2017年 11月 10日 ( 2 )

沖縄-辺野 高江-から-2017年11月10日

 「米紙ワシントン・ポスト(電子版)はトランプ氏の訪日を『日本のリーダー安倍首相 トランプ大統領の忠実な相棒を演じる』と報道。」「ニューヨーク・タイムズ(同)は『トランプ氏は、日本が米国の兵器を購入することで自衛が可能になると伝えた』との見出しで、日本が米国製の高額な兵器を購入することで、貿易と安全保障の関係を明確に打ち出せると述べたと報じた。」(琉球新報)。
 はっきりしたのは、「同盟国」という国からの「兵器トップセールス」に嬉々として従う「目下の同盟国」首相の痛ましい姿である。
 その結果の一例が、地方自治を預かる者に、「本意ではないが、私のできることは、せいぜいここ(マスコミの前)で気持ちをぶちまけるしかないのではないか」、と慨嘆させてしまう実態である。




 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年11月10日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-うるま市議会、降下訓練に4度目抗議決議 中止求める-2017年11月10日 06:20


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【うるま】うるま市議会(大屋政善議長)は9日、臨時会を開き、津堅島訓練場水域でのパラシュート降下訓練中止を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。降下訓練に対する抗議決議は今年4回目。可決後、市議らは中嶋浩一郎沖縄防衛局長を訪ね、相次ぐパラシュート降下訓練に抗議し意見書を手交した。抗議には上間秀二副市長も同席し、市としても『(訓練の常態化で)市民や漁業関係者に危険性が高まることが懸念される』と訓練見直しや中止を求めた。」
②「中嶋局長は、政府が津堅島訓練場水域での降下訓練を容認していることに言及した。防衛局の米側への対応について『(中止まで)踏み込んではいないというのが実態』と答え、事前通知の改善などに取り組むと述べるにとどめた。」
③「この日の臨時会は、東村高江での米軍ヘリ炎上事故についても抗議決議と意見書を全会一致で可決した。」



(2)琉球新報-辺野古新基地、本部からも石材海運 防衛局、護岸工事加速狙う-2017年11月10日 06:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【本部】米海兵隊普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る新基地建設で、国頭村奥港に加えて本部港(塩川地区)からも護岸建設のための石材が海上運搬されることが9日、分かった。国頭村と本部町の採石場から近い港から搬出する。沖縄防衛局は、6日に新たに着工した『K1』と『N5』の護岸建設工事で、陸上の阻止行動を避ける形で奥港と本部港から大量に石材を海上輸送し、基地建設を促進させる狙いがある。」
②「本部港から石材を搬出する業者が、港湾用地の使用許可申請を10月12日に本部町に提出し、町が17日付で許可した。米軍キャンプ・シュワブの傾斜堤護岸建設の石材仮置き場(荷さばき地)として使用する。荷さばき地は2カ所あり、それぞれ6880平方メートルと275平方メートルで、期間は11月1日から30日まで。1カ月ごとの使用許可申請が必要。」
③「本部港は県管理の港だが、県が本部町に管理を委託している。岸壁の使用許可申請も業者から10月中に本部町に提出されているが、町は岸壁の使用許可申請は従来必要ないとし『(今回の)岸壁の使用は認める』と説明した。」
④「これまで石材は本部町と国頭村から陸路でシュワブに運ばれていたが、台風や基地建設の反対運動などで工期が大幅に遅れている。県も石材搬出のため国頭村奥港の岸壁使用を9月上旬に許可しており、海上輸送が始まることで基地建設が加速するとみられる。」


