カテゴリ:書くことから-いろいろ( 219 )

社説、論説から。~高知新聞20170925~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 聞くに堪えないニュースが流される。
 政治家は、かくも劣化してしまったのか。
 彼らが描く世界は、果たしてどのようなものなのか。
 高知新聞は、「【対北朝鮮外交】国連は挑発の場ではない」、とこのことに関して次のように記す。


(1)世界の指導者が一堂に会する場で相手国を「下劣だ」とののしり、対応次第では「完全に破壊」すると脅す。言われた国の指導者は、「史上最高の超強硬的」措置をほのめかす声明でやり返す。ニューヨークで開かれた国連総会を舞台にした、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の挑発合戦だ。
(2)国連総会は各国指導者らの一般討論演説などを通じて、国際問題の平和的解決のための外交努力を探る場だ。基本は話し合いであり、過激な発言で挑発し合うのは、場違いな行為である。
(3)総会でまず注目されたのは、これが国連デビューとなるトランプ氏だ。米国が負担する世界一の国連拠出金を「不公平」などと批判するなど、たびたび国連の価値に疑問を呈してきた。トランプ氏は、弾道ミサイル発射などを繰り返す金氏を「ロケットマン」とちゃかし、「悪」という言葉を何度も使って北朝鮮への敵意をむき出しにした。極め付きは、米国や同盟国が防衛を迫られれば「北朝鮮を完全に破壊するしか選択肢はなくなる」と発言したときだ。この際には議場からざわめきが起きた。


 この米国の過激な発言で自らを飾る男の話については、次のように押さえる。


(1)約40分間の演説後、各国の反応は総じて冷ややかであり、批判的なものだった。過激な言葉が北朝鮮を刺激することへの懸念が広がり、冷静な対応を求める声もあった。
(2)国連という国際協調の場で、相変わらず自国優先の「米国第一」の主張をごり押しする姿勢が失望を招いたのだろう。


 一方では、同様にあきれかえる話とおそらく誰もが感じること。


(1)これに対し金氏は自国から、トランプ氏の演説を「歴代最も暴悪な宣戦布告だ」という声明で応じた。「史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮する」と表明した。
(2)問題はもともと、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の関連決議を無視し、核・ミサイル開発を続ける自らの姿勢にある。挑発に挑発で応じる資格はあるまい。


 また、高知新聞は、「トランプ氏は演説後、イランのロウハニ大統領と個別に会談した。詳しい中身は明かされてないが、オバマ前政権時の核合意を破棄する可能性を示唆していただけに気掛かりだ。対立が激化すれば中東にまた核の火種が再燃しかねない。」、と。


 さて、日本国の対抗意識いっぱいの男の話には。


(1)安倍首相は約16分間の演説の8割を北朝鮮問題に割いた。トランプ氏に刺激されたのか、内容も北朝鮮非難のトーンを一段と上げた。
(2)首相は北朝鮮の脅威はかつてない重大なものだと強調した。ただ過去の米朝核合意や6カ国協議を例に、対話による問題解決の試みを「無に帰した」と切り捨て、「必要なのは対話ではない。圧力だ」と断じたのはどうだろう。


「必要なのは対話ではない。圧力だ」、との発言は、あまりにもこの男らしい熟慮なき安易な追求に過ぎない。


 高知新聞は、最後に、こうまとめる。誰もが、望むものである。


 「トランプ大統領が武力行使を排除していない中で、強い言葉を重ねても、北朝鮮が新たな挑発行動に出る可能性が消えるわけではない。国連の場では国際協調主義に沿った、冷静な言葉がふさわしい。」





by asyagi-df-2014 | 2017-10-03 07:59 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

社説、論説から。~琉球新報20170923~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 琉球新報は、「日本政府の無力ぶりが際立っている。」、と怒りを込めて切り出す。
米軍は、米空軍嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を、日本政府の「遺憾」との弱々しい「声」のなか、沖縄県や地元市町村の反対という強い「声」にもかかわらず、訓練を実施した。
このことを、琉球新報は次のように伝える。


(1)県や地元市町村が反対する中、米軍は米空軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施した。米軍は「わずか3回」と強調するが地元からすると「3回も強行」である。
(2)1カ月前にワシントンで開催された日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、日本側が嘉手納基地での降下訓練を取り上げ、地元の「懸念」を伝えたばかりだ。
(3)降下訓練は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)の合意をほごにしている。しかし、外務、防衛両大臣が日本政府の立場を伝え、強く要請した形跡は見えない。実際には地元の強い要望に「配慮」し「理解を得るための努力」を米側に求めたにすぎなかったことが、これではっきりした。その気がないのである。政府が今回の訓練を「遺憾」と表明するだけなのも、訓練制限に向け具体的な行動を起こさないことにも合点がいく。あきれた従属ぶりではないか。


 また、琉球新報は、「SACOで、降下訓練は米軍読谷補助飛行場から米軍伊江島補助飛行場で実施すると合意したはずだ。その後、2007年の日米合同委員会で「嘉手納基地を例外的な場合に限って使用」することに合意した。この合意が抜け道になっている。米軍が「例外」と言えば、訓練を実施できるからだ。ちょうど日米で合意した航空機騒音規制措置(騒音防止協定)が、米軍が運用上必要だと主張すれば、午後10時以降の夜間飛行が可能であるのと同じ理屈だ。日本政府は、07年の日米合同委員会の合意を撤回すべきだ。」、と問題点を突く。
 さらに、「米軍はSACO合意すら読み替えている。米軍は21日の声明で『SACO最終報告では嘉手納ドロップゾーン(降下場所)について触れていない』と指摘した。つまり『嘉手納基地では実施しない』とは書いていないから、嘉手納での降下訓練は可能ということか。それならSACO合意を骨抜きにする一方的な解釈であり、認められない。うるま市津堅島訓練場水域での降下訓練も『SACO最終報告では津堅島について触れていない』と解釈しているのかもしれない。」、と続ける。


 こうした事実の基に、琉球新報は、次のように結論づける。


(1)降下訓練は危険だ。今年1月、伊江島補助飛行場でパラシュート降下訓練中だった米陸軍所属の米兵1人が、フェンスを越えて同村西江前の民間地に着地した。過去に民間人の死亡を含む事故を何度も引き起こしている。
(2)そういう危険な訓練を伊江島で実施すること自体反対だ。日本政府は沖縄の負担を軽減すると繰り返し主張してきた。それならSACO合意を見直し、降下訓練の移転先を「伊江島」から「米本国」にするよう変更すべきだ。日本と米国が対等な関係なら当然の要求だろう。


 次のことを、確認する。


(1)降下訓練は、過去に民間人の死亡を含む事故を何度も引き起こしており、危険であること。
(2)降下訓練の移転先を「伊江島」から「米本国」にするよう変更することを日本政府は米国に要求すること。
(3)上記のことが達成できない間は、SACOでの「降下訓練は米軍読谷補助飛行場から米軍伊江島補助飛行場で実施する」との最低限の合意が守られない以上、SACO合意そのものを見直すこと。





by asyagi-df-2014 | 2017-10-02 08:52 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

社説、論説から。~東京新聞20170922~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 今回は、東京新聞2017年9月22日付の社説。
東京新聞は(以下、東京とする)、「消費税の使途 安倍さん、自己否定だよ」、と安倍晋三政権への批判を明確にする。
安倍晋三政権については、「否」の気持ちが非常に強く、その割にはその実態を精査する気持ちを失いがちである。
東京は、「アベノミクスの自己否定」、と安倍晋三政権の本丸を次のように攻める。


(1)首相は二十八日に召集する臨時国会の冒頭で衆院を解散する意向といわれる。併せて二〇一九年十月に消費税率を8%から10%へ予定通り引き上げること、増収分の使い道について財政再建に充てる分を減らして教育無償化などに財源を回す考えを明らかにする方針だ。
(2)財政健全化目標の国際公約である「基礎的財政収支(プライマリー・バランス=PB)の二〇年度黒字化」についても、達成時期の先送りを表明する見込みだ。
(3)アベノミクスは、成長によって税収を伸ばし、その果実で経済を再生して、世界最悪の財政も再建させるとしてきた。当初は税収が増え、日銀の超低金利政策もあり、消費税増税を二度延期するといった財政規律のなさでも何とか財政運営は回ってきた。
(4)しかし、昨年度は税収が減少に転じた。異次元の金融緩和も物価上昇目標を達成できず、アベノミクスの行き詰まりは明らかだった。首相はこれまで「道半ば」と繰り返すばかりだったが、もはや通用しない状況だと自覚すべきだ。
(5)PB黒字化達成時期の先送りに追い込まれたことは国債の格下げリスクや異次元緩和の出口戦略をさらに困難にする恐れがある。
(6)問題はほかにもある。消費税の使途変更は民進党の前原誠司代表が訴えてきたものだ。首相が同じような公約を唐突に言い出したのは衆院選の争点つぶしが狙いだろう。与党で議論したこともなく、自民党内から「思いつきでいわれても、そうですかとはいかない」と不快感を表す声さえ上がった。


