2015年 07月 22日 ( 2 )

「安全保障関連法案に反対する学者の会」が安保法案に対しる抗議声明を発表。

 朝日新聞は2015年7月20日、「『安全保障関連法案に反対する学者の会』に賛同する大学教授ら約150人が20日、東京都内で記者会見し、安保法案に対し『世論調査で反対多数の状況での強行採決は、国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊』とする抗議声明を発表した。20日までに会の賛同者は学者1万1218人、市民2万2779人に上ったといい、31日夕には学生らと共同で、集会や国会前での抗議行動をする予定。」と、報じた。

 朝日新聞が掲載した記者会見での発言は次のとおり。

・益川敏英・京都大名誉教授は「安倍首相が有事と思えば戦争ができるようになる。立憲主義に真っ向から敵対している」。
・上野千鶴子・東京大名誉教授は「新国立競技場は市民の声で白紙に戻った。言えば通る。もっと深刻な安保法案も廃案に追い込める」。
・池内了・名古屋大名誉教授は「科学者の軍事研究への動員が始まっている。安保法案を打ち破り、軍事研究をしない運動を広げたい」。
・高山佳奈子・京都大教授は「憲法を無視していいという国際世論はない。憲法に反する安保政策で、ジャーナリストやボランティアら外国にいる日本人への危険は増す」。

 また、この「安全保障関連法案の衆議院特別委員会と本会議での強行採決に対する抗議声明」の要約は次のとおり。

(強い怒りの根拠)
(1)各種世論調査では、戦争法制としての本質をもつ安全保障関連法案に反対が多数となり、8割を超える大多数が今国会での成立は不必要としていた状況の中での強行採決は、主権者としての国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊です。
(2)首相自身が、法案に対する「国民の理解が進んでいない」ことを認めた直後の委員会採決強行は、現政権が国民世論を無視した独裁政治であることを明確に示しています。
(3)衆議院憲法審査会で3人の憲法学者全員が安全保障関連法案は「違憲」だとし、全国のほとんどの憲法学者が同じ見解を表明しているにもかかわらず、今回の強行採決が行われたことは、現政権が学問と理性、そして知的な思考そのものを無視していることのあらわれです。
(4)戦後日本が一貫してきた隣国との対話による外交に基づく信頼関係こそが、脅威を取り除いてきたという事実を見失ってならないと思います。
(主張)
私たちは参議院での審議を注意深く見定めながら、立憲主義と民主主義を守り、この法案を廃案にするために、国民とともに可能なあらゆる行動を実行します。

 この抗議声明に、繋がる。

 以下、朝日新聞及び「抗議声明」の引用。





More
by asyagi-df-2014 | 2015-07-22 15:07 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

「戦後70年総理談話について」声明を考える。

 安倍晋三政権の今後の大きなアピールと位置づけられている「安倍談話」に関して、2015年7月17日に、「戦後70年総理談話について」声明が出された。
 この8月に予定されている「安倍談話」は、好む好まざるに関わらず非常に大きな影響を持つものであることから、このことを十分に考える必要がある。

