2016年 11月 21日 ( 3 )

沖縄-辺野古・高江から-2016年11月21日

 市民は、機動隊や工事車両に、「県民は悲しんでいる。誇れる仕事をしよう」、と呼び掛けているという。
 日本のあちこちでおこってきたこと。
 理屈や理念では決着はついているはずなのに、事実は悪しき流れに陥る実態。


 2016年11月21日、沖縄-辺野古・高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。



(1)琉球新報-高江でヘリパッド工事続く ダンプカーなど40台余搬入-2016年11月21日 11:16


 琉球新報は、「東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設問題で21日午前11時現在、東村高江の同訓練場N1地区ゲートから、ダンプカーなど計40台余が砂利や土のう、芝生などを搬入した。市民は早朝からN1ゲート前の県道70号に座り込んで搬入を阻止しようとしたが、機動隊に排除され道路の両端に囲い込まれた。市民は機動隊や工事車両に『県民は悲しんでいる。誇れる仕事をしよう』などと呼び掛けた。」、と報じた。


(2)琉球新報-最高裁に中立・公正な審理求め オール沖縄900人が集会-2016年11月21日 13:23


 琉球新報は、「『辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議』は21日正午から、那覇市の福岡高裁那覇支部前の城岳公園で『最高裁に中立・公正な審理を求める集会』を開いた。主催者発表で900人が参加した。国会議員らやオール沖縄の幹事団体が登壇し、改めて辺野古新基地建設に反対する決意を県内外に発信した。オール沖縄会議共同代表の稲嶺進名護市長が『高裁での議論は不十分だった。最高裁では中立・公正な立場でしっかり議論し、歴史に残る判決を期待している。裁判所の外からもしっかり訴え続け、勝利を勝ち取るまで諦めずに皆で頑張ろう』と訴えた。21日に東京の最高裁前で開かれた集会と連動して開催された。」、と報じた。


(3)琉球新報-判決破棄求め署名提出 辺野古反対市民団体、最高裁に-2016年11月21日 13:45


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡る国と県の訴訟で、移設反対派の市民団体は21日、国勝訴とした福岡高裁那覇支部判決の破棄を求め、約5400の個人や団体から集めた署名を最高裁に提出した。署名は、最高裁が弁論を開いた上で『中立・公平に審理し、沖縄の民意に基づく知事の決断を正しく判断して、判決を破棄すること』を要望している。」、と報じた。
 また、「ピースボートの野平晋作共同代表は提出後に『辺野古移設しかないという高裁の認識は誤っている。今のままでは沖縄差別だ』と話した。9月の高裁那覇支部判決は、国の主張を支持し、翁長雄志知事が辺野古の埋め立て承認取り消しの撤回に応じないのは違法とした。県が不服として上告している。訴訟は第2小法廷が担当。最高裁は年度内にも結論を出すとみられる。」、と伝えた。


(4)琉球新報-県議会軍特委が東村と高江視察 伊集村長と意見交換-2016年11月21日 13:33


 琉球新報は、「県議会米軍基地関係特別委員会(仲宗根悟委員長)視察調査団は21日午前、東村役場を訪れ伊集盛久村長と意見交換した。意見交換は非公開で行われた。伊集村長は記者団に対し『(ヘリパッド)移設に対してどう思うか、(米軍北部訓練場が部分)返還された後はどのように使うかなど、全面的な意見交換になった』と述べた。軍特委からの陳情や要請はなかった。視察団は、午後には高江区の仲嶺久美子区長とも面談する。」、と報じた。


(5)沖縄タイムス-<米軍ヘリパッド>座り込みを排除、砂利や芝など搬入 抗議続く-2016年11月21日 13:14


 沖縄タイムスは、「東村高江周辺で進む米軍北部訓練場のヘリパッド建設で、沖縄防衛局は21日正午までに、延べ60台のダンプカーで砂利や芝などを搬入した。午前9時14分ごろにN1ゲート前で座り込みをしていた市民ら約40人を機動隊員約60人がごぼう抜きにし、路肩に追い込み行動を規制した。市民らは雨の中、『やんばるの森を壊すな』『なぜ沖縄だけ?』などと書かれたプラカードを掲げ、抗議活動を続けた。沖縄平和運動センターの大城悟事務局長によると、機動隊員は午前8時にはメインゲートにつながる道路の車両規制を始めた。途中で車を止め、歩いて集会をしているN1ゲートに向かった市民もいた。」、と報じた。


