2016年 06月 22日 ( 2 )

米軍再編-宮古市の陸上自衛隊配備計画「了解」の正式表明を考える。

 宮古市の陸上自衛隊配備計画について、下地敏彦宮古島市長は2016年6月20日、「宮古島への陸上自衛隊については了解する」、と市議会で正式に表明した。
 このことについて、琉球新報は「宮古陸自受け入れ 住民投票で民意を問え」、沖縄タイムスは「[先島の陸自計画]『配備ありき』懸念する」、とそれぞれの2016年6月21日付け社説で論評した。
 沖縄の先島(与那国島、石垣島、宮古島)への自衛隊配備について、どれだけ感心が寄せらられているだろうか。
 この計画の状況や政府の目的について、琉球新報と沖縄タイムスは次のように説明する。


「計画では地対艦ミサイルと地対空ミサイル部隊、そしてその基地を守る警備中隊、計700~800人を配備する。弾薬庫、実弾射撃場なども整備する。海洋進出を進める中国を警戒し、島嶼(とうしょ)部の防衛力を強化するというのが名目だ。具体的には、沖縄本島と宮古島の間の公海を通る中国軍艦ににらみを利かすというのが狙いであろう。」(琉球新報)


「防衛省は、宮古島の旧大福牧場地区と千代田カントリークラブ地区の2カ所に、2018年度までに警備部隊、地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊など計700~800人規模の自衛隊員を配備する計画だ。与党議員からも反対の声が上がる旧大福牧場地区への配備見直しは当然だ。もう一つの候補地である千代田カントリークラブ地区も地元の野原部落会が反対決議を全会一致で可決しており、市議会に陳情書も提出している。」(沖縄タイムス)


 この件に関して、最大の問題は、義気や住民の間での議論が十分に保障されることなく、政府の思惑が一方的に先行させられているのが実態であるということにある。
 琉球新報は、このことについて、「既成事実化を進め、住民に諦めの意識が生じたところで民意を問う。与那国島への自衛隊配備はそんな手順で進められた。防衛省にとっては強烈な成功体験であろう。その繰り返しを狙う。」、と政府・防衛省の姑息さを指摘している。
 この問題を把握するために、琉球新報及び沖縄タイムスの社説をもとに考える。
 両社の社説の要約は次のとおりである。


Ⅰ.琉球新報
(Ⅰ)主張
①「既成事実化を進め、住民に諦めの意識が生じたところで民意を問う。与那国島への自衛隊配備はそんな手順で進められた。防衛省にとっては強烈な成功体験であろう。その繰り返しを狙う。下地市長や防衛省にそんな算段があるのだとしたら容認できない。」
②「まず民意を問うべきだ。住民投票を実施して、その判断に従うべきだ。それが民主主義と自治のあるべき姿であろう。」
③「疑念を払拭できるだけの説明が尽くされたとは言えない。むしろ何一つ解消されていないとさえ言えよう。このまま配備の既成事実が進むのは許されない。やはり民意を問うべきだ。」
(2)問題点
①「防衛省はつい1週間ほど前にようやく1回目の説明会を開いただけだ。とても説明を尽くしているとは言えない。そんな段階での賛成表明は唐突だ。」
②「まして実際に配備するのは拙速過ぎる。この状態での造成着手は許されない。」
③「だが中国からすれば、公海を通るだけでミサイルの照準を定められるということになる。自国の安全を高めるため軍拡すれば、脅威に感じた相手国も同じようにし、緊張を高め合ってついには双方とも望まなかった戦争に突入してしまう。そんな『安全保障のジレンマ』を地でいく事態ではないか。」
④「そもそも敵の軍隊・基地がある所を攻撃するのは軍事の常識だ。軍が配備された島では激烈な地上戦に住民が巻き込まれる。軍隊は住民を守らない。それが沖縄戦の教訓である。」
⑤「防衛省が示した2カ所の候補地のうち、旧大福牧場周辺は飲料水の地下水源が近くにあることから、下地市長は汚染の可能性が否定できないとして反対の意思を示した。配備先が不明なままで配備自体には賛成するというのも理解し難い。」


