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社説、論説から。~琉球新報20171014・20171015~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 東村高江の牧草地に不時着し、炎上した米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターの事故について、琉球新報は、2017年10月14日「米軍の日本軽視 対米追従が招いた結果だ」、2017年10月15日「事故機に放射性物質 米軍は現地調査を認めよ」、と社説を掲載した。
 これを基に考える。

 琉球新報は10月14日、まず最初に、「組織として即座に謝罪しない。事故原因の究明そっちのけで短時間での飛行再開を急ぐ。政府は米軍のやりたい放題をいつまで放置するのか。」、と事故の本質を糾弾する。
そして、この事故後の在沖米海兵隊と日本政府に次のような問題点を指摘する。


(1)「東村高江の牧草地に不時着し、炎上した米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターの事故について、在日米軍のシュローティ副司令官は『私の個人的な』と前置きした上で『地元の地主の方々には心からおわびを申し上げたいと思う』と述べた。
司令官が不在ということは理由にならない。なぜ、在日米軍として謝罪しないのか。しかも、個人的な謝罪の対象は『地主の方々』だけである。理解できない。」
(2)「地主への謝罪は当然だ。だが、それだけで済む問題ではない。地域住民の恐怖感は計り知れない。多くの県民にも大きな衝撃を与えたのである。その認識が決定的に欠けている。」
(3)「在日米軍の責任の重さ、事故の重大性を受け止めているのなら、組織として謝罪するのが筋だ。それを即座に実行できないのは社会規範に沿った対応ができないほど、組織が劣化しているためだろう。」
(4)「事故機と同型機の運用停止期間で、説明が食い違っていることも、不可解としか言いようがない。在日米軍は普天間飛行場に所属する同型機の運用を96時間(4日間)停止すると発表した。一方、沖縄防衛局は『小野寺五典防衛相とシュローティ副司令官が面談した際は【96時間】という話は出ていなかった』としていた。だが、小野寺氏はその翌日、『実は昨日の会談の中でも当初4日間を考えているという発言がシュローティ副司令官からあった』とし、期限を定めずに飛行停止するよう求め、同意を得られたと主張した。防衛局と小野寺氏の説明で齟齬(そご)が生じたのである。通常ではあり得ない。緊張感の欠如も甚だしい。」
(5)いずれにせよ、米軍は日本政府から運用停止期間について同意を得る考えなどなかったのではないか。小野寺氏に方針を伝えただけで、小野寺氏の要請は無視した可能性さえ疑われる。


 琉球新報は10月14日の社説を次のようにまとめる。


(1)「自民党の岸田文雄政調会長は、ニコルソン在沖米四軍調整官とエレンライク総領事を呼んで抗議しようと米側と調整したが、拒否された。岸田氏は『米側の不誠実な態度は大変残念』と述べた。だが、県民は日米双方から不誠実な扱いを受け続けている。そのことを心に刻み、その状況を改善できるかが問われていることを知るべきだ。」
(2)小野寺、岸田の両氏は、在日米軍が日本政府や政権与党さえ、軽く見ている要因を知るべきだ。日本側の醜いまでの対米追従姿勢が招いた結果である。その姿勢を大きく転換しない限り、日本は米国から属国のように軽視され続ける。その被害を最も受けるのは沖縄県民である。早急に是正することは政府の責務だ。


 琉球新報は10月15日、「炎上したCH53E大型輸送ヘリコプターについて、在沖米海兵隊がインジケーター(指示器)の一つに放射性物質が使われていることを認めた。さらに現地では放射性物質を既に取り除いたと説明し『健康を害すのに十分な量ではない』と回答している。つまり事故現場に放射性物質が存在していたことになり、放射能汚染の可能性が出てきた。由々しき事態だ。」、と続けて追求する。
 琉球新報は次のように事実経過と問題点を明確にする。


(1)「海兵隊によると、放射性物質は指示器の複数の部品で使用されていた。2004年に宜野湾市の沖縄国際大学で墜落したCH53Dヘリの機体でも、回転翼安全装置などで放射性物質のストロンチウム90が検出された。」
(2)「沖国大の墜落事故の際、宜野湾市消防本部の消防隊員が消火活動したが、米軍からヘリに放射性物質を搭載している事実を知らされていなかった。このため米軍の消防隊員は消火活動直後に放射能検査を受けていたが、宜野湾市消防の隊員は受けていない。生命の安全に関する情報を提供しない極めて不誠実な対応だった。」
(3)「そして今回の炎上事故でも、初期消火に当たった国頭消防本部の消防隊員に、放射性物質の有無の情報を提供していなかった。海兵隊が放射性物質の存在を認めたのは、琉球新報の質問に対する回答だ。自ら情報提供したものではない。不誠実な対応は13年たっても変わらない。」
(4)「県と沖縄防衛局は放射性物質が飛散した可能性があるとして、事故機に接する土壌採取を米軍に要望している。しかし事故機から半径約100メートルに敷かれた米軍による内周規制線内への立ち入りは認められていない。このため県と防衛局は内周規制線の外で土壌を採取している。放射能汚染の可能性を引き起こしたのは米軍だ。その当事者が現地調査を拒んでいる。こんなことが許されるのか。いくら米軍が『健康を害すのに十分な量ではない』と説明しても、額面通りに信用することなどできない。」
(5)「米軍は事故現場の牧草地内に簡易ベッドやテントを設置している。しかし地主には無断で設置していた。牧草地内は車両が行き来しており、無数のタイヤ痕も残っている。あまりの傍若無人ぶりにあきれるほかない。」
(6)「池宮城紀夫弁護士は無断設置について憲法に保障された所有権の侵害に当たると指摘する。13日夜になって名護署や防衛局が地主に対してテント設置を報告し、了解を得ている。順序が逆ではないか。しかも報告の場に米軍当局者がいないことも理解に苦しむ。」


