2016年 05月 29日 ( 2 )

沖縄-元海兵隊員の軍属の男による女性遺体遺棄事件で、在沖米軍トップの四軍調整官(沖縄地域調整官)は、異例の記者会見を開いた。

 標題について、沖縄タイムスは2016年5月28日、「元海兵隊員の軍属の男による女性遺体遺棄事件で、在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官(沖縄地域調整官)は28日午前、北中城村のキャンプ瑞慶覧で記者会見を開いた。再発防止策について、具体案を出さなかったが、翁長雄志知事と同10時から電話会談することを明らかにし、『県や市町村から提案があれば検討する』と述べ、地元自治体と再発防止策を協議する意向を示した。」、と報じた。
 このことについて、琉球新報は2016年5月29日、「翁長知事は『誠意は認めたい』とした一方で『根本的な問題は国土面積の0・6%の沖縄に74%の在日米軍専用施設があることだ。負担軽減は日米地位協定の見直しを含めた議論でなければならない』と述べ、今後の米側の対応を注視する考えを示した。」、との翁長雄志沖縄県知事の言葉を伝えた。

 この異例とも言える会見について、沖縄タイムスは、次のような解説を加えた。


①「在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官が沖縄メディアへの異例の会見を開いた。背景には、女性遺体遺棄事件により県内世論に在沖海兵隊の撤退、さらには全基地撤去の要求が広がることへの米側の強い危機感がある。」
②「それを示すように、会見でニコルソン氏は日米のコミュニティーに『くさび』を打ち込まないでほしいと訴えた。沖縄と米側との『分断』もしないでほしいと求めた。
③「だが、県議会で初めて海兵隊撤退決議が可決されるなど、基地撤退論が広がり始めているのは、何も今回の事件だけが理由ではない。戦後71年間、抗議と再発防止を訴えるも、何度も繰り返される凶悪な犯罪への怒りの蓄積がある。」
④「今回、米側は基地外での飲酒、外出禁止など以外に具体的な再発防止策は示さなかった。」                                     ⑤「海兵隊が新任兵への研修で事実に基づかない沖縄蔑視の内容を教えていた問題でも事実関係を明らかにしなかった。沖縄が求める地位協定改定などにも触れることはなかった。
⑥「まさに今こそ、在沖海兵隊の県外への移転、日米地位協定の抜本的な改定に踏み込むときだ。」


 さらに、沖縄タイムスはその社説(2016年5月29日付け)で、「犠牲者への哀悼の意とともに、明らかにされたのは綱紀粛正策である。『異例の対応』には違いないが、これ以外の再発防止策や、より踏み込んだ綱紀粛正策には、触れていない。『喪に服するため』の当面の措置という位置づけだ。この程度の再発防止策を示して県民の怒りが収まるなどということは、あり得ない。」、と 批判した。
 そして、「過去に起きた米軍関係者の事件と再発防止策を丁寧に検証し、再発を防げなかった理由も含め検証結果を報告書の形で沖縄県と国会に提出すること。四軍調整官を参考人として県議会に招き、海兵隊の入隊から訓練形態、日常生活に至るまで、を聞くこと-そのような大胆な対応策を検討する時期が来た。」、と指摘した。
 このことに加えて、地位協定の問題についても、その抜本的見直しについて触れた。


①「今回の事件で安倍晋三首相に会った翁長雄志知事も『日米地位協定の下では、米国から日本の独立は神話だと言われている気がする』と述べ、地位協定の改定を求めた。
②「地位協定の見直しを求める声は、政治的立場を超えた『県民の声』だといっていい。」 ③「米軍関係者は日米地位協定によってさまざまな面で保護され、優遇されており、それが占領者意識を温存させ再発防止を妨げているのは明らか。海兵隊が集中していることも再発防止を難しくしている要因の一つだ。」


 米軍が、これほどまでの「異常」な軍事植民地政策を何故維持できたのか。
 当然、そこには日米両政府合作の構造的沖縄差別が厳然と横たわっている。
ただ、それだけに止まらない、『喪に服するため』の当面の措置に慣らされたしまった、怒りを飼い慣らされてしまった私たち日本人の側の怒りの質に問題があった。


 以下、沖縄タイムスの引用。




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by asyagi-df-2014 | 2016-05-29 17:59 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第50回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。


 
 今回の報告は、「蝶になったRINAさんへ~元米兵暴行死体遺棄事件の衝撃~」について。

 三上さんのブログの解説をわざわざ書いて何の足しになるのか。
 このブログのビデオを観れば、自分で三上さんの文章を読めば、十分ではないか。
 そんな、思いの中で、今、自分ができることの一つをそれでもやってみよう。
黒い蝶の記憶を心に刻んで。
 確かに、「陳腐な怒りも、涙も、意気消沈も、責任のなすりあいも、彼女のためにならない。次の犠牲者のためにならないのだ。」から。

 三上さんの50回目は、黒い蝶のものがたりで始まる。


うりずんの 島の空 高く
黒い蝶が舞い 消えていった

緑豊かな やんばるに育まれ
愛をいっぱい浴びて 笑って 周りを照らして
そして 愛を確かめあった人と
命をあわせて 命を生み出し
愛のバトンを渡していく はずだった

