2017年 02月 07日 ( 3 )

沖縄-辺野古-高江-から-2017年2月7日

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。


 「米軍普天間飛行場の名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、米国防総省の内部資料に5月に土砂投入作業を開始すると記されていることが6日までに分かった。」
 これは、沖縄タイムスの記事である。
 米国国防総省の「普天間代替施設(FRF)の現状」と題した項で、「5月下旬に土砂投入作業開始」と記されている、という。
また、日米首脳会談では、「普天間移設問題を巡ってはマティス国防長官が日本側と協議した内容で十分と判断。米軍普天間飛行場の移設問題をめぐっては文書での確認のみにとどめ、通商や経済問題などが焦点となる可能性が高いという。」、とも沖縄タイムスは伝える。
 「規定方針通り」ということが、基本的人権のより一層の侵害に当たるということを想像することができない、何とまあ、あきれた政府である。
 今の世界情勢は、急いで走り寄ってすり寄ってみせる時ではないのではないか。


 2017年2月7日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-海上工事に着手 防衛局、辺野古強行 県、文書で中止要求-2017年2月7日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は6日午前8時40分ごろ、海上の本体工事に着手した。5日に名護市大浦湾の臨時制限区域に到着した作業用の船団のうち、台船2隻から汚濁防止膜を固定するための大型コンクリートブロックなどをクレーン船2隻に移し替える作業が行われた。早ければ7日にも同区域内に最大13・9トンの大型ブロックを投下し、汚濁防止膜の設置作業が本格化する。県は防衛局が実際に投下した場合は法的な対抗措置を検討する方針。県民の民意を無視した形で本体工事が強行されることに、県民の反発はさらに強まりそうだ。」
②「防衛省関係者によると、汚濁防止膜の設置には2~3カ月を要する見通し。設置が終わり次第、浅場にある『K9護岸』『A護岸』と呼ばれる場所から護岸工事に着手する計画で、これが実質的な埋め立て工事の始まりとなる。」
③「一方、県は6日、沖縄防衛局が汚濁防止膜を設置する計画を県に協議せず変更したことに抗議し、説明を求める文書を同局に手交した。文書でブロック投下を中止するよう求めた。県幹部はブロックが投下されていないため『海上の本体工事はまだ始まっていない』との認識を示した。」
④「6日は台船2隻から、クレーン船2隻に、ブロックをそれぞれ14個ずつと汚濁防止膜を設置するためのものとみられるフロート(浮具)などを移し替えた。大型特殊船『ポセイドン1』(4015トン)が昨年未完了だった1カ所の海底ボーリング(掘削)調査を始めるとみられるが、この日は掘削調査をしている様子は確認されなかった。」
⑤「新基地建設に反対する市民らは抗議船6隻、カヌー16艇で臨時制限区域を示す海上フェンスの外側で抗議行動した。」
⑥「米軍キャンプ・シュワブゲート前では6日午前11時55分ごろ、砂利を積んだトラックなど工事関係車両12台が基地内に入った。砂利を積んだ作業車が入るのは最高裁判決後、作業が再開されて初めて。新基地建設に反対する市民ら120人が阻止行動を始めたが、県警の機動隊が市民らを排除した。海上での本体工事着工を受け、ゲート前も資材搬入が本格化しそうだ。」


(2)琉球新報-沖縄県、移設工事中止を要請 政府はブロック海底設置へ-2017年2月6日 23:38


 琉球新報は、「沖縄県は6日午後、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古で政府が着手した海上の本体工事について、当初計画から変更点があり、十分な事前説明が必要だとして、防衛省沖縄防衛局に文書で中止を求めた。これに対し政府は7日にも海中の汚れ拡散を防ぐ『汚濁防止膜』の重りとなる大型コンクリート製ブロックの海底設置を始め、海上工事を本格化させる。政府関係者によると、ブロックについて6日中の設置作業は断念。同日午後は台船からクレーン船に移す作業を続けた。準備が整えば、7日にもクレーン船から海底に降ろす作業を始める。」、と報じた。