 琉球新報は、15日の社説を、「今回の米軍ヘリ炎上事故は住民の生命を脅かしただけでなく、財産も侵害している。放射能による環境汚染の懸念という極めて深刻な事態が起きている。米軍は機体周辺への立ち入りを認め、県と防衛局の現地調査に全面的に協力すべきだ。」、と譲れない主張として結ぶ。


 私たちがこの社説で確認したことは、次のことである。


Ⅰ.在日米軍が日本政府や政権与党さえ、軽く見ていること。
Ⅱ.それは、日本側の醜いまでの対米追従姿勢が招いた結果であること。
Ⅲ.その姿勢を大きく転換しない限り、日本は米国から属国のように軽視され続けること。Ⅳ.この結果の被害を最も被るのは、沖縄県民であること。
Ⅴ.今回の米軍ヘリ炎上事故では住民の生命を脅かしただけでなく、財産も侵害していること。
Ⅶ.実際に、放射能による環境汚染の懸念という極めて深刻な事態が起きている以上、米軍に機体周辺への立ち入りを認めさせ、県と防衛局が現地調査を行えることを、日本政府は米軍に求めること。
Ⅵ.この問題を解決する責任は、日本政府にあること。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-25 08:32 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄の決意。2017年10月22日の選挙結果を振り返る。

 2017年10月22日、第48回衆議院選で、日本のこれからはどのように決定されたのか。
 確かに、暗澹たる気持ちは沸き起こる。
 しかし、沖縄の決意は、少なくとも、人の営みで変えられるものがあることを示していると言える。
 私たちが、護憲と唱えながら下を向いて「よかった」と言ってきたこれまでを、またも繰り返しているのではないかという忸怩たる思いを抱きながらではあるが。
 琉球新報と沖縄タイムスは、沖縄の「決意」について、2017年10月23日、社説として次のように伝えた。


(1)琉球新報


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設を拒否する民意の根強さを改めて証明した。安倍政権が県民の意思を今後も踏みにじることは許されない。」、とこの選挙を総括する。
また、琉球新報は、この選挙結果の意味を次のように指摘する。


(1)「前回2014年の全勝には及ばなかったものの、1~3区で辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力が当選、当選確実とした。辺野古新基地を容認する自民党は1議席を獲得したが、3氏は選挙区で落選した。沖縄選挙区の最大の争点である辺野古新基地建設に反対する民意が上回ったことは、安倍政権の強硬姿勢に県民は決して屈しないとの決意の表れである。」
(2)国土面積の0・6%の沖縄に、在日米軍専用施設の70・38%が集中していることはどう考えても異常である。米軍基地を沖縄に押し込めることは、沖縄差別以外の何物でもない。国は迷惑施設の米軍基地の国内移設を打ち出せば、反対運動が起きると懸念しているにすぎない。それをあたかも普天間飛行場の返還には、辺野古新基地建設が唯一の解決策であるかのように偽装している。県民の多くはそれを見透かしている。」
(3)普天間飛行場の一日も早い返還には『辺野古移設が唯一の解決策』とする安倍政権への県民の怒りが選挙結果に表れたといえよう。」
(4)安倍政権が民主主義を重んじるならば、沖縄選挙区で自民党は1人しか当選できなかった現実を真摯(しんし)に受け止め、新基地建設を断念するのが筋である。それでも新基地を造るなら安倍首相はこの国のリーダーとして不適格だ。憲法25条は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と明記する。この権利を県民は享受できていない。米軍基地から派生する騒音被害や墜落事故、米軍人・軍属の事件事故が後を絶たないためだ。それを改善するのが国の務めであり、政治家の果たすべき役割である。だが、安倍政権は明らかに逆行している。」
(5)「国の移設計画は老朽化した普天間飛行場の代わりに米軍に最新鋭の基地を与えるものでしかない。米軍機は県内全域を飛行し、深夜・早朝にかかわらず訓練する。新基地建設は沖縄の負担強化につながるだけで、負担軽減になることは一切ない。」
(6)沖縄選挙区で自民党候補が当選したのは2012年衆院選以来、5年ぶりである。その時は3氏が当選したが、普天間飛行場の県外移設を求めていたことが大きい。」


 琉球新報の主張は、安倍晋三政権と沖縄の自民党候補に、厳しく向けられる。


①「沖縄にとって真の負担軽減とは何か。自民党は沖縄選挙区でなぜ苦戦を強いられているのか、安倍政権は自らに問う必要がある。」
②「自民党候補も沖縄の政治家としての在り方を考えるべきだ。沖縄の将来を見据えて党の政策を変えさせるのか、それとも党の方針に従うのか。政治姿勢が厳しく問われていることを自覚してほしい。」


(2)沖縄タイムス


 沖縄タイムスは、「第48回衆院選は22日、投開票された。希望の党の突然の旗揚げと失速、民進党の合流と分裂。振りかえってみればそれがすべてだった。今回ほど政治家と政党に対する不信感が広がった国政選挙はない。その責任は重大である。」、と総括する。
この上で、沖縄1区選挙区について、「前回2014年の衆院選に続く『オール沖縄』の勝利は、安倍政権の基地政策や強引な国会運営に対する批判にとどまらない。不公平な扱いに対する強烈な異義申し立てが広く県民の間に共有されていることを物語っている。とりわけ象徴的なのは、大票田の那覇市を抱える1区は、共産前職の赤嶺政賢氏(69)が接戦の末に自民、維新の前職らを制したことだ。共産党候補が小選挙区で当選したのは全国で沖縄1区だけである。翁長雄志知事のお膝元での勝利は知事の求心力を高めることになるだろう。」、と指摘する。
 沖縄タイムスは、沖縄選挙区を次のように概観する。


