2017年 03月 26日 ( 2 )

沖縄-辺野古-高江-から-2017年3月26日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 沖縄県の自民党は、「現状の『辺野古移設を含むあらゆる可能性を追求』するとの内容から『辺野古移設を容認し、(普天間の)早期返還の実現を図る』とする内容へと変更する方針を固めた。4月8日の県連大会で正式に決定する。」(琉球新報)、と方針を変更するという。
 ここでは、立ち止まって、姑息と言われようとじっと様子をうかがう時ではないか。
 安倍晋三政権の手法が、未来永劫に続くわけではないではないか。
 政治こそ、したたかさが必要ではないか。
 沖縄の強さは、そこにもあったのではないか。


 2017年3月26日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-自民沖縄県連が辺野古「容認」 普天間の早期返還へ政策変更-2017年3月26日 07:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「自民党の沖縄県連(照屋守之会長)は25日までに、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題に対する県連の政策について、現状の『辺野古移設を含むあらゆる可能性を追求』するとの内容から『辺野古移設を容認し、(普天間の)早期返還の実現を図る』とする内容へと変更する方針を固めた。4月8日の県連大会で正式に決定する。」
②「翁長雄志知事が仲井真弘多前知事の埋め立て承認を撤回する考えを表明し政府との対決姿勢を強める中で、県連が県政との対立軸を鮮明にし『辺野古が唯一の解決策』とする政府方針に沿った立場を明確に打ち出す格好だ。」
③「これまでの政策で県連は、普天間飛行場の危険性除去や早期返還実現に向け『辺野古移設を含むあらゆる可能性を追求し米軍普天間飛行場の固定化阻止に全力で取り組む』と掲げ、辺野古移設を認めつつ、それ以外の選択肢についても含みを持たせる表現にしていた。だが2016年12月に国が県を訴えた違法確認訴訟の最高裁判決で県が敗訴したことなどを受け、県連内でも方針を明確に打ち出すよう求める声が上がり、変更するに至った。」


(2)琉球新報-辺野古、承認撤回の時期焦点 翁長知事、求心力の回復狙う-2017年3月26日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で開かれた県民集会で、翁長雄志知事が辺野古の埋め立て承認を『撤回する』と初めて明言した。最高裁で勝訴した政府は辺野古新基地建設を『終わった問題』(政府高官)と主張し、工事を着々と続けてきた。県民に諦め感や息切れ感、次の権限行使に踏み切らない知事への不信感も一部でくすぶり始めていた中、知事本人が『工事の入り口』(県幹部)である基地ゲート前で、改めて承認撤回という強い権限行使を表明したことで、新基地建設阻止に向けた求心力の回復を狙った形だ。」
②「就任後初めて基地ゲート前の集会に参加した翁長知事。撤回表明は集会を主催した『オール沖縄会議』側にも事前に知らされておらず、同団体幹部は『県民の思いに応えてくれた。よく言ってくれた』と驚いた。」
③「工事車両の出入りなどに対峙(たいじ)してきた抗議運動の“舞台”を訪れることには一定の混乱も予想された。知事の参加に当たって県は主催者と協議し、集会は『整然と行う』点を確認。翁長知事が『行政の長』として集会に参加できる状況を整えた。」
③「知事周辺は『新基地建設が佳境を迎える中、多くの県民は今、行政の長だけではなく、政治家・翁長雄志を求めている』と話す。県幹部は集会前、『知事は諦めない、今後も権限行使を続けると県内外に伝える。それを力強く発信するのに、ゲートを背にすることが重要だ』と力を込めていた。」
④「政府が進める工事に対し、知事は今月末に期限を迎える岩礁破砕許可の更新に応じないことで再び工事を止めることも視野に入れていた。だが政府は名護漁協に、工事に伴う漁業補償を支払ったことで現場海域の漁業権は消滅したと主張し、これにより知事への岩礁破砕許可申請は必要ないと主張する『新見解』を突如示す手段に出た。\『』「知事権限封じ』を図ることで、新基地建設阻止を掲げる知事を飛び越え、工事強行を図ろうとする政府。そうした状況への県民のいらだちを察知した知事は、ゲート前の集会で撤回を表明することで『座視していない』とのメッセージを込めたとみられる。」
⑤「とはいえ県が行政機関である以上、実際に撤回に踏み切るには法的に妥当な根拠に基づくことが必要条件だ。この日のあいさつで、政府による岩礁破砕許可の不申請などの行為が『一つ一つ貯金として入っている』と知事が表現したことはその象徴と言える。県は一定の積み重ねを経て『違法性』に基づく撤回に踏み切る算段を描く。」
⑥今後の焦点となるのは、知事がどのタイミングで撤回に踏み切るかだ。政府は知事が埋め立てを阻止する次の有力手段として『撤回』に踏み切ることを“織り込み済み”とみて、代執行や執行停止などの法的対抗策を検討している。一方、政府は4月中にも辺野古の埋め立て工事を本格開始する見込みで、知事サイドはその“節目”の日程をにらむ必要もある。防衛省関係者は、知事が埋め立て承認の『留意事項違反』だけを理由に早期に埋め立て承認の撤回に踏み切れば、それを正当化する法的な『材料』は乏しいとみて、裁判になれば『圧勝』し、県に損害賠償を求める根拠にもなるとみる。そのため国は、県が『材料不足』の状態で撤回するのを待ち構えているとも言え、神経戦が予想される。」
⑦「昨年12月の承認取り消しを巡る最高裁判決で勝訴したことから、政府関係者は知事の撤回表明に『支持者向けのパフォーマンスだろう。裁判に負けることはない』と自信を見せる。ただ岩礁破砕への対抗措置や撤回などのタイミング次第で、工事の遅れや名護市長選の人選作業などにも影響するとみて、県の動向を見極めながら対抗策を最終決定する考えで『後は知事がいつ撤回するかだ』と警戒感をにじませた。」