(3)沖縄タイムス-辺野古埋め立てで県と国に違い 「手続き終えた」「新たな申請必要」-2017年2月7日 07:55


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。



①「沖縄防衛局は6日、名護市辺野古の新基地建設工事で汚濁防止膜の設置作業を始めた。国は埋め立て作業に必要な手続きは終えたとの立場だが、県は環境保全策を確認する事前協議や岩礁破砕許可の新たな申請が必要だと指摘。主張が平行線のまま工事が進めば、県は何らかの対応をする方針で、先行きは波乱含みだ。」
②「県は2013年12月の埋め立て承認時、埋め立て工事前に事前協議することを留意事項として付した。工事の実施設計を踏まえ、環境保全策を改めて確認するためだ。15年7月に協議入りしたが、県は同年10月に埋め立て承認を取り消したことから事前協議はできないと防衛局に通知。防衛局は『協議終了』と見なした。昨年12月に承認取り消しが取り消されて埋め立て承認の効力が復活。工事が再開されることから県は事前協議を求めたが、防衛局は『既に終えている』として応じない姿勢を示している。」
③「3月末に期限が切れる岩礁破砕許可についても認識が食い違う。国は、名護漁業協同組合が米軍キャンプ・シュワブ沖の『臨時制限区域』で漁業権を放棄する手続きを取ったとして、漁業権が設定されている漁場内で海底の地形を変える場合に必要な岩礁破砕許可はいらなくなったと判断。新たに許可申請せずに工事を続ける意向を明らかにした。これに対し、県水産課は今回の漁業権の一部放棄は『漁業権の変更』に当たると指摘。漁業権は今も有効で、4月以降に工事をするなら岩礁破砕許可を新たに申請する必要があるとする文書を防衛局に出した。」
④「汚濁防止膜の設置計画に関しても県は6日、詳細を確認するまでコンクリートブロックを海に沈めないよう求める文書を防衛局に提出した。汚濁防止膜は岩礁破砕を許可した区域外に設置される予定のため、ブロックの重みで海底の地形が変われば、許可外の岩礁破砕に当たる可能性があるとみている。県は防衛局の対応によっては行政指導などを検討している。」


(4)沖縄タイムス-辺野古埋め立て着工 5月にも土砂投入 県民は反発-2017年2月7日 08:22


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は6日、キャンプ・シュワブ沿岸での埋め立て本体工事に着手した。海上作業ヤードや護岸の整備に向けた汚濁防止膜を設置する作業で、2013年12月の埋め立て承認以降、初めての海上工事となる。7日以降に膜を固定する大型コンクリートブロックを海底に沈める見通し。調査、設計の段階から本格的な埋め立て工事に移行することで、新たな局面を迎えた。」
②「関係者によると、5月以降に護岸整備などのために土砂を投入し、来年春にも海域全体を埋め立てる工事に着手する考えがあるという。」
③「県水産課は6日午後、防衛局に対し、岩礁破砕許可後にブロックの設置計画を変更した事実が認められるとして、変更の経緯や判断根拠を13日までに説明し、それまで設置しないよう求める文書を提出した。」
④「抗議集会の開かれたシュワブゲート前で、稲嶺進名護市長は『私と知事が訪米中に日米防衛相が辺野古唯一をわざとらしく確認し、今度は作業再開か。恥も外聞もない』と批判し、自らの行政権限で建設を阻止する考えを強調した。」
⑤「関係者によると、5日から辺野古沿岸に停泊する大型掘削調査船『ポセイドン1』で、14年8月から続けている海底掘削(ボーリング)調査の24地点のうち、残り1地点のほか、施工計画の作成のため、新たに13地点を掘削し、調査する。」
⑥「シュワブ沿岸では6日午前11時すぎから、台船に積んだコンクリートブロックをクレーン搭載の大型船に移す作業が確認された。2隻の大型船にそれぞれ14個のブロックと汚濁防止膜、フロートを載せ替え、午後4時までに終了した。7日も、同様の作業を続け、準備が整えばブロックを海底に投下する。」


(5)琉球新報-伊計島のヘリ不時着現場視察 県議会軍特委-2017年2月7日 15:15


 琉球新報は、「うるま市与那城伊計島農道への米軍ヘリ不時着を受け、県議会米軍基地関係特別委員会の仲宗根悟委員長ら12人は7日午後1時、視察で不時着した現場を訪れた。玉城正則自治会長から当日の様子や被害状況などの説明を受けた。視察後、住民との意見交換会も開き、農漁業、観光業関係者らが出席した。」、と報じた。
 また、「視察には玉城自治会長のほか、不時着現場のすぐ脇で市特産の黄金イモを栽培する農家も参加した。視察後、仲宗根委員長は現場がホテルや住宅地から近かったことについて「信じられない。基地が無くなればいいが、最低限(島民に)不安のない訓練をお願いしたい」と記者団に話した。」、と伝えた。