(1)「1区の選挙情勢は、赤嶺氏にとっては、マイナスの要素が多かった。高齢者に比べ若者には基地容認の傾向があること、保守層の中に根強い共産党アレルギーが存在すること、『オール沖縄』の一翼を担ってきた那覇市議会の新風会が割れたこと、などである。1月の宮古島市、2月の浦添市、4月のうるま市の市長選で『オール沖縄』系候補が立て続けに敗れたことも、退潮傾向を印象づけた。」
(2)「マイナスの要素を抱えながら、『オール沖縄』が1、2、3区の議席を死守することができたのはなぜか。普天間飛行場など多くの米軍基地を抱える2区では、社民前職のベテラン照屋寛徳氏(72)が早々と当選を決め、北部の演習場が集中する3区では、無所属前職の玉城デニー氏(58)が当確を決めた。いずれも危なげない勝利だった。」
(3)「名護市安部で起きたMV22オスプレイの大破事故と、東村高江で起きた米軍ヘリCH53Eの炎上事故は、いずれも民間地で発生した『クラスA』の重大事故だった。沖縄ではヘリ事故はどこでも起こりうる、という現実が浮き彫りにされたのである。」
(4)「安倍晋三首相は、北部訓練場の約半分の返還を負担軽減の大きな成果だと主張するが、住民の苦境を考慮しない一面的な見方である。訓練場の『不要な土地』を返還する条件として、東村高江の集落を取り囲むように、6カ所のヘリパッドが建設された。周辺住民からすれば基地被害の増大にほかならないのである。」


 また、沖縄タイムスは、安倍晋三政権への批判にとどまらず、沖縄の行政や政治家に向けて、次のように押さえる。


(1)「県議会は高江周辺のヘリパッドの使用禁止を全会一致で決議した。当選した議員は、県議会とも共同歩調を取って政府と米軍に働きかけてほしい。大事なことは、選挙公約を選挙の時だけの話に終わらせないこと、選挙で公約したことを軽々に破らないことだ。」
(2)「台風21号の影響で一部離島から投票箱を開票所まで移送することができなくなり、うるま市、南城市、座間味村の3市村は開票作業を23日に持ち越した。異例の事態である。公職選挙法第65条は『開票は、すべての投票箱の送致を受けた日、またはその翌日に行う』と規定している。うるま市の津堅島、南城市の久高島、座間味村の阿嘉島と慶留間島で投票箱の移送が不可能になったことから、これら3市村の開票作業が翌日に延びたというわけだ。4区は無所属前職の仲里利信氏(80)と自民前職の西銘恒三郎氏(63)が激しく争っている。大票田の南城市の開票作業が翌日に延びたため、午前零時半になっても当落の判定ができない、という事態が生じてしまった。台風への対応が適切だったかどうか、県選挙管理委員会をまじえて早急に対応を検証し、台風マニュアルを整備してもらいたい。」


 確かに、改めて、次の視点を確認する。


Ⅰ.「憲法25条は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と明記する。この権利を県民は享受できていない。米軍基地から派生する騒音被害や墜落事故、米軍人・軍属の事件事故が後を絶たないためだ。それを改善するのが国の務めであり、政治家の果たすべき役割である。だが、安倍政権は明らかに逆行している。」(琉球新報)
Ⅱ.「安倍晋三首相は、北部訓練場の約半分の返還を負担軽減の大きな成果だと主張するが、住民の苦境を考慮しない一面的な見方である。訓練場の『不要な土地』を返還する条件として、東村高江の集落を取り囲むように、6カ所のヘリパッドが建設された。周辺住民からすれば基地被害の増大にほかならないのである。」(沖縄タイムス)




by asyagi-df-2014 | 2017-10-24 06:34 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

米軍普天間飛行場所属のCH53大型ヘリが東村高江で炎上大破。-琉球新報及び沖縄タイムスの社説から-

 表題について、琉球新報及び沖縄タイムスは、「江米軍ヘリ炎上 海兵隊の撤退求める」、
「[米軍ヘリ炎上大破]政府は飛行停止求めよ」、とそれぞれ社説で論評した。
 この二社の社説から、大事なものを受け取る。
まず最初に、琉球新報。
琉球新報は、今回の事故を受けて、「米軍普天間飛行場所属のCH53大型輸送ヘリコプターが東村の県道70号沿いの民間地に不時着し、炎上した。最も近い住宅から200メートルしか離れていない。一歩間違ったら大惨事になっていた。事故を起こしたヘリと同型機は、2004年に宜野湾市の沖縄国際大学に墜落している。昨年12月に名護市安部で発生した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落から1年もたたない。」、とした上で、次の三点を要求する。


Ⅰ.「事故原因が究明されるまでの事故機と同型機の飛行中止を求める。」
Ⅱ.「同時に海兵隊機が使用する名護市辺野古の新基地建設断念と米軍北部訓練場に整備された六つのヘリパッドの使用禁止」
Ⅲ.「県民の命と財産に脅威となり続ける在沖米海兵隊の撤退を強く求める。」


 当然ながら、あわせて、「今回の衆院選は辺野古新基地過重負担が主要な争点になる。有権者はしっかり判断してほしい。」、と日本という国に投げかける。


 なぜこの結論にたどり着くのか。
 10月11日の報道ステ-ションでの安倍晋三首相のなぜか得意げな言い訳-安倍政権下がはじめて沖北部訓練場の返還を成し遂げた-に対して明確に反論するものでもある。
 琉球新報は、次のように説明する。