 以下、琉球新報及び沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-11-21 21:14 | 沖縄から | Comments(0)

「土人」「シナ人」発言を考える。(29)

 大阪府警の機動隊員による「土人」「シナ人」発言を考える。
 「差別する側の意識が変わらないと問題は解決しない」、と識者は評する。
 つまり、差別する側の植民者の自覚がなされるのかどうかだ。
 人種差別撤廃条約に違反する問題なのだ。


 沖縄タイムスは2016年11月3日、「沖縄への無理解が噴出 『土人』と言われた芥川賞作家の寄稿」、を掲載した。 
 目取真俊さんは、次のように述べる。
まず、事実経過を。


(1) 10月18日の午前9時45分頃、ヘリパッド建設が進められている東村のN1地区ゲート付近で抗議行動を行っている際に、大阪府警の機動隊員から「どこつかんどるんじゃ、こら、土人が」という言葉を投げつけられた。現場では10人ほどの市民が、砂利を搬入するダンプカーに対し、金網のフェンス越しに抗議の声を上げていた。この機動隊員はその市民に「ボケ」「クソ」という言葉を連発し、言葉遣いがひどいのでカメラを向けているところだった。本人も撮影されているのは承知の上で「土人が」と言い放った。
(2)それだけではない。その後、別の場所で砂利を積んだダンプカーに抗議していて、3人の機動隊員に抑え込まれた。「土人が」と発言した機動隊員は、離れた場所からわざわざやってきて、私の頭を叩(たた)いて帽子を落とすと、脇腹を殴ってきた。近くに新聞記者がいたので、写真を撮るように訴えた。機動隊員は記者から見えにくい位置に回り、抑え込んでいる仲間の後ろから、私の足を3回蹴った。ビデオ撮影されたときは、フェンスがあって手を出せなかったので、暴力をふるうチャンスと思ったのだろう。
(3)その前には大阪府警の別の機動隊員が、ゲート前で抗議している市民に「黙れ、こら、シナ人」という暴言を吐いていた。この機動隊員もゲート前に並んだ時から態度が横柄で、自分の親や祖父母の世代の市民を見下し、排除の時も暴力的な言動が目立っていた。そのため、注意してカメラを向けている際に出た差別発言だった。