(6)琉球新報-コンクリートブロックを投下 辺野古新基地建設-2017年2月7日 09:44


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は7日午前9時25分ごろ、大型コンクリートブロックを米軍キャンプ・シュワブ沿岸の大浦湾の臨時制限区域内に投下する作業を開始した。大型クレーン船がクレーンを伸ばして1個目のブロックをつり上げた後、湾内に投下した。」
②「防衛局は6日に海上の本体工事に着手した。汚濁防止膜のアンカーとして投下される大型コンクリートブロック228個のうち、28個が6日に大型台船から大型クレーン船2隻に移し替えられていた。海底ボーリング(掘削)調査用の大型特殊船『ポセイドン1』(4015トン)が7日朝、臨時制限区域内を移動する様子が確認されたが、午前9時30分までに掘削作業などは確認されていない。」
③「一方、シュワブゲート前では同日午前、辺野古新基地建設に反対する市民らが集まり、コンクリートブロック投下に抗議の声を上げた。」


(7)沖縄タイムス-【速報】辺野古埋め立て:大型ブロックを海底に投下-2017年2月7日 09:48


 沖縄タイムスは、「米軍普天間飛行場移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は7日朝、キャンプ・シュワブ沿岸に汚濁防止膜を固定するための大型コンクリートブロックを投下する作業を始めた。重さ11~14トンブロック計228個を海底に沈め、濁った海水が拡散することを防ぐための膜を設置し、その後、護岸新設や海上作業ヤードの整備を始める。海底掘削(ボーリング)調査24地点のうち、残り1地点のほか、施工計画の作成のため、新たに13地点を掘削し調査する作業も近く始めるとみられる。」、と報じた。


(8)沖縄タイムス-辺野古埋め立て:政府、既成事実化を演出-2017年2月7日 11:30


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「政府は6日、名護市辺野古の新基地建設に向け『埋め立ての海上工事着手』を強調するが、実際は汚濁防止膜を固定するためのコンクリートブロックを台船から作業船へ載せ替える作業だけだった。『辺野古唯一』を崩さない政府は、これまでも工事の既成事実化を“演出”してきた。」
②「沖縄防衛局は2015年10月29日、『埋め立て本体工事に着手した』と発表したが、米軍キャンプ・シュワブ内でショベルカーががれきをダンプカーに積んだり、クレーンでオイルフェンスを下ろしたりする作業が確認されただけだった。16年12月27日には、県が求める事前協議を拒否し、埋め立てに向けた『工事再開』を発表したが、海上保安庁のゴムボートが使用する浮桟橋や、作業ヤードの草刈りなどの整備作業だけにとどまった。」
③「ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は『政府は何度も【本格工事着手】という言葉を使っているが、政府の発表をうのみにしてはいけない』と指摘。『都合のいい言葉で、現場を知らない国民に【辺野古しかない】と洗脳させている。政府の情報操作に負けない』と語気を強めた。」
④「平和市民連絡会の北上田毅さんは『土砂投入まではあくまで準備作業でしかない』。2年前も海中にコンクリートブロックを沈めているとし『誇大広告で県民の諦めを誘おうとしているのではないか』と話した。」


(9)沖縄タイムス-名護市長「現場を知らない国民向け」 辺野古工事で政府を批判-2017年2月7日 10:41


 沖縄タイムスは、「名護市の稲嶺進市長は6日、海上工事着手について「ごり押し、これでもか、と政府が一方的にやる姿勢。県民は非常に怒っている」と批判した。菅義偉官房長官が同日、「国と県が協力して誠実に工事を進めていく」と述べたことに、『機動隊や海保の暴力的なまでの排除を見ると、誠実どころではない』と反論。『海上工事着手』と発表したことには、『埋蔵文化財や美謝川の水路変更(の手続き)があり、埋め立て工事ができる状況ではない。既成事実を作り上げる現場を知らない国民向けの手法だろう』と疑問視した。」、と報じた。


