2016年 10月 28日 ( 3 )

「土人」「シナ人」発言を考える。(7)

 大阪府警の機動隊員による「土人」「シナ人」発言を考える。
 「差別する側の意識が変わらないと問題は解決しない」、と識者は評する。
 つまり、差別する側の植民者の自覚がなされるのかどうかだ。
 人種差別撤廃条約に違反する問題なのだ。


 北海道新聞は、2016年10月22日の社説で「沖縄侮辱発言 差別構造が底流にある」、と論評した。
その主張は、次のものである。


(1)翁長雄志(おながたけし)知事は隊員を管理する沖縄県警の本部長に「言語道断」と抗議した。本部長は謝罪したが、問題を若い隊員のお粗末な言動として片付けてはならない。米軍基地の負担を沖縄に押しつけようとする政府の姿勢や、社会のある部分に潜む沖縄への差別や偏見が底流にあるとみるべきだ。

(2)暴言は反対派と隊員が対峙(たいじ)する混乱の中で出たが、公権力を行使する警察官ならなおさら、絶対口にしてはならない言葉だ。

(3)太平洋戦争で本土を守る「捨て石」にされた沖縄は戦後も長く米軍の統治下に置かれ、土地を奪われて基地が造られた。いまも過重な基地負担に苦しむ沖縄の現状は「構造的差別」と指摘され、翁長氏は「魂の飢餓感がある」と県民の心情を代弁する。ところがどうだ。普天間飛行場の名護市辺野古への移設には県民の反対の意思が選挙で何度も示されているにもかかわらず、政府は強引に進めようとしている。北部訓練場でも、完成した2カ所のヘリパッドで新型輸送機オスプレイの騒音被害が深刻だ。「負担軽減」をうたいながら、安全保障のためには新たな痛みにも耐えよと言わんばかりに沖縄を見下す政府の姿勢が、現場の警察官にも影響を与えていないか。

(4)2013年1月、那覇市長時代の翁長氏も参加し東京で行ったオスプレイ反対デモには、沿道から「売国奴」「中国のスパイ」などと屈辱的な言葉が飛んだという。沖縄への無理解、無知を象徴する出来事だ。沖縄の歴史や基地問題を正確に知る必要がある。そうでないと、差別と偏見に満ちた暴言が繰り返されかねない。


 北海道新聞は、「私たちの社会も問われている。」、とする。
 いや、私たちの社会が、問われているのだ。


 以下、北海道新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-10-28 17:27 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古・高江から-2016年10月28日

 沖縄県議会は、東村高江で米軍ヘリパッド建設に反対する市民に対し機動隊員が「土人」「シナ人」などと発言したことに対し、「県民への侮辱」として抗議する決議・意見書を賛成多数で可決した。
 まずは、迅速に意見表明をすることが重要ではないか。


 2016年10月28日、沖縄-辺野古・高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報次のように表した。


(1)琉球新報-新基地阻止へ新組織「オール沖縄県民会議」 来月発足、各団体を網羅-2015年10月27日 05:05


 琉球新報は、標題ついて次のように報じた。


①「辺野古新基地建設阻止に向けて活動する県議会与党や市民団体、経済界の一部は26日までに、名護市辺野古のゲート前での反対運動の強化や来年の各種選挙の支援体制を構築するために、各団体を網羅した新組織『オール沖縄県民会議(仮称)』を設立することを決めた。11月上旬に結成準備会を発足させ、具体的な活動方針や参加団体などをまとめ、早ければ同月中に新組織を設立する。」
②「具体的な活動方針は準備会の中で議論するが、政府が知事の埋め立て承認を執行停止し、作業が再開されることを見据えたゲート前の活動強化を当面の取り組みとし、来年の宜野湾市長選、県議選、参院選の候補者支援、県の権限行使や政府との法廷闘争の側面支援などを検討している。」
①「複数の関係者によると構成団体は社民、共産、社大の3政党に加えて県議会会派の県民ネット、那覇市議会会派の新風会、市民団体から沖縄平和運動センター、県統一連、沖縄平和市民連絡会、ヘリ基地反対協、沖縄建白書を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議、経済界からは金秀グループやかりゆしグループなどが入る見込み。そのほか労働団体や女性団体、島ぐるみ会議と連携する市町村組織なども含めた幅広い団体で構成する組織を目指す。関係者らは24日に那覇市寄宮の知事公舎に集まり、11月上旬に準備会を発足し、できるだけ早期に新組織を設立する方針を確認した。参加者の一人は『辺野古新基地建設阻止を目指す中、各団体を束ねる統一組織を立ち上げる必要性が複数人から提起されていた。今後、新組織の具体化に向けた作業を進める』と説明した。」