(3)琉球新報-政府、ミサイル防衛の増強提示へ 日米2プラス2で-2017年3月26日 02:00


 琉球新報は、「政府は4月下旬からの大型連休にも開く外務・防衛担当閣僚の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、北朝鮮に対処する弾道ミサイル防衛(BMD)体制の増強を図ることを最優先課題として提示する方向で調整に入った。日米同盟強化に向けた自衛隊の役割拡大策と位置付ける。弾道ミサイル発射前に拠点を破壊する『敵基地攻撃能力』保有の是非を含め、自衛隊と米軍の役割分担の方向性も話し合う可能性がある。政府筋が25日明らかにした。政府はトランプ政権下で初めての2プラス2で、最重要のテーマとしてBMDを明示し『北朝鮮の脅威は新たな段階に入った』との認識を重ねて共有したい意向だ。」、と報じた。


(4)琉球新報-品格なき民主主義 新基地建設を批判 沖縄問題シンポ-2017年3月26日 11:37


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会は25日、東京都の青山学院大学で『沖縄問題とは何か』をテーマに第5回公開シンポジウムを開いた=写真。基調講演した白井聡京都精華大学専任講師は、行政や財界など日本全体が総じて『ネトウヨのような筋が通らない右傾化が進んでいる』と指摘。翁長雄志知事が辺野古新基地問題で『日本の民主主義の品格が問われている』と言ったことを挙げ『(それに対する)答えは品格がないということだ』と強調した。」
②「白井氏は『保守を名乗る人の間で、反米なのか、親米なのかよく分からない状態があるが、彼らのそんな精神状態の分裂が統一する時はアジア諸国民をヘイトする時だ。【自分たちはあなたたちと違う、欧米並みの国なんだ】と。そのヘイトが中国、韓国・朝鮮人だけでなく、沖縄にも向けられている。今後それが活発化するのを大変危惧している』と語った。」
③「このほか、作家の佐藤優氏が『沖縄アイデンティティーと日本』と題して話した。松島泰勝龍谷大教授はアジアや西洋の国際関係の中で琉球独立論を位置付けた。高良鉄美琉球大教授は憲法の視点から東アジアの中の『琉球』について報告した。」
④「約130人が会場に詰め掛け、熱心に話を聞いた。」


