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原子力規制委員会は、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働審査を巡り、審査書案を了承する方針。(1)

 毎日新聞は2017年9月6日、標題に関して、「原子力規制委員会は6日の定例会で、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、事業者としての適格性を議論した。適格性を否定する意見は出なかった。技術的な審査はほぼ終了しており、近く新規制基準に適合したことを示す審査書案をまとめる。福島第1原発事故を起こした東電の原発が新基準に合格する見通しになったのは初めて。福島第1原発と同じ沸騰水型としても初の合格となる。」、と報じた。
 また、この中で、特に問題となる東京電力の「適格性」-「東電に再び原発を運転する資格があるのか」-について、次のように触れている。


(1)福島第1原発事故を起こした東電に再び原発を運転する資格があるのか--。柏崎刈羽原発6、7号機の審査を巡っては、この点が大きな焦点となった。
(2)6日、原子力規制委員会が「適格性」を大筋で認めたことで、同原発は審査合格に向けて大きく前進したが、東電の原発稼働に対し国民の納得を得るには課題が残る。
(3)規制委は今回、通常の技術的審査に加え、新規制基準には明記されていないにもかかわらず、東電の原発事業者としての適格性を見極める異例の対応を取った。「(重大事故を起こした)東電と他の会社とは違う」(田中俊一委員長)との判断に加え、福島第1原発の廃炉を巡り、汚染水処理などの方針決定を政府に頼りすぎているとの不満が規制委にあったからだ。
(4)田中委員長は「福島の廃炉をやりきる覚悟と実績を示すことができなければ、運転をする資格はない」と強い言葉で東電に迫った。東電は社長名の文書や2度にわたる経営トップへの聞き取りで、「廃炉をやり遂げる」と強調したが、汚染水や放射性廃棄物の処分について、具体的な「覚悟」や「実績」が示されたとはいえない状況だ。
(5)東電の「適格性」をどう判断したのか、規制委には丁寧な説明が求められる。


 この問題について、南日本新聞は2017年9月8日、「2基は福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉で、事故を起こした東電の原発が審査に合格する見通しとなったのは初めてだ。」と指摘し、「[柏崎原発合格へ] 規制行政の信頼揺らぐ」、と社説を掲げた。
また、この間の原子力姿勢委員会の経過とその問題点を次のように批判している。


(1)規制委はこれまで東電の原発事業者としての適格性を疑問視してきた。ところが、6日の定例会合で「第1原発事故の経験はプラスになる」と評価するなど姿勢を一転させた。
(2)再稼働に向け、安全のお墨付きを与える重大な方針転換である。背景には田中俊一委員長が今月中旬の退任を控え、任期中に審査の道筋をつけたいとする強い意向があるという。
(3)規制委の審査は技術的な専門知識をベースにあくまで厳格で公正であるべきだ。だが、これとは無関係に個人の意向が優先すれば、規制行政の信頼が揺らぐと言わざるを得ない。
(4)「福島第1原発の廃炉に主体的に取り組む覚悟と実績を示せない事業者に再稼働の資格はない」。田中氏は7月の規制委臨時会議で、川村隆東電会長ら経営陣にこう迫った。8月にも原発の安全確保などに主体的に取り組めるか意見を聴取した。柏崎刈羽6、7号機は2013年9月に審査申請された。第1原発事故の教訓を踏まえ、設備の安全対策や、社内の安全文化が厳しく問われることはうなずける。ただこの間、東電が事故や被災者に正面から向き合ってきたかは疑わしい。
(5)今年2月には、柏崎刈羽原発の免震重要棟の耐震性不足を把握しながら規制委に報告しなかった問題が発覚。隠蔽(いんぺい)体質の根深さをあらためて浮き彫りにした。
第1原発で増え続ける汚染水対策については喫緊の課題にもかかわらず、具体的な解決策を示すことができなかった。何より第1原発の廃炉作業は収束のめどが立たないままだ。
(6)一連の東電の対応を受け、規制委が合否判断を留保してきたのは当然だろう。それなのに、ここにきて再稼働容認へかじを切るのは不可解というほかない。
(7)田中氏は方針転換との批判について「(これまでの発言の)言葉尻を捉えている」と反論する。だが、従来の発言と整合性を欠いているのは明らかだ。議論を尽くさないまま、拙速な判断といわれても仕方なかろう。


 南日本新聞は、最後に、「東電への国民の目は依然厳しい。規制委は、東電を信任したことへの説明責任を果たすべきだ。」、結論づける。

まさしく、原子力規制委員会の試金石だ。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-11 06:07 | 書くことから-原発 | Comments(0)

「核のごみマップ」(「科学的特性マップ」)を考える。

 東京新聞は2017年7月29日、「原発で使い終わった核燃料から出る『核のごみ(高レベル放射性廃棄物)』をめぐり経済産業省は二十八日、最終処分場を建設できそうな地域を色分けして示す地図『科学的特性マップ』をホームページ上で公開した。火山からの距離など自然条件を基に全国を四分類した結果、国土のうち沿岸部の約30%は『輸送面でも好ましい』とし適性が高い地域に分類。これらを含む約65%を建設できそうな地域と判断した。」、と報じた。
 「核のごみマップ」(「科学的特性マップ」)とは何なのか。
 このことを2017年7月30日と31日に拾い上げることのできた南日本新聞、愛媛新聞、茨城新聞、朝日新聞、毎日新聞の5紙の社説・論説から考える。
まずは、各紙の概要は次のものである。


Ⅰ.「科学的特性マップ」とは。


(南日本新聞)
 火山や活断層が周囲にない適地は全国の都道府県に存在する。国土の約7割を占め、うち海岸から近く最適とされた地域のある自治体は全市区町村の過半数の約900が該当する。経産省は自治体名などを公表していないが、鹿児島県内で最適とされる地域が一定程度まとまって含まれるのは、南日本新聞社の集計で全43市町村のうち36市町村に上る。
経産省は、自治体に受け入れ判断を求めるものではないと説明する。候補地として手を挙げる自治体を待つ一方、国からも複数の自治体に調査への協力を求めながら段階的に処分場の建設地を絞り込んでいく考えのようだ。