 確かに、次のことが言える。


(1)「消費税の使途変更は民進党の前原誠司代表が訴えてきたものだ。首相が同じような公約を唐突に言い出したのは衆院選の争点つぶしが狙い」であること。
(2)「PB黒字化達成時期の先送りに追い込まれたことは国債の格下げリスクや異次元緩和の出口戦略をさらに困難にする恐れがある」こと。
(3)側近が書いた通りの「思いつき」発言であるらしいこと。


 そして、東京の次の指摘が重たい。


「百歩譲って、野党の政策でも国民が望むなら政権党として実現を目指すというならまだしも、問題なのは看板は同じでも中身は国民が求めるのとは違うものに都合よく変えてしまうことだ。」



by asyagi-df-2014 | 2017-09-29 07:51 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

社説、論説から。~琉球新報20170921~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。




 今回は、琉球新報2017年9月21日付の社説。
新報は、まず、沖縄県が負わされている実態を次のように示す。


「嘉手納基地では7月までの4カ月間で、1万8799回の離着陸(タッチ・アンド・ゴーや通過、旋回を含む)があった。そのうち騒音防止協定で飛行が制限されている午後10時から午前6時までの夜間・早朝は647回だった。普天間飛行場では5084回の離着陸があり、夜間・早朝は224回だった。」


 新報は、この事実を基に、「沖縄防衛局が米軍嘉手納基地と普天間飛行場で、今年4月から実施している24時間の航空機離着陸調査の結果からも、騒音規制措置(騒音防止協定)が有名無実化していることがはっきりした。」、と結論づける。
 この上で、「住民生活への重大な影響を一顧だにしない米軍の姿が改めて浮き彫りになった。夜間・早朝の爆音放置は許されない。安倍政権は自ら約束した『沖縄の負担軽減』を県民が望む形で実現する責任を自覚し、改善すべきだ。」、と安倍晋三政権に要求する。


 新報は、米軍に対して、「県民生活よりも、訓練を優先する米軍に強く抗議する。」、とする。
 しかし、これだけに留まらず、沖縄の基地負担軽減が達成できない原因を次のように指摘する。


(1)騒音防止協定には規制除外のただし書きがあり、何ら実効性がない。抜け道だらけの騒音防止協定に照らせば、米軍は協定を守っていることになる。
(2)夜間訓練飛行は「必要な最小限に制限される」などとし「部隊司令官は、できる限り早く夜間の飛行を終了させるよう最大限の努力を払う」としているだけで、米軍は「運用上必要」「努力した」とすれば協定破りにはならないのである。とても「騒音規制」とか「騒音防止」と呼べる協定ではない。
(3)看過できないのは、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが普天間飛行場の夜間・早朝の離着陸回数に占める割合の高さである。224回のうち43%に当たる97回はオスプレイである。昨年12月以降、普天間飛行場所属の2機が墜落するなど、オスプレイは住民にとって脅威でもある。即時撤去を強く求める。
(4)嘉手納基地では、離着陸総数の35%、3分の1が外来機だったことも許し難い。
日米両政府は2011年、周辺地域の負担軽減を名目に、嘉手納基地所属機の訓練移転に合意した。だが訓練移転以上に、嘉手納基地を拠点に訓練する外来機の方が圧倒的に多いのではないか。それが県民の実感である。負担は軽減されることなく、増大しているのは明らかである。


 この社説の最後に、新報は、沖縄からの譲れない「声」を安倍晋三政権に突きつける。


「今年の沖縄全戦没者追悼式で、安倍晋三首相は『沖縄の方々には長きにわたり、米軍基地の集中による大きな負担を担っていただいており、この現状は到底是認できるものではない。政府として基地負担軽減のため、一つ一つ確実に結果を出していく決意だ』と述べた。この言葉が本心なら直ちに実行すべきだ。夜間・早朝の米軍機飛行の全面禁止だけでは不十分である。オスプレイの配備撤回、名護市辺野古への新基地建設断念など、県民の重しとなる全ての『基地負担』を軽減ではなく、排除する責任が安倍首相にはある。」


 日本国は、この沖縄からの譲れない「声」を、肝に銘じなければならない。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-28 05:44 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

安倍首相は衆院解散表明。その意味は何なのか。

 安倍晋三首相が2017年9月28日に召集する臨時国会の冒頭で衆院を解散する方針を正式に表明した。
 このことについて、これまでも取り上げてきた琉球新報:「首相、衆院解散表明 さっぱり理解できない」、沖縄タイムス:「[首相 衆院解散表明]結局は政権の都合だけ」、信濃毎日新聞:、高知新聞:「【首相の解散会見】「大義なし」の名は消えぬ」の地方新聞四社と、朝日新聞:「衆院選 大義なき解散 「首相の姿勢」こそ争点だ」、毎日新聞:「日本の岐路 首相が冒頭解散を表明 説得力欠く勝手な理屈だ」、東京新聞:「衆院28日解散 「安倍政治」への審判だ」、読売新聞;「衆院解散表明 問われる安倍政治の総合評価」の四社のあわせて八社の社説で考える。
 今回もまた、読売のみが異色の主張ということになっている。
 例えば、「記者会見を聞いてもさっぱり分からない」「納得できる説明は何一つなかった」、というのが大方の捉え方であるが、読売は、あくまで、「首相は記者会見で、今回は『国難突破解散だ』と語った。『仕事人内閣』の発足から、わずか2か月足らずでの解散だ。首相の戦略変更は間違いない」、とする。始め読んだ段階では、批判的なのかと思ったくらいだ。
さて、各紙の主張は、次のものである。


Ⅰ.安倍首相の記者会見の印象


[琉球新報]
 なぜ解散するのか。安倍晋三首相の記者会見を聞いてもさっぱり分からない。


[沖縄タイムス]
 なぜ今、解散なのか。代表質問も予算委員会質疑もせず、なぜ臨時国会の冒頭に解散するのか。安倍首相からは、納得できる説明は何一つなかった。


[信濃毎日新聞」
 唐突な提案である。具体的にどう使うのか、財政再建はどうするのか。詳しい中身が分からないのでは有権者として判断しようがない。なぜ今、衆院選なのか。記者会見を聞いても疑問が消えない。14年の解散時を思い起こさせる会見である。前回は消費税率の再引き上げの延期について判断を仰ぎたいと解散に打って出た。争点が曖昧な選挙戦は、最後まで盛り上がりを欠いた。説明の分かりにくさは今回も共通する。初めに解散ありき、消費税の使途変更が後付けの理由なのは明らかだ。


[高知新聞」
 そもそも今、何のための解散かという大義は見えない。安倍首相はこれらの疑問に、まさに「丁寧な説明」で答える必要があった。しかしその中身は具体性に乏しく、説得力を欠いていたと言わざるを得ない。


「朝日新聞」
(1)民主主義の根幹である国会の議論を軽んじ、憲法と立憲主義をないがしろにする。そんな首相の政治姿勢にほかならない。


「毎日新聞」
 これが衆院を解散し、総選挙をするに足る理由なのだろうか。かえって疑問が深まる記者会見だった。


「東京新聞」
(1)首相はきのうの記者会見で、衆院解散の理由に、消費税率10%への引き上げで増えた税収の使い道を見直すことを挙げ、「国民との約束を変更し、重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない」と述べた。また、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に毅然(きぜん)と対応するため「選挙で信任を得て、力強い外交を進める」と強調した。首相自ら「国難突破解散」と名付けた。それらは重要な問題ではある。特に、議会制民主主義の成り立ちにかかわる税金の使い道は、選挙で信を問うべきものではある。
(2)とはいえ、任期を一年以上残す段階で、急いで解散する大義としては、根拠薄弱の感は否めない。むしろ、民進党の混乱や小池百合子東京都知事が関与する国政新党の準備が整わないうちに解散に踏み切った方が自民党に有利との判断があるのではないか。


「読売新聞」
 日本経済の再生や新たな社会保障制度の構築、北朝鮮危機への対応、憲法改正――。こうした困難な課題に取り組み、政治を前に進めるのが、国民に信を問い直す意義だろう。


Ⅱ.衆議院解散表明における内容への意見


ⅰ.憲法問題、全体
[琉球新報]
 消費税率を8%から10%へ引き上げる際、使途を国の借金返済から子育て支援策に変更する点や北朝鮮対応について信を問うという。安倍首相は「国民と国難を乗り越えるため、国民の声を聞かなければならない。国難突破解散だ」と述べた。
 「国難」と言うなら選挙によって政治の空白をつくらず、消費税も北朝鮮問題も国会で議論すればよい。


