2016年 12月 22日 ( 3 )

沖縄-辺野古・高江から-2016年12月22日

沖縄県議会は、オスプレイ墜落に抗議決議、ニコルソン氏更迭も要求。
 これが、沖縄の「民意」。
 命を守るための「民意」。

山城さん、「最後に。多くの皆さまに支えられ、心身ともに元気です。ご安心ください」、と。
 頭が下がる。


 2016年12月22日、沖縄-辺野古・高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-新基地建設、国が知事権限封じ検討 工法変更の申請回避-2016年12月22日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府が翁長雄志知事の承認が必要となる埋め立て計画の設計概要の変更申請を避けることを検討していることが21日までに分かった。知事権限で工事が足止めされるのを避ける目的で、政府は既に技術的な検討を防衛省に指示した。」
②「変更申請の承認を得ない場合、沖縄防衛局は2013年12月に前知事に承認を得た当初計画の通り、工事を進めなければならない。ただ大型の埋め立て工事は進捗(しんちょく)に伴い出てきた課題に対応するため、複数回の変更申請をするのが通例。これを避けた場合、想定外の事態で工費が膨大になったり、環境への影響が避けられなかったりする懸念が生じる。」
③「翁長知事は昨年10月に前知事の埋め立て承認を取り消したが、今月20日の最高裁判決でこの取り消し処分は『違法』だと判断された。知事は判決に従って承認の効力を近く復活させる方向で作業を進めている。一方、翁長知事が敗訴後も新基地建設を阻止する立場を崩さない中、変更申請の不承認は、知事が今後も行使し得る有力な権限の一つとして県は注目している。同じく防衛省が実施した岩国基地(山口県)滑走路の沖合移設事業では、防衛省は合計8回の変更申請を山口県に申請している。ただ美謝川の切り替えなど一部の設計変更について沖縄防衛局は、知事と同じく移設計画に反対する稲嶺進名護市長による権限行使を回避するために検討した経緯もある。」


(2)琉球新報-嘉手納基地で重大事故 クラスA、哨戒機破損 米軍「軽微な事案」-2016年12月22日 08:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米海軍によると、米空軍嘉手納基地配備のP8哨戒機が19日、牽引(けんいん)装置が外れて機体に衝突し、破損する事故を起こした。米海軍安全センターは同事故を、最も重大な事故と位置付けられる『クラスA』と分類した。米海軍は『事故は小規模だ』とし、沖縄防衛局を通じて県と周辺自治体に事故翌日の20日午後6時ごろに通報した。
②「米軍機を巡っては今月13日に米海兵隊普天間飛行場所属のオスプレイが名護市安部の浅瀬に墜落し、同じく最も重大な規模の『クラスA』事故と判定された。同日には別のオスプレイが普天間で胴体着陸を起こしている。また、9月には米本土所属の海兵隊AV8ハリアー戦闘機が本島東沖で墜落するなど、重大事故が相次いでいる。」
③「米海軍はP8哨戒機の事故について『基地内で牽引を伴う通常整備中、航空機の前輪部分と胴体下部に軽微な破損が生じた』としている。一方、米海軍安全センターは牽引装置が外れ、機体に衝突したことが原因と記録する。」
④「クラスA事故は200万ドル(約2億3500万円)相当の被害や航空機の損壊、死者が出るなどした場合に適用される。負傷者はおらず、米海軍は事故原因などを調査中。」
⑤「防衛局は20日午後5時に米軍から通報を受け、約1時間後に県と嘉手納町、沖縄市、北谷町にファクスや電子メールで事故を伝えたが、『牽引を伴う通常整備中、P8の前輪と胴体下部に小さな破損が生じた』『軽微な事案に対する調査が行われている』と、軽微な事故であるとしていた。」
⑥「琉球新報は21日、米海軍に『小規模』と説明する事故がクラスAに分類された理由を質問したが、米海軍は同日夕、『追加提供できる情報はない』と回答するにとどめた。」


