2016年 12月 16日 ( 2 )

沖縄-辺野古・高江から-2016年12月16日

 墜落事故後も政府関係者は辺野古推進に執拗に拘泥する。
 「墜落」事故を受けて、まず、考えなくてはいけないことは、「犠牲者を出さない」、ということにあるにもかかわらず。


 2016年12月16日、沖縄-辺野古・高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-翁長知事「欠陥機 撤回を」 オスプレイ墜落 国、返還式の中止拒否-2016年12月16日 11:03


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「オスプレイ墜落を受け、翁長雄志知事は15日、防衛省に稲田朋美防衛相を訪ね、胴体着陸などトラブルが相次ぐ同機を『欠陥機だ』と指摘し『県民が配備に強く反対してきたオスプレイがこのような事故を起こしたことに怒りを禁じ得ず、直ちに飛行中止と配備撤回を強く要請し、強く抗議したい』と改めて配備撤回を求めた。稲田氏は『防衛省としても情報収集、その公表、安全確認にしっかり取り組みたい』と述べるにとどめた。一方、県庁で同日、安慶田光男副知事と会談した若宮健嗣防衛副大臣は配備撤回要求を事実上拒否した。若宮氏は宜野湾市に佐喜真淳市長を訪ね『普天間の危険性除去を第一に考えている。そのために辺野古移設を最優先して前に進めたい』と述べた。墜落事故後、政府関係者が辺野古推進に言及するのは初めて。」
②「翁長知事はオスプレイが訓練するヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設が条件となっている米軍北部訓練場の過半返還を巡り、22日に予定されている式典の自粛も求めた。首相官邸で翁長知事と面談した杉田和博官房副長官は自粛要請を拒否し『開催したい』と明言した。翁長知事が会談後、記者団に明らかにした。翁長知事は外務省で小田原潔政務官にも同様に抗議した。政府の対応について翁長知事は『今までの政府のやり方と全く一緒だが、今回(の事故)は違うよということはしっかり受け止めてほしい』とくぎを刺した。」
③「一方、若宮氏は安慶田副知事との面談で県が求める配備撤回については『東アジアの不安定な安全保障環境で、欠くべかざる装備になっている』と否定した。面談後、若宮氏は記者団に『安全性を高めるという意味でも大きな意義があると思う。辺野古移設を極力、一歩でも早く前に進めていきたい』と辺野古移設を進める意向を示した。」
④「また宜野湾市では、佐喜真市長が『何よりも重要なのは市民、県民の命だ。20年間も我慢してきた市民にとって何を優先すべきかということを真剣に考え、普天間の一日も早い返還を実現してほしい』と訴えたことに対し、『省庁を超えて安倍政権としてできることは全て行う』と応じた。」


(2)琉球新報-オスプレイ解体作業始まる-2016年12月16日 13:59


 琉球新報は、「普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落事故現場の名護市安部海岸で16日午後1時半ごろ、オスプレイ本体部分を米兵らがチェーンソーとみられる工具で切断をはじめた。本体部分の解体作業が始まったとみられる。現場は浅瀬で船からも陸からも本体を運ぶことが困難とみられることから、部分解体して機体を運ぶとみられる。」、と報じた。
 また、「事故について、航空危険行為処罰法違反での立件を目指し捜査に着手した第11管区海上保安本部(11管)は、米側に口頭で捜査協力を申し入れているが、16日午後1時半現在、米側から回答はない。2004年の沖国大米軍ヘリ墜落事故のように、日米地位協定に阻まれ、十分な捜査ができないまま事件送致する事態への懸念が高まっている。」、と伝えた。


