2017年 11月 26日 ( 2 )

沖縄-辺野 高江-から-2017年11月26日

 驚きでしかない。
 「【平安名純代・米国特約記者】米海兵隊が主力戦闘機と位置付ける最新鋭ステルス戦闘機F35Bの配備を来年から進め米空軍嘉手納基地に最大で26機、展開する計画を立てていることが25日までに分かった。」、と沖縄タイムス。
このF35は、「同機は米史上で最も高価な兵器として議論を呼ぶ一方で、騒音なども問題視されている。また昨年10月には米本土で飛行中に出火し、最も深刻な『クラスA』に分類される事故が発生している。」、といういわくつきのものである。
 日米両政府は、沖縄の基地負担という言葉を、どうゆう意味で使用しているのか。




 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年11月26日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-地位協定の問題議論 自治権拡大を模索 研究大会、沖縄で初開催-2017年11月26日 06:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「国際人権法学会(シンヘボン理事長)の第29回研究大会が25日、那覇市のタイムスホールで始まった。『琉球/沖縄と人権』をテーマにしたシンポジウムでは、米軍基地が集中することによって平時でも性暴力が頻発しているなど、沖縄の状況と国際人権法の関わりを議論した。事件・事故の捜査や環境調査の障壁となっている日米地位協定の問題点についても意見を交わしたほか、自治権拡大へ地方自治特別法の活用を指摘する意見もあった。全国の研究者ら約130人が参加した。沖縄で開かれるのは初。最終日の26日は名護市辺野古での新基地建設差し止めを求める訴訟に関する発表や、国連人権理事会の日本政府を対象とした普遍的定期審査(UPR)に関する報告もある。」
②「パネル討議では、登壇者がフロアからの質問に答えた。明田川融法政大教授は、第1次裁判権を放棄する日米間の密約に関連し、国連平和維持活動(PKO)で自衛隊が派遣されたカンボジアとの間で、裁判権が日本側にあると取り決めたことを例示。『米国に地位協定改定を訴え、自衛隊を受け入れる国の訴えにも耳を傾けるべきだ』と述べた。」
③「高良沙哉沖縄大准教授は軍事性暴力の被害者について『捜査権の制限など日米地位協定の弊害が被害者にかかってくる。個人に起こる被害が社会全体の被害になるのが、軍事性暴力の特徴だ』と指摘した。」
④「西海真樹中央大教授は日本語と琉球諸語の関係について『琉球諸語の間に相互理解がない点や、最近まで弾圧されていた歴史がある点を考えれば、琉球諸語を方言と呼ぶのはふさわしくない』と語った。」
⑤「大津浩明治大教授は先住民族の問題について『沖縄にルーツを持たない人もいる。より広く地域自治体を【エスニシティ(社会集団)】という言葉でくるむことによって【先住民ではない】と感じている人も含めて共通の土壌がつくれるのではないか』と述べた。」
⑥「大阪大大学院博士課程の宮崎紗織氏は、琉球など併合された民族が独立を主張することについて『併合された民族の場合は植民地独立付与宣言、非自治地域の文脈で言えば外的自決権を行使できる主体となる』と述べた。」
⑦「米ジュゴン訴訟の連邦地裁判決について、大久保規子大阪大大学院教授は『ジュゴンへの配慮は不十分だという裁判所の判断は示されていた』と指摘。その上で事業が進んだことにより『原告適格がない』と判断された点に『十分な対策をしなくても既成事実を重ねれば許されることになる。国際的に見て重大な懸念がある』と批判した。」


(2)沖縄タイムス-辺野古埋め立て海域に「活断層なし」 政府、答弁書を閣議決定-2017年11月26日 05:10


 沖縄タイムスは、「【東京】政府は24日、名護市辺野古の新基地建設海域に活断層があるかどうについて『辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していない』とする答弁書を閣議決定した。海底地盤の安全性については『問題ないものと認識している』とした。」、と報じた。
 また、「辺野古の海底地盤をめぐっては、有識者が将来的に地震を起こす恐れのある『活断層』が存在する可能性を指摘している。また、東村高江の米軍CH53Eヘリ炎上事故に関する答弁書では、県議会が民間地での米軍機の飛行訓練中止や、高江周辺のヘリパッド使用禁止を求めたことに対し、『安全面に最大限の配慮を求める』などとして、訓練を認めた。在沖米軍基地に核兵器を持ち込ませないことをどう担保しているかについては『今後とも非核三原則を堅持する』とした。いずれも糸数慶子参院議員(沖縄の風)の質問主意書に対する答弁。」、と報じた。


