2017年 10月 16日 ( 2 )

沖縄-辺野 高江-から-2017年10月16日

「米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが炎上した東村高江の現場から、県内一の貯水量を誇る福地ダムの流域の境目(流域界)までわずか400メートルだった。本島全域の飲用可能な水(上水道)の約8割が本島北部のダムから送水されており、そのうち福地ダムからの送水は約6割を占める。ダム近くでヘリが炎上していた場合、福地ダムからの送水が停止していた恐れがある。北部はダムが集中する県民の「水がめ」とも言える場所だ。住民からは米軍ヘリの運用に不安の声が広がった。」、と琉球新報。
 これだけで、地方自治の本旨の目的を語るのは、十分であろう。



 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年10月16日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-北部訓練場撤去を」 高江米軍ヘリ炎上で抗議集会 きょう飛行再開か-2017年10月16日 06:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【東】米軍普天間飛行場所属のCH53Eヘリコプターが不時着し、炎上した事故で、ヘリパッドいらない住民の会とヘリパッド建設反対現地行動連絡会は15日、緊急抗議集会を事故現場に近い東村高江の米軍北部訓練場メインゲート前で開いた。事故後初めて開かれた抗議集会に沖縄県内各地から約200人が集まり『基地があるゆえの事故。北部訓練場を全面返還させよう』などと訴えた。在日米軍は普天間飛行場に所属する同型機の運用を96時間停止すると12日発表しており、期限が切れる16日にも飛行を再開させる可能性がある。東、国頭、大宜味の3村議会は17日、抗議決議案を提案、可決する見通し。」
②「集会の抗議声明は、高江集落を囲むように6カ所のヘリ着陸帯が新たに建設され、住民は不安を抱えて暮らしてきたと指摘した。『命を守るために、二度と同じことが起きないように、米軍と国に対し抗議する』などと強調し、北部訓練場の全面返還などを求めた。」
③「現地行動連絡会の仲村渠政彦共同代表は『(事故防止の)解決策は一つ。北部訓練場を全面返還させることだ。高江の問題を沖縄全体で取り組んでいかないといけない』と強調した。参加者は『北部訓練場を含めた全ての基地撤去まで頑張ろう』などと声を上げ、基地に向かってこぶしを突き上げた。」
④「事故を受け在日米軍は同型機を96時間運用停止にすると12日に発表した。だが、小野寺五典防衛相は13日『事故原因と安全が確認されるまで運用停止されることが適当だ』として期限を定めず飛行停止するよう米側に求め、同意を得られたと説明している。」
⑤「事故が起きた地元の東村議会(安和敏幸議長)は17日、臨時会を開いて抗議決議案と意見書案を提案する。全会一致で可決する見込み。東村と共に北部訓練場をがある国頭村、隣接する大宜味村も同日、抗議決議案を可決する見通し。東村議会の議員団8人は事故翌日の12日、事故現場を訪れ、黒焦げになった機体を確認した。


(2)琉球新報-IUCNの調査官が国頭村を視察 世界自然遺産登録を目指す「奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島」の現地調査で-017年10月16日 09:25


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「世界自然遺産登録を目指す『奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島』の現地調査のため沖縄入りしたユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の調査官2人は16日午前、本島北部の国頭村を視察、調査した。環境省によると、調査官は国頭村の比地川上流にある大国林道沿いの長尾橋付近で視察した。環境省職員、県職員ら約15人が同行した。」
②「調査官からは、環境省の職員に対し、マングースが生息しているかについての質問があった。環境省の職員は、調査官に対してこの地域が降水量の非常に多い場所であることや、地域に生息する希少種について紹介した。」
③「国頭村はイタジイやヒカゲヘゴなどの広葉樹が広がり、ノグチゲラやヤンバルクイナなどのやんばる固有種が生息している。」