(愛媛新聞)
 「科学的特性マップ」と名付けられた地図は、適地を「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」という持って回った言い方で塗り分けた。その結果、国土の7割弱が適地に該当するという。愛媛を見ても、中央構造線断層帯を線状に除いただけで、全20市町に適地が広がる上、どの市町も核のごみを搬入しやすい「輸送面でも好ましい」地域を含んでいる。結局最低限避けるべき地域を示したにすぎず、「科学的」と呼べるものではない。


(茨城新聞)
(1)国は2015年、処分のための調査受け入れについて、自治体から名乗りを上げてもらうそれまでの方式を改め、国が科学的な有望地を示した上で複数の自治体に申し入れる方針を明らかにした。今回の公表はその一環だが、有望地という言葉が誤解を招くとして「科学的特性マップ」と言い換えている。
(2)地図では、活断層や火山の周辺など地下の安定性に問題がある地域、資源探査などで今後地下利用があり得る地域などを塗り分けたが、地震や火山噴火などの地下の出来事を解明することには限界がある。未知の活断層による地盤の変動、火山噴火の規模や時期の想定は難しく、その他の地域が安全であることを意味しない。問題は国民にそれがどれだけ周知されているかだ。現状でリスクについて共通理解があるとは思えない。


(朝日新聞)
(1) 日本で商業原発の運転が始まって半世紀がたった。抱える使用済み燃料は2万トン近い。その燃料から出る高レベル放射性廃棄物は、放射能が十分安全なレベルに下がるまでに数万年~10万年を要する。だから、地下300メートルより深い地層に運び込み、坑道を埋めてふさぎ、ひたすら自然に委ねる。それが政府の考える最終処分だ。人間の想像力を超えた、途方もない未来にまで影響が及ぶ難題だが、避けては通れない。にもかかわらず、処分をあいまいにしたまま原発が生む電気を使い、恩恵だけを享受してきた。原発が「トイレなきマンション」とたとえられるゆえんだ。
(2)いつまでも先送りはできない。マップは国民一人ひとりにその重い現実を突きつける。


(毎日新聞)
(1)特性マップはその第一歩で、火山や活断層、遠い将来に掘り起こされる恐れのある油田や炭田などのある地域を避けた上で、輸送の利便性が高い沿岸部を最も好ましい場所と位置づけている。


Ⅱ.「科学的特性マップ」への問題意識。


(南日本新聞)
(1)核のごみが存在する以上、最終処分をどうするかの検討は避けて通れない。マップの公表をきっかけに国民的議論を喚起しようという国の狙いは理解できる。しかし、真に国民の理解を得ようとするなら、徹底的な原子力政策の見直しが欠かせない。なぜなら、処分場立地促進の目的は原発推進にあるからだ。
(2)最終処分は2000年に法律が制定された。地下300メートルより深い岩盤にガラス固化体として埋め、放射線量が低くなる数万年から約10万年先まで生活環境から隔離して処分するという考え方だ。適地とされた鹿児島県内の地質について、研究者からは「火山噴火や断層の知見が十分反映されず、科学的とはいえない」「活断層が潜む可能性を否定できない場所が多数あり、調査が進んでいない」といった指摘が出ている。
(3)そもそも万年単位の超長期間、安全に地層処分ができるのかどうかは誰にも分からない。国はまず、秋以降に最適とされた地域で重点的に説明会を開く段取りだ。候補地選定へ向けた調査への理解を広げる糸口になるのか第1の関門が待ち受ける。


(愛媛新聞)
(1)原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を巡って、経済産業省は最終処分場の候補地となり得る地域を示した地図を公表した。だがその内容はあまりにも漠然としており、選定に向けた「長い道のりの最初の一歩」(経産省)になるかは疑わしい。
(2)分類の根拠となる基準も明確でない。決めたのは経産省職員が人選した委員会。意見を聞いたという相手も原子力委員会などの「内輪」に限られている。オープンな議論からは程遠く、到底納得できない。
(3)地震や火山噴火の将来予測は難しく、専門家でも議論が分かれている。理解を得るにはまず専門家による透明性のある議論の場を設け、国民に投げ掛け、共に論じることが欠かせない。
(4)国は今後、自治体からの応募を待つ一方、複数の自治体に調査への協力を求めるというが、具体的な道筋は示していない。「これまで以上に対話活動を充実させる。やがて関心を持つ地域が現れると期待する」。世耕弘成経産相は取り組みの加速を強調したが、このままでは受け入れに対する自治体の不安や反発は解消できまい。過疎高齢化に悩む地域が増える中、経産省関係者からは、調査や建設に伴う多額の交付金を目当てに誘致したい自治体はあるはずだ、とのもくろみも聞かれる。足元を見て助成金で「買収」するかのよう


(茨城新聞)
(1)原発稼働に伴うさまざまな問題の中で核のごみ処分を単独で解決することはできない。当初計画では、20年までに発生するガラス固化体を処分するとしていたが、11年の東京電力福島第1原発事故で原発の多くは停止。処分場に置かれる廃棄物の総量は推定できなくなった。
(2)高速増殖原型炉もんじゅの廃炉決定などで核燃料サイクル政策も行き詰まった。使用済み核燃料を再処理せずに処分する「ワンススルー方式」も視野に入る。地層処分の前提となる原子力政策、エネルギー政策の行く末はあまりにも不確かだ。
(3)政府が原発再稼働を推し進めるのに最大の障害は、トイレなきマンションと評される核のごみ処分の不備だ。今回のマップ公表には成果としてわずかな進捗(しんちょく)を強調することでそうした批判をかわす意図はないのか。この現状では、自治体に調査を申し入れても立地が進むとは到底思えない。自治体を名指しすれば、過去に各地で起こったような、受け入れの可否を巡る住民の分断、政治的な大混乱が繰り返されるのは必至だろう。


