2016年 12月 18日 ( 3 )

沖縄-辺野古・高江から-2016年12月18日

 安倍晋三首相は、「事故に関しては『遺憾なことだ。同時に原因が究明されるまでは運航をやめてもらいたいと米国側に要請した。米側は運航を【止めてくれ】といってもなかなか止めなかったが、日本においては運航を一時的に止めてくれた』と成果を強調した。」、と2016年12月16日の夜のテレビ番組で、披露した。
 よもや、19日にオスプレイノ運行を再開させることはないはず。


 2016年12月18日、沖縄-辺野古・高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-「オスプレイ飛行再開許さず」 900人、辺野古で抗議集会-2016年12月18日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「名護市安部に米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落した事故を受けて、17日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で『オスプレイ墜落事故糾弾! 飛行停止と撤収、海兵隊の撤退を求める緊急集会』(基地の県内移設に反対する県民会議主催)が開かれた。約900人(主催者発表)が参加し、オスプレイの配備撤回、辺野古への新基地建設反対、海兵隊の撤退などに向け、決意を新たにした。」
②「沖縄平和運動センターの大城悟事務局長は『オスプレイについては何度も何度も配備撤回を求めてきたにもかかわらず飛行を続け、辺野古の新基地や高江ヘリパッドの建設が強行されている。新たな米軍施設の建設を止め、オスプレイを撤去させよう』と呼び掛けた。稲嶺進名護市長は『同様な事故はこれからも起こる可能性がある。オスプレイが配備撤回されるまで、新基地建設計画が撤回されるまで、諦めずに最後の最後まで頑張ろう』と述べ、辺野古の新基地建設反対の意思をあらためて強調した。登壇者らは米軍がオスプレイの墜落について『不時着』『「不時着水』と表現したことについて、『現場を見て誰一人として不時着と思っている人はいない』などと批判。飛行再開が打診されていることについては『オスプレイは構造的な欠陥がある。再開を許せば再び墜落事故が起きる』などとし、米軍と米軍の意向に追従する日本政府の姿勢に厳しい批判が相次いだ。」
③「参加者は『欠陥機は飛行を中止せよ』などとシュプレヒコールを上げた。」


(2)琉球新報-北部訓練場返還式典「祝う必要ない」 海外識者22人が批判声明-2016年12月18日 08:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「米国やオーストラリアなど海外の識者や市民運動家22人は17日、名護市で予定される米軍北部訓練場の過半の返還に伴う式典に対し『祝うことなどない』と題する共同声明を出した。声明は翁長雄志知事が東村高江周辺でのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)新設を止めるために、効果的な行動を起こさなかったと批判し『返還が周辺地域の軍事強化につながる限りは何も祝うことを見いださない』と強調した。」
②「共同声明を出したのはオーストラリア国立大のガバン・マコーマック名誉教授、国際平和ビューロー副会長のジョセフ・ガーソン氏、元米陸軍大佐で外交官も務めたアン・ライト氏ら。」
③「声明は日米両政府によるヘリパッド建設強行を批判し、市民らによる反対運動を支持すると表明。オスプレイ墜落事故で『沖縄の人々は危険性への恐怖感を新たにしている』と指摘した。県、県議会に対しても機動隊による実力行使を阻止するための効果的な対策を講じなかったと批判した。声明はオバマ大統領、安倍晋三首相、翁長雄志知事、新里米吉県議会議長宛て。」
④「声明を出した海外識者は次の通り。(敬称略、アルファベット順)」
▽ハーバート・ビックス(ニューヨーク州立大学ビンガムトン校歴史学・社会学名誉教授)
▽ピート・シマザキ・ドクター(「ハワイ・オキナワ・アライアンス」共同創立者)
▽アレクシス・ダデン(コネチカット大学歴史学教授)
▽マーク・イーリー(翻訳家)
▽ジョン・フェッファー(「フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス」ディレクター)
▽ノーマ・フィールド(シカゴ大学名誉教授)
▽ブルース・ギャグノン(「宇宙における兵器と核に反対するグローバルネットワーク」コディネーター)
▽ジョセフ・ガーソン(国際平和ビューロー副会長)
▽ローラ・ハイン(ノースウェスタン大学教授)
▽ポール・ジョバン(台湾国立中央研究院社会学研究所アソシエートリサーチフェロー)
▽エリン・ジョーンズ(研究家)
▽ジャン・ユンカーマン(ドキュメンタリー映画監督)
▽ピーター・カズニック(アメリカン大学歴史学教授)
▽ガバン・マコーマック(オーストラリア国立大学名誉教授)
▽デイビッド・マクニール(上智大学非常勤講師)
▽キャサリン・ミュージック(海洋生物学者)
▽乗松聡子(「アジア太平洋ジャーナル・ジャパンフォーカス」エディター)
▽スティーブ・ラブソン(ブラウン大学名誉教授)
▽マーク・セルダン(コーネル大学東アジア研究プログラム上級研究員)
▽ウェスリー・ウエウンテン(サンフラシスコ州立大学准教授)
▽デイビッド・バイン(アメリカン大学人類学准教授)
▽アン・ライト(元米陸軍大佐)