[高知新聞」
 憲法改正について、ひと言の言及もなかったのはどうしたことか。自民党の公約骨子案では、具体的な改憲案の国会提出を目指す方針ではなかったのか。

「朝日新聞」
(1)首相は28日に召集される臨時国会の冒頭、所信表明演説にも代表質問にも応じずに、解散に踏み切る意向だ。6月に野党が憲法53条に基づいて要求した臨時国会召集の要求を、3カ月余りも放置した揚げ句、審議自体を葬り去る。憲法無視というほかない。
(2)その象徴は、一昨年に成立させた安全保障関連法だ。憲法のもとで集団的自衛権の行使は許されない。歴代の自民党内閣が堅持してきた憲法解釈を閣議決定で覆し、十分な議論を求める民意を無視して採決を強行した。今年前半の国会でも数の力を振り回す政治が繰り返された。森友問題では昭恵氏の国会招致を拒み続ける一方で、加計問題では「総理のご意向」文書の真実性を証言した前文部科学次官に対して、露骨な人格攻撃もためらわない。


「毎日新聞」
 一方、記者会見では憲法改正に触れることさえなかった。元々、首相は来年の通常国会で改憲を発議することを衆院選よりも優先して検討していたはずだ。しかし自ら不信を招いた加計問題などにより、与党内でも求心力が低下し、9条改憲には公明党が強く異論を唱え始めた。このため今のままでは発議は難しいと考え、それを打開するために解散に打って出たと思われる。


「東京新聞」
(1)七条解散は慣例化しているとはいえ、政権与党の都合による衆院解散には「解散権の乱用」との批判がこれまでもあった。解散はやはり、政府提出の予算案や重要法案が否決された場合や国論を二分する問題が生じたときに限るべきではないか。解散権の制限が法律で可能かどうか、まず検討すべきであろう。
(2)むしろ問題は、冒頭解散だ。臨時国会の召集は「森友」「加計」両学校法人をめぐる問題と安倍首相らとの関わりを解明するため、野党側が憲法五三条に基づいて求めていたものだ。安倍内閣は閉会中審査に応じたとはいえ、召集要求を三カ月も放置した上での冒頭解散である。首相は会見で「憲法上問題はない」と強調したが、憲法軽視との誹(そし)りは免れまい。解散するにしても、せめて首相の所信表明演説や各党代表質問、委員会質疑などの審議後にすべきではなかったか。
(3)首相が会見で憲法改正に言及しなかったことが気掛かりだ。断念したのなら一つの判断だが、公約には明確に掲げず、選挙後に強引に進めるのは国民を欺く行為だ。引き続き改憲を目指すのなら明確に語り、判断を仰ぐべきである。


「読売新聞」
 憲法改正について安倍首相は、自衛隊の根拠規定の追加や大災害時の緊急事態条項の創設などを目指す考えを強調している。戦後日本の平和維持に積極的に貢献してきた自衛隊に違憲の疑いがある、と多くの憲法学者が唱えるような異常な状況はできるだけ解消せねばならない。首相が5月に提起した憲法改正案は一定の支持を集めるが、公明党は慎重姿勢を崩さず、やや膠着こうちゃく状態にある。今回の解散は、この局面を打開する狙いもあろう。


ⅱ.加計・森友問題


[琉球新報]
(1)野党4党は森友学園、加計学園を巡る政府の説明が不十分として6月、憲法53条の規定に基づいて臨時国会召集の要求書を衆参両院に提出していた。冒頭解散となると、疑惑を解明する国会の責任を放棄することになる。憲法にも抵触するのではないか。
(2)首相は森友学園、加計学園問題に関し「丁寧に説明する努力を重ねてきた。今後もその考えに変わりない」と強調した。だが「丁寧に説明した」と理解を示す国民はいるだろうか。7月に安倍首相が出席して加計問題に関する閉会中審査を開いた。議論がかみ合わず疑念は払拭(ふっしょく)されるどころか、さらに募った。「総理の意向」で行政がゆがめられたのかどうか、疑惑の解明は止まったままだ。
(3)共同通信社が衆院選を前に実施した全国電話世論調査(第1回トレンド調査)によると、森友、加計学園問題を巡る政府の説明に納得できるかどうかについては「できない」が78・8%で、「できる」は13・8%にすぎない。


[沖縄タイムス]
 共同通信社が23、24両日に行った全国電話世論調査で、森友学園、加計(かけ)学園問題を巡る政府の説明に78・8%が納得できないと答えている。


[信濃毎日新聞」
(1)今回の解散には森友学園、加計学園を巡る疑惑の追及を避けたい思惑もあるだろう。
(2)国有地が破格の安値で払い下げられ、国家戦略特区制度を利用して半世紀ぶりの獣医学部新設計画が進められた。行政の在り方がゆがめられなかったか、首相側の意向が決定に影響しなかったか。疑惑は残ったままだ。
(3)6月の会見では、通常国会での自身の答弁姿勢について「深く反省する」と述べ、「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と表明していた。きのうも「丁寧に説明する努力を重ねてきた。今後もその考えに変わりはない」としている。
(4)森友の国有地問題で会計検査院の調査報告、加計の獣医学部については文部科学省の審議会の新設認可判断が控えている。この時期に解散しながら「丁寧な説明」を口にしても説得力はない。


「朝日新聞」
(1)いま国会で腰を落ち着けて論ずべき課題は多い。首相や妻昭恵氏の関与の有無が問われる森友・加計学園をめぐる疑惑もそのひとつだ。首相は会見で「丁寧に説明する努力を重ねてきた。今後ともその考えに変わりはない」と語ったが、解散によって国会での真相究明は再び先送りされる。
(2)国会を軽視し、憲法をあなどる政治姿勢は、安倍政権の体質と言える。


「毎日新聞」
 首相は先月内閣を改造した際の記者会見で、森友学園や加計学園の問題について「国民に大きな不信を招いた」と頭を下げた。 ところが臨時国会では質疑に応じないと言う。再び国民の関心が高まるのを恐れたからだろう。疑惑隠しと言われても仕方がない。しかも首相は「選挙は民主主義における最大の論戦の場」と語り、国会など開かなくてもいいと言わんばかりだった。その論理のすり替えに驚く。


ⅲ.消費税、教育費


[沖縄タイムス]
(1)2019年10月に消費税率を8%から10%に引き上げる際、その使い道を変更し、国の借金返済から幼児教育の無償化などに振り向ける-。
 首相は「消費税の使い道を見直す以上、国民に信を問わなければならない」と解散の理由を説明した。高齢者への給付が中心だった社会保障制度を「全世代型」に転換する、との考えも示した。それ自体、突っ込んだ議論が必要な大きな改革だ。
 ここには、政策転換の善しあし以前に、重大な問題がある。
 消費増税分の使い道変更について自民党はこれまで、ほとんど党内議論をしていない。自民党の竹下亘総務会長でさえ記者団に「党で1回も議論していない。公約は総務会で了承してから出すもの」だと語ったほどだ。本来であれば、臨時国会で政府の考えを丁寧に説明し、野党との論戦を通して国民に分かりやすい形で論点を提示するのが筋だ。だが、首相は「今なら(多少議席は減らしても)勝てる」との判断を優先し、議会政治にとって最も大切な手続きを割愛した。有権者を置き去りにした究極の自己都合解散というしかない。
(2)「消費税率引き上げの際に使途を拡大し、教育目的にも使えるようにする」という考えは民進党の前原誠司代表が以前から掲げていた政策である。首相が打ち出した使い道の見直し案と大きな違いはない。そうであればなおさらのこと、臨時国会で議論し、内容を詰めていくべきであった。1カ月足らずの短期決戦の選挙戦で、果たして有権者に判断材料を示せるかどうか疑問である。


[信濃毎日新聞」
(1)消費税の使途変更が重大な政策転換であることは確かだ。旧民主党と自民、公明両党による12年の合意は増収分全てを社会保障に充てるのが柱だった。約2割を社会保障の充実、約8割を国の借金減らしなど社会保障の安定化に充てる。この方針から大きく外れることになる。だからといって解散を正当化することはできない。大転換であればなおさら、国民が政策の中身を理解し、是非を判断できるようにすべきだ。まず国会で掘り下げるのが本来の姿ではないか。野党は憲法に基づき臨時国会の早期召集を求めてきた。これに応じなかった上、議論のないまま冒頭に衆院を解散する。筋の通らない話である。
(2)首相が新たな看板政策として掲げる「人づくり革命」は、6月の通常国会閉会後の記者会見で打ち出された。どんな取り組みを進めようというのか、柱の一つである教育無償化を含め、具体的な政策は分からない。
(3)消費税の使い道を変えることには、自民党内でも「思い付きでやられては困る」などと異論が出ている。議論が不十分なまま、急ごしらえの公約を示されても判断材料にはならない。
(4)国会では記録がない、記憶がないと繰り返す政府側の答弁で堂々巡りが続いた。閣僚や自民党議員の相次ぐ問題発言と合わせ、「1強」政治のゆがみ、おごりを感じさせる問題である。解散ではぐらかされるわけにはいかない。


