2016年 05月 01日 ( 2 )

労働問題-真の長時間労働是正のために。日本労働弁護団幹事長声明を読む。

 安倍首相は2016年3月25日の一億総活躍国民会議において、長時間労働の是正について発言しているが、このことについて、日本労働弁護団は、幹事長声明を発表した。
 この声明を考える。
 要約は、次のものである。


(1)経過
 2016年3月25日に開催された第6回一億総活躍国民会議において、安倍総理は、長時間労働は仕事と子育ての両立を困難にし、少子化や女性の活躍を阻む原因となっていると指摘した上で、長時間労働を是正するため、労基法36条に基づく労使協定(36協定)のあり方を見直し、労働時間の上限値を設けることなどを検討する旨表明した。
(2)安倍晋三政権への疑問
①これまで実際に安倍政権が労働時間法制に関して推進してきた政策は、労働時間規制の大幅な緩和であり、長時間労働を是正するどころか、逆に長時間労働を助長するものとなっており、上記発言をにわかに信用することはできない。
②既に安倍政権が昨年の第190回国会に提出し継続審議となっている「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、裁量労働制を大幅に拡大するとともに高度プロフェッショナル制度(いわゆるホワイトカラー・エグゼンプション)を導入し、労働基準法に定める労働時間規制の適用を排除することで、労働時間規制を大幅に緩和しようとしている。これらの規制緩和により日本の職場ではますます長時間の過重な労働が増え、労働者の健康被害が増大することが懸念される。
③2014年度の過労死等による脳・心臓疾患事案の労災補償状況は、ここ5年間横ばいの状態で一向に件数が減る気配はなく、精神障害事案の労災申請件数、支給決定件数は、ともに過去最多を記録している。このように、過労死・過労自殺の悲劇が止まない現状において、労基法改正による労働時間規制の緩和を行えば、さらに過労死・過労自殺が増えることは誰の目にも明らかであり、今求められている政策は労働時間規制の緩和などではなく、労働時間規制の強化であることは明らかである。
(3)日本労働弁護団の主張
①真に安倍総理が長時間労働を是正しようと考えるのであれば、継続審議となっている「労働基準法改正案」を直ちに撤回すべきであり、同時に以下のような日本労働弁護団が提言する立法政策をとるべきである。
②当弁護団は、2014年11月28日に「あるべき労働時間法制の骨格(第一次試案)」を発表し、長時間労働を抑制するための合理的な規制方法として、1.労働時間の量的上限規制(1週の上限労働時間55時間まで、年間の上限残業220時間まで)と合わせて2.勤務間インターバルの導入(勤務開始時時点から24時間以内に連続11時間以上の休息時間の付与)を立法化すべきであることを提言した。長時間労働を是正するというのであれば、これらの立法政策を直ちに実現すべきである。
③第6回一億総活躍国民会議における安倍総理の発言を受けて、改めて労働者の命と健康を重大な危険にさらすことになる安倍政権の労基法等の改正案に対して断固反対し、労働組合等の関係諸団体とともに、その導入を阻止するために行動していくとともに、労働時間の上限規制及びインターバル制度の導入など長時間労働を抑止し労働者の命と健康を守るための諸規制の導入を強く求めていく。


 安倍首相のこの「3.25」の発言は、どう考えても、継続審議となっている「労働基準法改正案」で主張してきた考え方と整合性を持つものではない。
 この発言は、独特のご都合主義に基づく、単なるその場凌ぎに過ぎない。
 日本労働弁護団の「改めて労働者の命と健康を重大な危険にさらすことになる安倍政権の労基法等の改正案に対して断固反対し、労働組合等の関係諸団体とともに、その導入を阻止するために行動していくとともに、労働時間の上限規制及びインターバル制度の導入など長時間労働を抑止し労働者の命と健康を守るための諸規制の導入を強く求めていくことをここに表明する。」、との考え方に繋がり、共同して取り組んで行く必要がある。


 以下、日本労働弁護団幹事長の声明の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-05-01 17:56 | 書くことから-労働 | Comments(0)

原発問題-原発の近くにある双葉病院(福島県大熊町)の入院患者2人の遺族が起こした損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は東京電力の賠償責任を認定。

 標題について、朝日新聞は2016年4月28日、「福島第一原発の近くにある双葉病院(福島県大熊町)の入院患者2人の遺族が、『原発事故後に長距離、長時間の避難を強いられ、その負担で死亡した』と東京電力に計約6640万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。中吉徹郎裁判長は東電の賠償責任を認定した上で、『事故以外の要因も死亡に影響した』とする東電の主張を一部認め、賠償額を計約3100万円に減額した。」、と報じた。
 また、「判決によると、原発から約4・6キロ離れた同病院に入院していた安倍正さん(当時98)は、避難指示が出ていた2011年3月14日、自衛隊に救出されたが、県内の避難所で16日に死亡。辺見芳男さん(同73)も16日に救出され、別の病院に運ばれたがその日に死亡した。判決は、停電で暖房が止まり低体温症を発症したことも死因の一つだったと認定。東電が賠償責任を負う割合を一部少なくした。
 同病院と系列の介護施設では、原発事故後の避難が遅れ、同年4月までに約50人が死亡した。東京地裁では今回の2人を含め、死亡したり行方不明になったりした7人の患者の遺族らが提訴したが、判決は初めて。東京電力は『原発事故で避難を余儀なくされた中で亡くなられた方には、心よりご冥福をお祈り申し上げます。判決の内容を確認し、引き続き真摯(しんし)に対応してまいります』との談話を出した。」、と伝えた。


 以下、朝日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-05-01 06:09 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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