(3)琉球新報-名護市の久志13区長が抗議決議 「オスプレイ配備撤回を」 辺野古、豊原も-2016年12月22日 07:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「名護市安部区へのオスプレイ墜落に関し、同市の久辺3区と二見以北10区の計13区でつくる久志支部区長会(会長・比嘉徳幸三原区長)は21日に同市久志支所で開いた区長会で、オスプレイの配備撤回へ速やかに取り組むよう要請する抗議決議を全会一致で可決した。現場となった安部区に加え、米軍普天間飛行場の辺野古移設を条件付きで容認する立場の辺野古区長や豊原区長も含む地元の区長会の一致した意見として国へ『住民の生命、安全や生活環境を守る立場から重大な問題で強く抗議する』と強調する。」
②「住民の生命・財産を守るため、基地問題を巡る考え方を超えて一致した抗議を示す異例の決議。市内の全55区の区長会でも抗議決議を出す方向で調整中。区長会代表が来週にも沖縄防衛局を訪ねて抗議決議を提出する見通し。久志支部区長会の比嘉会長は『万が一、(辺野古の米軍)キャンプ・シュワブに落ちていたら弾薬庫もある中で大惨事になりかねない』と指摘。政府の基地建設強行が進めば、辺野古、高江、伊江島でオスプレイが離着陸できる基地が新たに建設されることを踏まえ「市全体がその範囲に入っている。13区も含めてどこに落ちるか分からない」と述べた。」
③「シュワブが所在する辺野古区の嘉陽宗克区長は墜落からわずか6日後の飛行再開に『不信は大きい。事故を繰り返してはならない。住宅上空の訓練を防止するよう徹底してほしい」などと強調した。


(4)沖縄タイムス-米軍北部訓練場4千ha返還 沖縄への集中74%→70%に-2016年12月22日 07:52


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「日米両政府は21日、沖縄県の米軍北部訓練場で建設を進めていた四つのヘリパッドと進入路を米側に提供することで合意した。1996年の日米特別行動委員会(SACO)の最終報告に示された返還条件が整ったとして、22日午前0時に沖縄の本土復帰後最大の4010ヘクタールが返還された。沖縄における米軍専用施設・区域の割合は約74%から約70%になる。だが、沖縄へ負担が集中する状況は変わらない。」
②「安倍晋三首相とケネディ駐日米大使が21日、首相官邸で、返還について共同発表した。沖縄の基地負担軽減に取り組む姿勢をアピールし、名護市辺野古の新基地建設へ理解を求める狙いがある。安倍首相は『返還は基地負担の軽減にとどまらず、跡地利用を通じた地域振興にも大きく寄与する』とPR。一方で、ヘリパッドは名護市安部の海岸に墜落した新型輸送機オスプレイが使用する。県内からは不安の声が上がるため『米軍機の飛行安全の確保は円滑な米軍駐留の大前提。米側と連携を密にして万全を期していきたい』と述べた。ケネディ大使は『米国から日本への返還としては過去30年以上の中で最大規模』と強調した。」
③「翁長雄志知事は、オスプレイによる環境影響評価などが実施されていないことなどを批判し、式典を欠席する。菅義偉官房長官は会見で『(知事は)歓迎をするといって、数日後に取り消した。そんなに軽い話ではない』と皮肉った。」