(10)沖縄タイムス-辺野古:5月に土砂投入作業 米国防総省資料に明記-2017年2月7日 14:31


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、米国防総省の内部資料に5月に土砂投入作業を開始すると記されていることが6日までに分かった。県は埋め立て承認の撤回などを視野に入れているが、文書にはそうした法廷闘争を想定した記述はなく、海上での本体工事が進められていくとの認識を示している。複数の米政府関係者が本紙の取材に対して明らかにした。」
②「資料は、マティス国防長官が訪日する前に、国防総省が日本政府との協議に向けた参考資料として作成したもので、『普天間代替施設(FRF)の現状』と題した項で、『最高裁判決で日本政府が勝訴し、翁長沖縄県知事が埋め立て承認取り消し処分を取り消した以降の政治的動向を分析した結果、FRFの建設は進行していくとの共通認識が拡大している』などと説明したうえで、『5月下旬に土砂投入作業開始』と記している。」
③「資料を作成した国防総省担当者によると、同工程は日本側との協議や情報などを反映して作成したもので、5月下旬に土砂投入作業が開始されるとの情報は県にもすでに通知済みとの説明を受けているという。」
④「政府は6日に、埋め立てに使う土砂の広がりを防ぐ汚濁防止膜を固定するコンクリートブロックの投下作業を開始した。汚濁防止膜を設置後、埋め立て海域を堤防で囲む護岸工事を開始した後に海底に土砂を投入し、埋め立てることになる。」
⑤「10日には首都ワシントンで日米首脳会談が開かれる予定だが、ペンス副大統領の関係者によると、普天間移設問題を巡ってはマティス国防長官が日本側と協議した内容で十分と判断。米軍普天間飛行場の移設問題をめぐっては文書での確認のみにとどめ、通商や経済問題などが焦点となる可能性が高いという。」



by asyagi-df-2014 | 2017-02-07 16:38 | 沖縄から | Comments(0)

学校法人大阪朝鮮学園が大阪府と大阪市を相手取り、補助金不交付処分の取消しなどを求めた裁判で、大阪地方裁判所第7民事部は、大阪朝鮮学園の請求を全て却下、棄却する判決を言い渡した。

 標題について、朝日新聞は2017年1月26日、次のように報じた。


(1)学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市東成区)が、大阪府と同市による補助金の不支給決定の取り消しなどを求めた裁判の判決で、大阪地裁(山田明裁判長)は26日、決定は「裁量の範囲内」と認め、請求を棄却した。学園側は控訴の意向を明らかにした。朝鮮学校に対する自治体の補助金不支給をめぐる司法判断は初めて。
(2)補助金支給に際し、橋下徹府知事(当時)は2010年3月、「朝鮮総連と一線を画すこと」「北朝鮮指導者の肖像画の撤去」など4要件を提示。学園側は応じ、10年度分は支給された。しかし12年3月、生徒の訪朝が問題化。朝鮮総連との関係が疑われたため、府は11年度の補助金8080万円の不支給を決定。市も2650万円を不支給とした。
(3)判決は、補助金は憲法や関連法令からも、学園側に受給する法的権利があるわけではないと指摘。「ほかの学校と補助金に差異があっても直ちに平等原則には反しない」とした。不支給になれば「学習環境の悪化などが懸念される」と言及したが、府の要件を満たしていない以上、「支給を受けられなくてもやむを得ない」と述べた。また、支給先選びや要件提示について「府の裁量の範囲内」と認定。学園側が「教育への不当な政治介入で違法・無効だ」と主張した点については「学園を狙い撃ちした措置ではない」と退けた。さらに市の不支給についても「違法な手続きはない」とした。
(4)京都大大学院教育学研究科の駒込武教授(教育史)は「民族的少数者が自国の言語や文化を学ぶことは子どもの権利条約で保障されているのに、府は4要件で国同士の関係を教育に持ち込んだ。明らかな狙い撃ちだが、判決はそれを追認してしまった」と批判。「行政に一定の裁量があるのは事実だが、恣意(しい)的な判断では行政への信頼が失われる」と話した。
(5)判決を受け、大阪府の松井一郎知事は「府の主張が認められた。今後とも私立学校の振興に努める」とコメント。大阪市の吉村洋文市長は会見で「朝鮮学校に補助金支給は考えていないので極めて妥当な判決。今後も方針は変わらない」と話した。


 この判決について、「大阪朝鮮学園・補助金裁判不当判決に抗議する研究者有志」は2017年2月1日、声明を発表し、抗議した。
 この「声明」を要約する。


Ⅰ.判決の経過(背景)