(3)琉球新報-福地ダム、高江米軍ヘリ炎上であわや停止 沖縄本島の6割送水-2017年10月16日 10:15


琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【北部】米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが炎上した東村高江の現場から、県内一の貯水量を誇る福地ダムの流域の境目(流域界)までわずか400メートルだった。本島全域の飲用可能な水(上水道)の約8割が本島北部のダムから送水されており、そのうち福地ダムからの送水は約6割を占める。ダム近くでヘリが炎上していた場合、福地ダムからの送水が停止していた恐れがある。北部はダムが集中する県民の「水がめ」とも言える場所だ。住民からは米軍ヘリの運用に不安の声が広がった。」
②「国頭村の安波・辺野喜・普久川ダム、東村の新川ダムと福地ダムは北部5ダムとして雨水を取水・貯留している。5ダムの水は福地ダムから本島内の各浄水場へ送られ、生活用水として使われる。本島全域の上水道の1日の需要量は10月12日で42・9万トン、そのうちの6割に当たる26万トンが福地ダムから送水された。」
③「福地ダム管理支所によると、ダムの流域界より内側で雨が降った場合、高低差から雨水はダムに貯留され外側の場合は海に流れる。流域界の内側でヘリが炎上していた場合、ヘリの残骸や汚染物質がそのまま雨水と共にダムに流れ込む可能性があった。福地ダム管理支所の三田美修作支所長は『幸いにして流域界の外側だったが、内側だったら送水停止を検討しないといけなかった』と指摘した。不時着時、ヘリからわずか100メートルほどの豚舎にいた西銘清さん(87)は『故障したヘリがおりるとしたら、海岸かこの辺りの山の中。福地ダムに入り込んだら大きな問題になる』と話した。」
④「北部5ダムのほか、名護市の羽地ダム、大宜味村の大保ダム、宜野座村の漢那ダム、金武町の金武ダムからも各浄水場へ送水されており、北部5ダムと合わせて北部9ダムで本島全域の1日(10月12日)の上水道需要量は82・1%を占める。三田美支所長は『福地ダムで取水が停止した場合、本島全域の需要を他のダムや河川からまかなうのはかなり厳しい』と話した。」
⑤「東村に加え、宜野座村や名護市など本島北部では米軍ヘリの訓練が増加傾向にある。県民の水がめが集中する本島北部での米軍の訓練で、本島全域の上水道もリスクにさらされている。」(阪口彩子)


(4)琉球新報-反対への思いマイクを通し 辺野古で30人座り込み 資材搬入確認されず-2017年10月16日 14:24


 琉球新報は、「【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で16日午前、米軍キャンプ・シュワブゲート前では建設に反対の市民が座り込みをした。突然の通り雨に見舞われながらも市民約30人は代わる代わるマイクを握り、新基地建設反対や22日投開票の衆議院議員総選挙への思いを語った。資材の搬入は確認されなかった。」、と報じた。
 また、「持病の影響で車いすに乗りながら抗議活動に参加した山田純一さん(70)=東京都=は『体の不調は言い訳にならない。体が動く限り座り込みに参加していきたい』と語り、『「前回来た6月より工事が進められていることが悲しく悔しい』と声を震わせた。」、と伝えた。


(5)琉球新報-安全確認まで同型機飛行停止を要求 佐喜真宜野湾市長が米軍に-2017年10月16日 13:55


 琉球新報は、「【北中城】東村高江で米軍大型輸送ヘリコプターCH53Eが不時着、炎上した事故を受け、佐喜真淳宜野湾市長は16日午前、北中城村のキャンプ瑞慶覧を訪れ、ローレンス・ニコルソン四軍調整官宛てに安全が確認されるまでの間、同型機の飛行を停止することや安全管理体制の再点検を求めた。」、と報じた。
 また、「ダリン・クラーク政策外交部長が対応し、標準的な停止期間として96時間としているが、ニコルソン氏の指示で安全確認までは飛行させないとの説明があった。また、調査結果が出れば、報告すると述べたという。安全確認までの飛行停止について佐喜真市長は『最低限の対応だと思う。確認されないままの運用はやっぱり問題』と述べた。」、と報じた。


(6)沖縄タイムス-オスプレイ緊急着陸に抗議決議 県議会、沖縄・自民は退席-2017年10月16日 14:43


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県議会(新里米吉議長)は16日の9月定例会最終本会議で、普天間飛行場所属の輸送機MV22オスプレイの新石垣空港への緊急着陸事故に対する抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。オスプレイの飛行中止と配備撤回、普天間飛行場の5年以内の運用停止、在沖海兵隊の撤退を求めた。野党系会派の沖縄・自民は退席した。」
②「抗議決議では、新石垣空港が一時閉鎖され、空港利用者に影響を及ぼすとともに、県民に不安と恐怖を与えたと強調し、米軍の安全管理のあり方に大きな疑念を抱かざるを得ない状況と指摘している。」
③「討論で、賛成の立場の瀬長美佐雄県議(共産)は『オスプレイの度重なる事故やトラブルの責任は、原因が究明されない中、米軍が安全だと言えば、それを認めてきた安倍政権にある』と語った。」
④「沖縄・自民は、抗議決議などのタイトルに『事故』という文言が含まれることに『緊急着陸と事故は違う』と主張。オスプレイの配備撤回と在沖海兵隊の撤退の2点に賛同できない、と説明し、退席した。」