(3)琉球新報-「人けない所に落ちた」 墜落現場で防衛副大臣 沖縄・名護海岸のオスプレイ事故、視察7分、「不幸中の幸い」とも-2016年12月16日 06:30


 琉球新報は、標題について次のように報じた。


①「13日夜に米軍輸送機オスプレイが墜落した沖縄県名護市安部の海岸に15日、若宮健嗣防衛副大臣が訪れ、黒川清彦内閣官房沖縄危機管理官から上空写真などを見ながら説明を受けた。現場から約1キロ離れた浜から双眼鏡で墜落現場を眺めるなどし『(パイロットの)判断で人けがない場所に落ちたんですね』とやりとりする場面があった。近くに集落もあり危険性が高い墜落事故にもかかわらず、操縦士をほめるかのような米軍寄りの発言が目立った。滞在時間は記者団とのやりとりを合わせてわずか7分間足らず。墜落現場までは歩いて約15分の距離だが、時間の無さを理由に目の前で墜落した機体を見ることはなかった。」
②「『人けのない所に落ちた』という発言について、当日はイザリ漁をしようとしている人もいて被害が出た可能性を指摘されると『米軍から情報を聞き取りたい』と答えた。それに先立ち同日、若宮副大臣は県庁での安慶田光男副知事との会談後、記者団に事故について『陸地部分では大きな事故につながるが、パイロットが洋上に出て、なんとか浅瀬で着水できた。不幸中の幸いだ』と述べた。発言の真意について若宮副大臣は『できるだけ事故は最小限にするのは当然だ。ひとかたもお亡くなりになられた方がいなかったということが、不幸中の幸いではなかったのかなという意味だ』と説明した。」


(4)沖縄タイムス-「一歩間違えば大惨事」今帰仁村議会がオスプレイ事故抗議決議 賛成多数で可決-2016年12月16日 15:26


 沖縄タイムスは、「今帰仁村議会(東恩納寛政議長)は16日の村議会定例会で、MV22オスプレイ墜落に抗議する意見書・決議両案を賛成多数(賛成8、反対1、退席1)で可決した。意見書・決議両案では『一歩間違えば人命にかかわる大惨事になりかねない重大な事故』として強く抗議。①オスプレイの配備撤回②辺野古新基地建設の中止・撤回―を求めている。」、と報じた。


(5)沖縄タイムス-オスプレイ墜落 国頭村議会が配備撤回の意見書案、全会一致で可決-2016年12月16日 16:09


 沖縄タイムスは、「国頭村議会(金城利光議長)は16日、オスプレイの墜落事故を受け同機種の配備撤回を求める意見書を全会一致で可決した。意見書では、これまで村民が米軍の伊部岳実弾射撃演習やハリアーパッド建設の阻止など、やんばるの自然を守る闘いをしてきたとし『豊かな自然環境を次世代に継承させるのも村民に課せられた重大な責務』と記している。宛先は内閣総理大臣ら。」、と報じた。


(6)沖縄タイムス-<米軍ヘリパッド>米軍らしき車両がゲート内に 完成確認作業か-2016年12月16日 14:44


 沖縄タイムスは、「東村高江周辺で進む米軍北部訓練場のヘリパッド工事で16日正午すぎ、N1地区に続くゲートから、プレハブ小屋や仮設トイレを載せて出てくるトラックや工事車両が確認された。同日午前、沖縄防衛局と米軍らしき車両6台がヘリパッドに続くゲート内に入ったことが確認された。予定されていたヘリパッドの完成確認作業とみられる。」、と報じた。


(7)琉球新報-宜野座村議会 夜間飛行とつり下げ訓練に抗議決議-2016年12月16日 12:11


 琉球新報は、「宜野座村議会(小渡久和議長)は16日午前、米海兵隊とオスプレイによるつり下げ訓練や夜間飛行に伴う騒音被害に対する抗議決議と意見書を全会一致で可決した。宛先は抗議決議が在日米国大使や在米米軍司令官など、意見書が安倍晋三内閣総理大臣や外務大臣、防衛大臣、沖縄防衛局長など。同議会は同日午後4時、沖縄防衛局を訪れ、両文を手交する予定だ。」、と報じた。
 また、「議会は夜間飛行やつり下げ訓練に関して『村民に騒音被害を与え、恐怖と不安に陥れたことは戦場さながらの状況で断じて許されない』と抗議。決議文と意見書の中で『民間地上空における米軍機の飛行訓練の即時中止すること』『米軍機の夜間飛行訓練の即時中止』が書かれている。加えて、意見書では騒音被害があった場所については、新たに総音速的を設置することを求めている。」、と伝えた。