(1)大阪朝鮮学園に対する補助金交付は、大阪府からは1974年度以来40年近くにわたって、また大阪市からも1990年度以来20年以上も継続された事業でした。ところが2010年3月、当時の橋下徹大阪府知事は突如、大阪朝鮮学園に対し、学習指導要領に準じた教育活動を行うこと、特定の政治団体と一線を画すこと、特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと、などのいわゆる「四要件」を補助金交付の条件として一方的に提示しました。
(2)2011年の秋には、教室だけでなく職員室からも肖像画を外すよう大阪府の要求がエスカレートしていきます。そして2012年3月、大阪府が交付要綱を「四要件」に即して改悪したのち、毎年恒例の平壌での迎春公演に朝鮮学校の児童・生徒が参加している旨を『産経新聞』が報道すると、大阪府はこれが「四要件」に抵触するとして補助金全額の不交付を決定しました。続いて大阪市も大阪府の決定に追随し不交付を決めました。大阪市が交付の根拠となる要綱を改定したのは不交付決定後のことでした。


Ⅱ.判決の問題点


(1)大阪府が日朝関係の悪化を背景に定めた「四要件」が、朝鮮学校を標的とする政治的意図をもっていたことは明らかです。「学習指導要領に準じた教育」を求めることも、教室や職員室における掲示物の適否を云々することも、行政による裁量の範囲を逸脱した干渉です。しかし判決文はこの「四要件」を含む要綱も「地方公共団体内部の事務手続」を定めたものであるから問題はなく、朝鮮学校を狙い撃ちにしたとは言えないと大阪府を擁護しました。
(2)さらに補助金不交付による児童・生徒の学習環境悪化、保護者の経済的負担増大などの悪影響については、補助金が学校法人への助成という枠組みを前提としている以上やむを得ない、とさえ述べています。判決文に司法の独立性を担保するような判断はまったく見られず、形式的な議論に終始することによって行政の不当な措置を追認し、正当化するだけのものとなっています。
(3)大阪府前知事の「四要件」提示を発端とする大阪での動きは、文部科学省の「高校無償化」制度からの朝鮮学校排除とあいまって、他の地方公共団体による補助金の打ち切りや減額を誘発しました。2016年3月には、文部科学省が朝鮮学校への補助金を交付してきた28都道府県の知事あてに、制度の再チェックを求める通知を発したため、各地方公共団体は対応を余儀なくされました。こうした日本政府・地方公共団体による朝鮮学校に対する狙い撃ち的な差別政策が、事実上、朝鮮学校は排除してもよいのだという排外主義的な思想を「上から」流布、扇動する機能を果たし、民族教育に対する風評被害をもたらしてきたのです。かかる状況を振り返るとき、わたしたちは、「人権の砦」であるはずの司法がこれに「お墨付き」を与えたことを、きわめて深刻な事態として捉えざるを得ません。
(4)今回の不当判決によって無残な形で否定されたのは、大阪朝鮮学園の訴えだけではありません。日本社会の良識であり、民主主義であり、人権意識であり、植民地主義を克服しようとする歴史認識なのです。
(5)教育の機会均等実現や民族教育の保障は、憲法をはじめとする国内法規や国際人権法に定められ、政府・地方自治体として実行しなければならない責務でもあります。実際に2014年9月には、国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対して、朝鮮学校への「高校無償化」制度の適用とともに、地方自治体の補助金の再開・維持を要請するよう勧告しています。しかし今回の不当判決は、憲法や国際人権法などが「補助金の交付を受ける権利を基礎付けるもの」ではないとして、このような勧告に明らかに逆行する判断を示しました。


Ⅲ.主張


(1)わたしたち研究者有志は、これを子どもの学習権や民族教育の意義を一顧だにしない不当判決と捉え、強く抗議します。
(2)わたしたちは今回の大阪地裁判決を決して認めることができません。
(3)朝鮮学校への補助金制度を維持している各地方公共団体には、大阪地裁の不当判決を補助金交付見直しの口実としないよう、そして既に補助金を停止している地方公共団体にはこの判決を自己正当化のために悪用しないよう求めます。
(4)わたしたちは地方公共団体が、歴史的経緯と国際基準に照らして民族教育の権利を保障し、朝鮮学校への補助金交付を維持、発展させることを求めます。
(5)あわせて政府・地方公共団体の文教政策において、朝鮮学校に対するレイシズム(人種・民族差別)をただちに中断するよう求めます。


