2017年 05月 05日 ( 2 )

沖縄-辺野古- 高江-から-2017年5月5日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


「米太平洋空軍によると、F16計12機と兵員250人が3~4カ月間嘉手納基地に暫定配備される。残る2機は6日以降に飛来するとみられる。州軍の部隊配備や嘉手納基地所属以外である外来機の飛来をめぐっては、これまでも騒音が増加しており、基地周辺の自治体などは今回の暫定配備に強い反発の声が上がっている。」、と沖縄タイムス。
 まさしく、日本という国の問題である。


 2017年5月5日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-嘉手納に米軍F16が8機飛来 夏まで12機予定 1機は緊急着陸か-2017年5月4日 21:25


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「4日午後2時半から同3時すぎ、米軍嘉手納基地に米コロラド州バックリー空軍基地所属のF16戦闘機が8機が飛来した。2時27~34分までに4機が着陸したが、そのうちの1機に消防車が向かったことから緊急着陸だった可能性がある。F16は4月、米アンドルーズ空軍基地所属の1機が東部メリーランド州で墜落事故を起こしている。」
②「嘉手納基地には今回、F16が12機と兵員250人が配備される予定で、F16の配備は昨年10月以来約7カ月ぶり。3日に沖縄防衛局から周辺自治体へ入った連絡によると、夏ごろまで暫定配備されるという。米太平洋空軍によると、派遣されたのは同州空軍の第120戦闘中隊で、太平洋軍地域安全保障プログラムを支援するための一環。同地域への脅威に対して抑止力の維持のための派遣としている。部隊派遣は2004年から定期的に実施している。」
③「沖縄市と嘉手納町、北谷町でつくる嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)は、8日にも幹事会を開き、対応を協議する。」


(2)沖縄タイムス-暫定配備の米軍F16、嘉手納に2機飛来 計10機に-2017年5月5日 15:34


 沖縄タイムスは、「米軍嘉手納基地に5日午後2時半ごろ、米コロラド州バックリー空軍基地所属のF16戦闘機2機が飛来した。4日に飛来した8機と合わせて計10機となった。米太平洋空軍によると、F16計12機と兵員250人が3~4カ月間嘉手納基地に暫定配備される。残る2機は6日以降に飛来するとみられる。州軍の部隊配備や嘉手納基地所属以外である外来機の飛来をめぐっては、これまでも騒音が増加しており、基地周辺の自治体などは今回の暫定配備に強い反発の声が上がっている。」、と報じた。


