2016年 03月 06日 ( 3 )

沖縄-「和解」を社説から考える。

 安倍晋三首相は4日、名護市辺野古の新基地建設をめぐる代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が示した工事中止を含む和解案を受け入れると表明した。沖縄県側も受け入れ、和解が成立した。
 この「和解」について、各新聞社の社説・論説から考える。
 参考にした各紙の見出しは次のとおりである。

①沖縄タイムス社説-[辺野古訴訟 和解]政治休戦で終わらすな
②琉球新報社説-代執行訴訟和解 新基地 根本から問え 「辺野古が唯一」は本当か
③朝日新聞社説-政府と沖縄 真の和解にするために
④東京新聞社説-「辺野古」和解 県内断念こそ選択肢に
⑤毎日新聞社説-辺野古訴訟和解 政府は誠意ある対話を
⑥大分合同新聞論説-辺野古訴訟の和解成立 腰据えて話し合いを
⑦読売新聞社説-辺野古訴訟和解 移設推進方針は堅持して臨め


 引用したのは、今回数社であったが、こでもやはり政府側だけにたった読売新聞の主張の突出ぶりが際立っている。
 今回の各紙の要約は次のようになる。


(1)和解の意味
1.沖縄タイムス社説
①国が名護市辺野古への新基地建設をあきらめたわけではないが、それでもなお、沖縄県にとって「地方自治を守り、工事を止める」という2点で、和解の成立は重要な意味を持つ。
②これによって国が県を訴えた「代執行訴訟」、県が国を相手に起こした「係争委不服訴訟」が取り下げられ、県が提訴した「抗告訴訟」も連動して取り下げられる予定だ。
③沖縄防衛局は、行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止申し立てを取り下げることになっている。法律上は、翁長知事が埋め立て承認を取り消した時点に戻り、工事は止まる。
④平たくいえば、工事を中断した上で、県と国が争っている訴訟をいったん取り下げて訴訟を一本化し、その判決には県も国も従う、というのが和解案の内容だ。
⑤とりわけ注目したいのは、地方自治法改正によって国と地方公共団体が「それぞれ独立の行政主体として役割を分担し、対等・協力の関係となる」ことが期待されたにもかかわらず、「改正の精神にも反する状況になっている」ことを指摘し、国におきゅうを据えている点だ。
⑥今後も裁判で争うとなると、えんえんと法廷闘争が続き、「知事の広範な裁量が認められて(国が)敗訴するリスクは高い」とも踏み込んで指摘している。裁判所はそのような状態の異常さを強調し、司法の立場から警鐘を鳴らしたのである。
⑦仮に新たな訴訟で県が敗訴した場合、埋め立て承認取り消し処分が取り消され、工事が再開される。裁判の結果に従うことは県も明らかにしているが、知事の姿勢が「辺野古容認」に変わるわけではない。どっちみち裁判が避けられないものだとすれば、和解勧告の受け入れがベターな選択だといえる。
2.琉球新報社説
①一見、国が柔軟な姿勢に転じたかに見える。だがそれは見せ掛けにすぎない。真実は、敗訴間近に追い詰められた国が、やむなく代執行訴訟から退却したのである。
②福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長がこの和解案を示した時点で、結論は必然だったとも言える。国と県の対立に決着を図る上で最も強権的な手法が代執行だ。他の手段を経ず、いきなり最終手段たる代執行を求めた国に対し、裁判長は代執行以外の手段を勧めたわけである。「このまま行けば国敗訴だ」と警告したのに近い。
③今後、県と国は再び協議の席に着く。溝が埋まらなければ、「是正の指示」、係争処理委員会、是正の指示の取り消し訴訟などの、より強権度の低い手続きへと進むことになる。その間、工事は止まる。いずれにせよ、あれだけ強硬だった政府の工事を暫定的ながら止めたのだから、沖縄側の勝利であり、成果には違いない。
3.朝日新聞社説
①これにより、政府は埋め立て工事を中止する。政府と県はすべての訴訟を取り下げ、円満解決に向けて協議を進めることでも合意した。貴重な大浦湾の自然環境が破壊される前に、工事が止まる意義は小さくない。
4.東京新聞社説
①安倍政権が工事中断を含む和解案を受け入れた背景には、強硬姿勢を貫けば選挙に悪影響が出るとの政治的判断もあったのだろう。
5.毎日新聞社説
①裁判所は、代替施設建設を前提とした「根本案」と、工事中止を含む「暫定案」という二つの和解案を示していた。今回、成立した和解の内容は、暫定案を修正したものだ。
6.大分合同新聞
①和解の条項は、国が翁長雄志知事を訴えていた代執行訴訟を取り下げ、知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消し処分に対する是正指示から手続きをやり直す。その上で、辺野古での工事を直ちに中止し、国と県が円満な解決策に向けて再協議するという内容だ。翁長知事は既に和解案を前向きに検討する考えを示していた。
② 現地での反対運動が続く辺野古移設問題は、いったん工事が中止され、国と県の話し合いが再開されることになる。
③しかし和解合意で何かが解決したわけではない。
7.読売新聞社説
①米軍普天間飛行場の移設問題の根本的な解決にはほど遠い内容だが、司法の勧告である以上、和解もやむを得まい。