(1)CH53ヘリが炎上した現場は北部訓練場近くの牧草だ。日米両政府は、北部訓練場の過半を返還する条件として、東村高江集落を取り囲むように6カ所のヘリパッドを新設した。その過程で建設に反対する住民に対して昨年、県外から機動隊を投入し、力ずくで押さえ込んだ。そして昨年12月の北部訓練場過半の返還を記念した式典で、菅義偉官房長官は「今回の返還は日本復帰後最大の返還であり、沖縄の米軍施設の約2割が返還され、沖縄の負担軽減に大きく寄与する」と強調した。しかし、菅氏の言う「負担軽減」の結果、高江集落で騒音が増大し、住民生活に重大な影響を与えている。今回はヘリまで炎上した。これが現実だ。安倍政権にとっての「負担軽減」とは「負担強化」の言い換えにすぎない。
(2)海兵隊は今回の事故について「飛行中に火災が発生し緊急着陸した」と発表した。映像や写真を見ても「緊急着陸」と表現するのには無理がある。昨年の名護市安部のオスプレイの墜落を「緊急着水」と情報操作したことと重なる。
(3)憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記している。同13条は環境権(幸福追求権)を定め、前文は生命や健康が危険にさらされない平和的生存権を認めている。しかし、これらの権利が、沖縄では施政権返還後も著しく侵害され続けている。
(4)児童を含む17人が死亡した1959年6月の沖縄本島中部の石川市(現うるま市)宮森小学校ジェット機墜落事故をはじめ、68年にはベトナムに出撃するB52戦略爆撃機が嘉手納基地で離陸に失敗して墜落した。
(5)沖縄県の統計によると、72年の沖縄返還以降も米軍機の墜落事故は48件(16年末)に上る。単純計算で年に1件のペースで米軍機が墜落する都道府県が全国のどこにあるだろうか。


 確かに、琉球新報の指摘-①「安倍政権にとっての『負担軽減』とは『負担強化』の言い換えにすぎない。」、②憲法25条及び同13条の権利が「沖縄では施政権返還後も著しく侵害され続けている。」、③「単純計算で年に1件のペースで米軍機が墜落する都道府県が全国のどこにあるだろうか。」-は、琉球新報が要求する三点の要求こそが解決の道に近づく。


 次に、沖縄タイムス。
沖縄タイムスの要求は、次のものである。


Ⅰ.「沖縄はいつまで米軍ヘリ墜落の不安を抱えながら生活しなければならないのか。同型機の飛行停止を強く求める。」
Ⅱ.「飛行訓練が激化するばかりの高江集落周辺の六つのヘリパッド、宜野座村城原のキャンプ・ハンセン内のヘリパッドの使用禁止を強く求める。」
Ⅲ.「やはり日米地位協定の抜本的な見直しが必要である。」


 あわせて、沖縄タイムスは、こうした事故の背景を、「なぜ米軍機事故は止まらないのか。米軍機が事故を起こしても、原因究明、再発防止策がおざなりのまま飛行再開を容認する日本政府の姿勢が背景にある。政府はその自覚が弱いのではないか。」、と指摘する。
 沖縄タイムスは、沖縄に課された現実を、次のように告発する。


(1)米軍普天間飛行場所属のCH53大型ヘリが東村高江の民間の牧草地で炎上大破した。もはや異常というほかない。米海兵隊や防衛省によると、ヘリは訓練中に出火し、緊急着陸。機体は炎上大破した。事故原因はわからない。目撃者がツイッターに投稿した動画からは機体が火を噴き上げ、もうもうと黒煙が上がる様子が確認できる。乗組員7人の生命に別条はないという。付近には県道70号が走り、民家もある。一歩間違えれば、大惨事になるところだった。
(2)米軍北部訓練場の約半分の返還に伴い、東村高江集落を取り囲むように六つのヘリパッド(着陸帯)が完成し、米軍に提供されている。炎上したのがオスプレイでなく、場所がヘリパッドでないからといって無関係というわけにはいかない。むしろどこでも墜落する危険性があることを示すものだ。
(3)政府は事あるごとに負担軽減を強調するが、実際に起きているのはその逆である。
オスプレイが配備されてから5年。高江区では、米軍機による60デシベル以上の騒音回数が過去5年間で12倍超に激増。夜間の騒音も16倍超に跳ね上がっている。加えて今回の炎上大破事故である。どこが負担軽減なのか。
(4)普天間を飛び立ったCH53大型ヘリが2004年8月、隣接する沖縄国際大に墜落、炎上した。人的被害が出なかったのが奇跡的といえるほどの重大事故だった。あれから13年。「最後の警告」といわれたが、その後も米軍ヘリの墜落事故は相次いでいる。
沖国大の墜落事故では民間地であるにもかかわらず、日本警察の捜査権は及ばず、米軍が規制線を引いた。昨年12月には普天間所属のオスプレイが名護市安部の民家に近い浅瀬に墜落、大破した。沖国大での墜落事故後、日米は基地外における米軍機の事故に関するガイドライン(指針)を策定した。事故機に近い「内周規制線」は日米共同で、「外周規制線」は日本側が統制することになったが、実際は事故機を米側が管理することに変わりはないのである。安部の墜落事故では米軍は指針を守らなかった。


 しかし、沖縄の状況は、この日の在沖米海兵隊のヘリ事故だけに留まらない。
 沖縄タイムスは、「米軍はこの日、うるま市の津堅島訓練場水域でMC130特殊作戦機からパラシュート降下訓練をした。キャンプ・ハンセンでは実弾射撃訓練で山火事が発生している。炎上事故と降下訓練、山火事の関連はまだはっきりしないが、それにしても事故の発生頻度は尋常ではない。」、と伝えるのである。


 確かに、沖縄タイムスの「なぜ米軍機事故は止まらないのか。米軍機が事故を起こしても、原因究明、再発防止策がおざなりのまま飛行再開を容認する日本政府の姿勢が背景にある。政府はその自覚が弱いのではないか。」、との指摘は、政治の不作為の罪を問うものなのである。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-23 06:25 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

社説、論説から。~新潟日報20171021~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



新潟日報は2017年10月21日、10月22日の前日の社説として、「沖縄と在日米軍 基地問題が問うものとは」と社説を現した。
新潟日報は、在沖米海兵隊の大型ヘリが事故後一週間後に再飛行を開始した問題等について、「日本を守るために駐留している米軍が、沖縄県民の生命と財産を脅かしている。在日米軍基地を抱える沖縄が背負う理不尽さが改めて浮かび上がった。」、と論評した。
 もちろん、在日米軍駐留の目的が、単純に「日本を守るために駐留」とされている問題があるとは言え、しかしこのことの問題は大きいのだが、沖縄が抱えさせられている理不尽さを指摘した。
 新潟日報は、このように伝える。