(3)琉球新報-「兵器トップセールス」の発言は トランプ大統領訪日に思う-2017年11月8日 09:53


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米首都ワシントンDCはすっかり秋めいている。朝晩と日中の寒暖差が大きく、出掛ける時に何を着るか悩む。だが、それ以上に気になるのが、沖縄、日本、米国の間の温度差だ。トランプ大統領がアジア歴訪の最初の訪問国、日本での日程を終えた。安倍晋三首相とのゴルフや高級レストランでの会食など手厚い『接待』で、日米の蜜月ぶりをアピールした3日間。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に最大限の圧力を高めること、そして『』辺野古が唯一の解決策』と確認した日米首脳会談の当日、沖縄防衛局は名護市辺野古の新基地建設予定地で、新たな護岸工事に着手した。」
②「米紙ワシントン・ポスト(電子版)はトランプ氏の訪日を『日本のリーダー安倍首相 トランプ大統領の忠実な相棒を演じる』と報道。ニューヨーク・タイムズ(同)は『トランプ氏は、日本が米国の兵器を購入することで自衛が可能になると伝えた』との見出しで、日本が米国製の高額な兵器を購入することで、貿易と安全保障の関係を明確に打ち出せると述べたと報じた。」
③「『彼(安倍首相)は米国から多くの軍事装備を追加購入することで、空中で(北朝鮮のミサイルを)撃墜できる』『日本の総理大臣は大量の軍事装備を購入するだろうし、そうすべきだ』。安倍首相の隣でそう発言したトランプ氏の『兵器トップセールス』の言葉は、日本でどう受け止められたのだろうか。」
④「普天間飛行場に5年前に強行配備された垂直離着陸輸送機MV22オスプレイは、低周波音を響かせながら県民の頭上を飛び、この1年間で2度墜落した。そのオスプレイを陸上自衛隊が導入し、佐賀空港へ配備する計画がある。米空軍は最新鋭ステルス戦闘機F35の12機を嘉手納基地に半年間、暫定配備。さらなる騒音被害が懸念される。米政府監査院(GAO)も深刻な部品不足や高額な費用面で運用に警鐘を鳴らす同機を、防衛省は2018年度予算の概算要求で881億円をかけ、6機を取得する計画だ。」
⑤「『沖縄の人々は沖縄戦の体験から【基地があるから狙われる。危険だ】と考えるが、米国では【同盟国を守っている】という考え方が多い。その違いをどう捉えるか』。米国の外交軍事政策や基地問題を研究するアメリカン大のデイビッド・バイン准教授に問うと、こう答えた。『この認識の溝は、世界中にある米軍基地について、米国民がしっかり考えてこなかったことを反映している。例えば、沖縄の人々の立場に立って、基地が自分の地域にある人々のことを考えていないからだ』。この指摘は、沖縄の基地問題に無関心な日本国民にも当てはまる。新たな米軍基地を造らせ、多額の米製兵器を購入し、この国は、どこへ向かうのだろうか。」


(4)沖縄タイムス-【オスプレイ事故率】「県民耐えられない」翁長知事、政府対応にいら立ち-2017年11月10日 08:10


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米海兵隊輸送機MV22オスプレイの10万飛行時間当たりの重大事故(クラスA)発生率が9月末時点で3・27と、普天間飛行場配備前の12年9月末に比べ約2倍に跳ね上がったことに、翁長雄志知事は『沖縄県民からすると耐えられない』と不快感を示した。日本政府がオスプレイの『安全性』を強調してきた根拠が崩れた形に『沖縄はほとんどの(日本の)安全保障を支えているのに、一番ないがしろにされている』と批判した。那覇空港で記者団の質問に答えた。」
②「普天間配備直後の13年1月に県内の市町村長や県議らが配備撤回を安倍晋三首相に要請した東京行動に触れ、『オスプレイの事故率が高いことは十数年前からデータで把握している。だから、東京で撤回を求めた。政府はそれを無視した。日本の安全保障のために沖縄が全て押さえ込まれている』と話した。『事故は整備ミスや操縦ミスで発生することもあり、事故率のみで安全性を評価するのは適当ではない』という日本政府の主張にはいら立ちを見せた。『政府が正しいか、そうでないかを皆さんで判断してほしい。われわれがどう話しても大きな力が押しつぶして、通り過ぎていく。国家の品格を信じられなくなるくらいさみしいことはない』」
④「日本全体の問題として認識されないことには『難しさ、壁、溝を考えると本当にいつもこれを丸めたい気持ちになる』と手に持った資料を丸め、悔しさをにじませた。県民の要請、抗議が政府に届かない状況だけに、今後の対応を問われると『本意ではないが、私のできることは、せいぜいここ(マスコミの前)で気持ちをぶちまけるしかないのではないか』と嘆いた。」