 目取真俊さんは、この事件の本質を次のように描き出す。


(1)高江には現在、東京警視庁、千葉県警、神奈川県警、愛知県警、大阪府警、福岡県警から500人と言われる機動隊が派遣されている。沖縄県警の機動隊を含めて、沖縄島北部の限られた地域にこれだけの機動隊が集中し、長期にわたって市民弾圧に乗り出している。こういう事例が過去にあっただろうか。
(2)7月22日にN1ゲートの車両が強制撤去され、ヘリパッド建設工事が本格的に始まって以来、高江の現場は戒厳令が敷かれたかのような異常事態が続いている。そのような中で「土人」「シナ人」という差別発言が発せられた。それはヘリパッド建設を強行するため、抗議する市民を暴力で抑え込むことを正当化しようとするものだ。
(3)南の島に住む、遅れた「土人」たちは、理性的に物事を判断することができない。だから政府がやる正しいことに反対しているのであり、こういう輩は力で抑え込んで当たり前だ。あるいは、反対する連中は中国(シナ)から金をもらってやっている工作員であり、暴力をふるって叩きのめしてもかまわない。そうやって自らの暴力を正当化している。
(4)インターネット上には、この種の沖縄に対する差別意識丸出しの書き込みが氾濫している。まだ20代の若い機動隊員の口から「土人」「シナ人」という言葉が出てくるのは唐突なようだが、ネット右翼が拡散するデマから知識を得ているのだろう。きちんと琉球・沖縄の歴史を学ぶこともせず、理解しようともしていない。歴史的にある沖縄への差別と在沖米軍・自衛隊の強化、中国脅威論が結びつき、新たな差別意識が生み出されている。
(5)これは機動隊員個人の資質の問題ではない。安倍晋三首相がヘリパッドの年内完成を公言し、それが現場に圧力をかけて、市民への弾圧の強化を促していることが前提にある。さらに、基地建設を推進しようとする者たちによって、中国脅威論とからめて沖縄県民への差別意識をあおるデマが、意図的に拡散されていることが背景にある。
(6)警察官は市民が持たない権力を持っている。本来はヘイトスピーチを取り締まる立場にある彼らが、ネット右翼レベルの知識、認識しか持たず、沖縄県民に差別発言を行っているのは恐ろしいことだ。このことが徹底して批判され、是正されなければ、沖縄差別はさらに広がっていく。ヤマトゥに住むウチナンチューに実害が及びかねない。そういう危機感を持つ。かつて就職・進学で沖縄からヤマトゥにわたった若者たちが、沖縄に対する差別と偏見に悩み、苦しんだという話が数多くあった。1980年代後半から沖縄の音楽、芸能がもてはやされ、観光業が伸びていくのと合わせて「沖縄ブーム」が生まれた。沖縄への理解が進み、差別・偏見も改善されたように見えた。しかし、「明るく、楽しく、優しい沖縄」イメージがもてはやされる一方で「基地の島・沖縄」という実態は負のイメージとして隠蔽(いんぺい)され、米軍基地の負担は変わらないばかりか、自衛隊の強化が進められた。しょせん「沖縄ブーム」はヤマトゥに都合のいいものでしかなかった。
(7)そういう二重構造は差別意識にも反映している。ウチナンチューがヤマトゥの望むように行動すれば評価されるが、意に反して自己主張すればはねつけられ、言うことを聞かなければ力ずくで抑え込まれる。高江や辺野古はそれが露骨に現れる場所だ。だから隠れていた差別意識も噴き出す。そもそもヘリパッド建設強行自体が差別そのものなのだ。


 確かに、「そもそもヘリパッド建設強行自体が差別そのものなのだ。」。


 以下、沖縄タイムスの引用。







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by asyagi-df-2014 | 2016-11-21 17:27 | 沖縄から | Comments(0)

「駆け付け警護」「宿営地の共同防護」の新任務を考える。(3)

 安倍晋三政権は、2016年11月15日の閣議で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊に、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務を付与する実施計画の変更を決定した。また、閣議に先立つ国家安全保障会議(日本版NSC)では、同じく新任務の「宿営地の共同防護」を付与する方針も確認した。
 このことについて、考える。
2016年11月16日付けの九州地区の各紙の社説または論説の見出しは次のとおりである。


(1)琉球新報社説-「駆け付け警護」付与 国のカタチ破壊する暴挙 自衛隊撤退を検討すべきだ
(2)沖縄タイムス社説-[駆け付け警護]政府は責任もてるのか
(3)南日本新聞社説- [駆け付け警護] 見切り発車の新任務付与を危惧する
(4)佐賀新聞論説-駆け付け警護 任務できる治安状況か
(5)宮崎日日新聞社説-駆け付け警護現地の状況認識甘くないか 
(6)西日本新聞社説-自衛隊新任務 原則をなし崩しにするな
(7)大分合同新聞論説-駆け付け警護任務付与 活動拡大を危惧する
(8)熊本日日新聞社説-駆け付け警護 リスクを直視しているか