(5)沖縄タイムス-「重大事故」地元連絡は1日半後 嘉手納の米軍機破損「軽微」と一報-2016年12月22日 08:12


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「沖縄県米軍嘉手納基地所属で海軍のP8A対潜哨戒機が19日午前6時ごろ、胴体下部と前輪を破損する事故を同基地内で起こしていたことが21日、分かった。海軍は事故の規模を4段階で最も重大な『クラスA』に分類した。名護市安部の海岸に13日墜落した海兵隊のオスプレイが19日午後2時ごろに飛行再開する8時間前に、別の米軍機が重大な事故を起こしていた。」
②「海軍安全センターの発表によると、同基地内でP8Aをけん引する際に棒が外れて、機体とけん引用装置が衝突し、機体の前輪と胴体が破損した。本紙は在沖海軍に事故の詳細を質問しているが、21日午後6時現在、回答はない。」
③「沖縄防衛局によると、事故から1日半過ぎた20日午後5時ごろ、米軍から事故の一報があった。防衛局は同日午後6時すぎ、県と嘉手納町、北谷町、沖縄市に『軽微な事案』が発生し、調査中であることをメールで伝えた。事故発生を伝えるメディア報道を受けて、21日午後に『クラスA』の重大事故と修正した。」
④「北谷町と嘉手納町、沖縄市でつくる『嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会』会長の野国昌春北谷町長は『オスプレイの墜落と胴体着陸と合わせ三つの重大事故が続いて起きていることは、米軍の態勢に問題があるのではないか』と述べ、年内にも米軍に再発防止を申し入れるとした。」
⑤「嘉手納基地では21日正午ごろ、重大事故を起こしたP8Aの同型機6機が基地内に並び、午後には離着陸する様子が目撃された。クラスAの事故は200万ドル(約2億3500万円)相当以上の被害や航空機の損壊、死者が出るなどした場合に適用される。」


(6)沖縄タイムス-沖縄県議会、オスプレイ墜落に抗議決議 賛成多数、ニコルソン氏更迭も要求-2016年12月22日 15:48


 沖縄タイムスは、「沖縄県議会(新里米吉議長)は22日、11月定例会の最終本会議を開き、与党が提案した米軍のオスプレイ墜落事故に抗議し配備撤回などを求める抗議決議、意見書を賛成多数で可決した。普天間飛行場の閉鎖・撤去と県内移設断念、在沖海兵隊撤退、ニコルソン四軍調整官の更迭なども要求している。」、と報じた。
また、「野党の沖縄・自民は墜落ではなく不時着として『重大事故』の抗議決議、意見書の両案を提案したが、賛成少数で否決された。中立会派の公明、維新は与野党のいずれの案も理解できるが、考えが一致しない部分もあるとして退席した。」、と報じた。


(7)沖縄タイムス-<米軍ヘリパッド>機動隊の姿なし 市民ら30人が抗議集会-2016年12月22日 14:27


 沖縄タイムスは、「東村高江の米軍北部訓練場N1地区メインゲート前で22日、午前8時から市民ら約30人が集まり、抗議集会を開いた。機動隊や資機材を搬入する工事車両の姿はなかった。東京から訪れた保育士の女性は『駅前で高江の問題を訴えている。私にできることは、自分の言葉で沖縄の現状を伝えることだ』とあいさつした。集会は午前11時に終わり、抗議活動に参加した市民らは政府主催の返還式典が行われる名護市喜瀬の万国津梁館前の抗議集会に向かった。」、と報じた。


(8)沖縄タイムス-北部訓練場「負担軽減」という名の機能強化 集落近くに着陸帯、オスプレイ年2500回使用-2016年12月22日 15:35


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「在日米軍最大の面積の沖縄県北部訓練場の過半返還で、日米両政府は『沖縄の負担軽減』を強調するが、新たな着陸帯6カ所が提供されることで機能強化につながる実態が、関連資料などから浮かび上がる。13日に墜落事故を起こしたMV22オスプレイの使用は、6カ所の合計で年間2520回が見込まれている。」
②「米海兵隊はアジア太平洋地域における戦略や基地運用計画をまとめた『戦略展望2025』の中で、『最大で51%の使用不可能な土地を返還し、新たな施設を設け、土地の最大限の活用が可能になる』と期待感を示している。東村高江周辺の新設ヘリパッドは、宇嘉川の河口部に設けた訓練区域と連動する形で、海からの上陸作戦や人員救助などの訓練を実施する狙いがある。」
③「沖縄防衛局が実施した自主アセスでは6カ所の選定理由を『米軍の運用上の要望』と明記。世界唯一のジャングル戦闘訓練施設として重用されてきた北部訓練場に、新たな機能を持たせる意図がうかがえる。北部訓練場内では既設22カ所と2015年に米側に引き渡したN4の新設2カ所を合わせ、24カ所のヘリパッドがある。既設の北側6カ所、南側1カ所の計7カ所を含む土地が返還され、N1(2カ所)とG、Hの計4カ所を新たに提供することで、ヘリパッドは21カ所になる。そのうち、15カ所でオスプレイを運用。年間の使用回数は計5110回に上ることから、高江集落に近い6カ所のヘリパッドで全体の半分の訓練を実施することが分かる。訓練場内にはオスプレイの低空飛行ルートも設定され、地上15~60メートルの地形追従飛行を年25回実施することも明らかになっている。」