(7)沖縄タイムス-辺野古訴訟の請求追加を可決 沖縄県議会、賛成多数で-2017年10月16日 13:01


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、無許可での岩礁破砕は違法として県が国を相手に岩礁破砕行為を伴う工事の差し止めを求めている訴訟で、県議会(新里米吉議長)は16日、国には許可を得る義務があることの確認を求める請求を追加するための議案を賛成多数で可決した。」
②「県は公法上の義務の履行を求める訴訟を提起したが、その後の名古屋高裁判決で公法上の義務の確認請求を容認したことから、公法上の義務の確認請求を追加する。謝花喜一郎知事公室長は県議会の代表質問などで、『確認請求を追加することで漁業権の存否など、本質的な争点について審議される可能性を高める』と有効性を説明していた。」
③「反対の立場で末松文信氏(沖縄・自民)は『知事の職権乱用で、筋の悪い訴え。県の敗訴は明らかで訴えの追加は県益を損ねる』と主張。賛成の立場で親川敬氏(おきなわ)は『請求の追加は訴訟遂行に有効で、辺野古移設に反対し、辺野古、大浦湾の環境破壊を許さないという民意に添う』と語った。」


(8)沖縄タイムス-炎上したヘリ残骸、米軍が撮影 撤去の動きみられず-2017年10月16日 12:16


 沖縄タイムスは、「沖縄県東村高江の米軍CH53E大型輸送ヘリ炎上事故現場では16日午前、米軍関係者10人以上が残骸の間近に集まり、角度を変えながら写真を撮ったり視認したりする作業が続いた。残骸撤去に向けた動きはみられない。」、と報じた。
 また、「名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前には市民約40人が集まり、新基地建設反対の意志を座り込みで示した。機動隊による強制排除や資材の搬入はない。」、と報じた。


(9)沖縄タイムス-「民間地上空での訓練中止を」 沖縄県議会、ヘリ炎上に全会一致で抗議-2017年10月16日 12:32


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県議会(新里米吉議長)は16日の9月定例会最終本会議で、沖東村高江の民間地での普天間飛行場所属CH53E大型輸送ヘリの炎上事故に対する抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。昨年12月までに完成した高江集落周辺の6カ所のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の使用禁止と、県内全域の民間地と水源地の上空での米軍機の飛行訓練中止を求めた。」
②「ヘリが炎上、大破した現場は民家から数百メートルしか離れていない民間の牧草地であり、大惨事になりかねない事故だったと認識。強い憤りや抗議の意志を示すとともに、県内で繰り返される米軍機の事故やトラブルを受け、与野党が歩み寄り、従来より踏み込んだ要求項目となった。」
③「抗議決議などでは高江集落周辺のヘリパッド建設に地元住民が反対したにもかかわらず、政府が建設を強行した結果、民間地上空での訓練が激化し、『いつ事故が発生するか分からない』という訴えが相次ぐ中で、事故が発生したと指摘した。」
④「『地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に強い衝撃を与え、不安と恐怖は計り知れない』と強調。『米軍の安全管理体制の不備を指摘せざるを得ない状況』と批判し、厳重に抗議した。」
⑤「あて先は、抗議決議が米政府や米軍の関連部隊、意見書は首相や外相、防衛相など関係閣僚。」