 このように、今回取りあげた8社は、いずれも政府への危惧感等を明確にしている。
ここで、各紙の主張を見てみる。
Ⅰ.琉球新報の主張
(1)憲法9条が禁じる海外での武力行使につながる恐れがあり、平和国家日本の国のカタチを破壊する暴挙だ。自衛隊員が危険にさらされるのみならず人命を奪う事態もあり得る。断じて認められない。
(2)「比較的」との曖昧な言葉で、自衛隊に駆け付け警護の危険な任務を押し付けるのである。自衛隊員の命に政府として責任を持つそぶりも感じられない。自衛隊員の安全軽視を放置してはならない。
(3)安全対策も不十分だ。政府は「安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合」が生じれば、国家安全保障会議(NSC)の審議後、部隊を撤収するとしている。だが、部隊が戦闘に巻き込まれた場合、NSCの判断を待つ余裕はない。これで自衛隊員の安全が確保されると考えるのは浅はかである。
 救助の要請を受け、武器を持って出動する新任務の訓練期間はわずか2カ月だった。防衛相は「十分、対応可能なレベルに達した」と強調している。だが軍事の専門家でもない防衛相の言葉を信じる国民はいまい。駆け付け警護などの訓練と実際とでは大きく異なるだろう。状況判断を誤れば、自衛隊員が命の危険にさらされることは明らかだ。
(4)憲法解釈の変更を反映させた安全保障関連法が15年9月に成立し、今年3月に施行され、自衛隊の任務が大幅に拡大された。自衛隊の本来の任務である「専守防衛」を大きく逸脱する危険な領域へと日本は入ったのである。
 安倍政権は駆け付け警護付与を突破口にして「戦争ができる国」への転換を狙っていることは間違いない。最終的には憲法9条を改正し、自衛隊が世界のどこでも武力行使を全面的に行えるようにする可能性がある。
 衆参両院で改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2を占めてもいる。憲法9条は風前のともしびである。そう言わざるを得ない状況にあることを、国民全体で強く認識する必要がある。
Ⅱ.沖縄タイムスの主張
(1)陸自は先月、「駆け付け警護」など新任務の訓練を初めて報道陣に公開した。訓練では「法的に何ができて何ができないかを体に染みこませた」という。
 憲法9条は交戦権を明確に否定している。だが、武装集団は9条を考慮して襲ってくるわけではない。憲法9条を前提にした「想定」と、南スーダンの厳しい「現実」には大きな裂け目があり、「想定」が突発的な「現実」に飲み込まれるおそれがある。
 国民的合意が得られず、理由もはっきりしないまま、隊員を危険な新任務に就かせるのには賛成できない。
(2)「比較的安定」という判断がどのような物差しに基づいているか、つまびらかでないが、実績を作りたいあまり現地情勢を甘く見積もっているところはないか。
(3)政府は、PKO参加5原則が満たされていても活動実施が困難な場合は撤収する、ことを15日の閣議で決めている。状況判断の難しさは想像するにあまりある。銃の引き金に指をかける行為は、隊員自身にとって途方もない判断になるだけでなく、国のあり方をも揺さぶる重さを秘めている。隊員はその重さに耐えられるだろうか。PKOそのものが変質しつつある現実を踏まえ、国際貢献のあり方を検討し直すべき時期にきている。
Ⅲ.南日本新聞の主張
(1)いよいよ自衛隊が未知の領域に足を踏み入れる。
 海外での武力行使を禁じた憲法9条の縛りも緩む。
(2)自衛隊はこれまで海外で一発の銃弾も撃たず、一人の戦死者も出していない。戦闘に巻き込まれる危険が増すことは避けられない。海外での武力行使を禁じた憲法9条の縛りも緩む。
(3)「積極的平和主義」を掲げる安倍晋三首相に、新任務付与の責任と覚悟はあるのだろうか。なぜ今、新任務が必要か、隊員の安全が確保できる情勢なのか。疑問や懸念を置き去りにした見切り発車の感が強い。深く危惧する。
(4)南スーダンで「紛争当事者間の停戦合意」を軸とするPKO参加5原則が満たされているかを問い直す必要もある。
(5)1992年の初めてのPKO派遣から四半世紀がたつ。国際貢献活動としての理解が定着してきたのも、平和憲法の枠内での活動に徹したためだろう。新任務を巡りPKOは大きな曲がり角に立つ。
(6)政府の判断だけで安保政策を押しつければ、民意との乖離(かいり)は広がるばかりだ。政府は10月下旬の時点で部隊を撤退させた国はないとし、自衛隊は「国際社会の平和と安定に貢献している」と強調する。だが、それも安保政策に国民の幅広い支持があっての話だ。安倍政権は肝に銘じるべきだ。
Ⅳ.佐賀新聞の主張
(1)集団的自衛権を盛り込んだ安全保障関連法にもとづく初めての任務だ。ただ、南スーダンは内戦状態といわれ、武装集団への応戦が迫られる危険な事態も起こりうる。これまで他国で1発の銃弾も撃たず、犠牲者を出すことがなかった自衛隊にとって大きな転機を迎える。
(2)政府は「駆け付け警護」と「宿営地共同防衛」だけ、活動範囲は「首都とその周辺」だけとしているが、想定外の事態は常に起こりうる。PKO宿営地に逃げてきた住民を追って、武装集団が押し寄せたことも過去にあった。自衛隊が本格的な戦闘に巻き込まれる可能性は否定できないはずだ。