(3)沖縄タイムス-日本政府、オスプレイ飛行を容認 点検後に全面再開-2016年12月18日 08:40


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「在日米海兵隊のオスプレイが沖縄県名護市安部の海岸で墜落した事故で、日本政府が飛行再開を認める方針を固めたことが17日、分かった。オスプレイは13日の事故後、飛行停止している。米軍は伊江島補助飛行場に駐機している1機を点検のため米軍普天間飛行場へ飛行させたい意向を伝えており、所属機の点検が終わり次第全面的に再開するという。政府関係者が明らかにした。」
②「米側は訓練中に空中給油機のホースがオスプレイのプロペラに当たり損傷したとして、オスプレイの機体に問題はないとしていた。天候などが影響した訓練上のミスとみており、今後、空中給油時の対策を徹底する」。
③「関係者によると、13日午後11時45分ごろに、普天間飛行場内で着陸装置に故障を生じ胴体着陸した機体については、飛行中に操縦士が不具合を関知した。連絡を受けた消防車などが準備する間は、上空でホバリングするなどの手順を取った。政府は、制御可能な状態で緩やかな着陸が行われており、着陸装置の故障はオスプレイ特有の問題ではないと判断した。」
④「17日に墜落現場を視察した安慶田光男副知事は記者団に、県に対して正式に週明けに再開するという連絡はないとし、『事故原因が究明されるまでは再開しないようにと要請している。米軍、米国政府は、沖縄県民をはじめ日本国民、日本政府に真摯に応えていくべきじゃないか』と述べた。」


(4)琉球新報-海保が機体を撮影 オスプレイ墜落-2016年12月18日 14:11


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落した名護市安部の浅瀬で18日午前9時49分ごろ、ゴムボートに乗った中城海上保安部の職員5人が海域に残されている機体などを撮影した。保安部は米軍関係者が海上に設置した油防止膜(オイルフェンス)の外側から、海面に飛び出たオスプレイの一部などを撮影した。現場海域にいたのは約10分程度だった。第11管区海上保安本部は米側に捜査協力を申し入れているが、18日正午時点で米側からの回答はない。同日は米軍によるオスプレイの回収作業は行われていない。」、と報じた。