(2)琉球新報-辺野古訴訟、国が異例の意見書 最高裁に上告棄却要求-2016年10月28日 07:30


 琉球新報は、「翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を相手に起こした不作為の違法確認訴訟で国は27日までに、県の上告を退けるよう求める意見書を最高裁に提出した。21日付。最高裁が弁論を開くか審理している段階で、意見書が提出されるのは極めて異例だ。国が提出したのは『上告理由書に対する意見書』と『上告受理申立理由書に対する意見書』。関係者によると、両意見書とも従来の国の主張でまとめられ、県敗訴を言い渡した福岡高裁那覇支部の判決の正当性を主張する内容だという。」、「上告事件では通常、弁論実施が決まり答弁書の提出が求められるまで、上告された側が書類提出などをすることはない。県関係者は『求められていないものまで勝手に出して、国は相当焦っているのではないか』と述べた。」、と報じた。


(3)沖縄タイムス-「土人」発言は「沖縄県民への侮辱」 県議会、賛成多数で抗議決議-2016年10月28日 12:11


 沖縄タイムスは、「沖縄県議会は28日午前、臨時会を開き、東村高江で米軍ヘリパッド建設に反対する市民に対し機動隊員が『土人』『シナ人』などと発言したことを『県民への侮辱』として抗議する決議・意見書を賛成多数で可決した。与党と中立の会派が賛成し、野党の沖縄・自民が反対した。抗議決議の宛先は県公安委員長と県警本部長で、直接の抗議を予定。意見書は国家公安委員長、警察庁長官へ送付する。午後の本会議で沖縄・自民は対案となる意見書案を提案する予定。機動隊員の発言を『不穏当』として抗議すると同時に、市民からの抗議の発言を受ける警察官の心身のケアを求める内容だが、賛成少数で否決される見通し。」、と報じた。


(4)沖縄タイムス-嘉手納司令官が騒音で異例の謝罪 2夜連続で安眠妨げ「迷惑かけ申し訳ない」-2016年10月28日 13:00


 沖縄タイムスは、「沖縄県米軍嘉手納基地で19、20日未明、米サウスカロライナ州空軍所属のF16戦闘機が相次いで離陸し、100デシベル前後の騒音が発生した問題で、嘉手納基地第18任務支援群司令官のポール・オルダム大佐は27日、周辺自治体の首長や議長らに対し『迷惑をかけて大変申し訳ない』と謝罪した。米軍機による騒音で司令官が謝罪するのは異例。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の野国昌春北谷町長らが同基地を訪れ、騒音防止協定の順守などを求めた抗議の冒頭で述べたという。」、と報じた。
 また、「野国町長らによると、オルダム大佐は今回のF16飛来はダイバード(目的地外着陸)というまれなケースであり、未明離陸の回避を模索したが上層部の判断で避けられなかったと釈明。その上で『今後このようなことがないよう努力したい』と述べたという。三連協副会長の當山宏嘉手納町長は抗議後、取材に『どういう状況であれ、基地周辺の数万人の安眠を妨げることは容認できない』と話した。100デシベルは電車通過時の線路脇に相当する。」、と報じた。


(5)琉球新報-高江、48台分の砂利搬入 200人で50人をごぼう抜き-2016年10月28日 12:51


 琉球新報は、「東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設で、沖縄防衛局は28日午前、ダンプカー48台分の砂利をN1地区ゲートから搬入した。ダンプカー12台がN1ゲートとメインゲートを4往復した。この日は民医連で全国から訪れた約50人を含む約70人が座り込んだが、機動隊約200人がごぼう抜きして一カ所に囲い込み、市民らの動きを封じた。市民らは『違法なダンプカーを逮捕しろ』『表現の自由を侵害するな』などとシュプレヒコールを上げた。」、と報じた。