(3)憲法が海外での武力行使を禁じていることを考えれば、紛争国への関わり方には制約がある。まだ国民の議論は十分と言えない。政府の実績づくりのために憲法の戦争放棄の精神がなし崩しになったり、自衛隊員が危険な状況に置かれてはならない。
Ⅴ.宮崎日日新聞の主張
(1)政府は安全保障関連法に基づいて、南スーダンに派遣する国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊に、武器使用の範囲を拡大した「駆け付け警護」の新任務を加えることを閣議決定した。これまで他国民に向けて1発の銃弾も撃たず、自らの犠牲者も出さなかった自衛隊の活動は大きく変質する。
(2)安保関連法は10本の法改正と1本の新法が一括審議された。PKO活動について十分な議論が尽くされたか。新任務に国民の理解と支持が得られているかは疑問だ。安倍政権が掲げる「積極的平和主義」の下に、海外での武力行使を禁じた憲法9条の制約を緩めた活動の拡大を危惧する。
(3)疑問があるのはそもそもの派遣自体の判断だ。政府見解はジュバの状況は「楽観できないが、現在は比較的落ち着いている」とした。だが7月に政府軍と反政府勢力の間で大規模戦闘が発生。反政府勢力トップは内戦を継続する考えを示している。国連はジュバの治安情勢について「不安定な状況が続いている」と報告書をまとめた。極めて流動的で不測の事態も懸念される状況と言うべきだ。
(4)稲田防衛相や首相補佐官らは短期間、現地を視察。政府見解では反政府勢力には「系統だった組織性」はなく、陸自派遣にPKO法上問題はないとした。状況認識が甘くないか。
(5)PKOは1992年の初めての派遣から四半世紀。停戦合意の維持などから住民保護へと活動実態が変わったと指摘されるPKOに、日本がどう関わっていくのか。あらためて検討すべき時だ。
Ⅵ.西日本新聞の主張
(1)国連が主体となって地域の平和を守る活動に、日本が積極的に貢献していくことは重要である。自衛隊が民間人の安全確保に協力することにも異存はない。しかし、現在の南スーダンの混乱した情勢に照らせば、今回の新任務付与は、日本が平和主義と国際貢献を両立させるために守ってきた重要な原則を、なし崩しにする恐れをはらんでいる。
(2)まずはPKO参加5原則との整合性である。南スーダンでは大統領派の政府軍と前副大統領派の反政府軍との戦闘が続いている。7月には自衛隊が活動する首都ジュバで大規模な市街戦が起きた。「紛争当事者間の停戦合意が成立」などの5原則を満たしていないとの指摘がある。そこで新任務を実施すれば、自衛隊が両派の対立に巻き込まれかねない。
(3)そもそも南スーダンに派遣されている自衛隊は施設部隊であり、主な仕事は道路建設だ。治安維持に適した部隊ではない。内戦ともいえる国で道路建設を続行し、隊員を危険にさらすことに国民の理解は得られるのか。新任務に突き進むのではなく、むしろ撤収を検討すべき情勢だ。自衛隊の派遣にこだわらず、日本が南スーダンのために何ができるか、幅広く考える時ではないか。
Ⅶ.大分合同新聞の主張
(1)1992年の初めてのPKO派遣から四半世紀。隊員が戦闘に巻き込まれるリスクは確実に高まる。これまで他国民に向けて1発の銃弾も撃たず、自らの犠牲者も出さなかった自衛隊の活動内容は大きく「変質」する。
(2)10本の法改正と1本の新法が一括審議された安保関連法でPKO活動について十分な議論が尽くされたか。新たな任務に国民の理解と支持が得られているかは疑問だ。
(3)安倍政権が掲げる「積極的平和主義」の題目の下に、海外での武力行使を禁じた憲法9条の制約を緩めた活動の拡大を危惧する。
(4)停戦合意の維持などから住民保護へと活動実態が変わったと指摘されるPKOに日本がどう関わっていくのか。あらためて検討すべきだ。
(5)実施計画の変更では「安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難な場合」は部隊を撤収することも盛り込み、首相は「撤収をちゅうちょすることはない」と述べた。しかし「派遣ありき」を前提とするような姿勢で、状況を的確に判断できるのか。懸念と疑問は尽きない。
Ⅷ.熊本日日新聞の主張
(1)海外で1発の銃弾も撃ったことがなく、自らの犠牲者を出さなかった自衛隊の活動が大きく変わり、戦闘に直面するリスクが増大するのは避けられない。
(2)稲田防衛相や首相補佐官らが、短期間現地を視察。政府見解は反政府勢力に「系統だった組織性」はなく、陸自派遣にPKO法上問題はないとしたが、リスクを直視していないのではないのか。
(3)実施計画の変更では「安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合」は部隊を撤収することも盛り込み、安倍晋三首相は「撤収をちゅうちょすることはない」と述べた。しかし、武器を持って出動する新任務は、これまでの自衛隊活動の中では未経験の事態への対処となる。状況判断を誤れば、大きな危険にさらされるのは間違いない。拙速に事を進めているのではないか。
(4)政府は、安保関連法で可能となった新たな国際貢献の実績作りを着実に進めたい考えとみられるが、「付与ありき」の判断なら将来に禍根を残しかねない。


