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国労闘争団岩崎松男さんの偲ぶ会が開かれた。

 レイバ-ネットは、2017年6月25日、「ブレない不器用な男のたたかい~国労闘争団『岩崎松男さんを偲ぶ会』開かれる」、と伝えた。
 会場には、2000年「四党合意」で国鉄闘争が危機に陥ったときに「四党合意」反対の先頭に立っていた岩崎さんの勇姿が流されたという。
 国鉄闘争での国労闘争団岩崎松男さんの姿が脳裏にあるだけに、68歳で亡くなられたことに、心からの哀悼の意を表します。
 この偲ぶ会の様子を、レイバ-ネットは、次のように伝えてくれています。


(1)6月24日、東京・スペースたんぽぽで「岩崎松男さんを偲ぶ会」が開かれた。岩崎さんは元国労闘争団で、30年前の国鉄分割・民営化で解雇された1047人の一人。鹿児島で解雇されたが上京して専従としてたたかってきた。近年は地元の反原発運動にも関わっていたが、今年2月がんのため68歳で亡くなった。韓国民衆歌謡グループ「コッタジ」応援団の中心メンバーでもあり、偲ぶ会には韓国からコッタジ関係者が2名来日した。コッタジ歌手のパク・ヒャンミさんは金芝河の詩に歌をつけた「鳥」を歌って追悼、会場を魅了した。
(2)「偲ぶ会」は本人にふさわしく明るく楽しい集いになった。呼びかけ人のスピーチで名古屋哲一さんは「私は郵政だったが、同じ解雇仲間でウマがあった。かれは上が変わってもブレなかった。たぶんブレたり他の選択を考える頭がなかっただけかも…。不器用な人間だった」と笑わせた。そして「とにかく本をよく読んでいて教えてもらった」という。同じ闘争団仲間の成田雄一さんは「闘争団で一番尊敬できる先輩。遺志を継いでいきたい」と語った。ビデオプレスの佐々木有美さんは、エピソードを話そうとしたが思いがこみあげて絶句。代わりにこの日のために書いたメッセージを読みあげた。
(3)会場に流された映像は、2000年「四党合意」で国鉄闘争が危機に陥ったときに「四党合意」反対の先頭に立っていた岩崎さんの勇姿だった。臨時大会の「演壇占拠」のシーンも流れた。この日は国労関係者も多く、「俺はあの時あそこにいて壇上に突っ込んだ」「俺は呼び水をつくった」など「自慢話」に花が咲いた。全部で51人が参加したが、参列者は次々とマイクを握り、岩崎さんのエピソードや思い出を語った。国労関係だけでなく、「東京総行動」で一緒にたたかった仲間、「コッタジ応援団」の仲間、「労働情報」のメンバーなど幅広い人たちだった。
(4)『地域と労働運動』編集長の川副詔三さん(写真上)は「四党合意は、国鉄闘争が敗北するか生きのこるかの分岐点だった。あのとき岩崎さんは仲間と『貫徹グループ』をつくり、四党合意をつぶすことに人生を賭けた。そして四党合意はつぶれ、その結果2010年の名誉ある解決につながった。これはかれの人生の勲章だと思う」と岩崎さんのたたかいと生き方を讃えた。
(5)鹿児島の妻(幸子さん)からは、鹿児島焼酎の差し入れとお礼の手紙が寄せられた。そこには「主人は全身全霊で自分の信念を貫き、それに伴う人と人との結びつきを唯一の喜びとし、残された命を鹿児島の地で変わることなく全うしたのだと思います」と記されていた。
       (松原明)


                           




by asyagi-df-2014 | 2017-06-25 21:46 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

「弁護士と経済学者有志による緊急声明」を読む。

 経済学者と弁護士の有志が、2017年6月9日、緊急の声明を発表しました。
この声明を要約します。


Ⅰ.日本の現状への警鐘


 今国会で何度となく取り上げられた森友学園問題や加計学園問題などから明らかな通り、今や日本では首相官邸そのものによって、行政や司法の公平性が著しく歪められてしまい、その結果、法の支配が脅かされ、「人による支配」というべき状況が生じている。政権と近い者、政権と縁故を持つ者に対し恣意的に利益が誘導されるという状況は、客観的な予測可能性が乏しくリスク管理が機能しなくなるため、ビジネスにとっても重大な悪影響を及ぼす。


Ⅱ.根拠


(1)そもそも資本主義社会において何より重要なのは、公平、公正、平等な競争が確保されていることにある。これが確保されず、縁故による優遇が入り込めば、新規参入は行いづらく、海外企業の参入も阻まれ、ビジネスの健全な発展が阻害されることは明らかである。安倍政権がここまでコンプライアンス遵守の精神が乏しいというのは、極めて由々しき事態である。また、ビジネスにおいては、計画したプロジェクトの実行についてその結果及びリスクの予測可能性が不可欠であるが、金融商品取引法や税法違反の罪についてまで要件のあいまいな共謀罪が創設されると、ビジネス計画の立案の過程における議論に重大な悪影響を与え、ビジネス活動に対する萎縮効果が大きい。
(2)これほど政治家の質が下がり、政治が乱暴に、政府が横暴になったことはいまだかつて例がない。わが国の民主政治の危機はまさに頂点に達しており、三権分立の原則、立憲主義(法の支配)は政府と国会多数派の数の横暴で蹂躙されていると言わねばならない。この政権が今、市民の自由を脅かし監視社会をもたらす組織犯罪処罰法改正案(「共謀罪」法案)を成立させようとしていることは、戦慄すべき事態である。


Ⅲ.主張


(1)り返ってみれば、1990年代以降、「政治主導」によって官僚支配や政官業の癒着を打破することを標榜し、政治改革や行政改革が勧められ、小選挙区制の導入や中央省庁再編などを通じて、首相権限(官邸機能)の強化が進められてきたが、現在の安倍政権で現実のものとなってしまったのは、政治主導でも政官業の癒着打破でもなく、首相個人そして首相夫人による、公権力と公有財産の私物化ではないのか。
(2)法の支配や行政の公平性など、近代国家の土台そのものが、首相官邸によって蝕まれているのではないかという疑惑が国民の間に広がる根強いなかで、強引に国会を閉じて事態の幕引きを測ることは許されない。まずは、共謀罪審議を停止し、森友学園・加計学園問題に関する公権力と公有財産私物化の疑惑を、国会で徹底的に究明することを求める。  



 確かに、根本は、「安倍政権がここまでコンプライアンス遵守の精神が乏しいというのは、極めて由々しき事態である。」、ということにある。
 残念ながら、今こそ認識しなければならないのは、「安倍政権で現実のものとなってしまったのは、政治主導でも政官業の癒着打破でもなく、首相個人そして首相夫人による、公権力と公有財産の私物化」であるということになる。
 だからこそ、まずは、「共謀罪審議を停止し、森友学園・加計学園問題に関する公権力と公有財産私物化の疑惑を、国会で徹底的に究明することを求める。」、ことに繋がろう。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-25 08:32 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

安倍晋三政権による沖縄への「印象操作」。

 琉球新報は2017年6月12日、「名護市辺野古の新基地建設で翁長雄志知事が国を相手に工事の差し止め訴訟を起こす方針を表明したことに関連して政府側からは、2016年12月の県敗訴の最高裁判決などを引き合いに、翁長知事が判決に従っていないという印象を与える発言が出ている。」、と伝える。
 このことについて、琉球新報は、次のように図式してみせる。


((琉球新報2017年6月12日)
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 問題の起こりは、またもや管官房長官の会見である。琉球新報が次のように伝える。