(5)琉球新報-「強行は民主主義、人権損なう」 在米県系人も辺野古反対署名-2017年3月26日 10:17


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米国在住の県系人が、名護市辺野古での新基地建設工事の即時中止を日米両政府に求める声明への署名を呼び掛けている。現地時間24日までに48人が署名。カリフォルニア州バークレー市議会の平和と正義委員会などが活動に賛同し、2015年9月に辺野古への新基地建設反対の決議を可決した同市議会やカリフォルニア州の下院議員らに活動への支援を促している。」
②「声明を呼び掛けたのは、サンフランシスコ州立大学でアジア系アメリカ人の研究を続けるハワイ出身県系3世のウェスリー・上運天准教授、同大で博士課程を修了した池原えりこさん、ベン・コバシガワ同大名誉教授、ハワイ・オキナワ・アライアンスのピート・ドクターさんら。」
③「声明は『工事の強行が環境や民主主義、人権に回復困難な損害を与え、アメリカに住むウチナーンチュとしてのアイデンティティーと相いれない』などと指摘。『新基地建設は、沖縄以外の日本のために沖縄を犠牲にする日本政府の真の態度を示している』と批判している。米政府に対しては『故郷への破壊行為に不信と怒り、偽善的な態度に憤りを感じる』としている。」
④「『【沖縄は本当にこれでいいのか】と(世界のウチナーンチュに)問いたい』と語る上運天准教授。『沖縄で【イーヤーサーサー】と言うと【ハーイーヤ】と返ってくるように、この声明が世界中のウチナーンチュが反応するきっかけになってほしい】と期待を寄せている。」


(6)沖縄タイムス-2月の辺野古海上工事後、大浦湾にジュゴンの姿なし 防衛省調査-2017年3月26日 10:03


 沖縄タイムスは、「防衛省の調査で、2月に辺野古新基地建設の海上工事を始めて以降、大浦湾で国の天然記念物ジュゴンの姿が確認されていないことが24日、明らかになった。防衛省の山本達夫審議官が、衆院環境委員会で玉城デニー議員(自由)に答えた。」、と報じた。
 また、「山本審議官は『埋め立てにかかる海上工事を開始した2月以降に5日間調査し、嘉陽沖で(個体Aを)4回、古宇利島沖で(個体Bを)3回確認している』と答えた。一方、子どもの個体と思われるジュゴンの確認報告はないという。防衛省は、ジュゴンの生息位置を調査するため、2014年から大浦湾や嘉陽沖、古宇利島沖をヘリや船舶、陸上から目視確認をしている。アンカーブロックを設置した15年1月以降、調査で嘉陽沖や古宇利島沖ではジュゴンの姿が確認されているが、大浦湾では確認されておらず、今回の調査でも確認されなかった。」、と報じた。