(5)沖縄タイムス-辺野古新基地:車両121台で資材搬入 座り込み40人を強制排除-2017年11月10日 13:53


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設工事で沖縄防衛局は10日午前、2回に分けて工事車両121台で米軍キャンプ・シュワブの専用ゲートから資材を搬入した。砕石や鉄筋などの資材のほか、ショベルカーも運んだ。コンクリートミキサー車は21台入った。」、と報じた。
 また、「ゲート前では市民ら約40人が座り込んで抗議行動を展開したが、県警機動隊が排除して、歩道に押し込めた。シュワブに隣接する大浦湾は波が高く、海上で予定していた抗議船やカヌーでの抗議行動は中止された。」、と報じた。


(6)沖縄タイムス-小野寺防衛相「しっかり受け止める」 米側に配慮求める【オスプレイ事故率】-2017年11月10日 12:55


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「小野寺五典防衛相は10日の記者会見で、米海兵隊の輸送機MV22オスプレイの重大事故率が米軍普天間飛行場配備後最悪となったことに『しっかり受け止める必要がある』と述べた。」
②「昨年12月の沖縄県名護市安部での墜落など、1年間で3件の事故が発生していることから、『国内に不安の声があることは十分承知している。運用に際しては安全面の確保が大前提だ』と述べ、米側に最大限の配慮を求める考えを示した。」
③「小野寺氏は事故率が上がっている背景について、米側の説明として、オスプレイが高度な能力を有していることから最も過酷な飛行環境で運用され、以前の航空機が対応できなかった多くの任務に投入されていると強調した。一般的に航空機は開発から時間がたつにつれ、事故率が下がるのではないかとの指摘には、『装備についてはある程度円熟した形だと思う。ただ、その分、新しい任務を付与する訓練を行っているのではないか』との見解を示した。」


(7)沖縄タイムス-「町民の怒り爆発寸前」嘉手納町議会、米軍F35の即時撤退を決議-2017年11月10日 11:05


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県の嘉手納町議会(徳里直樹議長)は10日午前、臨時議会を開き、米軍嘉手納基地にF35A戦闘機が暫定配備されていることに『断固反対』と強調し、訓練中止と即時撤退を求める抗議決議案と意見書案を全会一致で可決した。」
②「抗議決議と意見書は訓練が始まった7日以降、町内では100デシベルを超える激しい騒音が繰り返し測定され、町民の苦情が増加していると指摘。日常生活を破壊されている町民の怒りは爆発寸前に達していると訴えた。」
③「町民は墜落の恐怖を感じているほか、嘉手納高校では授業が断続的に中止に追い込まれるなど教育環境の悪影響も出ており、早急に改善するよう訴えている。また、F35Aは6カ月に及ぶ暫定配備にとどまらず、将来的な配備の可能性も指摘されていることを挙げ、『拠点化に向けた布石との見方もあり、町民に動揺が広がっている』と、さらなる騒音被害の拡大に懸念を示した。」
④「抗議決議と意見書はこのほか、全ての外来機の飛来禁止と騒音防止協定の順守、航空機騒音の軽減、嘉手納基地の負担軽減を速やかに実施し、機能強化を中止することを求めている。嘉手納町議会の抗議・要請団は10日午後1時に沖縄防衛局を訪れ、意見書を中嶋浩一郎局長に手渡す。14日には外務省沖縄事務所と第18航空団などにも訪れる。」