 「菅義偉官房長官は8日の会見で、辺野古埋め立て承認取り消しを巡る最高裁判決が出た違法確認訴訟より前の代執行訴訟における和解を持ち出した。『知事も裁判の過程で行政の長として裁判所の判断には従うと明言してきた。和解条項でも、判決の主文およびその理由の趣旨に従って互いに協力して誠実に対応するという合意があるにもかかわらず、翁長知事はこういう行動に出て極めて残念』と強調してみせた。
 菅官房長官が和解条項を持ち出すのは今回が初めてではない。翁長知事が辺野古埋め立て工事を止める姿勢を示すたびに持ち出し、知事が和解で定めた内容に従わず約束違反しているとの印象を繰り返し発信してきた。」


 この会見について、琉球新報は、「菅官房長官の発言はあえて訴訟の違いには触れず、別の訴訟で交わした和解内容を順守していないという点を現在においても強調している。」、と批判するのである。
 つまり、意図的な「印象操作」をまたぞろ行っているのである。
上記の図を見れば、管官房長官の悪意のある意図は明白である。
 あくまで、「辺野古代執行和解条項」では、「是正の指示の取り消し訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い」と規定されているだけである。
だから、琉球新報はこの「悪意」について、「一般的に和解内容はその中で合意した内容に拘束される」と指摘し、「和解条項の中で個別の判決を示す訴訟名には触れずに、判決に従う義務の部分を引用して、知事に履行を迫る形になっている」、と批判する。
 もっと辺野古の現場で起こっている実情に即して言えば、「官房長官のコメントはずいぶん拡大的な解釈をしているようだ。(辺野古の工事の)物事を一切従えという口ぶりだ」、と切ってみせる。
琉球新報は、この問題について、次のように結論づける。


 「県弁護団の松永和宏弁護士は、今回の提訴が漁業権の有無に伴う岩礁破砕許可の確認であると強調した。『那覇空港もそうだが、公有水面埋め立て承認を得て、岩礁破砕の許可申請をして許可している。日本は法治国家で当然法律は守らなければならないという話。もう和解とは何の関係もない。(菅官房長官の指摘は)全く非論理的な話だ』と批判した。」


 さて、安倍晋三政権の沖縄への「印象操作」という政治手腕を問う上で、2017年6月12日の沖縄タイムスの平安名純代・米国特約記者の次の記事を取りあげる必要がある。
 実は今、何が事実であるかという意味で。


 「米海軍安全センターがまとめた事故評価報告書で、米海兵隊航空機の2017米会計年度(16年10月~17年6月6日時点)の10万飛行時間当たりの重大(クラスA)事故率が過去10年間で最高の4・51件に達していることが分かった。発生件数は7件で、昨年12月に沖縄県名護市安部の沿岸で垂直離着陸型輸送機MV22オスプレイが大破した事故も含まれている。機種別にみると、オスプレイ1件のほか、最も多かったのが戦闘攻撃機FA18で3件、次いで大型輸送ヘリコプターCH53が2件、ステルス戦闘機FA35の1件となっている。」


 果たして、この記事の前で、日本国の為政者は底の見える「印象操作」を行うことが本当の意味でできるのかということである。
 こういった「印象操作」は、相次ぐ米軍機の緊急着陸が続く沖縄の危険な現実を前にして、決して沖縄の人々の命を守る施策には繋がらないことは、確かである。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-23 06:06 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

「国会が死にかけている」。世界平和アピール7人委員会の投げかけをどのように受け取ることができるのか。

 世界平和アピール七人委員会は2017年6月10日、「国会が死にかけている」と題するアピールを発表しました。
 このアピール、「かつてここまで国民と国会が軽んじられた時代があっただろうか。」、と始められます。
こんな風に現在の国会を映し出します。


(1)戦後の日本社会を一変させる「共謀罪」法案が上程されている国会では、法案をほとんど理解できていない法務大臣が答弁を二転三転させ、まともな審議にならない。
(2)安倍首相も、もっぱら質問をはぐらかすばかりで、真摯に審議に向き合う姿勢はない。聞くに耐えない軽口と強弁と脱線がくりかえされるなかで野党の追及は空回りし、それもこれもすべて審議時間にカウントされて、最後は数に勝る与党が採決を強行する。これは、特定秘密保護法や安全保障関連法でも繰り返された光景である。
(3)いまや首相も国会議員も官僚も、国会での自身の発言の一言一句が記録されて公の歴史史料になることを歯牙にもかけない。政府も官庁も、都合の悪い資料は公文書であっても平気で破棄し、公開しても多くは黒塗りで、黒を白と言い、有るものを無いと言い、批判や異論を封じ、問題を追及するメディアを恫喝する。


 だから、こう指摘せざるを得ない。


(1)こんな民主主義国家がどこにあるだろうか。これでは「共謀罪」法案について国内だけでなく、国連関係者や国際ペンクラブから深刻な懸念が表明されるのも無理はない。そして、それらに対しても政府はヒステリックな反応をするだけである。
(2)しかも、国際組織犯罪防止条約の批准に「共謀罪」法が不可欠とする政府の主張は正しくない上に、そもそも同条約はテロ対策とは関係がない。政府は国会で、あえて不正確な説明をして国民を欺いているのである。


 「国会は死にかけている」。
 世界平和アピール七人委員会は、「この政権はまさしく国会を殺し、自由と多様性を殺し、メディアを殺し、民主主義を殺そうとしているのである。」、と次のように訴える。


(1)政府と政権与党のこの現状は、もはや一般国民が許容できる範囲を超えている。安倍政権によって私物化されたこの国の政治状況はファシズムそのものであり、こんな政権が現行憲法の改変をもくろむのは、国民にとって悪夢以外の何ものでもない。
(2)「共謀罪」法案についての政府の説明が、まさしく嘘と不正確さで固められている事実を通して、この政権が「共謀罪」法で何をしようとしているのかが見えてくる。この政権はまさしく国会を殺し、自由と多様性を殺し、メディアを殺し、民主主義を殺そうとしているのである。


 奇しくも、2017年6月12日、国連の表現の自由に関する特別報告者、デービッド・ケイ氏が、スイス・ジュネーブで開催中の国連人権理事会に対日調査報告書を提出した。
 この報告書では、①放送事業者に政治的公平を求め放送法の見直しを提案し、報道規制につながることに懸念を示した。②2014年に施行された特定秘密保護法に関し、萎縮させないことを保障するための法改正を求めた。③日本の歴史教育をめぐっては、慰安婦問題など教科書に記載される歴史解釈に、政府が介入することを慎むよう求めた。④米軍普天間飛行場移設に対する抗議活動をした沖縄平和運動センターの山城博治議長の長期勾留も不適切、などが指摘された。
 つまり、この報告書も、世界が、安倍晋三政権の政治手法だけでなく、日本のあり方そのものに大きな危惧感を抱いていることを示している。


 今。「国会は死にかけている」、というこのアピールを真摯に受け取らなければならない。
 この政権によって、国会を殺されないために、国民ひとり一人の自由と多様性を殺されないために、メディアを殺されないために、民主主義を殺されないために。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-17 06:25 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

「共謀罪」法は、謀議のもとに強行裁決される。

2017年6月16日、7時46分。
共謀罪法案の開票結果発表。
賛成165票、反対70票。
伊達忠一議長が「本法案は可決されました」と宣言。


 「共謀罪」法は、強行採決された。
 2017年6月16日7時46分は、日本の歴史の中で、非常に大きな「汚点」として残された。
朝日新聞は、この悪意の果てを、「与党による採決の強行で幕が下りた。」、と伝える。
 だが、実際は、安倍晋三政権によって、幕は新に挙げられたのである。
 人の命さへないがしろにすることを厭わないとの、強い宣言なのである。
 私の目の前に静かに広がる「中山間地の営み」。
 この生活の中に、この「共謀罪」法は、時には恫喝の姿で、時には知らんふりを装った隣人のふりをして、侵入してくる。
 しかし、「中山間地の営み」がもたらしてくれているものの豊穣さが、人の命を育んでいることに気づいた以上、これからをしっかりと活きなくてはならない。
 たとへ、悪意ある笑顔が流され続けたとしても、逃げることなく、見るべきものは見る中で。