(9)沖縄タイムス-「沖縄の苦境打開するには…」 勾留続く山城議長、現在の胸中語る-2016年12月22日 13:00


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「辺野古、高江の基地建設に対する抗議行動に絡んで起訴、勾留されている沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)が、接見の弁護士を通じて本紙のインタビューに応じた。『安倍政権のすさまじい攻勢を受けて翁長県政、全県民が苦境に立たされている。県民の団結で打開していく道はあるものと信じる』と述べた。」
②「政府は22日、北部訓練場の返還式典を開き、『負担軽減』を打ち出す。山城議長は『オスプレイ墜落事故を踏まえると、脅威の増大はあっても負担軽減はない。式典など冗談ではない。県民の怒りはますます強くなり、オスプレイパッドが完成しても抗議は続くだろう』と指摘した。」
③「山城議長は接見禁止処分が続いていて、弁護士以外は会うことができない。本紙は弁護士に書面で質問を託し、回答を得た。10月17日の逮捕後、山城議長がメディアの取材に応じるのは初めて。」
④【全文】山城議長への書面インタビュー
 -起訴事実について。
 「今後法廷の中で明らかにしていきます」
 -高江ヘリパッドが完成したとして、政府は返還式典を開き、負担軽減を打ち出す。
 「オスプレイ墜落事故を踏まえると、脅威の増大はあっても負担軽減はない。式典など、冗談ではない。県民の怒りはますます強くなり、オスプレイパッドが完成しても県民の抗議は続くだろう」
 -辺野古訴訟は県が敗訴し、工事再開の見通しだ。
 「訴訟の結論は今の裁判所の体制では予想できたことであり、最高裁で県が敗訴しても落胆はないし、県民の決意も揺るがないだろう。工事再開となれば、またたくさんの県民がさまざまな現場に駆け付けて、徹底した抗議活動を展開するだろう。翁長県政にあっては、政府の圧力はすさまじいものと予想されるが、ぜひ県民の思いをくんで、力強く取り組まれることを願っている」
 -オスプレイが墜落した。
 「懸念されていた事故がついに発生した。私たちはオスプレイが配備されようとした2012年から、普天間飛行場包囲行動や、高江・辺野古の闘いの現場を通して、オスプレイ配備撤回を求める運動を続けてきた。高江での飛行訓練、キャンプ・シュワブ、ハンセンでの飛行訓練、そして本島全域での飛行訓練。住宅地、市街地を問わない飛行訓練に恐怖を感じ、怒りが沸き立つ。県民が力を合わせて頑張る時と考える」
 -現場で抵抗する市民や、広く県民に訴えたいことは。
 「戦争国家へ邁進(まいしん)する安倍政権のすさまじい攻勢を受けて翁長県政、全県民が苦境に立たされていると思う。これまで培ってきた県民の団結で、この事態を打開していく道はあると信じる。県民の皆さま、頑張って参りましょう」

 「最後に。多くの皆さまに支えられ、心身ともに元気です。ご安心ください」


(10)琉球新報-北部訓練場返還式典に沖縄知事欠席 オスプレイ墜落に抗議-2016年12月22日 16:09


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米軍北部訓練場の過半の返還式が22日午後4時、名護市の万国津梁館で始まった。日本側から菅義偉官房長官や稲田朋美防衛相、米側からはケネディ駐日米大使やマルティネス在日米軍司令官らが参加している。返還面積は4010ヘクタールで日本復帰後最大となる。一方、沖縄に集中する在日米軍専用施設面積の割合は、返還後も70・6%(返還前は74・4%)が存在し、沖縄への過重な米軍基地集中の構図は続くことになる。式典は日米両政府高官のあいさつや返還記念写真の贈呈などが行われる予定。
②部分返還には東村高江集落を囲むように形成されるヘリコプター着陸帯六つの建設が条件だった。同着陸帯では今月13日に名護市で墜落事故を起こした米海兵隊の輸送機MV22オスプレイが主要機種として運用される。
③オスプレイの配備撤回を求めてきた翁長雄志知事は式典への欠席を表明、また墜落事故の発生を受けて政府に式典の中止を求めたが、政府は予定通り開催した。翁長知事はこの日夕から名護市で開催されるオスプレイ墜落事故に抗議する緊急集会に参加する予定。