(8)琉球新報-オスプレイ墜落 6市町村議会が抗議決議 宜野座、今帰仁は配備撤回も-2016年12月16日 12:34


 琉球新報は、「オスプレイ墜落を受け、県内6市町村議会は16日正午までに、事故発生のほか、同じ日に事故機とは別のオスプレイが米軍普天間飛行場に胴体着陸していたことや、事故に関する在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官の発言などに対する抗議決議や意見書を全会一致で可決した。その上で宜野座村と今帰仁村の両議会はオスプレイの配備撤回を要求した。」、と報じた。
 また、「宜野座村、嘉手納町、南風原町、今帰仁村の4町村議会は抗議決議と意見書を可決。石垣市議会は抗議決議、国頭村は意見書を可決した。宜野座村議会は(1)墜落事故の原因を徹底的に究明し、結果を速やかに公表する(2)オスプレイの即時撤去―を要請。今帰仁村議会は配備撤回のほか、辺野古新基地建設を直ちに中止・撤回するよう求めた。そのほかの議会もそれぞれ原因究明まで飛行停止することや普天間飛行場の早期閉鎖、過重な米軍基地負担、訓練を見直すことなどを要請する文言を盛り込んだ。」、と伝えた。


 以下、琉球新報、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-12-16 18:09 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄の「負担軽減」を考える。(3)-SACO合意20年-

 沖縄県の米軍北部訓練場7824ヘクタールの約半分が、2016年12月22日に返還される。
 このことを、安倍晋三政権は、沖縄の「負担軽減」の実現と最大限利用することになる。その背後には、米軍基地機能強化と自衛隊の共同利用という新たな「沖縄の負担拡大」がすでに用意されているにもかかわらずである。
 ここで、沖縄の「負担軽減」を考える。
今回は、SACO合意20年と沖縄の「負担軽減」を考える。
2016年2月2日で、日米特別行動委員会(SACO)の最終報告から20年を迎えた。 問題の核心は、このSACO合意で沖縄の「負担軽減」はどの程度改善されたのかということである。いやむしろ、SACO合意とは何だったのかを明確にする必要がある。

沖縄タイムスは2016年12月2日、「きょうSACO合意20年 沖縄への基地集中変わらず」とSACO20年の実態を次のように掲載した。


(1)日米特別行動委員会(SACO)の最終報告から2日で、20年になった。22日には沖縄県米軍北部訓練場で建設している四つのヘリパッドが完成し、3987ヘクタールが返還される。最大の懸案だった普天間間飛行場は、名護市辺野古への移設を巡り国と沖縄県が法廷闘争中。沖縄県内では新型輸送機オスプレイが飛来するなど基地機能が強化されている。
(2)返還が盛り込まれた施設・区域のうち全面返還は読谷補助飛行場など4施設で、大部分返還は瀬名波通信施設の1施設、一部返還はキャンプ桑江など3施設。普天間飛行場と牧港補給地区の土地計7ヘクタールは2017年度中の返還を目指すことで日米両政府が合意。15年に約51ヘクタールが返還された西普天間住宅地区の利便性向上のため、キャンプ瑞慶覧のインダストリアル・コリドーの一部を日米で共同使用する。
(3) 1972年の沖縄返還後、日本政府は県内の83施設を在日米軍施設・区域として提供した。県民生活に影響を及ぼし振興に制約となっているとして、西銘順治元知事は2度訪米し、普天間飛行場など7施設・区域の返還リストを提出。県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)は13施設20事案の返還を求めた。
 日米両政府は、90年に日米合同委員会で知事要望の3事案と、日米安全保障協議委員会(安保協)で了承された整理統合計画のうち未実施の9事案、軍転協の8事案、米側が返還可能とした3事案を加え、いわゆる23事案(17施設・約千ヘクタール)について返還に向けた手続きを進めることで合意。そのうち、96年3月までに12事案が返還された。日米両政府は、23事案から引き続き検討とされ沖縄から返還要望の強かった普天間飛行場と那覇港湾施設が、96年に代替施設の完成後返還するなどの条件をつけることで合意しSACOに全面返還を含んだ。
(4)米軍再編では辺野古移設と嘉手納より南の基地返還がパッケージとされたが、2012年の民主党政権で見直された。13年には統合計画で大まかな返還時期が示されたが「22年度またはその後」とされた普天間をはじめ見通しは立っていない。