 この2017年6月16日7時46分を、朝日新聞の記事で残す。


(1)犯罪を計画段階から処罰できるようにする「共謀罪」の趣旨を含む改正組織的犯罪処罰法が15日朝、参院本会議で成立した。自民、公明両党が参院法務委員会での審議を打ち切り、15日未明に始まった参院本会議で直接採決する「中間報告」を強行。与党や日本維新の会の賛成多数で可決した。投票総数235票のうち、賛成が165票、反対が70票だった。
(2)共謀罪法案は、犯罪を実行に移した段階から処罰する日本の刑事法の原則を大きく変える内容で、過去3回廃案になった経緯がある。政府は今回、「テロ対策」を強調し、国際組織犯罪防止条約の締結に不可欠だと説明したが、国連の特別報告者が「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と懸念を表明。民進、共産両党などが廃案を求めていた。
(3)中間報告は、通常の委員会採決を省く国会法が定める手続き。民進など野党4党は「強行採決以上の強行採決。審議を一方的に打ち切って本会議で採決するのは異常だ」(民進の小川敏夫参院議員会長)と猛反発し、安倍内閣不信任決議案を提出したが、15日未明の衆院本会議で否決。与党はその後の参院本会議で、共謀罪法案を可決した。
(4)審議時間は衆院の30時間25分に対し、参院では17時間50分。一般人が捜査対象になるかどうかや、捜査機関の判断次第で解釈が拡大される懸念など、多くの疑問や対立点が解消されていなかった。
(5)参院本会議での改正組織的犯罪処罰法の採決、成立後、自民党の松山政司参院国会対策委員長は、18日までの通常国会の会期を延長しない考えを記者団に述べた。
(南彰)


●7時46分
共謀罪法案の開票結果発表。
賛成165票、反対70票。
伊達忠一議長が「本法案は可決されました」と宣言
●7時23分
共謀罪法案の採決で、自由、社民両党と参院会派「沖縄の風」の議員が牛歩。伊達忠一議長が投票時間を制限し、「速やかに投票を願います」
●6時37分
民進の蓮舫代表が共謀罪法案の反対討論。「テロとは名ばかりの一億総監視社会へとまっすぐに突き進む道を歩むのではなく、立ち止まり、正しい道を指し示すことこそ、良識の府・参議院に身を置く議員が求められる姿であると強く訴え、私たちは法案成立に断固反対であることを明確に申し上げる」
●2時31分
参院本会議が再開。共謀罪法案の「中間報告」に関する動議が議題に
●2時00分
自民の二階俊博幹事長が党参院議員総会に出席し、「最後まで自民党らしく頑張って欲しい」と激励
●1時57分
内閣不信任案が自民、公明両党や日本維新の会の反対多数で否決
●15日0時12分
衆院本会議が再開。民進の安住淳代表代行が内閣不信任案の提案理由を説明。「共謀罪法案や加計学園、森友学園疑惑に共通しているのは、権力を持つ者がその権力を自らの保身や親しい人のために使っているという点だ。今のいびつとも言えるこの権力のありようをしっかりと正していかなければならない」
●23時33分
衆院本会議で延会手続き
●21時41分
参院本会議で山本順三・参院議院運営委員長の解任決議案を否決。参院本会議が延会に
●21時33分
民進、共産、自由、社民の野党4党が安倍内閣不信任決議案を衆院に提出
●20時01分
参院本会議で金田勝年法相への問責決議案を否決
●18時20分
参院本会議再開。民進の福山哲郎氏が金田勝年法相の問責決議案の賛成討論で「中間報告は究極の審議打ち切り。前代未聞で、考えられない暴挙。恥を知れと言いたい」
●16時27分
民進が山本順三・参院議院運営委員長の解任決議案提出
●15時00分
野党4党が松野博一文部科学相の不信任決議案を衆院に提出
●14時30分
参院の野党4会派代表が郡司彰参院副議長に申し入れ。郡司副議長「思いは共有しているので、議長に伝えたい」
●14時15分
参院の野党4会派代表が伊達参院議長に申し入れ。民進の小川敏夫氏「強行採決以上の強行採決」、伊達議長「各党各会派で話し合って」
●13時30分
自民、民進の参院国対委員長会談。榛葉氏「松山氏との友情も今日で終了。話し合いは決裂」
●13時30分
野党4党幹事長・国対委員長会談。民進の野田佳彦幹事長「あらゆる手段を講じて闘う」
●13時00分
自民、民進の参院国対委員長会談
●正午前
自民の松山政司、民進の榛葉賀津也の両参院国対委員長が会談。松山氏が、組織的犯罪処罰法改正案(「共謀罪」法案)の参院法務委員会での審議を打ち切り、本会議で直接採決する「中間報告」を14日に行うことを提案。榛葉氏「こんなの自殺行為だ、参議院の」と反発
●11時31分
参院本会議で山本幸三地方創生担当相への問責決議案を否決。伊達忠一参院議長「午後1時再開で休憩」と宣言
●11時14分
安倍晋三首相と自民の二階俊博幹事長らが首相官邸で会談
●10時00分
参院本会議
●8時00分
自民と公明の幹事長、国会対策委員長、参院幹事長、参院国対委員長が都内のホテルで会談





by asyagi-df-2014 | 2017-06-16 06:30 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

家計問題と安倍首相の理解のために。-福島議員の質問(20170313)から-

 渡辺輝人弁護士が、家計問題の原点である福島瑞穂議員の国会での質問を、「加計学園問題の原点:安倍首相の3月13日の参院予算委での答弁を分析する」、と著してくれました。
 安倍晋三首相が頻繁に使用する「印象操作」という言葉も、この時も使っているのですね。また、「誹謗中傷」という言葉の使用も、論理的なものではなく、安倍首相本人のご都合主義であることがよくわかります。
結局、何度読み直しても、安倍首相の言ってることが理解できないことから、福島さんの「質問に対して、何で総理はそう恫喝するんですか。」、ということが安倍首相の発言の主旨でしかないことが、逆に説明されている気がします。
 どうやら、安倍首相の発言で残るのは、「しかしながら、や、これはあなたがですね、こういう問題で、疑惑があるかのごとくですね、疑惑のあるかのごとく、固有名詞や学園の名前を出せば、これは多くの人たちが傷つく訳であります。最初に申し上げましたように、これ、学校や何かにね、また、生徒や親の所にマスコミが殺到したらどうするんですか。責任とるんですかそれは。」、というものでしかありません。
 ですから、「もうすでに決まってしまったことを今更どうこう言うのは風評被害を生むから、こんなことを言うヤツには責任を取らせるぞ。」、と安倍首相は言いたかったということは理解できました。
 こうした安倍首相の手法について、渡辺弁護士は、「福島議員が、安倍首相に責任があるとも何とも言わず、事実を確認しようとしているのに、それには答えず、自分が働きかけて決めているのであれば責任を取る、と勝手に前のめりな発言をしています。これによって、今日に至るまで、あるはずの関与を認められず、国会が振り回されています。」、と指摘します。
 さて、この日の極めつけは、福島さんの「今治市で、え、そしてまた新たに獣医学部を作ると。で、これはやはり何故質問しているかと言えば、国家戦略特区の議長が総理であり、そしてその決定をしているからです。私は逆にですね、友達やいろんな近しい人が関与している可能性があるんだったら、むしろそれは、ま、注意深くやる。慎重にやる、あるいはやらない、そういう配慮も実は必要だと思いますよ。だって正に、正に、永年の友人。だって、総理が国家戦略特区で規制緩和をしたことで、総理の永年の友人はこれで利益を受けるわけじゃないですか。利益をこれで受けるんですよ。だから、そのことが大きいというふうに思います。」という質問に対しての安倍首相の次のような「答え」です。