(8)琉球新報-翁長知事と米大使、初会談へ調整 13日にも、県庁で-2017年11月10日 10:37


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米国のハガティ駐日大使が、沖縄県を訪問して翁長雄志沖縄県知事と会談する方向で調整が進められていることが10日、分かった。」
②「翁長知事は、辺野古の新基地建設に県民の多くが反対していることや、東村高江での米軍ヘリ炎上といった事故が相次いでいることなど、沖縄の過重な基地負担の現状について訴える見通し。」
③「関係者によると、ハガティ大使は13日にも沖縄を訪れ、県庁で知事と会談する方向で調整が進められているという。翁長知事は、6日の日米首脳会談で両首脳が名護市辺野古の新基地建設工事を推進することを改めて確認したことについて『大変不満で残念』と批判しており、移設に反対する考えもハガティ大使に伝えるとものとみられる。ハガティ大使は8月に日本に着任した。10月に沖縄県を訪れたが、両者の会談は実現しなかった。」




by asyagi-df-2014 | 2017-11-10 18:11 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第76回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。




 今回の三上さんの報告は、「弾薬庫・十五夜・選挙~宮古自衛隊問題続報」。
報告は、「9月頭、弾薬庫の場所が絞られたという情報が入った。宮古島の人々が最も懸念している、陸上自衛隊ミサイル基地部隊の核ともいえる弾薬庫。有事には真っ先に標的になり、事故があれば死傷者がでて、そして将来的には核兵器さえ持ち込まれかねない弾薬庫だ。それは、宮古島の中心街から最も遠い南東の保良集落にある採石場「保良鉱山」だった。場所は、宮古島観光に来た人の大半が訪れる景勝地「東平安名崎」の付け根にあるといえばわかるだろうか。今回はドローンを使って場所を説明しているので動画を見てほしい。なんせ、水脈から外れているし、過疎地だし、地権者が絞られていて、しかも鉱山の所有者の一族には自衛隊協力会のメンバーがいるということで、これはどうやら詰まれてしまった感がある。」、と始まる。
 報告は、続く。


(1)さっそく、現地に撮影に行く。案内は、ミサイル基地に反対する元県議会議員で市長候補でもあった奥平一夫さん。10月22日の宮古島市議会議員選挙では自衛隊反対派を何人通せるかが勝負。そんな選挙を控えた超多忙の中、快諾してくださった。現場で、保良出身で市議選の候補者である下地博盛さんと合流。静かで穏やかな物腰の紳士だが、瞳の奥にやり場のない怒りと深い憂いを湛えていた。それはそうだろう。彼が生まれ育った静かな集落のすぐ横に、自衛隊の弾薬庫が来る。彼の家からはなんと150mほどしか離れていないというから、それは生活環境が激変する一大事だ。「立候補は前から決めていたが、地元が自衛隊候補地になってしまって自分の選挙どころではなくなった。これで余計に負けるわけにはいかなくなった」と苦しい表情を浮かべた。

(2)現地に立ってみて、山ひとつ分下くらいにえぐられている地形と、そのスケールに圧倒された。すでに掘り込まれているわけだから、地下施設を作るにはもってこいだ。しかも琉球石灰岩で掘削しやすいという。平坦な宮古島では横穴が掘れる場所はとても貴重だ。ほかにも、旧予定地の大福牧場の設計図には実弾射撃場があったから、それもこちらに来るのだろう。司令部や、燃料や武器・弾薬を備蓄する施設なども地下に作ると相場が決まってるというから、ここならあとは横に掘り進むだけ。首里の司令部壕のように縦横無尽な横穴が、この鉱山跡に掘られるさまが頭に浮かんでくらくらした。リアルすぎる悪夢だ。「そんなものを造られたら、集落の発展もあり得ない。地域は衰弱・衰亡してしまう」。そう焦りを口にするのは下地博盛さんだけではない。保良を歩いて、住民がいかに困惑しているか、当然だが痛いほどわかった。しかし、小さな地域である。みんなカメラは勘弁してほしいという。選挙前で、めったなことを言えないというピリピリした空気が伝わる。そんな中でようやく協力していただいた男性も吐き捨てるように言った。