 以下、琉球新報、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-12-22 18:21 | 沖縄から | Comments(0)

辺野古訴訟県敗訴を、沖縄タイムスの社説で考える。(2)

 最高裁は2016年12月20日、翁長雄志沖縄知事の名護市辺野古埋め立て承認取り消し処分を違法とする判断を下した。
この「辺野古訴訟沖縄県敗訴」について、琉球新報と沖縄タイムスの社説で考える。
 今回は、沖縄タイムスの主張を見てみる。
 沖縄タイムスは、驚くことに、「米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る問題は、この20年で最大かつ重大な局面を迎える。」、との位置づけの基に、このことについて社説の特集を組んで臨んだ。
 その見出しは、[県敗訴の構図]地方自治の精神ないがしろ、[民意の軌跡]差別的処遇への不満広がる、[環境と埋め立て]貴重生物の悲鳴が聞こえる、[新基地建設の行方]私たちの反対は変わらない、と分析されている。実は、こう並べてだけで、今回の最高裁判決を問題点と今後の沖縄の動向が窺えるものになっている。
 沖縄タイムスの社説を、一括して、まとめてみる。


Ⅰ.主張
(1)戦後70年余りも、米軍基地から派生する事件・事故の被害にさらされ続けている歴史を一顧だにしないばかりか、今後も基地負担を強いることを意味する中身だ。地方自治の否定もあからさまである。最高裁も沖縄の声を封じ込めた。
(2)辺野古違法確認訴訟の高裁判決に「新施設の建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間飛行場などの基地負担の軽減を求める民意に反するとはいえない」と都合よく解釈した一文がある。新基地に反対する民意と基地負担の軽減を求める民意は一つだ。民意を無視した負担軽減もあり得ない。県民の揺らぐことのない意思は、人権や自己決定権をないがしろにされてきた歴史、しまくとぅばの復興など沖縄らしさを大切にする動きとも共鳴し合っている。一人一人の心の奥底から発せられる「新基地ノー」の声は簡単には変えらないし、戻ることもない。
(3)私たちが100年後の未来に残したいのは豊かな自然である。米軍基地建設のため「宝の海」を埋め立てるのは最もやってはいけない愚行だ。
(4)この問題を強権的暴力的に解決しようとすれば、嘉手納基地を含む基地撤去運動に発展するのは必至だ。政府は復帰前のコザ暴動から学ぶべきである。
(5)軍の論理だけを優先し、住民の不安をそっちのけに訓練を再開する米軍。住民を守る立場にありながら、米軍を引き留めるのではなく、訓練再開に理解を示した政府。両者に共通するのは、県民不在の態度だ。翁長知事がいつにも増して激しい口調で怒りをぶちまけたのは、こうした現実に対してである。その思いを多くの県民が共有しているといっていい。県民の失望と怒りを軽く見てはいけない。翁長知事を追い込んではならない。
(6)米兵による暴行事件に端を発した沖縄からの異議申し立てを受け、日米特別行動委員会(SACO)は1996年4月、在沖米軍基地の整理・統合・縮小計画を盛り込んだ中間報告を発表した。「新たな基地建設を伴う返還はしない」というのが防衛庁(当時)の基本的考えだった。普天間飛行場については、代替施設として「基地内」に「ヘリポート」を整備することが盛り込まれた。当初は辺野古などという話はなかったのである。
(7)政府は、負担軽減と危険性除去を強調する。普天間の固定化を防ぐために辺野古の代替施設が必要なのだと、政府は言う。その主張はあまり説得力がない。危険性除去を優先するのであれば、新基地建設を断念し、別の選択肢を探るのが近道だ。
(8)代替施設が完成するまで数年以上かかるといわれる。オスプレイの墜落事故を経験した住民に、それまで辛抱しなさいというのか。その間に事故が起きないことを政府は保障できるのか。米政府高官が指摘したように、沖縄への基地集中は異常である。あまりにも小さな島に、多くの卵を詰め込み過ぎる。戦後ずっとこの状況が変わらないというのは政府と国会の怠慢である。