「あのね、今、疑惑を掛けたまま終えられますから、ひと言付け加えたいと思いますけどもね、一校、そりゃ反対しますよ。医学部だって、成田の医学部だって、反対しましたよ。医師会は。当然なんですよ、それはね。それ、それを同じ理由であの、それを同じ理由で反対しましたからね、で、そこで、一校のみということを、が、で、一校のみというのが決まったのが成田における医科医大学でありましたね、医大でありますよ。で、同じ事がこっちでも起こっているわけで、そこで私が知っているんであればね、それを止めるべきだ、<指を指しながら>そこで私は、裁量、裁量行使していいんですか。裁量行使して良い訳ないじゃないですか。ということをはっきり申し上げて、えー、答弁を終えさせて頂きたいと思います。」


 このような安倍首相の「答え」は、全く以て意味不明のいうことに尽きます。
 これでは、国会のやり取りの意味が失われている様子が透けて見えます。ただ、残るのは、「勢い」「脅迫」だけです。
 こうした状況について、渡辺弁護士は、「福島議員が、安倍首相に責任があるとも何とも言わず、事実を確認しようとしているのに、それには答えず、自分が働きかけて決めているのであれば責任を取る、と勝手に前のめりな発言をしています。これによって、今日に至るまで、あるはずの関与を認められず、国会が振り回されています。」、と説明しています。
 さらに、渡辺弁護士は、福島議員と安倍首相のやり取り部分について、次のようにまとめています。


(1)国会質問では、質問した側が最後に自らのまとめをして質問時間を締めくくることはよくあるのですが、安倍首相は答弁を求められていないのに、これに答弁に立っています。聞かれたことに答えないのに、言いたいことは言うのも、やはり、行政府の長として、非常に行儀が悪いと考えます。
(2)まずは、国会審議から2ヶ月半も経つのに、議事録がホームページに掲載されていないこと自体、非常に不当でしょう。安倍政権がこの国会質問について、何かを隠したがっていると疑念を持たれても仕方ないのではないでしょうか。
(3)そして、3月13日の段階では、安倍首相は、確証もなしに国会質問をすべきでない、などと述べていました。しかし、その後、この件について「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」等と書かれた文部科学省の内部文書が流出しました。それが本物であり、また、2016年9月から11月にかけてその旨の報告があったことや、安倍政権の首相補佐官の和泉洋人氏や、内閣官房参で、同時に加計学園理事でもあった与木曽功氏から繰り返し働きかけがあった旨、前川喜平・前文部科学次官(1月18日に天下り問題で引責辞任)が何度も証言しています。前川氏は和泉氏が「総理は自分の口からは言えないから私が代わりに言う」と言ったとまで証言しています。自民党の元国会議員である佐藤静雄氏はツイッターで「前川前次官は私が党の文教部会長をやっていた時に多少の付き合いがあった方だが正直で真面目な人だ。出所の分からないペーパーをでっち上げるような人ではない。」と発言しました(5月29日)。自民党の元国会議員である北村直人氏も文科省の内部文書について「ほぼ正確なものだ」と証言しています(5月25日 FNN「北村氏「首相の意向」内容認める」)そして、先週末には文科省のパソコンにも文書が保管されている事実が判明しました。
(4)ところが、これだけ証拠が揃った今日、松野文部科学大臣は、今度は「入手経路が明らかにされておらず、改めて調査を行うことは考えていない」と答弁したようです。具体的な証拠があるのに、入手経路を明らかでなければ答えない、というのは、違法・不当な業務執行を内部者が曝露する、公益通報や、ジャーナリズムを全否定するものであり、また、国民の疑問に対して全く答えになっていないでしょう。安倍首相が「確証」に基づいて追及しろ、と散々言ったところ、これだけの証拠が出てきた以上、事態の核心を知る和泉洋人首相補佐官、木曽功内閣官房参与(加計学園理事)、前川喜平前文科事務次官、加計孝太郎(加計学園理事長)の証人喚問が必要な段階に至っていると思われます。
(5)そして、安倍首相自身、自ら「腹心の友」と呼ぶ友人が代表者を務める学校法人、すなわち利害関係者に対して利益誘導する政治を自らの名で行っており、最低でも深刻な利益相反を引き起こしているはずです。利益相反は、実際に不正が行われたか否かとは関係がありません。「李下に冠を正さず」の言葉の通り、客観的に政治家が利害関係者の利益になる政治を行うこと自体が大きな問題なのです。本来、安倍首相も、国会での証人喚問を免れない立場と思われます。


 渡辺弁護士は、ブログの最後を、「行政は、国民に対して、適法・適正な業務執行をしている旨説明する責任がどこまでもあります。行政府の長である安倍首相以下、質問に答えず、言いたいことだけ言い続けるモラルハザードの状態を、もういい加減、止めて頂きたいと思います。」、と締めています。
 確かに、この家計問題の根本が、「利害関係者に対して利益誘導する政治を自らの名で行っており、最低でも深刻な利益相反を引き起こしているはずです。利益相反は、実際に不正が行われたか否かとは関係がありません。『李下に冠を正さず』の言葉の通り、客観的に政治家が利害関係者の利益になる政治を行うこと自体が大きな問題なのです。」、ということにあることが、福島議員の国会質問で理解できます。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-14 05:42 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

森ゆう子参議院議員の街頭演説。

2017年6月11日、渋谷ハチ公前での森ゆう子参議院議員の街頭演説を永田耕三さんがFBに載せています。
 これをじっくり読み込みましょう。



「参議院議員森ゆう子でございます。姉御じゃないですよ~。ただのバ~バなんです。皆さんの弛まぬ活動に心から敬意を表します。皆さんの熱意、市民の皆さんの運動、国民の声が、とうとう安倍政権を慌てさせました!あれだけやらないやらないと言っていた、文部科学省のメールや内部文書の再調査をやると言い出しました。皆さんの力です!国民の声です!市民の運動です!それが動かしたんです」


「でも皆さん!騙されてはいけません!文書なんて1分もあれば出て来るんですよ!何でまだ出ないんですか!?今、悪巧みしてるんです!どうやって安倍総理の責任を免れるか!?どうやったら、ここに書いてある文章の中身が、噓だというふうに、そういうふうに取り繕えるのか!?そして、私はとても心配しています!この間まで全くスキャンダルでもない情報を、読売新聞を使って書かせ、潰そうとした潰されようとした前川前文部科学事務次官。でも彼は正々堂々と戦い反撃を致しました!」


「でもね〜、抵抗出来ない官僚の方は殆どなんですよ、皆さん!義家文部科学副大臣は、こないだの私の質問に対して『マスコミに情報を提供しないで、自分の所に持って来て欲しい』と言ってましたけど、バカ言ってんじゃないですよ!*生殺与奪の権を握っている、政治家の所に内部文書持ってったらどうなりますか!?潰されてそして、将来への昇進の道、それを閉ざされるんですよ!誰が持ってく訳ないでしょう!」


*【生殺与奪の権を握る】生かすも殺すも、与える事も奪う事も自分の思うままになる事。絶対的な権力を握っている事をいう。


「でもそんな中、勇気ある若い文部科学省の職員達が、このままでは法治国家ではなくなる!このままでは民主主義国家ではなくなる!必死の思いで命懸けで、本当に命懸けですよ!皆さん!潰されるんですよ!力がなかったら!命懸けで訴えた!漸く動いて来たけどね、でもね、私が1番心配している人は、内閣府の藤原審議官です」