 また、SACO合意の具体的項目について現状報告(沖縄タイムス-2016年12月2日)をしている。


(1)【辺野古】司法、国の主張追認
①「5~7年以内に十分な代替施設が完成し運用可能になった後、全面返還とされ目玉だった米軍普天間飛行場。移設先はキャンプ・シュワブ沖合で事実上合意されていたが、最終報告では『沖縄本島東海岸沖』へ海上施設を建設するとの方針を示すだけにとどまっていた。」
②「2006年、シュワブ沿岸部を埋め立てV字形滑走路を備える飛行場を造る現行計画に、日米両政府が合意した。13年12月に仲井真弘多知事(当時)が埋め立てを承認。条件として提案した『5年以内の運用停止』に政府は前向きに返答したが、14年12月に新基地建設に反対する翁長雄志知事が誕生し態度を硬化させた。翁長知事は15年10月に埋め立て承認を取り消し、国と県は法廷闘争に入った。ことし9月には辺野古違法確認訴訟で福岡高裁那覇支部が国の主張を全面的に認める判決を出した。県は上告している。」
③「3月の和解により、新基地建設を巡る工事は全て止まっていたが、11月25日の和解条項について協議する『政府・沖縄県協議会』の作業部会で、県はキャンプ・シュワブ陸上部分の隊舎2棟に限り工事の再開を容認。防衛省は月内にも工事を始めるよう調整している。」
(2)【北部訓練場】ヘリパッド移設を強行
①「北部訓練場は2002年度末をめどに、約7500ヘクタールのうち、海への出入りを確保した上で約4千ヘクタールを返還するとしていた。返還されない部分に七つのヘリパッドを移設することが条件。06年にヘリパッドは六つ、造成規模は直径75メートルから45メートルに変更された。」
②「07年に環境影響評価図書が公表され、工事が始まった。15年にN4地区の二つが米側に提供されたが、反対住民による抗議行動などで工事は2年近く止まっていた。沖縄防衛局は16年7月の参議院選が終わった翌朝から資機材を搬入するなど工事を再開させた。
③「日米両政府は過半を返還できることから、基地負担の軽減に取り組む姿勢をアピールする。全国から機動隊員約500人を動員し、資機材を空輸するために陸上自衛隊のヘリを投入し、12月22日の完成・提供・返還に向け工事を進める。一方、翁長雄志知事は新型輸送機オスプレイの配備撤去を求めており、07年の環境影響評価でもオスプレイによる低周波音や排ガスの風圧などの影響が勘案されていないことから、四つのヘリパッドの本格的な運用が開始される前に再評価を求めている。」
(3)【那覇軍港】浦添への移設 足踏み  
①「那覇軍港(56ヘクタール)は復帰直後の1974年に日米間で返還が合意されたが実現せず、96年のSACO合意で浦添埠頭(ふとう)地区への移設で再合意された。しかし移設は進まず、2006年の「再編実施のための日米のロードマップ」を経て、13年4月の嘉手納以南の返還時期を定めた「統合計画」に引き継がれた。」
②「現在、返還時期は28年度、またはその後とされているが、返還条件の浦添移設はめどが立っていない。軍港移設問題は、浦添市が進める西海岸開発計画と密接に関わり、歴代市長は市政の重要課題として取り組んできた。」
③「13年の市長選で移設反対を掲げて当選した現職の松本哲治浦添市長は15年2月に米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)沖を埋め立てて港湾施設やリゾート地を整備する西海岸開発計画を発表した。その2カ月後の4月、反対から受け入れに転じた。だが、移設位置を巡り、市と那覇港管理組合で意見が割れている。ことし4月には防衛省が複数の移設案を提示。夏ごろの合意形成を目指し断続的に県、那覇市、浦添市、那覇港管理組合の担当者らが協議を進めてきたが、議論は今もなお、平行線をたどっている。」
(4)【日米地位協定】米側の運用に左右
①「最終報告では、米軍施設・区域への立ち入り手続きや米軍航空機事故調査報告の日本政府への公表など日米地位協定の運用改善もまとめられた。米軍基地への立ち入りは、地域社会との友好関係を維持する必要性を認識して定められた。米軍の運用を妨げることがないことが前提。ヘリパッド建設が進む米軍北部訓練場内の現状確認のために国会議員らが申請して却下されるなど、米側の裁量に左右される。」
②「米軍機事故については、沖縄国際大学へのヘリ墜落時には原因調査や捜査をめぐって米軍側が県警の現場検証を拒否した。日本政府に報告書が公表されても、両政府間の協議は伏せられるなど県民が検証するためには十分でない。」               ③「米軍関係者が公務外で事故を起こした場合に、加害者に支払い能力がなく米国政府の支払いが裁判判決額に満たない場合は、日本側が差額を埋める見舞金制度ができた。請求者に対して提示する示談書には、米国政府や加害者、日本政府を免責するなどの文言が示されていた。2015年7月以降からは、被害者らに配慮して日本政府を免責するという文言は削除された。」