(1)「在日米海兵隊が、沖縄県東村での大型輸送ヘリコプターの不時着事故後、停止していた同型機の飛行を再開した。」
(2)「事故から1週間しかたっていない。不時着の具体的な原因は明らかにされず、再発防止策の説明も不十分なままである。」
(3)「政府は米国に飛行停止を強く求めるべきだ。」
(4)「事故は今月11日に起きた。普天間飛行場(宜野湾市)所属のヘリコプターが飛行中に出火、不時着し炎上した。住民や乗員にけががなかったのは救いだった。現場は民間の牧草地で、民家からの距離はわずか300メートルしかない。一歩間違えれば、人命に関わる大惨事になりかねなかった。」
(5)「翁長雄志知事は事故を受けて『沖縄県にとっての国難だ』と厳しく批判した。飛行再開については『米軍の暴挙』と訴えている。当然である。」
(6)普天間飛行場所属の機体はトラブル続きだ。今回不時着した機体は6月、警告灯が点灯し、沖縄県内の空港に緊急着陸していた。新型輸送機オスプレイは昨年12月、名護市沿岸部に不時着して大破し、搭乗員2人が負傷した。その後も、沖縄県内外の空港に緊急着陸を繰り返している。」
(7)「安倍晋三首相は事故後、原因究明へ防衛省の知見を活用するよう指示し、自衛隊のパイロットや整備士が現地入りした。ただし、日米地位協定では、米軍の同意がない場合は日本の当局に捜索や差し押さえをする権利はない。これでは十分な原因究明は期待できまい。」
(8)「沖縄県で事故が多発するのは、在日米軍専用施設の約7割が集中しているためである。協定の見直しを含め、沖縄の基地負担問題にどう対処していくのか。その根本について日本全体で考えなければならない。政府は、県が強く反対しているにもかかわらず、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、沿岸の埋め立て工事を進めている。争いは再び裁判に持ち込まれた。今回の衆院選で沖縄県の4選挙区では、移設を容認する自民候補と反対する候補が争っている。ただ、全国的には目立った争点とはなっていない。」


 この上で、新潟日報は、「沖縄の基地問題を見つめることは、日本の安全保障政策を考えることと言っていい。歴代内閣が禁じてきた集団的自衛権の行使容認、安全保障関連法の施行により、自衛隊と米軍の一体化が進んだ。こうした状況は、在日米軍の位置付けや沖縄の現状にどう影響を及ぼすのか。沖縄の過重な基地負担を人ごととするのではなく、選挙を機に改めて目を向けたい。」、とまとめた。


 確かに、沖縄が抱えさせられた問題を解決させるには、日本全国で日本の安全保障政策はどうあるべきを緊急に考えることが必要である。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-22 12:26 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

社説、論説から。~東京新聞20171011~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



「東京電力福島第一原発事故でふるさとの生活が奪われたとして、福島県の住民ら約3800人が国と東電に生活環境の回復や慰謝料など総額約160億円の賠償を求めた訴訟で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は10日、国の責任を認め、国と東電に賠償を命じる判決を言い渡した。生活環境の回復を求める訴えは却下した。」(朝日新聞)。
 この判決について、東京新聞は2017年10月11日、「福島原発判決 国の責任を明確にした」、と論評した。
この福島地裁判決の意味を次のように示す。


(1)国と東京電力の両方に賠償を命じた福島地裁の判決だった。原発事故の被災者ら約四千人が起こした裁判で、津波の予見性とその対策をしなかった責任を明確にした点は極めて大きな意味がある。「なりわいを返せ、地域を返せ」のスローガンで全国最大規模の訴訟だった。原告は福島の全五十九市町村ばかりでなく、宮城、茨城、栃木にまたがった。
(2)居住地の放射線量を事故前の水準に戻す「原状回復」を求めたが、これは認められなかった。だが、国と東電に対し、約五億円の賠償を認めた。この判決が画期的といえるのは、原告勝訴に導いた論理の明快さといえる。
(3)まず出発点に挙げたのが、「長期評価」である。文部科学省の地震調査研究推進本部。その地震調査委員会が二〇〇二年に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」のことだ。これを判決は「専門的研究者の間で正当な見解として是認されたものであり、信頼性を疑うべき事情は存在しない」と断言する。そうすると国も東電も福島第一原発付近では最大一五・七メートルの津波を予見することができた。実際に〇八年に東電自身がそのように試算しているのだ。
(4)判決はいう。経済産業相は長期評価が公表された後、シミュレーションに必要な期間が過ぎた〇二年末までに、東電に対し非常用電源設備を技術基準に適合させるよう行政指導するべきだった。東電が応じない場合は、規制権限を行使すべきであった。
(5)判決は津波対策の回避可能性についても、さらに具体的に言及する。安全性確保を命じていれば、東電はタービン建屋や重要機器室の水密化の措置を取っていたであろうから、全電源喪失による事故回避は可能だった-。

 

 東京新聞は、この判決について、「何と整然とした論理であることか。」、と結論づける。 また、「国の責任をはっきり明言した判決に敬意を払う。」、とも。
 さらに、大事なことは、「大地震も大津波もたしかに自然の力による天災であろう。しかし、原発事故は予見できたのに手を打たなかった人災である。そのことが、今回の裁判でより鮮明に見えてきた。」、ということであるとも。





by asyagi-df-2014 | 2017-10-21 18:07 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

社説、論説から。~岩手日報20171009~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 岩手日報は2017年10月9日、「ダブルケア 命と政治の乖離解消を」、と論説した。
 この時期だからこそ、言わなくてはならいということである。
 恥ずかしながら、「ダブルケア」ということを不覚にも認識していなかった。
岩手日報は、「ダブルケア」について、次のように示す。


「子育てと介護を同時進行で担う『ダブルケア』が、深刻な問題になっている。担い手は肉体的にも精神的にも疲弊し、仕事との両立も難しい。介護費用と教育費用を捻出する時期が重なり、経済的苦境に陥るケースもある。」