 以下、沖縄タイムス、琉球新報の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-28 16:31 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第61回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。

 
 今回の報告は、「ヒロジさん・文子おばあへの弾圧と土人発言」。
 「辺野古や高江で反対運動をリードしてきたヒロジさんが、逮捕後10日経っても釈放されない。そして文子おばあまでも名護署に呼ばれ、事情聴取を受けた。沖縄の抵抗運動の象徴でもある二人に対して、今、あからさまな弾圧が始まっている。」、と報告は始まる。
 最初は、米軍提供区域での抗議活動について。


 「今、高江ではヘリパッド建設予定地の山の中、実際にうなりを上げている重機の前まで行って抗議行動をしている。米軍提供区域なのだから、逮捕される可能性は否定できない。そんなリスクのある抗議行動に転じたのにはわけがあった。7月22日、1000人の機動隊によってゲートが開けられてからは、ヘリパッド工事の作業車の列を止めようと、人々は県道で身体や車を使って阻止行動をしてきた。しかし毎日渋滞に巻き込まれてしまう地域住民からの苦情が大きくなっていた。これ以上県民の支持を得られない方法を続けたくない。ヒロジさんたちは逮捕覚悟で山に入るようになった。G地区やH地区は40~50分の山道を行くのでかなりきついが、高齢の女性も含め、毎日数十人が建設現場を目指して山に入って行く。」


 ヒロジさん・文子おばあへの弾圧について。


(1)17日も、そうやって工事現場に行く仲間が安全に通れるように、ヒロジさんは有刺鉄線を二本切断したという。逮捕は3回目、今回は器物損壊の現行犯。警察は防衛局員と入念に打ち合わせをし、逮捕の段取りを進めていたようだ。さらに拘留中の20日、傷害と公務執行妨害の容疑で再逮捕された。防衛局員を「揺さぶった」「つかんだ」という疑いだそうだ。テントにも、自宅にもガサ入れがあった。なにがなんでも今回はすぐには出さぬ。なにがなんでも年内にヘリパッドは完成させる。反対運動を徹底的に追い込んでやろうという政府の圧力をひしひしと感じる。
(2)一方、連日ヒロジを返せ、と名護署にも通っている文子おばあ87歳。反戦おばあの代表格である彼女は21日、同じ名護署に任意取調べで呼ばれていた。告訴したのはなんと42歳の国会議員。この話はにわかに信じがたく、怪しいので触れたくもないのだが、和田政宗議員は5月9日、メインゲートの前で反対運動を批判する演説をしていたところ、文子おばあに暴力を受けたと主張している。87歳の車椅子の女性が42歳現役議員らに暴力を振るったと。しかも証拠という映像は、無断で顔を撮り続ければ怒るであろうおばあに執拗にカメラをむけたもので、叩き落されたようにカメラが落下して、そこに偶然「イテテテ」と言う撮影者の顔が映っているという、摩訶不思議な仕上がりでネット上に散乱している。
(3)任意ではあるが、たびたび出頭するように連絡を受けていた文子さんは、「あたしは逃げも隠れもしない。悪いことはしていない。さっさと終わりにしたい」と話していた。周囲は体調などをとても心配しながらも、それならばとみんなで堂々と送りだし、また迎えようと名護署前に大結集した。「若い警察官と会うんだからねえ、お化粧してきたよ」とみんなを笑わせながら、拍手を背に笑顔で警察署に入っていったが、1時間もしないででてきてしまった。顔面蒼白だった。迎える大勢の仲間たちに報告することも控えて、まっすぐ帰宅をした。一体なにがあったのか?
(4)原因は、右翼のサイレンだった。名護署前に集まる人々に罵声を浴びせ続けた右翼の宣伝カーが、戦争を思い出させる軍歌を立て続けに大音量で流し、空襲警報を思わせるサイレンを鳴らし続けた。壮絶な戦争体験を持つ文子さんは、戦争のドラマをワンシーンを見ただけで胸が苦しくなってしまうほど敏感な方だ。署内でその音を聞くうちに動悸がして、生唾が出て、弁護士がずっと背中をさすっていたがとても話をする体調ではなくなってしまったので切り上げざるをえなくなったという。
(5)私は怒りを覚える。87歳の高齢の女性に数ヶ月にわたって出頭を迫り、話なら自宅でといっても聞き入れずに、右翼の攻撃にさらすような状況での事情聴取に追い込む警察。警察機関とは、そんなに無慈悲なものなのか。警察署以外で事情聴取したら、おばあの仲間たちに囲まれてしまいそうで怖かったのか。これが、基地のない未来を次の世代に残したい一心で、暑い日も寒い日も現場で頑張っている文子さんに対してすることなのか。日本中に、世界中に、文子さんが涙を流してトラックの前に立つ姿が届けられている。たくさんのエールが届いている。そういう女性に対するリスペクトや配慮は、警察官に期待してはいけないものなのか?