(3)沖縄タイムス-辺野古唯一=「沖縄でよかった」 持続する差別の構造 【金平茂紀の新・ワジワジー通信(25)】-2017年5月4日 18:35


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「よりによって東日本大震災と福島第1原発過酷事故からの復旧・復興を担当する今村雅弘復興大臣兼福島原発事故再生総括担当が、東日本大震災の被害に関して『まだ東北で、あっちの方だったから良かった。首都圏に近かったりすると莫大(ばくだい)な、甚大な額になった』などと発言したことが引き金となって、発言当日の4月25日に大臣辞任の意向を表明した。翌日付で辞表は受理されたが、辞任と言うよりは事実上の更迭だった。」
②「政権の反応はすばやかった。これ以上は守りきれないとでも言うかのように。今村大臣の場合、この失言に先立つ『前科』があった。今回の失言の3週間前にも記者会見で、原発事故の自主避難者への住宅無償支援打ち切りをめぐって、記者との間で激しいやりとりがあり『(自主避難者)本人の責任でしょう』『裁判でも何でもやればいいじゃない』『(記者に対して)二度と来ないでください』などと発言し批判を浴びていた。」
③「〈東北で良かった〉はいくら何でもひどい。メディアは今村復興大臣の辞任に至る言動を大々的に報じた。まさにその4月25日のことだった。午前9時20分、沖縄防衛局が名護市辺野古で、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる護岸工事に着手した。埋め立て工事は環境を激変させる決定的な動きだ。大量のコンクリートブロックや土砂などが大量に海に投下されれば、原状回復はほとんど絶望的となる。本紙は〈1996年の普天間飛行場返還合意から21年、重大な局面を迎えた〉と報じていた。」
④「翁長雄志知事は『暴挙』という言葉を5回も使ってこの護岸工事着工を強く批判していた。一方、菅義偉官房長官は記者会見で『埋め立て本体の工事開始は、多くの人々が望んできた普天間飛行場の全面返還を実現する確かな一歩だ』と普段よりも語気を強めて用意されたステートメントを読み上げていた。冷徹な事実がある。4月26日付の東京の新聞各紙の1面トップ記事は、横並びで〈今村復興相、辞任〉だった。沖縄の県紙2紙は当然ながら〈辺野古の護岸工事着工〉がトップ記事だった。」
⑤「東京と沖縄の新聞を並べて読みながら、僕には心の中に抑えがたい憤りが湧いてくるのを感じた。『この政権はこれまでずっと〈辺野古が唯一の選択肢〉と言い続けてきた。これは結局、今村前復興相ふうに言えば、〈辺野古でよかった〉と言っているのと同じじゃないのか』と。その根元には、米軍基地は、本土ではなく沖縄でよかった、という本音があるのではないか、と。」
⑥「やがて沖縄慰霊の日が今年もやって来る。歴史家たちの詳細な研究が述べるところによれば、太平洋戦争全体の中で沖縄戦の占める位置づけは、はるかにむごい。沖縄は本土をまもるための『捨て石』にされたのではなかったか。〈沖縄でよかった。本土ではなくて〉。あまりにもむごい。仮に、その考え方が今現在に至るまで脈々と生き続けているとしたら、僕らは誰に向かって何を言えばいいのだろうか。すでに沖縄県民は国政選挙や知事選挙を通じて、これ以上の基地建設はノーだと意思表示してきているのだから。」
⑦「司法に救済を求めたいわゆる辺野古訴訟は最高裁で沖縄県側の敗訴が確定した。政府は『決着がついたと思っている』との姿勢だ。つまりもはや聴く耳を持たないと言っているのだ。1月の宮古島市長選、2月の浦添市長選、4月のうるま市長選と、このところ政府与党の推す候補が連勝してきている。翁長知事を支える『オール沖縄』が苦境に陥っていることは否定できない。沖縄は一体どこへ向かっていくのだろうか。」
⑧「かつての本紙編集局長・由井晶子さんの著書に【沖縄 アリは象に挑む】というタイトルのすばらしい本がある。そのアリが今、踏みつぶされようとしている光景がみえる。〈沖縄でよかった?〉」
*   *
 (以降の記述はフィクションです。念のため)20××年×月×日午前9時23分。沖縄の在日米軍××××基地に、巡航ミサイル59発が撃ち込まれた。寝耳に水のことだった。一体なぜなんだ? 被害は基地のみならず、近隣の住宅地も甚大な被害を受けた。基地内の死傷者に加え、沖縄県民に多数の死傷者が出てしまった。政府はただちに非常事態宣言を発令し、国家安全保障会議が緊急招集された。
 参加者の間で冒頭から激しい口論となった。「だから言わんこっちゃないんだ。沖縄に基地が集中しすぎていることに何の手も打たなかったことの報いだ」「何を言っとる。貴君だって基地反対運動を潰(つぶ)してきた張本人じゃないか」「そうだ、そうだ、あんたは共謀罪を適用して沖縄基地反対運動を壊滅させたことを忘れたようだな」「いや、少なくとも同盟国内からこんな攻撃が起きてしまうなんて想像もできなかった」「現場の軍人は常に極度の緊張にさらされているんだ。何があってもおかしくはないさ」「それにしてもどうする。国民に対してどう説明するんだ」「沖縄勤務経験のある米軍兵士が錯乱してミサイルを誤射したなんて何の説明にもならんぞ」「でも事実だ」。
 その時、普段から寡黙でほとんど会議でも発言したことがない閣僚の一人がこうつぶやいた。「ミサイルが沖縄でよかった。本土や原発立地県ならもっと甚大な被害になっていたな。本土でなくてよかった」。すると突然、部屋中に鋭い金属質の警報音が鳴りだした。ピピピピピピピピ。閣議決定で導入が決まった「失言探知アラート・システム」が作動したのだ。
 -以上は、もちろん架空のフィクションである。けれども、「本土でなくてよかった」という台詞は何だか異様なリアリティーを帯びていないか? 悲しみと憤りがミックスされたカクテルをこれ以上飲み続けるのは、僕はもうごめんこうむりたい。