(朝日新聞)
(1)根本的な疑問がある。いまの原子力政策の維持・継続を前提に、最終処分地問題を進めようとしている点だ。
(2)使用済み燃料を再処理してプルトニウムやウランを取り出し、燃料に使う。残った廃棄物をガラスで固め、最終処分地に埋める。これが核燃料サイクルの概要である。しかし、サイクル事業の破綻(はたん)は明らかだ。1兆円超をつぎ込みながら、失敗続きで廃炉に追い込まれた高速増殖原型炉「もんじゅ」がそれを象徴する。
(3)最終処分地が決まったフィンランドやスウェーデンは、使用済み燃料をそのまま廃棄物として埋める「直接処分」を採用している。日本も現実的に対応していくべきだ。そして、原発を動かせば使用済み燃料も増えていくという事実を直視しなければならない。


(毎日新聞)
(1)この地図で適性が高くても、土地利用の状況など社会的要因を加味すると不適格という場所もある。確定的なものでないことは十分な説明がいるが、国民が関心を示さなければ意味のない地図に終わってしまう。


Ⅲ.主張


(南日本新聞)
 福島第1原発事故後の「原発回帰」路線を転換し、再生可能エネルギーなど原発に頼らない社会に向けて中長期的な方針を明確に打ち出すことが先決である。脱原発にかじを切れば、国民の処分への姿勢も変わりうる。今の方針では過去の処分場選定の取り組み同様、地域社会の分断を招き計画が頓挫する可能性は高いと言わざるを得ない。


(愛媛新聞)
(1)国は長年、核のごみという避けて通れない問題を先送りして原発政策を進め、東京電力福島第1原発の事故後もなお再稼働を推進してきた。問題のこれ以上の放置は許されない。「国が前面に立って選定に取り組む」のは当然の責務だ。安全な処分を追究、国民に真摯(しんし)に説明して深い討議を重ねた末に候補地を絞っていかなければならない。
(2)にもかかわらず、地図からは本気度がうかがえない。そればかりか、取り組みの前進をアピールし、近く見直し議論が始まるエネルギー基本計画に原発新増設を盛り込みたいとの思惑が見えることを危惧する。
(3)信頼がなければ協力は得られないと自覚すべきだ。無責任な原発推進を省み、国民の過半が望む脱原発へと政策を転換し、再生エネルギー政策を具体的に示すことが解決への大前提。原発を稼働させれば核のごみは増え続ける。その事実に向き合わないで処分を押しつけるのでは理解を得られるはずがない。


(茨城新聞)
(1)原発の高レベル放射性廃棄物について経済産業省は、最終処分に適している地質環境かどうかを基準に日本全国を塗り分けた地図を公表した。経産相は「処分実現に向けた長い道のりの最初の一歩」としたが、このように物議を醸すだけの施策では何も決まらない。いったん立ち止まり、選定の在り方を一から考え直す必要がある。
(2)まずはマップの塗り分けの意味を、リスクを含めて丁寧に説明し、科学の最新の知見によって基準や処分方法を常に検証すること。そのプロセスをオープンにして国民の疑問や不安に繰り返し答えることが、遠回りでも先決だ。コンセンサスづくりと誘致活動を中途半端に並行させては、進むものも進まない。
(3)核のごみは、政府が国策として推進し、電力会社が事業として発電を行った結果として生まれた産業廃棄物であることを再確認したい。発生責任は国と電力会社にある。そのための合意形成の負担が「国民的課題」の名の下に自治体や住民に押しつけられることがあってはならない。日本学術会議は15年、高レベル放射性廃棄物を50年間は地上で保管し、時間をかけて社会的合意を図ることを提言した。このような難しい課題を解決するには当然の考え方であり、地道で息の長い取り組みこそが求められる。


(朝日新聞)
(1)マップができたとはいえ、最終処分は候補地が見つかっても調査だけで20年程度かかるという。使用済み燃料をできるだけ増やさないために、並行して脱原発への道筋を示すことが不可欠である。
(2)処分すべき廃棄物の量の上限を定め、それ以上は原発を運転させないという考え方は検討に値する。原発を守るために最終処分地を確保するというのでは、国民の理解は得られまい。 経済産業省と原子力発電環境整備機構は今後、「輸送面でも好ましい」とされた海側の地域を中心に対話に取り組み、調査の候補地探しを本格化させる。
(3)注文がある。最終処分地を巡って想定されるリスクや不確実性を包み隠さず説明する。そして、経済面の恩恵や地域振興と引き換えに受け入れを迫るような手法をとらないことだ。経産省と機構は、マップ公表に先立つ一般向け説明会などで「(廃棄物を地中に埋める)地層処分は技術的に確立している」と繰り返し、10万年後のシミュレーション結果を示しながら安全性は十分と強調した。だが、万全を期してもリスクはゼロにはならない。「安全神話」から決別することが、福島第一原発事故の教訓だ。
(4)処分地選びは原発政策と切り離せない関係にあり、政策への国民の信頼がなければ進まない。福島の事故で原発への信頼が失われた以上、政策の抜本的な見直しが欠かせない。


(毎日新聞)
(1)原発政策を進めてきた日本には、すでに核のごみが大量にある。原発への賛否によらず最終処分は必要であり、国民の幅広い理解が欠かせない。この地図を多くの人に興味を持ってもらうきっかけとしたい。
(2)適性が低いと判断された地域の人も日本全体の課題として関心を持ち続けてもらいたい。処分場選定を進めるには、政府や事業主体への信頼が欠かせない。福島の原発事故で安全神話が崩れ、処分場政策にも不信感を抱く人たちは少なからずいる。地震・火山国で未知の断層も抱える日本に不安材料があるのも確かだ。そうした懸念にも納得のいく説明を重ね、新たな知見に応じた計画の見直しも怠らないでほしい。
(2)マップを示したからといって急に国民の合意形成が進むわけではない。一定の期間、地上で「暫定保管」することも選択肢の一つだろう。その検討も進める必要がある。
(3)核のごみの総量を一定に抑えることは処分場選定を前進させる重要な要素だ。再稼働を進めれば核のごみは増え続ける。そのマイナスも考慮に入れ原発政策を考えるべきだ。