「あのメールに出て来る藤原審議官。彼1人責任を押し付けられて。虎の威を借る狐。藤原が勝手にそう言って文科省を脅したんだ!藤原が悪いんだ!こういう話に持っていかれるんじゃないかと、凄く心配しています!皆さん!騙されないで下さい!」


「今治市の情報公開請求により、その行政文書、7000ページ位ありましたよ。1つ1つ意思決定の時に、*稟議書を回し、判子を押す。これが行政です。でも私は3月9日から参議院農林水産委員会で、加計学園の問題、質問をして来ました。調査をして来ました。でもこの問題について内閣府も文部科学省も農林水産省も、稟議書や決済書は1枚もないって言うんですよ!こんなの行政じゃない!」


*【稟議】会社・官庁などの組織において、会議を開く手数を省く為、担当者が簡易案件を作成して関係者に回し、それぞれに同意の為の捺印と承認を求める事をいう。


「いよいよ文書が出て来るんですけど、偽物だって伏線張ってますけどね、そんな事ありません。そして今治市の情報公開してくれたのは、市民です!今治市民なんです!市民の力なんです。そしてそこには、こう書いてありました。一昨年2015年の4月2日、今治市の企画課の課長さんと課長補佐が、4月1日、前の日に突然呼びつけられて首相官邸に行きました。首相官邸からこの話が始まってるんですよ」


「国家戦略特区の関係者の中で、首相官邸にいる人は1人しかいません!それは誰か!?安倍内閣総理大臣です!自分が関わっていたら責任を取ると言っていた安倍総理!今こそ責任を取ってもらいましょう!」


「自分のお仲間には便宜供与!そして利益供与!でも、自分に異を唱える人間には、どんな手を使ってでも潰そうとする。私、森ゆう子も危ないと思ってます!そして共謀罪が成立したら、真っ先にやられる!そういう危機感でいっぱいです!後少しです!最後まで皆さん!力合わせてがんばりましょう!どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました!」

森ゆうこ「共謀罪が成立したら、真っ先にやられる!危機感で一杯です!」
                           
                            6/11@渋谷ハチ公前街宣


by asyagi-df-2014 | 2017-06-12 11:51 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

読売新聞の2017年5月22日の、「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」との記事掲載は、「新聞史上最悪の不祥

 郷原信郎さん(以下、郷原とする)は、「郷原信郎が斬る」のブログの中で、2017年6月5日、「読売新聞は死んだに等しい」と掲載した。
 読売新聞のこのところの論調の異常さに、やはりきちっと対応しなければならないと考えていただけにあらためて考えさせられた。
 郷原は、「読売新聞が、5月22日に、「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」と題し、前川喜平前文部科学省事務次官(以下、「前川氏」)が、新宿の「出会い系バー」に頻繁に出入りし、代金交渉までして売春の客となっていたかのように報じる記事を大々的に報じた」、と記事の説明をする。
 そして、この「読売記事の掲載は、動機・目的が、時の政権を擁護する政治的目的としか考えられないこと、記事の内容が客観的事実に反していること、そのような不当な内容の記事の掲載が組織的に決定されたと考えられること、という3点から、過去に例のない『新聞史上最悪の不祥事』と言わざるを得ない。」、と指摘している。

 郷原は、この中で、「『読売新聞プレミアム』に掲載されていた読売記事は既に削除されているが、改めて、全文を引用する(下線と(ア)~(キ)は郷原)。」、としてくれている。 ここでもそのまま引用する。


文部科学省による再就職あっせん問題で引責辞任した同省の前川喜平・前次官(62)が在職中、売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、頻繁に出入りしていたことが関係者への取材でわかった。

教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ(ア)。

関係者によると、同店では男性客が数千円の料金を払って入店。気に入った女性がいれば、店員を通じて声をかけ、同席する。

女性らは、「割り切り」と称して、売春や援助交際を男性客に持ちかけることが多い。報酬が折り合えば店を出て、ホテルやレンタルルームに向かうこともある(イ)。店は直接、こうした交渉には関与しないとされる(ウ)。

複数の店の関係者によると、前川前次官は、文部科学審議官だった約2年前からこの店に通っていた。平日の午後9時頃にスーツ姿で来店することが多く、店では偽名を使っていた(エ)という。同席した女性と交渉し、連れ立って店外に出たこともあった。店に出入りする女性の一人は「しょっちゅう来ていた時期もあった。値段の交渉をしていた女の子もいるし、私も誘われたことがある」と証言した(オ)。

昨年6月に次官に就いた後も来店していたといい、店の関係者は「2~3年前から週に1回は店に来る常連だったが、昨年末頃から急に来なくなった」と話している。

読売新聞は前川前次官に取材を申し込んだが、取材には応じなかった。

「出会い系バー」や「出会い系喫茶」は売春の温床とも指摘されるが、女性と店の間の雇用関係が不明確なため、摘発は難しいとされる(カ)。売春の客になる行為は売春防止法で禁じられているが、罰則はない(キ)。

前川前次官は1979年、東大法学部を卒業後、旧文部省に入省。小中学校や高校を所管する初等中等教育局長、文部科学審議官などを経て、昨年6月、次官に就任したが、天下りのあっせん問題で1月に引責辞任した。


 郷原は、今回の読売記事を次のように分析してみせる。


(1)この記事を読んだ多くの人が、「前川氏は、出会い系バーに頻繁に出入りし、値段の交渉をした上で女性を連れ出して売春や援助交際の相手になっていた」と思い、前川氏が「女性の貧困の調査の一環」と説明していることに対して、「見え透いた弁解で、そのような嘘をつく人間の話はすべて信用できない。」と感じたはずだ。
(2)読売記事では、前川氏の「出会い系バー」への出入りに対する「不適切な行動に対し、批判が上がる」という否定的評価(ア)が、その後の記述で根拠づけられるという構成になっているが、記事の中で、前川氏の行為そのものを報じているのは (エ)と(オ)だけであり、それ以外は、出会い系バーの実態等に関する一般論だ。
(3)前川氏は、読売新聞の取材に対してコメントしていないが、(エ)の出会い系バーに頻繁に出入りしていた事実は、否定する余地のない客観的事実であり、問題は、それがどう評価されるかであった。この点について、「読売記事」は、「出会い系バー」について、売春、援助交際の場となっているが、その交渉に店側は直接関与しないという一般的な実態(イ) (ウ)や、売春を目的とするもので、実質的には違法なのに摘発を免れている理由(カ)、売春の客となることの違法性などの法的評価 (キ)を書いている。それによって、「出会い系バー」の営業実態は「管理売春」であり、摘発は難しいが実質的には違法であり、そこへの男性の出入りは、一般的に売春、援助交際が目的だということを前提にして、前川氏がそのような出会い系バーに出入りしていたという客観的事実から、「売春、援助交際が目的」と“推認”させようとしている。
(4)一方、(オ)の記述は、独自の「関係者証言」によって前川氏の出会い系バーでの行動という“直接事実”を述べたものであり、まさに記事の核心部分と言える。ここでは、「複数の店の関係者」の証言に基づき、前川氏が「同席した女性と交渉し、連れ立って店外に出たこともあった」とされ、さらに、「店に出入りする女性の一人」の証言として、「値段の交渉をしていた女の子もいる」「私も誘われたことがある」と記載されている。
(5)読売記事は、上記のように、“推認”と“直接事実”の両面から、前川氏の出会い系バーへの出入りが売春、援助交際を目的としていることが二重に裏付けられ、それが「不適切な行動に対し、批判が上がる」という批判的評価(ア)の根拠とされるという構成になっている。