(4)沖縄タイムス-観光振興へ、責任と希望 一方で内実に疑問も 首里城の運営移管-2017年5月5日 14:03


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「政府が国営沖縄記念公園内の首里城の運営を沖縄県に移す方針が明らかになった。県内の関係者からは観光振興など、県の主体的な利活用への期待が広がる一方、新基地建設の工事強行と対比させながら『何を考えているのか、政府の本音が分からない』と内実に疑問の声もあった。」
②「首里城復元にも関わった歴史家で元県副知事の高良倉吉さんは、詳細が分からないとしながら『沖縄の歴史や文化を踏まえ、首里城復元の意義を生かす形で、今後の利活用がなされることが望ましい』と強調。沖縄観光の国際競争力をつけるため『沖縄ブランド』をより高める必要があるとし『他の観光地との差別化を図る意味でも、首里城を生かしたイベントなどのクオリティーを高めることが重要になる』と、県に主体的な取り組みを要望した。」
③「県立博物館・美術館の田名真之館長は首里城の復元整備が2018年度に終えることを指摘した上で、『県が新たな責任と希望を受け取る形になる。観光はもちろんだが、県民が誇れる文化遺産として県民に還元することも考えていかなければならない』と話す。」
④「『小説 琉球処分』の著作がある芥川賞作家の大城立裕さんは沖縄のアイデンティティーが見直される中で、首里城の運営が県に移されることを一定評価しながら『海洋博のアクアポリスを扱いかねたように、国が県に施設を譲る時はあまりいいことがない』と指摘。 国が辺野古の新基地建設を強行する姿勢を対比しながら『表向きは観光振興という理由だが、政府が何を考えているのか、内実はよく分からない』と疑問視した。」


(5)琉球新報-普天間飛行場4ヘクタール7月返還 東側、市道整備を予定-2017年5月3日 15:10


 琉球新報は、「日米両政府は2日までに日米合同委員会を開き、米軍普天間飛行場の東側の土地約4ヘクタールを7月31日に返還することで合意した。防衛省が2日発表した。返還予定地は宜野湾市が進める『市道11号』の整備予定地となっている。返還予定地は1990年に日米が返還で合意した。その後、宜野湾市が進める『市道宜野湾11号』の建設のため、96年にフェンスの移設などを条件に飛行場東部分の返還が合意された。2015年12月、菅義偉官房長官とケネディ駐日米大使(当時)が共同会見し、17年度中に返還すると発表した。」、と報じた。
 また、「宜野湾市の松川正則副市長は『基地負担軽減に取り組んでいただき、感謝する』と述べ『市道宜野湾11号の整備事業は順調だ。できるだけ早く進めたい。返還日が決まり(関係部署も)さらに頑張ろうという思いになる』と期待した。防衛省によると、巡回道路の付け替えなどを4月中に終え、日米合同委員会が4月27日に、返還日を7月31日とすることで合意した。」、と報じた。


(6)琉球新報-こどもが琉球芸能を奉納 99人が平和願う-2017年5月5日 15:42


 琉球新報は、「第37回こどもまつり『こども琉球芸能奉納』が5日午後、糸満市の平和祈念公園内の沖縄平和祈念堂で開かれた。県内で琉球芸能を学ぶ4歳から高校生、県立芸術大学音楽部琉球芸能専攻有志までの99人が世界平和を願いながら舞い、音色を奏でた。平和祈念堂の参観はこどもの日の5日、高校生以下は無料となった。こどもまつりは戦没者への鎮魂と世界の恒久平和を祈念して開かれた。子どもたちは『鶴亀節』や『マーミナ節』『貫花』などを踊った。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2017-05-05 16:31 | 沖縄から | Comments(0)