 確かに、「核のごみマップ」(「科学的特性マップ」)を発表した政府の思惑は、朝日新聞の「火山や活断層、地下資源の有無など自然条件から全国を『好ましい』と『「好ましくない』に大別しつつ4区分した。住まいや故郷がある市区町村が気になって調べた人もいるだろう。ひと安心、心配、警戒……。国土全体の6割もが『好ましい』とされただけに、『私の所は関係ない』」と、ひとごととして受け流したかもしれない。」との指摘にあるのではないか。一つのイメージ戦略である。
 私自身も、自分の居住地ををまずこのマップに当てはめてみてしまった。
 実は、「核のごみマップ」(「科学的特性マップ」)を考える時、まず大事なのは、南日本新聞が指摘する次のことである。
Ⅰ.核のごみが存在する以上、最終処分をどうするかの検討は避けて通れない。
Ⅱ.マップの公表をきっかけに国民的議論を喚起しようという国の狙いは理解できる。
Ⅲ.しかし、真に国民の理解を得ようとするなら、徹底的な原子力政策の見直しが欠かせない。なぜなら、処分場立地促進の目的は原発推進にあるからだ。
つまり、「核のごみマップ」(「科学的特性マップ」)の前提には、「福島第1原発事故後の「原発回帰」路線を転換し、再生可能エネルギーなど原発に頼らない社会に向けて中長期的な方針を明確に打ち出すことが先決である。」、という基本理念が背景にあるかどうかが重要になってくる。
 逆に言えば、政府の「核のごみマップ」(「科学的特性マップ」には、朝日新聞の「根本的な疑問がある。いまの原子力政策の維持・継続を前提に、最終処分地問題を進めようとしている点だ。」、との欺瞞が透けて見える。
 当然、こうしたイメージ戦略では、「原発を稼働させれば核のごみは増え続ける。その事実に向き合わないで処分を押しつけるのでは理解を得られるはずがない。」(愛媛新聞)、との指摘を超えられないことは明らかである。
 このことは、朝日新聞が、「処分地選びは原発政策と切り離せない関係にあり、政策への国民の信頼がなければ進まない。福島の事故で原発への信頼が失われた以上、政策の抜本的な見直しが欠かせない。」、と触れるところでもある。
 また、「科学的特性マップ」の科学性についても、愛媛新聞の「『科学的特性マップ』と名付けられた地図は、適地を『好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い』という持って回った言い方で塗り分けた。その結果、国土の7割弱が適地に該当するという。愛媛を見ても、中央構造線断層帯を線状に除いただけで、全20市町に適地が広がる上、どの市町も核のごみを搬入しやすい『輸送面でも好ましい』地域を含んでいる。結局最低限避けるべき地域を示したにすぎず、『科学的』と呼べるものではない。」との指摘が言い当てている。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-08 05:56 | 書くことから-原発 | Comments(0)

松山地裁は、伊方3号機差し止め認めず。(3)

 東京新聞は2017年7月21日、標題について、「四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を禁止するよう県内の住民らが申し立てた仮処分について、松山地裁(久保井恵子裁判長)は21日、却下する決定をした。4カ所で申し立てられた仮処分のうち、今年3月の広島地裁決定に続いて運転差し止めを認めなかった。」、と報じた。
 また、「四国電側が算出した原発の耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)の信用性や、東京電力福島第1原発事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準に基づく審査の在り方などが争点だった。ほか3カ所の仮処分は、広島地裁に申し立てた住民側が広島高裁へ即時抗告したほか、大分地裁と山口地裁岩国支部で審理が続いている。」、と伝えた。
 伊方原発をとめる弁護団・伊方原発をとめる会は、21日の15時30分から愛媛県庁記者クラブで行った記者会見で「伊方3号炉松山地裁仮処分決定についての声明」を発表した。また、18時から開催した報告集会では、抗議決議をあげた。
 この「声明」を読む。以下、要約。


Ⅰ.主張

 本日の決定を到底許すことは出来ない。速やかに即時抗告を行い,上級審において逆転決定を求めるものである。


Ⅱ.松山地裁仮処分の申立却下決定の意味

(1)福島原発事故の悲劇に目を塞ぎ、福島原発事故を防ぐことができなかった司法の責任を忘れた許し難い決定である。
(2)「原子力規制委員会の許認可を受け、現在の安全規制の下でその設置運転等がされていることを主張疎明すれば足る」という四電の主張を排斥し、四電において、「具体的危険性が存在しないこと、または現在の科学技術水準に照らし、新規制基準に不合理な点がないこと、ならびに新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の調査審議および判断の過程に看過し難い過誤,欠落がないことの主張疎明を尽くす必要がある」としながら、実際の判断においては,原子力規制委員会が新規制基準に適合したと判断したことを以って四電の主張疎明が尽くされたとしており、羊頭狗肉の典型といわざるを得ない。
(3)「以下では、債務者の上記主張,疎明が尽くされているといえるか否かについて、検討することとする。」としながら,実際の判断においては、「債権者らの主張には理由がない」「債権者らの指摘する危険性を認めるに足りる疎明資料はない」として、債権者らに主張疎明責任を負担させるという明らかな論理矛盾を犯しており、裁判所の判断とも思われない。
(4)同じ伊方3号炉についての3月30日の広島地裁決定同様、福島原発事故による深刻な被害の認定がないことが特徴的であるが,広島地裁決定では、裁判官が確証を持てなかったことを正直に吐露しているのに対し、この決定にはそれすらもなく、残念ながら、この決定は、鉄面皮ともいえる国策追従決定と評価せざるを得ない。