 今回は、この「声明」を基に考える。
 「声明」は、次のようにこの問題を捉えている。
(声明を出す目的)
 私共の間には、学問的立場と政治的信条において、相違があります。しかしながら、そのような相違を超えて、私共は下記の点において考えを同じくするものであり、それを日本国民の皆様と国政を司る方々に伝え、また関係する諸外国の方々にも知って頂くことは、専門家の社会的責任であると考えるに至りました。
(声明の論点)
(1)なによりもまず、大多数の国民が飢餓に苦しみ、多くの都市が灰燼に帰していた1945年の日本から、今日の平和で豊かな日本を築き上げた先人達の努力に対して深甚な感謝の意を捧げ、そうした日本を誤りなく次の世代に引き渡して行くという国政の最高責任者の意志を日本国民に示すものであるべきであります。
(2)こうした戦後日本の復興と繁栄は日本国民の努力のみによるものでなく、講和と国交正常化に際して賠償を放棄するなど、戦後日本の再出発のために寛大な態度を示し、その後も日本の安全と経済的繁栄をさまざまな形で支え、助けてくれた諸外国の日本への理解と期待、そして支援によるものでもありました。このことは、さまざまな研究を通して今日よく知られております。こうした海外の諸国民への深い感謝の気持ちもまた示されるべきものと考えます。
(3)戦後の復興と繁栄をもたらした日本国民の一貫した努力は、台湾、朝鮮の植民地化に加えて、1931-45年の戦争が大きな誤りであり、この戦争によって三百万人以上の日本国民とそれに数倍する中国その他の諸外国民の犠牲を出したことへの痛切な反省に基づき、そうした過ちを二度と犯さないという決意に基づくものでありました。戦争で犠牲となった人々への強い贖罪感と悔恨の念が、戦後日本の平和と経済発展を支えた原動力だったのです。実にこの思いこそ、戦後の日本の平和と繁栄を支えた原点、文字どおりの初心であり、決して忘れ去られてはならないものでありましょう。
(4)いかなる言葉で語られるかは、それが国際的にも大きな影響をもつ責任ある文書を評価する上で、どの国でもどの時代でもきわめて重要な基準です。政治を司る者は、こうした言葉の枢要性を誰よりも深く考える責務を負っているはずです。このことは、歴史と法と政治を研究してきた私共が、日本の為政者に対して特に強く申し上げたいところです。
(5)「安倍談話」において「村山談話」や「小泉談話」を構成する重要な言葉が採用されなかった場合、その点にもっぱら国際的な注目が集まり、総理の談話それ自体が否定的な評価を受ける可能性が高いだけでなく、これまで首相や官房長官が談話を通じて強調してきた過去への反省についてまで関係諸国に誤解と不信が生まれるのではないかと危惧いたします。安倍総理がしばしば強調される「村山談話」や「小泉談話」を「全体として継承する」ということの意味を、具体的な言語表現によって明らかにされるよう、強く要望するものです。
(6)70年談話がその「言葉」ゆえに国際社会で否定的に受け取られ、その結果、過去と現在と将来の日本国民全体が不名誉な立場に置かれ、現在と将来の日本国民が大きな不利益を被ることのないよう、安倍総理が「談話」で用いられる「言葉」について考え抜かれた賢明な途をとられることを切に望むものです。
(7)日本が侵略されたわけではなく、日本が中国や東南アジア、真珠湾を攻撃し、三百万余の国民を犠牲とし、その数倍に及ぶ諸国の国民を死に至らしめた戦争がこの上ない過誤であったことは、残念ながら否定しようがありません。そしてまた、日本が台湾や朝鮮を植民地として統治したことは、紛れもない事実です。歴史においてどの国も過ちを犯すものであり、日本もまたこの時期過ちを犯したことは潔く認めるべきであります。そうした潔さこそ、国際社会において日本が道義的に評価され、わたしたち日本国民がむしろ誇りとすべき態度であると考えます。
(8)安倍総理を含む歴代の総理は、侵略の定義は定まっていないという趣旨の国会答弁などを行っておりますが、これは学問的には必ずしも正しい解釈とは思われません。なによりもそうした発言は、日本が1931年から遂行した戦争が国際法上違法な侵略戦争であったという、国際社会で確立した評価を否定しようとしているのではないかとの疑念を生じさせるものであり、日本に大きな不利益をもたらすものと考えます。
(9)日中戦争、太平洋戦争を含めた1931-45年の戦争が名目の如何と関係なく、その実質において日本による違法な侵略戦争であったことは、国際法上も歴史学上も国際的に評価が定着しております。戦後国際社会は一貫してこうした認識を維持してきたのであり、これを否定することは、中国・韓国のみならず、米国を含む圧倒的多数の国々に共通する認識を否定することになります。戦後70年にわたって日本国民が営々と築き上げた日本の高い国際的評価を、日本が遂行したかつての戦争の不正かつ違法な性格をあいまいにすることによって無にすることがあってはならない。
(声明の主張)
 総理が、戦前と戦後の日本の歴史に対する世界の評価に深く思いを致し、現在と将来の日本国民が世界のどこでもそして誰に対しても胸を張って「これが日本の総理大臣の談話である」と引用することができる、そうした談話を発して下さることを願ってやみません。

 こうして「声明」を考えてみると、最大公約数的な文章にやはりその苦労を感じるとしても、その趣旨に反対するものではない。
 結論から言えば、この「声明」とともに、こう言わざるを得ない。

「安倍晋三政権よ。この声明の意図するものを深く、真摯に受け取れ」。

 以下、「声明」の引用。





More
by asyagi-df-2014 | 2015-07-22 05:32 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