「共謀罪」を考える。(20)-Yahooニュ-ス-もし「共謀罪」が成立したら、私たちはどうなるか【全国民必読】 知らなかったと後悔する前に-現代ビジネス-

 Yahooニュ-スは2017年4月7日、「もし『共謀罪』が成立したら、私たちはどうなるか【全国民必読】 知らなかったと後悔する前に」(現代ビジネス)、との記事を掲載しました。筆者は、刑法学者で京都大学の高山 佳奈子教授です。
この記事を要約します。
まずは、今回の「共謀罪」法案について次のように指摘します。


 「共謀罪とは、犯罪の未遂や予備よりも前の計画段階で処罰の対象とする犯罪類型である。与党は、同法案が過去のものと異なる点を強調しようとしているが、対象犯罪の数が限定された以外に、実質的な相違はない。その内容は、政府が締結を目指すとされる国連国際組織犯罪防止条約との関係では共謀罪処罰そのものであり、日本語でいかなる名称を付けようともこれが共謀罪法案であることには変わりがない。」


 この上で、下記の幾つかの疑問に答えるかたちを取っています。


Ⅰ.「共謀罪なしでは五輪開催できない?」ということに関して


(1)政府は、本法案を「テロ等準備罪」を処罰するものだとし、首相は、これがなければオリンピックを開催できないといっても過言ではない旨を述べていた。しかし、法案の中には、テロのための条文は1ヵ条も存在していない。
(2)適用対象の条項に「テロリズム集団その他」が付け加えられたが、「その他」の文言からも明らかなように、テロが除外されないことが示されているだけで、ほぼ無意味な挿入である。
(3)こうしたまやかしが判明した後、世論調査における同法案への支持は急落したとされる。
(4)オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった2013年までの間に、政府の犯罪対策計画においてオリンピックのための共謀罪立法が論じられたことはなく、共謀罪立法がテロ対策の一環として位置づけられたこともないという事実が明らかになっている。
(5)筆者は五輪招致を管轄していた文部科学省の事業で、2013年3月までドーピング対策の研究班を率いていたが、やはりそのような話は非公式にも聞いたことがない。
(6)日本にはすでに予備罪や抽象的危険犯の広範な処罰規定があることから、国連条約締結のために共謀罪立法は必要ないと考えられる上に、2004年に国連から各国向けに出された公式の「立法ガイド」にも、共謀罪処罰の導入は義務でないと明示されている。実際、条約締結のために共謀罪立法を行った国としては、ノルウェーとブルガリアの2ヵ国しか知られていない。
(7)このように、規制のために犯罪を創り出すものとしかいえない同法案に対しては、法律家はもちろんのこと、特に、日本ペンクラブや日本マスコミ文化情報労組会議を始めとする表現者の団体からも多数の反対声明が出されていることが注目される。
 学術の分野からは、2月1日に「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」が公表され、筆者を含む日本刑法学会理事7名の呼びかけに150名を超える専門研究者が賛同している。
 また、3月15日には、憲法学者・政治学者を中心とする「立憲デモクラシーの会」が、長谷部恭男早稲田大学教授・元東京大学教授の起草にかかる「共謀罪法案に反対する声明」を発表した。