(10)沖縄タイムス-米軍の協力なく捜査手詰まり 安富祖「流弾」事件から半年-2017年10月16日 05:45


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県恩納村の米軍キャンプ・ハンセン内の安富祖ダム工事現場で作業員の車や水タンクが傷付き、米軍の銃弾らしき物が見つかった事件の発覚から13日で半年がたった。米軍から事件についての説明や情報提供はいまだなく、県警の捜査関係者は日米地位協定による捜査の“壁”を指摘する。あれから半年。安富祖の住民には怒りと諦めが入り交じる中、村は原因究明と再発防止を訴え続けている。」(社会部・新垣卓也、山城響)
②「安富祖に住む80代男性は、被害の実態把握が遅々として進まない状況に『誰が考えても米軍の流弾だ』と憤る。『集落近くに飛んできた原因が重要で、それを特定しない限り、また起きる』と県警の捜査が必要だと訴える。」
③「別の男性は、11日に東村高江の民間地で発生した米軍ヘリの炎上事故を引き合いに『安富祖は米軍提供区域内。捜査は最初から無理だと思っていた。けがもなかったわけだし』と諦めムードだ。」
④「県警は被害の発覚直後、車両と水タンクの傷など被害状況を調査した。しかし、傷が流弾によるものと断定するには、銃弾の形状の確認など鑑定が不可欠とする。県警は、米軍が回収した銃弾の提供について協力を求めたが実現せず、捜査は手詰まりになっている。
日米地位協定や刑特法により、提供区域内での射撃訓練が被弾の原因だった場合、第一次裁判権は米側にあり、米軍の財産に対する捜索や差し押さえなども米軍の同意が必要とされる。捜査幹部は、米側が銃弾提供に消極的な背景を『(流弾事件が)訓練中に発生し、銃弾が軍の機密に関わる【財産】と判断している可能性が高い』と解説。過失による流れ弾だった場合は『故意が構成要件となる器物損壊での立件は厳しい』と漏らす。」
⑤「村も発覚直後から、沖縄防衛局を通じて、米側に事件に関する情報提供を呼び掛けたが、回答は得られていないという。長浜善巳村長は『いまだに何の返答もなく、中ぶらりんの状態だ』と頭を抱える。『米側は弾がどこから来た物なのか説明し、再発防止策をしっかり示す必要がある』と強調し、『継続的に回答を求めていく』と話した。」


(11)沖縄タイムス-「調査公表まで飛行しない」 ヘリ炎上で在沖縄米海兵隊-2017年10月16日 15:48


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県東村高江で米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリが炎上した事故で、在沖米海兵隊のダリン・クラーク大佐は米軍が事故原因を調査中だとした上で『調査結果がまとまって、公表できる状況になるまでは飛行しない』との発言をしたことが分かった。16日午後、中部市町村会(会長・島袋俊夫うるま市長)の抗議要請後に島袋市長らが明らかにした。」
②「要請の場は非公開。島袋会長によるとクラーク大佐は、機体構造や司法などの3専門機関が調査をすでに実施していると説明。現段階では『調査結果について詳細な報告をできる状況にはない』と話した上で、調査が終わらない限り同機種は飛行しないとの認識を示したという。」
③「島袋会長らは『24時間、基地の被害を受け続けている住民県民の不安も考慮に入れて、今後絶対に(事故が)ないように米軍に申し入れた』と強調した。」




by asyagi-df-2014 | 2017-10-16 17:08 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第74回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。



 今回の74回は、「9月12日の昼前、携帯が鳴った。近所に住む反戦彫刻家・金城実さんだった。いつも少し酒が入る夜にしか連絡して来ないのに、ちょっと胸騒ぎがして電話をとる。『チビチリガマが荒らされた。すぐ記録して欲しい』」、と始まる。
報告は、続く。