(3)沖縄タイムス-F35B、嘉手納基地に最大26機展開 騒音激化・基地負担増へ-2017年11月26日 12:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「【平安名純代・米国特約記者】米海兵隊が主力戦闘機と位置付ける最新鋭ステルス戦闘機F35Bの配備を来年から進め米空軍嘉手納基地に最大で26機、展開する計画を立てていることが25日までに分かった。米本土の部隊を半年単位で日本に巡回配備する部隊配備計画(UDP)に伴い、同基地を拠点に普天間飛行場や他の海兵隊施設も一体運用する。同機は騒音の激しさが指摘されており、沖縄の一層の基地負担増大につながりかねない。」
②「複数の海兵隊筋が本紙の取材に対して明らかにした。即応態勢の強化を目的に、第31海兵遠征部隊(キャンプ・ハンセン)と北部訓練場などでも訓練するほか、アジア太平洋地域でも他国との共同演習にも参加する。」
③「米海兵隊は2014年9月に作成した内部文書『自然資源・文化資源統合管理計画』(米国の非政府組織『生物多様性センター』情報公開請求で入手)の中で、岩国基地(山口県)への同機配備後に『最大で26機を嘉手納に展開する』とし、『「沖縄周辺の既存の軍の空域を飛行し、伊江島補助飛行場でも訓練する。普天間飛行場でも運用し、在沖海兵隊の施設も使用する』と説明している。一方で、同機への機種変更が自然文化資源へ影響を与える懸念も示している。海兵隊は同機の配備を念頭に、嘉手納に格納庫と駐機場を整備し、伊江島補助飛行場に着陸帯訓練場(LHDデッキ)の改修工事、北部の訓練空域の拡大を計画している。」
④「海兵隊は12年に米本土で同機の運用を開始。今年1月には海外で初めて米軍岩国基地に10機を配備。今月9日に3機、15日に3機をそれぞれ追加し、計画していた計16機の配備を完了していた。同機は米史上で最も高価な兵器として議論を呼ぶ一方で、騒音なども問題視されている。また昨年10月には米本土で飛行中に出火し、最も深刻な『クラスA』に分類される事故が発生している。」
⑤「F35B レーダーに探知されにくい高度なステルス性能を持つ最新鋭戦闘機。それぞれ特徴が異なるA(空軍)、B(海兵隊)、C(海軍)の3タイプある。Bは、攻撃機AV8ハリアー垂直離着陸機の後継機で、短距離離陸や垂直着陸が可能。Cは空母艦載型。既にBは米軍岩国基地に配備されており、今年6月には訓練で嘉手納基地へ初めて飛来し騒音が激化した。」