(5)琉球新報-オスプレイ 「反対では負担減進まず」首相、知事をけん制-2016年12月18日 10:11


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「安倍晋三首相は16日夜のTBS番組で、オスプレイ墜落に関し『一歩一歩着実に負担を軽減していく。それが政治家に課せられた使命だと思う。ただこれは反対だと唱えてもらうと一歩も進まないわけだ』と述べ、政府にオスプレイの飛行中止、配備撤回を求めている翁長雄志知事を念頭にけん制した。同時に『いかに大きな問題かを理解してもらえたと思う。しかし大切なことは今ある普天間基地、住宅地に囲まれた市街地の真ん中にある普天間基地を固定化させてはならないということだ』とも述べ、普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設予定地に近い同市安部に墜落したことには触れず、計画推進の必要性を主張した。」
②「事故につながった空中給油訓練で、オスプレイに給油していたKC130空中給油機を普天間から移駐し、自身の地元山口県の岩国基地が受け入れたと強調した。実際は移駐後もKC130が普天間にたびたび飛来し、今回の訓練も沖縄近海で行われていた。」
③「事故に関しては『遺憾なことだ。同時に原因が究明されるまでは運航をやめてもらいたいと米国側に要請した。米側は運航を【止めてくれ】といってもなかなか止めなかったが、日本においては運航を一時的に止めてくれた』と成果を強調した。」
④「稲田朋美防衛相が米側に求めたのは『安全が確認されるまでの飛行停止』で、安倍氏が言う事故の『原因究明までの運航停止』には踏み込んでいない。」
⑤米軍も墜落機の事故原因が不明な状態で飛行再開しているのが現状で、9月22日に本島東沖で墜落事故を起こしたAV8Bハリアー戦闘攻撃機は事故後飛行停止していたが、原因究明もなく事故から15日後に飛行再開した。」
⑥「米側はオスプレイも事故原因が不明なまま19日にも飛行させる考えを日本側に伝えている。」


(6)沖縄タイムス-オスプレイ墜落抗議集会、22日に名護で 翁長知事の出席を調整-2016年12月18日 12:26


 沖縄タイムスは、標題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設に反対する政党や企業、市民団体などでつくる「オール沖縄会議」は17日、那覇市内で幹事会を開き、名護市での米軍オスプレイ墜落事故に抗議する集会の開催を決定した。」
②「22日午後6時半から名護21世紀の森屋内運動場で2千人以上の参加を目指し、抗議と同時にオスプレイの配備撤回を求める。事務局によると翁長雄志知事の出席も調整しているという。また、県と国の『辺野古違法確認訴訟』を巡り、最高裁判決が言い渡される20日の午後5時半に衆院第一議員会館で報告集会、21日正午に福岡高裁那覇支部前の城岳公園で抗議集会をそれぞれ開くことも決めた。」
③「玉城愛共同代表は幹事会後の会見で『オスプレイは欠陥機だと県民が指摘する中で墜落した。裁判では県が敗訴の方向となり、国は暴力的に辺野古反対の沖縄の声を踏みにじろうとしている』として各集会を開く意義を強調した。」


 以下、琉球新報、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-12-18 18:02 | 沖縄から | Comments(0)

「土人」「シ「ナ人」発言を考える。(39)

 大阪府警の機動隊員による「土人」「シナ人」発言を考える。
 「差別する側の意識が変わらないと問題は解決しない」、と識者は評する。
 つまり、差別する側の植民者の自覚がなされるのかどうかだ。
 人種差別撤廃条約に違反する問題なのだ。


 沖縄タイムスは2016年11月14日、「二重の差別意識が隠れている 精神科医・香山リカさん【インタビュー「土人」発言・18】」、とのインタビュー記事を掲載した。
 香山リカさんは、次のように語る。


(1)9月に短い期間だったが高江に行った。地元住民が静かに粘り強く抗議する姿に、「これは政治闘争ではなく暮らしを守る闘いだ」と思った。しかし東京に戻ってこの話をしても、正直言って反応は鈍い。「大変なのはわかるが、ここは沖縄の人たちに我慢してもらって」と思っているのだ。自分で意識していない人もどこかで沖縄を見下している。これは沖縄に対する差別にほかならない。
(2)「土人」発言には、二重の差別意識があると思う。「権力者が決めたことなのだから建設計画に従うべき」という権力側にいる機動隊員として一般市民を見下す意識、さらに「特に沖縄は黙って受け入れるべきだ」と沖縄に対する差別が加わっている。そして残念ながら、後者の「沖縄への差別」は多くの人の意識の中に隠れていることは先に言った通りだ。
(3)人は真実を指摘されると、かえって否定して認めないことがある。「差別ではない」と取り繕う鶴保大臣らの態度にもそれを感じる。沖縄の人たちはひるむことなく、「差別するな」と声を上げてほしい。
(4)応援する人たちは本土にもたくさんいる。私たちは、もう決して沖縄を見捨てたりしない。そう心に決めたのは私だけではないはずだ。