 このように紹介するとともに、日本の社会保障制度の実態に、次のように疑問を突きつける。


「内閣府の調査で、ダブルケアに直面している人は全国約25万人と推計される。女性約17万人、男性約8万人で、働き盛りの30~40代が約8割。調査は未就学児を育てる人を対象にしているため、経済的負担が増加する中高生の親なども含めるとさらに多い。」

「子どもが病気や障害を抱えている場合は、大きくなっても「子育て」が続く上に、親や伴侶の介護が重くのしかかる。介護が一段落しても、苦悩は続く。
 『私が死んだら、この子はどうなる』『いっそ私が倒れて死んだら、行政も本気で子どもを支えてくれるのかな』
 母親たちの声は、日本の社会保障制度が、命を保障する制度たり得ていない現状をあらわにする。」


 岩手日報は、こう主張する。


(1)「衆院解散に際し安倍晋三首相は、現役世代が直面する子育て・介護の不安解消のため『大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へ大きく転換する』と強調した。」
(2)「『私は【全世代】の中に入っていないと思う』と受け止めるのは、県央部の50代女性。ヘルパーや施設利用に四苦八苦し、ダブル、さらにはトリプルケアも経験した。」
(3)「『1億総活躍』『女性活躍推進』『介護離職ゼロ』-。自らの生活実感とかけ離れたかなたを、さまざまなスローガンが通り過ぎていった。『今後も社会保障費の抑制が進み、切り捨てられる人が増えるだろう。大胆に切り込むべきは、家族介護を前提とした社会保障制度の根幹そのものだ』と指摘する。」
(4)衆院選は、財源問題を含めた社会保障の在り方も争点。自民は消費増税分で幼児教育無償化を掲げ、希望は消費増税凍結とベーシックインカム(最低生活保障)制度導入を訴えるなど、対立構図が見えてきた。」
(5)各党の訴えは、子育てや介護などに追われ、疲弊する人の心に届くだけの中身があるか。命と政治の乖離(かいり)が解消されない限り、ダブルケア解消の道はない。


 確かに、今のままでは、「今後も社会保障費の抑制が進み、切り捨てられる人が増えるだろう。」。だからこそ、「大胆に切り込むべきは、家族介護を前提とした社会保障制度の根幹そのものだ」、ということに違いない。

 届かせよう。
「子育てや介護などに追われ、疲弊する人の心に届くだけの中身があるか。命と政治の乖離(かいり)が解消されない限り、ダブルケア解消の道はない。」、との声を。





by asyagi-df-2014 | 2017-10-20 06:39 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

社説、論説から。~北海道新聞20171007~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 北海道新聞は2017年10月7日、「非人道的な核兵器の廃絶に向けて今すぐ行動を―。そう呼び掛ける世界への強いメッセージにほかならない。」、と2017年のノーベル平和賞は、国際非政府組織(NGO)の「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に決定したことを評した。
北海道新聞は、その受賞の意味を次のように示す。


(1)今年のノーベル平和賞は、国際非政府組織(NGO)の「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に贈られる。
(2)72年前の8月、広島、長崎に原爆が落とされ、その年だけで21万人が死亡した。命をつないだ人も放射能の恐怖に脅かされてきた。
(3)ICANは被爆者団体と二人三脚で核兵器の非人道性を訴え、核兵器を非合法化する核兵器禁止条約の実現を働きかけてきた。条約は今年7月に国連加盟国の3分の2の賛成で採択され、来年には発効する見通しだ。しかし、米国、ロシアなどの核兵器保有国に加え、日本など米国の「核の傘」の下にある国々は署名しない考えを示している。
(4)ICANは世界100カ国、450以上のNGOの集まりだ。日本の「ピースボート」も主要な運営団体の一つである。被爆者とともに世界中の市民から核廃絶を求める署名を集め、各国へのロビー活動を行ってきた。
(5)被爆者は核兵器がどれほどむごたらしい被害をもたらしてきたか、自らの体験を語ってきた。核兵器禁止条約の前文には被爆者と核実験被害者の「受け入れがたい苦痛と被害に心を留める」と記されている。
(6)ICANの国際ネットワークを生かし、世界に被爆者の声を届けてきた成果といえよう。ノルウェーのノーベル賞委員会は条約制定に向けて「革新的な努力」を尽くしたと高く評価した。
(7)日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の箕牧智之(みまきとしゆき)代表理事=広島県在住=はICANの受賞について「私たちも一緒に受賞したような思いだ」と話す。


 また、北海道新聞はこの受賞の意味について、「抑止依存の再考迫る」、と次のように位置づける。あわせて、核禁止条約の批准は日本の責務である、と日本という国の役割についても言及する。