(4)沖縄タイムス-【解説】F35B 沖縄一帯で訓練展開 オスプレイと運用も-2017年11月26日 12:29


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米本国の部隊を日本に巡回配備する米海兵隊の部隊配備計画(UDP)に2018年から最新鋭ステルス戦闘機F35Bが加わり、米空軍嘉手納基地を拠点に沖縄一帯で訓練を展開することが分かった。複数の米海兵隊筋は来年3月までに開始予定と話す一方で、部品不足で訓練計画の22%が実行できないなどの問題も抱えていることから、最大26機を展開する時期については流動的との見方も示す。」
②「部隊配備計画では、嘉手納を拠点に、米本土の部隊がキャンプ・ハンセンの第31海兵遠征部隊とともに北部訓練場や米軍伊江島補助飛行場で激しい騒音を伴う離着陸訓練を実施するほか、普天間飛行場に配備されているオスプレイとの総合運用も視野に入れている。」
③「海兵隊はこれまで、17年から岩国基地(山口県)にF35B飛行隊を常駐させる計画を発表する一方で、沖縄県内での訓練に関する詳細は明らかにしてこなかったが、アジア太平洋地域での基地運用計画「戦略展望2025」では、名護市辺野古の新基地建設予定地を含む中部訓練場(キャンプ・シュワブとハンセン)上空の空域をF35Bが使用できるようにする重要性を指摘。日本側と同空域の拡大を協議すると明記していた。」
④「米国防総省は公表した17会計年度(16年10月~17年9月)国防予算に、嘉手納に同機の関連施設建設費約2600万ドル(約30億円)を計上。海兵隊が主力戦闘機と位置付ける同機の沖縄での展開に備えた環境整備を進めている。」
⑤「嘉手納では、戦闘機F22などの外来機に加え、今月から空軍仕様のF35Aが12機、暫定配備されているが、来年からは、これに海兵隊仕様のF35Bが加わり、暫定配備がさらに常態化していくことになる。」(米国特約記者・平安名純代)


(5)沖縄タイムス-在沖海兵隊の中核的存在、第31海兵遠征隊とは?-2017年11月26日 12:03


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「【平安名純代・米国特約記者】F35Bの米本土からの移駐部隊と訓練をともにすることが想定される在沖海兵隊の中核的存在の第31海兵遠征隊(31MEU)は、米海兵隊がアジア太平洋地域で唯一、常時前方展開している即応部隊。隊員は約2200人で、金武町にあるキャンプ・ハンセンに司令部隊に大砲や水陸両用車両などを装備する歩兵大隊、航空戦闘部隊、戦闘兵たん大隊の四つの部隊で構成し、特殊作戦から災害支援まで幅広い任務をこなす。」
②「部隊配備計画(UDP)は、約6カ月ごとに米国に常駐する部隊を派遣し、北部訓練場内のジャングル戦闘訓練など沖縄での訓練に加え、アジア太平洋地域で、非戦闘員の救出作戦や有事を想定した空港などの重要拠点の確保や自然災害時の人道支援訓練など、域内諸国との共同演習を行う。」
③「沖縄への部隊配備計画(UDP)に参加した経験を持つ米カリフォルニア州ペンデルトン海兵航空基地に所属する海兵隊員は、『キャンプ・ペンデルトンからキャンプ・ハンセンへ派遣され、約3カ月間をジャングル戦闘訓練センターなどで訓練した後、韓国で1カ月訓練。沖縄に戻り本島周辺や沿岸部で訓練を1カ月こなした後、シンガポールやタイなどで実質されたコブラ・ゴールドなどの共同演習に約1カ月間参加。計6カ月コースだった』と話した。」


(6)沖縄タイムス-米海兵隊員、酔って消火剤噴射 禁錮90日と減給-2017年11月26日 09:46


 沖縄タイムスは、「【ジョン・ミッチェル特約通信員】米軍嘉手納基地で2015年5月29日、酒に酔った海兵隊員が格納庫に侵入、泡消火剤を噴射させた事件で、この海兵隊員が1年後に禁錮90日間と減給の処分を受けていたことが、本紙に開示された米海軍捜査局(NCIS)の捜査報告書で分かった。事件によって発がん性物質を含む泡消火剤1500リットルが噴射され、一部は基地外にも流出したが、日本側に通報されなかったことが分かっている。米海兵隊員は普天間飛行場に司令部を置く第1海兵航空団所属。噴射によって格納庫には約1千万円の損害があったという。」、と報じた。