Ⅱ.判決の問題点
(1)最高裁は判決で、辺野古新基地の面積が普天間飛行場と比較して相当程度縮小されることや、環境保全対策が取られているなどとして、前知事の判断に「不合理な点はない」と認定した。高裁判決を踏襲するものだ。だが面積を減らせば基地の負担軽減につながるわけではない。辺野古新基地には2本の滑走路が設計され、普天間にはない強襲揚陸艦が接岸できる岸壁や弾薬搭載エリアが新設される。耐用年数200年といわれ、沖縄は半永久的に基地の島から逃れられない。
(2)県は辺野古新基地の建設を強行することは憲法92条の地方自治の本旨(沖縄県の自治権)を侵害し憲法違反として上告していた。最高裁は今月12日付で棄却している。国と地方公共団体との関係が「上下・主従」から「対等・協力」に大転換した1999年の地方自治法改正後、初めての訴訟である。最高裁が審理せずに棄却したのは改正の精神をないがしろにしていると言わざるを得ない。
(3)米軍基地は日米地位協定によって米軍の排他的管理権が認められ、国内法が及ばない。沖縄では米軍絡みの事件・事故では「憲法・国内法」の法体系が「安保・地位協定」によって大きな制約を受けているのが現実なのである。基地内の事故や環境調査もままならず、自治権が侵害されるケースは枚挙にいとまがない。米軍絡みでは民間地も同じだ。オスプレイが名護市安部に墜落した事故で、住民の生命や生活、人権を守る責務を負わされている名護市のトップである稲嶺進市長が現場に近づくことができず、県が水質検査をすることができたのは6日後である。2004年の普天間所属の大型ヘリコプターが沖縄国際大に墜落、炎上した事故で警察や行政が米軍が張り巡らせた規制線から排除されたことと何も変わっていない。
(4)最高裁が審理するのは憲法違反や法令・判例違反に限られることから、事実認定としては高裁判決が確定する。高裁判決は「普天間の被害を除去するには辺野古に新施設を建設する以外にない」としたり、北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」をことさら取り上げ、射程外となるのはわが国では沖縄などごく一部などと国の主張をなぞるように「地理的優位性」を強調して批判を浴びた。最高裁判決はこれらに触れなかった。最高裁が弁論を開かず判決を言い渡すことを決めたからである。とても納得できるものではない。


Ⅲ.民意という事実
(1)2012年秋、県企画部が実施した県民意識調査で、在日米軍専用施設の約74%が沖縄に集中する現状に、7割を超える人たちが「差別的だ」と回答した。普天間飛行場にオスプレイが強行配備された時期と重なるこの調査以降、「差別」という言葉が沖縄の基地問題を語るキーワードとして頻繁に使われるようになった。
(2)同じころ実施されたNHK放送文化研究所の沖縄県民調査からも、基地の過重負担を問う民意を読み取ることができる。県民の基地に対する考え方を1992年と2012年で比較すると、「全面撤去」と答えた人が34%から22%に減った半面、「本土並みに少なく」は47%から56%に増えている。
(3)普天間飛行場の辺野古移設を巡って顕在化してきたのは、沖縄だけに基地を押しつける差別的処遇への怒りであり、日米安保の負担の適正化を求める声だった。新基地建設に反対する県民世論の基調は、10年ごろから変わっていない。
(4)本紙が朝日新聞と琉球朝日放送(QAB)と共同で実施した15年の県民意識調査では、辺野古移設は「反対」が66%を占め、「賛成」の18%を大きく上回った。「辺野古が唯一」だと繰り返す政府の説明の欺瞞(ぎまん)性を見抜き、基地と振興策をリンクさせる手法にも「ノー」を突き付け、不公平な負担の解消を求めてきたのだ。
(5)「新基地建設は許さない」との民意は、選挙でも示され続けた。端的に表れたのは14年の名護市長選、県知事選、衆院選沖縄選挙区、今年に入ってからの県議選、参院選沖縄選挙区だ。県知事選で保革双方から支持された翁長雄志氏が現職に10万票近い大差をつけて当選したのは、住民意識の変化を決定づけるものだった。