(1)世界にはいまなお1万5千個の核兵器があり「核なき世界」にはほど遠い。核軍縮どころか、それに逆行する動きも強まっている。
(2)北朝鮮は今年、6回目の核実験を強行した。核兵器を搭載できるミサイル開発も加速させている。これに対し、トランプ米大統領は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」とやゆし、核攻撃すらほのめかす。
(3)ノーベル賞委員会は特に北朝鮮を名指しした上で「多くの国が核開発に取り組む現実の脅威がある」と指摘。同時に、核保有国に対しても核兵器削減に向けて「真剣な交渉」を始めるよう求めた。
(4)核保有国に共通するのは「核兵器は抑止力である」という考え方である。金正恩氏ですら米国の核から自国を守る「抑止力」を核開発の理由に挙げる。しかし、核抑止は「いつか核を使うこともある」という脅しであり、軍拡競争につながる危険性をはらむ。ひとたび核兵器が使われれば、どんな苦難が待っているか、私たちは既によく知っている。
(5)被爆者たちが「自分たちが体験した地獄のような苦しみを二度とほかのだれにも味わわせたくない」と訴え続けてきたことを、忘れるわけにはいかない。
(6)核兵器禁止条約は核兵器の使用だけでなく、保有や実験、使用をちらつかせた脅しなども禁じる内容である。核抑止に頼る外交政策の見直しを迫っていると言える。
(7)日本政府は、核兵器禁止条約は核保有国と非保有国の溝を深めるだけで、核兵器廃絶につながらないと主張。両者の橋渡し役を自任する。しかし、日本が行うのは双方から識者を招いて提言をまとめる「賢人会議」の開催くらいではないか。到底、その役割を果たしているとは思えない。逆に、米国の「核の傘」の下、安倍晋三首相は「北朝鮮対策で完全に米国と一致している」と言うばかりだ。
(8)ICANは唯一の被爆国である日本の役割に期待して、繰り返し条約への関与を求めてきた。
(9)被爆者の平均年齢は81歳を超えた。残された時間は少ない。日本政府のなすべきことは核兵器禁止条約を批准し、核保有国に核兵器を手放させることである。
 「どこの国の総理ですか」。今年8月の長崎原爆の日に、被爆者代表が安倍首相に投げかけた言葉を重く受け止めるべきだ。
(10)米国のオバマ前大統領は2009年、チェコ・プラハで「核なき世界」を訴え、ノーベル平和賞を受賞したが、核軍縮は進まなかった。今度こそ、このメッセージを生かさなければならない。


 確かに、北海道新聞の次の指摘を重く受け止めなければならない。
Ⅰ.「核実験を繰り返す北朝鮮はもちろん、核保有国も核廃絶に踏み出さなければならない。唯一の戦争被爆国である日本にはそれを主導する責務がある。」
Ⅱ.「核兵器禁止条約は核兵器の使用だけでなく、保有や実験、使用をちらつかせた脅しなども禁じる内容である。核抑止に頼る外交政策の見直しを迫っていると言える。」
Ⅲ.「『どこの国の総理ですか』。今年8月の長崎原爆の日に、被爆者代表が安倍首相に投げかけた言葉を重く受け止めるべきだ。」





by asyagi-df-2014 | 2017-10-17 07:26 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

本土への米軍基地引き取りへの「異論」に高橋哲哉が答える。

 沖縄タイムスは2017年10月6日、「本土への米軍基地引き取りに『道理』は立つのか。高橋哲哉東大大学院教授が都内であったシンポジウムで、一部で論議になっている批判や異論に答えていた」、と次のように伝えた。


(1)「引き取り論は日米安保容認になる。沖縄の負担解消は安保解消で行うべきでは」という疑問。:これには、安保解消まで沖縄を待たせられないとし「現実に安保がある中で基地反対行動をすることと、安保を認めることは違う。そうでないと、どんな行動も否定されてしまう」
(2)「本土に基地被害を移すことになる。責任を取れるのか」という批判。:これには、沖縄への米軍占領継続を望んだ終戦直後の昭和天皇メッセージや、本土から来た海兵隊の歴史を挙げ「本土が負うべきものを沖縄に押し付けてきた。日米地位協定を改定して被害が出ない体制をつくればいい」
(3)「根本的解決にならない」との指摘。:「まずは基地を減らす。米軍解体論こそ非現実的で、沖縄に基地を固定化する」と切り返した。
(4)「反対運動を分断する」という批判・:「本土側が拒むことを前提にしている。引き取りに協力すれば沖縄との連帯が生まれる」と説く。


 沖縄タイムスは、最後に、「学者らしい明快で分かりやすい説明だ。〈道理に向かう刃(やいば)なし〉。ことわざにあるように、基地を巡る誤解、無理解がはびこる昨今、筋の通った理(ことわり)は胸に響く。」(西江昭吾)、とシンポジウムの様子を結んでいる。


 確かに、高橋哲哉の投げかけは、「一部」で論議や批判になっている。しかし、せっかくの議論を無視するのが大多数である。
ここで話された、「日米安保容認」「移設地の基地被害の責任を取れるのか」「根本的解決にならない」「反対運動を分断する」は、基地の県外移設をとにかく俎上に載せないために、だんまりをきめこむための最初の手段として使われているのではないか。
何故なら、次にくるのが、「植民者」としての自覚の追求であるから。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-14 06:09 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

社説、論説から。~京都新聞20171006~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 10月22日を目前にした時期であるので、京都新聞(以下、京都)も、「原発政策は衆院選でも問われるべき課題だ。各党は柏崎刈羽原発再稼働についても主張を明確にしてほしい。」、と訴える。
 京都は、東京電力の「適格性」について、「過酷事故を起こした東京電力に再び原発を運転する資格があるのか。」、と主張する。
 また、その理由を次のように指摘する。


(1)規制委は東電が原発事業者として適格かどうかについて、東電が「事故の反省を忘れない」ことを条件に認めた。決意表明に過ぎないのに、適格性があると判断していいのだろうか。
(2) 合格は福島第1原発の事故以来、東電としても、事故を起こした原発と同じ沸騰水型炉としても初めてになる。東電は6、7号機の再稼働を経営再建の柱と位置づけている。合格は東電の悲願だった。規制委は東電の申請に対し、原発を運転する適格性を審査した。異例の対応だったといえよう。だが、結論に至る過程は不透明な点が多い。
(3)前委員長の田中俊一氏は在任中、福島第1原発の廃炉に対する東電の姿勢を「主体性が見えない」などと厳しく評価していた。ところが東電が「廃炉をやり遂げる」「経済性より安全性を優先する」などとする文書を提出すると突然、方針を転換した。退任会見で田中氏は「消極的な承認」と述べたが、説明不足は否めない。
(4)審査書では、こうした文章を法的拘束力のある保安規定に盛り込む。だが、企業の「決意」を法的にどう担保するのか。規制委の信頼性にも関わる問題ではないか。