(7)沖縄タイムス-性暴力、全米軍に蔓延 2016年男女1万4900人被害-2017年11月26日 09:50


①「【ジョン・ミッチェル特約通信員】性暴力の蔓延(まんえん)は米軍全体で問題になっている。国防総省の推計によると、2016年には軍人の女性8600人、男性6300人の計1万4900人が性被害を受けたとみられる。」
②「対処は甘く、全事件のうち軍事法廷で判決に至ったのは約9%。性犯罪以外の軽い罪に問われることがあり、性犯罪で裁かれたのは約4%にとどまる。逆に、裁判を受けず除隊した容疑者は133人に上った。」
③「被害者の約9%は捜査が終わるまで協力を続けることができなかった。平均4カ月余りかかる捜査の長さも理由の一つだと考えられる。さらに、約60%が被害を申告した後に仲間外れや昇進遅れなどの報復を受けたと訴えている。」
④「現在、個別の事件を裁判にかけるかどうかは基地の司令官が決めている。この決定権を軍の弁護士に委ねる立法を米国の議員が提唱しているが、軍は拒否している。」


(8)沖縄タイムス-在沖米軍 7歳少女も性被害に 未成年標的6件 2015年-2017年11月26日 09:54


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「【ジョン・ミッチェル特約通信員】在沖米軍構成員による未成年への性犯罪が2015年、少なくとも6件発生し、7歳の少女も被害に遭っていたことが本紙が情報公開請求した米海軍捜査局(NCIS)の捜査報告書で分かった。」
②「少女の事件が起きたのは6月、うるま市の米軍キャンプ・コートニー内の集合住宅の廊下。海兵隊曹長の男が軍人の娘である少女のドレスをまくり上げようとし、吐くまで口に指を突っ込んだ。少女は男と面識はなかったが、発生時に遊んでいた友人と一緒に捜査官に示された写真で男を特定した。男は第3海兵師団司令部所属。裁判になる前の司法取引で除隊を約束、さらに任務中の飲酒と非行を認め、減給6カ月の処分を受けた。代わりにわいせつ行為の処罰を逃れ、曹長として除隊したため恩給なども受け取れることになった。」
③「県内では15年、ほかに未成年への性暴力が5件あった。このうち4件では海兵隊員4人が除隊になる前に120日~2年間投獄された。残る1件はポルノ関連容疑だったが、司令官がNCISの捜査結果を『根拠がない』として退けていた。NCISは海兵隊や海軍構成員の犯罪を捜査対象とするため、空軍や陸軍の分は件数に含まれていない。」




by asyagi-df-2014 | 2017-11-26 20:46 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第77回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。




 今回の三上さんの報告は、「埋め立て資材の海上運搬始まる~抵抗する国頭村の人々」。
報告は、「翁長知事は、あらゆる手段で新基地建設に反対すると言っていたが、現状は公約違反、言行不一致だ」、という新しい情勢について。
 どういうことなのか。
 三上さんは、このように報告する。