(2)和解の今後
1.沖縄タイムス社説
①今後、事態は、翁長知事の埋め立て承認取り消し処分に対する「地方自治法に基づく国による是正指示」→「県による国地方係争処理委員会への審査申し出」→「是正の指示の取り消し訴訟」へと進む可能性が高い。
2.琉球新報社説
①是正の指示の取り消し訴訟は国有利だとささやかれる。沖縄側敗訴もあり得るだろう。だが仮に敗訴しても、次は埋め立て承認の「撤回」をすればよい。設計変更は必ずあるからそのたびに知事が承認を下さなければ、工事はできない。いずれにせよ沖縄側が折れない限り、新基地完成は不可能である。
②今回、工事は1年以上、止まるだろう。米側もさすがに、日本政府の「移設に問題はない」との説明に疑念を募らせているはずだ。
3.毎日新聞社説
①具体的には、代執行訴訟を含む裁判を国と県それぞれが取り下げ、国は工事を直ちに中止する。国は代執行ではなく、地方自治法に基づく是正の指示の手続きを取り、その後、県による国地方係争処理委員会への審査申し出、県による是正指示の取り消し訴訟の提起へと進む。
②双方は、判決の確定まで円満解決に向けた協議を行い、確定後は直ちに判決に従う−−という内容だ。
4.読売新聞社説
①沖縄県の翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しに対する政府の是正指示の是非を巡る争いは、まず総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」で審査される。審査結果に不服がある場合は、改めて訴訟に持ち込まれ、その判決には政府も県も従う。この間、政府と県は解決に向けて協議し、政府は埋め立て工事を中止する。これらが和解の柱である。
②辺野古移設を推進する政府と、これに強く反対する県の主張は、大きく隔たっている。
 安倍首相と翁長氏が和解後に会談し、円満な解決に向けて協議することを確認した。しかし、両者が妥協点を見つけるのは簡単ではあるまい。結局は、訴訟で決着を図ることになるのではないか。