 私たちは、「大阪朝鮮学園・補助金裁判不当判決に抗議する研究者有志の声明」が説く次の指摘をあらためて再認識しなければなりません。


Ⅰ.今回の不当判決によって無残な形で否定されたのは、大阪朝鮮学園の訴えだけではありません。日本社会の良識であり、民主主義であり、人権意識であり、植民地主義を克服しようとする歴史認識であること。
Ⅱ.2014年9月には、国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対して、朝鮮学校への「高校無償化」制度の適用とともに、地方自治体の補助金の再開・維持を要請するよう勧告している。しかし今回の不当判決は、憲法や国際人権法などが「補助金の交付を受ける権利を基礎付けるもの」ではないとして、このような勧告に明らかに逆行する判断を示したものであること。



 以下、朝日新聞及び「大阪朝鮮学園・補助金裁判不当判決に抗議する研究者有志の声明」の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2017-02-07 11:50 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

2017年1月2日の「TOKYO-MXTV」の番組「ニュース女子」。(10)-東京新聞<「沖縄ヘイト」言説を問う>(2) 専修大文学部教授・山田健太さん」さんより-

 東京新聞は2017年2月3日、この問題について、「東京新聞<「沖縄ヘイト」言説を問う>(2) 専修大文学部教授・山田健太さん」の記事を掲載した。
 東京新聞は、この特集について、「東京MXテレビの番組『ニュース女子』が一月二日に放送した内容について、沖縄の米軍基地に異議を唱える人びとへの憎悪を広めた『ヘイト放送』との批判が出ている。番組の奥にある本質は何か。識者に聞く。」、と位置づける。
 山田健太さんは、次のように発言している。


(1)言論の多様性という観点からは、いろいろな意見が番組内で紹介されるのはいいことだ。違う意見があるということを意識し、それをうまく乗り越えることで社会が強くなっていく。
(2)だが「言論の自由」と「自由な言論」は違う。表現の自由があるからといって、何でも言っていいわけではない。どこまで表現の自由が許されるかは、市民社会の中で合意ができてくる。例えば、川崎のヘイトスピーチのデモが止まったのは、まさに市民力だと考えている。
(3)沖縄の米軍基地反対運動を扱った東京MXテレビの番組「ニュース女子」は、ニュースバラエティーとはいえニュースという冠をつけており、基本は事実に基づいたものであるべきだ。事実と意見は峻別(しゅんべつ)するのがルールだが、番組ではどこまでが意見で何が事実か分からない。ジャーナリズムは真実を追求し、誠実に伝えるべきだが、今回はどちらも努力の跡が見られない。事実に基づくというジャーナリズムの原理原則に反しており、非常に問題がある。
(4)沖縄返還前はもちろん、その後も、本土の沖縄への無関心は続いた。二〇〇〇年代後半の集団自決を巡る教科書検定問題以降は、沖縄に関する報道量が増えた。だが、沖縄県民の思いに寄り添う視点というより、政治的な意味で大きく扱われることが多く、今度は沖縄への偏見が表面化するようになった。
(5)ここ数年は特に、本土と沖縄の分断だけではなく、沖縄県内の対立をあおるような報道が増えている。メディアが市民の間の分断を後押ししている感がぬぐえない。政府や政治家の言動を「そのまま」伝える報道が増えるほど、沖縄の新聞は偏向しているとか、市民運動は過激派が主導しているといった、沖縄に対する誤ったイメージが広がっていくように思う。これは結果として、沖縄の分断にメディアが消極的な加担をしていることにならないか。
(6)表現の自由のためには、公権力が自らが気に入らない報道内容に、偏向報道や誤報などと言い掛かりをつけるようなことを許してはならない。一方、いきすぎたメディアについては一刀両断に切るのではなく、市民社会の中で表現の自由の限界を議論し、メディア自身が気付いて直していくことが大切だ。


 確かに、山田さんの「ニュースという冠をつけており、基本は事実に基づいたものであるべきだ。事実と意見は峻別(しゅんべつ)するのがルールだが、番組ではどこまでが意見で何が事実か分からない。ジャーナリズムは真実を追求し、誠実に伝えるべきだが、今回はどちらも努力の跡が見られない。事実に基づくというジャーナリズムの原理原則に反しており、非常に問題がある。」、との指摘がそのまま当てはまる。
 また、「表現の自由のためには、公権力が自らが気に入らない報道内容に、偏向報道や誤報などと言い掛かりをつけるようなことを許してはならない。一方、いきすぎたメディアについては一刀両断に切るのではなく、市民社会の中で表現の自由の限界を議論し、メディア自身が気付いて直していくことが大切だ。」、との指摘も、自分たちの立ち位置として重要である。





by asyagi-df-2014 | 2017-02-07 08:14 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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