(1)鏡も見ないでビデオカメラをひったくって車に飛び乗った。沖縄戦最大の悲劇「集団自決」があったその洞窟は、家から数分のところにある。72年前、沖縄戦で米軍が続々と上陸してきたのが、この読谷村と北谷町。139人が逃げ込んでいた「チビチリ」と呼ばれる自然壕では、敵兵の姿を間近に見てパニックが起きた。
(2)日本軍の「軍民共生共死」、「生きて虜囚の辱めを受けず」という徹底した教育と、米兵は男を八つ裂きにし、女を強姦するという脅しが浸透していたために、住民は、家族同士お互いに手をかける集団死に追い込まれた。ここ一ケ所だけで、82人の命が切り裂かれてしまった。あまりのことで、遺族も戦後長い間、語るに語れなかった壮絶な出来事だ。
(3)そんな場所を「荒らす」とはどういうことなのか。何のつもりなのか。私でさえ、胸の奥にある大事で壊れやすいものを土足で粉々に砕かれたような痛みを覚えた。遺族は、波平の人たちはどんな気持ちでいるだろうと思うとハンドルが重かった。
(4)「中まで荒らされたよ。骨のあるところ、あの奥まで」
(5)第一発見者である地元・読谷村波平の知花昌一さんが、チビチリの入り口に呆然と立っていた。波平の若者としてこの惨劇にがっぷり四つに向き合い、丁寧に証言を集めて、平和学習の場にするまで大変な道のりを歩んできたのが知花さんだった。間もなく遺族会会長の与那覇徳雄さんが駆け付けた。様相が一変した現場を見て、絶句していた。
(6)まず目に飛び込んできたのは、引き抜かれて「平和の像」に叩きつけられた歌碑。金城実さんの作詞で小室等さんが歌った「チビチリガマの歌」の歌詞が書かれていた。そして侵入を防ぐように壕の入り口に置かれていた「墓地だから入らないで下さい」という趣旨の遺族会が書いた看板は、一部の千羽鶴と共に川向こうまですごいエネルギーでぶん投げられたのか、変形していた。犯人は腰をかがめ、死者たちの聖域にまで入っていた。そして洞窟内の遺品・遺骨が置かれた場所、奥の一角に残されていた瓶や甕を割ったのだろう。犠牲者の歯などが散乱していた。与那覇さんは「なぜ何度も殺されなければならないのか」と唇を噛んだ。暗い中で入れ歯や歯などを踏まれたくないから元の位置に戻したかったが、現場検証までは現状を保存しなければならないから、そっと踏まないように後ずさりして出てきた。冷静に撮影したかったが、映像にはかなりの動揺が現れている。


 報告は、さらに続く。


(7)チビチリガマというのは、ただの戦跡とは違う。戦後、「集団死」に追い込まれた人々の絶叫を、勇気を振り絞って聞き取った知花さんや金城さんのような人々がいて、徐々に開かれていった場所である。決して過去になっていかない出来事に向き合い、歯を食いしばって自分たちの世代で引き受けることで、それでようやく嘆き狂う魂を鎮める方向が見えてきたのであった。かろうじて語れるようになり、祈れるようになり、ずいぶんたってから修学旅行生も迎えられる場所になった。平和を考える聖地になっていくことをみんなが願っていて、たくさんの折り鶴とともに浄化の道をたどる途上にあった空間である。
(8)それを、誰かが破った。血を吸った土から祈りの言葉は引き抜かれ、平和の像に叩きつけられた。かさぶたを取れば血が流れ出すように、封印は解かれ、本来は鎮まりようもないのに子や孫の祈りに免じて留めていた悲しみや怒りが叩き起こされてしまった。嗚咽をあげながら、再び地中の奥からマグマのように湧き上がって溢れ出して来たのを目の当たりにしたような錯覚を覚えた。とてもじゃないが受け止められない。地場の波動を受けて動揺は止まらなかった。


 三上さんは、沖縄が受けたあまりの衝撃の大きさを、「沖縄が受けた衝撃は大きい。全国でも多くの人がこの蛮行を嘆きながら何故? という疑問を持て余しているだろう。誰が? 何のために充分苦しんだ犠牲者を冒涜できるのか? TBSの金平茂紀さんが、『クリスタルナハトだ』とつぶやいた。それは不謹慎だ、と私は一瞬顔をしかめた。クリスタルナハトというのは、ユダヤ人迫害がドイツ全土に拡がる契機になった1938年の暴動をさす。でも実は、なにか社会の膿のようなものが沸点を超えて雪崩のように押し寄せてくる、そのきっかけになりはしないかという恐怖を私も感じていた。動揺が収まらない理由はそこにもあった。」、とさらに、次のように語り始める。
 それは、この事件の報道の中で、私たちが感じてきた大きな危惧感でもある。


(9)10年前にはなかった「沖縄バッシング」は、今年々顕在化している。確実に増殖している。中国が怖い、北朝鮮が怖いと騒ぐ大衆は米軍という頼もしい存在にすがっていく。強い国を夢想するあまり、国防に「いちゃもん」を付ける沖縄の基地反対運動を疎むようになってきた。沖縄戦からの歴史的な告発は、勇ましく国を守った日本軍のイメージを著しく傷つける行為だとしてあからさまに憎むようになった。
(10)「北朝鮮の脅威が迫っているんだ。これから強い国になろうって時に、沖縄はいつまでもグダグダ言うな。お前らスパイか?」。こんな考えがネットにあふれている。これこそが戦前戦中の集団狂気の再来ではないか。強いものに巻かれたい。強い力に守られたい。その強くて頼もしいものにみんなで陶酔して不安を払しょくしたいのに、沖縄の言説はそれを邪魔する。人をしょんぼりさせる。
(11)「日本軍は住民を守らなかった」「軍隊の論理が集団死を強制した」「軍隊には慰安婦制度を生み出すような闇がある」「少なくても数百人が友軍の手で殺された」……