(1)「辺野古・高江で体を張って闘ってきた現場のリーダーである山城博治(ヒロジ)さんが、初めて公の場で沖縄県知事を批判した。そして港湾の使用許可を直ちに撤回してほしいと厳しい表情で迫った(11月15日)。」
(2)「ついにヒロジさんが、翁長さんの姿勢に疑義を唱えた。それは県内で大きく報じられた。『オール沖縄が内部分裂している』と叩きたい人たちが県内外にうようよしている中で、知事批判は相手の思うつぼだ。百も承知だ。だからこそ、自らの首を絞めることになりかねない不用意な意見は慎もうと、ヒロジさんもこれまで相当、言葉を飲み込んできた場面もあったと思う。それがついに県庁に許可の撤回を求めて乗り込む事態になった。」
(3)「今年春から始まっている辺野古の海の埋め立て工事。ゲート前の座り込みで抵抗は粘り強く続けているものの、毎日200台を超えるダンプカーでの搬入が続いている。それでも防衛局は遅れた建設工程の巻き返しを図ろうと、反対運動が展開される陸路とは別に、国頭村の『奥』という北端の港や、『本部』という西海岸の港、いずれも辺野古からは相当距離が離れている二つの港から直接石材を搬出する作戦に出た。奥は、那覇から休まずに車を飛ばしても2時間半かかる。辺野古からでも1時間半、本部港も那覇から1時間半、つまり反対運動の参加者が、辺野古と港の両方に通おうとしても距離的には厳しい場所である。」
(4)「問題は、港湾使用申請の目的が『辺野古の埋め立てに使用する石材の搬出』とはっきりしているものを、なぜ沖縄県知事が許可してしまったのかという点だ。辺野古新基地建設は認めないと明快な公約で圧倒的な支持を得て、政府と対峙し、裁判も辞さず、あらゆる抵抗を実践してきた翁長知事だ。なぜあっさり港湾使用の手続きは通したのか。県庁には県民からの苦情の電話が相次いだ。県の幹部は想定以上の反発を受け『不安や疑念を与えたことをお詫びしたい』と述べた。そして県民の反応を読み誤ったことを率直に認めたという。」
(5)「県は、不平等な取り扱いを禁じている港湾法の趣旨からも『申請手続きの内容に問題がない限り不許可にするのは難しかった』として県民に理解を求めている。しかし連日体を張って、1台1台建設につながるトラックの搬入を止めている人々の姿を県民は見ている。『許可は仕方がなかった』という県の説明は同調できるものではない。ヒロジさんは、翁長知事が普段よく政府を批判するときに使う言葉を引用しながらこう言った。『知事は【なまからど。まきてぃーないびらんど(今からだ、負けてはいけない)】と言ってきたが、このままでは【話くわっちー(話のごちそう)】は知事の方だ。おしゃべりはやめて、(撤回など)やることをやってほしい』」
(6)「これに対して翁長知事は別日の会見で、『公約違反という批判は当然、率直な気持ちとして出てくるのは否めない』と認めたうえで、『県民からの声は私の気持ちと全く一緒だ。私自身、忸怩たるものがある』と応じた。そして港を往来する大量のダンプカーの騒音や粉じんなど、現場の港では新たな環境破壊を招く事態が発生しているという理由から、更新を認めない、または許可の撤回も視野に検討していることを明らかにした。」


 「反対運動のリーダーと、行政上のリーダー。」
どう考えても、緊張関係しか思いつかないのだが。
  このむずかしいこのことについて、三上さんはこう語る。


(1)「反対運動のリーダーと、行政上のリーダー。沖縄では常に2種類のリーダーが必要だった。アメリカ軍の統治という植民地同然の沖縄の戦後史の中で、土地が奪われ、人権も奪われ、黙っていたらさらに苦境を強いられる沖縄の人々を守るために、逮捕・監禁などの米軍の弾圧も覚悟で抵抗運動を率いるリーダー、これは当然なくてはならない存在だった。」
(2)「しかし一方で、憲法も適用されない中、県民生活はすべて軍政を強いる米軍の胸三寸で決められてしまう。反対反対と叫んでいても条件交渉はできない。米軍と折り合いをつけていくリーダー、うまく交渉して相手を立てながらも実をとってくる政治力のあるリーダーも不可欠だった。」
(3)「そういう意味において、翁長雄志と山城博治という、世代も同じで、たまたま同じ法政大学出身のこの二人のリーダーは、2014年からの島ぐるみの闘いをけん引した沖縄の指導者として共に歴史に名を遺すだろう。それぞれの役割は違う。でも、島が戦場にされ、戦後も復帰後も戦争に使われ続け、県民の生活も命も軽視され続けてきた島の悲哀を自分たちの世代で変えてみせるという覚悟、手腕、人徳に天賦の才、ともに備わっている稀有な存在だ。」
(4)「人前でこの二人が握手をし、懇意に語り合うような場面こそ見たことはないが、立場や手法は違えど、お互いの健闘を称えあい、言葉で確認しなくても同じ痛み、同じ志を誰より共有してきたというある種の信頼関係が二人の間に横たわっているのではないかと私は思っている。それだけに、どちらかがもう一方を批判するような形になると、ただただ痛む胸を押さえながら家族の諍いを見守っている子どものような所在なさを感じてしまうのは、私だけではなく、きっと多くの県民もそうなのではないだろうか。」
(5)「一方でこうも思う。ヒロジさんは、そんな揺らがない信頼関係が底辺にあるからこそ、県民の不安や疑念など率直な気持ちを伝えるのも自分の役目なのだと判断し、知事に直接意見をしたのかもしれない。沖縄の政治のリーダーと、抵抗する現場のリーダーというのは、時に拮抗し、火花もちらし、しかし簡単に亀裂が入るほど貧弱ではない共有しあう太い根に支えられていて、両輪で県民をけん引していくものなのかもしれない。馴れ合いではなく、相手が軌道を外れたかと予感したらサッとイエローカードを掲げる。結果的に緊張感の中で補完しあう関係でいることが、沖縄県民にとってもっと頼もしいことなのだと解釈することもできる。2カ所の港湾からの石材輸送が本格化する前に、知事が次にどういう手を打つのか。答えはそこに示されるだろう。」