 また、沖縄タイムスは、新任務について次のように指摘する。


「離れた場所にいる国連や非政府組織(NGO)の職員らが武装集団や暴徒に襲われた際、武器を使って警護するのが『駆け付け警護』である。宿営地が武装集団に襲撃されたとき、他国軍とともに『宿営地の共同防衛』にあたる任務も新たに付与する予定だ。新任務は、自衛隊員が戦闘場面に直面し、『殺すリスク』と『殺されるリスク』がともに高まるという点で、派遣される隊員に大きな負担を負わせることになる。その面の論議が不十分だ。」


 特に、琉球新報の「憲法9条が禁じる海外での武力行使につながる恐れがあり、平和国家日本の国のカタチを破壊する暴挙だ。自衛隊員が危険にさらされるのみならず人命を奪う事態もあり得る。断じて認められない。」及び沖縄タイムスの「憲法9条は交戦権を明確に否定している。だが、武装集団は9条を考慮して襲ってくるわけではない。憲法9条を前提にした『想定』と、南スーダンの厳しい『現実』には大きな裂け目があり、『想定』が突発的な『現実』に飲み込まれるおそれがある。国民的合意が得られず、理由もはっきりしないまま、隊員を危険な新任務に就かせるのには賛成できない。」、との主張は特筆に値する。
 このことは、日本国憲法の改憲・改悪が、そのまま沖縄に強い影響を与えることを両社が自覚していることを示している。
 琉球新報の「狙いは9条改正だ」、との指摘はまさしくこのことからの告発なのである。


 以下、各紙の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-11-21 14:40 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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