(3)「弾薬庫ができたら、ここの発展性はないです、永遠に。我々は戦争体験者ですからね。ああ、またか、また犠牲になるのかと。結局アメリカの植民地ですよね? 軍事的にはね」
 戦争中、米軍が上陸しなかった宮古島は、さほど大きな被害がなかったかのように思われがちだがとんでもない。宮古島には3つも飛行場が造られていたので、1944年の10・10空襲から徹底的に飛行場が狙われて激しい空爆が繰り返され、平良(ひらら)市街地は壊滅状態になった。耕作地が日本軍に奪われ、労働力も軍にとられて収穫ができなくなり、すぐに島は自給困難に陥った。
 当時、米軍の上陸が想定された宮古島には3万もの日本軍がひしめいていた。今の島の人口がおよそ5万5000人であるから、どれだけ多いかわかるだろう。補給も絶たれた戦時下でたちまち食料が底をつき、餓死者がでて、栄養失調でマラリアが蔓延し、島は地獄と化した。平和の礎に刻まれた戦死者の数はおよそ3300人余だが、実数はとてもそんな数では収まらないといわれている。
 「宮古島があそこまで攻撃を受けたのは、3つも飛行場があったからです。沖縄本島を包囲している米軍の艦隊に後ろから攻撃を受けてはたまらないから」
 上陸しなくても、敵軍は前に進むなら相手の軍施設は徹底的に叩いてから行く。それは戦争の初歩だ。博盛さんは沖縄戦と同じ轍を踏むことだけは避けたいと、言葉をつづけた。

(4)「慶良間諸島の強制集団死(集団自決)、あれだってそうでしょう。離島の住民は逃げ場を失った。でも捕虜にはなれない。日本軍が捕虜にさせなかった。軍の機密を知ってるからです。子どもまでも。だから結局兵隊と一緒に死ななければならなかった。
 集団自決も、スパイ虐殺も、そしてマラリア地獄も、この沖縄戦の三大悲劇はいずれも軍事情報を持った住民を生きたまま敵の手に渡さないために、軍機保護法を背景に軍が組織としてやったことだ。住民の命よりも軍機保持を優先した結果の「処置」であり、組織犯罪だと私は思う。離島で軍隊とともに生活をする場合、知るつもりなどなくても軍機に通じてしまう。平時はよくても、有事にはまた住民らが「生きていたら不都合な存在」にされる。
 軍隊と同居するリスクは、何も敵からの攻撃を受けることだけではない。味方であるはずの友軍によって生命の危機に陥っていったあの沖縄戦の教訓を、自衛隊組織の拡大を受け入れようとする沖縄県は思い出すべきだという博盛さんの指摘はもっともだ。今こそ宮古島には、彼のように歴史に学ぶ思慮深いリーダーが必要だと心から思った。

(5)もう一方の、自衛隊の隊舎などを建設予定の赤字経営のゴルフ場、千代田カントリーでは用地取得の契約まで話が進んでしまった。仮に10月末の市議選で反対派の候補が議席に食い込んでいったとしても、覆すのが難しい段階に入っていく。

(7)ここに陸自の基地ができると、野原(のばる)という集落は、すでにある空自の基地と東西から挟まれてしまう格好になる。集落の東の山には今、恐ろしい数のレーダー施設がそびえたち、電磁波もすさまじい。この上、西に建設される陸自部隊の宿舎そばのグラウンドがオスプレイの着陸場に化けたら、こんな怖いところに住む人はいなくなるだろう。
 野原の平良区長は、ただでさえ人口が減っているのに集落が廃れていくのは目に見えていると肩を落とす。平良区長をはじめ野原集落の人々は、戦後は野原岳の米軍基地で働き、航空自衛隊になってからも何とか共存してきた歴史がある。
 「これまでずっと我慢もしてきた。それなのに、なんでまた集落の反対側に作るのか」