 三上さんは、今回の映像について、こう語りかける。


(1)「ところで現場は待ったなしである。国頭村奥の漁港が使われる初日、沖縄本島北端に駆け付けられる人は多くはないだろうと予想していたものの、国頭村のお年寄りたちを含む多くの村民が港に馳せ参じていた。辺野古や高江の阻止行動の現場では見たことがない人たちが大勢いた。早朝から心配そうな顔で集まったおばあたち。目に涙をためて防衛局に抗議する姿もあり、その毅然とした態度に胸が熱くなった。」
(2)「国頭村は、県都・那覇から最も遠い過疎の地域ではあるが、米軍基地との闘いには歴史がある。安田の実弾射撃演習阻止闘争、安波のハリアーパッド建設阻止闘争、 いずれも住民が粘って止めてきた経験を持っている。簡単にあきらめてはいけないし、結果は出せるのだと信じる強さを持った村民なのだ。メガホンを持った村内に住む農家の男性はこう言った。『先の大戦では、自分たちを守ると信じていた軍隊に多くの人が殺されました。この国頭村でもですよ。あんたなんか、よく聞けよ! あんたらが、軍隊が、自衛隊が、県民を守るなんて思ってる人は一人もいないですよ! ここに基地ができるということは真っ先に攻撃されるということでしょう? 広島にも原爆が、長崎にも原爆が落ちました。全部軍事施設があるから狙われたんですよ。何もないこの緑の山にミサイル打ち込む馬鹿はいない』」
(3)「山原(やんばる)と呼ばれる山々。多様性豊かな動植物と清流を抱くこの静謐な森は、沖縄戦の年、中北部から逃げてきた避難民と敗残兵十数万人が身を隠そうと山麓にひしめく地獄の森と化した。米軍に包囲されて山を下りられず、食料を奪い合い、栄養失調で餓死者とマラリア死者が続出した。しかし日本軍の敗残兵が一部抵抗を続けているため、米軍は山をめがけて砲弾を浴びせ、山は焼かれ、多くの住民が犠牲になった。そんな窮地にあった住民をさらに震え上がらせたのが、敗残兵たちの暴力だった。捕虜になるのはスパイだと言って、米軍の収容地に入った住民が各地で虐殺された。食料を要求したのに拒んだと言っては殺された。このあたりの話は、今製作している次作の沖縄戦のドキュメンタリー映画の中で紹介することになるのだが、私は今まさにそういう証言を直接聞いているので、北部の戦争を知る人たちが軍隊は信じられないのだと叫ぶ気持ちは痛いほどわかる。『皆さんを守るための基地ですよ』という言説に乗っかってもう一度痛い目にあってたまるか。そう思って当然だと思う。」
(4)「動画の後半は、今、まさにその貴重な亜熱帯の森を遠慮なく切り崩してサンゴの海を埋めようという狂気の自然破壊が進む国頭の採石場の様子である。空撮で、ここまでえぐり取られた森を見たら、『やんばるを世界自然遺産に』なんて言葉をもう簡単に吐けなくなるだろう。世界自然遺産の認定を求める人たちは、国際組織にタイトルを乞うより前に、まず現状の自然破壊を止めに入るべきだ。」
(5)「基地建設を止めたい人々は、辺野古ゲートでトラックを止めるだけではなく積み込んで出発する時点でも止めようと、週に2回、採石場前で抗議行動をしているのだが、仕事を邪魔される運搬業者たちのいら立ちもピークに達していた。一台でも止めたい、数時間でも遅らせてゲート前の負担を減らしたい、必死の思いで抵抗する人たちが行く手を阻む。業者たちもまったくわからない人たちではないが、仕事のノルマがこなせないとなると死活問題だ。『だから一緒だよ、みんな基地は反対! 兄さんたちの気持ちもわかる。なんで人が落ち着いて話そうとしているのにケンカ腰で来るわけ? 僕は優しく言ってるでしょう? 僕たちも生活がかかっている。わかるでしょう?』。そう話す運転手は一瞬強面だが、目上の人に対して精いっぱい丁寧な言い方をしているのも伝わってくる。現代の都会っ子に比べ、沖縄の若者たちは地域のつながり、先輩後輩のつながりをとても大事にしている。どんなに納得できなくても、年上の人に敬意を表する態度までかなぐり捨てることはめったにない。」
(6)「仕事をしたい若者と、埋め立てを止めたい高齢者たちが衝突する。同じ県民同士が火花を散らすという、見ていて苦しい場面ではあるが、そんな中にも私は彼らの思いやりの一端を感じる。反目し合いたくなんかないんだ、もっと別の方法でやってくれという叫びを聞く思いがする。」


