様な人材を受け入れる社会をつくるという最終目標がある。
【何が必要なのか】
①社会にはさまざまな適性をもった人がいるので本来、いろいろな仕事がある方がいいが、選択肢が少ない。子どもの貧困支援の先には、多様な人材を受け入れる社会をつくるという最終目標がある。
②人工的、意識的に、新しい相互扶助の仕組みをつくらないと、貧困の問題は解決しない。子ども食堂など、問題に気付いた人たちが少しずつ動いてきているが、もっと広い層に問題を意識してもらう必要がある。
③行政として、子どもの教育や福祉に金をかけることは沖縄社会をより良くするための先行投資になる。10年、20年後に活躍する人が増えれば、税収が上がり、全般的に人材が底上げされ、企業にも力が出る。
 知事が先頭に立ち、子どもの貧困問題を県民運動にしてほしい。


 以下、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-01-02 14:30 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

子どもの貧困-朝日新聞の特集から考える。

 朝日新聞の特集は、こんな実態を伝える。


 「うちは、これ以上は無理なんだよね。6年生から転校しない?」
 「なんで」と長女は嫌がり、口数が減った。辞める理由を周りに知られると娘が傷つく。そう考えると転校させるしかなかった。「わかってもらわないと、家族一緒に生きていけなかった」と女性は振り返る。生活保護も考えたが「懸命に働く背中を見せて自分で養いたい。生活保護か、馬車馬のように働くか。他の道はないのでしょうか」と話す。


 白飯、サラダ油、しょうゆ。
 2年前に生活保護を受けるまで、長野県に住む女性(30)の食卓に、しょっちゅう並んだ献立だ。ざっくり混ぜて食べると、油のコクで空腹が満たされる気がした。最初はツナ缶の残りの油をかけていたが、缶詰は買えなくなった。長女(9)と次女(8)は「おいしいよ」と食べた。
 おなかをすかせた2人は当時、女性に隠れてティッシュペーパーを口にした。次女は塩をふってかみしめた。「ティッシュって甘いのもあるんだよ」。後になって長女が教えてくれた。いい香りのするもらい物のティッシュは、かむと一瞬甘いという。
 そんな困窮状態になっても、周囲に「助けて」とは言い出せなかった。


 500円ほどのお茶代が払えなくなり、ママ友との付き合いから自然と遠ざかった。中部地方にいる両親は年金暮らしで祖母の介護もあり、頼れない。「うち貯金いくら?」「それ買っても大丈夫なの」。それが長女の口癖になった。
 不安で閉じこもりがちになり、仕事に行くのが精いっぱい。食事がのどを通らなくなり、離婚1カ月で5キロやせた。
 それから1、2カ月したころだ。
 「暗い顔して。困ったら何でも相談してよ」
 やつれた姿を見かねて、パート仲間の女性たちが声をかけてくれた。安売りの情報を教わり、長女の誕生日にはハンカチをもらった。悩みを話せるようになり、少し肩の力が抜けた。
 長女は昨冬から、友人の誘いで、無料の塾や、低料金で食事を出す子ども食堂に通い始めた。「同じような境遇の子ばかりでほっとするし、大勢でご飯食べられて楽しいよ」と言う。
 自分も子ども食堂に行ってみた。スタッフに「まだ若いんだから大丈夫よ」と励まされ、資格を取って転職するよう助言を受けた。「そっと見ててくれる人たちがいたから今がある。不安はいつもあるけれど、娘と一緒に勉強してステップアップしてみようかと意欲が湧くようになりました」


 こんな日本の状況について、朝日新聞は、次の事実を伝える。


 経済協力開発機構(OECD)諸国の中で、日本のひとり親世帯の貧困率は高い。2010年調査では、50・8%で最も高かった。米国は45・0%、仏は25・3%、英国は16・9%。
 日本のシングルマザーの8割は働いているが、収入が低いのは非正規就労が多いためだ。厚生労働省の全国母子世帯等調査(11年)によると、働くシングルマザーの5割はパート・アルバイトで、その平均年間就労収入は125万円。
 労働政策研究・研修機構の周燕飛研究員によると、シングルマザーの多くは子育てのため非正規就労を選ばざるをえず、正社員になっても子育て期に離職しているため中途採用で低賃金に抑えられているという。
 養育費を払う親が少なく、児童扶養手当などの福祉給付が十分でないため、「働いて貧困生活を続ける」か「財産を手放して生活保護を受ける」かのジレンマに陥ると指摘。「働くひとり親世帯に対する新たな所得援助制度を国は設けるべきだ」と話す。
 また、子どもの貧困に詳しい立教大の湯沢直美教授(社会福祉学)の「仕事と家事で精いっぱいで、母親は相談に行く余裕がない。離婚を自己責任とみる風潮も強く、支援を求めづらい心境になりやすい」、との指摘を紹介する。


 OECDの報告は、日本の施策の貧しさを、このところずっと指摘してきた。
 特に、子どもの貧困の解消は、まさしく緊急課題である。
 また、一人親世帯の困難さは極まっている。
 日本の政治の優先順序は、貧困対策にこそある。