 この上で、郷原は、次の五点にわたって読売掲載記事について詳細に反論する。


Ⅰ.出会い系バーへの出入りだけでは、売春、援助交際の“推認”は働かない


(1)文春記事をはじめとするその後の報道で、読売記事の“推認”と“直接事実”は、いずれも事実に反することがほぼ明白になっている。そして、そのことを、記事掲載の段階で読売新聞側が知り得なかったのか、知った上で意図的に、誤った内容を報じたのかが問題となる。
(2)まず、上記の“推認”に関しては、調査のために全国の出会い系喫茶・バーを取材した評論家の荻上チキ氏の以下のような指摘がある。

【前川前文科次官「出会い系バーで貧困調査」報道に必要なのは、事実の検証であり人格評価ではない/『彼女たちの売春』著者・荻上チキさんに聞く】 で、萩上氏は、

出会い系バーは、業者が女性を囲って行われる「管理売春」ではありません。ですので、行っても交渉決裂になることもありますし、めぼしいマッチングに恵まれずただ帰ることもあります。店に行った=買売春した、とはなりません。「バー通い」だけだと、どの行為なのかを外形的に判断はできないですね。

と述べている。「出会い系バー」を「管理売春」営業のように決めつける上記(カ)の記述は事実と異なるのである。

また、萩上氏によると、出会い系バーが、多くの女性や男性が、性サービスを対価とした交渉を目的としてやってくる場所であることは間違いないが、売春をせず、ご飯に行ったりお茶をしたり、カラオケに行く、連れ出しが目当てで来る人もいるし、大学生の集団とか、会社員の集団とかで、「エピソードを聞きたい」「実態を知りたい」と調査や取材に来る人もいるとのことである。そもそも、出会い系は、「小遣い」を渡さないと外出できず、話を聞くためだけに店を出ていけないシステムになっており、「教育行政の最高の責任者がそうした店に出入りして、小遣いを渡すようなことは到底考えられない」との菅官房長官の指摘も「正しくない」としている。

また、前川氏の「女性の貧困の調査のために出会い系バーに行った」との説明について、萩上氏が、そういった調査をやっている萩上氏は、


別にありえないとは思いませんでした。菅官房長官が「1回、2回で」とか「小遣い渡して」と批判するけれども、仮に調査だったらそんなことはざらにあります。前川氏を否定するあまり、誤った知識を拡散したりするのは違うなと。


と述べている。
(3)前川氏が頻繁に出会い系バーに出入りしていたことだけでは、売春、援助交際に関わっていたかのような“推認”は働かない。このようなことは、読売新聞の日頃からの取材で、十分に認識し得た事実のはずなのに、なぜ、そのような事実に反する“推認”を持ち出したのかが問題だ。


Ⅱ.前川氏が「値段の交渉」を行ったとの「関係者証言」


(1)読売記事で書かれている“直接事実”、 前川氏の行動に関する(オ)の記述(値段の交渉をしていた女の子もいる。私も誘われたことがある)に関して重要なことは、その直前の(イ)(ウ)で、「一般的に女性の側から売春、援助交際を持ち掛け、店は直接、こうした『交渉』には関与しない」とされ、そこでの「交渉」というのが、明らかに「売春、援助交際の価格交渉」の意味で使われているので、(オ)の「交渉」「値段の交渉」も、同様に「売春等の交渉」を指していると解されることだ。
(2)ところが、文春記事によれば、前川氏と3年間で3、40回会った「A子さん」だけでなく、「A子さんから前川氏を紹介された女性」、「前川氏とA子さんが通っていたダーツバーの当時の店員」も、前川氏と女性達との間に売春、援助交際など全くなく、生活や就職等の相談に乗り、小遣いを渡していただけであったことを証言している。
(3)しかも、前川氏が出入りしていた出会い系バー周辺者を取材して報じているのは、週刊文春だけではない。週刊FLASH6月13日号の記事でも、前川氏と「店外交際」した複数の女性を取材し、「お小遣いを渡されただけで、大人のおつき合いはなし」との証言が書かれている。同記事は、前川氏の独占インタビューを掲載し、その証言価値を維持しようとする動機がある週刊文春とは異なり、何の利害関係もない光文社が発行する週刊誌の記事である。
(4)読売新聞も、前川氏が出入りしていた出会い系バーの取材をして、「関係者証言」をとったのであれば、上記のような実態が把握できなかったとは考えられない。


(3)読売記事の問題に関する二つの可能性


(1)そこで、読売記事については、二つの可能性が考えられる。
(2)一つは、官邸サイドから前川氏が出会い系バーに出入りしていたことの情報を入手しただけで、何の取材も行わずに(「関係者証言」をでっち上げて)記事にした可能性である。
(3)そして、もう一つは、読売記事のとおり、関係者取材をして、前川氏と女性達の関係や売春、援助交際を目的とするものではなかったことを把握していたが、それでは、前川氏が「不適切」「社会的批判を受ける」とする理由がなくなるので、前川氏が「交渉」「値段の交渉」を行っていたという曖昧な表現で(必ずしも「売春、援助交際の交渉」を意味するものではなく、「お小遣いの金額についての話」も「交渉」だと弁解する余地を残して)、前川氏が売春や援助交際に関わっていたかのような「印象」や「事実認識」を与えようとした可能性である。
(4)前者であれば、「関係者証言のねつ造」という、新聞として絶対に許されない重大な問題となる。後者であっても、前川氏が、売春、援助交際の相手方になっていた事実がないことは把握していながら、「交渉」「値段の交渉」という言葉で、その事実があるかのような露骨に誤った印象を与えたものであり、それも、新聞報道として到底許されることではない。
(5)結局のところ、読売記事が読者に印象づけようとしている前川氏の「売春、援助交際への関わり」については、“推認”にも“直接事実”にも重大な問題があると言わざるを得ない。


(4)読売記事が、新聞社において組織的に決定された疑い


(1)今回の読売記事は、社会部が独自にネタをつかんで、裏付け取材して書いた記事が、たまたま大きく取り上げられたとは到底思えない。昨年秋、文科省次官在任中の前川氏が出会い系バーへの出入りに関して杉田官房副長官から厳重注意を受けた事実があることからしても、何らかの形で、官邸サイドからの情報提供が行われたことが契機となった可能性が高く、しかも、既に述べたように、社会部の通常の取材の結果に基づいた記事とは考えられない点が多々ある。政治的な意図によって記事が作成されたと考えられることからも、少なくとも、社会部と政治部の両方が関わって掲載された記事であるとの合理的な推測が可能である。
(2)しかも、読売記事の内容や、それによって読者に与える事実認識が誤ったものであったことは、結果的に文春記事等によって明らかになったものであるが、もともと、記事の内容自体にも明らかに不可解な点があった。記事では、前川氏が出会い系バーで会っていた女性の取材をして「証言」を得たとされており、もし、前川氏が、売春、援助交際の相手方になっていたのであれば、女性達からその旨の匿名証言が得ることは容易なはずだ。ところが、「核心の事実」である売春、援助交際が行われていたことを正面から書くのではなく、「交渉」「値段の交渉」などと、暗に「売春の交渉」をしていたと思わせる表現にとどめ、直接的な表現になっていない。
(3)記事に関わった記者、デスク等には、このような不可解な記事を紙面に載せることについて、新聞記者として相当大きな心理的抵抗があったはずである。しかも、読売新聞は、朝日新聞不祥事などを踏まえて、特ダネの危うさを事前に検証する機関も作っているとのことだ。文面上も問題がある今回の記事に対して、チェックが働かなかったということも考えにくい。
(4)今回の読売記事の問題は、担当者の取材不足や迂闊さ、チェック不足等の問題とは考えられない。記事に重大な問題があることを承知の上で、敢えて記事化され掲載された可能性が高い。組織内でこのようなことが起きるのは、通常、何らかの形で組織の上層部の意向が働いた場合である。読売新聞の上層部の方針として、通常であれば絶対に掲載されない記事を、しかも、5月22日という前川氏が政権に打撃を与える発言を行う直前のタイミングで、大々的に報じる決定がされたのではないか。