Ⅳ.環境権からの指摘
(1)辺野古の大浦湾一帯は、琉球列島に広がるサンゴ礁生態系の中でも、特に生物多様性が豊かな地域である。埋め立てが進み新基地が建設されれば、私たち「島人(しまんちゅ)の宝」である美しい自然の一つを失うことになる。
(2)昨年7月、環境問題などの専門家からなる県の第三者委員会は、埋め立て承認までの手続きに「法的瑕疵(かし)があった」とする報告書をまとめた。翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しは、これを受けたものだ。131ページもの詳細な検証結果の半分以上をさいたのが「環境」の項目である。報告は国の埋め立て申請が辺野古の海の重要性を低く評価し、環境保全策が科学的に実効性あるものになっていないことなどを厳しく指摘する。
(3)国の天然記念物ジュゴンの保護策一つをとっても不備は明らかだ。国はジュゴンが「辺野古地先を利用する可能性は小さい」としたが、実際は環境団体によって多くの食(は)み跡が確認されている。海草藻場についても移植などによる保全措置を講じるとするが、その技術はいまだ確立されていない。
(4)そもそも辺野古アセスはオスプレイ配備を最終段階までふせるなど、専門家から「史上最悪」と言われるほど問題が多かった。2012年初め、沖縄防衛局が出したアセス評価書に対する仲井真弘多前知事の知事意見は579件にも及んだ。「評価書で示された措置では環境保全は不可能」と断じたのだ。翌年11月、補正後の評価書に対して県環境生活部が出した意見も48件に上った。現状では基地から派生する環境問題に日本側が対応できないことなども挙げ「懸念が払拭(ふっしょく)できない」と結論づけた。
(5)仲井真氏が埋め立てを承認したのは、それからわずか1カ月後。承認に至る経過は著しく透明性を欠き、正当性にも疑義が生じるものだった。
(6)新基地予定地は、県の自然環境保全指針で厳正な保護を図る「ランク1」に指定され、環境省の「重要海域」に選定された地域である。基地のない地域では自然を守ることが優先されるのに、沖縄では県や国の環境政策との整合性を保つことさえできない。


Ⅴ.沖縄県と国の今後の動向
(1)翁長知事は、埋め立て承認の取り消し処分を取り消す手続きに入る。だが、来年3月に期限が切れる埋め立てに必要な海底の岩礁破砕許可や、埋め立て区域内から区域外へ移植するサンゴの採捕許可、工事の設計・工法の変更に伴う審査など知事権限を最大限行使して新基地建設を阻止する考えだ。
(2)一方、国は今年3月、県と和解が成立して以来、工事がストップしていることから再開を急ぐ方針だ。菅義偉官房長官は「日本は法治国家である。確定判決に従い、県と協力して移設工事を進めていく」と語る。徹底抗戦の構えの翁長知事をけん制するが、対立が続くことは間違いない。
(3)日米両政府が米軍普天間飛行場の移設条件付き返還に合意してから今年で20年。新基地建設問題は大きな曲がり角を迎えている。最高裁で敗訴したことを受け、翁長雄志知事は週明けにも、名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消し処分を取り消す意向を明らかにした。行政の長として最高裁判決を厳粛に受け止めるのは当然であるが、判決によって新基地建設問題に決着がついたわけではない。「ジ・エンド」(物事の終わり)だと考えるのは早計だ。
(4)この問題は最高裁の判決ですべてが解決するほど単純でも簡単でもない。翁長知事をはじめ多くの県民が新基地建設に反対し、公正・公平な基地負担を実現せよ、と道理にかなった主張を展開しているからだ。法的には仲井真弘多前知事の埋め立て承認が「適法」とされたが、政治的には依然として埋め立て承認「ノー」の民意が大勢を占める。