(7)既視感がある。これまでずっとキャンプ・シュワブと共存してきたのに、海まで埋めるのか。そう唇をかんで座り込みを始めた辺野古のお年寄りの皆さんの言葉が重なる。
 「基地はがん細胞と同じ。一つできたら、転移していく」。そう言った先輩の言葉を思い出す。

(8)四つの班に分かれている野原集落は、少人数ながら結束も固く、古い民俗行事がいくつもある文化的にとても豊かな地域だ。国の重要無形民俗文化財にも指定されている「サティパロウ(里払い)」という虫払いの行事には、あのパーントゥの面も登場する。そして十五夜に行われる「マストリャー」、どちらも毎回沖縄県内ではテレビ取材が必ず来るほど有名な祭りで、宮古島市無形民俗文化財である。一つの集落に二つも民俗文化財があるのだから、土地と人の和を保ちながら丁寧に生きてきた野原の歴史が偲ばれる。

(9)今年のマストリャーは、基地建設で騒がしくなる前の、最後のおごそかな祭りになるかもしれないと思い、記録しに行った。「マストリャー」とは「桝をとる家」、つまり桝を使って年貢の穀物を検分する場所を指す。宮古・八重山の島々を苦しめた悪税・人頭税を収め終わった農民たちはこの日、重責から解放され、その場所で気が狂ったように夜通し踊ったことから、農民がお互いの労をねぎらい、また来る年の豊作を祈る行事として定着したという。
 徹夜で踊った名残からか、9時からという集合時間になってもなかなか始まらない。各班ですでに飲んだり踊ったりしている男性陣は、すぐには集まらない。区長の再三のアナウンスの後、勿体つけるように4つの踊りの集団が鐘の音とともにセンターの庭に入場してきた。
 男性陣は、棒を使った勇壮な踊りで、時に奇声を発し、何かを威嚇するような所作が目を引く。この型は「南ヌ島(フェーヌシマ)」という類型で、南方から漂着した原始的な人々の呪術的な踊りを再現したのがルーツといわれている。棒術は5人一組で息の合ったところを披露する。豪快で雄々しい野原の男たちは、この日はいつにもまして男前だ。
 続く女性陣の巻踊りは、揃って扇を揺らす手がなまめかしい。また竹を鳴らす手が月夜に映えて美しい。男性の後ろから進んでいき、最後は輪になって宮古島独特の「クイチャー(雨ごい)」スタイルになって一体感を増していく。

(10)野原生まれの上里清美さんは、このコラムでも紹介したことがあるが、真っ先に自衛隊ミサイル部隊が来ることに反対の声を上げた女性の一人である。ほかの集落に嫁いではいるが、年に一度、十五夜には故郷のマストリャーに参加している。前日のリハーサルにお邪魔すると、反対運動の現場にいる清美さんとはまるで違って、穏やかな表情で踊る清美さんがいた。祭りでは、厳かな気持ちになると話してくれた。
 「月が私たちを照らしているねえ。先祖からずっと、私に連なる人たちも、ここでこうして踊っていたはずねえ、と思うと、厳かな気持ちになるわけ」。少女のように高揚した表情だ。


 最後は、三上さんの痛烈な思いの報告になる。


(1)「野原は変わらない。変えてはいけない。賛成とか反対とか、分断されても一つの大事なものをみんなで守ってきたから。こうして自分たちをつないでいるものに、誇りを感じているから」。現場で眩しいほどのきらきらした目で語ってくれた清美さん。
 でも、私はこの場面を編集していて顔がくしゃくしゃになってしまった。数日前に、千代田カントリーの工事が始まってしまったこと。結局、止めきれなかったこと。この笑顔を守ってあげられなかったんだ。野原の誇りを、先祖から丁寧に紡いできた営みを、国防の二文字で握りつぶしていくあの暴力から救えなかったんだ。そんな思いがあふれ出てきた。