 こうした現状を受けて、沖縄タイムスは、柳沢協二氏(元内閣官房副長官補)の「20年たっても返還が進んでいない背景には計画に根本的な矛盾があるからだ」、とする次のような談話を掲載した。


「20年たっても返還が進んでいない背景には計画に根本的な矛盾があるからだ。
 20年前に普天間飛行場の返還を決めたのは米軍の戦略だ。冷戦終結後、ヨーロッパと東アジアの10万人の米軍駐留兵力を維持する方針があり、沖縄は一番大きな拠点地だった。沖縄の基地を安定的に維持するには過重な負担を軽減する必要があり、問題が多かった普天間が対象となった。その戦略の前提が今、崩れている。米軍は前方展開のプレゼンスを減らす方向にかじを切った。だが、日本政府は20年前と同じ発想で政策を維持している。
 20年前と比べ中国が海洋進出を強めているが、あくまでも海洋秩序を巡る対立で、基本的なプレーヤーは海、空軍だ。海兵隊の出番はない。つまり中国の海洋進出を止める抑止力は、海兵隊にはない。
 日米ガイドラインでも離島防衛は自衛隊の任務と明記している。2018年度には陸上自衛隊に水陸機動団をつくり、海兵隊機能を持つ。九州北部から尖閣をにらむ部隊ができる。ますます米海兵隊が沖縄にいる理由はなくなる。
 このように前提が変わったにもかかわらず日本政府が名護市辺野古への新基地建設計画を維持するのは、歴代政権の流れをいまさら変えられないというのが本音だ。計画を変更するには政治のリードが必要だが相当なエネルギーが必要で、米側から発信しない限り日本から変わることはない。その意味で沖縄が直接米側に訴えかける意味はある。
 米大統領選で勝利したトランプ氏が言う世界の警察をやめるという意味は、軍事紛争に介入しないということだ。仮に日中間で尖閣諸島を巡り衝突が起きても巻き込まれたくないというのが米国の本音だ。基地反対の意見が多い沖縄で基地を存続させることは米国にとっても合理的ではない。基地への怨念がアジア政策の要の嘉手納飛行場まで波及すれば、日米同盟の危機につながる。トランプ氏の当選で、これまでの計画などを変える条件が出てきたのは事実だ。だが、明るい展望が開けるという期待を持ってはいけない。今まで以上に冷淡で沖縄に目を向けない可能性がある。沖縄から声を上げ続けることが重要だ。」


 あわせて、沖縄タイムスは、「SACO20年」を「『日米同盟強化』が進んだ20年」と、次のように解説した。


(1)SACO最終報告は、米軍普天間飛行場など11施設の返還が明記され「負担軽減」が強調された。実態は県内移設が条件でスムーズな返還とはいかなかった。新型輸送機オスプレイの運用など機能強化も明らかになり、もう一つの側面だった「日米同盟の強化」が進んだ20年だった。
(2)最終報告に示された返還総面積5002ヘクタールのうち、米軍北部訓練場の3987ヘクタールは約8割を占める。返還条件のヘリパッドは、宇嘉川の河口部に設けた訓練区域と連動する形で、上陸訓練を実施する。辺野古も全長271・8メートルで大型艦船の接岸できる「係船機能付き護岸」や「弾薬搭載エリア」など、普天間飛行場にはない新たな機能を加える。
(3)米兵暴行事件や大田昌秀元知事による代理署名拒否、県民大会などを受け、日米両政府は基地の整理・統合・縮小と日米地位協定の運用改善をせざるを得なくなった。県道104号越え実弾砲兵射撃訓練は県外で実施。「移駐完了」後も普天間に再飛来する空中給油機は岩国飛行場へ移った。
(4)計画全てが実施されても、在日米軍専用施設・区域の約7割が残る。沖縄に集中する構図は変わらず、当時からの願いである「国民全体での負担」にはほど遠い。

 【SACO合意とは】 1995年に沖縄で起きた暴行事件を機に、日米両政府が沖縄に関する特別行動委員会(SACO)を設置。96年12月の最終報告には、「請求に対する支払い」など日米地位協定の運用改善が盛り込まれた。


 一方、琉球新報は2016年12月2日、「SACO合意」について、「SACO20年 県民不在の合意破綻した 政府は対米交渉やり直せ」、と社説で出張した。
 琉球新報は、このように結論を切り出している。