(7)沖縄タイムス-米軍基地返還で生まれ変わった沖縄県・読谷村 商業施設も続々オープン-2017年3月26日 11:00


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「嘉手納町から国道58号を北上した読谷村の玄関口・大湾交差点から北東側に広がる『大湾東地区』。米軍嘉手納弾薬庫地区の一部返還から18年がたち、25・4ヘクタールの新しい街が、その姿を見せ始めた。拠点となる大型商業施設の立地は昨年4月から本格化。約2千人の居住が見込まれる住宅建築に向けた手続き第1号も今月決定された。上下水道や道路の整備と並行して街づくりが加速する。(中部報道部・溝井洋輔)」
② 同地区の区画整理事業は地権者156人でつくる大湾東土地区画整理組合(松田武夫理事長)を主体に2009年度に始まり、このほど宅地造成をほぼ終えた。区域全体のインフラ整備はこれからだが、先行する主要道路の近くで企業立地の動きが表面化している。
組合によると、総事業費は45億円程度。うち約半分が国庫補助で、県と村の補助もある。文化財調査の課題や、4本の幹線道路全てを電線地中化する追加工事があるため、完了は当初計画から3年遅れて21年度となる見通し。」
③「県内の米軍基地返還地の主要道路全てで、電線地中化が実施されるのは初のケースという。同地区のアピール点の一つに交通アクセスの良さが挙げられる。同じく嘉手納弾薬庫地区返還地で06年4月に開通した読谷村牧原線が同地区南側を通る。県道74号の『道の駅かでな』付近と国道58号大湾交差点を結び、さらには沖縄自動車道へとつながる。比謝川につながる長田川が地区内を流れ、『水と緑に包まれた住宅地』も売りの一つ。三つの公園を造り、ウオーキングができる健康をテーマにした街づくりも掲げる。日本で最も人口が多い村の読谷村は現在4万1千人余。利点をPRしつつ、村や組合は同地区で650世帯、2080人の人口増を見込む。」
④「組合は今月、造成工事を終えた住宅地を地権者に返す『使用収益の開始』1号を決定した。4階建てのアパート建築が年内にも動きだす。全体の住宅工事が本格化するのは2~3年後の見通しという。住宅に先行する形で活発化するのは、インフラが整備された国道58号沿いへの商業施設の立地。その第1号が16年4月の『シナジースクエア』だ。」
⑤「『シナジースクエア』は飲食店やコンビニ、歯科医院など11店舗が入居する複合型商業施設。約1年後の17年3月にはトヨタカローラ沖縄が『トヨタウン読谷店』が開店した。今夏には床面積1万平方メートルのサンエー大湾シティがオープンを控える。」
⑥「組合の謝花高志事務局長は『シナジースクエアは夜ににぎわいが出てきた。トヨタカローラ沖縄、サンエーとどんどん広がり、住宅もスタートを切ろうとしている』と現状を説明する。国道58号沿いには年末から年明けにかけて、さらに商業施設がオープンする計画もある。」


(8)沖縄タイムス-辺野古で「なまからるやんどー」 沖縄・翁長知事、闘う宣言-2017年3月26日 12:30


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の移設先に名護市辺野古が浮上して20年余り、初めて沖縄県知事が新基地建設に抗議する市民の座り込み現場に足を運んだ。25日の県民集会で、翁長雄志知事は『撤回を力強く、必ずやります』。キャンプ・シュワブのゲート前でマイクを握り、宣言した。さらに声を張って『なまからるやんどー、なまからるやんどー(今からが本番ですよ、今からが)』。ゲート前で座り込みが始まって993日目。今か今かと待ち望んだ知事の姿に、ゲート前はこの日一番の喝采に包まれた。」
②「『これから沖縄の新しい闘いが始まる』。朝から降り続いていた雨は午前11時50分、知事がマイクを手にする頃にはやんでいた。2014年の県知事選当選直後、正式就任前に訪れてから、約2年半ぶりのゲート前。やや緊張した表情で車を降りたものの、待ち受けた市民に握手を求められると、すぐに頬を緩ませた。影響力の大きさから自らの発言に細心の注意を払い、最近は『準備した原稿を読み上げるスタイル』(知事周辺)が定着していたという知事。だがこの日ばかりは、事前に用意していた原稿を読み上げることなく、会場の空気に委ねて思うがまま言葉を重ね、思い入れの強さをにじませた。話題は縦横無尽に広がり、インターネット上で流れる知事にまつわるデマにまで言及してみせた。」
③「『心』と口にするときは胸に、『決意』を示すときは上空に手をかざし、興奮ぎみに自らの思いをぶつけた。3千人余りの市民を前に『皆さんの顔を見て改めて決意を固めた』と力を込め、埋め立て承認の『撤回』表明に一気に踏み込んだ。」
④「辺野古違法確認訴訟の最高裁で県が国に敗訴して以降、知事の目には座り込みの市民が『若干元気がなくなっていた』ように映っていたという。だが、集会を終えて記者団に心境をこう明かした。『一人一人の拍手をみて、しっかり元に戻ったなという感じを受けた。新基地を造らせない先頭に立つのは知事だ』」




by asyagi-df-2014 | 2017-03-26 20:56 | 沖縄から | Comments(0)