[高知新聞」
(1)安倍首相は解散理由について、再来年10月に消費税率を8%から10%に引き上げる際、従来の消費税の使途を大幅に変更することを掲げて信を問うとした。現在の計画では、見込まれる年5兆8千億円程度の増収分のうち約4兆円は社会保障を賄っている借金の返済、残りは社会保障の充実に充てることになっている。首相はこの税収の使途を、「国の借金返済から幼児教育・保育の無償化などに変更する」とした。急ごしらえで、唐突な話だ。これまで自民党では教育無償化に伴う財源について、「子ども保険」などが検討されてきた。消費税の使途変更が議論になった形跡はない。
 民進党の前原代表は党代表選で、消費税増税による教育無償化を訴えていた。方向性が同じでは選挙の争点にもなりにくく、有権者も困惑するのではないか。民進党は「争点はずし」と批判している。


「朝日新聞」
 少子高齢化をめぐっては、消費税率の10%への引き上げを予定通り2019年10月に行い、借金返済にあてることになっている分から、新たに教育無償化などに回す。その是非を問いたいという。だが、この使途変更は政府・与党内でまともに議論されていない。そればかりか、民進党の前原誠司代表が以前から似た政策を主張してきた。争点にすると言うより、争点からはずす狙いすらうかがえる。国民に問う前に、まずは国会で十分な議論をすべきテーマだ。


「毎日新聞」
 首相の説明は、再来年秋に消費税を8%から10%に引き上げる際、増税分の一部を教育無償化に充てるなど使い道を見直すからだという一点に尽きた。税に関する政策変更は国民の信を問うべきだというわけだ。消費増税延期を言い出した2014年の衆院選と全く同じである。だが、前回の消費増税延期が与野党の争点にならなかったように、使い道の見直しは民進党が既に打ち出している課題だ。解散して信を問うテーマと言うには説得力を欠く。

「東京新聞」
(1)首相はきのうの記者会見で、衆院解散の理由に、消費税率10%への引き上げで増えた税収の使い道を見直すことを挙げ、「国民との約束を変更し、重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない」と述べた。また、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に毅然(きぜん)と対応するため「選挙で信任を得て、力強い外交を進める」と強調した。首相自ら「国難突破解散」と名付けた。それらは重要な問題ではある。特に、議会制民主主義の成り立ちにかかわる税金の使い道は、選挙で信を問うべきものではある。
(2)とはいえ、任期を一年以上残す段階で、急いで解散する大義としては、根拠薄弱の感は否めない。むしろ、民進党の混乱や小池百合子東京都知事が関与する国政新党の準備が整わないうちに解散に踏み切った方が自民党に有利との判断があるのではないか。


「読売新聞」
(1)首相は、解散の理由として、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げに伴う増収の使途変更を挙げた。国の借金返済を減らし、子育て支援や教育無償化などの財源約2兆円を確保するという。首相は「国民の信任なしで、国論を二分するような大改革を進めることはできない」と語った。「高齢者偏重」と指摘されてきた社会保障制度について、若い世代も含めた「全世代型」への転換を進めることは理解できる。高齢者向け給付の一層の効率化も避けるべきではあるまい。一方、高等教育の無償化は、巨額の財源を要し、負担と給付の不公平性の拡大、大学の質の低下も懸念される。本当に必要な学生に限定し、慎重に検討したい。
(2)アベノミクスを補強・拡充し、2度も延期した消費増税を19年には確実に実施できる経済状況を作り出すことも欠かせない。


ⅳ.北朝鮮問題


[高知新聞」
 首相は北朝鮮の危機を強調することに時間を割いた。それを日本の少子高齢化と並べて、この解散を「国難突破解散」と名付けてみせた。大仰な言葉に驚く。


「朝日新聞」
 核・ミサイル開発をやめない北朝鮮にどう向き合うか。首相は会見で「選挙で信任を得て力強い外交を進めていく」と強調したが、衆院議員を不在にする解散より、与野党による国会審議こそ必要ではないのか。


「毎日新聞」
 北朝鮮情勢が緊張する中での解散・総選挙となる点に対しては「北朝鮮の脅かしによって(選挙日程が)左右されてはいけない」と述べるだけで、危機を利用している印象さえ受けた。「信がなければ大胆な改革も外交も進められない」とも強調した。だが、まず必要なのは加計問題などで招いた不信を丁寧な説明によって解消することだ。選挙で勝ちさえすれば信任を得られるというのは、順番が逆である。


「読売新聞」
(1)北朝鮮の問題について、首相は「北朝鮮の脅かしに屈せず、力強い外交を進める」と述べ、圧力路線を堅持する考えを表明した。日本の安全保障にとって目下、最大の懸案だ。北朝鮮は、6回目の核実験や2度の日本上空を通過する弾道ミサイル発射を強行するなど、問題は深刻化している。北朝鮮に核放棄を迫るには、国連安全保障理事会決議の厳格な履行で圧力を強めつつ、対話の糸口を探るしかあるまい。危機を煽あおりすぎないことにも配慮が要る。
(2)15年に制定した安全保障関連法は、北朝鮮に対する日米同盟の抑止力を支える重要な法的基盤だ。安倍政権は、その意義をきちんと訴えることが大切である。


ⅴ.財政問題


[沖縄タイムス]
 20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという財政健全化目標について首相は「困難になる」との見通しを明らかにした。安倍政権は財政健全化にどう取り組むつもりなのか。その説明が不十分だ。


[信濃毎日新聞」
 加えて見過ごせないのは、財政再建との兼ね合いだ。20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという政府の目標について首相は達成困難との認識を示している。もともと絶望視されていたのに堅持すると繰り返してきた。消費増税分を予定通り使っても、赤字が残ると試算されている。使途変更と合わせての表明は目くらましのようなやり方だ。財政再建の旗は降ろさないと述べたものの、具体策は今後定めるとするにとどまる。財政規律が緩み、借金はますます膨らみかねない。子育て支援、教育無償化と聞こえのいい言葉を連ねながら、将来世代への付け回しを続けるのは矛盾している。


[高知新聞」
 国の借金返済が減ることで、基礎的財政収支を2020年度に黒字化する財政健全化目標の達成は「困難になった」(首相)との認識を示した。しかし首相はその困難克服の具体的目標や手順を示さず、「先送り」という言葉も使わなかった。
 それこそ国会で議論すべきことだろう。だが首相が取った手段は、臨時国会で所信表明演説や質疑を行わず、冒頭でいきなり解散する乱暴なやり方だ。国会軽視の姿勢は、国民の解散反対論の根拠でもあろう。


「毎日新聞」
 使途の変更で財政再建は遠のく。首相も20年度に「基礎的財政収支」を黒字化するという政府の目標達成は困難になると認めた。同時に「財政再建の旗は降ろさない」とも語ったが、どう再建するのかは今後検討するという。やはり最初に解散ありきで、そのための理由を探してきたと言わざるを得ない。


「東京新聞」
 国の借金返済が減ることで、基礎的財政収支を2020年度に黒字化する財政健全化目標の達成は「困難になった」(首相)との認識を示した。しかし首相はその困難克服の具体的目標や手順を示さず、「先送り」という言葉も使わなかった。
 それこそ国会で議論すべきことだろう。だが首相が取った手段は、臨時国会で所信表明演説や質疑を行わず、冒頭でいきなり解散する乱暴なやり方だ。国会軽視の姿勢は、国民の解散反対論の根拠でもあろう。


「読売新聞」
 忘れてならないのは、財政再建の旗を掲げ続けることである。首相は、借金返済を減らすことで、20年度の基礎的財政収支を黒字化する目標の実現は困難になる、との認識を示した。新たな財政健全化目標を早期に提示し、国民の理解を得ねばなるまい。


ⅵ.その他

[琉球新報]
(1)河野洋平元衆院議長は日本記者クラブで会見し「一度も丁寧な説明をしないで解散するのは理解できない」と述べた。同時に「権力者の側が都合の良い時に解散する。過去になかったことではないか」と指摘した。自民党の重鎮から見ても、疑惑隠しの大義なき解散なのである。
(2)第1回トレンド調査によると、現時点で比例代表の投票先は自民党が27・0%で、民進党8・0%の3倍以上となった。小池百合子東京都知事の側近らが結成する新党は6・2%だった。安倍内閣の支持率は45・0%、不支持率は41・3%。望ましい選挙結果に関しては「与党と野党の勢力が伯仲する」が49・3%。


「朝日新聞」
(1)その象徴は、一昨年に成立させた安全保障関連法だ。憲法のもとで集団的自衛権の行使は許されない。歴代の自民党内閣が堅持してきた憲法解釈を閣議決定で覆し、十分な議論を求める民意を無視して採決を強行した。
(2)今年前半の国会でも数の力を振り回す政治が繰り返された。
(3)森友問題では昭恵氏の国会招致を拒み続ける一方で、加計問題では「総理のご意向」文書の真実性を証言した前文部科学次官に対して、露骨な人格攻撃もためらわない。