 次は、「土人」「シナ人」発言について、あえて、「国防をめぐる中央と辺境の問題」の視点から。


(1)高江で抗議行動中に大阪の機動隊員から沖縄県民に発せられた「土人」「シナ人」発言。これについてはヘイトや差別の問題として捉えることもできるが、私はあえて「国防をめぐる中央と辺境の問題」という視点で書きたい。国家というのはしばしば、国境周縁部の土地と住民を軍事利用し、国防の義務を押し付ける。日本の歴史を見ても、中央は自らの利害を優先し、辺境に暮らす人々をどんなに都合よく利用し、また見下してきたか。それは今の沖縄をめぐる構造差別の問題そのものだと思う。土人発言をした機動隊員個人が、たまたま差別意識が強かったとか、無知すぎて言葉の意味がわからなかったなどという話に矮小化してはいけない。
(2)「土人が!」という言葉の裏には「土人のくせにつべこべいうな!」という意味がある。そこには「お前らごときに国策に文句言う権利などない」と言う人を見下した意識が垣間見ることができる。では機動隊員はなぜ、彼らは上から目線なのか。日本の安全保障という大義を遂行する側にいることで自分の正当性は保証されている、と思っているのだろう。正しい高みに自分はいるのだ、と。そしてこんな風に思っているのかもしれない。
(3)「中国が攻めてくるという国家の危機を理解せず、国防に非協力的で、自分優先でワーワー言うだけの反対派というグループは、自己中で公共心のない下等な生き物だ。沖縄にはその手が多く、問題だ」と。そんな沖縄県民に対する評価が警察内部で共有されているからこそ、あの機動隊員は悪びれずに暴言を吐いたのだ。
 しかし、この偏見の歴史は深いのである。国策に協力的ではない沖縄をなんとかせねば、という中央の身勝手な発想は明治期からあった。国家のために身を投げだす立派な「防人(さきもり)」になってもらいたいのに、全くもってなってないと蔑む視線。沖縄の人々は日本人として不十分で、戦争に協力しない困った存在であるという論理の下、その後皇民化教育が徹底されていくことになる。
(4)国防の観点から、沖縄の県民性を問題視する「調査報告」の類が何度も書かれている。明治31年、沖縄に徴兵令が実施される。しかし沖縄県民は兵役逃れで自ら身体を傷つけたり、村全体で徴兵に反対したりする有様だった。これを「改善」するため、軍部や役所などの機関は明治期から沖縄の思想、風俗の調査をし、これを問題視してきた。(明治43年「島尻郡誌」など)
 大正11年12月、県出身兵教育のためにつくられた沖縄連隊区司令部のリポートでは、沖縄の県民性について偏見に満ちた評価が並べられている。
 ・進取の気性が乏しく優柔不断で意志は非常に弱い ・行動が鈍く、機敏でない ・強者をくじき、弱者を助けるという男気、犠牲的精神というものが全くない ・気力がなく、節度もなく、責任感が乏しい ・向上発展の気概がない ・婦人に優雅さがないことは他に類を見ない、などと主観に過ぎないものを含め散々だ。一方、数少ない利点として、理屈を言わず安い報酬に堪え、使いやすい民である、とも書かれてある。
 沖縄戦前夜、沖縄に駐留を始めた石部隊(62師団)が昭和19年に書いた会報には、恩知らずで打算的な傾向が強い、女性の貞操観念が弱いので誘惑されるな、などと書かれている。そして「デマ」が多い土地柄だから防諜上、極めて警戒を要する地域である、とか、住民は一般に遅鈍であるため事故が多いという記述がある。
(5)これらはただの偏見で終わらなかった。この「自分たちとは違う」という一方的な評価の下で、沖縄戦当事、軍隊は県民に残虐行為を働いていく。たとえば、敵の上陸と玉砕と言う運命がわかっていながら、ギリギリまで労働力として沖縄県民を使い、彼らの安全を後回しにしたばかりか敵の上陸目前となれば、足手まといだとして集団自決に追い込んでいった。「愚鈍で責任感が薄い」沖縄県民が、軍の機密を知りすぎているとして、スパイの疑いを理由に殺害した。捕虜になって敵にぺらぺらしゃべってしまいそうな沖縄県民の口を封じることは、皇軍の崇高な目的のためには止むを得ないと正当化する。無実の沖縄県民の命を奪ってもさして胸が痛まない。その冷たさは、自分と彼らはレベルが違うんだ、辺境に住む「土人」は自分たちとは違うのだから、いちいち気にする必要はないのだと、一線を引く今回の機動隊員の意識と通底している。