「共謀罪」の閣議決定、国会提出を考える。(2)-朝日・毎日・東京・読売日経の各社説20170322-

 東京新聞は2017年3月22日、「政府は計画段階での処罰を可能とする『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を二十一日に閣議決定し、国会に提出した。法案では、処罰対象となる団体や合意の方法、処罰の前提となる『準備行為』の定義がいずれも曖昧で、捜査機関の裁量で、テロと関係のない市民団体などにも適用され、日常的な行為が準備行為と認定される恐れがある。実行後の処罰を原則としてきた刑法体系は大きく変わる。」、と報じた。
 このことを考える。
 朝日新聞は「『共謀罪』法案 疑問尽きない化粧直し」、毎日新聞は「『共謀罪』法案 説明の矛盾が多過ぎる」、東京新聞は「『共謀罪』閣議決定 刑法の原則が覆る怖さ」、読売新聞は「テロ準備罪法案 政府は堂々と意義を主張せよ」、日本経済新聞は「十分な審議が必要な『共謀罪』」、とそれぞれ見出しを掲げている。
 今回の組織的犯罪処罰法の改正案について、「共謀罪」と位置づけることができるかが、重要な観点であるが、この四社の中では、読売新聞だけが、この位置づけをしていない。 いつものこととは言え、読売の突出ぶりがよく見える。逆に、この法案を[共謀罪]として認識できない理由は何なのだろうか、と疑念を抱かざるを得ない。
 さて、この五社の社説の要約は次のものである。


Ⅰ.主張
(朝日新聞)
(1)かつて3度廃案になった「共謀罪」を創設する法案が、化粧直しをして組織的犯罪処罰法改正案として閣議決定された。先立つ与党審査では、当初案になかった「テロリズム集団」という言葉を条文に書きこむ修正がされた。テロ対策の法案だと世間にアピールするのが狙いで、法的に特段の意味はない。
 化粧直しのポイントは、
ⅰ.取り締まる団体を「組織的犯罪集団」に限定する
ⅱ.処罰できるのは、重大犯罪を実行するための「準備行為」があった場合に限る
ⅲ.対象犯罪を組織的犯罪集団のかかわりが想定される277に絞る
――の三つだ。
 だが、いずれにもごまかしや疑問がある。
(2)犯罪が実行されて初めて処罰するという、刑法の原則をゆるがす法案である。テロ対策の名の下、強引に審議を進めるようなことは許されない。


(毎日新聞)
(1)政府はかつて「共謀罪」新設の関連法案を3度提出したが、廃案になった。名称を変えた今回の法案も、組織犯罪が計画段階で幅広く処罰可能となる本質は変わらない。
(2)法整備は、国際組織犯罪防止条約の締結に欠かせないと政府はいう。確かに条約締結には意義がある。国際社会が手を結ぶことは必要だ。
 最大の焦点は、締結のためにテロ等準備罪の創設が必要かどうかだ。
(3)条約は、重大な犯罪の合意(共謀)を処罰できる法整備を締結国に求めている。だが、こうした処罰の規定は人の内心に踏み込む。捜査側の対応次第で国民生活も脅かされる。日本の刑法は、犯罪行為に着手した時点で処罰の対象とするのが原則だ。例外的に殺人の予備や内乱の陰謀など重大な犯罪では未遂以前の行為を罰せられる。だが、その数は70程度に限られている。今回の法案は従来の原則からかけ離れている。
(4)条約は各国の国内法の原則に従って法整備することを認めている。ならば現行法で条約締結は可能だというのが民進党など野党の主張だ。一方、政府はそれでは締結に不十分だという。政府が国会に提出した資料では、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国のうち、条約締結時に共謀罪などを新設したのは4カ国で、残りはもともとの国内法で対応した。これをどう見るか。なぜ法整備が条約締結のための必要条件なのか。法学者ら専門家の見解も分かれる。まずは政府が丁寧に説明し、議論の土台とすべきだ。
(5)共謀罪から絞り込んだ要件にも懸念が出ている。組織的犯罪集団に市民が入る余地はないのか、といった点などだ。政府は「共謀罪とは別物だ」との説明を繰り返してきたが、明らかに共謀罪の延長線上にある。