Ⅲ.主張
[琉球新報]
 首相は内閣支持率が回復しているこのタイミングで解散に踏み切ったのだろう。しかし、内閣改造からまだ2カ月。首相が「仕事人内閣」と名付けた新内閣は、国会で演説も質問も受けずに解散する。このような国会と有権者を軽視するやり方は許されない。
 解散により森友、加計学園の疑惑解明をはじめ、北朝鮮の核・ミサイル開発を巡る国会論議も、「残業代ゼロ」制度導入の是非など働き方改革関連法案も先送りになる。
 今回の衆院選は解散の在り方と、問題先送りの政治手法が問われるべきだろう。


[沖縄タイムス]
 憲法に基づく野党の臨時国会召集要求をずるずる引き延ばし、挙げ句に、何の議論もせずに冒頭解散である。北朝鮮の核・ミサイル開発については、あらためて「対話より圧力」との考えを強調した。国民の中には選挙による政治的空白を懸念する声が多い。「民主主義の原点である選挙が北朝鮮の脅しによって左右されることがあってはならない」との首相の説明は、解散を正当化するためのこじつけにしか聞こえず、「なぜ今、解散が必要なのか」の説明にはなっていない。


[信濃毎日新聞」
 衆院議員の任期満了を来年12月に控えている。時期を逃せば「追い込まれ解散」を余儀なくされかねない。野党第1党の民進党は離党者が相次ぎ、小池百合子東京都知事の側近議員らによる新党も準備が整っていない。今なら有利と判断したのだろう。解散を巡り内閣に一定の裁量が認められるとしても、行使には信を問うべき十分な理由がなければならない。政権の一方的な都合で踏み切るのは解散権の乱用だ。国民不在、党利党略の解散表明が、当たり前のように繰り返された。首相のやり方は大義も節度も欠いている。


[高知新聞」
(1)先の世論調査で、森友・加計(かけ)問題を巡る政府の対応について聞いたところ、「納得できない」が78・8%を占めた。内閣支持率は今、北朝鮮の核・ミサイルによる挑発でじわりと持ち直している。
(2)民進党は離党者が続出し、他党も準備が整っていない。このタイミングで衆院を解散し、森友・加計問題のリセットを図る。そんな「疑惑隠し」の思惑があるのなら、国民を見くびっているに等しい。
(3)このままでは「大義なき解散」の呼び名が消えることはない。 


「朝日新聞」
(1)首相にとって今回の解散の眼目は、むしろ国会での議論の機会を奪うことにある。
(2)極め付きは、「共謀罪」法案の委員会審議を打ち切る「中間報告」を繰り出しての採決強行である。都合の悪い議論から逃げる政権の姿勢は、今回の解散にも重なる。
(3)森友・加計問題とあわせ、首相にとって不都合な状況をリセットする意図は明らかだ。もはや党利党略を通り越し、首相の個利個略による解散といっても過言ではない。
森友・加計問題については、自民党の二階幹事長から信じられない発言が飛び出した。「我々はそんな小さな、小さなというか、そういうものを、問題を隠したりなどは考えていない」。だがふたつの問題が問うているのは、行政手続きが公平・公正に行われているのかという、法治国家の根幹だ。真相究明を求める国民の声は、安倍政権に届いているようには見えない。
(4)きのうの会見で首相は、持論の憲法9条の改正に触れなかったが、選挙結果次第では実現に動き出すだろう。今回の衆院選の最大の「争点」は何か。少数派の声に耳を傾けず、数におごった5年間の安倍政権の政治を、このまま続けるのかどうか。民主主義と立憲主義を軽んじる首相の姿勢が問われている。
(5)北朝鮮の脅威などで地域情勢が緊迫化すれば、政権与党への支持が広がりやすい。選挙準備が整っていない野党の隙もつける。7月の東京都議選の大敗後、与党内から異論が公然と出始めた首相主導の憲法改正論議の局面も、立て直せるかもしれない。タイミングを逃し、内閣支持率が再び低下に転じ、「選挙の顔」の役割を果たせなくなれば、来秋の自民党総裁選での3選がおぼつかなくなる……。そんな政略が透けて見える。森友・加計問題とあわせ、首相にとって不都合な状況をリセットする意図は明らかだ。
(6)もはや党利党略を通り越し、首相の個利個略による解散といっても過言ではない。


「毎日新聞」
(1)「北朝鮮と少子高齢化という国難突破の解散だ」とも首相は語った。しかし、本音は4年後の21年秋まで首相を続け、宿願の憲法改正を実現するための解散なのではなかろうか。むしろ自らを取り巻く現状を突破する解散と言っていい。
(2)野党が準備不足の今なら勝てると見たのだろう。だが、もちろんこれも有権者次第である。
(3)首相は従来、選挙では経済をアピールし、勝てば全ての政策が信任されたとばかりに、安全保障関連法など選挙でさして触れなかった法律を数の力で成立させてきた。
 今回も憲法改正よりも、「人づくり革命」や「生産性革命」といったキャッチフレーズを強調していくはずだ。その手法も含めて改めて問われるのは「安倍政治」である。
(4)首相が再登板してから5年近く。「安倍1強」のおごりやひずみが見えてきた中で、さらに4年続くことの是非が問われる衆院選だ。憲法や安保、経済・財政と社会保障など、さまざまな重要課題をどうしていくのか、日本の大きな岐路となる。


「東京新聞」
(1)安倍晋三首相が臨時国会冒頭の衆院解散を表明した。総裁として率いる自民党の政権復帰から五年近く。「安倍政治」に国民が審判を下す機会としたい。
(2)首相は会見で「憲法上問題はない」と強調したが、憲法軽視との誹(そし)りは免れまい。解散するにしても、せめて首相の所信表明演説や各党代表質問、委員会質疑などの審議後にすべきではなかったか。首相自身、選挙戦での厳しい追及を覚悟しているようだ。選挙を経たといっても帳消しになるわけではない。政治と行政との関係の根幹に関わる問題だ。衆院選後も引き続き国会で真相解明に努めるべきは当然だろう。
(3)衆院選は各党・候補者が政策を競うと同時に、政権与党にとっては実績評価の選挙でもある。安倍政権は六月閉会の通常国会終盤、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法の成立を強行した。二〇一四年十二月の第三次内閣発足後に限っても集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法の成立強行など、強硬な政権、国会運営が目立つ。
(4)今回の衆院選では、消費税の使途変更などの政権公約と同時に、安倍内閣の政治姿勢全般、いわゆる「安倍政治」についても、その是非が問われるべきであろう。
(5)しがらみのない政治や徹底した情報公開、女性活躍政策などを掲げるが、急造新党が国政を託すに足るかどうかや、安倍自民党との距離をどう保つのかなどを、慎重に見極める必要がある。政権選択選挙とされる衆院選である。多少手間がかかっても、各党・候補者の公約を比較し、貴重な一票を投じたい。自分の考えに合致する投票先が見当たらなかったら、「よりまし」と考える政党や候補者に託すのも一手だろう。
(6)棄権や浅慮の「お任せ民主主義」ではなく、自らの意思を示すことだけが政権の在り方を決める。私たち有権者の責任でもある。


「読売新聞」
(1)首相は記者会見で、今回は「国難突破解散だ」と語った。「仕事人内閣」の発足から、わずか2か月足らずでの解散だ。首相の戦略変更は間違いない。
(2)首相は、「解散は森友・加計学園の疑惑隠し」などとする野党の批判を踏まえ、「厳しい選挙になると覚悟している」と語った。臨時国会の実質審議がなくなっても、一連の疑惑に関する首相や政府の説明責任は残る。丁寧な説明を続けることが重要である。
(3)衆院解散は長年、「首相の専権事項」とされ、定着している。自らが目指す政治や政策の実現のため、最も適切な時期に総選挙を実施するのは宰相として当然だ。衆院議員の来年12月の任期切れまで1年余しかない。既に「常在戦場」で選挙準備をしておくべき時期だ。「解散の大義がない」との野党の批判は筋違いである。
(4)首相も、自らの政治姿勢や政策すべてが国民の審判の対象となることを肝に銘じ、解散の意義と狙いを重ねて訴えるべきだろう。


 安倍首相の衆議院解散表明は、実にわかりやすい構図である。
 それは、読売以外の各紙が、おおよそ語ってくれている。
 果たして、これを民意としてどのように判断するのか。
 最後に、アベノミクス-成長戦略はもう忘れられたのか。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-27 07:00 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

2017年。広島市平和宣言、長崎市平和宣言を読む。

 大田昌秀さんが沖縄県知事の頃、沖縄から日本を見るということで、沖縄県(6月23日)、広島市(8月6日)、長崎市(8月9日)の平和宣言を比べてみていた時期がありました。それは、あくまで沖縄の視点からの日本批判ということだけでなく、自民党為政者への批判という視点が大きいものでした。
 2017年の今、政治状況は大きな変動を見せました。
 安倍晋三政権が日本政治を牛耳っているのですから。
 あらためて、日本のこれからを見つめ直すという視点の中で、広島市と長崎市の平和宣言を考えます。


Ⅰ.広島市平和宣言宣言-2017年8月6日(以下、広島宣言)