Ⅱ.沖縄タイムス
(Ⅰ)主張
①「建設場所を特定しないままの理解に苦しむ受け入れ表明である。旧大福牧場地区の代替地も明らかでない。受け入れ表明は住民への説明責任を果たしているとはとてもいえない。」
②「地域の同意は最低限の条件だ。『配備ありき』の手法は混乱を招く。」
③「いったん不測の事態が起これば被害を受けるのは先島の住民である。宮古島も石垣島も島の将来を左右する極めて重大な陸自配備を十分な議論がないまま押し進めていいはずがない。」
(2)問題点
①「市議会後、記者会見した下地市長は『宮古島全域について配備を了解して、場所など計画が明らかになった段階で関係法令に適合しているかどうかで判断する』と説明した。認めるかどうかはホテルなど民間施設と同じとの認識も示した。」
②「下地市長の政策決定のあり方は順序があべこべである。軍事施設と民間施設が同じという認識もおかしい。」
③「防衛省が一方的に配備計画を通告するやり方にも問題がある。賛成派は『中国脅威論』を唱え、反対派は『日常生活が壊され、標的にもなり得る』と割れる。議会や住民の間で議論を尽くさなければならないのはいうまでもない。」
④「宮古島市長の受け入れや、石垣市議会への請願は、尖閣諸島を巡り中国公船が領海に入り、海軍軍艦が接続水域を航行することなどを理由に挙げている。もちろん、中国の挑発的な振る舞いは許せるものではない。だが、軍拡に軍拡で対抗しても、安全保障のジレンマに陥るだけである。」


 こうした状況下で、石垣市は異例の展開を見せる。
 沖縄タイムスによると次のようになっている。


「防衛省は石垣島でも19年度以降、陸自の警備部隊、地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊の配備を計画。500~600人規模を想定している。石垣市議会は20日の6月定例会最終本会議で賛成派が提出していた陸自配備推進の請願を賛成少数で不採択とした。一部与党が反対に回ったり、退席したりしたためで、総務財政委員会では採択していただけに異例の展開だ。反対や退席した議員の中には与党の重鎮もいる。住民の理解や議論が進んでいるとはいえず、『時期尚早』との指摘は、その通りである。」


 結局、この両社の社説が暴く物語は、つぎのようになる。


 防衛省の役人は、ほくそ笑む。
 その笑みの中には、「既成事実化を進め、住民に諦めの意識が生じたところで民意を問う。与那国島への自衛隊配備はそんな手順で進められた。防衛省にとっては強烈な成功体験であろう。その繰り返しを狙う。」、という思惑が踊る。
 その役人は、市のお偉いさんや選ばれた「住民」に、「既成事実化を進め、住民に諦めの意識が生じたところで民意を問う」、とそのシナリオを得意げに説明する。
 だから、「防衛省はつい1週間ほど前にようやく1回目の説明会を開いただけだ。とても説明を尽くしているとは言えない。そんな段階での賛成表明は唐突だ。」。といった声は、すでに笑みのうち。
 どうやら、その役人のシナリオには、「配備先が不明なままで配備自体には賛成するというのも理解し難い。」とか「地域の同意は最低限の条件だ。『配備ありき』の手法は混乱を招く。」といった声が大きな字で書かれていた。当然、その脇には、「折り込み済み」との文字がもっと多きな文字で印刷されていた。
 ただし、そのシナリオには、「『安全保障のジレンマ』にはちょっと注意をしながら、『中国脅威論』の説明で。」、とも書かれていた。もちろん、括弧で、「詳しく説明してもわからないから、冷静な情熱が伝わればいい。」、と書かれていた。


以下、琉球新報及び沖縄タイムスの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-06-22 15:01 | 米軍再編 | Comments(0)

沖縄-「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」の発言から学び取ること。

 米軍再編という現実。
 矛盾。
 構造的差別。
 浮かぶ言葉は、植民地主義の克服。
 すべてが重なり引き起こしたもの。
 それは、「私たちは遺族とともに、被害者を追悼し、二度と繰り返させないために、この県民大会に結集した。』(大会決議)となった。
その大会決議は、「元海兵隊員の凶悪な犯罪により、20歳の未来ある女性のいのちが奪われた。これは米軍基地あるが故の事件であり、断じて許されるものではない。(省略)戦後71年にわたって米軍が存在している結果、復帰後だけでも、米軍の犯罪事件が5910件発生し、そのうち凶悪事件は575件にのぼる異常事態である。」、と記す。


歪な現実は、悲痛な事実を持ち込む。
父は、この言葉を。
 娘の父としての叫びを。


米軍人・軍属による事件、事故が多い中、私の娘も被害者の一人となりました。
なぜ娘なのか、なぜ殺されなければならなかったのか。今まで被害に遭った遺族の思いも同じだと思います。
被害者の無念は、計り知れない悲しみ、苦しみ、怒りとなっていくのです。
それでも、遺族は、安らかに成仏してくれることだけを願っているのです。


 だから、大会決議は、「日米両政府は、事件・事故が起きるたびに、『綱紀粛正』、『再発防止』を徹底すると釈明してきたが実行されたためしはない。このような犯罪などを防止するには、もはや『基地をなくすべきだ』との県民の怒りの声はおさまらない。」、と日米両政府合作の作為は、自らの責任でしか納めることはできないと示す。
 玉城愛は、生の声で、怒りの声でこれを言い当てる。