 沖縄という、唯一地上戦を体験した地域にいたからこそ、住民は輝かしい皇軍の進駐からそのなれの果てまで、非軍人の目でその落差を目撃し、戦争の実態を体に焼き付けた。私たちは、そこからしか証言できない大事な戦争の狂気をとことん学び取り、知らせることでしか次の悲劇を止められないと信じて報道に邁進して来たわけだが、そんな仕事は今の日本には邪魔になってきているのかもしれない。しかし、文科省が教科書から削除するよりも、大衆の「不都合な言説を圧殺する」力が暴走する段階の方がもっと恐ろしい。そんな地平にまでこの社会は急速に進んでしまったのか?
(12)しかし数日後、チビチリガマを荒らした犯人は地元の少年らで、理由は肝試しだという報道があった。私が心配した外部からの沖縄バッシングのようなものでなかったことに少しホッとした。しかしながら心は晴れない。もちろん、少年らに破壊行為を指示した別の存在がいないかどうかも、まだ考えないといけないと思う。そうではないとしたら、もっと深くこの島の中に沈殿したもの、澱のように溜まってきたもの、つまり、今の若年層が抱える閉塞感のようなものに目を向けなければならないのではないか。
(13)大人たちが目の色変えて頑張っても実らない基地反対運動への苛立ち。そこからくる無力感。反戦平和活動への冷めた目線、弱者ぶることへの拒否感。今の若い人たちは、過酷ないじめ社会の中でどうやったら標的にならないか、勝ち馬に乗る側にいられるかに、かなりのエネルギーを使っている。自分を守るためにも日本の中の嫌われ者になるのは避けたい。「反戦沖縄」という看板をしょっていては明るい未来が見えてこないじゃないか。負けてばかりの沖縄とは決別したいという願望が醸成されてきても、不思議ではないのだろう。最近、基地反対運動の話を始めると、若い人たちが瞬時に見せる冷めた態度が気になっている。平和教育はどうなっているんだ、と叫ぶ視点だけでは救い上げられない地割れが起きているのかもしれない。


 三上さんは、最後に、こんな風に語ってみせる。


「そうだとしても、残念ながら私たちは、彼らに届く新たな言葉をすぐに編み出せるわけではない。戦争体験者と遺族の苦しみを請け負った知花昌一さんたちの世代を見ていながら、その下の私たち世代が不甲斐ないから、さらに下の今の若者たちに、この島が命と引き換えに得た教訓さえ伝えきれていないのだ。その私たちにできることは、やはり先輩たちの足跡を見つめなおし、それをさらにまた引き受けていくためにジタバタしている姿を後輩たちに見せる。そんな地道なことでしかないのだとあらためて思う。」


 だからこそと。


「チビチリガマの歌。あの板に書かれていた歌詞は、遺族の話を聞き、寄り添いながらともに平和の彫刻を作り上げるという時間を過ごしてきた金城実さんたちの編み出した言葉だ。歌詞というより、この場所で、戦争という惨禍に向き合うことから逃げずに生きる覚悟と祈りを文字にして置いた、そんな言霊たちなのだと思う。まずは投げ捨てられた板に書かれていたこの言葉を、私たちは噛みしめたい(訳は三上流ですので参考までに)。」


「チビチリガマの歌」 作曲 小室等/作詞 金城実

イクサユヌアワリ
ムヌガタティタボリ
(戦争の悲劇を 語って聞かせて下さい)

ワラビウマガユーニ
カタティタボリ
(子や孫の世代まで どうか 語り継いで下さい)

ハンザチビチリヤ
ワシタウチナーユヌ
(波平のチビチリガマは 私たちの沖縄に生きる者の)

ククルチムヤマチ
ナチュサウチナー
(心肝を苦しめています 沖縄は泣いています)

ナチュナチビチリヨ
ミルクユニガティ
(泣くなチビチリよ 弥勒の世 平和の世を願って)

ムヌシラシドゥクル
チビチリガマ
(戦争の哀れを世に知らせる 聖地になってください チビチリガマよ)




by asyagi-df-2014 | 2017-10-16 06:34 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