 広島宣言は、最初に、「皆さん、72年前の今日、8月6日8時15分、広島の空に「絶対悪」が放たれ、立ち昇ったきのこ雲の下で何が起こったかを思い浮かべてみませんか。」、と投げかけます。
そして、「それ故、皆さんには是非(ぜひ)とも、被爆者の声を聞いてもらいたいと思います。」、と次のように続けます。


(1)15歳だった被爆者は、「地獄図の中で亡くなっていった知人、友人のことを偲(しの)ぶと、今でも耐えられない気持ちになります」と言います。そして、「一人一人が生かされていることの有難(ありがた)さを感じ、慈愛の心、尊敬の念を抱いて周りに接していくことが世界平和実現への一歩ではないでしょうか」と私たちに問い掛けます。
(2)17歳だった被爆者は、「地球が破滅しないよう、核保有国の指導者たちは、核抑止という概念にとらわれず、一刻も早く原水爆を廃絶し、後世の人たちにかけがえのない地球を残すよう誠心誠意努力してほしい」と語っています。


 この上で、広島宣言は、「皆さん、このような被爆者の体験に根差した『良心』への問い掛けと為政者に対する『誠実』な対応への要請を我々のものとし、世界の人々に広げ、そして次の世代に受け渡していこうではありませんか。」、と世界に向けて訴えます。
 また、被爆者の声をを活かすために、次のように為政者に向けて訴えを続けます。


(1)為政者の皆さんには、特に、互いに相違点を認め合い、その相違点を克服するための努力を「誠実」に行っていただきたい。また、そのためには、核兵器の非人道性についての認識を深めた上で、自国のことのみに専念して他国を無視することなく、共に生きるための世界をつくる責務があるということを自覚しておくことが重要です。
(2)市民社会は、既に核兵器というものが自国の安全保障にとって何の役にも立たないということを知り尽くし、核を管理することの危うさに気付いてもいます。核兵器の使用は、一発の威力が72年前の数千倍にもなった今、敵対国のみならず自国をも含む全世界の人々を地獄へと突き落とす行為であり、人類として決して許されない行為です。そのような核兵器を保有することは、人類全体に危険を及ぼすための巨額な費用投入にすぎないと言って差し支えありません。
(3)今や世界中からの訪問者が年間170万人を超える平和記念公園ですが、これからもできるだけ多くの人々が訪れ、被爆の実相を見て、被爆者の証言を聴いていただきたい。そして、きのこ雲の下で何が起こったかを知り、被爆者の核兵器廃絶への願いを受け止めた上で、世界中に「共感」の輪を広げていただきたい。特に、若い人たちには、広島を訪れ、非核大使として友情の輪を広げていただきたい。広島は、世界の人々がそのための交流をし、行動を始める場であり続けます。
(4)その広島が会長都市となって世界の7400を超える都市で構成する平和首長会議は、市民社会において世界中の為政者が、核兵器廃絶に向け、「良心」に基づき国家の枠を超えた「誠実」な対応を行えるような環境づくりを後押ししていきます。


 2017の広島宣言は、やはり、「絶対悪」である核兵器に関する核兵器禁止条約について触れざるを得ませんでした。
 それが、「核兵器禁止条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んでいただきたい。」、という中途半端な表現だとしても。また、核兵器禁止条約が被爆者達の血の滲む結果であるにもかかわらず、そのことに触れられないとしてもである。


(1)今年7月、国連では、核保有国や核の傘の下にある国々を除く122カ国の賛同を得て、核兵器禁止条約を採択し、核兵器廃絶に向かう明確な決意が示されました。こうした中、各国政府は、「核兵器のない世界」に向けた取り組みを更に前進させなければなりません。
(2)特に、日本政府には、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」と明記している日本国憲法が掲げる平和主義を体現するためにも、核兵器禁止条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んでいただきたい。
(3)平均年齢が81歳を超えた被爆者をはじめ、放射線の影響により心身に苦しみを抱える多くの人々に寄り添い、その支援策を一層充実するとともに、「黒い雨降雨地域」を拡大するよう強く求めます。


 
 最後に、広島宣言は、「私たちは、原爆犠牲者の御霊(みたま)に心からの哀悼の誠を捧げ、世界の人々と共に、「絶対悪」である核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを誓います。」、と自らの決意を示して宣言を締めます。



Ⅱ.長崎市平和宣言-2017年8月9日(以下、長崎宣言)


長崎宣言は、核兵器禁止条約の成立を、「ヒロシマ・ナガサキ業約」について、次のように高らかに謳い上げています。


 「ノーモア ヒバクシャ」
  この言葉は、未来に向けて、世界中の誰も、永久に、核兵器による惨禍を体験することがないように、という被爆者の心からの願いを表したものです。その願いが、この夏、世界の多くの国々を動かし、一つの条約を生み出しました。
 核兵器を、使うことはもちろん、持つことも、配備することも禁止した「核兵器禁止条約」が、国連加盟国の6割を超える122か国の賛成で採択されたのです。それは、被爆者が長年積み重ねてきた努力がようやく形になった瞬間でした。
 私たちは「ヒバクシャ」の苦しみや努力にも言及したこの条約を「ヒロシマ・ナガサキ条約」と呼びたいと思います。そして、核兵器禁止条約を推進する国々や国連、NGOなどの、人道に反するものを世界からなくそうとする強い意志と勇気ある行動に深く感謝します。


 だからこそ、次のように続けます。


(1)しかし、これはゴールではありません。今も世界には、15,000発近くの核兵器があります。核兵器を巡る国際情勢は緊張感を増しており、遠くない未来に核兵器が使われるのではないか、という強い不安が広がっています。しかも、核兵器を持つ国々は、この条約に反対しており、私たちが目指す「核兵器のない世界」にたどり着く道筋はまだ見えていません。ようやく生まれたこの条約をいかに活かし、歩みを進めることができるかが、今、人類に問われています。
(2)核兵器を持つ国々と核の傘の下にいる国々に訴えます。安全保障上、核兵器が必要だと言い続ける限り、核の脅威はなくなりません。核兵器によって国を守ろうとする政策を見直してください。核不拡散条約(NPT)は、すべての加盟国に核軍縮の義務を課しているはずです。その義務を果たしてください。世界が勇気ある決断を待っています。


 そして、日本政府に、訴えます。そのあり方を批判の視点の中で。


(1)核兵器のない世界を目指してリーダーシップをとり、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役を務めると明言しているにも関わらず、核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください。日本の参加を国際社会は待っています。
(2)二度と戦争をしてはならないと固く決意した日本国憲法の平和の理念と非核三原則の厳守を世界に発信し、核兵器のない世界に向けて前進する具体的方策の一つとして、今こそ「北東アジア非核兵器地帯」構想の検討を求めます。


 長崎宣言は、世界へ向けて市民の声を発信しています。


(1)私たちは決して忘れません。1945年8月9日午前11時2分、今、私たちがいるこの丘の上空で原子爆弾がさく裂し、15万人もの人々が死傷した事実を。
(2)あの日、原爆の凄まじい熱線と爆風によって、長崎の街は一面の焼野原となりました。皮ふが垂れ下がりながらも、家族を探し、さ迷い歩く人々。黒焦げの子どもの傍らで、茫然と立ちすくむ母親。街のあちこちに地獄のような光景がありました。十分な治療も受けられずに、多くの人々が死んでいきました。そして72年経った今でも、放射線の障害が被爆者の体をむしばみ続けています。原爆は、いつも側にいた大切な家族や友だちの命を無差別に奪い去っただけでなく、生き残った人たちのその後の人生をも無惨に狂わせたのです。
(3)世界各国のリーダーの皆さん。被爆地を訪れてください。 遠い原子雲の上からの視点ではなく、原子雲の下で何が起きたのか、原爆が人間の尊厳をどれほど残酷に踏みにじったのか、あなたの目で見て、耳で聴いて、心で感じてください。もし自分の家族がそこにいたら、と考えてみてください。
(4)人はあまりにもつらく苦しい体験をしたとき、その記憶を封印し、語ろうとはしません。語るためには思い出さなければならないからです。それでも被爆者が、心と体の痛みに耐えながら体験を語ってくれるのは、人類の一員として、私たちの未来を守るために、懸命に伝えようと決意しているからです。
(5)世界中のすべての人に呼びかけます。最も怖いのは無関心なこと、そして忘れていくことです。戦争体験者や被爆者からの平和のバトンを途切れさせることなく未来へつないでいきましょう。
(6)今、長崎では平和首長会議の総会が開かれています。世界の7,400の都市が参加するこのネットワークには、戦争や内戦などつらい記憶を持つまちの代表も大勢参加しています。被爆者が私たちに示してくれたように、小さなまちの平和を願う思いも、力を合わせれば、そしてあきらめなければ、世界を動かす力になることを、ここ長崎から、平和首長会議の仲間たちとともに世界に発信します。そして、被爆者が声をからして訴え続けてきた「長崎を最後の被爆地に」という言葉が、人類共通の願いであり、意志であることを示します。