「安倍晋三さん。日本本土にお住まいのみなさん。今回の事件の『第二の加害者』は、あなたたちです。しっかり、沖縄に向き合っていただけませんか。いつまで私たち沖縄県民は、ばかにされるのでしょうか。パトカーを増やして護身術を学べば、私たちの命は安全になるのか。ばかにしないでください。」

「軍隊の本質は人間の命を奪うことだと、大学で学びました。再発防止や綱紀粛正などという使い古された幼稚で安易な提案は意味を持たず、軍隊の本質から目をそらす貧相なもので、何の意味もありません。」


 玉城愛は、言わなければならない。
「あなたと面識のない私が発言することによって、あなたやあなたがこれまで大切にされてきた人々を傷つけていないかと日々葛藤しながら、しかし黙りたくない。そういう思いを持っています。」、のだから。


「バラク・オバマさん。アメリカから日本を解放してください。そうでなければ、沖縄に自由とか民主主義が存在しないのです。私たちは奴隷ではない。あなたや米国市民と同じ人間です。オバマさん、米国に住む市民のみなさん、被害者とウチナーンチュ(沖縄の人)に真剣に向き合い、謝ってください。自分の国が一番と誇るということは結構なのですが、人間の命の価値が分からない国、人殺しの国と言われていることを、ご存じですか。軍隊や戦争に対する本質的な部分を、アメリカが自らアメリカに住む市民の一人として問い直すべきだと、私は思います。」


 だが、求められているのは、「二度と繰り返させない」ための実行力、本当の責任。
大会決議は、「県民の人権といのちを守るためには、米軍基地の大幅な整理、縮小、なかでも海兵隊の撤退は急務」、と。
翁長雄志沖縄県知事は、行政の長のあり方として、こう誓う。


「政府は県民の怒りが限界に達しつつあること、これ以上の基地負担に県民の犠牲は許されないことを理解すべきだ。私は県民の生命と財産、尊厳と人権、そして将来の子や孫の安心や安全を守るべき知事としてこのような事件が二度と起きないよう県民の先頭に立って、日米地位協定の抜本的な見直し、海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理縮小、新辺野古基地建設阻止に取り組んでいく不退転の決意をここに表明し、私のあいさつとする。」


 娘の父は、「次の被害者を出さないためにも『全基地撤去』『辺野古新基地建設に反対』。県民が一 つになれば、可能だと思っています。」、と力を振り絞って綴る。
 行政者の「不退転の決意」を見守るように。


 玉城愛の声が広がります。
 沖縄の地から、私の済む山間の地まで。
 そして、もっと広い大地を包み込む。
 聞けよ、お前たち、あなたたち。
 生きることが許されているものの想いをつなげろ。
 こんな、玉城愛の声が聞こえます。


 会場にお集まりのみなさん。幸せに生きるって何なのでしょうか。一人一人が大切にされる社会とは、どんな形をしているのでしょうか。大切な人が隣にいる幸せ、人間の命こそ宝なのだという沖縄の精神、私はウチナーンチュであることに誇りを持っています。

 私自身は、どんな沖縄で生きていきたいのか、私が守るべき、私が生きる意味を考えるということは何なのか、日々重くのしかかるものを抱えながら現在生きています。

 私の幸せな生活は、県民一人一人の幸せにつながる、県民みんなの幸せが私の幸せである沖縄の社会。私は、家族や私のことを大切にしてくれる方たちと一緒に今生きてはいるのですが、全く幸せではありません。

 同じ世代の女性の命が奪われる。もしかしたら、私だったかもしれない。私の友人だったかもしれない。信頼している社会に裏切られる。何かわからないものが私をつぶそうとしている感覚は、絶対に忘れません。

 生きる尊厳と生きる時間が、軍隊によって否定される。命を奪うことが正当化される。こんなばかばかしい社会を、誰が作ったの。このような問いをもって日々を過ごし、深く考えれば考えるほど、私に責任がある、私が当事者だという思いが、日に日に増していきます。

 彼女が奪われた生きる時間の分、私たちはウチナーンチュとして、一人の市民として、誇り高く責任を持って生きていきませんか。もう絶対に繰り返さない。沖縄から人間の生きる時間、人間の生きる時間の価値、命には深くて誇るべき価値があるのだという沖縄の精神を、声高々と上げていきましょう。


 以下、「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」の大会決議、玉城愛さんあいさつ、沖縄県知事あいさつ、父親のメッセージの引用。





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