(5)読売社会部長の「反論」


(1)文春記事によって、読売記事に対する疑問や批判が高まったことを受けて、6月3日の読売新聞の紙面に、原口隆則社会部長の「次官時代の不適切な行動 報道すべき公共の関心事」と題するコメントが掲載された。このコメントでは、記事に対する批判に対して、「こうした批判は全く当たらない」「売春を目的とするような客が集まる店に足しげく通っていたのである。我が国の教育行政のトップという公人中の公人の行為として見過ごすことが出来ない」と述べて、報道をすることが当然であるかのように言っている。
(2)文春記事等により、読売記事の内容に重大な疑念が生じている現時点においては、「次官が出会い系バーに出入りすること自体が問題で、それ自体で報道の価値あり」という原口氏のコメントは、反論というより、単なる開き直りであり、それどころか、前記のように、弁解を用意しつつ誤った印象を与えようとする意図的な印象操作だったことを自認するものと見ることもできる。


 郷原は、こうした論理構成から、最終的に「読売新聞は死んだに等しい」、と結論づけるのである。
その結論のための理由は、次のように実に明快である。


(1)今回、読売新聞が行ったことは、安倍政権を擁護する政治的目的で、政権に打撃を与える発言をすることが予想される個人の人格非難のため、証言をでっち上げたか、事実に反することを認識しつつ印象操作を行ったか、いずれにしても、政治権力と報道・言論機関の関係についての最低限のモラルを逸脱した到底許容できない行為である。しかも、そのような記事掲載は、上層部が関与して組織的に決定された疑いが強く、まさに、読売新聞社という組織の重大な不祥事である。
(2)かつて、TBSのスタッフがオウム真理教幹部に坂本弁護士のインタビュービデオを見せたことが同弁護士一家の殺害につながった問題で、TBSは、情報源の秘匿というジャーナリズムの原則に反し、報道倫理を大きく逸脱するものとして批判された。この問題に関して、当時、TBSの夜の看板報道番組『NEWS23』のキャスターを務めていた筑紫哲也氏が、同番組で「TBSは今日、死んだに等しいと思います。」と発言した。
(3)もはや「言論機関」とは到底言えない、単なる“政権の広報機関”になり下がってしまった読売新聞の今回の不祥事は、オウム真理教事件でのTBSの問題以上に、深刻かつ重大である。ところが、現時点では、今回の記事の問題に対する読売新聞の対応は、原口社会部長の前記コメントからも明らかなように、「不祥事」という認識すらなく、反省・謝罪の姿勢は全く見えない。このような事態は、心ある読売新聞の記者、ジャーナリストとしての矜持を持って取材・報道をしている記者にとって堪え難いもののはずだ。
(4)読売新聞のすべての記者は、今回の記事を、改めて熟読し、それがいかに新聞の報道の倫理を逸脱したものか、報道言論機関として許すべからざるものかを再認識し、時の政権という権力に露骨に政治的に利用され、そのような報道に及ぶ現状にある読売新聞をどのようにして変えていくのか、全社的な議論を行っていくべきだ。
(5)「テロ等準備罪」という名称の共謀罪の法案の国会審議が最終局面を迎え、捜査機関の運用によっては、国民に対する重大な権利侵害を伴う権力の暴走が懸念される中、国家権力に対する監視をするメディアの役割が一層重要になっている。そのような状況の中で、逆に、国家権力に加担する方向で、倫理を逸脱した報道を行うことを厭わない巨大新聞が存在することは、日本社会にとって極めて危険だ。それは、凶悪・重大な事件を引き起こして日本社会に脅威を与えたオウム真理教に「結果的に加担してしまった」かつてのTBSの比ではない。
(6)今回の問題に対して、真摯な反省・謝罪と再発防止の努力が行われない限り、“読売新聞は死んだに等しい”と言わざるを得ない。

 このところの読売新聞の論理展開の異常さに辟易していたところであったが、なかなかそれを追求するまでには至っていなかった。
 今回の読売掲載記事によって、読売の異常さが逆に証明された。
 確かに、今回の記事で次のことが明確になった。


Ⅰ.今回の掲載記事は、読売新聞社という組織の重大な不祥事であること。
Ⅱ.その不祥事は、読売新聞が、もはや「言論機関」とは到底言えない、単なる“政権の広報機関”になり下がってしまっていることを示すものであること。
Ⅲ.国家権力に対する監視をするメディアの役割が一層重要になっている状況の中で、逆に、国家権力に加担する方向で、倫理を逸脱した報道を行うことを厭わない巨大新聞が存在することは、日本社会にとって極めて危険であること。
Ⅳ.今回の問題に対して、読売新聞社として、真摯な反省・謝罪と再発防止がなされない限り、読売新聞の再生はないこと。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-11 06:15 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

安倍晋三政権・文部科学省が、再調査を拒否するとは。

 朝日新聞は2017年6月5日、「松野博一文部科学相は5日午前の衆院決算行政監視委員会で、加計学園の獣医学部新設問題をめぐり、文科省内で『官邸の最高レベルが言っている』などと伝えられた文書を共有していたとされる問題について、『文書の出所や入手経緯が明らかにされず、改めて調査を行うことは考えていない』と述べ、再調査を拒否した。民進党の今井雅人氏に答えた。」、と伝えた。
 実に、不思議なことである。
このことについて、小口幸人弁護士は、そのFBで、このことについて明快に説明してみせる。
小口弁護士は次のように語る。


(1)出どころや入手経緯が明らかでないから答弁をしない、控えさせていただきます、調査しません、というのは、一体全体どういう理屈なのでしょうか。意味がわからないのですが。見苦しいの一言です。
(2)いかに見苦しいかは、妻が夫に、浮気写真を突きつけた場面や、昨日キャバクラに行ったこと詰問している場面を想像してみるとわかると思います。
(3)細かく説明しますと、
1 取材源の秘匿というのが認められています。取材源が明らかでないから答えない、というのは、取材源の秘匿の侵害です。
2 国会での質問も同じです。情報源の秘匿が認められなければ、国会質問は機能しません。この秘匿の侵害であり質問権の侵害でもあるでしょう。
3 国民の知る権利が思いっきり侵害されていることは言うまでもありません。答弁しません、控えさせていただきます、などというのは、国民への背信行為です。
4 裁判所に証拠を提出する際、証拠説明書や証拠等関係カードというものをだしますが、そこにも、出どころや入手経緯を記載する欄はありません。裁判でさえ、そんなことを示すことは求められていないということです。
5 唯一、証拠の入手方法に違法行為が含まれていたときだけ、入手方法がテーマになります。しかし、これとてそう簡単にはいきません。
(4)弁護士が法廷で「その証拠は違法収集証拠だ!」と叫んでも、冷たい目で見られるのがデフォルトです(涙)。実質的には、反対側に違法行為が含まれていることの立証を求められますし、仮に違法行為があったとしても、証拠自体は排除されないことがほとんどです。なんせ、そこに違法行為があったときでも、証拠は証拠ですからね。


 確かに、安倍晋三政権の異様さが際立つ。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-10 07:34 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

「私がもし働きかけて決めているとあれば、責任を取る」。傲慢な捨て台詞に本当の責任を取らせなくては。(1)