(3)主張
1.沖縄タイムス社説
①和解条項の中には「円満解決に向けた協議を行う」との文言がある。新たな解決策を模索する第一歩にするよう、国に強く求めたい。
②なぜそのような混迷状況が生じてしまったのか。原因と結果を取り違えてはいけない。
③政府が「対話による解決」を望むのであれば、県の考えを取り入れ、計画を見直すことである。それが辺野古問題を着地させる「唯一の選択肢」である。
2.琉球新報社説
①県と国の対立は仕切り直しとなった。だが新基地建設という国の頑迷な姿勢はいささかも揺らいでいない。沖縄の民意を踏みにじり、あくまで新基地を押し付ける姿勢が民主主義、自治の観点から正しいのか。「辺野古唯一」は本当か。根本から問い直すべきだ。
②首相の姿勢が正当化されるなら、どんな危険を強制されても、環境を破壊されても、選挙でどんな意思表示をしても、国がひとたび決めてしまえば地方は奴隷のごとく従うしかないことになる。これで民主国家だと言えるのか。それこそが本質的な問題なのだ。
③真の意味での仕切り直しの好機である。海兵隊は、普天間代替基地は必要か。百歩譲って必要としても、「辺野古が唯一」とする軍事的理由はない。復帰前は海兵隊の航空団と歩兵砲兵は岩国と沖縄に分かれていた。両者が近距離にないといけないというのは虚構なのだ。「沖縄の海兵隊」という思考停止の見直しが必要だ。そこからしか真の解決は見つかるまい。
3.朝日新聞社説
①この和解を、今度こそ、政府と沖縄県の対話による事態打開につなげねばならない。
②最大の問題は、安倍首相が「辺野古が唯一の選択肢」との姿勢を崩していないことだ。その前提にたつ限り、「辺野古移設NO」の民意に支えられた翁長県政との真の和解は成り立ちえない。和解条項には、改めて訴訟になった場合、双方が司法判断に従うことが盛り込まれた。そうなる前に妥協点を見いだせなければ、問題の先送りに終わりかねない。
③新たな訴訟が確定するまでには一定の時間がかかる。丁寧な議論を重ねる絶好の機会だ。
一方で、政府の狙いは6月の沖縄県議選、夏の参院選に向けて、問題をいったん沈静化させることではないか、との懸念の声もある。思い出すのは、安保法制の国会審議がヤマ場を迎えた昨年夏にも、政府が工事を中断して県と1カ月間の集中協議期間を設けたことだ。この時は、県の主張を聞き置くばかりで実りある対話とは程遠かった。同じ轍(てつ)を踏んではならない。
④「辺野古が唯一の選択肢」という思考停止を脱し、県との真の和解をめざす。そのための一歩を踏み出すべきときだ。
4.東京新聞社説
①安倍晋三首相が裁判所の和解案を受け入れ、沖縄県名護市辺野古での米軍基地新設工事を一時中断する。しかし、計画自体を変えたわけではない。県民の基地負担軽減には県内移設を断念すべきだ。
②国と県が法的手段を通じてではなく、話し合いで解決策を探るのが、あるべき姿だ。国が協議のテーブルに戻ることは当然である。
③市街地に囲まれ、危険な普天間飛行場の返還は喫緊の課題だが、同じ県内での代替施設建設を条件とする限り、在日米軍専用施設の約74%が集中する沖縄県に暮らす県民の米軍基地負担は抜本的には軽減されない。
④首相に埋め立て工事中断を決断する度量があるのなら、普天間飛行場の辺野古への県内移設を断念し、国外・県外移設を米側に提起すべきではないか。
⑤今回の和解が、選挙をしのぐ時間稼ぎであってはならない。望むべくは、沖縄を米軍基地の重圧から解き放つ「真の和解」である。
5.毎日新聞社説
①公表された和解勧告文の中で、裁判所は「沖縄対政府という対立の構図」に触れ、「どちらがいい悪いという問題以前に双方ともに反省すべきだ」と注文している。
②特に国と地方が対等・協力の関係になることが期待された改正地方自治法の精神に反すると指摘し、本来は沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して米国に協力を求めるべきだとの考えを示した。
③国と県は昨夏にも1カ月間、工事を中断して集中協議をしたことがある。だが安全保障関連法案の審議と重なるのを避けるための政治休戦の面が強く、議論は深まらなかった。 今度こそ政府は県の疑問に誠実に答え、解決策を見いだしてほしい。再協議を、参院選までの時間稼ぎの形式的なものにしてはならない。
6.大分合同新聞論説
①立脚点のまったく異なる協議はかみ合わなかった。同じ愚を繰り返してはならない。
今年4月で普天間飛行場の返還合意から20年となる節目に、双方が腰を据えて話し合い、多岐にわたる論点に真正面から向き合い、納得できる解決策を目指すべきだ。
②反発を和らげるための一時的な「棚上げ」だとすれば、本質的な解決にはほど遠い。
③高裁支部が和解を勧告したのは、本来「対等」とされる国と地方の間で国が知事に代わって「代執行」するという強権的な措置をとることへの疑問や、裁判で結論を出しても根本的な解決にはならないとの判断があったと思われる。
 県側も二つの訴訟を取り下げる方向で、協議の環境は整った。辺野古移設に代わる解決策を探り、米軍基地問題の抜本的な議論を行う事実上の最後の機会にもなりかねない。国と県の双方に真摯(しんし)な対応を求めたい。
7.読売新聞社説
①安倍首相は、辺野古移設について「普天間飛行場の全面返還のためには、唯一の選択肢との考えに変わりはない」とも強調した。日米両政府と地元関係者が膨大な時間と精力を費やした末に、ようやくまとめた結論が辺野古移設である。米軍の抑止力の維持と基地周辺住民の負担軽減を両立させるため、政府は、今の立場を堅持することが重要である。
②訴訟対策などに万全を期すとともに、移設先の住民らの理解を広げる努力を続けたい。
③懸念されるのは、国地方係争処理委員会の審査や、その後の訴訟が長期化することだ。
 その間、工事は中断されるので、代替施設の完成が遅れ、普天間飛行場の返還がずれ込むことは避けられない。市街地の中心にある飛行場の危険な状況も継続する。
 係争処理委員会などには、迅速かつ公正な審査・審理を行うことが求められよう。