(東京新聞)
(1)政府が閣議決定した組織犯罪処罰法改正案の本質は「共謀罪」だ。二百七十七もの罪を準備段階で処罰できる。刑事法の原則を覆す法案には反対する。
(2)盗みを働こうと企(たくら)む二人組がいたとしよう。だが、人間というのは犯罪を共謀したからといって、必ず実行に移すとは限らない。現場を下見に行ったとしても、良心が働いて「やっぱり悪いことだからやめよう」と断念する、そんなことはいくらでもある。共謀罪が恐ろしいのは、話し合い合意するだけで罰せられることだ。この二人組の場合は共謀し、下見をした段階で処罰される。そんな法案なのだ。何も盗んではいないのに…。
(3)共謀罪の考え方は、日本の刑事法の体系と全く相いれない。日本では既遂を処罰する、これが原則である。心の中で考えただけではむろん犯罪たり得ない。犯罪を実行して初めて処罰される。未遂や予備、陰謀などで処罰するのは、重大事件の例外としてである。
だから、この法案は刑事法の原則を根本からゆがめる。しかも、二百七十七もの罪に共謀罪をかぶせるというのは、対象犯罪を丸暗記していない限り、何が罰せられ、何が罰せられないか、国民には理解不能になるだろう。
(4)「五輪が開けない」とは国民に対する明白な誤導である。本質は共謀罪の創設なのだ。
(5)危惧するのは、この法案の行く末である。犯罪組織の重大犯罪を取り締まるならともかく、政府は普通の市民団体でも性質を変えた場合には適用するとしている。米軍基地建設の反対運動、反原発運動、政府批判のデモなどが摘発対象にならないか懸念する。
(6)専門家によれば、英米法系の国ではかつて、共謀罪が労働組合や市民運動の弾圧に使われたという。市民団体の何かの計画が共謀罪に問われたら…。全員のスマートフォンやパソコンが押収され一網打尽となってしまう。もはや悪夢というべきである。
 実は捜査当局が犯行前の共謀や準備行為を摘発するには国民を監視するしかない。通信傍受や密告が横行しよう。行き着く先は自由が奪われた「監視社会」なのではなかろうか。


(読売新聞)
(1)テロ対策の要諦は、事前に犯行の芽を摘むことである。政府は、法案の早期成立に万全を期さねばならない。
(2)2020年東京五輪を控え、テロ対策は喫緊の課題だ。改正案が成立すれば、国際組織犯罪防止条約への加入が具体化する。締約国間で捜査共助や犯罪人の引き渡しが円滑にできるようになるなど、メリットは計り知れない。
(3)今国会の審議では、共謀罪法案との違いを際立たせようと腐心する政府の姿勢が目立つ。共謀罪法案を3度も提出したのは、必要性が高かったからだろう。差異を付けることを優先するあまり、今回の改正案が捜査現場にとって使い勝手の悪いものになっては、本末転倒である。