Ⅱ.「『無限定』という恐怖」について


(1)これらの反対意見が問題視する点の1つは、適用対象に限定がないことである。
(2)「組織的犯罪集団」には認定や指定が不要なのはもちろんのこと、過去に違法行為をなしたことや、過去に継続して存在していたことすらも必要ない。当然のことながら、それ以外の集団との線引きが事前になされているわけではなく、構成員の属性も限定されていない。
(3)当初、与党議員らは、一般人は適用対象にならない旨を述べていたが、その後、法務大臣はこれを撤回する発言を行っている。事実、法案にはそのような限定は書かれていない上、組織的犯罪処罰法に関する最高裁判所の判例も、限定を否定している。
 すなわち、組織的詐欺罪を適用した最高裁の2015年9月15日の決定によると、ある組織がもともとは詐欺罪を実行するための組織でなかったとしても、客観的に詐欺にあたる行為をすることを目的として成り立っている組織となれば同法に該当し、中に詐欺のことを知らないメンバーがいても関係ない。
(4) 一般の集団がある時点から組織的犯罪集団とみなされることになるのである。また、犯罪を行う計画についての「合意」は、やはり法案上限定されていないため、従来の共犯処罰に関する最高裁判例に従って解釈されることになる。すなわち、暗黙のもので足り、ツイッターやフェイスブックなどSNSを用いて順次成立する場合もある。犯罪が確実に実行されることの認識も必要ない。さらに、「準備行為」は、法案では例が挙がっているものの、「その他」の文言があるため、同じく無限定である。予備罪や抽象的危険犯の処罰に必要だとされる実質的な危険が要件となっていないことから、文言上、危険性のない日常的な行為がすべて含まれることになる。


Ⅲ.「 警察の実績づくりのための処罰」について


 次に、「なぜ、このように無用な処罰規定を広範に導入する法改正が急がれているのか。」、という仮説を立てます。そしてこれに答えています。


(1)「政府に批判的な勢力を弾圧するため」、「米国に情報を提供するため」という見方にも説得性があるが、筆者は特に、「犯罪のないところに犯罪を創り出し、取締権限を保持するため」という動機が1つの背景をなしていると見ている。
(2)近年の犯罪統計によれば、犯罪認知件数は激減しており、戦後最低新記録を更新中である。暴力団関係者の数とそれによる犯罪も大きく落ち込んでいる。仕事のなくなった警察が摘発対象を求めているかのように見える。
 筆者がそのように考えるのは単なる憶測によるものではない。近年、何の違法性も帯びていない行為の冤罪事件や、極めて軽微な違法行為を口実とした大幅な人権剥奪が現に起こっていることが根拠である。
(3)筆者が直接関与した事件の例として、大阪のクラブが改正前風営法のダンス営業規制により訴追されたNOON裁判がある。クラブNOONは単にフロアで音楽を流していただけで、深夜営業もしていなければ未成年者もおらず、騒音やごみ、いわんや暴行・傷害や違法薬物の問題も全く生じていなかった。最高裁は、クラブには表現の自由と営業の自由が及んでおり、社会に対する実質的な危険がなければ無許可営業罪の処罰対象にはならないとして、無罪の判断を下した。しかし、最高裁まで争って無罪を勝ち取った金光正年氏以外は、同様の事案で多くのクラブ関係者が略式手続によって冤罪の状態のままに置かれてる。しかも、改正風営法ではダンス営業の罪が廃止されたものの、これよりもさらに広範で違憲の疑いの強い「遊興」処罰規定が新設され、多数の飲食店に対し、警察が嫌がらせともとれる立入りなどを実施している。
(4)警察には仕事がないらしい。クラブ関係者の政治的立場は多様であり、反政府的であるから摘発されたとは考えがたい店も多い。最近では、女性タレント2名が電車の線路に立ち入った行為が鉄道営業法違反で書類送検の対象になっている。この行為はクラブ営業と異なり違法は違法だが、極めて軽微な違法性しかない。この程度の行為であれば、刑事罰の対象とはされない国も多い。彼女たちは何の政治的立場もとっていない。また、昨年5月には、右翼団体「草莽崛起(そうもうくっき)の会」メンバー20名が、道路交通法上の共同危険行為を理由に、運転免許の取消処分を受けることになったと報道された。
(5)こうした摘発の現状を見ると、対象にされる者が政府に対してどのような立場をとっているかは、警察の実績づくりのためにはもはや関係がなくなっていると考えられる。
 現行法の下でもこの状態であるから、いわんや、共謀罪処罰が導入されれば、取締権限がどのように用いられるかは、一般人の予測しうるところではないことが明らかである。
(6)イスラム過激派などによるテロを警戒するのであれば、現にテロが起こっているところで用いられているアラビア語、ベンガル語、ウルドゥー語などがわからなければテロの計画を察知できないと思われるが、日本の捜査機関は、摘発が可能な態勢にはおよそない。テロリストでない日本人しか、実質的には共謀罪処罰のターゲットにならないのである。