 さて、「工事を中断した上で、県と国が争っている訴訟をいったん取り下げて訴訟を一本化し、その判決には県も国も従う、というのが和解案の内容だ。」(沖縄タイムス)とする今回の和解案を、「国が名護市辺野古への新基地建設をあきらめたわけではないが、それでもなお、沖縄県にとって『地方自治を守り、工事を止める』という2点で、和解の成立は重要な意味を持つ。」(沖縄タイムス)、と受け取ることができる。
 また、今回の和解が示したものは、「是正の指示の取り消し訴訟は国有利だとささやかれる。沖縄側敗訴もあり得るだろう。だが仮に敗訴しても、次は埋め立て承認の『撤回』をすればよい。設計変更は必ずあるからそのたびに知事が承認を下さなければ、工事はできない。いずれにせよ沖縄側が折れない限り、新基地完成は不可能である。」、ということでもある。
 さらに、「『沖縄の海兵隊』という思考停止の見直しが必要だ。そこからしか真の解決は見つかるまい。」(琉球新報)、「『辺野古が唯一の選択肢』という思考停止を脱し、県との真の和解をめざす。そのための一歩を踏み出すべきときだ。」(朝日新聞)、「今回の和解が、選挙をしのぐ時間稼ぎであってはならない。望むべくは、沖縄を米軍基地の重圧から解き放つ『真の和解』である。」(東京新聞)、といった指摘を重く受け取る必要がある。
 最後に、朝日新聞は、次のように提起している。安倍晋三政権は、この「和解」を受けてこうした指摘を真摯に捉え直す契機としなければならない。


「福岡高裁那覇支部が示した和解勧告文には、こうある。
 『本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである。そうなれば、米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力をしようという契機となりうる』
 そのために、普天間の機能の県外・国外への分散を進める。政府と県だけでなく、本土の自治体とも話し合い、米国との協議に臨むべきである。」


以下、各新聞社の社説・論説の引用。




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by asyagi-df-2014 | 2016-03-06 17:26 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古「和解」を沖縄タイムスは伝える。

 辺野古「和解」について、沖縄タイムスは次のように報じた。
 米国側の思惑について2016年3月6日、「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐる代執行訴訟で沖縄県と日本政府との間で和解が成立したのを受け、米政府内で安堵(あんど)感が広がっている。複数の裁判が長期化し、辺野古移設の行方が司法の手に委ねられて見通しが立てられなくなるという『最悪のシナリオ』が回避されたとの思いからだ。」、と。
 また、安慶田光男副知事と沖縄県側弁護団の竹下勇夫弁護士らによる県と国の和解成立後の沖縄県庁での記者会見(2016年3月4日)の様子を次のように伝えた。

(1)名護市辺野古の新基地建設工事が停止する期間。
「最高裁で確定するまでは、国は工事する権限がないということになる」と述べ、和解条項に記載された法的手続きが完了するまでの間は工事が止まるとの認識を明らかにした。(2)進行中の3訴訟に関して。
取り下げが和解内容に含まれている代執行訴訟、係争委不服訴訟に加え、4日に第1回口頭弁論が開かれた抗告訴訟も「取り下げることになると考えている」との見通しを明らかにした。
(3)和解条項の「判決に従い、互いに協力する」と記載されていること。
「和解の射程は知事のなした承認取り消しについて言っている」と指摘。「前知事の承認以降に出てきた事情で、何らかの行為があった際は、別の話と考える。法律的には」と述べ、翁長雄志知事が承認の撤回などの権限を行使することを拘束するものではないとの認識を示した。


 以下、沖縄タイムスの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-03-06 11:47 | 沖縄から | Comments(0)