 もしかしたら、「これは政治闘争ではなく暮らしを守る闘いだ」、と言いつくろう必要はないことなのかもしれない。
 しかし、「応援する人たちは本土にもたくさんいる。私たちは、もう決して沖縄を見捨てたりしない。そう心に決めたのは私だけではないはずだ。」、とする人の決意には繋がりたい。


 以下、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-12-18 14:01 | 沖縄から | Comments(0)

「オスプレイが沖縄県名護市の安部の浅瀬に墜落」を各紙の社説・論説で考える。

 標題について、「47NEWS-社説・論説」から、2016年12月15日づけのものを取りあげる。
 その見出しは、次のものである。
(1)北海道新聞社説-オスプレイ事故 やはり起きてしまった
(2)信濃毎日新聞社説-オスプレイ事故 徹底した究明と公表を
(3)中日新聞社説-オスプレイ事故 家の上に落ちていたら
(4)福井新聞論説-オスプレイ不時着、大破 犠牲リスクさらに高まる
(5)神戸新聞社説-オスプレイ大破/沖縄県民の不安が現実に
(6)山陽新聞社説-オスプレイ事故 安全への不安が現実に
(7)高知新聞社説-【オスプレイ事故】国は毅然とした対応取れ
(8)佐賀新聞論説-オスプレイ事故 徹底的な原因究明求めよ
(9)南日本新聞社説-[オスプレイ大破] 総点検まで運用停止を
(10)琉球新報社説-オスプレイ墜落 海兵隊撤退しかない 訓練場返還式典は中止せよ
(11)沖縄タイムス社説-[オスプレイ墜落]海兵隊撤退へ舵を切れ
 また、全国紙2016年12月15日付けの社説は次のようになっている。
(12)朝日新聞社説-オスプレイ大破 懸念が現実になった
(13)東京新聞社説-オスプレイ事故 家の上に落ちていたら
 特徴的なのは、「墜落」という言葉を使用したのが、沖縄の二紙だったことだ。これは、二社の記者が現地を踏み、正確に伝えようとしたことの現れである。ただし、他社も、大本営発表の「着水」は使用していない。大本営発表をそのまま伝える「愚」からは逃れられている。
 「海兵隊撤退」と触れることができたのは琉球新報と沖縄タイムスだけであった。
 「訓練場返還式典の返還等」については、北海道新聞・中日新聞(東京新聞)と沖縄の二社が触れていた。
 「オスプレイの安全への不安」と「沖縄への配慮」及び「原因の徹底追究」をそれぞれの地方紙が取りあげている。
 地方紙と全国紙の二社の主張は、差異は少ない。
各新聞社の主張をまとめると次のようになる。


Ⅰ.北海道新聞社説
(1)重大事故への懸念が、日本国内で初めて現実になった。オスプレイは開発段階から墜落事故が相次いでおり、構造上の欠陥を指摘する声は根強い。危険性が拭えない米軍機を、普天間のような住宅密集地の中にある基地に配備すること自体、やはり根本的な問題がある。
(2)翁長知事は欠席の意向を事故前から表明している。県の抗議にもかかわらず、近くでオスプレイが危険な訓練を繰り返していることなどが理由だ。日米両政府は、式典よりも考えるべきことがあるのではないか。
(3)大切なのは沖縄における危険の除去である。普天間飛行場を名護市辺野古に移したところで、それは危険のたらい回しでしかない。