Ⅳ.「表現の自由はどうなってしまうのか」について


(1)一般人が対象になるということでは、社会運動への悪影響も論じられているが、より一層広がりのある問題は、各種団体も批判するとおり、表現の自由全般に対する抑圧的効果である。
(2)表現の自由に関心を持つ比較的若い世代の懸念の1つとして、マンガ・アニメなどのパロディ(いわゆる二次創作)の計画が著作権法違反の罪の共謀罪として摘発の対象にされるのではないかという点がある。著作権法違反はおよそテロリズムとは無関係に見えるが、海賊版や模造品が犯罪組織の資金源となりうるという理由で、知的財産権を侵害する他の罪とともに、共謀罪処罰の対象犯罪に含められている。
(3)筆者(経済産業省の産業構造審議会で知的財産政策部会の関連委員会に所属する)は、パロディは独自のジャンルとして表現の自由の保護を受けるべきだと考えるが、筆者がどう考えるかは取締当局にとって重要ではない。
 2017年3月28日には衆議院の丸山穂高議員(大阪維新の会)の質問にかかる議論において、同人誌やグッズを作る二次創作団体であっても、それ自体として共謀罪の適用対象から外れるものではないことが確認されている。少なくとも、法令上、海賊版とパロディとの間の線引きは予定されない。
(4)著作権侵害の罪は、被害者の告訴がなければ公訴を提起できない「親告罪」であるが、警察が目を付けたターゲットを摘発するために、原著作者に告訴を促すことは可能である。とりわけ筆者が懸念するのは、性交や非実在児童の描写を含むマンガに対する否定的影響である。
(5)筆者は京都府青少年健全育成審議会委員として、18歳未満の者への提供を禁止する有害図書指定に携わっているが、委員の中には、性交描写の多いマンガやDVDについて、検閲により成人に対する提供も禁止すべきであるという意見を公の場で述べる者が常に複数いる。憲法上の表現の自由を正面から否定する発言であり、おぞましいというほかはない。刑法175条のわいせつ物等頒布罪で規制されない対象には、表現の自由だけでなく営業の自由も及んでいることが無視されている。また、筆者は、数十年前の写真をモチーフに描かれた作品が摘発の対象となったCG児童ポルノ裁判にも、第一審から無罪の意見書を提出してきているが、同事件は一審・二審とも有罪となっている。これらは不当判決であり、現在、事件は最高裁判所に係属している。本来、日本国における児童買春・児童ポルノ処罰法は、実在する児童のみを保護するために立法されており、実在の児童をモデルにしていない絵が処罰対象となるはずはないのである。
(6)しかし、表現の自由に対し抑圧的な意見が世論の有力な一角を占めていることは事実である。共謀罪の適用に関しても、取締機関がこれに迎合する形で摘発のターゲットを定めることは十分に考えられる。
(7)共謀罪法案の実像を見れば、テロ対策目的がどこにもないばかりか、本来マフィア対策の条約である国連国際組織犯罪防止条約への対応としても説明のつかない内容になっている。今回共謀罪処罰の対象から除外された犯罪類型は、警察などの特別公務員職権濫用・暴行陵虐罪や公職選挙法・政治資金規正法違反の罪など、公権力を私物化する罪、また、規制強化が国際的トレンドになっている民間の賄賂罪などである。これは国際社会によって求められているのとは正反対の方向性である。警察は仕事がないなら、汚職の摘発に臨むべきである。


 確かに、今回の「共謀罪法」がいかに危険なものであるかを確認しました。




by asyagi-df-2014 | 2017-05-05 06:08 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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