 長崎宣言は、福島原発事故の被災者を念頭に入れながら、このように結びます。


 被爆者の平均年齢は81歳を超えました。「被爆者がいる時代」の終わりが近づいています。日本政府には、被爆者のさらなる援護の充実と、被爆体験者の救済を求めます。
 福島の原発事故から6年が経ちました。長崎は放射能の脅威を経験したまちとして、福島の被災者に寄り添い、応援します。
 原子爆弾で亡くなられた方々に心から追悼の意を捧げ、私たち長崎市民は、核兵器のない世界を願う世界の人々と連携して、核兵器廃絶と恒久平和の実現に力を尽くし続けることをここに宣言します。



 さて、核兵器禁止条約とは、実は、広島からの「このような地獄は、決して過去のものではありません。核兵器が存在し、その使用を仄(ほの)めかす為政者がいる限り、いつ何時、遭遇するかもしれないものであり、惨(むご)たらしい目に遭うのは、あなたかもしれません。」や長崎からの「私たちは決して忘れません。1945年8月9日午前11時2分、今、私たちがいるこの丘の上空で原子爆弾がさく裂し、15万人もの人々が死傷した事実を。」、との声に真摯に向き合ったことから生まれたものでした。
 しかし、このことが理解できない安倍晋三政権には、日本国憲法からの問い掛けとして、次の疑問が呈されています。


 安倍晋三政権は、広島からの「日本政府には、『日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う』と明記している日本国憲法が掲げる平和主義を体現するためにも、核兵器禁止条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んでいただきたい。」、という切なる訴えを取り入れることができるか。また、「絶対悪」である核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に、真摯に向き合うことができるのか。
 長崎からの「二度と戦争をしてはならないと固く決意した日本国憲法の平和の理念と非核三原則の厳守を世界に発信し、核兵器のない世界に向けて前進する具体的方策の一つとして、今こそ『北東アジア非核兵器地帯』構想の検討を求めます。」、との投げかけにきちんと対することができるのか。


 広島宣言は、長崎宣言は、地獄を見たものの声から出発して、世界の真の平和を自らの手で作り上げていく覚悟を発信しています。
繋がることができるのは、広島や長崎から見る未来です。
今、必要なことは、次の長崎からの発信を自らの発信とすることです。


 人はあまりにもつらく苦しい体験をしたとき、その記憶を封印し、語ろうとはしません。語るためには思い出さなければならないからです。それでも被爆者が、心と体の痛みに耐えながら体験を語ってくれるのは、人類の一員として、私たちの未来を守るために、懸命に伝えようと決意しているからです。
 世界中のすべての人に呼びかけます。最も怖いのは無関心なこと、そして忘れていくことです。戦争体験者や被爆者からの平和のバトンを途切れさせることなく未来へつないでいきましょう。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-20 07:18 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落。(4)

 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、2017年8月5日、オーストラリア東部の洋上に墜落した。
このことについて、2017年8月8日、朝日新聞は「オスプレイ 飛行中止を求め続けよ」、東京新聞は「オスプレイ事故 飛行継続は許されない」、 南日本新聞は「[オスプレイ墜落] 安全性への疑念高まる」、とそれぞれの社説で主張した。
 なお、2017年8月8日の管官房長官の『運用上必要なものを除いて、国内におけるオスプレイの飛行を自粛するよう申し入れた』、との発言前の主張である。


 朝日新聞は、「日本政府の申し入れは、米軍にとって、これほどまでに軽いものなのか。
米軍の安全への意識の低さ、日本国民・沖縄県民への配慮のなさに慄然とする。」、と慨嘆する。この上で、「昨年12月に同県名護市の海岸で同型機が大破する事故を起こした際にも、米軍はわずか6日後に飛行を全面再開。日本政府もこれを追認した。詳しい原因究明もできない段階で、安易な飛行は許されない。日本政府は今度こそ、強い姿勢で米軍や米政府に飛行中止を求め続けるべきだ。」、「沖縄にとどまらない。日本全国が向き合わねばならない問題である。今回の事故を『外国で起きた事故』で済ませてはならない。」
、と主張する。
東京新聞は、「在沖縄米海兵隊所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイがオーストラリア北東部で事故を起こし、地元メディアは『墜落』」と報じた。安全性に強い懸念が残る軍用機だ。飛行継続は許されない。」、「安全性に対する日本側の懸念を完全に無視している。今月十日から予定される北海道での陸上自衛隊との共同訓練を含め、在日米軍はオスプレイの運用を直ちに全面的に中止すべきである。」、「安全性に懸念を残したまま、オスプレイが人口が密集する日本上空を飛び回るようなことが許されていいのか。危険にさらされるのは現在配備されている沖縄県にとどまらない。すべての日本国民が考えなければならない問題だ。」、と主張する。
 南日本新聞は、「懸念されていた事故が、またしても起きた。」、「先週の内閣改造で就任した小野寺氏は再任で、実務の安定性を期待されての入閣といわれている。事故を繰り返す機体が頭上を飛び回る暮らしを強いられる国民の不安を理解し、米側に毅然(きぜん)とした態度で臨むべきである。だが、飛行自粛要請の翌日、普天間飛行場を離陸するオスプレイが確認されている。国民の疑念や不安を置き去りにした在日米軍の運用は容認しがたい。日米安全保障への国民理解を揺るがすことにもなりかねない。」、「米軍のオスプレイは、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地を使用する空中給油訓練にも参加することになっている。訓練は今年中にも始まる見通しで、県上空を飛行する機会は増えよう。今後、県民の関心が高まるのは必至だ。鹿屋市や県は、政府に住民の懸念をしっかり伝えてほしい。場合によっては運用中止の申し入れも辞さない覚悟が欠かせない。」、と主張する。


 また、この間の「事実」を各紙は次のように押さえる。


Ⅰ.朝日新聞

(1)オスプレイは、毎年のように世界各地で大事故を起こしている。2010年のアフガニスタン、12年のモロッコ、米フロリダ、13年の米ネバダ、14年のペルシャ湾、15年の米ハワイ、そして昨年の名護市などだ。
(2)名護市の事故では、日米合意で原則6カ月以内とされる米軍からの事故調査報告書の日本側への提出はいまだない。
(3)これで再発が防げると言われて信じる人はどれほどいようか。米軍は今回、「しっかり安全確認をしている」と説明しているというが、住民の不安がぬぐえるはずもない。
(4)事故機は普天間に駐留し、沖縄の空を頻繁に飛んでいた。宜野座村のキャンプ・ハンセンでは、同型機が民家近くの着陸帯で深夜まで訓練を繰り返している。新たな着陸帯を建設した米軍北部訓練場では、地元自治体の要望に反して、予告なく新着陸帯を使う訓練が7月から始まった。午後10時以降の訓練も頻繁で、地元住民は不安や怒りを強めている。
(5)普天間所属のオスプレイは米軍岩国基地(山口県)、横田基地(東京都)、厚木基地(神奈川県)など、全国の米軍基地や自衛隊駐屯地に飛来したり、訓練したりしている。10日から北海道で始まる日米共同訓練にも6機が参加を予定している。
(6)米空軍が横田基地に配備するほか、陸上自衛隊も佐賀空港への配備を検討している。陸自木更津駐屯地(千葉県)では定期整備が始まった。


Ⅱ.東京新聞


(1)沖縄でも昨年十二月、空中給油訓練中にプロペラが破損し、名護市の海岸に不時着、大破する事故を起こしたばかりだ。米軍は機体自体の原因ではないとして、六日後には早くも飛行を再開したが、短期間のうちに事故を繰り返すようでは、そもそも機体自体の構造に問題があると言わざるを得ないのではないか。
(2)オスプレイは沖縄県側の反対を押し切って、普天間飛行場への二十四機の配備が強行され、訓練などで日本各地に飛来している。延期されてはいるが、米軍横田基地(東京都)に米空軍特殊作戦用機の配備計画もある。陸自にも十七機を導入して、佐賀空港(佐賀市)に配備する計画がある。千葉県の陸自木更津駐屯地では普天間に配備された米軍機の定期整備も始まった。


Ⅲ.南日本新聞


(1)在沖縄海兵隊のオスプレイは昨年12月、名護市の浅瀬に不時着を試みて大破する事故があったばかりだ。米軍は事故から1週間足らずで飛行を再開していた。
(2)今回の事故を受けて、沖縄県の翁長雄志知事が「起こるべくして起きた。とんでもない飛行機だ」と批判したのは十分理解できる。
(3)オスプレイは開発段階から不具合が多く、配備後もモロッコやハワイで死亡事故を起こし、「欠陥機」との指摘もある。米側は機体の安全上の問題を否定しているが、これだけ事故が続けば信ぴょう性を疑わざるを得ない。
(4)昨年の事故の際も、当時の稲田朋美防衛相は安全が確認されるまでの飛行停止と原因究明を米軍に求めた。ところが、事故原因の調査が続く中、米軍が飛行再開の意向を示すと、「原因を完全に特定するには至っていない」とする一方で、「米軍の安全対策は有効だ」と結論づけて容認した。
(5)地元の不安よりも米軍の都合を優先したとしか思えない。国民の政治不信が高まる一つの要因となったことは間違いない。