Ⅲ.伊方原発の深刻な問題点の指摘

(1)伊方原発は、我が国最大の活断層である中央構造線を無視して建設された原発である。伊方1号炉は、中央構造線の存在を無視して建設され、伊方2、3号炉は、中央構造線が活断層ではないとして建設された。「大きな事故の誘因」がないことを立地条件とする立地審査指針により、本来設置が許可される筈のない伊方原発が、中央構造線の存在を無視し活動性を否定することによって許可されてしまったのである。そして、その後、中央構造線が我が国最大の活断層であることが明確になったにもかかわらず、今度は、原子力規制委員会によって立地審査指針が無視されて、再稼働が許可されてしまった。本来地震国である我が国に原発を建設すること自体が間違っているが、想定東海地震の震源域の中央に建設された浜岡原発同様に、伊方原発は、中央構造線の直近に位置すると同時に南海トラフの巨大地震の震源域にも位置しており、地震による危険性は全国でも飛び抜けた危険極まりない原発なのである。
(2)事故が発生した場合には、佐田岬の半島側に居住する約5000人もの人々が避難出来ないことも常識となっていると言って過言ではないし、閉鎖性水域である瀬戸内海が死の海になることは必定なのである。
(3)かつて「絶対安全」とされていた原発が,福島原発事故においてレベル7の破滅的な事故を起こし,それ以降,国も電力会社も「絶対安全などあり得ない」というようになり,過酷事故を想定した大規模な避難訓練を行うようになった。我が国最大の活断層である中央構造線が直近にあり,南海トラフの巨大地震の震源域にある伊方原発が過酷事故を起こす危険を避けるため,住民が,その運転停止を求めるのは当然のことである。戦前の竹槍訓練を想起させる避難訓練に身を委ねることは出来ないと住民が思うのも当たり前のことではないか。


Ⅳ.司法の問題の指摘

(1)かつて,松山地裁において,我が国初の本格的な原発訴訟である伊方1号炉の行政訴訟が行われたが、その結審直前に、ずっと審理を担当してきた村上裁判長が異動になり、殆ど審理に関与しなかった柏木裁判長が原告敗訴の判決を書き、その後の住民側敗訴のレールを敷いてしまった。福島原発事故を受けてそれまでの司法判断の流れが変わり、福井地裁で、樋口裁判長による大飯原発差止判決や高浜原発運転停止仮処分決定が出たが、その後、高浜異議審は3名とも最高裁経験者である福井地裁でも異例の裁判体によって樋口決定が覆され、また、大飯控訴審、川内即時抗告審においても、最高裁シフトと呼ばれる異例の裁判官人事が行われ、かつての司法判断への回帰が画策されている。本件仮処分においても、昨年5月31日に申し立てた直後の7月、最高裁経験者が主任裁判官として配属された。本件仮処分の審理では,主張においても、疎明においても、住民側が、四電を凌駕していたと自負しているが、裁判官人事によって、審理結果が左右されるならば、裁判所の存在意義はないに等しい。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-01 05:34 | 書くことから-原発 | Comments(0)

政府は、「核のごみ(高レベル放射性廃棄物)」の最終処分場の候補地は、国土のうち沿岸部の約30%は「輸送面でも好ましい」、と。

 東京新聞は、標題に関して、「国民の理解 置き去り」、と次のように報じた。


(1)原発で使い終わった核燃料から出る『核のごみ(高レベル放射性廃棄物)』をめぐり経済産業省は二十八日、最終処分場を建設できそうな地域を色分けして示す地図『科学的特性マップ』をホームページ上で公開した。火山からの距離など自然条件を基に全国を四分類した結果、国土のうち沿岸部の約30%は『輸送面でも好ましい』とし適性が高い地域に分類。これらを含む約65%を建設できそうな地域と判断した。」 
(2)経産省は秋から全国で対話集会を開いて説明し、処分場の調査受け入れを複数の自治体に打診する方針。世耕弘成(ひろしげ)経済産業相は地図は処分場建設に向けた『重要な一歩』だと強調した。
(3)処分場は地下三百メートルより深い地中に建設。核のごみを数万年にわたり閉じ込める「地層処分」という手法を採る。自然環境に照らして設けた七つの基準に抵触する地域などを「好ましくない」などと実質的に除外した。調査のため処分場着工までに二十年程度をかける。福島県は東京電力福島第一原発事故からの復興途上にあり、政府から積極的な働きかけはしない。青森県は六ケ所村が再処理工場を受け入れた経緯があり、政府と最終処分場を建設しない約束を結んでいる。
(4)核のごみの行き場は決まっておらず、経済産業省は「現世代の責任」と強調する。しかし、現状でも原発を動かしてごみを出し続けている経産省自身の無責任な姿勢は相変わらず。国民からは批判が絶えず、「国民の理解」は置き去りにされたままだ。通常の工場は産業廃棄物の処分場が確保できていないと動かせないが、政府は原発を特別扱いしてきた。今年三月末時点で国内の使用済み核燃料は一万七千八百三十トン。既に保管できる容量の七割を超えた。中にはあと三年程度でためておけなくなる原発もある。それでも政府は原発を動かす方針を崩さない。経産省が地図づくりの途中で行った意見公募では、無責任な政策に国民から批判が多く寄せられた。耳を傾けない政府の姿勢が改まらなければ、国民の間に政府に協力しようという機運は生まれない。




by asyagi-df-2014 | 2017-07-30 12:38 | 書くことから-原発 | Comments(0)

松山地裁は、伊方3号機差し止め認めず。(2)

 東京新聞は2017年7月21日、標題について、「四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を禁止するよう県内の住民らが申し立てた仮処分について、松山地裁(久保井恵子裁判長)は21日、却下する決定をした。4カ所で申し立てられた仮処分のうち、今年3月の広島地裁決定に続いて運転差し止めを認めなかった。」、と報じた。
 また、「四国電側が算出した原発の耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)の信用性や、東京電力福島第1原発事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準に基づく審査の在り方などが争点だった。ほか3カ所の仮処分は、広島地裁に申し立てた住民側が広島高裁へ即時抗告したほか、大分地裁と山口地裁岩国支部で審理が続いている。」、と伝えた。
 21日の15時30分から県庁記者クラブで行った記者会見で「伊方3号炉松山地裁仮処分決定についての声明」を発表した。また、18時から開催した報告集会では、抗議決議をあげた。
この抗議文で、この決定について、「本件仮処分では、昨年5月31日に申し立てた直後の7月、最高裁経験者が主任裁判官として配属された。審尋の中で、住民側の示す資料や意見書、専門家によるプレゼンテーションは四電側を圧倒していた。四国電力が資料を一部変造した事実も、裁判官たちの目の前で明らかになっていた。にもかかわらず、法律と良心のみに従う裁判官の職責を投げ捨て、福島原発事故を防ぐことができなかった司法の責任を忘れた許し難い決定である。」、と断罪した。
また、この決定の問題点を次のように指摘した。