(日本経済新聞)
(1)今回の法案では、適用の対象を「組織的犯罪集団」に限定した。処罰するためには重大な犯罪を計画したことに加え、現場の下見といった準備行為が必要となるような見直しも行った。法律の乱用を防ぐといった観点から、こうした修正は評価できる。しかしこの法案の必要性や意義について、そもそも国民の間に理解が深まっているとは言いがたい。国会審議の場では成立を急ぐことなく、十分な時間をかけて議論を尽くす必要がある。
(2)テロも組織犯罪の一形態とは言えるが、国会審議ではまず、資金洗浄や人身売買、薬物取引など条約がうたう「本来」の組織犯罪対策のあり方などについて十分に議論すべきではないか。現に日本は暴力団犯罪など組織犯罪の脅威にさらされている。
(2)テロ対策も2020年の東京五輪をにらんで欧米並みに取り組むのであれば、この条約に便乗するだけでは中途半端に終わってしまいかねない。テロを正面から定義することからはじめ、海外と比べて法制度や捜査手法の面でどのような問題、課題があるのかを分析し、国民に問うていく。こうした作業が必要なはずだ。





Ⅱ.疑問点等
(朝日新聞)
(1)旧来の共謀罪についても、政府は「組織的な犯罪集団に限って成立する」と言ってきた。だとすればⅰ.は新たな縛りといえない。安倍首相の「今度は限定している。共謀罪との大きな違いだ」との国会答弁は、国民を誤導するものに他ならない。
(2)ⅱ.の「準備行為」も何をさすのか、はっきりしていない。
(3)殺人や放火などの重大犯罪には「予備をした者」を罰する規定が既にあるが、これと「準備行為」はどこがどう違うのか。準備行為である以上、犯罪が実際に着手される前に取り押さえることになるが、それまでにどんな捜査が想定されるのか。わかりやすい説明が必要だ。
(4)共謀罪は組織犯罪防止の国際条約に加わるために必要とされた。そして条約の解釈上、重い刑が科せられる600超の犯罪に一律に導入しないと条件を満たせないというのが、政府の十数年来の主張だった。ⅲ.はこれを一転、半減させるというものだ。融通無碍(むげ)、ご都合主義とはこのことだ。
(5)現時点で政府が「市民生活に影響は及ばない」と説いても、状況次第で法律の解釈適用をいかようにも変えられると、身をもって示しているに等しい。
(6)そもそも条約をめぐっては、これほど大がかりな立法措置を求めておらず、現行法のままで加盟可能との異論も以前からある。何らかの手当てが必要だとしても、277の罪が妥当かの精査は当然必要となろう。条約を締結できないことで、これまでにどんな支障が生じ、締結したらいかなるメリットがあるのか。この点についても、政府から説得力のある具体的な説明はなされていない。

 犯罪が実行されて初めて処罰するという、刑法の原則をゆるがす法案である。テロ対策の名の下、強引に審議を進めるようなことは許されない。


(毎日新聞)
(1)それにしても、これまでの政府の説明には矛盾が目立つ。
(2)最大のほころびは対象犯罪数だ。条約が法整備を求める4年以上の懲役・禁錮の刑を定める犯罪数は676あり、選別はできないと政府は説明してきた。だが、公明党の意見をいれ、今回の法案では対象犯罪を277に絞り込んだ。これでは過去の説明と整合しない。法案の再提出に当たり、唐突にテロ対策の看板を掲げたことも理解できない。条約はマフィアによる犯罪収益の洗浄などへの処罰を目的としたものだ。
(3)安倍晋三首相が、東京五輪・パラリンピックのテロ対策を理由に「法整備ができなければ開催できないと言っても過言ではない」などと発言するに至っては、まさに首相が批判する印象操作ではないか。