 最後に、三上さんは、このように続ける。


(1)「だから、私はこの場面をリスクも大きいインターネットに上げる。この場面だけ無断で切り取って反対運動を揶揄したり、トラックの運転手たちを悪役にしたり、そういう心無い人たちにこの動画を使われたくない。ダウンロードは絶対にやめてほしい。しかしだからと言って、こんな北部の山の中で起きていることはニュースでは流れない。ここまで理不尽で見過ごせない出来事が、なかったも同然にされてはたまらない。」
(2)「大事な沖縄県民の山を削り、子や孫のために豊かなまま先祖が残してくれた海を埋める。それも誰のためなのかわからないことで県民が衝突させられている。こんな残酷な構図を作っておいて、私は知らないとほっかむりして生きている人々に、この動画を見せなければならない。また無意識で加担している人々にも、この動画で見せることで、知ってほしい。これおかしいでしょう? という声を全国各地から上げてもらい、それを大きくしていくこと以外に、わたしには問題解決の道が見えない。」


 三上さんは、こう訴える。


 「だから、私はお願いする。動画を悪用しないでください。そしてどっちが悪いとか、自分を安全な丘の上に置いて、謎の上から目線でジャッジするのだけはやめてください。ネットで一場面だけ見て「どっちもどっちだね」なんて愚にもつかないコメントをする人々のために、苦労して撮った動画をタダでお見せしているのではない。この理不尽な状況はどこから生まれ、どうしたら解決できるのか。その構図を読み解いて前に進めるエネルギーを持った多くの良識あるネットユーザーの力を信じて、この凡人の脳では答えが引き出せないからこそ、この映像を共有しながら一緒に考えてくれませんか、と助けを求めているのだ。」

 「伝えても、伝えても、沖縄の状況を好転させることができない自分の力のなさを認めよう。それでもまだ、私は全国の人々が意図的に沖縄を黙殺しているとは思わない。伝え方が足りないのだ。届け方が甘いのだ。だから、この文章にたどり着いてくれたあなたにありがとうと言いたい。あなたの善意を信じて、祈るように今回も動画と文章を届ける。」



 確かに、「だから、この文章にたどり着いてくれたあなたにありがとうと言いたい。あなたの善意を信じて、祈るように今回も動画と文章を届ける。」、との三上さんに私も続きたい。
 やはり、「先の大戦では、自分たちを守ると信じていた軍隊に多くの人が殺されました。この国頭村でもですよ。あんたなんか、よく聞けよ! あんたらが、軍隊が、自衛隊が、県民を守るなんて思ってる人は一人もいないですよ! ここに基地ができるということは真っ先に攻撃されるということでしょう? 広島にも原爆が、長崎にも原爆が落ちました。全部軍事施設があるから狙われたんですよ。何もないこの緑の山にミサイル打ち込む馬鹿はいない」、の声を届けていく。




by asyagi-df-2014 | 2017-11-26 07:29 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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