 三上さんは、今回の最後にこう報告する。


(1)機動隊員に対する怒りや許せないという気持ちも当然ある。でもそれ以上に、こういう残酷な若者を量産している構造に対して恐怖を感じるのだ。つまり、差別や区別をすることで人は相手に対して残酷になれる。自分と同じだけ大切な人間だと思っている相手に残酷なことはできない。逆に言えば、職務とはいえ、自分が誰かにひどい状況を押し付けているとしたら、自己嫌悪や罪の意識に苛まれてしまうだろう。であれば「人種が違う」と見下げてしまうほうが彼個人は楽になる。上官に対して「この仕事はおかしいと思います」と言うのは難しい。良心の葛藤を抱え込むのも勘弁して欲しい。それなら自己保身のためにも差別構造に乗っかってしまうほうがいい。そうやって「所詮、土人だろ」と仲間同士で言い合うことで、苦しみから解放されるのだ。これは人間の心の弱さの問題だ。
(2)この構造が怖いのだ。まっすぐに目を見て「基地は作らないで」と訴える人々を前にまっとうな人間でいようとすると壊れてしまうから、冷淡な考え方をすることでやり過ごすのだとしたら、この基地建設のために何百人と全国から送り込まれてくる若者たちの心がどんどん歪められていくのではないか。残酷な差別主義者にならなければ到底やり過ごせないような理不尽な仕事を、正義感溢れて職務についた機動隊や海上保安庁の若者に押し付けていく政治のあり方を根底から問うべきではないのか。
(3)これは、「沖縄は私たちとは違う土人の島だから、防波堤にしてしまってもいいんだ」という議論に行き着く。今まさに70年前を想起させるような南西諸島の軍事要塞化がすすんでいる。有事の際真っ先に攻撃されるのは沖縄の人たちだろう、とうすうす気づいていながらも、自分たちの残酷さを正当化する理屈を100探している国民がいる。お金をもらってるんでしょ? 基地はないとこまるんでしょ? 中国のスパイなんでしょ? 左翼思想で騒ぎたいだけでしょ? そんなあらゆる言い訳の一つとして「土人が!」が存在すると思う。人種差別の問題だけでは見えてこないのが、誰かを防波堤にして自分は生き残ろうとするあさましさであり、そのあさましさを隠すために差別を作り出していくという側面を考える必要があると思うのである。
 「土人の島だから防波堤にしてしまえ」ではなくて、「防波堤として使いたいから、住んでるのは土人ということにしてしまえ」という理屈が呼び起こす差別があるということである。
 先の大戦では 日本は辺境に住む人たちを蔑視することで、国防上、身勝手に利用し残酷な運命を強要する事ができたのだと思う。その仕組みは今も変わらない。「沖縄にひどいことをしているのでは?」と自問自答するよりヘイトに乗っかってしまうほうが楽。そんな一人ひとりの人間の弱さが恐ろしい時代を連れてくるのだろう。


 以下、三上智恵の沖縄(辺野古・高江)撮影日記第61回の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-28 10:13 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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