 加計学園問題に関して、朝日新聞は、2017年5月25日、次のように報じた。


(1)安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」が、国家戦略特区で獣医学部新設を認められた経緯をめぐり、前川喜平・前文部科学事務次官が「総理のご意向」などと書かれた一連の文書の存在を認める証言をし、野党は追及を強める構えをみせている。政府は学部新設を「岩盤規制の改革」と強調するが、その手続きの公平性が改めて問われそうだ。
(2)約半世紀ぶりの獣医学部の新設について、政府は「規制緩和の成果だ」と強調する。菅義偉官房長官は18日の会見で「(国家戦略特区は)何年も手がつけられなかった規制の岩盤にドリルで風穴を開ける制度。総理の指示のもと、スピーディーに(規制改革を)実現をすべく関係省庁が議論を深めるのは当然のこと」と強調した。
(3)獣医学部の新設は「岩盤規制の改革」なのか。
 特区での規制緩和にはもともと「お試し」の意味合いがある。特区で成功すればそれが「風穴」となり、全国に広がるきっかけになるからだ。
 その成功例とされるのが保育士不足対策だ。保育士の国家試験は従来、年1回だった。そこで、3年間は試験を受けた自治体だけで働く「地域限定保育士」という資格をつくり、2015年度から特区内の4自治体に限定して導入された。そこでは保育士試験が実質年2回となり、保育士増に効果があったため、16年度から全国的に保育士試験が年2回行われるようになった。公園内に保育所をつくれるようにする規制緩和も、特区から全国に広がった。
(4)獣医学部はどうか。獣医師が増えすぎないよう、文部科学省は告示を出して新設を認めてこなかった。今回、特区で認めることになったが、あくまで獣医学部のない「空白地域」に「1校限り」で認めるというもの。条件を絞った理由について、安倍首相は今月8日の国会で「(日本)獣医師会からの強い要望だった」と答弁。学部新設に反対してきた「抵抗勢力」に配慮した結果、限定的な規制緩和になったと説明した。その結果、同じように獣医学部をつくりたかった京都産業大学(京都市)には門戸が開かれなかった。「参入の壁」となっている文科省告示もそのまま残っているため、規制で守られた獣医学部の側に加計学園が加わる構図になる。
(5)郭洋春・立教大教授(アジア経済論)は「規制緩和することが問題なわけではないが、今回の手続きは透明性や中立性、公平性を欠いている。規制緩和は口実で、安倍首相に近い人に便宜を図ったという構図に見えてしまう」と指摘する。

■手続きの「公平性」再び争点に
(6)前川氏の証言で再び争点になりそうなのが、加計学園を特区の事業者に選んだ手続きの「公平性」だ。安倍政権が2015年、成長戦略「日本再興戦略」で学部新設を検討すると表明し、昨年11月、首相が議長を務める「国家戦略特区諮問会議」で新設方針を正式決定。今年1月、事業者に加計学園が応募した。この手順自体は、特区の事業者を選ぶ通常のやり方だ。
 野党が問題視するのは、安倍首相と、加計学園の加計孝太郎理事長の親密な関係だ。二人は長年の友人で、朝日新聞の首相動静によると、13年11月以降、ゴルフ4回、会食11回をともにしている。首相の妻昭恵氏が同席することも多く、家族ぐるみの付き合いだ。
 昭恵氏は15年、加計学園が運営する認可外保育施設の名誉園長に就任。また、首相側近の萩生田光一官房副長官は学園が経営する千葉科学大学(千葉県銚子市)の客員教授、昨年9月まで内閣官房参与だった元文科官僚の木曽功氏は同大学の学長だ。
 野党は、友人関係を背景に「加計学園ありき」の不公平な制度運用がなかったのか、首相側から何らかの働きかけがなかったのかを国会で追及してきたが、政府は一切否定している。選定過程を改めて検証して明らかにする姿勢は見せていない。
(7)選定過程で文科省の官僚トップにいた前川氏は、加計学園が事業者になることを想定して「行政がゆがめられた」と語った。こうした証言を踏まえ、野党は追及を強める構えだ。
(8)3月の参院予算委。「政策がゆがめられているのではないか」とただした社民党の福島瑞穂氏に対し、安倍首相は言い切った。「私がもし働きかけて決めているとあれば、責任を取る」
(岡崎明子、星野典久)


 さて、次に、前川喜平前事務次官の発言に触れて。


(1)安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、今年1月まで文部科学事務次官だった前川喜平氏(62)が23日、東京都内で朝日新聞の取材に応じた。内閣府から文科省に「総理のご意向」などと伝えられたと記された文書について、前川氏は自らが担当課から説明を受けた際に示されたと証言。獣医学部の新設については、加計学園を前提に検討が進んだとして、「行政がゆがめられた」と語った。
(2)前川氏が証言した文書は民進党が国会で示し、文科省に調査を求めたA4判の8枚。この中には、文科省が最短のスケジュールで獣医学部新設を実現するよう、内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと言われたと記された部分がある。朝日新聞も同じ文書を入手している。
(3)前川氏はこの文書について「獣医学部の新設について、自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と証言した。同氏によると、昨年9月9日~10月31日に計6回、専門教育課の課長や課長補佐らと事務次官室で獣医学部の新設について打ち合わせをした。9月28日の打ち合わせでは、「『獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項』との文書を示されたと記憶している」という。
(4)また「総理のご意向」「官邸の最高レベル」などの文言について「誰だって気にする。(文科省側が)圧力を感じなかったといえば、うそになる」と述べた。
(5)獣医学部の新設予定地の愛媛県今治市や同県は加計学園とともに、小泉政権が始めた「構造改革特区」での獣医学部新設を15回提案したが、文科省がすべて却下。安倍政権が設けた国家戦略特区で、2015年に県と市が獣医学部新設を提案した。獣医学部新設を認める際は、獣医師の需要見通しなどを検討することが前提となる。しかし今回は、需給をつかさどる農林水産省や公衆衛生を担当する厚生労働省から、獣医師が足りないとの需給見通しや、新分野での必要な人材ニーズなどが示されない中で、内閣府から新設を認めるよう求められていたとして、「内閣府の言い分は『トップダウンで決めるから文科省は心配するな』ということだと受け止めた」と振り返った。さらに「踏むべきステップを踏めず、筋を通せなかった。『こんなことは認められない』と私が内閣府に対して強く主張して筋を通すべきだった。反省している」と語った。
(6)一方、8枚の文書について、菅義偉官房長官は17日の記者会見で「怪文書みたいな文書じゃないか」と述べ、松野博一文科相も19日、「該当する文書の存在は確認できなかった」とする調査結果を発表した。前川氏は「あるものが、ないことにされてはならないと思った」と語った。
(7)朝日新聞は24日、文科省に対し、文書について①専門教育課が当時の事務次官への説明で示したのか②同課で作成したのか――などについて書面で質問したが、同省は「行政内部のことで、回答すべきものではないので、お答えできません」と書面で答えた。
(8)前川氏は事務次官だった今年1月、文科省の違法な「天下り」問題に自ら関与していたとして減給処分を受け、引責辞任した。


 こうして、朝日新聞が明らかにしたことは、次のことである。


Ⅰ.前川氏はこの文書について「獣医学部の新設について、自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と証言したこと。
Ⅱ.「『総理のご意向』『官邸の最高レベル』などの文言について『誰だって気にする。(文科省側が)圧力を感じなかったといえば、うそになる』と述べたこと。
Ⅲ.8枚の文書について、前川氏は「あるものが、ないことにされてはならないと思った」と語ったこと。


 確かに、加計学園問題は「行政がゆがめられた」問題である。
 だとしたら、その頂点に立つ責任ある者は、自らを厳しく律するしかない。
 一つには、前川氏の「あるものが、ないことにされてはならないと思った」ということに答えるためにも。





by asyagi-df-2014 | 2017-05-26 07:11 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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