(1)決定は、四国電力の側に「具体的危険性が存在しないこと」等を明らかにする必要があるとしながら、実際の判断では、いとも簡単に四電の主張疎明が尽くされたとしている。全くの欺瞞である。しかも、「危険性を認めるに足りる疎明資料はない」として、立証責任を不当に住民側に負わせている。
(2)決定には、福島原発事故による深刻な被害の認定がないことも特徴的であるが、安全に確証を持てなかったことを正直に吐露した広島地裁に比べ、住民の命と暮らしを顧みない、鉄面皮な国策追従決定である。
(3)伊方原発は、中央構造線断層帯に極めて近く、南海トラフの巨大地震の震源域にも位置しており、地震による危険性は全国でも飛び抜けた危険極まりない原発である。しかも、佐田岬半島に居住する人々の逃げ道はない。閉鎖性水域である瀬戸内海は死の海になってしまう。伊方原発が過酷事故を起こす危険を避けるため、住民が、その運転停止を求めるのは当然のことである。


 この上で、「私達は、本日の決定を断じて許すことが出来ない。強く抗議する。高松高裁において逆転決定を求めるとともに、伊方原発をとめ、廃止に向かわせるために全力をあげる。」、と強く抗議するとともに、今後の決意を示した。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-27 06:15 | 書くことから-原発 | Comments(0)

四国電力伊方原発運転差し止め訴訟の第5回口頭弁論を傍聴してきました。

 四国電力伊方原発運転差し止め訴訟の第5回口頭弁論・第8回審尋が、2017年7月20日14時30分より、大分地方裁判所で開催されました。今回も傍聴参加と報告集会に参加してきました。
これまでと同様に第1法廷で開催された裁判に、今回もまた、法廷をほぼ埋める人が集まりました。
  今回は、本訴訟に第二義訴訟の原告が初めて参加するものになりましたが、いつも通り25分ほどの時間で終了しました。
 本訴訟で毎回行われていた意見陳述が今後は難しくなるとの状況の中で、今回の口頭弁論では、第二次原告の工藤康紀さんが最後になるかもしれない意見陳述を行いました。
報告集会で、「伊方だけというよりは、日本の原発を止めたいという気持ちで裁判官に訴えた」、と語った工藤さんの意見陳述は、「大学、大学院で物理学を専攻し、県立高校で11年間、高等専門学校で25年間、教員をしていました。教員生活の最後の2年間は福島第一原発に近い福島高専におりました。今日は、原発を止めてほしいという思いから、この場を借りてお話しさせていただきます。」、から始まりました。
工藤さんの意見陳述の要約は次のものです。


(1)原発の運転に反対する気持ちもあり、一株主による反原発運動にも参加したりしていました。しかし、原発が事故を起こした場合の深刻さ、悲惨さは、今思えば十分に考えていなかったのだと思います。
(2)私はこれまでも原発に反対していたつもりですが、事故後に振りかえると、「なぜもっと行動しなかったのだろう。」という後悔が残りました。そのため、楽観的だった自分を許せませんでした。「今後は行動しなければならない。大分から義援金を送るだけではダメだ。」と反省しました。
(3)事故から1か月が経とうとする4月の春休みごろに、原発に最も近くでボランティア活動ができる福島県南相馬市でのボランティア活動に参加することを決めたのです。7月下旬に実際にボランティアに行きましたが、現地で強く感じたのは原発事故の想像を絶する影響力の大きさです。原発事故がもたらす破壊は、大規模であり、住人が住所を失うだけでなく、酷い場合には国の存続さえ危うくするものなのです。
(4)安倍総理大臣は「世界一厳しい原発の規制基準を作った。」と胸をはります。しかし、逆に言えば「日本はそれだけ世界一危険な地域に原発を作っている」という証拠でもあります。日本には火山や活断層が多く密集しています。このことを忘れてはなりません。
(5)福島の原発事故は人間のミスではなく、地震とその後に起きた津波による全電源喪失、すなわち自然現象が発端である、という点です。自然現象の特徴は、いつどこで起きるかが想像もつかないということです。
(6)電力会社がいうように、仮に原発事故の発端となるような大地震が千年に一度であろうと、一万年に一度であろうと、明日起きないという保障にはなりません。人間が想定する範囲の基準など、どこまでいっても、事故前の私と同じ楽観的予想に基づくものでしかありません。日本の原発の中で、中央構造線断層帯の近くにある伊方原発はワースト3に含まれるほど、危険な地域にあるという学者もいます。
 


 工藤さんは、意見陳述を次のようにまとめ、訴えとしました。


 「電力会社には原発を即時停止し、原子力以外の電力エネルギー源の開発に資金をつぎ込んでほしいです。そして、裁判所に対しては、国民を守る、国を守るためにもどうか原発の停止に向けて、司法権を適切に行使していただきたいと思います。原発の事故は、その影響や被害の大きさにおいて我々の想像を超えており、その他の事故とは全く異なります。繰り返しになりますが、自然界に人間の想像は通用しません。自然には勝てません!原発が運転されている限り事故は必ず起きます。そのことをもう一度深く深く真剣に考えてほしいと思います。」


 さて、4時前から行われた報告集会は、本訴訟の短さに比べて、熱と勢いのあるものに今回もなりました。結局、メモをとるのは報告集会でという形となっています。
 なお、この報告集会で設定されているマスコミからの質問コーナーは、あまりこれまでは経験したことのない積極的な質問が出されており、活気を呈しています。また、参加者にとっても、重要なポイントを確認できる場所となっています。