その命のリレーは 唐突に終わった
20歳の光り輝く日に

彼女の残した笑顔が
あまりに愛らしかったので
天の神さまは
舞い上がる蝶の 最後の記憶を 消した

愛の詰まった地上の記憶
それだけを持って
黒い蝶は 天に迎えられた

神さまは
蝶の最後の記憶を
黒い粉にして
おろかな国の民
すべての頭の上に
まんべんなく 降らせた

そして
光り輝く季節を終わらせ
島の人々が 心置きなく泣けるよう
黒い雲で覆った


 三上さんは、「軍隊と暴力とレイプの関係や、沖縄が70年も他府県と違ういびつな社会構造の中、告発する声さえ押し殺してきたことや、守れなかった島の男性たちの心をも壊すものであることや、そんなことはもう書きたくない。できればこの事件についてなにも書きたくない。事件の詳細は他でみて欲しい。ウォーキングをしていたら元海兵隊の男に突如棒で殴られ、性の捌け口にされて草むらに遺棄された。ここまで言葉を並べるにも、息を削るように不自然な呼吸になってしまう。このことについては冷静でいられない。」、と記す。


「『謝罪と再発防止』はもういい。今回はみなそう口をそろえる。『綱紀粛正・オフリミット』。それで何も変わらなかった。事件事故の度にそんなごまかしで中途半端に抗議の拳をおろしてきた自分たちが、何よりも呪わしいのだ。殺人・レイプ・放火など米軍の凶悪事件だけで500件を超える。もしも過去のどこかで徹底的に抵抗して基地を島から追い出していたら、彼女の人生は続いていたのだ。」、と。


 「新たな犠牲が出るまでこの状況を放置したのは、私。変え切れなかったのは私だ。」。
だけど、「彼女を殺させたのは無力な私であり、何もしなかったあなただ。」。


 だとすると、「米軍の凶悪犯罪をもうこれで本当に最後にしたい。あらゆる対策は無効だった。どうすればよいか? すべての米軍に出て行ってもらうしかない。『いくらなんでもそれはちょっと…』と言いながら、解決策も提示せず、動かずにいる人は、次に起きる凶悪事件の無意識の共犯者だ。」、ではないか。


 三上さんは、こう切り出さなくてはならなかった。


「基地に苦しめられ、声をあげてきた方々と一緒に、こんな日を、さらに苦しくなるような日を共に迎えるなんて、私もどの人と話をしていても涙腺が決壊、まともにインタビューもできなかった。それはあのオスプレイがきた2012年10月1日と同じだった。1995年の少女暴行事件、その少女の受けた苦しみを無駄にすまいと頑張ってきたこの20年の日々は、これでもか、これでもかと打ち砕かれる。」


 でも、三上さんは、こう記す。


「20歳の輝く日に突然未来を奪われた彼女の苦しみを引き受けよう。そして肉親や友人らが抱えて行く二度と晴れない空を思って震えながら、いつか彼女が生まれてきた意味をみんなで肯定できる日を迎えるために、前に進むしかない。陳腐な怒りも、涙も、意気消沈も、責任のなすりあいも、彼女のためにならない。次の犠牲者のためにならないのだ。」


 ただし、この事実はきちっと押さえておかなくてはならない。


「アメリカ国防総省の調査(2012年)では2万6千人の兵士が軍隊内で性的暴行を受けていて、被害者の9割がその後、除隊を余儀なくされているという。このいびつな弱肉強食の社会、強靭な肉体と暴力性、征服欲を掻き立てられ、命令があれば思考停止で従う訓練を受けている集団。個の尊厳が否定され、抑圧される人間が異常性愛に走るのは必然だ。普段から『野獣になれ』と教育されているのに『道徳教育』が染みこむはずがない。」


「バイデン副大統領は奇しくも21日、陸軍士官学校の卒業式で『性的に逸脱した傾向を持つ兵士がアメリカ軍に加わることはアメリカ軍をより強力にする』『性的な問題や倫理的逸脱によってアメリカ軍関係者が除隊処分になることは弱体化を招く』と発言した。よくぞ本音を言ってくれた。異常な性愛や暴力も性能のいい武器と同列に考える思考が『軍隊』の本質なのだ。そんな、人として歪められた兵士たちがフェンスの外に野放しにされている状態が続く沖縄にいて、現状を変えずに、彼女の冥福など祈れるはずがない。」


 私も、三上さんの思いに続けて、ともに誓う。
 沖縄に続く大分の大地に立ちながら。


「周囲の人たちの言葉から、愛に溢れて生きていた彼女のまさに花開こうとしていた未来を思う。それが閉ざされた。特に最後の数時間は彼女の人生にふさわしくないので、記憶ごと地上に置いていってもらおう。私たちが引き受けますから、光り輝く記憶だけを持って軽やかに天を目指してください。尊い使命を帯びたあなたの魂を、天がきっと癒すでしょう。そしてあなたが残した波紋が島を守る力になって、ついに暴力を払拭する日が来るはずです。みんなで頑張りますから、楽しみに見守っていてください。」



三上智恵監督新作製作のための製作協力金カンパのお願い

『戦場ぬ止み』のその後――沖縄の基地問題を伝え続ける三上智恵監督が、年内の公開を目標に新作製作取り組んでいます。製作費確保のため、皆様のお力を貸してください。

■振込先
郵便振替口座:00190-4-673027
加入者名:沖縄記録映画製作を応援する会

◎銀行からの振込の場合は、
・ 銀行名:ゆうちょ銀行
・ 金融機関コード:9900
・ 店番 :019
・ 預金種目:当座
・ 店名:〇一九 店(ゼロイチキユウ店)
・口座番号:0673027
・加入者名:沖縄記録映画製作を応援する会


 以下、三上智恵の沖縄(辺野古・高江)撮影日記第50回の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-05-29 06:02 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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