 この上で、京都は、次のように押さえる。


(1)安倍晋三政権は「規制委が安全性を確認した原発は再稼働する」という方針を貫いている。一方、規制委は技術的な対策を審査することを本務としている。国は本来、規制委の結論を受けて独自に再稼働の是非を検討するべきだ。現状では国の責任をあいまいにしたまま、規制委を利用していると言わざるをえない。
(2)新潟県の米山隆一知事は「(福島の事故などについて)県独自の検証で安全が確認されないと再稼働の議論はできない」としている。検証の対象は福島の事故原因と健康や生活への影響、避難方法の3点だ。米山氏は規制委の結論にも「県の検証は左右されない。3、4年かかる」と述べている。原発再稼働に国が責任ある態度を示さない中、県知事として当然の姿勢であろう。


 確かに、「企業の『決意』を法的にどう担保するのか。」、という指摘が今回の矛盾を的確に突いている。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-13 08:29 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

吉村大阪市長さん、「公選の職にある者として、たとえ批判にさらされることがあろうとも地域に対して応えていくことが責務」とのサンフランシスコ市長の言葉に撃たれませんか。

 大阪市の吉村洋文市長が、姉妹都市の米サンフランシスコ市で計画されている旧日本軍の従軍慰安婦像設置について懸念を表明し、書面で求めたことに対して、米サンフランシスコ市長から大阪市長への返書が届いた。
 このことについて、毎日新聞は2017年10月5日、次のように報じた。


(1)大阪市の吉村洋文市長が、姉妹都市の米サンフランシスコ市で計画されている旧日本軍の従軍慰安婦像設置について懸念を表明している。吉村市長は姉妹都市の解消にも言及して計画が実現しないよう書面で求めたが、サンフランシスコ市長からは「大きな落胆を覚える」との返書が届いたという。大阪市が4日、明らかにした。
(2)大阪市によると、像は中国系米国人らの民間団体がサンフランシスコ市内に設置。今後、碑と共に市に寄贈し、公有地に移設する計画があるという。
(3)姉妹都市は今年提携60周年。吉村市長は、碑文の「数十万人の女性が性奴隷にされた」などの点について「日本政府の見解と違う」などと指摘。9月末に送った書面では「移管がなされると、残念だが姉妹都市関係を根本から見直さざるを得ない。思慮深い対応を望む」と記した。
(4)これに対し、今月2日付のエドウィン・リー市長の返書では、移設の有無を明確にしていないが、「公選の職にある者として、たとえ批判にさらされることがあろうとも地域に対して応えていくことが責務」と移設の容認を示唆。姉妹関係が解消された場合、「両市の住民を傷つける。協調の将来を築く努力をしている人が不利を被れば恥ずべきことではないか」と憂慮する内容だった。
(5)吉村氏は4日、記者団に考えに変わりがないことを改めて強調した。今月、大阪市を訪れるサンフランシスコ市代表団にも伝えるという。
                                 

 この返事(公開書簡)について、産経新聞が2017年10月5日、全文公開した。
この公開書簡は、次のように始められている。


「貴信については細心の注意をはらって拝読し、また、駐日アメリカ大使や報道機関に対する貴殿の声明についても改めて精査させて頂いた。
 私は、貴殿が両市の姉妹都市関係の終了を検討されているということに大きな落胆を覚えている。60年以上の長きにわたり、我々の姉妹都市関係は何百もの交流・友好行事の育まれてきた。これらの事業は両市にとって相互利益をもたらしてきただけでなく、両市市民の相互理解を深めてきている。」

 また、こうも大阪市長に説明する。


「姉妹都市という概念は、「人対人 People-to-People」プログラムを生み出し、また促進することで、政府の干渉を排除したうえで、多様な文化と市民をひとつにまとめることを目的として提唱されたものである。我々の60年にも亘る関係は、たとえ歴史や文化、言語が異なっているとしても、ともに力を合わせることで、人間愛が我々に共通する中核的な価値観であること、我々がともに平和に生きていけることを示してきた。」


 だからこそ、と続ける。


「姉妹都市関係が終了すれば、これまで自らの時間や資源、情熱を注ぎ、友好の懸け橋を築こうとしてきた両市の多くの住民を直接的に傷つけることになってしまうであろう。本市に所在する数々の市民団体は、日々の活動を通じて人々をまとめ上げ、相互理解をもたらしている。両市の市民が強固な協調の将来を築くことができるよう、懸命な努力をしている人々が不利をこうむることになれば、それは恥ずべきことではないかと思料する。」


 無理難題の大阪市長に語りかける。


「私は、過去を注視するのではなく、我々の子供たちにとって明るい未来を築いていくことに目を向けるべきだと確信している。この観点において、完全に民間の市民により構成されている当地のサンフランシスコ大阪姉妹都市協会が重要な役割を果たしていることは、大きな誇りである。現在非常に困難な時代に生きていることに鑑みれば、両市の明るい未来に向け地道に努力を重ねておられる市民の方々に、我々が強力な支援を示すことは至上命題である。」


 また、サンフランシスコ市長としての誇りを示す。


「公選の職にある者として、たとえ批判にさらされることがあろうとも、地域に対して応えていくことが私の責務である。より深い理解と相互の尊敬の念を持って、姉妹都市関係の61年目を迎えることができるよう、心から望んでいる。」


 最後に、公開書簡は、こう閉められている。


「相互の市民社会をより豊かな利益あるものとし、両市の協力関係を築いていくことにつながっていくよう、我々が両市の人対人の交流を強力に支え続けることを希望している。改めて、我々の素晴らしい都市を強化し利益をもたらすための、将来に向けての努力に対して注意を向け、両市を世界の見本として示していくことができるよう望んでいる。
 2016年8月に直接お会いし、実のあるお話ができたことを思い起こし、両市の姉妹都市関係を成功に導き続けるとともに、明るい未来に目を向けている人々を強力に支援し続けること以上の望みはない。」


 この公開書簡を読み返してみるが、この公開書簡の示すものの重みは、大阪市長の要求を凌駕するものである。





by asyagi-df-2014 | 2017-10-12 07:04 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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