 報告集会で、最初に、 河村弁護士は次のことを説明しました。
(1)仮処分の審尋を、メドがついたととの裁判所側の判断により、10月11日の第9回審尋で終わる。
(2)裁判長交代にともない、①火山灰の問題、②大分県内の大分県民の避難の問題(このことについては、徳田弁護士より事務局長の小坂さん(田ノ浦在住)の事例と説明される)、③北朝鮮のミサイル問題、の準備書面を提出した。四電側は、10月4日までに反論を準備することになっている。
(3)仮処分の決定は、年内は無理のようである。
 この後、弁護士から、本訴訟の重点は、基準値震動の問題と上記三つを加えた四点になるとの説明がありました。 

 特に、今回の報告会の関心は、降下火山灰の問題に集まりました。
この降下火山灰の問題については、是非とも学習会が必要になっています。
 火山と担当する中野弁護士の報告会での話をまとめると次のようになります。
①火山灰で漏電をして使えなくなる。次に、ディーゼル発電等を使って冷却するが、火山灰で機能を喪失する可能性がある。                        ②電気事業連合会の「『機能維持評価葉酸高濃度』への対応について」(平成29年6月22日)によると、伊方3号機は、「設計層厚:15cm」「参考の濃度:約3.1g//m3」「現状の限界濃度:0.7g/m3」、となっている。なお、この場合の、限界濃度の説明は、現状設備において(ディーゼル発電機を交互に切り替え、フィルタ取替・清掃することによって)対応可能な限界濃度、と説明されている。つまり、新規制基準を満たしていないわけで、伊方3号機がこのままでは耐えられないことは明らか。
③火山灰と火砕流を分けて考える必要がある。予知が対象にしているのは、火砕流のこと。


この降下火山灰の問題に関して、小森弁護士から、「安全性が確保できなければ、止めて安全を確保すべきである。万が一の事故は防げない。」との本質を言い当てている発言がありました。
また、北朝鮮のミサイル問題について、河合弁護士より、「いろんな意見もあると思うが、非常に深刻な状態だと判断している。」、との説明がありました、
 このことに関しては、会場から、「動いている原発と動いていない原発の差はあるのか」、という質問が出されました。
 これについては、河合弁護士から、「対応の困難さは、動いているのが100だとしたら、動いていないものは10以下」、との説明がありました。もちろん、直接ミサイルが原発本体に当たれば、一緒の結果だとの指摘もありました。


最後に、徳田弁護士から、「大分県民が挙げて闘っているという意志を形として裁判所に見せる必要がある。できたら、原告の数は500人、いや、1000人が」、という激励がありました。



by asyagi-df-2014 | 2017-07-22 05:29 | 書くことから-原発 | Comments(0)

松山地裁は、伊方3号機差し止め認めず。

 東京新聞は2017年7月21日、標題について、「四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を禁止するよう県内の住民らが申し立てた仮処分について、松山地裁(久保井恵子裁判長)は21日、却下する決定をした。4カ所で申し立てられた仮処分のうち、今年3月の広島地裁決定に続いて運転差し止めを認めなかった。」、と報じた。
 また、「四国電側が算出した原発の耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)の信用性や、東京電力福島第1原発事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準に基づく審査の在り方などが争点だった。ほか3カ所の仮処分は、広島地裁に申し立てた住民側が広島高裁へ即時抗告したほか、大分地裁と山口地裁岩国支部で審理が続いている。」、と伝えた。


 実は、朝日新聞は2017年7月21日、この仮処分の焦点について、「住民側は松山地裁の審尋で、火山噴火の影響、地滑りや液状化、津波の危険性などを訴え、『住民の被曝(ひばく)や環境汚染を引き起こす過酷事故の危険性と緊急性が高まっている』と主張。四電側は地震動や火山、津波の危険性などを適切に評価しており、安全性を確保していると反論していた。」、と報じていた。
 また、最近の原発めぐる状況については、「伊方3号機については昨年以降、広島地裁、大分地裁、山口地裁岩国支部にも運転差し止めを求める仮処分が申し立てられた。うち広島地裁は今年3月、新規制基準に不合理な点はなく、基準地震動についても基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に不合理な点はないと認定し、申し立てを却下。住民側は広島高裁に即時抗告した。原発に対する同様の仮処分申し立てでは、福井地裁が2015年4月、大津地裁が昨年3月、いずれも関西電力高浜3、4号機の運転差し止めを決定したが、異議審や抗告審で取り消された。」、と伝えていた。


 東京新聞の紙面に載せられたのは、「不当決定」「司法はもう福島を忘れたか」の垂れ幕を掲げた抗議の写真である。




by asyagi-df-2014 | 2017-07-21 16:27 | 書くことから-原発 | Comments(0)

川勝平太知事は、中部電力浜岡原発の再稼働について、任期の四年間に同意しないことを明言。

 東京新聞は2017年6月28日、標題について次のように報じた。


(1)二十五日投開票の静岡県知事選で三選を果たした川勝平太知事は二十七日、県庁での記者会見で、中部電力浜岡原発(御前崎市)の再稼働について、任期の四年間に中電から同意を求められても同意しない意向を明らかにした。川勝知事はこれまで、使用済み核燃料の置き場が無いことなどを理由に「再稼働できる状況にない」と主張していたが、不同意を明言したのは初めて。
(2)川勝知事は「中電から再稼働したいとの要請があっても同意しないということか」との報道陣の質問に、「そういう意味だ」と答えた。さらに「一般論として原発賛成か反対かではなく、中電の浜岡原発についてどう思うかということ」と前置きした上で、「四年間で同意を求められることはないと思うが(同意を求められた時は)きちっと筋を通して申し上げる」と話した。
(3)原発の安全規制に関する法的権限は国に一元化されており、知事に再稼働を止める法的な権限はない。国のエネルギー基本計画では「立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」とされている。県と地元四市(御前崎、牧之原、掛川、菊川)、中電の三者で結ぶ安全協定には再稼働の事前了解に関する規定はない。
(4)中部電力本店広報部は二十七日、本紙の取材に「会見での知事のご発言の内容の詳細について承知しておらず、コメントできない」とした。


 実は、東京新聞は、2017年6月26日の社説で。「静岡県知事選 浜岡原発は重い宿題だ」、と知事の当選直後に、「任期のスタートは、最大、最強の『当事者』として、浜岡原発に真っすぐ向き合うことからだ。」、と投げかけていた。
 それは、次のように。