(2)二年前の春。私にとって大事な大事な宮古島の文化を、軍靴で踏み荒らすような真似は絶対にさせない。そう決心して宮古に通い、撮影して映画にして全国行脚もしてきた。これまで私は、沖縄本島で基地建設の予定地とされた場所が、どう頑張り、どう苦しみ、どう分断され、そして自然が壊されていくかを見てきた。1995年からずっと最前線で見て、記録し、警鐘を鳴らしてきた。なのに、高江も守れなかった。辺野古も工事が加速度的に進む。そして今度は野原の人たちの笑顔さえ、目の前で壊されていくというのか。そんなの、もう耐えられない。

(3)自衛隊が本当に島を守る役割で宮古島に入ってくるのか。個々の隊員がそのつもりでも、このままでは米軍の戦略の駒として日本の若者の命も、沖縄の土地も無益な戦争に差し出してしまいかねない。日本を初めて公式訪問するというのに、トランプ大統領は空軍が着るボンバージャケットで基地からやってきた。そして「北朝鮮のミサイルを打ち落とすべきだった。どうした、サムライ」と安倍首相をスカシて武器をじゃんじゃん買えと言った。

(4)武器をもって、アメリカの二軍としてアメリカの防波堤となれ。そうあからさまに言っているではないか。北朝鮮も中国も厄介だが、第一列島線の中でことを収めろ。韓国と日本はちゃんと役割を果たせ。こんな構図に取り込まれて日本のトップはどうやって日本国民を守れるというのだろう。少なくとも、今の政権がアメリカの言いなりで南西諸島に配置するミサイル部隊など、県民にとってろくなことにならないのは自明のことだ。
 しかし、自明ではなかった。宮古島市議選では、自衛隊問題で先頭を切って市長に切り込み、政府に乗り込んで、新人議員らしからぬ活躍をした石嶺香織さん、そして保良の運命をかけて選挙戦に臨んだ下地博盛さん、ともに議席を確保できなかった。島の安全を守るために自衛隊賛成、経済活性化のために自衛隊歓迎、という議員に票を入れた人の方が多いという現状は、自衛隊配備の本質が全く理解されていないというしかない。

(5)しかし、全体で見れば議員数が26人から24人に減ったのに対し、自衛隊反対の議員の議席は増えている。反対する議員の割合は1割から2割に、倍に増えているのだ。議席はとれなかったが、香織さんたちのこの2年間の活動が掘り起こした票も、全国に広げた波紋も小さくない。

(6)選挙後、千代田カントリーでは「基礎工事」「調査」の名のもとに建設工事が始まってしまったが、早速、旗をもって駆け付けた彼女たちの顔は、元通りの笑顔だった。
 「議員になるためではなくて、島の水を守るため。ミサイル基地を止めるために、私たちは活動してるんです」。楚南有香子さんはさわやかに笑う。そうか、今年1月までの彼女たちに戻っただけなんだ。しかも、かなりパワーアップして。編集機の前で泣いてる私なんかよりも、現場で躍動する彼女たちの方が数倍、困難を乗り越える才能を持っているようだ。



 今回の報告、三上さんの次の言葉が重くのしかかる。


「平良区長をはじめ野原集落の人々は、戦後は野原岳の米軍基地で働き、航空自衛隊になってからも何とか共存してきた歴史がある。『これまでずっと我慢もしてきた。それなのに、なんでまた集落の反対側に作るのか』。既視感がある。これまでずっとキャンプ・シュワブと共存してきたのに、海まで埋めるのか。そう唇をかんで座り込みを始めた辺野古のお年寄りの皆さんの言葉が重なる。『基地はがん細胞と同じ。一つできたら、転移していく』。そう言った先輩の言葉を思い出す。」


 でも、希望も紡いでくれる。
 「そうか、今年1月までの彼女たちに戻っただけなんだ。しかも、かなりパワーアップして。編集機の前で泣いてる私なんかよりも、現場で躍動する彼女たちの方が数倍、困難を乗り越える才能を持っているようだ。」、と。




by asyagi-df-2014 | 2017-11-10 08:57 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