(東京新聞)
(1)今回の法案では二人以上の計画と準備行為の段階で摘発できる。準備行為とは「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」と書いてある。ずいぶん漠然としてはいないか。「その他」の文字が入っているから、捜査当局にどのように解釈されるか分からない心配もある。
(2)犯行資金をATMで下ろすことが準備行為に該当すると政府は例示するが、お金を引き出すというのはごく日常的な行為である。それが犯罪なのか。どう証明するのか。疑問は尽きない。
(3)安倍晋三首相は国会答弁で「東京五輪のために必要な法案だ」という趣旨の発言をした。これは明らかな詭弁(きべん)というべきである。そもそも日本はテロに対して無防備ではない。テロ防止に関する十三もの国際条約を日本は締結している。ハイジャック防止条約、人質行為防止条約、爆弾テロ防止条約、テロ資金供与防止条約、核テロリズム防止条約…。同時に国内法も整備している。例えば爆発物に関しては脅迫、教唆、扇動、共謀の段階で既に処罰できる。サリンなど化学物質などでも同じである。
 むしろ、政府は当初、「テロ等準備罪」の看板を掲げながら、条文の中にテロの定義も文字もなかった。批判を受けて、あわてて法案の中に「テロリズム集団」という文字を入れ込んだ。本質がテロ対策でない証左といえよう。
(4)確かに国連の国際組織犯罪防止条約の締約国は百八十七カ国・地域にのぼる。だが、そのために共謀罪を新設した国はノルウェーやブルガリアなどだけだ。むしろ国連は「国内法の基本原則に従って必要な措置をとる」ことを求めている。「共謀罪がなくとも条約の締結は可能だ」とする日弁連の意見に賛同する。
 そもそもこの条約は国境を越えて行われるマフィアの犯罪がターゲットだ。麻薬やマネーロンダリング(資金洗浄)、人身売買などで、テロ対策の条約ではない。少なくともこの条約締結のために、刑事法の大原則を覆してしまうのは本末転倒である。


Ⅲ.メリット及び課題


(読売新聞)
(1)法案化の過程で、対象となる「組織的犯罪集団」が「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」に修正された。テロの文言がなく、与党の批判を招いたためだ。組織的犯罪集団は「共同の目的が一定の犯罪を実行することにあるもの」と定義される。修正により、テロ対策という立法の趣旨は、より明確になったと言える。
(2)「その他」に想定されるのは、暴力団や振り込め詐欺集団だ。犯罪の抑止効果が期待できよう。テロ等準備罪の成立には、犯行計画に加え、資金調達などの準備行為の存在が不可欠だ。要件を満たさない限り、裁判所は捜索や逮捕に必要な令状を発付しない。
(3)適用範囲が恣意しい的に拡大される、といった民進党などの批判は当たるまい。「一般市民も対象になりかねない」という指摘も殊更、不安を煽あおるものだ。対象犯罪について、政府は当初の676から、組織的犯罪集団の関与が現実的に想定される277に絞り込んだ。「対象の団体を限定した結果、犯罪の絞り込みも可能になった」との見解を示す。公明党が「対象犯罪が多すぎる」と主張したことにも配慮した。理解を広げるために、一定の絞り込みは、やむを得ない面もある。政府は過去に「条約上、対象犯罪を限定することは難しい」と説明している。これとの整合性をどう取るかが課題だ。
(4)金田法相の答弁は不安材料だ。要領を得ない受け答えが多く、「成案を得てから説明する」と繰り返してきた。緊張感を持って、審議に臨んでもらいたい。


(日本経済新聞)
 共謀罪の制定は、国際組織犯罪防止条約を締結するため各国に課せられた義務の一つである。だが廃案が続いたこともあり、今回政府は国民が理解しやすいテロを前面に出して必要性を訴えてきた。当初の法案の中に「テロ」の文言がなく、与野党から指摘を受け慌てて盛り込むことになった背景にもこうした事情がある。


 さて、日本経済新聞は、「この法案の必要性や意義について、そもそも国民の間に理解が深まっているとは言いがたい。国会審議の場では成立を急ぐことなく、十分な時間をかけて議論を尽くす必要がある。」、と主張する、
 ごく当たり前の考え方である。まず、必要なことである。
 最後に、東京新聞はこのように投げかけている。深く心臓部を抉る。


Ⅰ. この法案は「キメラ」のようでもある。
Ⅱ.「五輪が開けない」とは国民に対する明白な誤導である。本質は共謀罪の創設なのだ。
Ⅲ.行き着く先は自由が奪われた「監視社会」なのではなかろうか。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-26 10:59 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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