①川勝氏は以前から「再稼働には住民の意思が尊重されるべきだ」とし、住民投票の必要性も認めている。かと言って、自ら条例案を提出するつもりはなく「県民代表の議会が発議すべきだ」と、やはり、どこかよそよそしい。
②しかし、これまでの例から見ても、再稼働の最終判断を下すのは立地県の知事である。
福島と同じ沸騰水型で、地震の揺れの想定も難しく、審査に時間がかかりそうとはいうものの、三期目の任期の中で、川勝氏が知事として、重い判断を迫られる可能性は低くない。
③浜岡原発に関する住民の期待や不安を受け止めて、自らの考えを自らの言葉で語ること-。川勝県政「ジャンプ」の任期のスタートは、最大、最強の「当事者」として、浜岡原発に真っすぐ向き合うことからだ。


 最大、最強の「当事者」としてのあたりまえの判断が、こうして出された。




by asyagi-df-2014 | 2017-07-08 10:22 | 書くことから-原発 | Comments(0)

東京新聞は、「『脱原発』」の声は依然、根強く、新たな世論の高まりの可能性も指摘される。」、と。

 東京新聞は2017年7月1日、「二〇一二年六月末、東京・首相官邸前での金曜デモに最大二十万人(主催者発表)とも言われる市民が集い、原発に「NO」を突きつけてから五年がたった。デモ参加者は減り、各地で原発再稼働の動きが続くが『脱原発』」の声は依然、根強く、新たな世論の高まりの可能性も指摘される。」、と伝えた。
 安倍晋三政権の意思は、原発再稼働の強行として示されてきた。
 果たして、このことを市民がどのよう受けとめることができているのか。
 例えば、東京新聞は、「本社加盟の日本世論調査会が一六年十一月に実施した最新調査では、再稼働について『反対』(58%)が「賛成」(35%)を大きく上回った。これを含め一四年以降の計五回の調査は、すべて『反対』が六割前後を占める。原発を推進する立場の日本原子力文化財団による、原発のイメージを複数回答で選ぶ調査ですら、福島第一原発の事故後は『不安』を選ぶ人が常に半数を超え『「必要」という人に大差をつけている。」と伝え、「だが、こうした声は国政に反映されていない。」、と報じる。
 また、こうした状況について、「安倍政権は選挙で耳に心地よい政策ばかりをPRし、根本的な問題を先送りしてきた。野党も場当たり的で、政策議題を構築する能力がない」と、早稲田大の谷藤悦史教授の指摘を借りて分析する。
 東京新聞は、最後に、脱原発について、まとめる。


(1)こうした構図は一九八六年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故後にもあった。事故後の世論動向を分析した慶応大メディア・コミュニケーション研究所の山腰修三准教授は「原発への不安が高まり脱原発運動に発展したが、選挙では多様な争点の中に埋没した」と話す。
(2)歴史は繰り返す-。そのようにもみえるが、チェルノブイリ事故を機に脱原発運動を始めた市民団体「たんぽぽ舎」(東京)の山崎久隆副代表は「三十年前とは違う」と指摘する。東西冷戦下の当時、事故は旧ソ連の体制批判と結び付けられ、日本の原発の「安全神話」がかえって強調された。福島事故で「国民にはだまされたという思いが強い」と山崎さんは言う。
(3)福島事故後、自治体レベルでは一六年七月に鹿児島、十月には新潟の県知事選で、原発に慎重姿勢を示す候補が勝利。米山隆一新潟県知事は本紙に「原発問題に(政治が)答えていないというフラストレーションが人々にたまっている。原発は(国政選挙でも)争点になり得る」と語った。


 「国民にはだまされたという思いが強い」「原発問題に(政治が)答えていないというフラストレーションが人々にたまっている。原発は(国政選挙でも)争点になり得る」、というこえは、果たしてどれぐらいの水位まで届いているのだろうか。
 しかし、「3.11」は変えることを求めている。
 これだけは、譲れない。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-02 15:45 | 書くことから-原発 | Comments(0)

佐賀地裁は、玄海原発3、4号機の再稼働差し止めを地元住民らが求めた仮処分申請で、佐賀地裁(立川毅裁判長)は、申し立てを却下。

 毎日新聞は、2017年6月13日、標題について次のように報じた。


(1)九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働差し止めを地元住民らが求めた仮処分申請で、佐賀地裁(立川毅裁判長)は13日、「運転により重大な被害が生じる具体的な危険が存在するとは認められない」として、申し立てを却下した。4月には山口祥義(よしのり)佐賀県知事が再稼働に同意している。今回の決定で九電は目標とする年度内の再稼働に向けてさらに前進した。住民側は福岡高裁に即時抗告する方針。」
(2)申し立てたのは市民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(佐賀市、石丸初美代表)のメンバーを中心に3号機90人、4号機146人(34人は重複)。
(3)立川裁判長は決定で「九電は相当の根拠、資料に基づき主張し、3、4号機の安全性に欠けるところがあるとは認められず、運転によって住民の人格権を侵害する恐れがあるとは認められない」と、住民側の訴えを退けた。
(4)住民側は申し立てで▽耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」が、九電が用いた計算式では過小評価されている▽2007年に2号機で配管のひび割れが見つかった後も「(2号機以外も含め)九電の検査体制が改善されておらず、重大事故の危険性がある」--などと訴えていた。
(5)立川裁判長はまず、司法判断をするにあたって「裁判所は、原子力規制委員会の専門技術的知見による判断に不合理な点がある場合は具体的な危険があると解する」と示した。その上で、争点の基準地震動については「新規制基準での基準地震動の策定には合理性がある」とし「地域的な特性に照らしても妥当性がある」と判断した。
(6)配管の安全性については「2号機のひび割れは01年の時点で発見できたはずの事象を、07年まで発見が遅れたことは問題がある」と指摘しながら「配管が損傷することで重大な事故が生じる恐れがあるとは認められない」と結論付けた。
【関東晋慈、平川昌範】




by asyagi-df-2014 | 2017-06-13 16:40 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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