 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-22 06:46 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

貧困問題-OECD調査(2012)で、「学校など教育機関への公的支出の割合が、3・5%で最下位。OECD平均は4・7%。

 OECDが2015年11月24日に発表した教育費調査について、沖縄タイムスは2015年12月2日、「経済協力開発機構(OECD)は24日、2012年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める学校など教育機関への公的支出の割合を公表した。日本は3・5%で比較可能な32カ国中、スロバキアと並び最下位だった。OECD平均は4・7%。OECDによると前年までは幼稚園など就学前教育への支出を含めた統計で、日本は5年連続で最下位だった。」、と報じた。
また、「日本の国公立小の1学級当たり児童数は27人(OECD平均21人)で加盟国中3番目に多く、国公立中の1学級当たり生徒数は32人(同24人)で2番目に多かった。また、物価の上昇率を勘案した国公立小中学校の勤続15年の教員給与は、OECD平均が増加傾向なのに、日本は05年から13年の間に6%減ったと指摘した。」、と伝えた。


 「OECDの図表でみる教育2015年版-日本」(2015年11月24日)の教育財政で明らかになったことは、次のことである。


①(公的・私的財源からの)教育支出の対GDP比は依然としてOECD平均を下回っている。
②日本の教育機関への在学者1人当たり公財政支出・私費負担は、国民1人当たりGDPの33%で、OECD平均は27%である。在学者1人当たり公財政支出・私費負担が増加したにもかかわらず、日本では教育支出の公財政支出・私費負担総額の対GDP比は低い。2012年に日本は初等教育から高等教育までの教育支出(公財政支出及び私費負担総額)にGDPの5.0%を費やしたが、これはOECD平均の5.3%を下回っている。高等教育への支出(公財政支出及び私費負担総額)の対GDP比はOECD平均と同じ(1.5%)であるが、初等教育、中等教育、高等教育以外の中等後教育への支出の対GDP比(2.9%)は、OECD平均(3.7%)を大幅に下回っている。
③教育支出の大半は公財政支出によって賄われているが、高等教育の私費負担割合はOECD加盟国で最も高い国の一つである。OECD加盟国平均で、初等教育機関から高等教育機関に至るまで教育機関に対する支出の83%が公財政支出で賄われている。日本は公財政教育支出の割合(70%)が最も低い国の一つであるが、これは主に高等教育の私費負担(高額の授業料)の割合が高いことによる(OECD加盟国平均30.3%に対し、日本は65.7%)。
④初等、中等、高等教育以外の中等後教育の全段階で、公財政支出の割合は2005年から2013年の間に若干上昇した(2013年は93%)が、これは、国公立高校の授業料無償化と私立高校の生徒への就学支援金を柱とする政策が2010年4月に導入されたことなどによるものである。


 さて、今回の報告で明確になった点は、次のことだ。


(1)学校など教育機関への公的支出の割合が、日本は3.5%で、5年連続で最下位。
(2)日本の国公立小の1学級当たり児童数は27人(OECD平均21人)で加盟国中3番目に多い。
(3)国公立中の1学級当たり生徒数は32人(同24人)で2番目に多い。
(4)国公立小中学校の勤続15年の教員給与は、OECD平均が増加傾向なのに、日本は05年から13年の間に6%減。


 すべての数字が、日本という国の教育行財政の貧しさを反映している。
 また、「初等、中等、高等教育以外の中等後教育の全段階で、公財政支出の割合は2005年から2013年の間に若干上昇した(2013年は93%)が、これは、国公立高校の授業料無償化と私立高校の生徒への就学支援金を柱とする政策が2010年4月に導入されたことなどによるものである。」、とされる公教育への公財政支出の効果は、少なくとも、民主党政権下で行われたことによるが、現在の安倍晋三政権下では、「見直し」の中で、このことがおざなりにされている。
 安倍晋三政権の「成長戦略」には、貧困の解消、特に子どもの貧困の解消が政治的主要課題にのぼることはない。
 この結果が、次以降の調査結果に反映されてくることは、残念である。

 以下、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-12-06 06:15 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

貧困問題-日本の子どもの貧困率は、OECD34カ国の中で11番目の高さと、公表される。もう一つのOECDのデータも。

  経済協力開発機構(OECD)は2015年10月13日に、加盟34カ国の子どもの貧困率ランキングを公表した。
 このことについて、朝日新聞は2015年10月14日、「経済協力開発機構(OECD)は13日、加盟34カ国の子どもの貧困率ランキングを公表した。日本は2009年時点の15・7%が用いられ、平均の13・7%を上回り11番目に高かった。厚生労働省が昨年公表した12年時点の数値(16・3%)が用いられたとしても、順位は変わらない。
 報告書は11年前後の時点での各国の数値を比較。最も高かったのはイスラエルの28・5%で、最も低いのはデンマークの3・8%だった。ドイツ、韓国は平均を下回り、米国は20・5%で平均を超えた。」、と報じた。