世界平和アピール七人委員会のアピール「『フクシマ』の教訓を忘れたのか!」を考える。

 世界平和アピール七人委員会は、2016年3月1日、「『フクシマ』の教訓を忘れたのか!」、とアピールを発表した。
 このアピールについて、考える。

(1)原発をめぐる状況
①東京電力福島第一原発の爆発から5年になるが、融け落ちた炉心の核燃料の状況を含めて事故の全貌は未だ把握できず、高レベルの放射能汚染も手がつけられない状態が続いている。巨額の税金を投じている除染の効果も、350億円の税金を投じた地下水処理の凍土遮水壁の有効性の見通しもあいまいである。高濃度の汚染水貯蔵タンクは1106基(2016年2月現在)あり、さらに増え続ける。2号機からの放射能漏れや、甲状腺ガンの疑いなども相次いでいる。原発関連死は2000人を超えて直接死を上回り、毎年多くの自殺者が相次いでいる。福島第一原発の処理は日本の原発が抱える最優先課題だが、問題は山積していて、毎日7000人が作業しているにもかかわらず、事故の収束にはほど遠い。
②福島第二原発については、運転の可能性が全くないにもかかわらず、廃炉すら決定していない。
③東京電力は、炉心溶融と直ちに判定できる基準があったことを、外部からの求めに応じて調査するまでの5年間、気が付かなかったと公表した。これは、隠ぺいしてきたのか、それとも無能で無責任な集団だったのか、どちらにせよ原発のような重大な潜在的危険性のある施設を運転する能力と資格に欠けていることを示している。
④原子力規制委員会は、停止状態にある各地の原発の再稼働に向けて、限定された技術的項目についての審査を進め、次々と合格サインを出している。特に、運転期間40年の原則を超えて60年間運転を継続しようとする関西電力高浜1、2号機について、2月24日に規制基準を満たすとする審査書案を了承し公開した。しかしこの審査書案では、経年劣化が進む老朽原発を60年間運転できると判断した技術的根拠が示されていない
(2)今起こっていることの確認
①すでに3、4号機の再稼働が行われているなかで、合計4基の稼働を事実上了承したことは、福島第1原発で過密であったために事故が拡大した教訓を全く学んでいないことを示している。                                  ②安倍晋三首相は、規制委員会の審査項目以外にも重要な問題点が多々あるにもかかわらず、再稼働に対して十分な判断を得たと強弁して、原発推進を続けている。さらに同様の説明の下で、海外への原発輸出も積極化させている。                ③これでは、政府と電力会社が3・11以前の無責任な安全神話思考に完全に戻っていることになる。
(3)現状への反論、異論
①福島では、10万もの人びとがふるさとを追われたまま5年後の今も避難生活を強いられている。ウクライナ政府が、チェルノブイリ事故後、年間被曝量1mSv(ミリシーベルト)以上の地域は移住権利ゾーンであり、0.5 mSv以上の地域は放射能管理強化ゾーンだと法律で決めたのに、日本政府は「年間20 mSv」という高い「基準」に緩めて、健康に問題がないから帰還せよという。住民はこの数字を俄かには信じられず、不安が募る。地域の復興がなければ戻っても孤独を強いられるだけだ。首都圏や他府県からの差別といった苦渋の日々もある。福島県民が使用しているのは東北電力だから、使っていない東京電力による放射能汚染は理不尽の一言に尽きる。まるで戦争に巻き込まれて、戦闘は終わっても戦争の被害は終わらない事態が続いているのと酷似している。
②「生業を戻してほしい。」どの職種の人であっても、避難者たちの思いはこの点で一致している。とりわけ農業は土と生きるから深刻である。放射能汚染にまみれた田畑の表土を剥す除染が随所で行われている。だが表土こそいのちの農業にとって、これは人生を否定されたことに等しい。
③再稼働推進を、被災者たちは「私たちを切り捨てるのと同じだ」と語気を強めて反発する。5年前の震災以降すべての原発が停止し、世界的に石油価格の高騰が続いた中でも、電力は足りて余裕があった。原発再稼働は目先の経済優先が目的であって、電力供給においては不要なことが明らかだ。放射能の恐怖と凄まじい混乱を経験し、見聞した日本は、再稼働を進める状況にはない。
(4)アピールの主張
①再生可能な自然エネルギーは、放射能と無関係で、脱炭素社会にも貢献する。自然エネルギー先進諸外国(とくにドイツ、中国、米国)の動向を見れば、経済性の改善も進み、利用が広がっている。日本でも、破たんが明らかな原子力優先をやめて、自然エネルギー研究開発利用を促進しないと、格差は広がる一方で、これからのエネルギー問題で世界に伍していくことはできない。
②何が本当で何が嘘だったかは、歴史が明らかにするだろう。「フクシマ」の教訓を風化させ、政府と企業の暴走を許すのであれば、日本中の私たち皆にも責任があることになる。


 今、「『フクシマ』の教訓を風化させ、政府と企業の暴走を許すのであれば、日本中の私たち皆にも責任があることになる。」というアピールを、一人一人が深く肝に命じる時が来ている。


 以下、世界平和アピール七人委員会のアピールの引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-03-06 06:25 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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