 さて、「県民の失望と怒りを軽く見てはいけない。翁長知事を追い込んではならない。」、という沖縄タイムスの主張こそ、植民者としての多くの日本人に向けた訴えである。
 まずは、日本人は自らの植民地主義を克服しなければならない、と。
 その上で、「軍の論理だけを優先し、住民の不安をそっちのけに訓練を再開する米軍。住民を守る立場にありながら、米軍を引き留めるのではなく、訓練再開に理解を示した政府。両者に共通するのは、県民不在の態度だ。」(沖縄タイムス)、という政治状況を変えなくてはならないということだ。


 以下、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-12-22 12:05 | 沖縄から | Comments(0)

辺野古訴訟県敗訴を、琉球新報の社説で考える。(1)

 最高裁は2016年12月20日、翁長雄志沖縄知事の名護市辺野古埋め立て承認取り消し処分を違法とする判断を下した。
この「辺野古訴訟沖縄県敗訴」について、琉球新報と沖縄タイムスの社説で考える。
 最初に、琉球新報の主張を見てみる。
 まず、琉球新報は今回の最高裁判決の問題点について、次のように指摘する。


(1)行政法の学者は埋立法の要件を極めて緩やかに解する高裁判決の同法違反を指摘する。また「普天間飛行場の危険性除去には辺野古新基地建設以外にない」などとする暴論を、行政の政策判断に踏み込む「司法権の逸脱」と批判し、国側主張を丸写しした「コピペ」との批判を浴びせている。
(2)最高裁判決は問題の多い高裁判決を全面踏襲した。「辺野古新基地の面積は米軍普天間飛行場の面積より縮小する」などとして新基地建設を妥当と判断した。県が主張した新たな基地負担増の指摘は一顧だにされていない。
(3)海域の環境保全策も「現段階で採り得る工法、保全措置が講じられている」として高裁判断を踏襲した。乱開発を防ぐ公有水面埋立法の理念からかけ離れた判断だ。
 普天間飛行場を辺野古に移設する妥当性、海域埋め立ての公有水面埋立法との整合性など慎重な審理が求められたが、最高裁は口頭弁論も開かずに県の主張を一蹴した。
(4)最高裁判決の根底にあるのは国策への追従姿勢だ。日米安保条約、不平等な地位協定に基づく沖縄への基地集中、負担強化の国策をただす姿勢のない司法の自殺行為、堕落と言うしかない。


 この上で、琉球新報は最高裁判決について次のように主張する、


(1)司法の国策追従は目を覆わんばかりだ。国の主張を丸飲みして正義に背をそむけ、環境保護行政をも揺るがす不当判決である。
(2)最高裁は翁長雄志知事の名護市辺野古埋め立て承認取り消し処分を違法とする判断を下した。行政法、憲法など多くの学者が誤りを指摘する福岡高裁那覇支部判決を無批判に踏襲する内容だ。政府が強行する辺野古新基地建設の埋め立て工事に司法がお墨付きを与えた。法治主義、地方自治を否定し、司法の公平性に背いて基地建設の国策を優先した。司法が担う国民の生命、人権、環境保護の役割を放棄したに等しい。
(3)辺野古新基地の新たな基地負担に司法が加担した。最高裁の裁判官は過酷な沖縄の現実に正面から向き合ったと胸を張って言えるだろうか。基地負担の軽減を求める県民の願いを司法が踏みにじったのである。
(4)加速する基地建設の動きの最中にオスプレイが墜落した。国に司法が追従する基地負担強化に県民の怒りは燃え盛っている。
(5)厳しくとも新基地建設翁長知事は辺野古訴訟敗訴が確定しても辺野古新基地建設を「あらゆる手段で阻止する」としている。事態はに反対する民意は揺るがない。



 琉球新報は、高々と、「厳しくとも新基地建設翁長知事は辺野古訴訟敗訴が確定しても辺野古新基地建設を『あらゆる手段で阻止する』としている。事態はに反対する民意は揺るがない。」、と掲げる。
 実は、この決意を支えるのは、本土の人間の役割である。



 以下、琉球新報、沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-12-22 08:13 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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