Ⅱ.信濃毎日新聞社説
(1)安全性への不安を募らせる事故だ。原因を徹底究明し、つぶさに公表する必要がある。
(2)日本政府は安全が確認されるまでの飛行停止を要請し、米側は運用を当面停止するとした。当然である。ケネディ駐日米大使は飛行再開についても日本政府と緊密に調整したいと述べている。政府は国民に対し状況を逐一、説明する必要がある。原因究明を米軍任せにはできない。地元の海上保安部は航空危険行為処罰法違反容疑で捜査に着手した。何があったのか、しっかり解明しなくてはならない。
(3)飛行の停止だけでなく、配備についても政府は米国側との交渉や再検討をすべきだ。沖縄県の翁長雄志知事は「直ちにオスプレイの飛行を中止して配備撤回を求めたい」と述べている。名護市や沖縄本島北部にある米軍訓練場の地元でも抗議の声が上がった。
(4)沖縄だけではない。米軍の定期整備拠点に選ばれた陸上自衛隊木更津駐屯地、経由地として頻繁に飛来している米軍岩国基地、陸自が導入する機体の配備を要請されている佐賀空港など、各地で動揺が広がっている。米空軍の訓練空域は長野県内を含め、全国に及ぶ。国民の間に不安を残したまま配備を進めれば反発が高まるだけだ。

Ⅲ.中日新聞社説(東京新聞)
(1)沖縄県名護市沖で米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが「不時着」した。起こるべくして起きた事故だ。米側は同機の飛行を一時停止すると表明したが、同機の国内配備そのものを見直すべきだ。
(2)米側は同機の安全性を確認するまで飛行の一時停止を表明したが、沖縄への配備そのものと、ヘリパッド建設を中止すべきだ。オスプレイは普天間飛行場に二十四機が配備され、東京の横田基地にも配備計画がある。日本は主権国家らしく米国に対峙(たいじ)すべきで、米国に黙って従い配備を続行するのは無謀でしかない。
(3)ヘリパッドの年内完成を急ぐ日米両政府は二十二日に北部訓練場の返還式典を予定しているが、翁長雄志知事は出席しないと表明した。オスプレイが重大事故を起こして何をことほぐのか。工事を即刻中止し、式典も中止すべきだ。

Ⅳ.福井新聞論説
(1)沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は配備撤回を要求している。17機を導入した陸上自衛隊は2019年度から佐賀空港に順次配備する計画で、住民らの不安が広がる。事故原因の徹底究明は当然だが、米軍の十分な情報提供がなされるかだ。早期の運行再開は許されない。
(2)あろうことか、米軍側は民家などを避けて被害を防いだ操縦士をたたえ、「感謝されるべきだ」などと高飛車な態度を取っている。日本を見下す姿勢がはからずも露呈した。那覇の海上保安本部は捜査を受け入れるよう米軍に申し入れている。決して事故を矮小(わいしょう)化させてはならない。
(3)日本政府は米側が飛行を一時停止し、再開についても話し合う意向を示したことを評価した。日米同盟の緊密な連携を強調する狙いだろうが、沖縄の抗議を無視して強行配備した責任は日本政府にもあるのだ。
(4)問題の根深さは日米安全保障条約に基づく日米地位協定の不平等条約にある。米軍の軍事機密がどれだけ提供されるのか。配備要請を受けている佐賀県など他の関係自治体、住民らの不安は強まる。日本人が犠牲になるリスクは高まった。

Ⅴ.神戸新聞社説
(1)現在使用中のMV22オスプレイは操縦が難しいとされ、開発段階から多くの事故を起こしている。米軍は今回の事故原因を徹底的に調査するとともに、積極的に情報を公開すべきだ。その上で、一貫して配備に反対してきた沖縄県民の声にしっかり向き合う必要がある。
(2)沖縄で事故を起こせば、ますます住民の反基地感情が高まることは明らかで、米軍も慎重に運用してきた。それでも事故は起きた。その事実は重い。さらに同じ日、別のオスプレイが普天間飛行場で胴体着陸していたことも明らかになった。今の機種で本当に安全を確保できるのか、疑問と言うしかない。
(3)事故を受けて各地の米軍基地の地元で不安の声が広がる。オスプレイは陸上自衛隊も17機を導入し配備を進めている。日本政府は対応について再考すべきではないか。