 まず、今私たちは、日本の貧困の状況、特に、子どもの貧困について実態を把握し、貧困に解決に向けて、できることをすぐにやっていくことが必要である。

そのために、阿部彩さんの「子どもの貧困Ⅱ-帰結策を考える」から子どもの貧困対策の対象者を確認する。


①子ども数(0~17歳)=約2026万人※1
②貧困状況にある子ども数(0~17歳)=約326万人※2

○一人親世帯に属する子ども数=230万人※3
○児童養護施設に育つ子どもの数=2.9万人
○生活保護受給世帯で育つ子ども数(20歳未満)=28.6万人
○児童扶養手当を受給する子ども数=169万人

※1=人口推計:2009比
※2=厚生労働省(2011)の推計で18歳未満の子どもの貧困率は15.7%
※3=一人親家庭の子どもの貧困率は、54.6%


また、もう一つのOECDのデ-タについて、朝日新聞は2015年9月15日、「生徒1人あたりの学校のパソコンの台数を増やした国ほど、成績が下落――。経済協力開発機構(OECD)は、15日付でこんな調査結果を発表した。文部科学省や自治体が学校のICT(情報通信技術)化を進めているだけに、注目を集めそうだ。」、と伝えた。
 この調査は、「2012年に15歳を対象に実施した学習到達度調査(PISA)の『数学的リテラシー』の成績が、03年からどう変化したかを国別に調べ、生徒1人あたりのパソコンの台数との関係をみた。」、というものであった。
 このことについても、検証が必要である。
 

 以下、朝日新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-11-05 05:56 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

貧困問題ーこの貧窮死を防げなくて、何を語ることができるのか。

 朝日新聞のこの記事は、日本の「今」を映し出している。

 朝日新聞は2015年10月30日、「茨城県那珂市で27日朝、焼け跡から3人の遺体が見つかった住宅火災で、この家族が数日前から電気を止められ、明かりにロウソクを使っていたものの、市や近所の人が生活の変化に気づくことはなかった。県警はロウソクが火元になったとみて調べている。」、と報じた。
「県警は29日、司法解剖の結果、3人の死因について一酸化炭素中毒と発表した。」、家人は、「『明かりとしてロウソクを使っていた』と話したという。」、と続けた。
 また、地域の声として、「近くに住む女性(86)によると、美津子さんは火災2日前に遊びに来て、大根2本をお裾分けにくれた。女性は『最近、18歳の孫娘が30万円をかけて運転免許を取り、車も買ったと聞いた』。電気が止まっていたのは火災後の報道で知ったという。『言ってくれたらよかったのに』と嘆く。」、「地区の民生委員の女性(63)は一昨年ごろから、叶野さん宅の敷地内に段ボールや服、空き缶が放置されたのに気づいた。ただ、問いかけても、『大丈夫です』と返され、踏み込むのをためらった。今月8日、玄関先で美津子さんに体調を尋ねたときは、『楽ではない』と返ってきただけだった。女性は『小さな変化だけど、助けを求めるサインだったのかもしれない』と肩を落とした。」、との声を伝えた。


 日本の「今」とは、貧困が、忍び寄っているのではなく、日常化されている実態を現している。
 このような貧窮死を防ぐことができなくて、何を語ろうというのか。

 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-10-31 05:28 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

貧困問題-非行の陰に貧困が隠れているケースが多く、その向こうにDVや依存症、親の養育力の弱さなどがみえる。

 2015年10月12日の今回の朝日新聞の『子どもと貧困』特集は、「少年院に行きたい」で始まる。

 特集の中の子どもと大人の声を拾う。


・友達を作らなきゃ。1人はイヤだ。少年はその気持ちを誰にも話さなかった。
・「人と関わるな」
・「初めて悩みを言っていいんだと思えたら涙が止まらなくて、どうか助けてという気持ちでした」


 そして、特集は、「親は子育ての悩みと生活苦が重なり、頼れる人がおらず行き詰まる。この母子も決して特異なケースではない」、と。
 子どもの貧困は、子どもと大人の問題である。

 朝日新聞は、「子どもは、友達の中で自分だけできないことがあると心にダメージを負い、社会への不信感にもつながるという。『児童扶養手当の増額、学校での相談、孤立した親の支援などきめ細かくみていく必要がある』、と続ける。
 「家裁調査官の経験がある立命館大の野田正人教授(司法福祉)は『非行の陰に貧困が隠れているケースが多く、その向こうにDVや依存症、親の養育力の弱さなどがみえる。罰し方に関心がいきがちだが、なぜ非行に走るのかに着目し、地域や学校が積極的に子どもの困りごとを知ろうとする姿勢が大事だ』と話す。」、と指摘する。

 確かに、少年法の厳罰化など「罰し方に関心がいきがち」である。しかし、やはり、まずは、「なぜ非行に走るのかに着目」し、「地域や学校が積極的に子どもの困りごとを知ろうとする姿勢が大事だ」、ということではないか。

 以下、朝日新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-10-15 17:37 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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