「県民不在の日米合意に固執し続ける限り、沖縄は米軍基地の呪縛から逃れることはできない。代替施設を県内に求める「負担軽減策」はしょせん虚妄にすぎない。
 日米特別行動委員会(SACO)最終報告の合意から20年になる。その本質は負担軽減に名を借りた米軍基地の固定化・機能強化にほかならない。
 その合意が完全に破綻したことは辺野古新基地建設や米軍北部訓練場におけるヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設を巡る混乱を見ても明らかだ。
 県民不在の合意に拘泥してはならない。日米両政府は抜本的な負担軽減策に向け再交渉すべきだ。」


 琉球新報は、この結論の理由を二点にわたって次のように指摘する。


Ⅰ.沖縄の意思反映されず
(1)そもそも1996年12月のSACO最終報告に向けた日米両政府の交渉に沖縄側が参画する場面はなかった。基地の重圧に苦しむ当の沖縄が自らの意思を交渉に反映させる道は閉ざされていた。その帰結が「移設条件付き」という県民意思とは懸け離れた合意内容であった。「基地たらい回し」「頭越し合意」という批判が上がったのも当然だ。
(2)SACO合意で返還が決まった11施設5075ヘクタールのうち、現時点で実際に返還されたのは454ヘクタールにとどまる。面積でいえば約9%だ。県内移設という条件が進ちょくを妨げてきた。仮に合意に基づく返還が全て実現した場合でも、在日米軍専用施設面積に占める在沖米軍基地の割合は5ポイント程度下がるだけだ。
(3)米軍再編に伴う嘉手納より南の米軍施設の返還・統合を実施したとしても、最終的には在日米軍専用施設面積の68・6%が沖縄に集中し続ける。到底、沖縄が基地の重圧から脱するとは言えない。
(4)逆に代替施設の建設によって新たな基地負担を強いるSACO合意に県民は翻弄(ほんろう)されてきた。辺野古新基地建設を巡る県と国の係争や海上における過剰警備、ヘリパッド建設に反対する市民運動の弾圧など、さまざまな混乱によって、多くの県民が苦悩し、傷付いてきた。その元凶がSACO合意なのだ。
(5)これまで県民が県内移設を拒んできたのは、本質的な基地負担軽減にはならないという事実と、自らの痛みを他に押し付けることはできないという心情からであった。その沖縄で基地の県外移設を訴え、受け入れを日本本土に求める動きが顕在化している。背景には沖縄の現状を直視しない日本政府の無策とそれを半ば黙認する国民全体に対する不信と憤りがある。日本政府、本土国民は県外移設を訴える県民が抱える危機感を軽視してはならない。
Ⅱ.オスプレイ配備隠ぺい
(1)SACO合意に基づき、104号超え砲撃訓練の分散移転、楚辺通信所やギンバル演習場の返還などの返還が実現した。読谷補助飛行場の返還で、村おこしの施策が進むなど一定の成果もあった。しかし、大半の県民は負担軽減を肌で実感しているわけではない。
(2)今月末、北部訓練場の過半部分が返還される。しかし、ヘリパッド完成後の訓練激化によって、住環境やノグチゲラなど貴重な動植物に重大な悪影響を与えることが懸念されている。既にMV22オスプレイの夜間訓練によって睡眠不足に陥った児童が学校を欠席する事例が報告されている。
(3)ヘリパッド建設を明記したSACO最終報告の草案段階で米側はオスプレイ配備を記載したのに、沖縄の反発を恐れた日本側が削除させたことが判明している。負担軽減策を隠れみのにして、基地機能強化を進めたのだ。沖縄に混乱をもたらし続ける政府の隠ぺい体質を許すわけにはいかない。
(4)ヘリパッド建設に対する姿勢を明確にしてこなかった翁長雄志知事もSACO合意の虚構と不条理を厳しく問い続けなければならない。在沖米軍の抑止力に固執する政府の頑迷を打破しない限り、沖縄の抜本的な基地負担の軽減はあり得ない。


 確かに、SACO合意は、「20年たっても返還が進んでいない背景には計画に根本的な矛盾があるからだ」、という構造的矛盾を孕んでいた。
それは、「オスプレイ配備隠蔽」を含めて、「沖縄の意思が反映されない」ということにある。
 したがって、SACO合意によっては、沖縄の「負担軽減」は達成でない。


 以下、沖縄タイムス及び琉球新報の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-12-16 11:21 | 沖縄から | Comments(0)

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by あしゃぎの人
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