Ⅵ.山陽新聞社説
(1)だが、別のオスプレイが普天間飛行場で胴体着陸していたことも明らかになった。過剰な基地負担を強いられてきた沖縄が、一連の事故で態度を硬化させるのは当然だ。県は配備の撤回をあらためて求めた。米軍だけでなく、日本政府も厳しく受け止めねばならない。
(2)衝撃は全国各地に広がっている。オスプレイは東京、静岡などの米軍基地にたびたび飛来するほか、山口・岩国基地への26年までの配備が予定されている。輸送能力の高さが評価され、陸上自衛隊も19年度からの佐賀空港への配備を地元に要請中だ。こうした地域で理解を得ることは一層難しくなろう。だが、安全への懸念を払拭(ふっしょく)しないままの運用や配備は絶対にあってはならない。

Ⅶ.高知新聞社説
(1)在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官は「パイロットは県民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と述べた。この傲岸(ごうがん)不遜さは何だろう。これではオスプレイの配備や運用、ひいては日米安保条約に基づく在日米軍の活動への理解など、到底得られるはずがない。
(2)日本政府も米側の「安全宣言」を受け入れ、沖縄への配備のほか陸上自衛隊への導入計画を進めている。それでも今回、国内では初となるオスプレイの重大事故が起きた。米側の説明を「うのみ」にしてきた政府の責任も問われよう。
(3)そもそも人為ミスによる事故が続発すること自体おかしい。ミスを誘発する機体の欠陥がありはしないか。そんな疑問も浮かんでこよう。
(4)安全を確認するには原因の究明が大前提だ。そのためには米軍の調査や発表に頼るだけではなく、日本側も主体的に事故の捜査に携わることが欠かせない。ところが現状では「米軍基地外での米軍機事故に関するガイドライン」によって、事故機の残骸や部品は米軍が管理する決まりとなっている。日本政府は合同調査を阻むこうした「壁」を、一つ一つ取り払っていかなければならない。
(5)9月には米攻撃機AV8ハリアーが沖縄本島沖に、今月もFA18戦闘攻撃機が本県沖に墜落した。米軍機事故で国民の命が脅かされている。脅威の根本には日本の空を自由に航行することを認めた日米地位協定がある。状況の打開へ地位協定の改定も見据えた、毅然(きぜん)とした対応が政府には求められる。 

Ⅷ.佐賀新聞論説
(1)米軍は今回の事故について「空中給油の訓練で、給油機の燃料ホースがオスプレイのプロペラで切れて、機体が不安定になった」と説明し、機体そのものが事故原因でないことを強調する。ただ、その程度のトラブルが事故につながるのならば、やはり、どこか構造上に問題があると考えるべきではないのか。米側は過去の事故で、いずれも「人為的なミスが主要因」と総括しているが、今回は十分な検証を求めたい。
(2) 日本も1機100億円超の大金で購入し、自衛隊機として使用する計画だ。今、しっかり安全性を調べておかないと、操縦する自衛隊員が危険にさらされるし、今後の事故も「人為的なミス」で片付けられる恐れさえある。
(3)気になるのは事故について、日米ともに「不時着」という言葉を使い続けている点だ。不時着とは、操縦者の制御がきく状態で、目的地以外に緊急着陸することを意味する。
機体が大破している状況を見れば、「墜落」ととれる。在沖縄米軍トップの「パイロットは県民に被害を与えないように不時着した。感謝されるべきだ」という説明には強い違和感を覚える。
(4)山口祥義知事が「原因がうやむやのままで、受け入れの判断をすることはありえない」と徹底的な究明を求めているが当然だろう。佐賀県の場合、住宅街に落ちるのも恐ろしいが、海に落ちてもノリ漁など漁業に甚大な被害を与える。安全性に不安を抱えた機体が国防に貢献するということは考えられない。

Ⅸ.南日本新聞社説
(1)米軍は事故を重く受け止め、原因究明を徹底してもらいたい。同時に、日本側に説明した「自発的着水」についても真相を明らかにするため、第11管区海上保安本部(那覇)の捜査を受け入れるべきだ。機体が大破しているのになぜ墜落ではないのか、国民が納得する説明が必要である。
(2)事故現場は、普天間飛行場の移設先である名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブからわずか湾一つ挟んだ所にある。移設に反対する沖縄県と名護市が「基地ができればオスプレイの危険度が増す」と、反発を強めるのは避けられまい。
(3)オスプレイは陸上自衛隊が17機の導入を計画するなど国内で増える恐れがある。その導入や鹿屋での訓練前に全機を総点検し、終わるまでは運用停止を求めたい。