 2017年8月8日の管官房長官の『運用上必要なものを除いて、国内におけるオスプレイの飛行を自粛するよう申し入れた』、との発言は、オーストラリアでの事故と同様に、大きな衝撃をもたらした。
 オスプレイの背後にある日米同盟の「闇」をあらためて物語る。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-14 06:29 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落。(3)

 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、2017年8月5日、オーストラリア東部の洋上に墜落した。
このことについて、沖縄タイムスは2017年8月8日、「[オスプレイ豪沖で墜落]飛行停止 毅然と迫れ」、と社説で主張した。


 沖縄タイムスは、①「普天間に配備されているオスプレイは計24機。このうち、2機がわずか8カ月足らずの間に墜落事故を引き起こすとは異常である。」、②「事故原因が究明できていないにもかかわらず、在沖米海兵隊は7日、普天間のオスプレイの飛行を始めた。前日に小野寺五典防衛相が日本国内でのオスプレイの飛行を自粛するよう米側に求めたばかりである。」、と二つの疑問を挙げる。
 続けて、沖縄タイムスは、「小野寺氏との会談でシュローティ在日米軍副司令官は普天間からオスプレイを飛行させたことに『安全性を確認した上で、運用上必要だと判断した』と日本政府の自粛要請を事実上拒否した。事故原因も明らかになっていない段階で、言語道断である。政府は米側に『運用上必要だ』と言われれば、口出しできない。」、と最大の疑問を投げかける。そして、安倍晋三政権に向けて、「県民の不安よりも外国軍隊である米軍の言い分を優先しているのである。とても主権国家とはいえない。」、と断ずる。


 沖縄タイムスは、今回の墜落に関わっての問題点(危険性)を、次のように指摘する。


(1)普天間所属のオスプレイが昨年12月、名護市安部の海岸に墜落した事故でも発生から6日後には飛行を再開している。日本政府は今年6月までに米側の事故調査報告書の提出を求めていたが、米側の都合で実現していない。
(2)墜落だけではない。安部の墜落事故と同じ日に普天間飛行場で別のオスプレイが胴体着陸した。6月には米軍伊江島補助飛行場に緊急着陸、その4日後には民間の奄美空港に緊急着陸するなどトラブルが相次いでいる。
(3)安部の墜落事故は飛行機モードで空中給油を受ける際、ローターに給油ホースが接触する危険性が高い構造的な問題があることを示した。
(4)米軍はオスプレイの機体自体に欠陥がないことを強調するが、問題は機体だけではないのである。安部で墜落したオスプレイは夜間の給油訓練というリスクの高い訓練をしていた。重大な事故が起きる危険性を伴う訓練を行っており、これこそが問題である。


 さらに、沖縄タイムスは、「宜野座村城原、東村高江、伊江島補助飛行場ではオスプレイの低空飛行による訓練が激化している。城原では夜間も、集落に近い米軍キャンプ・ハンセン内の着陸帯で粉じんをまき散らしながらの訓練が常態化している。物資つり下げ訓練も行われている。2013年の『オール沖縄』による建白書の原点の一つはオスプレイの配備撤回だった。オスプレイは日米合意を反古(ほご)にして住宅密集地を飛行している。」、と沖縄の日常的な危険と被害を指摘する。


 この上で、沖縄タイムスは、「政府は県民の生命・財産を守るために毅(き)然(ぜん)とした態度で飛行停止を迫るべきだ。」、と要求する。


 確かに、オスプレイは欠陥機であるというだけでなく、米軍が「重大な事故が起きる危険性を伴う訓練を行っており、これこそが問題である。」、という視点が重要である。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-13 06:08 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落。(2)

 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、2017年8月5日、オーストラリア東部の洋上に墜落した。
このことについて、琉球新報は、2017年8月7日、その社説で、「スプレイ豪沖墜落 沖縄での飛行許されない」、と評した。


 琉球新報は、まず最初に、「名護市の墜落時には別のオスプレイが普天間飛行場で胴体着陸し、今年6月には伊江島と奄美大島で不具合が生じて緊急着陸している。これを欠陥機と言わずして何と言おう。危険極まりない機体が沖縄に配備され、沖縄の上空を日常的に飛んでいる。この状態を放置することなどできない。」、断ずる。
「ミスハップ(事故)」としか発表しない発表在沖海兵隊の情報公開のあり方については、「今回の事故でローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官は県側に『豪州の洋上でオスプレイがクラッシュ(墜落)した』と伝えている。ところが在沖海兵隊は「ミスハップ(事故)」と発表している。名護市の墜落事故の時も海兵隊は「浅瀬に着水した」と発表し、防衛省も広報文で「不時着水」との表現を使った。今回も意図的に「墜落」という言葉を避け、事故を矮小化(わいしょうか)している。」、と批判する。
 これに加えて、米軍の対応について、「防衛省は事故を受け、米軍に対して日本国内でのオスプレイの飛行自粛を求めた。当然の対応だ。しかし米軍からの回答はないという。事故を起こした当事者にもかかわらず、返答をしないとは極めて不誠実だ。」、と抗議する。
 さらに、次のように指摘する。


(1)名護市の墜落事故の時も米軍は「機体の安全性には問題がない」として、事故から6日後に飛行を再開した。ところが米側はこの事故の調査報告書をいまだに日本側に提供していない。
(2)事故調査報告書は日米合同委員会で、日本が米国に「公表可能な報告書の写し」の提供を要請し、6カ月以内に提供されることになっている。名護市の事故でも日本政府は6日後に報告書の写しの提供を要請している。6月19日が期限だったが、米側は日本側に提供せず、提供できない理由などの通知もしていない。6カ月以内に提供できない場合、米側は調査終了見込み日を日本側に通知することになっている。
(3)その日米合意もほごにしたまま、現時点でも提供されていない。そして今回、墜落事故が起きた。米軍のやりたい放題ではないか。
(4)調査報告書の遅れは「機体に問題はない」とするこれまでの見解に、疑問符がついているからではないか。2010年のオスプレイ墜落事故の際に「機体に問題があった」と結論付けた調査報告書に対して、空軍上層部が「人為的ミス」と改ざんするよう圧力を掛けていたことがあるため、そう疑わざるを得ない。


 この上で、琉球新報は、「政府関係者は今回の事故の墜落場所について『沖縄でなくて良かった』と安堵(あんど)したという。沖縄で墜落してもおかしくないと思っていたからだろう。」、という日本政府に対して、「オスプレイが沖縄上空を飛ぶことは許されない。日本政府は飛行自粛ではなく、米軍に普天間駐留の24機全てを撤退させるよう求めるべきだ。」、と突きつける。


 確かに、オスプレイは日本上空を飛ぶことは許されない。いや、世界の空を飛ぶことは許されない。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-12 06:11 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

毎日新聞は、「あなたはどこの国の総理ですか」、と掲げる。

 毎日新聞には、「安倍晋三首相(左)に要望書を手渡す被爆者5団体の代表者」の写真が掲載されている。
頭を下げる5人の被爆者団体代表と神妙を装う首相。
この画像が語るものについて、毎日新聞は2017年8月9日、次のように報じた。


(1)長崎への原爆投下から72年の「原爆の日」を迎えた9日、長崎市の平和公園で平和祈念式典が開かれた。平和祈念式典後に長崎市内で安倍晋三首相と面談した被爆者団体代表は、核兵器禁止条約に日本政府が批准しない方針を示していることに強く憤った。
(2)「あなたはどこの国の総理ですか」。長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長を務める川野浩一さん(77)は被爆者団体からの要望書を安倍首相に手渡した際に迫った。「ヒバクシャの願いがようやく実り、核兵器禁止条約ができた。私たちは心から喜んでいます。私たちをあなたは見捨てるのですか」。
(3)面談は式典後に首相らが被爆者団体から援護策などの要望を聞く場として設けられている。通常は冒頭で静かに要望書を手渡すが、川野さんは「子や孫に悲惨な体験をさせてはならないというナガサキの72年間の訴えが裏切られたという思いがあった」と異例の行動に出た理由を話す。川野さんは安倍首相に「今こそ日本が世界の先頭に立つべきだ」とも訴えたが、明確な返答はなかった。
(4)式典に参列した被爆者も、あいさつで条約に言及しない首相への失望を口にした。8歳の時に爆心地から約2・8キロで被爆した嶺川洸(たけし)さん(80)は「核兵器禁止条約が採択され、今が一番大事な時だ。わざわざ東京から来てあいさつするのに、なぜ被爆者に寄り添った言葉を語らないのか」と語った。


 確かに、私たちが「選んだ」日本国総理大臣は、「ヒバクシャの願いがようやく実り、核兵器禁止条約ができた。私たちは心から喜んでいます。私たちをあなたは見捨てるのですか」、との悲痛な叫びをしっかりを受けとめ、そのことを自分の思いに変えることができない人ではなかったのだ。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-11 12:00 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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