Ⅹ.朝日新聞社説
(1)米軍や政府は「不時着」だというが、翁長知事が示した「墜落」との認識こそふさわしい。
(2)許しがたいのは米軍側の態度である。日本国内でのオスプレイの運用を当面停止したのは当然だが、在沖米軍トップの四軍調整官は抗議した副知事に対し「パイロットは住宅や住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と話したという。占領者意識丸出しの暴言というほかない。政府は事実確認のうえ、発言の撤回と謝罪を強く求めるべきだ。
(3)この事故と暴言は、沖縄が直面している現実を、多くの人に改めて思いおこさせた。
墜落の恐怖、騒音の苦しみ、奪われる普通のくらし、重大な事故・事件をくり返しても反省しない米軍、県民より米国の顔色をうかがう日本政府……。
(4)オスプレイは12年秋から米軍普天間飛行場に順次配備され、いまは24機にまで増えた。事故機はその中の1機だ。同飛行場をめぐっては、オスプレイも含め、夜間早朝や人口密集地上空での飛行を制限する日米合意がある。だが県の測定によると、制限時間帯でも1日平均で10回を超える騒音が記録され、有名無実化している。先月あった爆音訴訟の判決で那覇地裁沖縄支部は「米軍と国によって、住民に対する違法な被害が漫然と放置されている」と、厳しく指摘した。また、本島中部の宜野座(ぎのざ)村では先日来、オスプレイが水タンクをつり下げて民家上空を飛行する訓練を行っている。地元の抗議を米軍は無視し、政府は有効な手を打てないでいる。
(5)来週20日に普天間飛行場の移設をめぐる辺野古訴訟の最高裁判決が予定され、22日には米軍北部訓練場の一部返還がある。返還といっても、オスプレイの離着陸帯の新設が条件になっており、基地機能の強化との受けとめが沖縄では支配的だ。そんなときに起きた事故である。政府が対応を誤れば、県との間の溝はさらに深まる。
(6)米軍に原因の究明と徹底した情報公開を迫るのはもちろん、同様の事故が起きたとき、日本側も調査に関与できる仕組みの導入を働きかけるなど、県民・国民を向いた対応を求めたい。
(7)沖縄の負担はもはや限界だ。これを軽減する道を、いま一度根底から問い直す。「墜落」をその契機にしてほしい。


 各紙の社説等をまとめると次のことが言える。
(1)「一貫して配備に反対してきた沖縄県民の声にしっかり向き合う必要がある。」(神戸新聞)
(2)「脅威の根本には日本の空を自由に航行することを認めた日米地位協定がある。状況の打開へ地位協定の改定も見据えた、毅然とした対応が政府には求められる。」(高知新聞)
(3)「米軍は今回の事故について『空中給油の訓練で、給油機の燃料ホースがオスプレイのプロペラで切れて、機体が不安定になった』と説明し、機体そのものが事故原因でないことを強調する。ただ、その程度のトラブルが事故につながるのならば、やはり、どこか構造上に問題があると考えるべきではないのか。米側は過去の事故で、いずれも『人為的なミスが主要因』と総括しているが、今回は十分な検証を求めたい。」(佐賀新聞)
(4)「米軍に原因の究明と徹底した情報公開を迫るのはもちろん、同様の事故が起きたとき、日本側も調査に関与できる仕組みの導入を働きかけるなど、県民・国民を向いた対応を求めたい。」(朝日新聞)

 特に、朝日新聞の「沖縄の負担はもはや限界だ。これを軽減する道を、いま一度根底から問い直す。『墜落』をその契機にしてほしい。」、ということに尽きる。


 以下、各紙の社説、論説の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-12-18 11:43 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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